群林堂

群林堂

講談社すぐ近くに小さな店を構える、昔ながらの和菓子舗「群林堂」は、午前中にここを通れば、ほぼ間違いなく行列に遭遇するという地元の人気店。音羽界隈で「最も有名なお店は?」と問われればまず第一に名の挙がる店でもある。この店が開業したのは1916(大正5)年のことだそうで、すでに1世紀近くもの年月を、和菓子一本で通してきた老舗である。

菓子の内容は四季折々で変わってゆくが、この日のショーケースには豆大福、豆餅、かのこ、桜餅、栗蒸し羊羹、赤飯が並んでいた。中でも名物となっているのは豆大福で、行列に並ぶお客さんのほぼ100%がこれを買って帰るという、東京の和菓子好きの間では知らぬ者は無いという逸品だ。

群林堂

創業当初からほとんど変わっていないという味を守るのは、店主の池田正一さん。父である初代から伝統の技を受け継ぎ、変わらぬ手間暇をかけて丹念に仕事に精を出している。広告もしない、支店も出さない、デパ地下への出店も地方発送もしない、と経営方針はきわめて堅実。

しかし口コミで噂が噂を呼び、今では地元音羽や小石川エリアの人々はもちろん、都内をはじめ埼玉や神奈川など、美味しい状態のまま持ち帰れる範囲に、広く常連さんを抱えている。

群林堂

豆大福を求める行列が続くのは、その日の製造が終わって間もなく売り切れる14時ごろとほぼ決まっている。毎日早朝から餅を作って餡を炊き、それをひたすらに手で包んでゆく。

手作業ゆえに「それ以上売れるとわかっていても、午後には売り切れ仕舞いにする」というのがこの店の流儀だ。欲張らず、手作りできる範囲でひとつひとつに魂を込める。この名物大福の美味しさの秘密は、まずそこにあるのだろう。

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