スペシャルインタビュー

街と共に歩み、成長する「八王子市立みなみ野小中学校」/八王子市立みなみ野小中学校 校長 石代俊則先生


20年前の開発で生まれたニュータウン、八王子みなみ野エリアは住民たちの愛情を受け、落ち着いた雰囲気の便利で美しい街へと成長した。駅から住宅街を抜けると、静かに姿を現す「八王子市立みなみ野小中学校」。2009(平成21)年に小中一貫校として新たに生まれ変わった学校は、全校舎2階建ての広々とした校舎で、小中併せて1,000名以上の子どもたちが毎日元気に通学している。今回は学校長の校長 石代(こくだい)俊則先生に、街とともに歩む学校の特徴や、ニュータウンの魅力を伺った。

ニュータウンの誕生と良好な学習環境

モダンな校舎外観。窓も大きくたっぷりと光が差し込む
モダンな校舎外観。窓も大きくたっぷりと光が差し込む

―まずは学校の沿革からお聞かせください。

石代校長:本校は小学校・中学校とも1997(平成9)年4月に開校し、来年で20周年を迎えます。当時は「八王子みなみ野」駅もなく、周囲は畑や緑地に囲まれた自然豊かな地区だったようです。もともと八王子ニュータウンの開発と共に「八王子みなみ野」駅も開業し、学校も開校したという、まさに街の発展と共に歩んできた学校です。開校当時は小中学校は隣り合ってはいるものの、それぞれ独立した学校でしたが、2009(平成21)年4月から小中一貫校として新たな歩みを踏み出しました。

現在、小学生が6学年合計631名。中学生が合計498名、小中学校併せると全校生徒1,129名が在校しています。

小学校の廊下。外観からは想像もつかないほどふんだんに木材が使われている
小学校の廊下。外観からは想像もつかないほどふんだんに木材が使われている

―建物も非常にモダンな造りになっていますね?

石代校長:ご覧の通り小中学校ともども全校舎が2階建てで、コンクリート打ちっぱなしのモダンな造りになっています。20年経った今でも印象は変わらず、建設当時はかなり先駆的なデザインだったろうと想像します。駅から歩いて来ても、いわゆる学校らしい建物が現れないので、近くに来るまでどこに学校があるのかが分からないと言われたこともあります。新しい街の雰囲気に合った、景観にそぐわしい建物だと思います。

特に小学校は、低学年の校舎は木をふんだんに使った造りになっていたり、図書室はとんがり屋根で独立した建物になっていたりと、校舎の造り自体が楽しいんです。校庭は広々としていますし、晴れていればベランダから富士山も見えますし、非常に良い環境です。

小中一貫の特徴を生かした教育活動

景色もいい広々とした校庭。部活動をする生徒にとっては非常にうれしい環境だ
景色もいい広々とした校庭。部活動をする生徒にとっては非常にうれしい環境だ

―小中一貫ということで、小中学生の交流はどのように行われているのでしょうか?

石代校長:中学3年生が小学校低学年の子どもたちと校内の草取り活動をしたり、小学6年生の子どもたちが“オープンクラブ”と称して中学校の部活動の体験に行ったり、中学の図書委員たちが小学生に本の読み聞かせに来てくれたりと、交流の機会は頻繁にあります。また小学生が「中学校の図書室を探検してみよう」と訪れたり、あえて交流と言うまでもなく自然にお互い行き来をしている、という感じでしょうか。職員室は小中合同ですし、校舎も玄関も中庭もつながっていますので(校庭だけは怪我の無いようにネットを張っていますが)、日常的に一緒にいるという雰囲気です。

また交流とは少し違うかもしれませんが、体育館や校庭など、小学生が放課後に使用しないときは、中学校の部活動で使用しています。普通はバレーボールやバドミントンなどの室内競技は狭い場所で活動したり、曜日交代にすることも多いのですが、本校では施設は目一杯利用できるので、それも大きなメリットです。

小学校の教室の様子
小学校の教室の様子

―小中学校の先生方の交流もあるのでしょうか?

