緑と歴史に抱かれた大規模複合開発
“紀尾井町ならでは”の街づくりとは/株式会社西武プロパティーズ
都市開発部 アシスタントマネジャー 猪鼻茂樹さん


株式会社西武プロパティーズ
都市開発部 アシスタントマネジャー 猪鼻茂樹さん

緑と歴史に抱かれた大規模複合開発
“紀尾井町ならでは”の街づくりとは

(2013/07/26取材)

2011(平成23)年に閉館し、その後は東日本大震災の被災者を受け入れ、最後の役割を終えた「グランドプリンスホテル赤坂」。バブル期に人々の憧れの的となっていたこのホテルは、惜しまれつつも解体され、2013(平成25)年7月、その工事を終えた。

この跡地に計画されているのが、総工費980億円をかけ、2016(平成28)年の開業を目指すビッグプロジェクト「(仮称)紀尾井町計画」である。敷地面積30,400平米、延床面積227,200平米におよぶこの計画では、旧グランドプリンスホテル赤坂の敷地一帯を整備し、36階建てのオフィス・ホテル棟と、24階建ての住宅棟の2棟のビルを中心に整備される。今回は本プロジェクトを推進している(株)西武プロパティーズの現地事務所にお邪魔し、開発担当の猪鼻茂樹さんにお話をうかがった。

「紀尾井町ならではの歴史的環境を感じられる施設計画」を目指すとのことですが、具体的にはどのようなものでしょうか。

(仮)紀尾井町計画 担当者インタビュー

今回の計画地の周辺は、南側に「赤坂御門(ごもん)」の跡や「弁慶濠(べんけいぼり)」、北側に「清水谷(しみずだに)公園」など、歴史性を有する環境になっており、その「弁慶濠」と「清水谷公園」という緑の豊富な場所との“緑の連続性”を生むような計画をしています。

(仮称)紀尾井町計画 担当者インタビュー

また、グランドプリンスホテル赤坂(旧称:赤坂プリンスホテル)時代に、旧館と呼ばれていた建物は、1930(昭和5)年に竣工し、すでに80年以上を経た歴史的建造物なのですが、2011(平成23)年に東京都の「指定有形文化財」に指定されました。今回、保存・改修を行い、紀尾井町計画のシンボルとなるよう、計画を進めております。利用方法の詳細については、現在検討中です。

この旧館を保存するにあたっては、一度建物をジャッキで持ち上げて移動し、その間に地下構造物の工事を行い、また元の位置に戻すという、「曳家工法」を実施する予定になっています。これによって、若干の位置の変更はありますが、この土地に根づいた景観を損ねず、保存、改修を行うことができます。

(仮称)紀尾井町計画 担当者インタビュー

また、緑に関しましても、もともとあった樹木をできるだけ保存するような計画で進めておりまして、実際に工事現場に行かれると分かりますが、大きな木が工事現場に何本も残っています。このように、歴史的樹木の保存という面も配慮しています。

今回の計画の、一番の「売り」は何でしょうか。

(仮)紀尾井町計画 担当者インタビュー

利便性の高い都心立地で行われる、大規模な複合開発でありながらラグジュアリー感のある新しいホテルを中心に、歴史的な環境、豊かな緑地空間などが生まれる、「ホスピタリティあふれた良質で独自性の高い街づくり」であるという点が、一番の売りになるかと思います。

(仮称)紀尾井町計画 担当者インタビュー

また、オフィス・ホテル棟は地上36階、高さ180mで、高級感と存在感を併せ持った施設になると思います。住宅棟につきましても、賃貸物件としては都内でもトップクラスの建物になる予定です。

今回、ホテルは「ラグジュアリー感」を大事にされるようですが、具体的にはどのようなホテルになるのでしょうか。

(仮)紀尾井町計画 担当者インタビュー

ホテルには30階以上の上層階で、各フロアから都心の景色を堪能していただけるよう検討しています。また、250室程度の客室を計画しております。オールデーダイニング、スペシャリティレストラン、バーラウンジ、スパ、プールなどを備えて、ラグジュアリー感を出していければと考えています。

(仮)紀尾井町計画 担当者インタビュー

ホテルのランクに関しては検討中ですが、「グランドプリンスホテル赤坂」の跡地に建設いたしますし、お客さまが求めている期待感というものもありますので、それにお応えできるようなホテルにしたいと考えています。

どのような層の方に利用して頂くイメージでしょうか。

(仮)紀尾井町計画 担当者インタビュー

今回の計画では、「弁慶濠」や「グランドプリンスホテル赤坂旧館」などに代表される歴史的環境がある場所で、豊かな緑地空間を配した、良質で独自性の高い街づくりが計画されています。もともと交通利便性の高い場所でもあり、今回は地下にバス乗り場、タクシー乗り場などの新たなインフラも整備されますので、国内外を問わず幅広い年齢層の方、さまざまな目的をもった方に広くお越しいただけるような場所にしたいと考えています。

一日の利用者想定はどれくらいでしょうか。

(仮)紀尾井町計画 担当者インタビュー

こちらについては、現在、入居するテナント等も含め検討中です。今回の計画では、オフィス、ホテル、商業施設があり、また住宅等もありますので、施設内だけを見てもかなりの利用者になると思われます。また、外部からの来街者もありますので、相当数の方が利用されるのではないか、と考えています。

今回の計画で、意識している他の施設や都市開発例などはありますか。

紀尾井町という地域がほかに類の無い地域ですので、意識している施設というよりは、今回の計画により、計画地周辺と一体となって、紀尾井町の雰囲気づくりに貢献し、地域の活性化を図っていければ良いと考えております。「紀尾井町ならではの雰囲気」を生かして、計画を進めてまいります。

この施設を、周辺にお住まいの方にどのように利用してもらいたいとお考えですか。

(仮)紀尾井町計画 担当者インタビュー

この計画の中では広い面積で緑地空間の整備を考えておりまして、「緑」、「花」、「水」があふれる、快適なオープンスペースとなることを目指しています。周辺にお住まいの方にも、四季の変化や、土地の歴史というものを感じていただける空間として、気軽にご利用いただきたいと考えています。このオープンスペースでは、魅力あるイベントを開催するなど、休日でも賑わいのある施設にしていきたいと考えています。

(仮)紀尾井町計画 担当者インタビュー

また、計画地周辺は紀尾井町通りとプリンス通りで高低差がある地形ですが、今回の計画でバリアフリーな歩行者通路等を整備しますので、そういった面でも、近隣にお住まいの方の利便性向上にもつながると思います。

低層階には商業施設が入るということですが、既に入居が決まっているテナントなどはあるのでしょうか。また、スーパー等の身近な店舗も入る予定でしょうか。

(仮称)紀尾井町計画 担当者インタビュー

ある程度広い範囲からご来場いただけるような魅力あるテナントさんを誘致したいと考えており、土日も、幅広くご利用いただけるような商業施設を目指してまいります。

(仮)紀尾井町計画 担当者インタビュー

具体的には、飲食店やカフェなどを中心に誘致し、その中に、食品のスーパーマーケットやATMコーナーなど、利便施設も整備していきたいと考えております。また「飲食店」と言いましてもいろんなジャンルがあります。近隣に住まわれている方、オフィスにお勤めの方、ホテルにご宿泊の方、外からお越しになる方などさまざまですので、そういった“さまざまな需要”を満たせるような構成にしてまいりたいと思います。

