ミュージアム1999 ロアラブッシュ

渋谷区渋谷4丁目。「渋谷=若者」のイメージとはまったく趣が異なる、六本木通りと骨董通りに挟まれた高級邸宅街。この一角にある美しい洋館が「ミュージアム1999ロアラブッシュ」である。洋館の1階と2階がグランドメゾン「ロアラブッシュ」になっており、地下は少しカジュアルなビストロスタイルの店「ジャルダンデルテ」。2つの表情が楽しめる、“隠れ家”レストランとなっている。

店を訪れてまず驚くのは、その重厚な佇まいだろう。1934(昭和9)年建築のこの建物は、元々タバコ商として財を成した千葉家が、子息の婚礼にあたって新築し、贈ったものだという。当時流行っていたアール・デコの様式を随所に取り入れており、アーチを描いた車寄せや、獅子の噴水、円錐形の屋根、縦長の窓、互い違いに組まれた天然石の壁など、外観はほとんど当時のままが残されており、建築学的にも非常に貴重な建物だ。

館内に入ると、右手にはゴージャスな雰囲気の待合室があり、その奥にメインダイニングも見えるが、ふと左手を振り返れば、美しい螺旋階段が目に飛び込んでくる。歴史ある洋館ならではの、エレガントでクラシカルな螺旋階段だ。天井のシャンデリアの美しさに目を奪われるが、女性の腕のように細い手すりが、年月を経て艶やかに光るさまも美しい。この階段を上がった先には、趣向の異なる個室が幾つか備わっている。特別な席を持ちたい時には個室を利用するのがお薦めだ。

「ミュージアム」と標榜されている通り、館内はちょっとした美術館にもなっている。展示されているのは大半がロシアの巨匠・エルテの作品群。その展示数は世界でも随一ということで、これを目当に訪れるファンも多いという。エルテのファンならずとも、館内を一巡してみれば心を満たされることだろう。

歴史を感じさせる風格ある外観

ヒラスズキのポワレ、柚子胡椒風味のヴィネグレットと濃厚なトマトフォンデュ

エレガントでクラシカルな螺旋階段

総料理長 中嶋寿幸さん

シャンデリア

メインダイニングは中庭に面しており、ほかの場所と違い少しだけ新しい、洗練された雰囲気を持っている。聞けばここは元々中庭の一部だった場所を増床した部分ということ。これだけ広いスペースを取ってもまだ庭があるのだから、増床前のこの邸宅は、広い庭を持った非常に優雅な家だったと想像がつく。その時代の最も優雅な層の人々と、同じ景色を眺めながら食事を楽しめるのだから、これほどの贅沢な時間はない。

空間も素晴らしいが、料理ももちろん超一級のものだ。オーナーシェフである中嶋寿幸氏は、多くの有名レストランで修行し、料理長も務めてきた腕利きのシェフ。フランスの三ツ星レストランで修行した経験もある。そんなシェフが「オーナーシェフ」として責任を背負い、「すべてのお客様に最上級の満足を提供できるように」「この空間とのマリアージュが、忘れられない思い出として心に刻まれるように」と、一皿一皿に誠心誠意を込めて作ってくれている。

シェフの心意気は皿を見れば一目瞭然だ。美しく磨き抜かれた皿、シルバー、グラス。寸分の隙も無く盛り付けられた料理。古典的な技法を用いつつも、旬の食材をふんだんに使った料理はどれも「中嶋流」のオーラをたたえ、口に含めば鮮烈な印象を残してくれる。非日常の空間に入り、非日常のサービスを享受し、そして、シェフ渾身の一皿に舌鼓を打つ。これこそ、「ミュージアム1999ロアラブッシュ」ならではの楽しみだ。

なお、料理は昼夜ともに基本的にコース料理で、昼は5千円、夜は1万5千円からとなる。平日のみそれぞれ、少し安いハーフコースのプランも設定される。メニュー内容はシーズンごとに大きく変わり、ワンシーズンの中でも素材の仕入れ状況でマイナーチェンジを繰り返しているそうだ。基本的には「おまかせ」に近いスタイルだが、予約時に好みを伝えれば、しっかりと対応してくれるそうだ。秋冬にはジビエも楽しめるそうで、この時期を楽しみにしている常連も多いという。

旬の根菜とタスマニアサーモンのテリーヌ、タプナードのソースとクルスティヤン添え

ヒラスズキのポワレ、柚子胡椒風味のヴィネグレットと濃厚なトマトフォンデュ

ミュージアム1999 ロアラブッシュ

エルテの作品を楽しめる

ミュージアム1999 ロアラブッシュ

また、グランドメニュー以外にオプションサービスをセットしたプランも用意されている。バースデー用にケーキや花束をセットしたプラン、料理ごとにソムリエがグラスワインをチョイスしてくれるプラン、平日にサービス価格で個室を楽しめるプランなど、魅力的なプランが揃っているので、こちらも活用してみたい。

客層は幅広く、平日昼はビジネス関係やマダム層がメイン。夜はアニバーサリー用途が多く、休日には家族の記念日やお祝い等も多いそうだ。もちろんブライダルシーズンにはウエディングパーティーも頻繁に行われている。いろいろな場面で活用しやすい、「気軽に使える非日常空間」ということだろう。なお、レストランは5千円(昼)が最低ラインとなるが、地下のビストロは夜でも、5千円もあれば十分に満腹になれるということ。用途に合わせて“二つの顔”を使い分けるのもまた、賢い利用法だろう。

ミュージアム1999 ロアラブッシュ
所在地:東京都渋谷区渋谷4-2-9  
電話番号:03-3499-1999
営業時間:11:30~L.O.14:00、18:00~L.O.21:00
http://www.1999group.com/



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