ブーランジュリー ラ・セゾン 本店

ラ・セゾンから明治神宮までは、徒歩5分弱。緑の敷地には、店のショップバッグのオレンジ色が美しく映えている。

BOULANGERIE LA SAISON

その中から、細い紙包みを取り出す。中に入っている「バゲット・ラ・セゾン」は、店名が冠されているあたりを見ると、いくつかあるこの店のバゲットの中でもスペシャリテなのだろう。フランス産の小麦粉を使い、長時間発酵させることで、素材のうまみが十分に引き出されていると、もっぱらの評判だ。

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クラスト(皮)のカリッとした香ばしいバゲット・ラ・セゾンは、店にいくつも並んでいたハード系のパンの中でもしっかり焼き込んである、食べごたえのあるもの。どのような料理ともよく合いそうなシンプルさがよい。

こうした正統派の食事パンの一方で、ラ・セゾンには、昔のパン屋で木枠のショーケースに並んでいるような、なつかしのアイテムも並んでいた。

ふっくら・つややかな姿の「クリームパン」もそのひとつ。1個120円という価格も古き良き時代を思わせるありがたいもので、子どもが硬貨を握りしめながら来店し、「クリームパン1つくださーい」と本日のおやつにする姿も見られるらしい。ときは平成、しかも都心に近いロケーションにあるハイセンスな店でありながら、このようなノスタルジックな光景が繰り広げられていることが、なんだかうれしい。

味のほうは、昔食べたクリームパンから進化を極めたような、洗練されたもの。自家製カスタードクリームの中には、黒いバニラビーンズが入っている。パン生地は、実にフカフカ。手にとっただけでも、その繊細さが感じられる。

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その証拠に、しばらくの時間を経て自宅に持ち帰ったときには、そのフカフカ感がやや失われてしまっていた。明治神宮の緑の中ですぐに食べるべきだったか……。

驚かされたのが、ラ・セゾンで人気ナンバーワンを誇るという「甘栗パン」。ミルク風味の生地に、天津甘栗のチップが入っている。栗を使ったパンそのものは、そう珍しいものではない。栗のグラッセがゴロンと載っていたり、栗の粉を生地に練り込み「カンパーニュマロン」などのいわゆる「田舎パン」として仕上げている例もある。

しかし、甘栗を使ったパンには初めて出合った。誰もが知るポピュラーな甘栗なのに、いままで考えたこともなかった使い方は賞賛モノだ。

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一口かじってみると、生地がほのかに甘く、甘栗の持つ甘みと絶妙にマッチしている。しかし、その甘さはあくまでもハード系のパンのもの。噛めば噛むほど素材の持つ甘みが広がるタイプだ。そのまま小さく切って食べてもよいし、スライスして軽く焼き、カリッとした皮の食感を楽しむのもよい。食事パンとして食べるのもよいだろう。

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