活気ある街づくりに一役担う取り組みとは/春日井市商店街連合会 会長 加藤敬さん


春日井市商店街連合会
会長 加藤敬さん

JR中央線開通により発展してきた数々の商店街
活気ある街づくりに一役担う取り組みとは

春日井市には現在14の商店街・商店会がある。その多くが、1900(明治33)年に開通した国有鉄道中央本線(現在のJR中央線)の沿線に誕生した街と共にできたものだ。一から商店街を作り上げ、現在も活気ある商店街であり続けるために、先進的な取り組みを次々と手掛ける「春日井市商店街連合会」の方々にお話を伺った。

まず最初に、「春日井市連合商店街」の歴史について教えてください。

三人集合写真
三人集合写真

2015(平成27)年6月現在で「春日井市連合商店街」には、14の商店街・商店会、約500店舗が加盟しています。1900(明治33)年に国有鉄道中央本線(現在のJR中央線)の名古屋から「多治見」駅間が開通したのと同時にまずは「勝川」駅が誕生しました。そういった経緯もあり、「勝川」駅前にある「勝川駅前商店街」「勝川駅東商店街」が春日井市ではいちばん古い商店街になります。

上から見た商店街
上から見た商店街

その後、1927年(昭和2)に「春日井」駅ができ、「鳥居松本通り商店街」や「春日井駅前商店街」はその辺りからますます大きくなりました。高蔵寺ニュータウンなどの開発も行われて人口が増えると共に、市内各地に商店街がたくさんできました。春日井市の商店街発展の原点は、JR中央線の開通と駅の開設といっても過言ではないかもしれません。

「春日井市商店街」や、春日井市エリアの魅力について教えてください。

御三方
御三方

春日井市は比較的新しく発展を遂げてきた街で、元々、核となるような地場産業がなかったということも影響しているのか、新しく商売を始めるにあたり、移って来られるが多い地域でもあります。商店街店主でも、昔からずっとこの街に住んでいたという人は2割くらいに留まっています。そういった土地柄なので、外から来る方に寛容で、その方たちと一緒になって「新しいものを生み出して行こう」という気質があるのがこの街の最大の魅力ですね。

春日井商店街連合会
春日井商店街連合会

また、「安心・安全」に力を入れて街を維持しようとしているのも特徴です。「勝川」駅、「勝川」駅東、いちょう並木、鳥居松、篠木の5つの商店街 では、コストを負担して道に街路灯を設置しています。「勝川」駅から「春日井商店街」も含めた篠木商店街までの4kmに渡っては、灯がついているので、安心できるインフラのひとつです。街路灯には放送用のスピーカーや防犯カメラも付けられていて、道行く人を見守っています。

春日井の商店街周辺には、小中高と学校も点在していますが、子どもたちとの交流はあるのでしょうか。

子供
子供

例えば、「鳥居松広小路商店街」には、「愛知県立春日井商業高等学校」の生徒さんが運営する「HAL-SHOP」というお店があります。春日井商工会議所と地元商店街で組織する「鳥居松まちづくり連絡協議会」が空き店舗を利用して作ったふれあいサロン「パレット」の中にできたお店で、高校生たちが作ったものなどを売って、不振の商店街を活性化させようと知恵を絞ってくれています。その他、小学校の生徒から絵画作品を集め、それを商店街の暖簾として飾ったり、子どもたちから集めた標語を商店街マップに載せたりもしています。

「春日井まちゼミ」では、色々なテーマで講座や、ワークショップを開催していますが、ゼミを始めるきっかけは何だったのでしょうか。

まちゼミ
まちゼミ

「春日井まちゼミ」というのは、お店の方が講師となって、専門店ならではの専門知識や情報を無料で教えるゼミナールです。年に2回ほど開催しているのですが、フォトスタジオの写真講座や金物屋の包丁研ぎ講座、ギフトショップのラッピング講座など、他では体験できないようなセミナーが盛りだくさんです。

まちゼミ看板
まちゼミ看板

大型店と違い、商店街のような個店は入りにくいイメージがあるかもしれません。それを払拭し、商店街に足を運んでもらうきっかけ作りをしようという思いから立ち上がったのが「春日井まちゼミ」です。

