地域密着のスローフードで、 食の素晴らしさを伝えたい れすとらん さいとう 齊藤良治さん

れすとらん さいとう
店主 齊藤良治さん

“地域密着のスローフードで、
食の楽しさ・素晴らしさを伝えたい。”
菊名のカジュアルフレンチ「れすとらん さいとう」。

「菊名」駅から徒歩5分。お箸で気軽に食べられるカジュアルフレンチ「れすとらん さいとう」。地産地消にこだわり、横浜育ちの野菜と三浦半島の漁港で仕入れた魚介類等を、日本の調味料を使ってフレンチに仕上げている。手間をかけることを厭わずパンやアイスクリームまで手作りというこだわりよう。今回はシェフの齊藤良治さんにお話を伺った。

まず、「れすとらん さいとう」のテーマやコンセプトをお聞かせいただけますでしょうか。

「れすとらん さいとう」 店主インタビュー

「れすとらん さいとう」は、2005(平成17)年5月にオープンして、2015(平成27)年で10周年を迎えます。
私の料理は、日本で生まれ育ち培ってきた味覚を存分に活かし、醤油や味噌、麹、ごま油などを使用しています。日本の気候風土の中で育った食材を使って調理し、お客様に召し上がっていただくわけですから、日本の調味料を使うのが一番しっくりくると考えているのです。いわば“和のフレンチ”といったものです。

そうしたコンセプトもあり、店名は敢えてひらがなで「れすとらん」としました。また、お客様には、肩肘を張らずにお箸でも気軽に召し上がっていただきたいので、カジュアルさもテーマにしています。値段も手ごろに設定しておりますので、どなたでも気軽ににご来店いただければと思います。

「食の大切さ、素晴らしさに」に魅せられ今に至ったと伺いましたが、お店をオープンするまでの経緯を教えていただけますでしょうか。

「れすとらん さいとう」 店主インタビュー

私は元々、出版社で働いていました。毎日ハードで、デスクワークをしながらおにぎりを頬張る、というような生活から、ストレスで体を壊してしまいました。
そこが運命の分かれ道で、体が治ったら味覚がものすごく鋭敏になってしまったのです。自然の物は美味しく感じるのですが、添加物が入っているものは、苦く感じて、普段はわからない味までキャッチできるようになってしまいました。

例えば、飴を食べても、最後まで食べることができなくて捨ててしまったり…。そんな時に、父のやっている家庭菜園で朝獲りのキュウリを食べたら、“何だこの美味しさは!なぜこんな美味しいんだろう!”と、驚きました。「食べる」とは、こういうことなのかと目からウロコが落ちました。

れすとらん さいとう 齊藤さん インタビュー

自然の恵みを美味しく食べることはとても大事なことなんだと気づき、それまで趣味でやっていた料理に本格的に力を入れ始めました。それから間もなく脱サラをし、料理の専門学校に入り、基礎を修得した時点で学校も辞めて、以前からいいなと思っていたお店でパティシエとして働き始めました。その後、独立をしてこの店を開きました。

なぜフレンチを選ばれたのでしょうか。

れすとらん さいとう

洋食をやりたかったからです。気軽に利用できるビストロのようなものをやれたらいいなと昔から思っていました。
その点で、フレンチは技法的にも応用が効くと言われているので、フレンチを選びました。例えば、美味しい出汁も取れるので、ラーメン屋もできるじゃないですか(笑)。仕込みに手間をかけて出すというフレンチのスタイルが、僕は好きなんです。

この菊名の街にお店を開かれたのはなぜなのでしょう。

「れすとらん さいとう」 店主インタビュー

私は菊名が地元なんです。この辺りにはこういう雰囲気のお店があまりないので、ちょうどいいと思いました。また、何の実績もないところからのスタートだったので、まず知り合いがいるところで始めたかったということもあります。

「スローフードな料理」をテーマにされていますが、
齊藤さんの考える“スローフード”とは、どのようなものなのでしょうか。

れすとらん さいとう 齊藤さん インタビュー

昔からある「身土不二(しんどふじ)」という、その土地でその季節にとれたものを食べるのが健康に良い、という考え方です。その土地に暮らしている人は、その土地の恵みを受けて、食するわけで、それが本来の姿だと思うのです。今は流通が発達しているので、北は北海道、南は沖縄まで各地の食材も多く入ってきますが、人間はそこの土地で生き、そこの水を飲んでいるので、そこの水で作られた野菜を食べた方が、体にしっくりくるのではないでしょうか。今でいう「地産地消」ですね。それが私が考える“スローフード”です。

