日影茶屋

それでは、いよいよ「日本料理 日影茶屋」の料理を見てみよう。

日影茶屋では、基本的に昼も夜もメニュー内容は変わらない。ただし旬の地元素材を中心に扱うため、1ヵ月ごとに食材や料理内容は大きく変わる。同じメニューを注文しても、訪れるたびに違う味を楽しめるということだ。

メニューは、椅子とテーブルでいただく小会席(茶屋膳)が5,250円、会席(葉山)が7,350円。このほか、個室では旬の食材を使った会席をいただくことができる。普通の食事であれば椅子席で、慶弔事や結納、見合いなどでは個室を利用する人が多いそうだ。このほか別途で奉仕料(サービス料)の10%が加算される。料亭ほど敷居は高くないものの、ある程度のフォーマルな装いが似合う店ではある。

今回、取材で用意していただいたのは昼限定の松花堂風弁当「日影弁当」である。

日影茶屋
日影茶屋

値段だけ聞くと少々ものおじしてしまう人も多いそうだが、運ばれた膳を目の前にすると、素材の風合いを活かした料理がたっぷり盛り込まれ、むしろ安いのではないかという気さえしてくる。和装で給仕してくれるスタッフも笑顔と心遣いにあふれており、食べる前から期待は高まるばかりだ。

日影茶屋
日影茶屋

料理長のお薦めは三浦近海で取れた刺身の盛り合わせ。この日はスズキ、アオリイカ、金目鯛の3品だったが十分な厚みでうまい。ミョウガや紫蘇の花で爽やかな季節感を表現し、添えられるのが生本ワサビという点も、細部まで妥協がなく好印象だ。

"日影茶屋
"日影茶屋

田楽は加茂茄子の中身をくり抜いて素揚げし、そこにクルマエビ、太刀魚、帆立を入れて田楽味噌で閉じたものだが、この味噌がまた抜群に美味。粒や粉の存在を感じさせない胡麻豆腐のような舌触りでありながら、味噌の良い香りと品のある甘味・うま味に満ちている。器ごと食べさせるという趣向も楽しく、腹持ちも良い一品だ。

日影茶屋
日影茶屋

煮物は夏野菜の揚げ浸し。カボチャやオクラなど旬を迎えた野菜をバランス良く配しており、ダシ主体の控えめな味付けが素材の持ち味を殺さず、三浦の夏が口中で弾けるようだ。最後に谷中生姜を口に含めば、揚げ油もすっきりとリセットされる。

日影茶屋
日影茶屋

焼き物の膳はとにかく多彩な品々が入っている。アマ唐辛子の射込み揚げ、ウナギ巻玉子などなど手の込んだ品は老舗料亭の心意気を感じさせる。西京漬や梅漬けの味加減も膳全体の食味を損ねないよう熟考されている。

日影茶屋
日影茶屋

このほか、鱧の吸い物や新生姜ご飯なども丁寧な仕事が感じられ、見た目にも味・香りにも季節を感じる品ばかり。どの品を一品料理としても遜色ないような弁当を、この値段で提供しているのは驚くべきことだろう。さらには、撮影の撤収をしたところで水菓子が登場。これを撮影できなかったのはご容赦いただきたい。とにかく味もボリュームも、非常に満足感の高い弁当だった。

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