生徒の主体性を重んじる地域密着中学校

生徒達の主体性と自信を育み 地域と共に歩む「牛込第二中学校」/新宿区立牛込第二中学校 長田和義先生


新宿区立牛込第二中学校
校長 長田和義先生

生徒達の主体性と自信を育み
地域と共に歩む「牛込第二中学校」

東京メトロ東西線「早稲田」駅から南へ徒歩3分ほど、閑静な住宅地の真ん中にある「新宿区立牛込第二中学校」。この地で70年近くの歴史があり、隣接する早稲田小学校とともに近隣には2世代、3世代にわたって通う人々も多く、地域のシンボル的な存在として親しまれている。
今回は2014(平成26)年度から校長を務める、長田和義先生を訪ね、学校の特色や周辺地域との関わりについてお話を聞いた。

2014(平成26)年度で創立67年を迎えられたとのことですが、これまでの学校の歩みや概要について教えてください。

新宿区立牛込第二中学校 校長先生インタビュー
新宿区立牛込第二中学校 校長先生インタビュー

本校は、国民的文豪である夏目漱石ゆかりの地に建ち、創立から今日までの間、多くの保護者や地域の皆様に愛され、支えられてきた学校です。歴史の古い中学校で、長い伝統があり、緑豊かな落ち着いた雰囲気のある学校だと思っています。
2014(平成26)年度については、全校で8学級(1年生2学級、2・3年生各3学級)、生徒数248名でスタートしました。

新宿区立牛込第二中学校 校庭
新宿区立牛込第二中学校 校庭

学校経営の基本方針としましては、「生徒一人一人のよさや可能性を伸ばし、保護者、地域から信頼される、活力ある学校」を目指して、「心を育てる教育の推進」、「生徒一人一人のよさを生かす指導の充実」、「生徒の社会性の育成を図る教育の推進」、「地域とともに歩む学校づくり」といった目標をもって教育活動を進めています。

地域の親御さん方からなども人気の中学校だと聞いたのですが、どのような理由からだと思われますか?

新宿区立牛込第二中学校 校長先生インタビュー
新宿区立牛込第二中学校 校長先生インタビュー

多くの保護者の方に本校を評価していただいる理由としては、年に2回の「学校公開週間」をはじめ、「牛二中えんにち」などの地域との連携した取り組み、運動会、学芸発表会など、保護者や地域の方々に来ていただける機会を数多く設けています。その成果ということが一つ考えられます。
普段の学校の様子についても、積極的に学校ホームページや「学校だより」でお知らせするよう努めておりますので、そうしたことを通して、本校の様子をよく知り、生徒が落ち着いた態度で授業に取り組んでいる姿を見ていただくことで、安心していただいているのではないか、と思います。

もう一つの理由としては、二世代、三世代にわたって、保護者の方が本校の卒業生であることも多い地域ですので、これまでに本校が培ってきた信頼と安心感などが評価をいただけているのではないかと感じます。また生徒数は248名という規模の小さな学校ですので、全教職員で生徒一人一人を丁寧に見守ることができるということも、本校のアピールポイントであり、大規模校には無い魅力であると考えております。

長田校長先生が中学校教育において大切にされていることをお聞かせいただけますでしょうか。

新宿区立牛込第二中学校 廊下
新宿区立牛込第二中学校 廊下

中学校は、“義務教育最後の3年間”を担当する、という使命感をもって指導にあたることが何より重要であると考えています。 社会に出ると、自分一人で活動する、ということはほとんどありません。ほかの人達と協力して物事を進める場面が多々あるわけで、そこでは、個人の力や様々なスキルを、いかに多様な人々と協力して、目標の実現に向けて取り組めるか、ということが大事になってきます。つまり、「組織で力が発揮できる人間」が、これからの社会では、より求められると思っています。ですから、将来のために生徒が身に付けるべき資質とは何か、ということを常に考え、各教科や教育活動を通して、“人を育てる”ことが、中学校教育の役割であると考えています。

また、本校では、結果よりも「取り組んだ過程(プロセス)をしっかりと評価すること」と、「生徒の創意工夫や努力を認めること」を大切に考えており、教員の間でもそういった意識を共有しています。失敗しても良いから、失敗したことから学び、次の機会に活かす。生徒が困難を一つ一つ乗り越え、課題を克服していくことを通して、自信と自覚を深める。こういったことの繰り返しが、生徒たちの将来にとって大きな力になるものだと思っています。

学習面に関して工夫されている点や、特色のあるカリキュラムなどがあれば教えてください。

新宿区立牛込第二中学校
新宿区立牛込第二中学校

具体的な事例の一つとしては、「数学」の少人数指導などがあります。数学は全学年で習熟度別の少人数授業を行っており、1クラスを2展開、または2クラスを3展開、という具合で実施しています。
これによって、生徒たちは個々に分からないことが気軽に質問でき、理解に応じた課題に取り組める、といったメリットが生まれています。これは教員側としても、生徒ひとりひとりに対応した指導を行いやすいなどのメリットがありますので、積極的に活用して授業を進めています。