今回の施設では、周辺にお住まいの方や、働く方が安心できるような防災対策をされているようですが、具体的にはどのような対策をされているのでしょうか。

(仮称)紀尾井町計画 担当者インタビュー

構造的には、オフィス・ホテル棟が制振構造、住宅棟が免振構造という方式を採用して高い耐震性能を確保することを計画しています。また、災害時にもビルとしての一定の機能を保持できるよう、72時間の運転を確保する非常用発電機、非常食と飲料水の備蓄スペースなどを備えており、マンホールトイレの設置、施設内の一部トイレも、災害時にも使えるようにしています。また既存の井戸水を利用して、非常用の水源も確保する計画です。

これによって、計画地周辺の帰宅困難者に関しても、オフィスエントランスホールなどを利用して、約2000人程度の受け入れが可能な計画になっています。今回、この帰宅困難者の受け入れに関しては、昨年、千代田区と協定を締結させていただき、施設内外の方々に、安心・安全をご提供できればと考えています。

最後に、紀尾井町エリアの魅力についてお聞かせください。

(仮)紀尾井町計画 担当者インタビュー

紀尾井町という地名が、この地にかつてあった、紀州徳川家の中屋敷(今回の計画地及び「清水谷公園」付近)、尾張徳川家の中屋敷(上智大学付近)、井伊家の中屋敷(ニューオータニ付近)という各家の頭文字をとったものですので、歴史的にも由緒あるエリアであるということが、大きな魅力のひとつだと思います。

(仮)紀尾井町計画 担当者インタビュー

また、周辺にはホテルが多く静かな場所ですし、上智、城西といった大学等の文教施設もあり、また緑も沢山残されている、都心の中でも非常に落ち着いた、環境の良いエリアだと思います。永田町方面は官公庁街、番町方面には各国の大使館など、行政機能も集約しているエリアで、様々な顔を持った街だと思います。

(仮)紀尾井町計画 担当者インタビュー

今回、話を聞いた人

株式会社西武プロパティーズ
都市開発部 アシスタントマネジャー 猪鼻茂樹さん

(仮称)紀尾井町計画
URL:http://www.seibupros.jp/about/develop/kioicho/

※記事内容は2013(平成25)年8月時点の情報です。

緑と自然豊かな環境も魅力の小学校

豊かな自然と歴史
子どもがのびのびと成長できる清瀬の魅力/清瀬市立清瀬第八小学校 岩本重雄校長先生


清瀬市立清瀬第八小学校
校長 岩本重雄 先生

豊かな自然と歴史
子どもがのびのびと成長できる清瀬の魅力

東京都と埼玉県の境界にある清瀬市は、美しいケヤキ並木の景色をはじめ、美しい自然の水辺がある景色、ニンジン畑が広がる畑作の景色、牛舎から牛が顔を出す畜産の景色など、東京都内でも稀少な、色濃い田園風景を残す地となっている。

今回は市内に合計9校ある公立小学校のひとつ、「清瀬市立清瀬第八小学校」を訪ね、校長の岩本先生に清瀬市の自然の魅力、歴史的な魅力、地域と学校教育との連携などについて、お話をうかがった。

岩本先生は清瀬に長くいらっしゃるそうですが、先生が考えられる「清瀬の魅力」についてお聞かせください。

清瀬第8小学校 校長インタビュー

まず一つは、清瀬に来ていただくとわかるように、かつては農村だったということもありまして、今でもわりあい緑が残っている街なんです。併せて、ここ何年かは川の整備をしましたので、川に入れる機会もあったりしまして、「川に親しむ」ということも魅力になっていると思います。畑や雑木林、川などが広がっており、「東京都内なのに水と林がある」という点は、大きな魅力だと思います。

緑や水と親しめるスポットとしては、具体的にどこがあるのでしょうか?

清瀬第8小学校 校長インタビュー

まず、小学校の近くから言うと、「御殿山(清瀬御殿山緑地保全地域)」という雑木林(平地林)があります。清瀬の辺りは江戸時代には将軍の「お狩場」だったということですけれど、その中で、将軍のお休み処があったということで「御殿山」と言われているそうです。この「御殿山」の雑木林の中にはいろんな草花、昆虫類、鳥などがいまして、うちの学校でも、そこを使って学習を進めさせていただいています。「御殿山」は地域の人たちがボランティアで整備をしてくださっているんですが、たまにうちの学校の子どもたちも土日に行きまして、お手伝いをしています。

この森を守るボランティア組織で「清瀬自然を守る会」というものがありまして、秋には焼き芋大会も開催してくれているんですが、そこにはうちの学校の子ども達も誘っていただいています。この「清瀬自然を守る会」の人たちには年に何度か来てもらっていまして、「これはどんな葉っぱだよ」とか、「これはどんなどんぐりだよ」とか、そういった学習も行なっています。ですので、「清瀬自然を守る会」の方とはそこで顔見知りになっていまして、焼き芋を焼く時も、みんなで落ち葉や落ち枝を集めて、それから火を起こして、ワイワイと楽しく焼き芋をしています。

清瀬第8小学校 校長インタビュー

「水」ということですと、やはり「柳瀬川」です。柳瀬川では毎年夏に「きよせの環境・川まつり」がありまして、この日だけなんですが、実際川の中に入って遊べるんです。もともと、30年くらい前までは柳瀬川も今ほどきれいではなかったのですけれど、20年くらいかけて少しずつ整備しまして、今では川の中に入れるまでの水質になりました。現在では川の生き物の観察会などが行なわれていまして、学校としても、学習の場として使わせていただいています。金山橋の辺りではバーベキューも楽しめますし、釣りやバードウォッチングを楽しむ人もいまして、市民の憩いの場となっています。

また、そうやって自然に恵まれていますと、子ども達と一緒に親も遊びに行きますから、「親同士のつながり」というものもごく自然に生まれています。子どもだけではなく、大人も含めての“つながりの場”として、自然が活用されているのかな、と思います。

けやき通りも素敵なスポットですね。

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はい、ここまで来てご存知かと思いますが、学校の前の「けやき通り」も素晴らしいです。この通りは学校の前から「清瀬市郷土博物館」を経由して、駅の近くまで続いていますが、ここを使って10月の体育の日には「市民マラソン大会」が行なわれていますし、「キヨセケヤキロードギャラリー」と言いまして、いろんなブロンズ像が建っています。

清瀬第8小学校 校長インタビュー

この道はとても気持ちが良い道ですから、散歩する時にはちょうどいいコースになると思います。夏は涼しいですし、冬はケヤキなので葉が落ちまして、あったかくなりますから。ここも清瀬を代表する魅力スポットの一つかと思います。

清瀬第8小学校 校長インタビュー

あとは「ひまわり」も清瀬の名物です。夏に「清瀬ひまわりフェスティバル」というものがあって、この時のために、市民で10万本のひまわりを植えるんです。うちの学校でも頼まれていまして、毎年低学年の児童が種を植えに行きます。

そして8月の終わり頃に「清瀬ひまわりフェスティバル」があって、市民の方々が沢山来て、子どもと一緒に見ていきます。学校としても「ひまわり写生会」をしたりと、学習の機会として活用しています。

今まで挙げていただいた「自然」以外の面でも、地域を学習の活用の場としている事例はあるのでしょうか?

