新しい校舎への建て替え工事が進行中、地域に愛される学校 練馬区立下石神井小学校 校長 境野宏樹先生

四方を住宅地に囲まれた閑静な場所で、日々にぎやかな子どもたちの声を響かせている「練馬区立下石神井小学校」。2017(平成29)年3月から新しい校舎への建て替え工事が始まり、現在目下工事中である。取材に訪れたのは夏休み中、旧校舎から仮設のプレハブ校舎への引越し作業を行っている真っ最中。忙しい合間を縫って、境野宏樹校長先生に学校の特徴や行事の様子、保護者や地域との関わりのほか、新しい校舎についてお話を伺った。

小中一貫教育を先進的に行ってきた小学校

――小学校の沿革について教えてください

境野先生:本校は今年で創立46周年になる学校で、練馬の人口が急激に増えた時代に、地元の人たちが土地を提供してくださってできたという学校です。小中一貫を練馬区内でも先進的に始めた学校ということが特徴で、練馬区が小中一貫教育を打ち出す前から小中連携の取り組みを行ってきました。

校長 境野宏樹先生

――現在、新しい校舎への建て替えが進んでいますね。どのような計画になっているのでしょうか?

境野先生:古い校舎は、L字型の校舎になっていたのですが、それをI字型の校舎に全面的に建て替えるということで、現在工事を行っています。今はプレハブの仮校舎が完成しまして、9月の新学期からはそちらに移ります。体育館とプールはしばらくそのまま使えるように維持しながら、何段階かに分けて工事を行っていく予定です。最後には体育館も建て替えますし、プールについても、縦向きだったものを横向きに変える計画です。校舎の幅が広くなる分、少しでも校庭を広く使えるようにという配慮がなされた配置になります。

すべての工事が終わるのは、2021(平成33)年の夏ごろを予定しています。2018(平成30)年の12月に新校舎の一部が完成する予定なので、先行して新校舎の一部を使い始められるかなと思っています。

プレハブの仮校舎

――新校舎は児童の増加に合わせて建て替えが検討されたのですか?

境野先生:区内の小学校を全体的に見た中で、耐震などいろいろな観点から、補強工事を行うのではなく建て替えたほうが良いだろうということで決まったようです。もちろん、子どもの数は増加していますから、教室の数も今までよりも増えますし、地域の中の防災拠点としての機能も含めて、新しい基準で設計されています。

――教育目標や、学習指導について特に力を入れている部分を教えてください

境野先生:昨年度から漢検の団体受検を始めて、力を入れているところです。やはり普段の授業だけですと、「勉強なんかできない」と諦めてしまう子がいるのですが、漢字の学習の場合は、着実にやれば必ず力が付いて、努力が報われるわけです。昨年この漢検の団体受検をやりましたら、非常に良い手応えがありまして、225名ぐらい受検した中で、92%の子どもたちが受検した級に合格しました。

また、学校のスローガンとして、「いきいきと笑顔あふれる下石小」というスローガンを立て、子どもたちがとにかく生き生きと、「学校が楽しい」と思いながら来られるように、ということを大切にしています。そのためには学校の勉強も分からなくてはいけないですし、先生方も、子どもたちが「楽しい」と感じるように授業をしなければいけません。ただ、先生方に任せておくのではなく、子どもたちや保護者の皆さんも一緒になって、「どうやったら楽しくできるか」ということを一生懸命に考えながら、さまざまな活動を行っているところです。

学校教育目標

――「練馬区立石神井南中学校」との小中一貫連携について、具体的な実践内容と成果、効果についてお聞かせください

境野先生:練馬区の場合、普通の学校では年に2回、「小中連携協議会」というものを持ち、そこで小中の情報交換等を行っていますが、本校はそれ以外にも、各教科の担当が子どもたちを「石神井南中学校」に連れていき体験授業をしたり、逆に中学校の先生に来ていただいて小学校で授業をする「授業交流」を行ったりしています。そのほか、部活動体験もやっていますし、中学校の学習発表会に小学生の作品を展示したり、逆に小学校の展覧会に中学生の作品を展示したりといった交流もしています。

成果という部分については、一般的に「小中連携」と言うと、日程を合わせるのが大変など、デメリット面の話を聞くことも多いのですが、本校と石神井南中学校の場合は、中学校の校長先生と「無理のない範囲で、できることをどんどんやりましょう」ということで話をしていますので、先生方にも積極的に取り組んでいただけています。

中学校の様子を事前に知ることで、中学校へのあこがれを持って、「早く中学生になりたい」という気持ちを持てていることは、非常に大きなメリットかと思いますし、同時に、いろいろな不安も軽減できていると思います。逆に中学生にとっては、小学生と交流することで自己有用感を持てる、という面がメリットになっているかと思います。

