創立から受け継がれてきた教育環境を活かす「文京区立小日向台町小学校」

校長 小駒俊先生

文京区の中でもひときわ閑静な住宅街として知られる小日向。標高が高く、見晴らしのいい高台にあるのが、創立113年の歴史を誇る「文京区立小日向台町小学校」である。 昭和初期に建てられたという校舎は、階段室がガラス張りとなっている。当時としては瀟洒な建物であったと思われ、今でも趣ある雰囲気を残している。そこから見渡せる緑豊かな街並みや西に望む富士山の景色は、今までどれだけ多くの子どもたちの心を和ませてきたことだろう。今回は、2013(平成25)年度より校長を務める小駒俊先生にお話をうかがった。

まず最初に、「文京区立小日向台町小学校」の沿革についてお聞かせください

外観

本校は1904(明治37)年開校でして、2017(平成29)年で113周年を迎えます。昔、文京区は小石川区と本郷区の2つに分かれていたんですけれども、ここは小石川区で2番目に創設された小学校で、当初は「東京市立小石川第二尋常小学校」という名前でした。その後、1947(昭和22)年に現在の名前に改称したということです。

校舎については、1938(昭和13)年に建てられたものを、現在も使っております。第二次大戦中にはこの辺りでも空襲がありまして、木造だった体育館などは焼け落ちてしまいましたが、本校舎は鉄筋コンクリートの建物でしたので、ほとんど無傷で残ったそうです。

学校の沿革

東日本大震災後の診断でも補強工事が必要無いと診断されたくらい、古くても頑強な建物ですので、安心して通っていただけるかと思います。校舎や校庭も広々としていまして、文京区内で一番敷地が広い小学校でもあります。

余談ではありますが、ここ小日向台町小学校近辺は高台で、大きな道路も無い場所ですので、校内に文部科学省が設置している地震計があるんですよ。これは文京区では唯一ここだけに設置されているわけですが、車通りが少なく静かということと、地盤が安定しているともとれるかと思います。

現在の児童数について、また、近年の児童数の推移について教えてください

校舎内の様子

児童数は約380人です。近年は増加傾向にありますね。2017(平成29)年度の6年生は1クラスしか無いんですが、5年生以下は2クラス、そして1年生は3クラスになっておりまして、急激に児童数は増えています。 これは文京区全体に見られる傾向でして、やはり、新しくマンションにお住まいになる方も多いでしょうし、3世代で一緒に住むという、文京区出身の方も増えているのではないかと思います。

学校教育目標と、そこに込められた思いについてお聞かせください

校舎内の様子

学校の教育目標としては、「心豊かに たくましく生きる児童の育成」という言葉を掲げています。これはつまり、「知・徳・体」のバランスの良い発達を、子どもたちに願っているということですね。

とにかく、心豊かに、勉強もできて、身体が健康で、知・徳・体の3つが揃っているということだろうと思います。

教育目標の実現に向けて、「人・自然・文化との関わり」を重視した教育活動を行っているということですが、どのようなことをされていますか?

校舎内の様子

まず、“人との関わり”ということをとても大事に考えておりまして、一例としては、「しいの木班」ということで全校を縦割りで12の班に分けまして、みんなで遊んだり、集会をやったり、おまつり的なものをやったりと、異年齢の子ども同士が関わる機会を多く持つようにしています。6年生の子がリーダーとして活躍して、それを見習って、下の子が成長していきますので、毎年、6年生はとてもしっかりしていますね。

自然園

“自然との関わり”については、校舎の一角に「自然園」というものがありまして、ここを活用した教育活動に、積極的に取り組んでいます。ここには蛇もいますし、蛙もトカゲもいますし、もちろん昆虫も沢山いまして、1・2年生は生活科で、3年生以上は理科や総合学習で、有効に使わせて頂いております。また、隣接する「小日向台町幼稚園」も利用されています。

“文化との関わり”ということでは、地域の方をお招きしながら、地域の昔のことについて、たとえば縄文時代から人が住んでいた、などということを授業していただく機会もあります。クラブ活動においても、茶道クラブなどでは地域の方に関わっていただいています。ほかにもいろいろ、地域の方と手をたずさえながら、やらせていただいております。

地域との関わりが深いようですが、ほかにも地域との共催イベントや、協力関係などはあるのでしょうか?