清瀬第8小学校 校長インタビュー

学校の近くに「大林組」の研究所がありまして、あの「東京スカイツリー」も、ここの研究所で設計しました。ここは普段は非公開で、11月18日の「土木の日」にだけ一般公開もしているんですが、うちの学校には、年一回の招待日があります。そこには5年生が学習の一環として行くようにしていまして、風洞実験や落雷実験などの装置を見学させていただいています。実際にその中に入って体験できたりしますので、学問的には5年生にとっては難しいのかもしれませんが、貴重な体験になっているのではないかと思います。

それから、市内に「舶用電球」という船舶用電球を専門に作っている会社がありまして、かなりのシェアを占めているそうなんですが、その工場にも、3年生が見学に行かせていただいています。そのほか、地域の歴史を学習するために郷土博物館にも行っています。こうした機会が得られるのも、清瀬という土地ならではだと思っています。

「中里の富士塚」など、市内には歴史的なスポットも多いということですが、先生のお薦めの場所を教えてください。

清瀬第8小学校 校長インタビュー

「中里の富士塚」(東京都の指定有形民俗文化財)は江戸時代ごろから続いているものだと言われておりまして、今でも富士講の方を中心に、毎年9月1日に「火の花祭り」(東京都の指定無形民俗文化財)があって、藁を燃やしたり(「お焚き上げ」)といった行事を行っています。煙をもらって自分にかけると病気や怪我をしないと言われていますので、地元の方も沢山参加しています。

清瀬第8小学校 校長インタビュー

ほかには、中清戸の弁天様(日枝神社 水天宮)も古くて、清瀬の総鎮守という位置付けの神社なのですが、ここでは毎年7月に「清戸の獅子舞」というものが行われています。あとは、下宿にある八幡神社の「下宿囃子」(シタジュクバヤシ)では、地域で子ども達を集めてお囃子の練習などもしていまして、これも面白いと思います。

清瀬第8小学校 校長インタビュー

郷土博物館でも、農作業、うどん作り、団子作り、繭玉作りなど、地元の文化を体験できるいろんなイベントをやっていますから、そちらに参加してみるのもお薦めです。

子育て環境としての、清瀬の魅力を教えてください。

清瀬第8小学校 校長インタビュー

やはり、自然が多く残っていて、のびのび、ゆったりしているという点が一番です。行政的にも、子どもについて相談できる仕組みがしっかりと整っていますから、そこも魅力のひとつだと思います。「清瀬市児童センター ころぽっくる」などは、児童センターと子育て支援拠点が一体になって入っていますから、何かと頼れる場所になるかと思います。

清瀬の子ども達の印象についてお聞かせください。

清瀬第8小学校 校長インタビュー

「素直」な子が多いです。ここには農村という昔からの部分が残っていますので、元気で、素直な子が多いような気がします。

清瀬市の今後について、期待されているところをお聞かせください。

清瀬第8小学校 校長インタビュー

清瀬市のキャッチフレーズに「手をつなぎ 心をつむぐ みどりの清瀬」というものがあります。これは分かりやすく言えば、「自然を残しながら、住宅地としての文化をより高めていく」という意味になるんでしょうか。

特に「手をつなぎ」の部分は、新しい方に手をつないでもらって、心を結んでもらって、緑を今後もさらに維持してもらう、ということがテーマになっていますので、新しい世代の方々には、そんなところを期待したいです。

清瀬第8小学校 校長インタビュー

清瀬市の「清」は上清と下清の清、清瀬下宿の清ですし、「瀬」は中里、野塩などの柳瀬川に接した地域から取っています。名前からして自然という意味合いがある場所ですので、やはり自然は大事にしていってほしいです。

いろいろと貴重なお話をありがとうございました。最後に、岩本先生の教育に対する思いを聞かせてください。

清瀬富士塚2

人生というのは「人が生きる」ということだから、子どもはまず「健康」であるということが一番だと思っています。「健康」でないと、何もできないということです。そして身体が「健康」でなければ発想が貧困になってしまいます。ですから、子ども育てるにはまず、「健康」でなければいけないと思っていますし、「健康」であるためには、「不便」も必要だと思っています。

「不便」というのは実は「自然」であって、すべてが「便利」ではだめということです。「便利」だと努力しないのです。「不便」だから、何とかしようと思うから、夢をもって勉強するんです。「夢」というのは豊かだと持てないんです。

だからまず、「不便」(自然)があって、「健康」があって、そこから「夢」が持てるようになるんです。「夢が持てる環境」ということですと、うちの学校であれば「自然」(=不便)がたっぷりありますから、「健康」になれるし、「夢」を持ちやすいんじゃないかと思います。

そして、「夢」に向かって頑張ることができるのは誰のおかげかと言えば、もちろんご両親のおかげでもあるんですが、さらに言えば、「自然」という大きなものに守られているおかげなんです。だから私たちは、自然に感謝の気持ちを持って生きなければならない。そして、感謝の気持ちの「ありがとう」という言葉が、また、次の「元気」を生むわけです。そういう風に、私は思っていますし、そういう子どもを育てることが教育だと思っています。

今回、話を聞いた人

清瀬市立清瀬第八小学校

校長 岩本重雄先生

清瀬市立清瀬第八小学校
所在地:東京都清瀬市中清戸4-1070
電話番号:042-493-4318

※記事内容は2013(平成25)年10月時点の情報です。

豊かな自然と歴史
子どもがのびのびと成長できる清瀬の魅力/清瀬市立清瀬第八小学校 岩本重雄校長先生

所在地:東京都清瀬市中清戸4-1070 
電話番号:042-493-4318
http://www.kiyose.ed.jp/kiyosedaihachisy..

スポーツに特化した児童館

乳幼児から中高生まで、様々な年代の子どもがみんなで混ざり合って楽しむ場所に/西東京市立ひばりが丘児童センター センター長 佐藤文俊さん


西東京市立ひばりが丘児童センター
センター長 佐藤文俊 さん

乳幼児から中高生まで、様々な年代の子どもが
みんなで混ざり合って楽しむ場所に

「西東京市立ひばりヶ丘児童センター」は平成23(2011)年に西東京市に開館した児童センター。学校にあるような大きな体育館やダンススタジオ、さらには人工芝のフットサル場が完備されており、無料で利用することが可能です。このような児童センターが、地域にもたらす役割などについて、今回は運営責任者である、NPO法人「子どもアミーゴ西東京」の佐藤文俊さんにお話し伺いました。

こちらの「西東京市立ひばりが丘児童センター」は西東京市の公共施設ですが、こちらの運営を佐藤さんが所属する「子どもアミーゴ西東京」が行うことになった経緯を教えてください。

西東京市では平成19(2007)年より、親が就労している小学生をお預かりする「学童クラブ」の運営を民間委託することができるようになりました。私どもが所属する「子どもアミーゴ西東京」は、その受け皿となるべく発足したNPO団体です。現在西東京市では31か所の学童クラブがありますが、そのうち7か所が民間委託で、うち6か所が私どもの運営になります。

ひばりヶ丘児童センター

こちらの「ひばりが丘児童センター」には3階に「ひばりが丘第一学童クラブ」と「ひばりが丘第二学童クラブ」が併設されていますが、この2つの学童の開校にあたり、これまでの流れがあって委託運営を申し出ました。すると、こちらの「児童センター」も一緒にセットで委託という形となり、ここ全体の業務を請け負うことになった。というのが経緯ですね。

「児童センター」はいわゆる「児童館」とどのような違いがあるのでしょうか?