また、これは新宿区内の全中学校の共通部分ではありますが、全教室にプロジェクター、実物投影機、パソコンが設置されているという点も、素晴らしい点かと思います。教材を大きく写したり、動画を見ながら理解を深めたりと、教科指導で有効に活用しています。
「英語」の授業では、ALT(外国語指導助手)とデジタル教科書を活用して、生徒の発話を増やす授業展開を進めているのが特徴となっています。ALTは区が委託し、派遣された職員が1名、ほぼ毎日来て、英語授業に入っていただいています。

高校進学受験に対する施策などもありましたら、お聞かせいただけますでしょうか。

受験に特化した取り組みについては特に講じておりませんが、普段の放課後の時間を使った「補充教室」や、夏休みの補習については積極的に行っており、基礎・基本の学力定着に向けた環境づくりを進めています。「補充教室」は国語、数学、英語の3教科で、週に3日実施しています。また、夏休みの補習については任意参加で、(先取りをするのではなく)授業で理解できない部分を解消することを目的にしています。
ほかには、「漢字検定」や「英語検定」を校内で実施しておりまして、例年、多くの生徒が受検しています。

部活動について、特に活発な部などがあればご紹介ください。

新宿区立牛込第二中学校 トロフィー
新宿区立牛込第二中学校 トロフィー

部活動の種類は決して多いとは言えませんが、校庭、体育館等をうまく活用しながら、各部活とも、一生懸命に活動してくれていると思います。具体的な部活名としては、運動部はバレーボール、バドミントン、バスケットボール、サッカー、テニス、野球、水泳・陸上トレーニング部があり、文化部は、吹奏楽部、美術部、数“楽”部、英語部があります。

新宿区立牛込第二中学校 校長先生インタビュー
新宿区立牛込第二中学校 校長先生インタビュー

大会などの成績では、本年度は新宿区の春の大会でバレーボール部が優勝しました。バドミントン部は区大会準優勝、野球部は区大会第3位になりました。その他、吹奏楽部は都大会で銀賞を取り、地域のお祭りである「早稲田地球感謝祭」に出演するなど、積極的に活動してくれています。部活の加入率については、9割近くの生徒が参加しています。

生徒会活動も活発だとうかがいましたが、どのようなことを行っているのでしょうか。
また、活動を通して生徒たちの意識にどのような変化が見られましたか?

新宿区立牛込第二中学校 掃除
新宿区立牛込第二中学校 掃除

生徒会活動については、生徒会役員を中心に、意欲的に活動してくれています。朝の挨拶運動をはじめとして、夏には、雨水で学校周辺に打ち水を行う「打ち水大作戦」というものや、毎学期に生徒会と多くの生徒たちで学校の周辺を清掃する「ゴミゼロデー」という活動などを行っています。

新宿区立牛込第二中学校 作品展
新宿区立牛込第二中学校 作品展

実はつい先日も、生徒会の役員選挙が行われたばかりなのですが、全校生徒の生徒会への関心はとても高いです。立候補する生徒も“もっと学校を良くしたい”という思いを立会演説会でしっかりと伝え、この選挙を通して、生徒たちは生徒会活動の大切さを認識していました。
自分たちの代表として選んだ役員の呼びかけにしっかりと応えようと思うからこそ、多くの生徒たちが生徒会主催の活動について積極的に参加してくれているのだと思います。
もちろん生徒会役員以外の各委員会活動についても、それぞれの役割を責任をもって熱心に取り組んでくれています。

学校行事、校外活動などはどのようなものがありますでしょうか。

新宿区立牛込第二中学校 席書会
新宿区立牛込第二中学校 席書会

比較的大きな学校行事としては、6月の運動会、10月の学芸発表会というものがあります。どちらも生徒が主体となって取り組み、大変盛り上がります。ま た、生徒たちはこうした行事の中で、最後まで責任をもってやり遂げることや、他者と協力して物事を進めることの大切さなどを学んでいます。またユニークなところですと、毎年1月に学年ごと体育館に集まって書き初めをする、「席書会」を行います。本校の伝統行事のひとつです。

新宿区立牛込第二中学校 校長先生インタビュー
新宿区立牛込第二中学校 校長先生インタビュー

このほか、学校図書館には、この地域と縁が深い夏目漱石のコーナーを設け、蔵書にも力を入れており、夏目漱石関連の「読書感想文コンクール」を実施しています。こちらは本校では以前から実施し良き伝統となっています。
通学区については、「新宿区立早稲田小学校」、「新宿区立鶴巻小学校」の2つの小学校が中心となっていますが、それ以外にも、区内のどこからも通って来られますので、区内の他の小学校からも通っている生徒もおります。