旧校舎の玄関

――特徴的な学校行事や、校外での学習活動について教えてください

境野先生:練馬区ではすべての小学校で、5年生と6年生で移動教室をやっており、昨年度は5年生が軽井沢に、6年生が岩井の施設に行っています。それ以外ですと、「下石(しもしゃく)まつり」というお祭りが、本校独特のものとしてあります。これは子どもたちがクラスごとに考えた企画でお店を出して、そこを、子どもたち同士で回って楽しむという校内行事です。たとえば魚釣りだったり、もぐらたたきだったりと、毎年ユニークな遊びで楽しんでいます。

そのほか、保護者に協力していただいて、毎年9月に「下石ふれあいフェスタ」というイベントも行っています。この時には校庭や体育館も使いながら、保護者や地域の人が子どもたちに向けて、いろんな遊びや体験などのできるお店を出していただいて、子どもたちも夢中になって楽しんでいます。このほか、5月には運動会も盛大に行っていますし、展覧会、音楽会、学芸会を3年に一度のローテーションで行っており、どれもたくさんの保護者の方にご来校いただいています。

地域の方に来ていただいて味噌作りを教わったり、企業の方に来ていただいて、いろんな体験学習をさせていただいたり、ということもありますし、区の児童館に見学に行ったり、博物館や美術館に行ったり、地域のスーパーを見学したり、特別養護老人ホームの方と交流を行ったりといったものもあります。

校内の様子

――PTAや地域の人々との交流、連携について教えてください

境野先生:PTAの活動がとてもしっかりしているので、いろいろな部分で協力していただいています。たとえば漢検の団体受検に関しても、昨年、「今年から始めたい」という話をPTAでしたところ、ボランティアを募ってくださって、最終的には100名以上の方が協力してくださいました。交通指導から、当日の監督者まで、本当にいろいろやっていただき、たいへん有難かったです。これ以外にも、図書ボランティアや、少年野球、サッカーの指導や、バドミントンや女子ソフトなどのスポーツ指導にも、保護者の方、地域の方に関わっていただいています。

また、地域の「青少年育成地区委員会」についても、夏にはラジオ体操なども主催していただいていますし、先ほどの「下石ふれあいフェスタ」にもご協力いただいています。9月には「地区祭」といって、「石神井公園」で行うイベントがあるのですが、こちらも委員会に企画していただいています。

――子どもたちの進学先について教えてください。私立の中高一貫などに進む子も多いのですか?

境野先生:中高一貫の受験割合については、毎年2割から3割くらいが受験をしています。公立に進学するほとんどの子は石神井南中学校に進学しますが、練馬区は中学校が選択制になっていますので、部活の関係などでほかの中学校に進学する子もいます。

子どもたちがのびのびと過ごせる環境に

――数年のうちに新校舎が完成するわけですが、新しい校舎の特徴を教えてください

境野先生:新しい校舎は、南北に長く東向きに普通教室を持ってきますので、朝から陽が入り、明るい教室になります。また、校庭のある東向きに普通教室を配置したのは、学校が一軒家の住宅に囲まれていますから、そこに配慮しての設計となっているのだと思います。その分、子どもたちは気兼ねなく、のびのびと過ごせると思いますし、採光性を重視しているので、全体的に明るい校舎になる予定です。当然耐震性は高くなりますし、体育館なども天井が高く、吹き抜けで気持ちの良いものになると思います。階数は変わりませんが、教室の数も増え、全体的にゆったりとした校舎になるかと思います。

「メディアセンター」という、PC室と図書室が一体になった施設ができたり、屋上が緑化されたり、多少教室数に余裕がありますから、学年室のような広い教室も設定できるのかな、と思っています。また、練馬区の小学校では子どもたちが放課後を安全に過ごすための「ひろば」という居場所づくりの事業を行っており、現在は算数の習熟度別学習の部屋を兼用して使っているのですが、新しい校舎には1階部分に、学童の専用の部屋のほかに、「ひろば」専用の部屋もできる予定です。

新校舎完成イメージ

――最後に、下石神井小の周辺地域の魅力について教えてください

境野先生:この地域については、子どもたちが、保護者の方も含め、非常に落ち着いているということを感じています。子どもたちを見ていても、家庭環境がしっかりしてるな、ということがよく分かります。

地域の方々についてもとても協力的な方が多い印象です。小学校というのは、学校だけで成り立たないものになっています。教育活動を進めていくうえで、保護者の方や、地域の方の協力や賛同は欠かせないものになっていますし、いろいろな力が合わさることで、教育活動の幅が広がっていくと思っています。この学校のある地域は、そういう可能性を持った、素晴らしい地域だと思います。

 

仮校舎と旧校舎

練馬区立下石神井小学校

校長 境野宏樹 先生
所在地:東京都練馬区下石神井2-20-18
電話番号:03-3997-5241
URL:http://www.shimoshakujii-e.nerima-tky.ed.jp/
※この情報は2017(平成29)年8月時点のものです。

新しい校舎への建て替え工事が進行中、地域に愛される学校/練馬区立下石神井小学校 校長 境野宏樹先生
所在地:東京都練馬区下石神井2-20-18 
電話番号:03-3997-5241
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