一番の違いは施設の規模です。体育館などの運動施設がついているのが児童センター。定義としては「大きい児童館」といったところでしょうか。これまでの児童館ですと規模も大きくないですし、運動施設の充実には主眼が置かれていませんでしたが、「ひばりが丘児童センター」は「スポーツ特化型児童センター」となっています。これは西東京市の施設としての役割の1つです。

市の施設としての大きな役割はあと2つあって、1つは乳幼児の親を対象とした子育て支援。児童センターは0歳から18歳未満という、法律的に「子供」と言われている年代が対象ですが、乳幼児は親も利用の対象になります。そしてもう1つは「中高生特化型児童館」としての役割です。ここは9時15分から21時までオープンしている夜間開館ですが、18時以降は中高生専用の時間帯となっています。

なぜ夜間開館が必要なのでしょうか?

夜の19時から20時くらいの時間に、居場所がない中高生がコンビニや公園に溜まってしまう光景はどこでもありますよね。そういった光景は大人からみると、ちょっと「怖い」という印象を持たれてしまいます。例えば小学生の場合は夜にコンビニに溜まっていても「塾の帰りかな?」とか、周囲の大人の目は比較的やさしいです。でも中高生だと、怖いので場合によっては警察を呼ばれることもある。つまり中高生と地域の大人は、お互いうまくコミュニケーションがとれていない問題があります。その子たちの居場所を確保するために、中高生に特化した児童館ができたというのが流れなんです。

放課後の中高生にとって、重要な存在なのですね。

放課後に来る中高生は複雑な年代です。部活が終わり、「もっと体を動かしたい!」という理由で来ることもあります。部活はないけれど公園で練習したいとか。あと、思春期の子供なら「なんとなく家にいたくない」ということって、誰にでもありますよね。そういった子はこれまでなら、公園やコンビニで集まるしかなかったんですが、ここなら安全な居場所にもなるし、悩みがあれば第三者である大人が話を聞いてあげることもできます。

実際私たちも児童センターの運営はこちらが初めてでしたが、当初はスポーツをしたくて利用する中高生が多いという予想していました。もちろんそれはその通りで、毎日利用される頻度は高いです。でも実はやってみて初めてわかりましたが、入口にあるロビーのラウンジスペースがとても機能するんです。あそこの場所は先ほど言いました通り、どこにも行く場所がない子が集まる。くだらない話しをしたり、携帯電話をいじったりしながら、だんだんそういった子たちがラウンジスペースで知り合いになっていくんです。学校でも家庭でもない、中間領域としての居場所ですね。そういったニーズが予想以上に高いことは驚きました。

児童センターを利用する年代のボリュームゾーンはどこになるのでしょうか?

ここの施設には合計で約180人の小学生が利用している学童がありますので、ボリュームゾーンとしてはその子たちが小学生の利用度を上げている部分はあります。それも含めこちらの利用者は年間で約8万人。そのうち6割が小学生ですね。この周辺は小学校がたくさんありますし、西東京市と東久留米市の市境でもありますので、東久留米の小学生もたくさん利用します。残り4割のうち、2割が中高校生でもう2割が乳幼児ですね。

子供たちの親にとってこちらの施設はどのような存在だと思いますか?

乳幼児の親ですと、夏でも冬でも快適ですし、子供も安心して遊ばせられる場所。そして他のお母さんと知り合ってコミュニティを形成する場所として利用されることが多いと思います。小学校以降でも、やはり「子供が安心して遊べるので助かる」という声は一番聞きますね。あとは親御さんからよく電話がかかってきますよ。「うちの子そちらにいますか?」とか「塾があるから早く帰るように言ってください」とか(笑)。

こちらは定期的にイベントも企画していますが、人気や反響があったイベントはありますか?

人気があるのは年代によって違いますが、乳幼児世代ですと「芋ほり」のような外に出るイベントが人気です。あとは「ハロウィン」とか「ひなまつり」とか、子供たちがコスプレっぽくイベントに参加できるものも人気ですね。小学生ですと12月に開催しているセンターのお祭り。自分たちでお店を企画して出店するんです。関わっている子供たちは「自分たちでやれる」という気持ちがあるのだと思います。もともと「ひばりが丘児童センター」は自分たちが委託を受ける前から、児童館としてそういったイベントを盛んにやっていたそうです。児童館時代から数えますと30年以上の歴史があるので、ベースができているんですね。

中高生たちが盛り上がるのは、バスケ大会やサッカー大会などのスポーツイベントですね。あとは中高生を対象に「児童館キャンプ」という、児童館で一泊する企画がありますが、こちらも人気ですよ。自分たちでご飯をつくり、途中でスポーツ大会などのイベントがあって、ここで布団を敷いて寝るんです。

イベントを企画するうえで重視していることはありますか?

今は職員が企画して子供たちを巻き込んでいく形ですが、本当は子供たちが率先して「こういったイベントをやりたい」と企画して実行委員会を立ち上げてくれるようになってほしい、という願いはあります。そのために今種まきをしている状態ですね。あとは来てくれる子供だけではなく、周りの大人も「ここを使って何か子供が喜ぶことがしたい」という声が出てくればいいなという気持ちもあるんです。やはり地域の関わりはすごく大切な部分ですから。

こちらは佐藤さんを含め、何人で運営していますか?

正社員は私を含め6名で、非常勤職員が7名です。平均年齢は30歳以下と、みんな若いですね。私を抜かせばですが(笑)。高校生にとっては自分とそれほど年齢が変わらないので、話がしやすいと思います。若い彼らに私がよく話すのは「ここはスポーツ施設とは違う」ということです。本格的にスポーツをしたい子が集まって、レベルの高い練習をずっとしている状態になってはいけないんです。

ここはあくまで児童センターですから。大きいお兄さんもいれば小さい子供もいて、みんなが共存していく必要がある。もちろん時には揉めることもあるわけですが、そこで話し合って一緒に遊ぶのか、それとも交代で使うのか。そんなやり取りがあってみんなが利用できる場所でなくてはいけない。どこかのグループが独占して、他を排除するところじゃないんです。ですから予約は一切受け付けていません。児童センターはみんなが話し合って混ざり合ってやる場所なんです。

そのほか、これからの課題や願いがあれば教えてください。

こちらでは学童クラブと保育園が併設されていますが、理想としては0歳から18歳までずっとここで過ごして、その子たちが卒業して大人になり、今度は子供を産んだ親としてまたここに戻ってくる。それができればステキだなと思うんです。

例えば新しいマンションに若いお母さんと赤ちゃんが引越して、ここに遊ばせにきてくれるとします。その子がもう少し大きくなって、今度は施設内の保育園に通って、小学生になったら学童にいって、学童が終わったら高校生まで2階で遊ぶ。つまりずっと子供たちと関わることができるんです。そういう意味ではこの施設の環境はとても素晴らしいと思いますし、これからの願いですね。

保谷エリアの魅力はどんなところだと思いますか?

