すし松

日本に住む人であれば、よほどの魚嫌いでない限り、無性に寿司を食べたくなることがあるはずだ。
しかし、寿司は料理の中でも高級品。「今日はお寿司を食べたい!」と思い立っても、懐具合によってはなかなか実行に移せない。ましてや家族全員を引き連れてとなれば、なおさら足が向きにくい。

しかし嬉しいことに、この東松戸には寿司ファンも納得の、心強い寿司店がある。紙敷交差点近くにある「すし松 東松戸店」だ。

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すし松の形態は、寿司の載った皿が客席のまわりを廻る、いわゆる回転寿司タイプ。だが、そこらそんじょの回転寿司店ではない。経営しているのは、東京は亀戸で40数年続く江戸前寿司店。店長さんは「回転寿司店でありながら、それらしくない、しっかりとした寿司をお出ししています」と自信を覗かせる。

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寿司ダネとなる魚の鮮度には、絶対の自信を持っている。それぞれの産地でその時期に最もおいしい魚を築地から仕入れているそうで、エリアも北海道から九州まで幅広い。
たとえば、この日の「今日のおすすめ」でピックアップされている宇和島(愛媛県)のマダイ。宇和島が面している豊予海峡は四国と九州をつなぐ海で、潮流の速さで有名。その流れにもまれたマダイは、身がしっかり引き締まっていて、とてもおいしい。
同じく「今日のおすすめ」である北海道のマダコ。今が旬であるタコは、身が厚く、それでいてやわらかい。「今まで食べたタコと全然違う!」と驚く人もいるはずだ。
銚子産のイワシもよい。イワシは足の速い、鮮度の落ちやすい魚。それだけに、地元なればこその新鮮なものを食べられるのはありがたい。

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すし松のおいしさを語るのに忘れてはならないのが、超還元水「エレン水」。料理用に開発された水で、アルカリイオン水を超えるとも言われるグレードを誇る。
そのエレン水を、すし松ではすべての用途に使用しているという。「お米を炊いたり、魚の下処理をするときだけでなくてですか?」と聞くと「何もかも、です。濾過しているのではなく、どの蛇口をひねってもエレン水が出てくるんです」。ということは、エレン水で皿洗いもしているということになるのか。寿司屋は水に気を遣うというが、なんて贅沢なのだろう。

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おいしさの秘密を知ると、一刻も早く食べたくなってくる。こんなとき、回転寿司はありがたい。何たって、好きなものを好きなように、自由に食べられるのだから。
鮮度を保つため、客が少ないときは寿司皿を回遊させていない。だが、好みのタネを板前さんに告げれば、すぐに握ってもらえるので安心だ。

「まずはコレよね」と「まぐろ赤身」の皿を取り、さっそく1貫つまむ。この店の赤身は、通称“ジャンボマグロ”。一口では入りきれないほどタネが大きい。厚みもバッチリ。
回転寿司店にありがちな、シャリが透けて見えそうな厚みのタネとは大違いだ。

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噂どおりの刺身の良さを堪能したら、今度はあのエレン水がどうにも気になる。水のおいしさを感じるには、シャリで判断するのがよいだろう。
そこで、シャリが主役を張る巻物、その中から「カリフォルニア巻」をチョイス。期待を膨らませながら、オレンジのトビッコのまぶされたシャリを口へ運ぶ。
うん、確かにおいしい。水道水にありがちな、臭みも刺激も何もない。米の持つ甘みを引き出しているような感じさえする。恐るべし、エレン水。

今度は、づけ(しょうゆダレに漬けたタネの総称)マグロに手を伸ばす。正式名称は「名代づけまぐろ」。江戸前寿司の代表的存在のひとつだ。この“名代”の部分に、店の自信が透けて見える。
同じ魚のはずなのに、先ほどの赤身とはまた違った味わい。マグロの持つ旨みとしょうゆの持つ旨みがかけ合わさって、新しいおいしさになっている。

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今回選んだ中でも「あぶりトロサーモン」は、期待を上回った逸品だ。多くの店がサーモンをあぶったものにマヨネーズをかけて出しているのに対し、ここでは先にマヨネーズをかけ、その上からあぶっている。
チーズが、そのまま食べるのと溶けたものでは味わいがかなり異なる。マヨネーズも、軽くあぶることで新たなおいしさが出るようだ。サーモンの脂とマヨネーズの油が溶けて融合すると、何ともまろやかでボリュームたっぷり。「とろける」という言葉がぴったりハマる口触りだ。

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今度は、お楽しみの「白焼穴子」。素材に自信があるからこそ勝負できる調理法だろう。「タレも持ってきましょうか?」と店長さんが気を回してくれるが、せっかくなので、身そのものの味を楽しむことに。
ふっくらと蒸された大ぶりのアナゴは、よい具合に脂が溶けて口当たりも抜群。割烹や料亭で出しているものに決して引けを取らない。それを420円という価格で食べられるのだから、たまらない。

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お腹と相談した結果、そろそろ最後の皿を決めたほうがよさそうだ。迷いに迷い、思い切って「うに3種盛り」を選ぶ。
なぜ迷ったかというと、実は普段、あまりウニを食べないからだ。安物しか食べていないことを白状するようなものだが、ウニに変な渋みを感じることが多い。それで、これまであまり食指が伸びなかった。
しかし、夏の北海道で食べたウニは唯一おいしかった。そして、ここのウニは北海道産のものらしい。そこで、旬を迎えている今、思い切って賭けに出たのだ。

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結果は窶披€狽ィいしかった。キュウリが風味を添える「うにぐんかん」、イカとワサビを合わせた「いかうに」、イクラとの花形同士の競演「うにいくら」。ウニ好きならずとも、もう1皿テーブルに取ってしまいそうなおいしさだ。

よい感じに食欲が落ち着いたところで、締めのお茶を一服。なぜか、お茶がとてもおいしい。これまでの満足感がそう思わせているのかしら? 茶葉は普通の粉茶のようだけども。
まもなく正解がわかった。「……エレン水だ」。
お茶までがこんなにおいしい回転寿司店は、そうはない。そして、それが地元にある幸運というものも、そうはない。
思い立ったときに、おいしい寿司を気軽に楽しめる幸せは、ここに住んでいる者にしかわからない。

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すし松
所在地:千葉県松戸市紙敷116-2
電話番号:047-391-7835
営業時間:11:00~21:30
無休
http://www2.odn.ne.jp/~sushimatu/



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