INTERVIEW:文京区立林町小学校 校長 小川深雪先生

1910(明治43)年に創立した「文京区立林町小学校」は、2015(平成27)年度で105周年を迎えた。日本で最も早く特別支援学校が設置され、ユニバーサルデザインの視点に立ち、さらにICTを活用した誰にでもわかりやすい授業に取り組んでいる。今回は、小川深雪校長先生に取り組みや、学校の魅力についてお話を伺った。

文京区立林町小学校
校長 小川深雪先生

子どもたちの目線に立ち、足並みを揃えて成長する「文京区立林町小学校」

1910(明治43)年創立と、歴史ある伝統校ですが、貴校の沿革について教えてください。

本校は何と言っても歴史が古いですね。1910(明治43)年に「東京市林町尋常小学校」として始まって、2015(平成27)年度で105周年になります。1920(大正9)年には促進学級が設置され、本校は日本で最も早く「ひまわり学級」と言う特別支援学級を設置した学校でもあります。

「インクルーシブ教育システム構築モデル事業校」について教えてください。

「特別に支援を必要とするお子さんの学びを充実させる」というところに本校の重大な使命があります。「インクルーシブ教育システム」というのは、支援と必要とするお子さんが、同じように学習ができるときには通常級に行って学び、交流を深めています。東京都でも文京区でも「交流及び共同学習ガイドライン」を作り、より多くの方に知って頂きたいと情報を発信しています。また、誰にでもわかりやすい授業をすることは、通常学級も特別支援学級の子どもたちに対しても同じことです。そういう面でも子どもたちと同じように教員も学ぶ場になっていると思います。

教員同士では、「人権教育とユニバーサルデザインの視点に立った学級経営と授業づくり」として、「教室環境」、「学習活動」、「板書」、「教師の話」と、それぞれどのようにしていくかを具体的に細かく決めています。

「教室環境」では興味関心が散ってしまうので、教室は常に整理整頓を心がけています。一人一人を大事にするということは作品を大事にするということなので、絵や習字などの掲示物には画用紙をつけて張り、画びょうは刺さないようにしています。

「学習活動」では机やいすの足が「ギー」と音が鳴ると学習の妨げになってしまうので、机といすの足の間にボールを挟んでいます。全部で3440個をPTAの会長さんが春休みに夜遅くまで残って、全部つけて下さいました。他にも、板書の文字は、一番後ろの子でも見えるように大きさを決めたり、また教員が子どもたちを注意する時も、話は短く、指示は一つに絞るなど、これらのことをみんなで実践しています。

「ICT機器の効果的活用モデル事業校」 について教えて下さい。

ICTはすごく効果があって視覚的に授業が分かるんですね。タブレットは30台あり、ひまわり学級が優先で使っています。ひまわり学級の子どもたちにとってエプロンのひもを後ろで結ぶのは難しいことです。鏡でも見にくい。それをタブレットのカメラで映し、テレビにつないで見ると、ひもがどのようになっているのかすぐにわかります。

アプリも入っているので計算もゲーム感覚でできますし、作文を書くときは間違えたところを消して紙がやぶけてしまうと、やる気を無くしてしまいますが、それをタブレットだと簡単に直せて、完成してから紙に写します。すると困難さや苦痛がなく、安心して写せます。学習も楽しみながら取り組むことができます。

ICTはタブレットだけではなく、テレビや実物投影機などもあるので、視覚的にわかりやすく、ユニバーサルの授業には欠かすことが出来ません。特別支援学級の子にとって必要な物は、通常級の子にとっても効果があります。よりわかりやすい授業のためにはICTの活用が効果的です。

土曜日には、「教科の授業地区公開講座」を実施されていますが、この講座の内容について具体的に教えてください。

公開授業は年に6回あり、保護者の方以外にも、町会長さんや幼稚園の先生など地域の皆さんが見に来られます。今度、「道徳地区公開講座」があるのですが、道徳の授業公開と水泳の元日本代表の森隆弘さんにお話して頂く予定です。他の教室も見ることができるので、保護者の方は、「わが子が5年になったらどんな授業になるのだろう。」と他学年を見に行かれる方もいます。

6月には、「東京フィルハーモニー交響楽団」、10月には「生け花(体験)教室」など、体験を通じた教育も印象的ですが、このような取り組みにどのようなねらいがあるのでしょうか。

学校教育の中で音楽に触れる、生け花を習うという取り組みは、教養的な部分で豊かな感性を育みたいというねらいがあります。生け花の講師の先生は、「生け花には、花の美しさをいつまでも残しておきたい、命を大事にするということが根本にあります。ただお客様に見て頂くだけでなく、心の部分での生け花なのです」とお話して下さいます。このような取り組みも参観日に設定し、保護者の方にも見に来て頂いています。

今後も、学校の担任だけではできない教育を、外部の教育力を取り組みたいなと思っています。日本の伝統文化を大事にしようと文科省からも方針が上げられています。囲碁教室、狂言教室、短歌教室、落語教室など子ども達が味わえる機会をぜひと思っています。

「林町小学区支援地域本部」として、地域の方々がボランティアとして教育の充実と活性化を図られていますが、実際、どのような活動をされているのでしょうか。

放課後に子どもたちが校内で安心して遊べるようにしようということで、「たいさん木の広場」というの行っています。以前は週2日でしたが、この4月から毎日遊べるようになりました。地域の方が5人くらいの態勢で遊びを見守ってくれたり、遊びのエスコートをしてくれています。のびのびと運動場で遊ぶ子もいれば、ランドセルをおいて宿題をしたり、勉強している子もいます。学童も3年生までなので、4年生になったらどこで遊んでいるのか心配もありますよね。そのような不安を払拭するためにも、このような取り組みは大切だと考えています。

学校支援地域本部は地域の人々で学校運営、授業支援を行うというものです。毎週金曜日に全クラスで本の読み聞かせをしてくださっています。PTAだけではなく、OBや地域の方にも呼びかけているので、地域皆さんの力で成り立っている取り組みです。60人くらいメンバー登録してくださっていて、お力は本当にありがたいです。

スクールガードという取り組みもあり、地域の皆さんが黄色いベストを着て地域に出て子どもたちを見守って下さっています。登下校の見守りや、不審者が出たとなると、買い物に行くときでもベストを着ていきます。地域に黄色いベストを着た人がいっぱいいると防止策になりますし、子どもたちも黄色いベストを着た人がいっぱいいると安心しますよね。

地域の皆さんが色々と手伝ってくださる、それが本校のひとつの特色だと思っております。

最後に、この街の魅力についても教えてください。

公園や図書館、「小石川植物園」もありますので緑が豊かで、子育てには最適な所だと思います。「六義園」も近いですしね。小学校、中学校が近くにあるのも良いです。隣が中学校、その前が保育園、「明化幼稚園」もあります。幼稚園の運動会は本校の体育館で開催していたり、中学校の吹奏楽部が連携してコンサートを開催したりもしています。このような連携もこの街の魅力ですね。

 

今回、お話を聞いた人

文京区立林町小学校
校長 小川深雪先生

INTERVIEW:文京区立林町小学校 校長 小川深雪先生
所在地:東京都文京区千石2-36-3 
電話番号:03-3946-0421
http://www.bunkyo-tky.ed.jp/hayashichou-..

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