保谷エリアは近年マンション建設が進んでいるので、ここ数年は子供の数が増えるエリアなのは間違いありませんが、この地域に住む大人の子供への関心は高いと思います。お祭りの実行委員会を立ち上げても、地域の民生委員の方やPTAの方が手伝ってくれます。普通こういった活動にお父さんはあまり積極的でないケースが多いですが、保谷ではお父さんだけの活動というのも盛んですね。地域として、子育て世代に優しいエリアだといえると思いますよ。

今回、話を聞いた人

西東京市立ひばりが丘児童センター
センター長 佐藤文俊 さん

住所:東京都西東京市ひばりが丘3-1-25
電話番号:042-465-4540
URL:http://www.city.nishitokyo.lg.jp/sisetu/itiran/zidokan/hibarigaoka.html

※記事内容は2014(平成26)年3月時点の情報です。

乳幼児から中高生まで、様々な年代の子どもがみんなで混ざり合って楽しむ場所に/西東京市立ひばりが丘児童センター センター長 佐藤文俊さん
所在地:東京都西東京市ひばりが丘3-1-25 
電話番号:042-465-4540
開館時間:9:15~21:00(第1・3・5日曜日は9:30~17:00)※18:00以降の利用は中高校生限定
休館日:第2・4日曜日、祝日、年末年始
http://www.city.nishitokyo.lg.jp/sisetu/..

北鎌倉を代表する古刹/大本山円覚寺 宗務部員 竹林士哲さん


大本山円覚寺 宗務部員
竹林士哲さん

北鎌倉を代表する古刹
大本山円覚寺

北鎌倉駅のホームを出てすぐ目の前にある「大本山円覚寺」は、建長寺とともに北鎌倉を代表する寺院として知られている古刹。「大本山」の名が示すとおり、禅宗のひとつ、臨済宗に幾つかある宗派のうち「円覚寺派」の本山であり、全国から同派の修行僧が集う場であると同時に、一般観光客には「座禅のできるお寺」として親しまれている。

今回はこの寺で座禅指導などにあたっている宗務部員の竹林士哲さんに、円覚寺の見どころをご案内いただいた。

円覚寺の特徴について、簡単にお教えください。

円覚寺

円覚寺は1282年、北条氏の時代に創建されたお寺で、臨済宗のうちでも「大本山」にあたるお寺になります。実は臨済宗にも全部で14の宗派があり、そのうち2つが北鎌倉に、残り12が京都に本山を持っています。北鎌倉では建長寺さんと円覚寺が大本山にあたります。

円覚寺は敷地の中にいくつもの建物がありますが、奥のほうにある建物は円覚寺とは別の寺院になっています。僧の修業道場となっているのは「正続院」というお寺です。

見どころに関しては、まず国宝となっているのが、山の上の鐘楼にある「洪鐘」(おおがね)と正続院の舎利殿です。「洪鐘」は鎌倉時代に作られたもので、鎌倉最大の梵鐘として有名なものです。舎利殿は修行道場の奥にありますので、通常は正続院の入り口から屋根だけを見ていただくことになります。

洪鐘の音色はいつ聞けるのでしょうか?

円覚寺

大洪は除夜の鐘と10月の開山忌(開山国師毎歳忌)の日にのみ、僧の手によって衝かれます。

舎利殿を目の前で見ることができる日もあると聞きましたが。

円覚寺舎利殿(通常非公開)

舎利殿を一般公開している機会は年に3回ありまして、ゴールデンウィークの特別拝観、11月3日前後の「宝物風入」、あとはお正月の三が日です。お正月は舎利殿の手前の門までとなります。

一般の方には座禅が人気ということですが、どのように参禅すれば良いでしょうか。

円覚寺居士林

在家修行者(一般の方)向けの座禅には、毎朝本堂で行っている「暁天坐禅会」と、土曜日に居士林という建物で行っている「土曜坐禅会」があります。近くにお住まいの方には、日課のように座禅に通われる方もいらっしゃいますし、観光の方には時間的にも参加しやすい土曜日の座禅が人気です。より本格的な座禅修業を行う「土日坐禅会」や、学生の方向けに、合宿で座禅を体験する機会などもあります。

「暁天坐禅会」と「土曜坐禅会」に関しては、拝観料だけで参加いただけますので、予約などは無しに、気軽にお越しになってください。もちろん初心者でも大丈夫です。最近は若い方の参禅も多くなっておりまして、観光シーズンの土曜座禅などは100人以上の方が参加されることもあります。

それでは、境内を回るおすすめのコースをご案内いただいても良いでしょうか。

円覚寺山門

まずは寺の入り口にあたる「総門」で拝観料を納めていただきまして、階段をのぼって山門に行きましょうか。実は円覚寺でも関東大震災で多くの建物が倒壊しましたが、山門は奇跡的に倒れなかったということでして、円覚寺の中でも昔の姿を残す、貴重な建物となっています。周りは広場になっていまして、夏には北鎌倉地域の盆踊り大会も行われています。

円覚寺仏殿の梅

山門の奥にあるのはご本尊を収めた仏殿です。「宝冠釈迦如来」という冠をかぶった仏様がおられます。めずらしい仏様ですので、ぜひお参りしてみてください。建物は震災で倒壊したのち、昭和39年に再建されたものです。「暁天坐禅会」が行われているのもこちらです。

本堂から左に出ていただいた場所にあるのが「選仏場」(せんぶつじょう)でして、今は使われておりませんが、昔は座禅の場として使われていました。こちらも中の様子を見ていただけます。選仏場の隣にあるのが「居士林」といって、現在も使われている在家信者の座禅道場です。普段は中に入れませんが、土曜日の座禅はこちらで行われます。建物は昔、東京の牛込で柳生家の剣道場として使われていたものを、こちらに移築したものです。

円覚寺舎利殿(通常非公開)

居士林から右手に回っていただくと「方丈」があります。こちらは手前の庭園のみの公開となりますが、裏手にも池のある美しい庭があります。門の彫り物や「百観音」などが見どころですね。方丈の建物は檀家さんのための客殿ですので、一般向けには公開はしていませんが、11月3日前後の「宝物風入」の時にはこちらで宝物の虫干しを行います。貴重な掛け軸などを見られる年に一度の機会ですので、是非いらっしゃってみてください。

方丈の庭を出たところにあるのが「妙高池」(みょうこうち)でして、「虎頭岩」という岩があります。こちらは昔の資料に基づいて平成になってから再現した岩ですが、虎のようにも見えると言われています。池の向こう側に見えているのが、修行道場の「正続院」ですね。舎利殿の屋根がご覧いただけると思います。舎利殿は鎌倉で唯一の国宝建造物でして、非常に希少な建築様式になっているということです。私も修業時代には、毎朝ここを掃除をしていたものです。

(今回の写真は元修行僧である竹林さんの特別な計らいで、舎利殿の中まで入れていただき、撮影させていただいたものです)

