革新的な取り組みで、常に1歩先の幼児教育を目指す 原木幼稚園 理事長 石井新太郎さん・副園長 奥川美加さん

原木幼稚園

園長 藍原恵子さん
副園長 奥川美加さん

革新的な取り組みで、常に1歩先の幼児教育を目指す
学校法人原木学園「原木幼稚園」

「原木中山」駅から徒歩3分の好立地にある「原木幼稚園」。1,000坪を超える広い敷地で子ども達はのびのびと学習しています。木の遊具でいっぱいの「木夢館」では、子どもが目をキラキラさせて遊んでいる夢の空間。キッズクライミングを取り入れたり、開園当初から革新的な取組みを続けている「原木幼稚園」について、理事長の石井新太郎さん、園長の藍原恵子さん、副園長の奥川美加さんにお話を伺いました。

はじめに、原木幼稚園の概要について教えてください。また、「地域の方々からの切実な声に応えて開園した」とありますが、開園までの背景についても教えてください。

内観全体

石井理事長:「原木幼稚園」は定員370名の幼稚園です。3歳児が90名で3クラス、4歳児が140名で4クラス、5歳児が140名で4クラスですね。

開園したのは1977(昭和52)年です。1970(昭和45)年頃は幼稚園で面倒を見きれないほど子どもが多く、待機児童がたくさんいる状態でした。「子ども育成会」の役員を務めていた私は、公立幼稚園が1年保育だったので、「2年保育の制度にして欲しい」と、毎年市川市に陳情していました。当時、周辺に住む子ども達は、地元の幼児施設に行けず、バスに乗って他の地域に通うというのが現状でした。

教室

市も小学校の増設に追われていたので、幼稚園の問題を解決するのは難しいかもしれないと悩んでいた時に、「私立という形で叶えられる人がいるのであれば、お願いしたい」という要望が父兄から出てきました。たまたまここの土地は開いていて、マンションを建てる計画などが進んでいたこともあり、そこに幼稚園を建設する計画が上がりました。1976(昭和51)年に仮認可がおりて建設に入り、1977(昭和52)年の4月から開園しました。

革新的な取組みを続け、常に1歩先の幼児教育を目指す原木幼稚園

定員120名で始まった園は、1979(昭和54)年には3歳児の保育も始まり、定員は240名になりました。当時、4、5歳の保育が主流だったところに、3歳児を加えて、「一貫した幼児教育をしたい」と認可を取りました。これは県下でも珍しいことでしたね。

木を使った温かい遊具や、教室が印象的ですが、木をモチーフにしたきっかけは何でしょうか。

木夢館

石井理事長:2004(平成16)年に「木夢館」をつくりました。1997(平成9)年頃、北海道の西興部村を旅行したときに、森の美術館「木夢(こむ)」という木の遊具を使った施設があったんです。ドーム型の施設の中に木で作った遊具が入っているんですね。ひと目見て「これはいいな」と思いました。近場であれば、遠足で行くことができるのですが、なにぶん北海道なので行くわけにもいかない。こういう施設が幼稚園にできたら子ども達は喜ぶだろうなとずっと思っていました。

遊具いろいろ

現在、「木夢館」がある場所は、以前プールとして使用されていました。古くなったので、プールを屋上にあげて、1、2階を木製遊具の部屋と決めて造り始めましたね。滑り台はここ、柱時計はここの位置と決めて、基礎から造っているので、地震があっても大丈夫です。

原木幼稚園の教育のなかに、講師を迎えた体育教育や、キッズクライミングなどの取り組みを取り入れられていますが、このような体験を通じてどのような子どもたちに育ってほしいとお考えですか。また、実際に取り組んでいる子どもたちの様子についても教えてください。

体育

石井理事長: 体操の講師を入れたのは1977(昭和52)年に開園してすぐのことでした。幼児体操というのは小学校の体操とは異なったもので、幼児には幼児向けの体操があるのではないかということで、体操のコーチを頼みました。当時は幼稚園の先生方がコーチの指導を受けて、先生が子ども達に教えるという方法をとっていたのですが、子どもも先生も増えてきたので、コーチが直接子ども達に指導した方がいいということで、現在に至っています。

