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旬彩 梅もと

少々改まった気分で美食に舌鼓を打ちたいときや、あるいは大切な客が自宅を訪ねてきたときなど、落ち着いた雰囲気を持つ日本料理店を暮らしの中で利用する機会は意外に多い。
馬込周辺でそういう店を探すとき、地域の人々が思い付く候補の筆頭に挙がるのが、昭和49(1974)年創業の「旬彩 梅もと」だ。馬込駅より徒歩1分。アクセスも便利で、馬込以外に社屋を持つ企業の接待などにもよく使われているという。

大田区中馬込・西馬込の名店散策:旬彩 梅もと

しかしながら、梅もとには4つの座敷室しかない。収容人数については「全室にお客さまが入られたとしても20名様ほどでしょうか」と、女将さん。恐らく“来店客に完璧なまでの目配り・心配りをしたい”と考えた結果のことなのだろう。だからか、梅もとでは“行き届いたもてなしの心”を実感できる場面が多い。まず、部屋に通されてからお茶とおしぼりが出されるタイミングが素晴らしい。室内には素朴な草花が生けられ、気軽にくつろげるしつらえがなされている。この心得が生み出す料理は、いったいどのようなものなのだろう。予約しておいた弁当「花かご」の到着が、早くも楽しみになってくる。

大田区中馬込・西馬込の名店散策:旬彩 梅もと

おしぼりで手を拭き終わったころ、籠に盛られた「花かご」が運ばれてくる。「当然ではありますが、季節感を大切にした盛り付けを心がけています」と女将さんが胸を張るにふさわしい、5月下旬の初夏の膳だ。

大田区中馬込・西馬込の名店散策:旬彩 梅もと

「花かご」を覗いてみると、煮物・焼き物・揚げ物・お造りと、日本料理のコースで出てくる品々が一堂に集められている。色彩も赤・黄・緑と華やかで、その名にし負う“花”のような美しさに、思わずうっとり。
また、料理一つひとつへの手の込み方が半端でない。籠の中でパッと目を引くのは、マグロの刺身と山芋を交互に挟んだお造り。キュウリをかつら剥きにした器とのコントラストも絶妙だ。

大田区中馬込・西馬込の名店散策:旬彩 梅もと

その向こうに位置するグラス入りの品は、ごま豆腐にグリーンピースを加えた「ピース豆腐」。豆の爽やかな甘さと黒ゴマの香ばしさがよく調和している。ごま豆腐はダシがかけられていることが多いが、梅もとのごま豆腐はそれ自体に味が付いており、素材の味を堪能しやすい。豆腐の上を飾るトビッコのかすかな塩味も楽しい。
時計回りの順番で行くと、その隣は冬瓜の煮物。エビの味が利いた餡のかかった冬瓜は、噛まずとも崩れるような柔らかさ。餡も上品な薄味で、すべて味わいたくなるほどだ。添えられているのは、素揚げした泡麩を煮たもの。もっちりした触感は、小体ながらもしっかりとした存在感を出している。

大田区中馬込・西馬込の名店散策:旬彩 梅もと

次は「グレ」という魚の焼き物。あまり耳にしない名だが、関西でメジナのことをこう呼ぶのだそうだ。本日のグレは、関西の太公望がこぞって集う和歌山の海で捕れたもの。締まった身の中に、白身魚の淡白なおいしさが生きている。
その左隣には、赤絵が目に付く、蓋付きの陶器。開けると、酒盗が入っている。酒を進ませるために塩味がきつくなっている酒盗だが、梅もとの酒盗はそのまま一品料理としても通用する味わいだ。
本日は昼間の食事で、その後に予定も入っているので、酒類のメニューはもらわなかったが、この酒盗からして、梅もとでは酒類も良いものを置いていると思われる。この味付けなら、味そのものを楽しみたい繊細なタイプの日本酒にもぴったりと合うことだろう。

大田区中馬込・西馬込の名店散策:旬彩 梅もと

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