生まれ育った街で、こだわりのフレンチを。 レザントレ コウジイガラシ オゥレギューム オーナーシェフ 五十嵐浩司さん

レザントレ コウジイガラシ オゥレギューム
オーナーシェフ 五十嵐浩司さん

生まれ育った街で、こだわりのフレンチを。

「六義園」を擁する緑に恵まれた駒込エリアは、要人たちの邸宅が集まっていたことから、今なお高級住宅地として認知されている人気地区。同時に昔ながらの商店街の風景や、人懐っこい下町の人々の温かさも感じることのできる場所でもある。そんな駒込に2013(平成25)年にオープンした「レザントレ コウジイガラシ オゥレギューム」は、旬の野菜とこだわりの食材で彩るフランス料理のお店。駒込で生まれ育ったというオーナーシェフの五十嵐浩司さんに駒込の魅力をたっぷりお聞きした。

さっそくですが、料理人という職業を志した理由をお教え下さい。

レザントレ コウジイガラシ オゥレギューム

両親が駒込で寿司屋を経営していましたので、手に職をつけたいという思いは若い時からありました。ただ寿司や和食の料理人ではなくフレンチに進んだのは、ちょっとした反抗心だったかもしれません。両親共々店に出ていたので食事は店屋物が多く、野菜は小さい頃から本当に苦手(笑)

なので、あえて野菜中心のフレンチレストランにした理由は、野菜ギライな自分への戒めです。どうすれば野菜を好きになれるのか、苦手意識を克服したいと、あえて野菜をテーマにしたお店に挑戦しました。でも野菜が苦手な人の気持ちが理解できるというのは、今の仕事には非常にプラスになっていると思っています。

駒込で開店されたきっかけはどういうものだったのでしょうか。

レザントレ コウジイガラシ オゥレギューム

きっかけは50年続いた父の寿司屋が閉店したことでした。それまでいた赤坂の店は開店から10年経ち、お客様にも認知していただき経営も安定した状態だったのですが、駒込という昔ながらの街並みと人が残ってる場所で、野菜にこだわったフレンチという店を開いてみたくなったんです。安定かチャレンジかの分かれ道に立つと、必ず大変な方を選択してしまう。これはもう性格ですね。

本当は親父の寿司屋の跡地に店を開ければよかったのですが、諸事情があり今の場所にオープンすることになりました。子どもたちも留守番できる年齢になりましたので、現在は夫婦二人で切り盛りしています。

赤坂と駒込では雰囲気が随分違うのではないでしょうか。

レザントレ コウジイガラシ オゥレギューム

駒込というと高級住宅街のイメージが強いと思いますが、この店がある商店街は下町の雰囲気が未だ残る場所。なので食事は気軽に入った店でサッと食べるという感覚が根強くて、最初は予約して店に来てもらうことも難しかったんです。お店の雰囲気はお客様と協力して作りあげるものだと思いますので、一緒に「食に対する意識」「食べ手の意識」をゆっくりと育てていきたいというのが私たちの思いです。

例えばウチの店はギッチリ詰めれば15名入りますが、通常10名程度までで、後からお客様がいらっしゃっても僭越ながらお断りしています。今ここで食事をされている方が、気持ちよく・美味しく・居心地よく過ごしていただくことを一番に考える。食事というのはただ「食べて、旨かった、ご馳走さん」というだけでは括れないプラスアルファの部分があります。それが食文化であり、それを成熟させることが私たちの使命であると思っています。

メニューやレシピを考える時、心がけていることはありますか?