体育館

音楽の講師の先生も1978(昭和53)年から来て頂いています。園に設置基準で決められた楽器はあるのですが、先生方は日頃の保育が忙しかったため、子ども達に触れさせることが出来ずに卒園していくという状況でした。そこで週に何回か音楽の講師に来てもらって、楽器に親しみを持ってもらうという目的で始めました。当時はそのような幼稚園は本園だけでしたので、「すごい幼稚園が市川にできた」と注目を浴びましたね。

キッズクライミング

キッズクライミングは2000(平成12)年に取り入れました。ホールには「クライミングウォール」があります。大人もそうですが、靴を履いて生活を続けていると、足の指を使うことが少なくなります。そのような現状も改善するために、「クライミングウォール」を取り入れました。クライミングは素足で行うので、否応なしに足の指をひっかけないと登れません。大人から見るともっと行けるだろうと思うのですが、大体の子どもは中段くらいまでいくとリタイアしてしまいますね。天井まで行くのはかなりの冒険みたいです。しかしなかなか到達できないことが、「今日はここまで登ろう」という目標にもなるので、子ども達にとって良い刺激になっていると思います。

体操

藍原園長:体操に自然に親しんでいるうちに、興味を持ったり楽しくできるように、コーチの方々が工夫して指導してくれています。小学校に上がるときに体育に苦手意識を持つ子が多いのですが、この取り組みのおげで、苦手意識を持つ子ども達が少なくなりました。また、子どもというひとくくりの枠のなかでも、担任の言葉が入っていく子どもと、担任以外の言葉が入っていく子がいるんですね。なのでいろんな人の指導、関わりを受けるのは、子どもにとってもすごく大事なことだなと思います。 音楽も段階的に指導して下さるので効果はあると思います。音楽発表会で歌や合奏を発表していますが、毎回素晴らしいクオリティですよ。

希望する子どもたちのための課外教育とありますが、実際にどのような課外活動をされているのでしょうか。また、保護者の方々からは、どのような声が聞かれますか。

園庭

奥川副園長:課外教育は体操教室、新体操教室、サッカー教室ですね。保育が終わった後にそのまま子ども達が習いに行きます。子ども達のおよそ半数が参加しており、男女ともに体操が人気です。講師の先生は課外でも指導してくれています。新体操の先生も外部から講師で来ていただいていますね。保護者の方々も、「子ども達が楽しくやっている以上は入れたい」という思いが強いようです。

園庭が広く、自然にも恵まれていますが、このような環境で教育をする魅力は何でしょうか。また、このような自然を活用した授業などはありますか。

自然

奥川副園長:まずはこの暑いなかでも、外で遊べることですね。風がよく通る場所なども指導していますが、子ども達自身、外に行ったら日影で遊ぶなど普段の生活のなかで、さまざまな知恵を身につけています。みんなたくましく育っていますよ。

季節で植物も変化するので、夏には夏の木を描き、秋は葉っぱが変わったところで秋の木を描き、枝の張りぶりを子ども達が絵として残すこともあります。椎の木はどんぐりが落ちるので、作品展には、どんぐりを使った笛を作ったり、のびのび広場でマラカスを作ったりもしています。

広い園庭

藍原園長:秋には、園でさつまいも堀をするのですが、始まる前に子ども達が落ち葉を集めて準備をしています。自分達が掘ったお芋を、自分たちが集めた葉っぱで焼く。一連の流れを勉強できますし、自然を色んな部分で取り入れています。自分たちで準備したお芋は、特別美味しいみたいですよ。

原木幼稚園ならではの行事について教えてください。

ふくろうとみみずく

藍原園長:園では、大きい畑があるので、歩き遠足で畑に行き、掘ってきたジャガイモをふかして食べたり、年長の子ども達がそれを使ってカレーライスを作り、年少、年中の子達も一緒にみんなで食べたりしています。収穫するのは、じゃがいもとさつまいものどちらかなのですが、春と秋に収穫をしています。

教室風景

石井理事長:毎年、自然の河川を利用してザリガニ釣りも行っています。年長の子どもたちは、ザリガニがいる場所を求めて、あちこち移動しながら楽しんでいます。2013(平成25)年からよく通っている場所はザリガニとカニが両方釣れる所で、1クラス80匹くらい釣っていますね。

小人とリス

藍原園長:年長さんは理事長先生による木工指導にも取り組んでいます。のこぎりや金槌、万力を使って本格的に作ります。作る物はその年によって違うのですが、2015(平成27)年は鳥小屋を作っています。2014(平成26)年はトラックや飛行機や船を作りましたね。