「れすとらん さいとう」 店主インタビュー

野菜は生き物なので、ストレスを感じるんですよ。ぎゅうぎゅう詰めの箱で運ばれて来たら、美味しくなくなってしまいます。そう考えると、今までそこの畑でなっていた物を食べた方が美味しいし、同じ水で生きているわけなので、体にもすっと入ります。感覚でしかないのですけれど、それが人間の本来の姿だと思いますね。

齊藤さんが料理に使用している、地場の食材へのこだわりやその魅力などを教えてください。

れすとらん さいとう 齊藤さん インタビュー

野菜は地元の契約農家のものを中心に、魚介類は三浦半島の漁港で仕入れた魚介類等を使っています。

意外と知られていないのですが、実は横浜市は農業が盛んで、各地に農業専用地区というものがあります。横浜市も農業をサポートしているので、市の8%くらい(※)が農地なんです。そうした土壌もありますから、うちの野菜は100%地元の契約農家の方と直売所から仕入れています。

野菜は人が作るので、その人柄が表れるんです。農薬がたくさん使われた野菜よりは、なるべく農薬を使わずに作られた野菜を使いたいですね。その方がきっと野菜本来の味を感じられますし、安心してお客様に提供できます。農家の方と話すと、どうやって作っているのかも教えてくれます。それだったら安心して使えるなって。僕も農家の方たちに頑張ってもらいたいので、お互い助け合いながらやっていけたらいいなと思います。

れすとらん さいとう 齊藤さん スズキ

魚介類については、三浦半島の漁港から仕入れた魚介類を配送してくれる業者があり、週に2回届けてくれます。朝電話が入って、「今日はこういうのがあるんですが、どうですか?」という感じでやり取りをしています。メニューは魚のカルパッチョとか、魚のポワレとだけ書いていて、魚の種類は水揚げ次第。その日に届いた新鮮な魚で作ります。

れすとらん さいとう 齊藤さん インタビュー

農産物を作る人がいて、私が料理をして、お客様に食べてもらう。それぞれ気持ちがこもっているんですよ。農家の方が野菜に込めた気持ちもあるし、僕が料理に気持ちを込めてお客様に出す。生産者の顔を見て料理を作るのと、市場から流れてきた野菜を使うのとじゃ違うと思います。

 

作った方がどういう人かも知っているし、今年はちょっと苦労しちゃったんだよ、というような話も聞いていれば、その想いはお皿に盛りこめる。いろんな想いが詰まっている訳で、それをキャッチボールと言うか、伝え合うのが地産地消だと思います。

※参考
2015(平成27)年1月横浜市環境創造局作成「横濱都市農業推進プラン」資料より
http://www.city.yokohama.lg.jp/kankyo/nousan/images/nougyoplanall.pdf

食材だけでなく、料理を作ることに対するこだわりについても聞かせてください。

れすとらん さいとう 齊藤さん 厨房

やっぱり「手作り」ですね。想いを料理を通してお客様に伝えたい、料理で会話ができればいい、という気持ちがあるので、手作りにこだわっています。パンも焼いていますし、アイスクリームも作っています。手間暇は掛かりますが、うちじゃないと食べられない料理を出したい。僕が体を壊して味覚が戻った時に感じた、あの食の素晴らしさを伝えたいのです。

美味しいだけじゃなく、驚きや味の組み合わせがプラスされると、さらに喜んでもらえるかな、と思ってメニューを考えています。例えば、「牛フィレ肉のステーキ」。リンゴとじゃがいもとキウイとビーツを使用して作っているのですが、リンゴはバターで炒めて塩をふります。

キウイは甘いソース。塩の効いた牛肉とリンゴとキウイのソースを一緒に食べると美味しいんですよ。ビーツは甜菜(テンサイ)とも呼ばれていて、甘いソースなのですが、お肉の付け合わせには通常はあまり使われません。そうした普段に無い味の組み合わせを、面白く食べてもらいたいです。

れすとらん さいとう 齊藤さん インタビュー

あとは見た目にもこだわっています。見た目が綺麗でないと、美味しそうには見えません。だからといって、高級フレンチみたいに凝った盛付けをしているということではないんです。例えば、今メニューで出している7種類の大根を使った魚料理。ビタミン大根の緑、紅くるり大根の鮮やかな赤い色、味いちばん紫の紫色、黒長大根は周りは黒く中は白、赤峰大根は縁取りが赤い、聖護院大根の白、三浦大根はみぞれおろしソース。