円覚寺で厳しい修業の日々を送った竹林さんに、円覚寺と北鎌倉の魅力について尋ねてみた。

円覚寺

円覚寺は敷地が広く、独特のおごそかで静かな雰囲気があります。四季の花もきれいですし、紅葉の時期の妙高池の周りなどは特に美しいですよ。 北鎌倉は有名な観光地ではありますが、鎌倉中心部と比べれば朝夕などはとても静かで、自然も豊かに残っています。

この静かな環境こそが、北鎌倉の一番の魅力なんでしょうね。

円覚寺

今回、話を聞いた人

大本山円覚寺 竹林士哲さん

円覚寺の宗務部員。座禅指導などにあたっている。

住所:神奈川県鎌倉市山ノ内409
電話番号:0467-22-0478
拝観時間:8:00~16:30(冬季16:00まで)
拝観料:大人300円、小人100円
URL:http://www.engakuji.or.jp/

※記事内容は2013(平成25)年3月時点の情報です。

北鎌倉を代表する古刹/大本山円覚寺 宗務部員 竹林士哲さん
所在地:神奈川県鎌倉市山ノ内409 
電話番号:0467-22-0478
拝観時間:3月~11月 8:00~16:30、12月~2月 8:00~16:00
拝観料:大人 300円、小人 100円
http://www.engakuji.or.jp/

「小・中一貫校」と「コミュニティ・スクール」 三鷹をダイナミックにリードする“一中”の学校運営/連雀学園 三鷹市立第一中学校 校長


連雀学園 三鷹市立第一中学校 校長 松永透先生

「小・中一貫校」と「コミュニティ・スクール」
三鷹をダイナミックにリードする“一中”の学校運営

三鷹市の市役所近くにあり、地域の人々からは“一中”という呼び名で親しまれている「三鷹市立第一中学校」。三鷹市内では中学校の学区ごとに小・中一貫の「学園」を形成しているが、“一中”の学区は「連雀学園」という名が付けられている。今回はの三鷹市立第一中学校の松永透校長を訪ね、お話を伺った。

まず「三鷹市立第一中学校」の歴史についてお聞かせください。

連雀学園

本校は、昭和22年の4月に開校した、いわゆる新制中学校の第1期校でして、当時は「三鷹町立三鷹中学校」ということで、町内で唯一の中学校でした。ですから、現在でも地域の大先輩の方々には、「中学といえば一中」という方が多くいらっしゃいます。今年で創立66年になりまして、歴史的にずっと三鷹をリードする学校としてやってきた自負は、在校生も、もちろん卒業生も持っております。

平成20年からは「連雀学園」ということで小・中一貫教育校となりまして、ただ一貫というだけではなく、「コミュニティ・スクール」として、保護者の方だけではなく地域の方々も含め、学校の運営や教育活動の支援に積極的に参画できる仕組みが整いまして、「地域で子ども達を育てましょう」という空気が非常に醸成されてきました。

実はもともと三鷹というところは、40年以上も前から「コミュニティ行政」というものがありまして、市内に7つある「住民協議会」が、住民自治による地域運営を進めてきたという歴史があります。その点では、すごく「市民参加」ということに関して、伝統をもっていた地なんですね。

「コミュニティスクール」とはどんな仕組みなのでしょうか。

連雀学園三鷹市立第一中学校

たとえば学校の「経営方針」については、普通ですと校長が決め、それを職員に示すものなのですが、「コミュニティ・スクール」では、地域の人が一定の権限を持っていて、校長が提案した方針を地域の人で協議し、承認し、初めて実行に移されるという仕組みになっています。地域の人にも権限と責任をもってやっていただいていますから、「地域住民は学校運営のパートナーである」という位置づけになりますね。株式会社のようなものです。

市内でも大規模な中学校であるとお聞きしました。そのメリットとは?

連雀学園の学区には小学校が3つ(四小、六小、南浦小)ありまして、全部の小学校の学区が中学校の学区にすっぽりと収まっていますので、これらの小学校を出た子どもたちは、全員一中に来るという形になります。もちろん私学を受けられて、抜けられる方もいらっしゃいますが、小・中一貫の良さがご理解いただけるとともに、だんだん進学してきてくださる人数も増えていまして、現在は727人という、市内では最も大きい中学校になっています。

メリットとしましては、ひとつは、教職員の数が多いので、人が多く、いろんな持ち味を持った先生が子どもに関わってくれることですね。もうひとつは、学校行事がとにかく“ダイナミック”です。

小中一貫の特色とは何でしょう?

連雀学園

ひとつはカリキュラムです。三鷹市では基本的に国の学習指導要領に基づいたカリキュラムで進めていますが、普通の学校ですと、たとえば算数や数学などは、中学校の先生が、小学校ではどんな指導が行われているのかを分からないままに指導していることが多いんですね。しかし、「小学校の何年生でどんな学習をしているか」ということを中学校の先生も知っていれば、「何年生の時に何をどこまでやったよね」ということが言え、子どもたちの頭に、すっと新しいことが入ってくるんです。

三鷹市の学校には、その辺りをまとめた「単元の系列配列一覧」という資料がありまして、「9年間の中で、今日行う授業はどこに位置づくのか」ということを、先生方はいつも把握して、授業をしていきます。そうしますと、今日やったことが、今後どの場面でどう役立っていくのか、反対に、今日やったことが把握できないと、その子が今後どこでつまずいてしまうのか、すべて分かるんですね。これを分かって授業を行うのと、ただ教科書に沿って授業を進めるのとでは、全然子どもたちの定着が違うんです。これはすべての教科に共通して言えることで、「今日の授業が9年間の中でどの位置づけにあるか」ということを考えながら、カリキュラムを作っています。

もうひとつは、「子どもたちの交流」です。同じ「連雀学園の子ども」と一体感をもって交流することで、例えば中学生が小学生の面倒を見たりする場面が生まれ、非常に自己肯定感、自己有用感が育ちます。中学生ともなれば家で叱られることも多いのですけれども、小学校に行って、特に低学年の子どもたちのお世話をすると、「自分は大人なんだ」ということを理解し、頼られることで自尊感情が高まり、子どもたちは伸びていきます。

小中で担任、教科担任、クラブなどの連続性はあるのでしょうか。

三鷹市立第一中学校

法律上は別々の学校ですが、学園内の小学校と中学校の教員は、東京都の教育委員会から「兼務発令」というものを受けておりまして、小学校に中学校の先生が行って授業をしたり、逆に、中学校に小学校の先生が来たりして交流しています。「中1ギャップ」という言葉もありますが、よく知っている小学校の担任の先生が、中1の授業に入ったりすると、子どもたちはとても安心して、定着がスムーズにいくんですね。

中学校の先生が小学校に行く場合も、特に高学年の子には、「中学校に行ったらこういう先生に教わるんだ」ということが分かりますから、垣根が低くなります。本校では現在、算数・数学と、理科でこのような相互乗り入れ授業を行っています。

その成果もあって、進学校として知られるようになっているのでしょうか。

 