「春日井まちゼミ」を開催して、商店街や街の変化にどのような効果が見られましたか。

一人
一人

最初は、お客様を呼び込みにつなげるために始めた企画だったのですが、実際に開催してみると、主催者の店側にも大きなメリットがあることに気付きました。講座を開催すると、お客様と密な会話をすることができます。そこで、普段店頭でモノを売っているだけでは気づかなかったようなお客様の要望に気付くことができ、「それに応えるために、店作りを頑張ろう!」というモチベーションに繋がったと多くの店主が言っています。

キャラクターと女性
キャラクターと女性

改めて、商店街の良さは、お客様との密接なつながりを大事にし、細かな要望に応えられるところにあるということに気付かされることができ、主催者側も進むべき道筋が見えてきた気がしました。今後も精力的に開催していきたいと考えています。

「はっぴーサボテン商品券・建設券」はどういったものでしょうか。

はっぴーサボテン商品券
はっぴーサボテン商品券

「はっぴーサボテン商品券・建設券」は、地域通貨です。市内の店舗や大型店、工務店で利用できる商品券で、1冊(10,000円)購入すると、11,000円分の券が付いてきます。建設券の場合は、1セット50,000円で55,000円分。両方とも10%のプレミアムになります。「はっぴーサボテン商品券」は500円単位綴りで発行しています。食料品や、喫茶店など、日常的な場面でも使いやすいと特に主婦の方を中心に人気です。この通貨発行に取り組んで3年目になりますが、スタート以降、商店街の個店へ足を運んでいただけるケースが増えたので、効果もあったのではないかと感じています。

※「はっぴーサボテン商品券・建設券」は現在発行していません。今後の予定も未定です。

東海地方で初めて「アトム通貨」というものも導入されていますが、この通貨を導入されたきっかけは何でしょうか。

アトム通貨
アトム通貨

「アトム通貨」は早稲田・高田馬場で誕生した地域通貨で、「環境」「地域」「国際」「教育」といったキーワードに関連する社会貢献活動に参加する人たちに配布される通貨です。例えば、地域の清掃活動等に参加すると100馬力=100円の通貨がもらえる、といったように使います。約4年前、春日井市を始め、多くの自治体の街づくりに取り組んでいらっしゃる、元名古屋造形大学・学長の高北幸矢さんから「アトム通貨という取り組みがあるんだよ」と教えてもらったことをきっかけに、早稲田・高田馬場まで視察に行ってみました。「アトム通貨」をツールに地域コミュニティの再構築、商店街の活性化、ボランティアの推進に繋げている様子を見て、「これを春日井に取り入れたら面白そうだ」と思い、取り入れることを決めました。

お二方
お二方

今では、PTAを中心に行う廃品回収で参加してくれた子どもたちに100馬力を贈るなどして、活用しています。以前はペットボトルなどを配っていたのですが、「アトム通貨」にすると、受け取った子どもたちも、社会貢献に参加したという希少価値と、アトムが描かれたかわいいデザインの通貨を手にした喜びで、好きな買い物をしに行くことができるので、地域活性化により繋がっているのではないかと考えています。

これから春日井へ引越しを検討されている方に向けて、メッセージをお願いします。

商店会上からの図
商店会上からの図

現在でも、春日井にはマンション建設が進み、新しく引っ越していらっしゃる方が多くいらっしゃいます。そういった方たちに、「春日井の商店街って魅力がある!」と思い、利用してもらえるよう、「春日井市商店街連合会」で新規流入される方のニーズをヒアリングし、新たな取り組みをたくさん実践していきたいと考えています。名古屋市内に通勤・通学される方も、JR中央線に乗れば約20分で行くことができ、とても便利な場所だと思います。お買い物を楽しむ場所としても、名古屋の市街地にはない、春日井市の商店街ならではの魅力もたくさんあるので、ぜひここで楽しい生活を送ってもらいたいと思います。

三人集合写真
三人集合写真

今回、話を聞いた人

春日井市商店街連合会

春日井市商店街連合会 会長・加藤 敬さん(写真左)
春日井市商店街マネージャー・河村 洋二さん(写真右)
株式会社まちづくり勝川 代表取締役・水野 隆さん(写真中央)

春日井市商店街連合会
所在地:春日井市鳥居松町5-45 春日井商工会議所ビル5F
電話番号:0568-84-8848
URL:http://www.kasugai-shoren.org/

※この情報は2015(平成27)年6月時点のものです。