ジュリアンベーカリー

ジュリアンベーカリー

亀戸駅北口側に、線路と並行して伸びている「亀戸中央通商店街」。午後から夕方にかけて最もにぎわう庶民的な雰囲気のこの街には、ひときわ洗練されたパンを並べている「ジュリアンベーカリー」がある。

名前の由来は、店主の小谷氏がかつてハワイで営んでいたベーカリーの屋号。小谷氏はその後ハワイの店は畳んで帰国し、パンとは関係のない多彩な仕事をしながら、国内外各地に飛び回る日々を過ごしたという。もともと亀戸出身の小谷氏であったが、ハワイや欧米のを何度も訪れて現地のパン文化に触れるうち、日本のパンが「本国の使い方とあまりにも違いすぎる」ことを痛感し、もどかしく思っていたという。

ジュリアンベーカリー

そこで50歳を機に再奮起し、かつての店の名を冠した小さなベーカリーを作った。「パン作りはとにかく手間がかかる。朝から晩まで寝る間を惜しんで仕事をしないといけないんです。だから『二度とパン屋はやるもんか』と思っていたんだけどね」と語る小谷氏。しかしその眼は嬉しそうに輝いている。パン作りが本当に好きな眼である。

ジュリアンベーカリー

そんなパン好きのパン作りには、異業種で培った経験とセンス、そして「遊び心」があふれている。ただクラシカルなナチュラルメイドの欧風パンを作るのではなく、亀戸の人々が「パンってこんなに美味しかったんだ」と気がついてくれるようなパン。

だが地元の今のニーズに妥協するのではなく、自身が本当に食べたいと思うものだけを焼く。そう考えながら、朝から黙々と焼き続ける渾身のパンは、昼時には棚一杯にギッシリと並び、どれも美味しそうなオーラと芳香を放つ。

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