新宿区立牛込第二中学校 校外学習
新宿区立牛込第二中学校 校外学習

校外活動については、区の施設がある長野県の女神湖に1年生、2年生と連続で移動教室(校外学習)に行っております。1年生は毎年春に行き、自然観察をしたり、陶芸の絵付けの体験などをします。2年生は毎年冬に、スキー教室に行くのが恒例です。また3年生は修学旅行で京都・奈良に行きます。寺社を見学するだけではなく、学習目的を明確にし、伝統文化に触れる体験活動も多く取り入れています。

そのほか、2年生のときには、キャリア教育の一環として「職場体験」も行っています。これは地域の事業所の方々にお願いをして、丸々3日間、地域のお店や企業などに入って、仕事を体験するというものです。スーパーマーケットやカフェなどの販売の仕事をはじめとして、幼稚園、清掃事務所、図書館、郵便局、仕事支援センター、教育委員会、警察署、ホテル、銀行、動物病院、大学生協など、幅広い仕事を体験することができますので、生徒にとっては将来を考える良い機会になっているのではないかと思います。

夏休みに開催する「牛二中えんにち」は、地域の方々も参加できる大きなイベントだそうですね。

新宿区立牛込第二中学校 えんにち
新宿区立牛込第二中学校 えんにち

はい。「牛二中えんにち」は夏休みの最終日曜日に行っているもので、2014(平成26)年度で9回目を迎えました。「早稲田青少年育成委員会」が中心となって、中学生の社会参加事業としてスタートしたもので“中学生を中心に地域交流を図る”ということを目的にしています。地域の方々に頑張っている本校の生徒の姿を見ていただき、生徒たちにも自分が地域の一員であることを再確認してもらう、ということをねらいとしています。

この企画立案については、生徒たちが企画段階から実施までの全てに携わっております。2014(平成26)年度はかき氷、ポップコーン、ソース煎餅などの提供があったり、ヨーヨー釣り、棒キャッチ、ペットボトルを使ったボウリング、ボードゲームなどのコーナーが作られまして、沢山の地域の子どもたちや、親子連れで賑わいました。なお企画の内容は、毎年変わります。

早稲田青少年育成会が主催するイベントには、このほか7月のカレー作り、3月の「もちもちの会(餅つき)」などもありまして、こういった企画を通して、本校生徒と地域との交流を推進していただいています。

新宿区立牛込第二中学校 校庭
新宿区立牛込第二中学校 校庭

また、音楽活動を通して牛込地域の子どもの健全な育成を目指す団体として活動している、「早稲田ミュージックラボ」(青少年吹奏楽団)という団体があります。こちらが本校の音楽室を活動場所としておりますので、本校の生徒も参加しています。こちらでも、定期演奏会やイベントでの演奏などを通じて、音楽を通した地域との交流を進めています。

また、どこの学校でも行っていますが、夜間には地域の方々に向けて体育館開放を行っておりまして、沢山の方にご利用いただいています。

生徒たちの学校での様子について、長田校長先生の印象を教えてください。

明るくて素直で、穏やかな性格の生徒が多いと思います。授業中のペアワークやグループ協議、給食時間などの様子を見ていますと、男女分け隔てなく、誰とでも活動できる生徒が多いと感じます。

生徒会活動の地域清掃ボランティアなどについても、多くの生徒たちが参加してくれていますし、みんなで協力して物事を進めようとする生徒が多いです。また、運動会などの学校行事に主体的に関わり、リーダーシップを発揮してくれる生徒の姿が見られ、時折頼もしさも感じます。

最後に、この地域エリアの魅力はどのようなところでしょうか。

弁天町レポート
弁天町レポート

「早稲田」駅周辺には古書店や飲食店が沢山ありますし、近隣の大学の学生たちの姿も多く見られ、活気がある街だと感じています。弁天町・早稲田周辺エリア全体については、緑が多く、落ち着いた雰囲気がありますし、文化の香りもあると思います。地域の方々には地元をとても愛している方が多くいらっしゃいますし、人間味があふれる街であることが魅力だと感じています。

※記事内容は2014(平成26)年10月時点の情報です。

今回、話を聞いた人

新宿区立牛込第二中学校 校長先生
新宿区立牛込第二中学校 校長先生

新宿区立牛込第二中学校 校長 長田和義先生

住所:東京都新宿区喜久井町20
電話番号:03-3205-9671

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※記事内容は2014(平成26)年10月時点の情報です。

生徒達の主体性と自信を育み 地域と共に歩む「牛込第二中学校」/新宿区立牛込第二中学校 長田和義先生
所在地:東京都新宿区喜久井町20 
電話番号:03-3205-9671
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