おいしいお酒を飲める店は、都内にいくらもある。しかし、終電を気にしながらだとゆっくり楽しめないし、飲酒運転などはもってのほか。せっかく自分好みの店を見つけても、なかなか足しげく通えないことが多い。
だが、自宅の近所にそうした店があれば、いつでも安心して酔いしれることができる。毎日の食のシーンにもグッと広がりが出てくるというものだ。
「リストランテ アモローソ」は、有名フレンチレストランなどでソムリエとして活躍していたオーナーシェフが牛込中央通りに開いた、評判の店。おいしいワインと、ワインにぴったりマッチする料理を出す、カウンターに10席ほどのこぢんまりとしたイタリアンレストランだ。

料理は、すべてコースのみ。ランチは2種、ディナーは4,200円のもの1種となっている。そして、アモローソのディナーは基本的に、料理に合うワインをそれぞれグラスで楽しめるようになっている。
多くの人に楽しんでもらえるよう、ワインは酸味と果実味を重視し、かつコストパフォーマンスの高いものを基準にセレクト。いずれも通の舌を満足させるものばかりだ。「こんな合わせ方があったのか!」と目からウロコが落ちることもあれば「こんなワインがあったのか!」と新しい出合いに乾杯したくなることもある。
訪れた日のコース構成は、前菜としてタイ・車エビ・ホタテのテリーヌに、赤ピーマンのムース、イナダ(ブリの子ども)の自家製薫製、新タマネギ・春キャベツ・カリフラワー・カブのスープ、豚の頭と肩・レバー・脂を使ったテリーヌ。続いて、手打ちのガルガネッリ ウニ・トマト・菜の花のソース。そして、リゾット。タイ・エビ・カニ・ホタテ・スズキ・コチ・ホウボウのショウガ風味。
メーンは4品の中から1つを選ぶ。この日は、鯛の網焼き・イベリコ豚の網焼き・仔羊のロースト・和牛ホホ肉の赤ワイン煮がリストアップ。デザートは別構成で525円となっている。

画像の前菜は、タイ・車エビ・ホタテのテリーヌ、赤ピーマンのムース、イナダ(ブリの子ども)の薫製、豚のテリーヌ。海の幸を使ったテリーヌは、魚介類が材料にしてはリッチな味わい。ハーブにより爽やかさがプラスされている。赤ピーマンのムースは甘味がふんわり広がる一口だ。豚のテリーヌは、うって変わってパンチのある一品。脂身のコクの余韻も長く楽しめる。
驚いたのはイナダの薫製。塩だけの味付けとのことなのに、燻した香りが素晴らしく、とても豊かなテイストだ。同じく香りも旨味も強い乾燥トマトの薫製と合わせて食べると、また違った味わいを見せる。
この薫製と合わせてくれたシャンパンやワインに対し、オーナーシェフと交わす言葉もよいつまみとなるだろう。オーナーシェフはワインの達人だが「ワインの味は、飲む人が『おいしい』と思えば、それがすべて。堅苦しく構えなくて大丈夫ですよ」とのこと。リラックスして、気軽に席に座れる。

アモローソのキッチンは、ともすれば表通りからも調理の様子が見えるほど開放的なものになっている。オーナーシェフがひとりで調理をしている手元も広く見えるので、料理についてもいろいろと質問してみたい。
オーナーシェフはソムリエ、つまりサービス業務から調理業務に転じているだけに、客との対話をことさら大切にしている。きっと有意義で楽しい会話のひとときを楽しめるはずだ。
「手打ちのガルガネッリ ウニ・トマト・菜の花のソース」は、パスタからソースまでシェフが手がけた一皿。四角い形のパスタを巻いてペンネの型にしたガルガネッリは、もちもち感が身上。菜の花と一緒にゆでることで、麺に春の香りを付けられる。
これにウニの甘味とリッチさ、トマトの酸味、そしてペースト状にまで煮込んだ菜の花のほろ苦さが合わさって生まれる味は、こたえられないおいしさ。オーナーシェフの得意とする“味の方程式” だ。チョイスされた白ワインが加わることで、飲む人に想像以上の“正解”を見せることは間違いない。

「まずはワインの味を楽しんでほしいので」と、アモローソでは素材の味を重視。過剰に凝った味付けはしていない。メーン料理の1つ「仔羊のロースト」もそうだ。大ぶりの枝肉に、塩をふってあぶるだけ。これに、大きくてやわらかいアスパラガスの網焼きを添え、オレンジジュースとバルサミコ酢を合わせて煮詰めたソースをかけているのみだ。
この仔羊のローストに合わせてくれたワインは、イタリア・シチリア産のもの。ネロ・ダヴォーラという現地産のブドウ品種と、やわらかな口当たりのメルロー がフィフティー・フィフティーの割合でブレンドされている。一口含めば、芳醇な香りが鼻からフワッと抜ける。さすがの相性に、思わずうっとり。コースのク ライマックスにふさわしい味わいとなっている。

そしてアモローソでは、たとえば「魚料理では皮の香りを大切しています」との言葉どおり、サーブするときには食材の香りを重要視している。コショウにしても直前に挽き、食材全体にかからないように、皿のふちにかける。こうした細かな心づかいが、ワインのある時間をさらに豊かなものにしているわけだ。

オーナーシェフのモットーの1つは「仕込みは頑張るけど、調理中は頑張らない」。「営業時間中にこちらが厳しい姿勢を見せると、お客さままでが畏縮しちゃいますよね。作業場も雰囲気も完全にオープンな空間なので、できるだけ居心地よく感じていただけるように、営業時間中はできるだけ作業でも張り詰めないようにしています」と言う。そういえば、店名の「アモローソ」とは、音楽用語で「愛を持って」「かわいらしく」などの意。お客さまへの雰囲気づくりも、こうした“愛”に満ちあふれていることが感じられる。
「スペイン語の俗語では、少々セクシーな意味合いもあるんですよ」と、くったくなく笑うオーナーシェフ。その意味合いの謎を解くためにも、そしてワインと料理のマリアージュの妙を密かに学ぶためにも、ぜひまたアモローソに足を運んでみたい。

リストランテ アモローソ
所在地:東京都新宿区中町22-3 竹谷ビル1F
電話番号:03-5261-2550
営業時間:※ランチ木~日のみ。木・金曜11:30~14:00(L.O)、土・日曜12:00~14:00(L.O)、ディナー18:30~22:00(L.O)
定休日:火曜日
http://www18.ocn.ne.jp/~amoroso/11/





