はたり

入舟町交差点から、新富町側に1本通りを入った場所にある「はたり」は、2015(平成27)年に開業した気鋭の蕎麦店。「そば」と書かれた提灯と行灯が目印となっており、階段を地下に降りた先に店がある。裏通りのビルの地下、しかも、通りから店内をうかがい知ることができないというロケーションにありながらも、口コミで着実に常連客を増やしているという、知る人ぞ知る店だ。

提灯と行灯が目印
提灯と行灯が目印

この店を営んでいるのは、「株式会社ハザマメンテナンス」。この会社の社長は飲食に非常に関心が高い人で、日本屈指の蕎麦名人と言われる石井仁氏の蕎麦を食し、感銘を受け、この店を開くに至ったという。
石井氏の蕎麦に一目惚れした社長は、彼の店に何度も通っているうちに、「この蕎麦をもっと多くの人に楽しんでほしい」という気持ちが募り、石井氏に「この味をベースにした蕎麦屋を開きたい」と話したところ、二人は意気投合。プロデュースの承諾を得て、ここ「はたり」の開業に至った。石井氏の店はミシュランガイドに掲も載されている高級店だが、そこでコースの締めの一品として供される蕎麦に近いものを、ここでは、はるかにリーズナブルな価格で楽しむことができる。

蕎麦はもちろん自家製。日本全国の蕎麦産地から、その時々に一番美味しい産地を選りすぐり、殻が付いたままの「玄蕎麦」の形で仕入れ、扇橋にある製粉工場で石臼挽きにしている。それを鮮度の落ちないうちに蕎麦に仕立て、この店まで運び入れているそうだ。石臼を回す速度はきわめて遅く、香りを飛ばさないように配慮しているそうで、生の蕎麦は箱を開けた瞬間にふわっと香り立つほど。それを1分以内の短時間でさっと茹で上げ、氷水でキンと冷やし、ざるに載せて提供する。つなぎも使わない十割蕎麦だが、「せいろ1枚800円」という破格なのだから、驚かされてしまう。

こだわりの麺は香りが豊か
こだわりの麺は香りが豊か

氷で絞めた蕎麦
氷で絞めた蕎麦

せいろは1枚800円
せいろは1枚800円

店内の様子
店内の様子

香り高い蕎麦もさることながら、カツオの芳醇な香りが楽しめるツユもかなりの上等品。江戸風の辛いツユではなく、まろやかで塩角の取れた味わいは、蕎麦の香りをほどよく引き立ててくれる。普通のツユ以外に、ゴマと落花生のペーストを使ったツユでいただく「はたりそば」というバリエーションもあり、好みに応じて選ぶことができる。プラス料金で両方を付けてもらうことも可能だ。

「せいろ」だけでリーズナブルに頂くのも良いが、せっかくなら「天そば」と豪勢にいくのも良いだろう。天そばでセットされる天ぷらは、海老が2本と野菜3点。食べて驚くのは、海老の身の太さだ。店でホールを担当する合田さんは、「ほかの店だと、海老が思いのほか細くてガッカリすることが多いじゃないですか。そう思われるのは絶対に嫌なので、うちの海老はとにかく太いです」と笑う。もちろんこれも、社長の「安くても良い物を提供したい」という思いがあってのこと。儲け主義ではなく、お客本位の姿勢がこの店の美徳だ。

そういった思いが徐々に顧客の間にも浸透し、今では蕎麦以外の一品料理も人気を博しているという。四季折々の食材を使ったその時節らしい一品料理はもちろん、社長が全国から見つけてきた珍しい食材や郷土料理、限定品の地酒なども頻繁に登場し、常連客を楽しませている。時には天ぷらの椎茸を天然の舞茸に変更したり、天然の鮎を塩焼きで提供したりと、驚きを得られる食材を、美味しく提供するということに尽力している。経営者自身が根っからの食べ歩き好きだからこそ、お客の立場に立った店づくりが徹底できているのだろう。

鴨焼き
鴨焼き

日本酒が進む一品料理
日本酒が進む一品料理

味を第一に、それ以外は必要最小限にして、安くてもしっかり「本物」を楽しめる店「はたり」。そういった店を欲する人々にとって、ここは最高の蕎麦屋となることだろう。

こだわりの品々を破格で楽しめる
こだわりの品々を破格で楽しめる

はたり
所在地:東京都中央区新富2-11-6 B1F
電話番号:03-6222-8498
営業時間:11:30~14:30(L.O.14:00)、18:00~23:00(L.O.22:30)
定休日:土曜日
http://hatari.jp/



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