確かに、都立のトップ校に進学する子の数はここ数年増えていますね。たとえば西高(東京都立西高等学校)、国立(東京都立国立高等学校)、立川(東京都立立川高等学校)、日比谷(東京都立日比谷高等学校)、戸山(東京都立戸山高等学校)など、都内有数の学校に進学する子どもたちはけっこういます。中学から私学に行かれて名門を目指す、というのもひとつの考え方ですけれども、公立中学校も今は本当に落ち着いた教育環境の学校がありますので、そういったところで力を付け、高校受験をするというのも、ひとつの方法だと思っています。

実際私学を出た方などに聞いてみましても、「地元の友達」は中学校までの間に多く作れるものなので、そういう環境で学習するというのも良かったな、とおっしゃる方も多くいました。

三鷹市ではすべての公立校が小・中一貫となりましたが、地域内のすべてが一貫校になっている自治体は、ほかにあるのでしょうか。

連雀学園

横浜市などは今後全校を小・中一貫にするという話ですが、もうひとつその上に「コミュニティ・スクール」という言葉が付いて全市展開しているのは、三鷹市だけかと思います。
実は三鷹市では、小・中一貫化に先立って、平成18年からコミュニティ・スクールに取り組んでおりまして、国の教育政策に関わる会議でもよく議論されていますように、国全体的としても、将来的には小・中一貫校とコミュニティ・スクールをセットにしていこう、という流れになっています。ですからこの三鷹方式というのは、モデルケースとして全国的に注目されているんです。

一中の子ども達の様子、特色についてお聞かせください。

連雀学園

非常に「頑張る」子どもたちが多いですね。子どもたちもそうなんですけれど、やはり地域の方々や保護者の方々が、すごく愛情を注いで育ててくださっているからだと思います。それが子どもたちに現れているのでしょう。

部活動などもそうですね。たとえばサッカー部などは、去年は都大会制覇(優勝)しまして、関東大会にも出場しました。公立で都大会制覇というのは、とても奇跡的なことなんです。ほかの部も良い成績を収めています。文武両道の子ども達が多いですね。

地域の方が運営面以外に、学習や課外活動で関わることはあるのでしょうか。

連雀学園三鷹市立第一中学校

いわゆる「学習支援ボランティア」の形で、頻繁に学校には来ていただいています。コミュニティ・スクール委員会の中に、「サポート部」という部会があるのですが、そこが色々とコーディネートしながら、先生方のオーダーに従って、例えば家庭科で調理実習があるとすれば、その部会に「地域のお母さん方に何人か来て頂けないか」という声がかかるんです。

昨年は「ミッションC」というものも行いました。Cは「クリーン」のCで、市内の清掃活動なんですけれども、これも小学生と中学生で一緒にやりましょう、ということで児童会と生徒会が中心となって企画し、コミュニティ・スクールでサポートに入っていただき、実現したものです。

連雀学園三鷹市立第一中学校

中学校ですので、基本的に大人は、「口を出す」のではなくて「見守る」ということで関わっています。お仕着せのものをさせるのではなく、「子どもたちの発想を生かし、サポートしていく」というもう一歩上のレベルまで、“地域力”は高まっているのだと思っています。自治体にサービスの提供を期待するのではなく、保護者の方や地域の方も“教育の当事者”として関わり、「一緒にいい学校を一緒に作りましょう」という、そういう感覚なんですね。

学校としても、地域を、学校をより良くするための「パートナー」として見ていくことができますので、これはすごく良いことだと思っております。

最後に、上連雀エリアの魅力についてお教えください。

一中の辺りは市役所、図書館、太宰治の墓、ジブリ美術館など、文化的な施設が集中している地域ですので、子どもたちの学習環境としては、すごく良いものが揃っていると思います。あとは何よりも、地域住民のパワーがあることでしょうね。緑も多くて、どなたにも住みやすい土地だと思います。

連雀学園

今回、話を聞いた人

連雀学園 三鷹市立第一中学校

校長 松永透先生

住所:東京都三鷹市下連雀9-10-1
電話番号:0422-44-5371

※記事内容は2014(平成26)年3月時点の情報です。

「小・中一貫校」と「コミュニティ・スクール」 三鷹をダイナミックにリードする“一中”の学校運営/連雀学園 三鷹市立第一中学校 校長
所在地:東京都三鷹市下連雀9-10-1 
電話番号:0422-44-5371
http://mitaka-schools.jp/ichichu-jhs/ind..

子どもたちに“居場所”を提供

子どもたちに“居場所”を提供する/港区立港南子ども中高生プラザ 伊東寛さん


港区立港南子ども中高生プラザ 館長 伊東寛さん

子どもたちに“居場所”を提供する
大型児童センター「港区立港南子ども中高生プラザ」

近年、高層マンションの相次ぐ建設で人口増加が進んでいる港区「港南エリア」。このエリアは住宅地であると同時にビジネスの拠点でもあり、「子どもたちが安全に遊べる、居場所の確保」が課題だった。港区では、本館プラザと学童クラブ分室に分かれて運営されていたこれまでの「港区立港南子ども中高生プラザ」を、移転統合することで充実を図った。

今回は、港南中学校の隣に平成24年12月1日にオープンした「港区立港南子ども中高生プラザ」、愛称「プラリバ」にお伺いし、館長の伊東寛さんにお話を聞いた。

「児童館」と言えば公民館のような小規模なイメージがあったのですが、こちらは市民会館のように大規模なんですね。

プラリバ-外観

全国各地の自治体には、児童福祉法に基づいた「児童館」という社会資源があります。ここはその中でも大規模なもので、「大型児童センター」と区分されています。「児童館」は法律上「0歳から18歳までの子どもとその保護者が利用できる」という施設で、大型と名が付いたとしてもその原則は同じです。

ただ、「プラリバ」の正式名称「港区立港南子ども中高生プラザ」が示すとおり、中高生を意識したものとなっています。これまでの「児童館」はどちらかというと小学生が中心というイメージがありましたが、ここでは、小学生のお子さんはもちろんですが「中高生の居場所づくり」という観点を意識しています。

いろんな方が利用されると思いますが、実際の利用状況はどのようになっていますか?

港区立港南子ども中高生プラザエントランス

まず午前中は、主に未就学児とその保護者の方が多いですね。「プラリバ」には「子育てひろば」としての側面もあります。午前中は施設もスタッフも余裕がありますから、在宅で子育てされている方にコミュニケーションの場所を提供し、相談にも応じています。

基本的には自由に遊んでいただいていますが、0歳、1歳、2歳で同じくらいの月齢のお子さんが集まる、年齢別の「おひさまっこ活動」を企画しており、多くの方にご参加いただいています。

ただ、そうでなくても、いつでも行けば誰かがいたり、職員が対応したりしますので、気軽にいらしていただければと思います。

午後の早い時間になると、幼稚園帰りの親子が多くなります。お迎えの帰りにママ同士でお話をされたりとか、子どもたちの遊び足りないのをフォローするために訪れる方がいらっしゃいます。

小学校が終わる時間帯からは小学生の利用が増えますし、小学1年生~3年生を対象とした「学童クラブ」も始まります。学童クラブは、両親ともに就労していたり、病気などでご家庭での保育に欠けるお子さんが、小学校から直接来館し、おやつを食べたり、宿題をしたりしながら、過ごす場所となります。宿題の声かけはしますが、強制することはありません。あくまでも「安全な居場所の確保」が中心です。

学童クラブは基本的に5時半に帰りの会を行い、最終的には6時半までが利用時間となります。

学童クラブ以外にもたくさんのお子さんが遊びに来ますが、学校からの直接来館はできません。一旦帰宅後、ランドセルを置いてから、遊びに来てもらっています。

プラリバ-体育館

もう少し遅い時間になると、中学生、高校生が増えてきます。中高生の場合は、来る子は毎日来ますし、特別な目的を持って来る子が多いですね。

部活もなく、家も留守という子は職員と話すために来館しています。ほかにも、バンドの練習や、ローラースケート、ダンス、バスケットボールの練習などに通われる子も多いです。「目的利用」と「居場所」の2つの性格が強いと言えるでしょう。

児童館の利用時間は6時までのことが多いですが、中高生だと部活などもあって利用できる時間が短くなります。「プラリバ」は8時まで開館しているので、中高生の利用に適していると思います。あとは、音楽スタジオやローラースケート場などの施設が充実していることも魅力のひとつなのでしょう。

港区民以外は利用できないのでしょうか?事前に登録などは必要ですか?