決して複雑ではないですが、いろんな色を組み合わせたりして、綺麗に仕上げています。

料理教室や食育のイベントなども開催されているようですが、そうした活動にはどのような想いがあるのでしょうか。

「れすとらん さいとう」 店主インタビュー

きっかけは、地元の小学校の栄養士さんに話を聞きに行った時のことです。そしたら、最近の子は魚が三枚に下した状態で泳いでいると思っていたとか、カットされた野菜しか見たことが無くて、原型を知らないと聞いて、これはいけない、と思いました。自分にやれることはやらなきゃいけないな、と。

 

毎年夏休みには食育料理教室をやっています。学校だけじゃなく、区役所などからも味覚の授業をやってほしいなど、様々な依頼があります。子どもって、味覚が一番鋭敏な時期なんです。舌にある、味を感じる味雷(みらい)の数は、小学校高学年がピークで、あとは減っていきます。ですので、いろいろな味を伝えるには小学生がベストだと思っています。

「れすとらん さいとう」 店主インタビュー

その時期にしっかりとした味覚を体感させること。僕の場合は「生で食べなさい」ということを伝えます。例えば茄子。朝獲りの茄子は、甘くて、みんな驚きます。
いろいろな味があって、その味が重なり合って食べ物はできているんだよ、という話をしてあげることで、今後彼らの好き嫌いが無くなればいいですし、そこで味の体験をしているか否かで、その子の将来は全然違うと思います。実際にそこまでするのは難しいのですが、本当は自分で種を植えて、自分で育てた野菜で料理教室ができたらいいですね。

その他に最近では、地元の中学生の職業体験の受け入れなども行っていますよ。

お店にはどのようなお客様が来られますか?

れすとらん さいとう 齊藤さん インタビュー

老若男女問わず幅広くいらっしゃいます。地元のリピーターの方が多いですね。平日の昼は女性が多いですが、お一人様も来られます。夜は企業の方の接待や、女子会など。土日は家族連れや記念日などいろんな方が来られますね。幼いお子様もご来店できますので、テーブルにベビーカー横付けで、という方もいますよ。

れすとらん さいとう 齊藤さん インタビュー

お客様に、この店の料理は3拍子揃っているね、と言われたことがあります。「美味しい」「ヘルシー」「翌日残らない」。僕はソースに油脂を入れません。フレンチは、最後にバターを入れて乳化させたりして重くなりがちなのですが、僕はそれが嫌で、野菜のソースも、野菜と水と塩だけで作るので軽いんです。ご高齢の方にも安心して召し上がっていただけます。

齊藤さんの今後の目標や、展望を聞かせていただけますでしょうか。

「れすとらん さいとう」 店主インタビュー

今はレストランだけですが、加工品なども作りたいと考えています。農家の方とお付き合いをしていると、大きさや形状によって「B級品」、「C級品」といった、行き場のない農産物が出てきます。捨てるにはもったいなので、加工品で何とかできれば農家の方も喜ぶし、うちで出している物を販売したらお客様にも喜んでもらえるだろうと思うのです。あとは、うちはパンとデザートも美味しいので、販売していきたいですね。総合的な「食」を、皆さんに提供していけたらいいと思います。

最後に、地元である菊名の街の魅力について教えてください。

れすとらん さいとう 齊藤さん

生活に必要な物は大体何でも揃っています。「新横浜」駅からは新幹線にも乗れますし、交通アクセスも便利です。落ち着いた雰囲気で、住みやすい街だと思いますよ。

「れすとらん さいとう」 店主インタビュー

今回、話を聞いた人

れすとらん さいとう

店主 齊藤良治さん

れすとらん さいとう
所在地:神奈川県横浜市港北区菊名6-13-41 ラピス菊名 1F
電話番号:045-434-1761
URL:http://www.restaurantsaito.com/

※記事内容は2015(平成27)年2月時点の情報です。

地域密着のスローフードで、 食の素晴らしさを伝えたい/れすとらん さいとう 齊藤良治さん
所在地:神奈川県横浜市港北区菊名6-13-41 ラピス菊名 1F
電話番号:045-434-1761
営業時間:11:30~14:30、18:00~22:00
定休日:月曜日
http://www.restaurantsaito.com/