“本気で子どもたちに寄り添う教育”を 卒業生も在校生も温かく見守る 豊中市立第九中学校 高橋孝子校長先生

豊中市立第九中学校
高橋孝子校長先生

“本気で子どもたちに寄り添う教育”を
卒業生も在校生も温かく見守る「豊中市立第九中学校」

「日本万博博覧会」が開催された年に開校した「豊中市立第九中学校」は、豊中市のなかでも3番目に大きい学校だ。四季折々の変化を楽しむことができる自然豊かな環境で育まれる子どもたち。「子どもたちに寄り添うことが、保護者の方にも寄り添うこと」そう話してくれたのは、「第九中学校」に就任して5年目の高橋孝子校長先生。学校での取り組み、また学校と連携している周辺地域の魅力についても伺った。

中学校の沿革・概要を教えてください。

豊中市立第九中学校 校門

「日本万国博覧会」が開催された1970(昭和45)年に、千里ニュータウンの中の学校として開校しました。校区は「新千里南町」、「新千里西町」、「千里ニュータウン」には属さなかったのですが、その町内にある4校の小学校卒業生が全員、本校にまいります。1年生7クラス、2年生7クラス、3年生が8クラス、それに支援学級が7クラスの29学級、870名が在籍し、学校運営に関わるものは約70名です。豊中市では3番目に大きな学校で、敷地面積でいうと豊中市内で2番目に大きい中学校になります。校内には竹林もある非常に緑豊かな学校です。

生徒数は増加しているのでしょうか。

豊中市立第九中学校 教室

この周辺地域は、もともとは公団住宅でした。校区の上新田に残っていた竹林が売却され、マンションが建ちましたし、新千里西町の方でも団地が建て替えられてマンションが建つなど、マンションが建つことで生徒数が増えていきます。また、転入生が多いという特徴もあります。

中学校の教育目標を教えてもらえますか。

豊中市立第九中学校 教育目標

人間として人権を尊重することがすべての基本になります。自ら考え、判断し、行動できる、表現できる生徒の育成ですね。心豊かにたくましく生きる生徒の育成、この目標はずっと変わることなく全ての考え方の基本になっています。やはり心が豊かでなければいけません。「第九中学校」は街中の学校ですので、“たくましさ”という面も強く育てたい部分だと思っています。

学校行事ではさまざまな取組みをされているようですね。

豊中市立第九中学校 看板

豊中市の事業のなかに「オンリーワンを誇れる生徒の育成支援事業」というものがあります。3年計画で行われるものですが、本校として目指しているのは体験を柱としたものです。それは、体験がなかなか出来ていないのが実情としてあるからです。農村にある学校ですと、外で働く姿を見て、お手伝いをするということはあるのでしょうが、この地域の生徒はなかなかそういった体験をする機会がありませんので、体験することを柱とし、心を育て、生きる力を培うキャリア教育を掲げています。キャリア教育というのは、職業だけの教育ではなく、社会人になるための教育です。キャンプや校外学習、国際交流などを通じ、生きる力を養っていくものになります。

国際交流について詳しく教えてください。

豊中市立第九中学校 サンマテオからの贈り物

豊中市がアメリカのサンマテオ市と姉妹都市提携を結んでおります。その関係からサンマテオ市にある「Borel Middle School」という中学校と姉妹校になっています。昨年私はBorel校にうかがいましたが、この4月にはBorel校の校長先生や教育長さんが来られました。先日からはライブでテレビ会議を始めています。1回目は試運転ということでBorel校の校長先生と私が話をして、2回目は本校の英語の先生と、Borel校の外国語の先生がお話をしました。

豊中市立第九中学校 高橋校長先生インタビュー

次に、音楽交流をしようと考えています。こちらのブラスバンド部は大阪府大会にも出場していますので、Borel校の吹奏楽部と交流をしようという取組みです。さらに、互いの生徒会で環境問題について話をしようなど、1週間から10日に1回ずつくらいの割合で定期的にライブ会議をしていくつもりです。国際交流を実体験することは、国際的な感覚を養うことにつながると思います。

職場体験とはどのようなものでしょうか。

豊中市立第九中学校 高橋校長先生インタビュー

職場体験はどこの学校もしているとは思いますが、実際の体験の前には、「職業とはどういうものか」「社会で生きるとはどういうことか」をしっかりと学習したうえで体験に臨みます。体験が終わってからも、御礼状も書きますし、「自分たちはこんな体験をしてきました」という校内の発表会を開きプレゼンを行います。キャリア教育とは、心を育て、生きる力を培うためのものです。なので、ひとつの行事に合わせて、前置きやまとめが必ずあるんですね。

