旬の食材と揚げたての美味しさ にこだわる「天ぷら すず航」/天ぷら すず航 店主 鈴木晴也さん


天ぷら すず航
店主 鈴木晴也さん

天ぷらすず航 店主 鈴木晴也さん インタビュー
天ぷらすず航 店主 鈴木晴也さん インタビュー

旬の食材と揚げたての美味しさ
にこだわる「天ぷら すず航」

茅場町の駅から八丁堀方面に徒歩3分ほど、通りから少し入った場所にひっそりと、小粋な江戸紫の暖簾を掲げている「すず航」は、目の前で揚げられるサクサクの天ぷらを、一品ごと、出来たてで味わえる天ぷら専門店。高級感がありながら、昼は千円台からで手軽に楽しめることから、地元の人はもとより、遠方から来るファンも数多いという。

円形のカウンターの中央で天ぷらを揚げるのは、和食一筋30年以上という店主の鈴木晴也さん。普段はフレンドリーな人柄だが、真面目でまっすぐな人柄からか、天ぷらを揚げている間は話しかけることも憚られるほどの、厳しい職人の眼差しに変わる。そんな店の空気を和ませているのが、いつも気さくで優しい女将さん。お二人の人柄に惹かれて、店を訪れる人も多いのだろう。 今回は店主の鈴木晴也さんに、お店の紹介と天ぷらへのこだわり、地元の魅力についてお話を聞いた。

なぜこの場所に、天ぷら専門店を開かれたのでしょうか?お店の歴史についてお聞かせください

天ぷらすず航 店主 鈴木晴也さん インタビュー
天ぷらすず航 店主 鈴木晴也さん インタビュー

私は和食の道に入ってから懐石料理をずっと、30年以上やっていたんですが、色々な料理がある中でも、「旬のものを揚げて出す」という、天ぷらのシンプルで奥深いところに魅了されました。そして、天ぷらの専門店を出そうと思い、老舗の天ぷら専門店に入って修行を積みました。

天ぷらすず航 店主 鈴木晴也さん インタビュー
天ぷらすず航 店主 鈴木晴也さん インタビュー

この店を始めたのは2005(平成17)年のことですね。実はこの場所が、もともと祖父が持っていた土地でして、私たちも昭和40年代からここに住むようになりまして、今もビルの一部が自宅になっています。

お店の場所は、実はそれまで別の方に貸していたんですけれど、ちょうど2005(平成17)年ごろに空きができまして、私としても「独立して店を持ちたい」と思っていた時期だったものですから、タイミングが合いまして、店を開くことになりました。

今まではどんなお店で修行をされたのでしょうか?

天ぷらすず航 店主 鈴木晴也さん インタビュー
天ぷらすず航 店主 鈴木晴也さん インタビュー

和食はそれこそ、いろいろな店で修行しました。主に割烹や料亭、会員制のお店といった、高級志向のお店でしたね。有名なところだと「なだ万」などでも修行しました。

最後に天ぷらを勉強させてもらったのは、丸ビルにある「天政」という店でして、今の天ぷらの揚げ方は、ここで教わったものが大きいですね。

「すず航」という屋号の意味についてお聞かせください

「すず航」店主・鈴木晴也さんインタビュー
「すず航」店主・鈴木晴也さんインタビュー

もともと、ひいおじいさんが銀座で婦人服の洋装店をやっていたんです。その時の店の名前がカタカナで「スズコー」だったんですが、うちは天ぷら屋ですから、和食っぽく、「鈴木」と「出航」という意味を込めて、「すず航」という名前にしました。

天ぷらについて、こだわりは色々とあるかと思いますが、特に力を入れている部分についてお聞かせください

天ぷらすず航 店主 鈴木晴也さん インタビュー
天ぷらすず航 店主 鈴木晴也さん インタビュー

うちでこだわっているのは、塩です。沖縄の塩に少し手を入れて、煎ってからお出ししているんですが、こうすることで塩辛さが抜けて、塩が持つ甘みが出るんです。もちろん、何でも塩で食べるようにお薦めするのではなくて、私が「どうしても塩で食べてほしい」と思ったものだけ、「塩がおすすめですよ」とお声がけをしておりますので、基本的にはお好みで、自由に召し上がってくださればと思います。

天ぷらすず航 店主 鈴木晴也さん インタビュー
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そのほかですと、「油の鮮度」にもこだわっていますね。特に昼間などは短時間に一気にお客さんが来ますから、どんどん油の力が抜けてきてしまいます。温めなおすということはできませんから、裏であらかじめ熱しておいた鍋を持ってきて、鍋ごと交換してしまいます。油の回収業者さんからは「まだ十分使えるのにもったいない」と言われるほど、鮮度にはこだわっています。

天ぷらすず航 店主 鈴木晴也さん インタビュー
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この油については、綿実油をベースにごま油をブレンドしていまして、揚げる素材ごとに少しずつ温度を変えて適切に調節しています。野菜は低めの温度で、魚の時にはちょっと火を強めて、といった具合ですね。鍋はひとつだけしかありませんから、火加減だけで温度をコントロールしています。

美味しい天ぷらを提供するためのコツは何でしょうか?

天ぷらすず航 店主 鈴木晴也さん インタビュー
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まず、揚げたてをお出しする、というのは美味しさのポイントのひとつですよね。普段はカウンターの方には必ず一品すつお出ししていますし、個室の方にも、できるだけ一品ずつ揚げたてのものをお出しするようにしています。これは価格がいくらであっても、お昼であっても変わりません。

天ぷらすず航 店主 鈴木晴也さん インタビュー
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天ぷらというのは、油の温度や揚げ時間で大きく出来上がりが変わりますし、素材と衣の硬さのバランスが合わないといけないので、本当に美味しいものを出したいと思うと、なかなか難しいところが多いんです。湿気が多くなる梅雨の時期は、本当に苦労しますね。そのぐらい繊細なものですから、揚げている間は少しも目を離せませんし、耳も澄ましていないといけないんです。

昼、夜とそれぞれ、どんなお客さんが利用されていますか?

