全国初の 「スーパー食育スクール(SSS)」事業を実践/杉並区立三谷小学校 山岸一良校長先生


杉並区立三谷小学校
山岸一良校長先生

全国初の
「スーパー食育スクール(SSS)」事業を実践

2014(平成26)年度に文部科学省の事業として初めて実施された「スーパー食育スクール(SSS)」。全国から選出された42校が各校ごとにテーマを設定し、“食育”を通じた学力向上、健康増進、地産地消の推進、食文化理解など“食育”の多角的な効果についての検証を行っています。東京都の公立小学校としては唯一「杉並区立三谷(さんや)小学校」が選ばれ、“食育”を通じた和食推進の取り組みを行っています。栄養教諭と切り拓いた“食育”による学校作りとはいったいどのようなものでしょうか。今回は、「スーパー食育スクール(SSS)」事業を実践している山岸校長先生に、取り組みの概要と「三谷小学校」の特色についてお話を伺いました。

まず、学校の沿革と特徴について教えてください。

杉並区立三谷小学校
杉並区立三谷小学校

「杉並区立三谷小学校」は、1956(昭和31)年の開校、長きにわたって地域に根ざした学校で、で、「コミュニティスクール」としての役割を担っています。「コミュニティスクール」とは、地域の意向を汲んだ学校運営が特徴で、保護者はもちろん地域の方々とも深い関わりがあります。

杉並区立三谷小学校
杉並区立三谷小学校

児童数は2014(平成26)年4月1日時点で18クラス488名が在籍し、上井草、今川と桃井地区の一部を通学区域としています。
学校の特色としては今回の「スーパー食育スクール(SSS)」事業のきっかけともなった栄養教諭がいることと、近隣には農地が残っているところもあり、自然や食を考える機会にも恵まれている環境だと思います。

また都立高校で唯一馬術部のある「東京都立農芸高等学校」が近くにあり、馬との触れ合いがあることも特徴のひとつに挙げられると思います。学園祭の後の振替え休日を利用して行われる交流イベントは、10年以上もの歴史があり、馬との触れ合いの中で命の大切さや生き物への愛着の気持ちを育む良い機会となっています。

新たな事業として始まった「スーパー食育スクール(SSS)」とはいったいどのような取り組みですか?

杉並区立三谷小学校 校長インタビュー
杉並区立三谷小学校 校長インタビュー

2014(平成26)年度に文部科学省の事業として初めて実施された事業で、当校のテーマとしては「学校、家庭での和食推進の取り組みを通した社会性の向上と生活リズムの改善」を掲げましたが、“食育”を通じた学力向上、健康増進、地産地消の推進、食文化理解など多角的な効果についても期待されています。

杉並区立三谷小学校
杉並区立三谷小学校

全国の小・中・高等学校から42校が選出され各校ごとにテーマを設定して取り組んでいますが、東京都の公立小学校としては唯一「三谷小学校」が指定され取り組んでいるという状況です。

全国初の取り組みに対して保護者や地域の方々の反応はどのようなものでしたか?

杉並区立三谷小学校
杉並区立三谷小学校

校長として赴任して4年目を迎えますが、「三谷小学校」では健康教育に力を入れ、「運動、食育、生活習慣」を柱に「生きる力」を育てる教育を行っています。
学力や体力の基礎、基本を付けるということで、保護者や地域の方からも続けてほしいという声が聞かれます。昨年度は、東京都で健康作り功労優秀校に、今年度は、学校保健で文部科学大臣表彰を受けました。

杉並区立三谷小学校
杉並区立三谷小学校

先ほども申し上げたように「三谷小学校」は「コミュニティスクール」としての役割を担っているため、「スーパー食育スクール(SSS)」事業を始めるにあたっても、保護者や地域の方々の“食育”に対する理解はすでにある程度浸透していたと感じています。

また2014(平成26)年には過去1年間にわたって取材いただいた栄養教諭と給食作りについてのドキュメンタリーがテレビで放映されたこともあって、学校の取り組みをご存知の方も多いかと思います。

「スーパー食育スクール(SSS)」事業での取り組みも含め、これまでどのような“食育”の取り組みがあったのでしょうか?

杉並区立三谷小学校
杉並区立三谷小学校

最近の取り組みとしては、年1回弁当の日を決め、弁当作りを給食指導の中で行い、2年目になります。11月末に「弁当の日」を設け、1年間の取り組みとして1年生や2年生はおにぎりが握れるように。3年生や4年生は、おにぎり、たまご料理などのおかず1品の弁当が作れるように。5年生や6年生は、買い物から片づけまでの弁当作りができるように、給食指導の中で行っています。
また、地域の方や企業の方の協力で、「だし・うま味の授業」「鮭の解体を通してのいのちの授業」など、食育を生活につながる「いのちの授業」としてもとらえています。

杉並区立三谷小学校 校長インタビュー
杉並区立三谷小学校 校長インタビュー

もちろんそこに至るまでは栄養教諭の力が必要でした。給食メニューに月一度の『おにぎり作り』を入れたり、3年生になると「たまご焼き教室」を開いて指導したり、日々の授業においても熱心な取り組みが行われています。

学校でうまくできなかった子どもほど、家に帰ってからも練習するようで、親との関わりもまた食育を通じて得られる貴重な機会だと思います。

杉並区立三谷小学校 校長インタビュー
杉並区立三谷小学校 校長インタビュー

また栄養教諭とずっと構想を練り上げていた「みそ汁」についての取り組みも「スーパー食育スクール(SSS)」事業の一環として実施することができました。12月の一週間を“みそ汁週間”に指定し、地方によって異なる赤だしや合わせみそなどさまざまなみそ汁を給食として提供し「どれが美味しいか?」をアンケートしました。

杉並区立三谷小学校
杉並区立三谷小学校

すると、“わが家のみそ汁が一番おいしい”という結論に至ったのはよくよく考えれば自然なことでもあり、非常に印象深いものでした。

そこで冬休みを利用して各家庭で自慢の「みそ汁」を募集したところ、総数231点もの応募がありました。今でも写真とともに給食室の前にパネル展示をしています。

杉並区立三谷小学校
杉並区立三谷小学校

「スーパー食育スクール(SSS)」事業では、ほかにも「いただきます」と手を合わせる和食の作法を通じて食への感謝の心を育む「和食器給食指導」や、交流のある山梨県忍野村で田植えや稲刈り体験を行ったり、夏野菜の収穫体験をしたり、座学から体験学習まで様々な取り組みを行いました。

文部科学省の事業として実施した「スーパー食育スクール(SSS)」は1年間の指定のため、この3月でいったん終了となりますが、今後も引き続き食育を通じた学校作りを進めていきたいと考えます。

杉並区立三谷小学校
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今回、お話を伺った人

杉並区立三谷小学校

山岸一良校長先生

住所:東京都杉並区上井草3-14-12
電話番号:03-3390-0164
http://www.suginami-school.ed.jp/sanyashou/

※2015(平成27)年2月実施の取材に基づいた内容です。 記載している情報については、今後変わる場合がございます。

全国初の 「スーパー食育スクール(SSS)」事業を実践/杉並区立三谷小学校 山岸一良校長先生
所在地:東京都杉並区上井草3-14-12 
電話番号:03-3390-0164
http://www.suginami-school.ed.jp/sanyash..