周辺の学校と共同で行っている取組みはありますか。

豊中市立第九中学校 掲示板

高校に行って授業を受けるとか、高校の先生に来ていただき中学生が授業を受けるとか、さまざまな取組みがあります。小学校と中学校が連携し、中学校と高校が連携する。中学の3年間だけで子どもは育つものではありません。長いスパンで考えることがとても大切だと考えています。

豊中市立第九中学校 クリーンアップ作戦

それと、クリーンアップ大作戦というものを年に1回実施しています。本校に入学する4つの校区の小学校、そして本校の生徒、地域の方々、幼稚園や保育所の子どもたちとみんなで町を掃除する活動です。また、保育所、幼稚園、小学校、中学校の先生で、夏休みに合同で1日研修会を行っています。全員で120名くらいになるのですが、「地域の子どもは地域でずっと育ててゆく」という考えを共通理解しています。研修会の議題は毎回変わるのですが、今年の場合は、「切れ目のない支援」をテーマに行いました。支援学級に在籍していなくても、いろんな意味で支援が必要な子どもさんもいらっしゃいます。その子たちに対して切れ目なく支援するにはどうすれば良いのかを皆で考えました。そして、いまは登校支援を必要とする子どもたちが増えています。それに対してどういうことが出来るのか、そういったことを専門家の先生にお聞きしました。
こういう研修会をしているのは豊中市の中学校でもそう多くはありません。先生同士が顔見知りになることは、保護者の方や地域との関わりにおいて、とても意味のあることだと思います。ここには、4つの校区が分割せずすべて本校に来るという特徴がありますから、そういうことがやりやすい環境があるとも言えますね。

地域との関わり合いについて教えてください。

豊中市立第九中学校 高橋校長先生インタビュー

クリーンアップ大作戦などもそうなのですが、昨年からは地域の方々が「千里新成人の集い」を開催してくださいました。いま豊中市には成人する子どもたちを一度に全員収容するための施設がありません。ですから行きたい人だけが参加する申し込み制になっているんですね。そういう背景もあって、地域で「千里新成人の集い」を開催してくれたのです。千里に住む人すべてが対象になるのですが、出席したのは全て本校の出身者で、その年成人を迎えた卒業生の75%、約4分の3が母校へ戻ってきてくれました(笑)。

同窓会の活動にも力を入れておられるようですね。

豊中市立第九中学校 同窓会 サイン

同窓会活動が停滞している学校は多いと思います。当校でも長く総会が開かれていない状況がありました。ただ、同窓会長さんは必ず中学校の卒業式に参加し、同窓会からの花束を渡してくださっていました。そこで4年ほど前に同窓会を活発にしようという動きがありました。幸いなことに、当校の同窓会には、卒業生の全員が入っています。ですから同窓生が1万3312人いることになります。これも珍しいことですね。卒業生が校舎を見学したいと言えば、セキュリティー面をしっかり確認し、迎え入れています。歌手の矢井田瞳さんも当校の卒業生なんですが、テレビ番組の収録で来られたこともあります。働いている卒業生たちは、「帰れるところがある」と思って活動ができるのではないでしょうか。同窓会を続ける目的というのは、いつ来ても温かく迎えられる学校でありたいということなんです。「第九中学校の同窓生です」と堂々と言えるということは、母校に誇りを持ってくれているということです。

豊中市立第九中学校 ひこうき雲

私たちは、生徒たちがその気持ちを抱いた状態で卒業させることもひとつの使命だと思っています。支援学級の活動のひとつに『サークルひこうきぐも』があります。支援学級の考え方は、今は法律が変わり「みんな一緒にやろう」となりましたが、豊中市は30年以上前から、支援学級の生徒もみんなと同じ授業を受けているのです。そのなかで、『サークルひこうきぐも』が生まれました。今年で22年目になりますが、それだけ繋がっている学校は珍しいと思います。年末に、保護者の方や現役の生徒、先生が集まってたこ焼きパーティーを開催するのですが、その業務用のたこ焼き器はずっと借りていました。それは、もったいないと同窓会がたこ焼き器を買ってくれました。いろいろな方々がいろいろな想いを持ち、つながっていることが、同窓会を長く続けられる大きな理由だと思いますね。

