TOKYO TUC

オフィスビルが立ち並ぶ岩本町の一角に、国内外の名だたるアーティストがライブを繰り広げてきた名門ジャズクラブがある。1993年に創業した「Tokyo TUC(トーキョータック)」。店主・プランナーを務める田中紳介さん(80歳)は、神田明神下生まれの元サックス奏者。「世界でここにしかないJAZZを提供し続けていく」をモットーに、音楽を通した独自の場づくりに挑戦し続けている。

江戸時代から栄え、戦後は繊維の街として復興を遂げた岩本町には、現在も繊維業関係の企業や商店が点在しているが、バブル崩壊によって、ほとんどが廃業。「このままでは街が衰退してしまう」と危機感を抱いた田中さんは、親戚の会社からジャズクラブ運営の話を持ちかけられ、「楽器店や音楽活動の盛んな大学が多い」千代田区の土地柄に着目。音楽を通して地域の活性化に貢献しようと決意したという。

まず、会社の倉庫になっていた地下スペースを、音楽好きの若い社員と共に改装し、音楽イベントを開催。研究を重ねながら、こだわりのライブ空間を作り上げた。また、オープン当初から、実力派アーティストを次々と招致すると同時に、国内のライブハウスや学園祭に積極的に足を運び、新人の発掘や育成にも奔走。大坂昌彦、川嶋哲郎、綾戸智絵など、現在、日本のジャズシーンを牽引しているアーティストの才能をいち早く見出した。

当時のジャズクラブの主流は、音楽を聴きながら料理や飲み物を楽しむスタイルだったが、厳選された質の高い音楽を追求する「Tokyo TUC」の評判は着実に広がり、米・ジャズ専門誌、「DOWNBEAT(ダウンビート)」の「世界のJazzClub100店」に選出されるまでに。店の周辺にも飲食店が次々とオープンし、町自体も少しずつ活気を取り戻していった。

創業時からのモットーを貫くべく、サービス料やミニマムチャージは取らず、公式サイトにも「料理・飲物のオーダーはお気になさらず、素晴らしい『JAZZ』を心おきなくお楽しみください」とメッセージを掲載。社会人や学生バンドのライブ・パーティ会場、録音スタジオとして、一般市民にも広く開放しており、小学校のビッグバンドも定期的にファミリーコンサートを開催。10数年前に演奏していた卒業生が、大学生や社会人となって共にステージに立つこともあるという。

「千代田区はいつも音楽がある街でありたいし、そこに集う人達に満足して頂けるような店を作っていきたい。たった42坪の面積ですが、無限に大きな夢をみんなで広げていきたいと思っています」

TOKYO TUC
所在地:東京都千代田区岩本町2-16-5 TUCビルB1
電話番号:03-3866-8393
http://www.tokyotuc.com/



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