茶寮 円(さりょう えん)

お店の紹介をする前に、北鎌倉という街の特性について、知っておいていただきたい。JR北鎌倉の駅を降りると、そこはもう円覚寺の境内。明示はされていないけれど、本来はしんとした空気が満ちているあたりだ。駅前の信号の向こうには、ごく普通に暮らしている人々の住まいが並ぶ。そう、ここはなりたくて観光地になったのではなく、近隣の寺院とのおつきあいで、観光客を受け入れている住宅地なのである。

「茶寮 円」はそういう北鎌倉にある、地元の人のための料理屋さん。場所こそ北鎌倉駅のすぐ隣り、踏切がカンカン鳴る音が絶えないが、小さな店内も選ばれた地味な器も禅宗特有の落ち着いた雰囲気をたたえている。

「観光客はとても多いですね。年明けの椿、水仙、梅、桃、桜から紫陽花まで。七、八月はさすがにちょっとお休みして、秋にはまた紅葉。ここの駅からずっと行列ができるくらいですよ」と、穏やかな笑顔で親方が語る。

店内の調理場は小さいが、信号の向こうにある広い厨房で仕込みがされる。そこでは茶道や華道の先生たちを集めた、お茶事の懐石料理の教室も開かれることがある。「円」の料理は東京の料理好きの女性たちにも知られているが、鎌倉の名刹の宗教者たちからも、集まりの際の料理として注文が来る。
「そういう出仕事に行っていることがおおございましてね、ランチでも予めご予約頂く方がお待たせしないと思います」

目の前には白鷺池が広がり、池を抱くように古木が繁る。青葉の4月5月は鎌倉彫の漆器の色まで若葉色に見せるほど、若い葉が元気いっぱい。

法事の集まりの料理、古希や喜寿の祝いの膳、寺への出仕事、など地元の人の暮らしに関係した予約が入ってくる。地元に密着した名店。鎌倉の日常生活の、上等なありようがうかがえる。

昼の懐石(11:30頃から14:00過ぎまで)は、梅3650円、桜5250円、椿8400円の3種類。他に穴子蒸し(1890円)、鰻茶漬け(1890円)なども。夜の懐石は紅葉5250円から。夜は必ず予約のこと。昼も前日までに予約するのが望ましい。

茶寮 円(さりょう えん)
所在地:神奈川県鎌倉市山ノ内501 
電話番号:0467-23-6232
定休日:月曜日
http://www.kitakamakura-en.com/



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