校舎内の様子

たとえば、「地域防災体験」というイベントにも、小学生が沢山参加していますし、地域のデイケアサービス施設に子どもたちが行って、一緒に歌を歌ったり、遊んだりということも、授業の一環として行っています。毎週金曜日の朝には、PTAと地域の方による読み聞かせなどもありまして、これも非常に熱心にやっていただいていますね。

珍しいものでは、地域全体の幼稚園、保育園、小学校、中学校が集まって開催する合同の音楽祭があります。「ふれあいコンサート」といって、毎年3月に開催している大きなイベントです。

神社で行われる地域のお祭りについても、本校の校庭が例年「休息所」になっておりますので、校庭にお神輿が入ってきて、そこで職員と一緒に児童がお神輿を担いだりもしまして、地域の方との交流の機会も多いです。

地域に学校や大学が多く、文教エリアと言えるかと思いますが、この環境が子どもたちに及ぼす影響について、どんな印象をお持ちでしょうか?

校舎内の様子

確かに、周囲に大学や高校が多く集まっていますから、その影響はあるかと思います。本校でも、日本女子大の学生さんがボランティアで授業に入って下さるということがありますし、ほかの小学校でも、同じように大学と連携体制をもっています。文京区の公立小学校は、学力検査を行っても毎回高い水準を維持していますし、こういった部分は、文京区ならではかもしれませんね。

学校独自の、特色ある学習カリキュラムなどはありますか?

国民学校当時の校名

基本的には区内の小学校は同じことをやっていますが、本校独自ということですと、東京都の「言語能力向上拠点校」を2013年度から2年間受けたので、国語に限らず、すべての授業の中で、「言語活動を重視した教育を進める」ということを取り組んでいるところです。

校舎内の様子

具体的には、図書ボランティアさんも含めた読書活動の充実もそうですし、どの授業においても、「意見を発表し、意見を聞き、意見を相談する」といった、子どもたち同士の言葉のやりとりを重視して、授業を進めています。先生が一方的に喋って、子どもたちがそれを受け入れてという、教授的な授業ではなく、子どもたち自身がお互いに相談をして、授業を作っていくというものを目指しています。

それにともなって、具体的な数字こそありませんが、コミュニケーション能力も上がってきているという印象はありますし、新聞記者の方や、落語家さんなど外部からも講師を呼んで、実践を進めつつ、それを研究の中で進めているといった具合です。

校内の自慢の施設や設備について教えてください

校庭をのぞむ

校庭が自慢のひとつなんですが、これは中央部分は人工芝ですが、周辺部については天然芝になっているんですね。文京区内でも、敷地内の校庭に天然芝がある小学校は本校だけかと思います。校庭の横には現在プールがありますけれど、これも夏だけプールになるという形のものでして、普段は上にフタをして、人工芝を敷いて校庭の一部として使っていますので、夏以外の時期には校庭も広々と使えます。

校舎内の様子

校舎も先ほど冒頭で申し上げた通り、趣あるものですし、理科室などは建築当時の状態が良く残っていると思います。黒板や棚、実験用具なども、古いものですが、今も大切に使い続けています。

シンボルのしいの木

それから、「しいの木」が本校のシンボルになっていますが、実はこれは2代目しいの木なんです。初代の木として、樹齢1,200年と言われていた木があったんですが、これは戦争の時に、木造の室内運動場(体育館)と一緒に焼け落ちてしまったそうなんです。今は校舎の正面にしいの木がありますけれど、昔は体育館のところにありまして、記念の石碑も建てられています。

校長先生がお考えになる、小学校教育において最も大切なこととは何でしょうか?

プール

この時期は、「人格の形成」ということがまず大切でしょうね。人権意識を持っているとか、マナーを守るとか、道徳的な心情とか、優しさとか、思いやりとかですね。その次に来るのが、知的な部分かと思います。まずはそういった部分を重視して、教育を進めていきたいと思っております。

最後に、小日向の地域の魅力について教えてください

この地域はすごく魅力的だと思いますよ。まず、都心なのに非常に静かですし、朝などは、鳥の声がよく聞こえます。この辺りは高い建物も無いですし、落ち着いた環境です。

古い道や地形もよく残っておりまして、街のあちこちに風情のある坂道やたたずまいが見られますし、車通りも少ないので安全な地域かと思います。

小駒校長先生

今回、話を聞いた人

文京区立小日向台町小学校

校長 小駒 俊 先生

※2014(平成26)年8月実施の取材にもとづき、2017(平成29)年8月に加除修正を加えた内容です。 記載している情報については、今後変わる場合がございます。

創立から受け継がれてきた教育環境を活かす「文京区立小日向台町小学校」
所在地:東京都文京区小日向2-3-8 
電話番号:03-3947-2371
http://www.bunkyo-tky.ed.jp/kobidai-ps/

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