ユニークなホームページを開設されていますが、どのような趣旨を込められているのでしょうか

ホームページ委員会を設けて、先生方それぞれが原稿を集めて写真も撮影しています。その中心になっているのが教頭先生になります。
(ここで栗林聡明教頭を交えてお話を伺った)

豊中市立第九中学校 教頭

栗林教頭
情報発信の媒体として、「学校は今、こういうことを行っている」と最新の情報を伝えることができます。プリントで学校便りや学年便りでも伝えていますが、写真も白黒で見にくかったり、子どもたちが机の引き出しにしまったままということもあります。ホームページは保護者の方が見たいと思ったときにいつでも見ることができ、地域の方にも見て頂けるメリットがあります。ホームページに特色ある取り組みを載せると、アクセス件数もグッと伸び、アクセス数が1000を越えることもありますね。先生方には「面白い授業するなら教えて」と伝えています。そして、授業や行事を見に行って、その日のうちにエッセンスを吸いあげて情報発信するようにしています。

豊中市立第九中学校 HP

高橋校長
見えることは大事なこと。参観やオープンスクールなどで保護者の方に学校へ来てくださる機会は作ってはいますが、なかなか中学生になると「来なくて良い」と親に言うことがありますから…(笑)。ホームページだと取り組んでいることの細部を紹介できますし、先生方も記事を書くことで自分が取り組んだことを振り返ることもできます。学習面を細かくきちんと伝える機会は、少ないですし、授業の深い部分、意図などは発信しにくいこともありました。先生方は生徒の学力が向上できるように工夫してくださっています。

第九中学校に通われている生徒の雰囲気はいかがですか。

豊中市立第九中学校 表彰

とても落ち着いていると思います。生徒870人と先生方を入れると、体育館では900人以上になりますが、私が壇上に立ったとき、みんな顔を上げて話を聞き、私語をする生徒は一人もいないんです。それを50分間続けることができる。これはすごい集中力かなと思いますね。全校朝礼の場合、私は10分を限度に話をしますが、結構な数の表彰もありますし、各委員会からの連絡、生徒指導の先生からの諸注意などがあっても、誰も騒ぐことがない(笑)。授業規律も守られていますね。学習に対する意識もすごく高い。私が本校に来て5年目になるのですが、その状態が続いていますね。

先生方の姿勢について教えてください。

豊中市立第九中学校 教員バレーボール

先生方と一緒に決めた方針に「本気で子供に寄り添う」というものがあります。どれだけ子どもに寄り添えるかが教師力だと思っています。子どもが理解できる授業をすることもそうですし、子どもたちの毎日の変化をいち早く察知する感性も必要です。子どもに寄り添うことは、保護者に寄り添うことでもあります。いろんな家庭から子どもは通って来ていますから、ときには寄り添いきれないことも出てまいります。そういうときは、例えばほかに連携できるところにしっかりと繋いでいきます。なので、先生方はすごく仲が良い。体育大会は全員そろいのTシャツで生徒たちを支え、先日にはバレーボールの「高橋カップ」を開催しました(笑)。自分ひとりで抱えず、みんなでやっていくことがひとつの姿勢になっていますね。

最後に、新千里南町の魅力を教えてください。

豊中市立第九中学校

やっぱり環境が抜群ですね。今の季節は学校の窓からでも紅葉した木々を見ることができます。春には桜も綺麗に咲きますから。その風景は切り取った絵のようです。その一方で都心に近いという便利さもあります。千里ニュータウンを作ったころの木々が生長して、「西町公園」や「千里南町公園」に緑が多く残っていて、とても豊かな環境です。

豊中市立第九中学校 高橋校長先生インタビュー

今回、話を聞いた人

豊中市立第九中学校

校長 高橋孝子先生

豊中市立第九中学校
所在地:豊中市新千里南町1-4-1
電話番号:06-6831-0751
http://www.toyonaka-osa.ed.jp/cms/jh09/index.cfm/1,html

※記事内容は2014(平成26)年12月時点の情報です。

“本気で子どもたちに寄り添う教育”を 卒業生も在校生も温かく見守る/豊中市立第九中学校 高橋孝子校長先生
所在地:大阪府豊中市新千里南町1-4-1 
電話番号:06-6831-0751
http://www.toyonaka-osa.ed.jp/cms/jh09/