石井理事長:それも経験だと思うんです。金槌を持つのも、のこぎりで切るのも、釘を打つのも初めての子もいますから。何日も何日もやることで経験になっていく。安全な使い方を説明して、それを子ども達が理解して取り組むので、手を切ることや、怪我をするというのは0に等しいですね。

木工工作

奥川副園長: 作品展もあるので、その鳥小屋に何を住まわせるかを想像して、それぞれが紙粘土で鳥や動物や人を作り上げて、作品になっていきます。保育は子ども達が継続して学んでいくことが大切で、その中でも常に創造しながら作り上げていますね。

子育て相談の場としてのびのび広場や、就園前のお子さんを対象にした「木夢館」開放日を設けていますが、このような取り組みにどのような思いが込められているのでしょうか。また取り組みに対して、就園前のお子さんの様子や保護者の方々の子育てに対する意識に変化などはありましたでしょうか。

滑り台

奥川副園長:「木夢館」だと自分で遊びを見つけて遊んでいくので、自分のペースで始められます。遊びもママごとやハチの巣、滑り台などがあり、個人で遊べる場と集団で遊べる場がフロアのなかに点在しているので、みんなで遊ぶ子どももいれば、1人で黙々と遊んでいる子どももいます。子ども達が自由に遊んでいると、保護者同士でお話をする時間もできるんですね。そこで情報交換をしたり、友達になったりする場にもなっています。

椅子

「のびのび広場」は妊婦さんから参加可能な場所です。育児相談や悩み事相談を通して、職員と関わりが取れる場としても活用されています。子ども達は制作をしたり、劇を見たりと、子ども達同士が集団で関われる場になっています。なかには、輪の中に入れないお子さんもいるのですが、そういう場合は園庭で遊んでもいいよと選択肢の幅も広げています。1年が終わるころには、子ども達同士でお話ができるほど成長しています。集団の中でいろいろと学習しているんでしょうね。

地域のイベントに子どもたちが参加する等、地域との関わりもあるのでしょうか。

折り紙

石井理事長:年長さんが「ホワイト市川」という特別養護老人ホームを訪問して、歌を歌ったり触れ合ったりしています。子ども達と触れ合うまで表情のなかった高齢者の方々が、子どもと触れ合う時は今までが嘘だったかのように、笑顔で子どもにも話しかけられます。「あんなに表情を変えて話をするのは、子どもと接する時だけです。できればこれからも頻繁に来てほしいです」と施設の方々からも嬉しいお言葉を頂いています。

遊具

子ども達のなかでも、高齢者の方と触れ合うのは初めてという子がたくさんいるんですよ。車いすで生活している方などいろんな方がいるので、最初は子ども達もびっくりしてしまうことがあります。けれど、手遊びなどの交流を通して、帰る頃には子ども達も慣れています。高齢者との関わりは大切なので、出来る限り参加できるように、これからも取り組んで行きたいと思っています。

子育てエリアとして、周辺の魅力について教えてください。

幼稚園かばん

奥川副園長: 公園は近い所だけでも4か所あります。周辺の自然の活用はさまざまで、江戸川が近いので花火を見に行ったり、自転車の練習をしている子どももいます。また、治安もいいですね。園の近くで泣いている子どもがいると、近所の方が幼稚園まで連れて来てくれたり、また小学校に通うの子が、自宅の鍵が開いていないと、園に来たりしています。子どもが困ったら地域で助けてくれるという環境は、子育てもしやすいのではないかなと思います。

理事長・園長・副園長

今回、話を聞いた人

原木幼稚園

理事長 石井新太郎さん
園長 藍原恵子さん
副園長 奥川美加さん

原木幼稚園
所在地:千葉県市川市原木1-8-1
電話番号:047-327-1291
http://www.baraki-youchien.ed.jp/index.html

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※記事内容は2015(平成27)年7月時点の情報です。

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革新的な取り組みで、常に1歩先の幼児教育を目指す/原木幼稚園 理事長 石井新太郎さん・副園長 奥川美加さん
所在地:千葉県市川市原木1-8-1 
電話番号:047-327-1291
教育時間:3歳児 9:00~13:30 4歳児 9:00~13:50 5歳児 9:00~14:00 ※水・土曜日は午前のみ
休園日:日曜日、祝日、年末年始 ほか
http://www.baraki-youchien.ed.jp/index.h..