石代校長:はい。小中の先生方が一緒に研修や研究授業を行い、それぞれの内容を確認したり意見を言い合ったりしています。昨年は「道徳」の授業で研究授業を行いました。小学校の授業内容を中学の先生が聞くことで、内容や進度を確認し、「どんなところでつまずくのか」「中学で勉強が分からなくなってしまうポイントはないか」などを考え、改善することもできます。また中学での内容を小学校の先生が理解することで、「どう中学の勉強につなげて行ったらよいか」が分かり、授業の組立ての参考にすることもできます。今後は連携する部分をもっと増やしていこうと考えているところです。

壁がなくオープンになっている教室もある
壁がなくオープンになっている教室もある

―小学校の子どもたちも中学の先生の顔が分かっていれば、安心ですね。

石代校長:そうですね。ただ私は中学入学時のリセットできるよさもあると思っています。というのは、小学校と中学校では先生の対応から授業の形態までかなりガラリと変化します。それまでは色々と面倒を見てもらえた小学生が、中学に入れば自分で考え判断する機会が増える。生徒会もあって、自治力も試される。つまり大人への一歩を踏み出すわけです。

小中一貫校ということで、小学校と中学校の垣根は低いのですが、その中学への一歩が少しステップが大きいという心構えと、背筋が伸びるような新たな気持ちは持ってほしいと考えています。

とはいえ、例えば中学に入ってから少し学校に来づらくなっている子どもや、小学校の時と様子が変わったなど、子どもに心配な様子があれば、小学校時代を知っている先生が同じ職員室にいる安心感はあります。小学校教諭も中学校教諭も、等しく子どもの健やかな成長を願っているわけですから、強い信頼関係のもと一緒に問題解決にあたりたいですね。

この地区独自の学校への協力体勢

木々や花々が多い学校内。保護者の協力もあってこそ、美しい状態で保たれている
木々や花々が多い学校内。保護者の協力もあってこそ、美しい状態で保たれている

―PTA組織がないというのも大きな特徴ですね?

石代校長:開校当初からPTAという組織ではなく、小学校には「みなみ野会」、中学校には「かたくりの会」という保護者たちのボランティアの会があります。毎年各クラスから選出されたメンバーで構成され、花壇の管理や防犯パトロール、掃除などを行っています。メンバー以外の人数が必要なときは、その都度ボランティアを募い、多くの保護者の方たちが手を挙げてくださり活動してくださっているようです。内容的にはPTAで担う役割を全てカバーしているので、学校としては大変助かっています。当時のことは詳しくは分からないのですが、みなみ野地区が新しい街として誕生したときに学校も開校し、みなみ野独自の新しいやり方で学校に協力しようという気運が高まったのではないかと思います。皆さんの協力的な姿勢や熱心な活動に触れるにつけ、保護者の方々のそういった思いは、今なおしっかり引き継がれていると感じます。

吹き抜けの昇降口
吹き抜けの昇降口

―地域コーディネーターの方はどのような役割を担っていらっしゃるのでしょうか?

石代校長:本校の地域コーディネーターは卒業生の保護者で、長年継続して担当してくださっているので、色々な行事や保護者ボランティアの役割などについて熟知した生き字引的存在です。保護者ボランティアは毎年メンバーが変わるので、コーディネーターの指導やアドバイスがあってこそ円滑に回っているのだと思いますよ。

また私も昨年から赴任したばかりなので、この地域の方々の考え方や感じ方など肌感覚の部分をずいぶんと教えていただきました。実は昨年、子どもたちの多くが感染症にかかったことがありまして、その時に私はコーディネーターに学校の取るべき対応を相談したことがあります。その時は「憶測や噂が飛ぶ前に、学校として公的な文章を出そう」「緊急保護者会を開こう」ということになったのですが、そのときも非常に的確なアドバイスをもらうことができて助かりました。

私自身、学校で起きたことは良いことも悪いこともオープンにしていきたいので、コーディネーターにも保護者ボランティアにも色々相談しながら学校運営をしていきたいと思います。そういう意味でも、コーディネーターは実に頼りになる存在です。

地域の協力を得て江戸東京野菜を育てる体験をしている
地域の協力を得て江戸東京野菜を育てる体験をしている

―地域の方々と子どもたちの交流はあるのでしょうか?