天ぷらすず航 店主 鈴木晴也さん インタビュー
天ぷらすず航 店主 鈴木晴也さん インタビュー

やはりビジネスの街ですから、基本的にビジネスマンの方や、証券取引をされているご年配の方などが多いです。でも最近は若い方も増えていまして、最初は上司に連れられて来た若い方が、次の機会には友達を連れて来てくださったり、奥様や家族と一緒に来られるということも増えています。そういう風に、口コミでつながっていただいているのが嬉しいですね。

天ぷらすず航 店主 鈴木晴也さん インタビュー
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最近は若い方でもグルメな方も多いですから、週末などは、雑誌などを見ながらカップルでお見えになったり、女性の友達同士でお見えになったり、ということもあります。

おすすめのメニューは何でしょうか?

天ぷらすず航 店主 鈴木晴也さん インタビュー
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まずお昼については、1,420円からということでやっていまして、ビジネスランチで利用される方にはこのあたりが人気です。一番低価格のものでも手を抜くようなことはしていませんので、1品ずつ、丁寧に揚げてお出しするようにしていますので、最初はこちらからお試しいただくのが良いかもしれませんね。お昼はこの「ゆりコース」(1,420円+税)や、「すみれコース」(1,980円+税)あたりが人気です。

天ぷらすず航 店主 鈴木晴也さん インタビュー
天ぷらすず航 店主 鈴木晴也さん インタビュー

お昼はカウンターがフリー、お座敷が予約制ということでやっていますので、ぜひ、気軽にいらしていただければと思います。夜については、ビジネス関係の方、特に接待の方が多くなりまして、一番人気があるのは「つばきコース」(6,900円+税+サービス料)です。お食事も付いていますから、ちょうどいいボリューム感かと思いますし、皆さん、お酒も含めて1万円ちょっと位で召し上がっていく方が多いです。

天ぷらすず航 店主 鈴木晴也さん インタビュー
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夜についても、飛び込みで来ていただいても席があれば、もちろん対応させていただきますが、できれば電話を入れてから来ていただくのが有り難いですね。

ほかのお店では見られない、変わり種の天ぷらと、定番のものを教えて下さい。

天ぷらすず航 店主 鈴木晴也さん インタビュー
天ぷらすず航 店主 鈴木晴也さん インタビュー

うちはあまり、変化球のものは出していないです。時期折々の、旬の美味しい素材をお出しするというのが基本ですので。ただ、お客様から「珍しい」という声をいただくものとしては、うにのしそ巻き、牡蠣、夏場にお出ししている、とうもろこし、にがうり、枝豆、岩牡蠣などがありますね。年中お出ししている定番の品ですと、椎茸、アスパラ、エビなどが人気でしょうか。

天ぷらすず航 店主 鈴木晴也さん インタビュー
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椎茸については、新潟の特定の農家さんの原木栽培のものを仕入れていますから、とても肉厚で、好評をいただいています。椎茸って割と苦手なお客さんが多いんですけれど、「これなら大丈夫、美味しい」とおっしゃるお客さんが、けっこういらっしゃるんですね。アスパラについても、太くて柔らかいものを厳選して入れていますから、こちらも好評をいただいています。

お魚は、特に定番というものはありませんが、「この時期になったらこれを使おう」などといつも一生懸命考えていますから、その時々の、旬の美味しいものを召し上がっていただけるかと思います。すべて築地から入れていますから、鮮度には自信がありますよ。

最後に、八丁堀・茅場町エリアの魅力についてお聞かせください

天ぷらすず航 店主 鈴木晴也さん インタビュー
天ぷらすず航 店主 鈴木晴也さん インタビュー

私達ももう何十年もここに住んでいますけれど、何と言っても交通の便がすごくいいですね。治安もいいですし、住み始めた頃は、まだこの辺りには証券関係の会社ばかりしか無くて、土日の夜は閑散としていました。お店なども全然無かったんですけれど、今はいろいろなお店やコンビニなどできましたし、とても住みやすくなってきました。

日本橋や人形町も近いですから、買い物や散歩も楽しいですし、休日などは、夫婦で隅田川の川沿いの道を歩いたリしています。「高島屋」まで続く「さくら通り」もきれいですし、すぐ近くの「坂本公園」も気に入っています。オフィス街なんですけれども、けっこう「ほっ」とできる場所があって、暮らしていてもとても落ち着ける場所ですよ。

天ぷらすず航 店主 鈴木晴也さん インタビュー
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今回、話を聞いた人

天ぷら すず航(てんぷらすずこう)
店主 鈴木晴也さん

住所:東京都中央区日本橋茅場町2-1-14 スズコービル1F
電話:03-3666-3336
営業時間:11:00~13:30L.O.、18:00~22:00(20:30L.O.)
定休日:土・日曜日、祝日
URL: http://r.gnavi.co.jp/a640100/

※記事内容は2014(平成26)年5月時点の情報です。

旬の食材と揚げたての美味しさ にこだわる「天ぷら すず航」/天ぷら すず航 店主 鈴木晴也さん
所在地:東京都中央区日本橋茅場町2-1-14 スズコービル1F 
電話番号:03-3666-3336
http://r.gnavi.co.jp/a640100/