佃源 田中屋

佃源 田中屋
佃源 田中屋

月島駅付近から歩くこと数分、住吉神社周辺では、今でも昔ながらの情緒ある街並みを見ることができる。木造家屋と、家屋の間に入り組んだ船着場が目を引き、その向こうには高層マンション。異なる2つの時代が1枚の写真に収まる稀有なエリアとして、散策スポットとしても人気の地だ。

この一帯は「佃」という地名がついており、ご存知「佃煮」の発祥の地としてもよく知られている。今でも隅田川沿いには3軒の老舗が暖簾をつないでおり、朝から醤油の芳香を漂わせながら佃煮を煮ている。創業は江戸時代に遡る店もあり、江戸の文化を今に伝える貴重な文化遺産とも言えるだろう。

佃源 田中屋
佃源 田中屋

その中でも最も創業が古いと言われているのが、レトロな引き戸の上に大きな看板を掲げる「佃源 田中屋」である。

佃煮のルーツは江戸時代の末期まで遡る。大阪近郊の佃村から移り住んだ漁民たちがここ「佃島」に居付き、江戸の海で取れる白魚を将軍に献上し、余りを保存食として塩煮や醤油煮にしていたそうだ。「元祖」を掲げる店は都内に幾つかあるため特定は難しいが、ここ佃では「田中屋」の初代が、住吉神社の「講」で小魚の醤油煮を提供したのが最初と言われている。その濃く甘い味わいが評判となり、江戸時代末期から佃煮の販売を始めたそうだ。

佃源 田中屋
佃源 田中屋

一般的にはシラスやアミ、アサリなどの小型魚介の佃煮がよく知られるが、実はこの店で最も売れているのは「昆布」だという。次々と訪れる常連客は、ショーケースに並ぶ佃煮を見ながら、手際よく「昆布とアミとアナゴ、100gずつね」などと慣れた口ぶりで注文していく。佃煮は地元の人々にとっては欠かせない「日常食」となっているようだ。

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