スペシャルインタビュー

お鷹の道でくつろぐオーガニックカフェ、史跡の駅「おたカフェ」/運営 高浜洋平さん


街の魅力を再発見させてくれる機能を担う史跡の駅「おたカフェ」。「国分寺」駅周辺とは大きく異なる閑静な雰囲気は、駅から徒歩圏内であることに驚くほどだ。「おたカフェ」のオープンから7年経った2016(平成28)年、新たに「めぐるみ Labo&Café」も誕生している。積極的に活動する「おたカフェ」の運営にたずさわる高浜洋平さんに、国分寺エリアの歴史と魅力について伺ってきた。

街づくりへの関心がきっかけ

史跡の駅「おたカフェ」を運営する高浜さん
史跡の駅「おたカフェ」を運営する高浜さん

――「おたカフェ」とはどのようなカフェなのでしょうか?

2009(平成21)年10月にオープンしました。国分寺エリアに興味を持ってくださる方や、実際に生活されている方などが交流できる場として営業を開始したんです。喫茶をやりつつも、「おたかの道湧水園」のチケット販売、誰もが利用できる休憩スポットや周辺の観光案内としての役割も担っています。

――オープンさせるまでの経緯というのは?

東京経済大学で開催された「まちづくりフォーラム」に参加して、「国分寺」駅北口の街づくりに携わっている福士先生の話を聞いたことが大きかったですね。以前から“街づくり”に関心はあったものの、まさか興味が高じて今の状況になるとは、当時の私には想像できないことでした(笑)。

福士先生と街づくりや街の活性化について話したことを縁に、国分寺市役所に別の場所を対象とした街づくりの提案書を持っていくと、むしろ「お鷹の道」を盛り上げてほしい、となったんです。その後2年間、この場所で毎週日曜日に「おもてなし屋台」というのを福士ゼミと開き、エリアの活性化を図りました。そうした背景から、「お鷹の道」の空き家を活用して、東京経済大学・国分寺市地域連携協議会を母体とする「おたカフェ」はオープンしたのです。

「おたカフェ」の内装
「おたカフェ」の内装

新たな活動でも人と地域を繋ぐ

――「おたカフェ」の活動についても聞かせてください。

国分寺エリアには、300年近い歴史のある“国分寺野菜”があります。全国的な知名度は低いですが、とても美味しい野菜と、それを生産する農家を紹介したくて、2010(平成22)年に「隣人まつり」という食に関するイベントを開催しました。

国分寺野菜に力を入れるようになった理由としては、 お世話になっている地元の農家さんとの会話で興味や感謝の気持ちを覚えたり、一時的に野菜や果実が地域内で過剰になり、悩み相談をいただいたことから始まりました。 引き取り手がなくて困っていた野菜を「おたカフェ」でジャムとピクルスにしたところ、反響が大きく想像していた以上に人気が出ました。活動の甲斐あって2013(平成25)年には、国分寺市によって「国分寺ブランド」の認定もいただきました。2016(平成28)年には国分寺野菜をおいしく食べてびんづめ化していく工房カフェを新たに設けようということから、「国分寺」駅北口に「めぐるみ Labo&Café」をオープンしたんです。その後周辺の飲食店にも国分寺の野菜を促す活動を続けており、少しずつですが、国分寺野菜を使用してくれる飲食店が増えてきたのは、本当にありがたいですね。

人気の国分寺野菜を使ったピクルス
人気の国分寺野菜を使ったピクルス

――2013(平成25)年から始まった「国分寺テーブルズ」について聞かせてください。

産直市場は全国どこにでもありますが、実際に生産者と会って話ができたり、お客さん同士が交流できる産直市場は少ないと感じていました。農作物を購入するだけでは消費者の滞在時間も10分程度。消費者と生産者がコミュニケーションを図るためには、市場での滞在時間を増やすことが必要と考え、産直市場に“食事ができる”イートインや何かワークショップや鑑賞できるカルチャー機能を持たせようと「国分寺テーブルズ」というマーケットを開いたんです。2016(平成28)年5月の開催時には、落語や音楽会なども企画しましたよ。

――「おたカフェ」を利用されるのは、どのような方が多いですか?

半数は地元の方、もう半数は国分寺に観光で来られている方ですね。じつは国分寺に住んでいても「お鷹の道」や「真姿の池湧水群」を知らない方は意外に多くて。雑誌やフリーペーパーを見て、自分たちが住んでいる街の一面を知り、このような場所があったのか!と驚かれる方も多いくらいです。新旧文化の融合という意味でも、まずは「おたカフェ」に気軽に来ていただけると嬉しいですね。

利用者の心休まる店内
利用者の心休まる店内

変わる街と変わらない人々

――「国分寺」駅前の再開発で、さらに利便性は高まりそうです。

再開発が進められているのは「国分寺」駅北口が中心ですが、反対側の南口も新しい住宅の建設が進んでいます。住む方も増えますし、それに伴い新しいお店もオープンしていくと思いますから、これからの変化が楽しみですね。

新旧の国分寺を知れる「おたカフェ」
新旧の国分寺を知れる「おたカフェ」

――最後に国分寺エリアの街としての魅力や、好きなところを聞かせてください。

生活していて感じるのは、長い長い歴史を背景にこの街の魅力が構成されているということです。それは、住めば住むほどに強く感じますね。代々受け継がれ、現在は13代目、14代目の当主といった方も多く住まわれています。先祖から伝え聞いた歴史を、自分のことのようにお話しする様子を見るたびに、地元・国分寺への想い入れが伝わってきます。そうした歴史がある街ならではの古くから続く人々の想いと、「国分寺」駅北口に代表される新しい発展という”コントラスト”が魅力ではないかと思います。

史跡の駅 おたカフェ
史跡の駅 おたカフェ

おたカフェ

運営 高浜洋平さん
所在地 :東京都国分寺市西元町1-13-6
TEL:042-312-2878
URL:http://www.ota-cafe.com/
※この情報は2016(平成28)年8月時点のものです。

お鷹の道でくつろぐオーガニックカフェ、史跡の駅「おたカフェ」/運営 高浜洋平さん
所在地:東京都国分寺市西元町1-13-6 
電話番号:042-312-2878
営業時間:9:00~17:00
定休日:月曜日(祝日の場合は翌日)
http://www.ota-cafe.com/