石代校長:この地域には「みなみ野自然塾」という里山環境の整備や畑作・稲作の活動をする市民団体がありまして、この方々と一緒に田植えをさせてもらっています。また学校のすぐ裏にある小比企町という街に農園をされている方があり、そこに農地を借りて子どもたちが江戸東京野菜を育てています。

「みなみ野サマーブリーズコンサート」に参加した際の様子。写真はみなみ野小の音楽クラブ
「みなみ野サマーブリーズコンサート」に参加した際の様子。写真はみなみ野小の音楽クラブ

また地域の夏祭りに中学校の生徒会の子どもたちが出店を出したり、地域のイベントに吹奏楽部やダンス部の生徒が出演したりもしています。今後は地域の方々との交流をもっと深めたいので、地域の教育資源の発掘にも力を入れていきたいと考えています。

愛される子ども、愛される街

教室風景
教室風景

―学校での子どもたちの様子はいかがですか?

石代校長:この街の成り立ち自体が、大きめの戸建ての住宅を中心に街づくりをしてきたこともあり、全体的に落ち着いた鷹揚な雰囲気があります。ですから子どもたちの性格や普段の生活態度においても、非常に落ち着いていて、アカデミックな雰囲気があると感じますね。保護者の方々にお会いしても、お父さん・お母さん・子どもがそれぞれの家庭の中で担う役割をしっかりと果たしているのが伝わってくる。学校としては非常によい環境だと思います。保護者会ひとつを取っても、参加率は7~8割とほとんどの保護者の方々が学校に足を運んでくださっています。教育にも熱心ですし、子どものことをよく見ているなぁという印象です。

実は八王子市の中学校は選択制で選べるようになっているのですが、このみなみ野小中学校周辺は治安もよく、子どもの非行率や犯罪率が非常に低いこともあり、毎年多くの希望者が集まります。

放課後の校庭の様子
放課後の校庭の様子

―この街の魅力を教えてください。

石代校長:先ほども言いましたが、整然と並んだ街並や落ち着いた街の雰囲気を見ていると「ここに住みたい」と思っている人たちが住んでいる「愛されている街」だと感じます。駅前には大型のショッピングモールも建ち並び、かといって高層のビルが建っているわけではなく、少し歩けば自然も緑もたくさん残っている。実に暮らしやすい、住みやすい街だと思いますよ。

また古くから住んでいる人と言っても街の歴史自体が20年ですから、いわば全員がどこか別の土地から引っ越してきた人たち。新しく転入してくる人への目も優しく、温かいと思います。

石代 俊則 先生
石代 俊則 先生

今回、話を聞いた人

八王子市立みなみ野小中学校
校長 石代(こくだい)俊則先生

所在地:東京都八王子市みなみ野6-14-2
TEL:042-636-0061
小学校HP:http://hachioji-school.ed.jp/mnmne/
中学校HP:http://hachioji-school.ed.jp/mnmnj/
※この情報は2016(平成28)年7月時点のものです。

街と共に歩み、成長する「八王子市立みなみ野小中学校」/八王子市立みなみ野小中学校 校長 石代俊則先生
所在地:東京都八王子市みなみ野6-14-1(小学校)
電話番号:042-637-1151
https://hachioji-school.ed.jp/mnmne/
所在地:東京都八王子市みなみ野6-14-2(中学校)
電話番号:042-636-0061
https://hachioji-school.ed.jp/mnmnj/