レザントレ コウジイガラシ オゥレギューム

基本的に「絶対に手を抜かない」「ズルをしない」のが自分のポリシーです。 本来、食べ物は体を健康にするもの。化学調味料を使用せずワインもオーガニック、野菜も可能な限り低農薬のものを仕入れているのは、外食は体に悪いという考えを覆したいからです。体に良いものを摂ると、動物としての人間の体が、そして細胞の隅々までが喜びます。二日酔いで頭痛もおきませんし、肌の調子もよくなる。そんな「人間の営みに合わせた料理」「細胞が美味しいと思う料理」を提供したいとずっと考えています。

せっかく四季折々に旬があり、野菜の種類も豊富な日本に生まれたのですから、夏には体を冷ます作用のある野菜、春はデトックスの効果がある野菜、冬は体を温める根菜など、繊細な変化を楽しんでほしいですね。

繊細な野菜をテーマにしているということで、難しさを感じる部分はありますか?

レザントレ コウジイガラシ オゥレギューム

野菜は保存ができないので、すぐに使い切らなければいけないのが大変です。野菜の仕入れはその時々で一番美味しい野菜をお任せで届けてもらっています。初めて見る野菜が入っていることもありますが、新たな挑戦と思い、楽しみながら料理しています。あとは、シェフが自分独りなので、提供するメニューには限界があるということくらいでしょうか。

野菜は、噛んだ時にふわっと広がる香りや食感が命です。繊維をしっかりと噛み、唾液と一緒に咀嚼することがとても大切。紫の人参や紅芯大根など、八百屋やスーパーではあまり目にしない珍しい野菜も美味しい料理にしていますので、是非、野菜そのもの味や食感を味わってほしいですね。

自慢のメニューを教えてください。

アスパラのブリュレ、夏限定の焼きナスのアイスなど、ほかでは味わえない楽しいデザートは自慢ですね。そして一番楽しんでほしいのは盛り付け! 最後のフィニッシュである盛り付けは遊びの要素たっぷりで僕が大好きなところ。お出しした時のお客様の反応にワクワクしてます。

お医者さまや栄養士の方々とプロ向けの食育講座を開かれていると聞きました。

レザントレ コウジイガラシ オゥレギューム

食には病気を未然に防ぐ力があります。病気にならない体を作れるのであれば、病気を治す医者と同じくらい、「食」は重要な役割だと思うんです。なので、不健康なイメージが根強い外食産業の従事者の方々、つまりプロの料理人に対して医者と栄養士と一緒に食育講座やカンファレンスを開き、「意識を変えよう」と訴えています。今は店が忙しくてなかなかできていないのが実情ですが、将来的にも続けていきたいと思う活動です。

今後の展開や目標などを教えてください。

レザントレ コウジイガラシ オゥレギューム

今はコースを頼むお客様が多いんですが、将来的には全ての料理を前菜として提供したいですね。お客様が自分の食べたいメニューを、自分で組み立ててオーダーする。そんな習慣をこの店で持ってもらうのが目標です。店名のレザントレは“前菜”という意味で、多彩な表現が楽しめる前菜を主役にしたいという思いを込めています。ウチはワインの持ち込みもOKですし、もっと気軽にお店に来て、自由に楽しんでほしいと思います。

最後になりますが、駒込の街の魅力を教えてください。

六義園

どの駅前の風景も画一的で同じような雰囲気と言われていますよね。でも駒込は個性があって、そういう流れに飲み込まれない街。高級住宅街のイメージが強いかもしれませんが、下町の気さくで世話好きな部分も残っている、とても面白い街だと思っています。柔軟に、素直に新しいものを受け入れられる懐があるのも、駒込の良いところだと思いますね。

レザントレ コウジイガラシ オゥレギューム

今回、話を聞いた人

レザントレ コウジイガラシ オゥレギューム

オーナーシェフ 五十嵐浩司さん・美香さん

住所:東京都北区中里2-4-10
電話番号:03-6903-4421
URL:http://www.new-auxlegumes2013.com/

※記事内容は2013(平成25)年12月時点の情報です。

生まれ育った街で、こだわりのフレンチを。/レザントレ コウジイガラシ オゥレギューム オーナーシェフ 五十嵐浩司さん
所在地:東京都北区中里2-4-10 
電話番号:03-6903-4421
http://www.new-auxlegumes2013.com/