プラリバ-パソコン室

事前に登録などは必要ありませんが、利用時は入口でお名前を書いていただいています。何度も利用される方にはQRコードを印刷した入退館カードによる入退館システムの利用をお願いしています。カードを作成しますと、入館と退館の際にカードを端末にかざすだけで手続きができ、記名する必要がありません。

学童クラブに関しては、保育園の入園審査のように保護者の就労状況などを点数化して入会の可否を判定しています。場合によっては「待機」になることもありますが、移転に伴い60名×4クラスの240名定員になりましたので、現時点では「待機」は発生していません。

それ以外は、基本的に子どもとその保護者であれば、どなたでも、いつでもご利用いただけます。近隣の品川区や大田区のお子さんでも、お友達がこの地域に住んでいるなどの理由で、遊びに来ることもあります。

館内の施設を簡単にご紹介いただけますか?

プラリバ-図書ラウンジ

来館したら、まずは事務室の脇にある入館名簿に記入をするか、カードをかざして入館の手続きをします。入口の横にあるカフェテリアのような場所は「図書ラウンジ」で、本を読んだり、ボードゲームをしたりと、ゆったりくつろいだりすることのできる場所となっています。こちらでは飲食も可能です。

プラリバ-乳幼児室

その先にある「おひさまっこルーム」は、乳幼児と保護者の方のためのお部屋です。すべり台やプラレールなどの遊具があり、授乳スペースも備えていますので、小さなお子さんでも安心して遊べるかと思います。

2階は主に小・中・高校生向けのスペースになっています。受験勉強などもできる学習室、パソコンを自由に使える「パソコン室」、工作ができる「創作室」などがあります。

変わったところでは「音楽スタジオ」と「ダンススタジオ」でしょうか。こちらは防音もしっかりとした本格的な設備となっていますので人気が高いですね。予約して利用していただくようになっています。

プラリバ-音楽スタジオ2

3階は体育館と集会室があるほか、屋外スペースには「屋上広場」があります。体育館ではバスケットボール、ドッジボール、バドミントン、トランポリンなどのスポーツが行えますし、集会室にはクライミングウォールもあるんですよ。屋上広場も人気が高い遊び場で、ローラブレードやローラーホッケーができます。

イベントやプログラムも沢山企画されていますね。館独自のもの以外に、地域の人々や、企業との共同企画などもされていらっしゃるのでしょうか。

通常のプログラムとしては、ドッジボール、サッカー、一輪車、バスケットボール、クライミングなどのスポーツ系の企画や、料理、工作、映画などの企画などが定期的に行われております。

このほか、近くにある東京海洋大学と連携したプログラムもあり、今年度については「食を通して海洋環境を考えよう」という企画を考えています。この中では実際の料理人の方に魚を調理していただいてそれを食べたり、2日目には、海洋大学の船に乗って東京湾で魚の生態を観たりする予定です。

そのほか、企業の協力による企画もあります。たとえば、港南には大手電機メーカーの本社があり、企業の社会貢献事業の一環で太陽電池を作るワークショップなども行われています。

2011プラリバまつり

地域にお住いの方々のお力添えもいただいております。年配の方をお呼びして、読み聞かせの会を開いたり、折り紙を教えていただいたりもしています。

毎年恒例の「プラリバまつり」では、地域の皆様に焼きそばを焼いていただいたり、小学校や中学校のPTAの方にもたくさんご参加いただいてきました。

ある意味、地域のお祭りのようになっていますよ。

港南地域の「子育てのしやすさ」について教えてください。

最近は、保育園もかなり増えてきましたね。認可保育園だけでも、区立を含めて港南エリアには、港区立こうなん保育園・港区立たかはま保育園・ベネッセチャイルドケアセンター港南・ゆらりん港南保育園の4園があります。港区の待機児童対策としては、私立認可保育園の誘致や緊急暫定保育室開所の「計画の前倒し」などに取り組んでいます。

未就学児と保護者向けの「子育てひろば」に関しても、港南エリアには各地に設置されています。今年の4月には、港南4丁目に新設されるなど、より充実しています。「プラリバ」も、専門ではないのですがその機能をもっています。そういう意味では、子育てに関する社会資源はかなり充実しているエリアだと思います。

あと、小学校も新しく大規模なものとなっていますので、人口増にも対応できるものと思われます。

港南地域の「暮らしやすさ」、「街の魅力」についてお聞かせください。

2011花火大会

そうですね、急激に人口が増えた地域としては、コミュニティを作ろうという気運が高いんだと思います。以前からこの地域にお住まいになっている、公共住宅、公営住宅、公団などの方などは、今ではご高齢の方が多いのですが、そういう方たちと、マンションに住まわれた若い世代の方との交流もさかんです。この近くの2000戸あるマンションでも、最近自治会ができましたし、新しいお祭りなども2年前から始まりましたね。

防災に関する取組みも、地域ぐるみで行われています。この地域には「港南防災ネットワーク」という組織がありまして、有事の際の対応を日常的に話し合っています。もともと小学校単位のエリアで「防災協議会」というものがあったのですが、港南地区では、住民・商店・企業なども含めた形でネットワーク化が進んでいるということですね。その点でも安心感が高く、そういった関わりを通じて、地域の団結力も強くなっているのでしょうね。

お祭りが増えてきているのも良い傾向だと思います。これは私個人の考えですが、タワーマンションは、隣同士の付き合いが少ないのではないでしょうか。でも子どもができたら、ご近所付き合いに無関心ではいられなくなると思います。そこに“地域のお祭り”というものがあれば、そこをきっかけに地域の輪に飛び込んでいけるんじゃないかな、と思いますね。

環境的な面では、まず、治安はとても良いと思います。不審者情報も少ないですし、道路が広くまっすぐに整備されていますから、見通しも良いです。公園や緑も多いですし、働く人も暮らす人も多い地域ですから、昼夜の人口の差も小さくて、寂しさも無いですね。

インフラの面でもこれから充実していくのではないでしょうか。区の総合支所もこれから新しくなりますし、泉岳寺新駅の話もありますね。将来的には東京都の経済特区になるそうですから、まだまだ新しい街並みが生まれるのではないでしょうか。都内でも有数の「将来性があるエリア」かと思います。

  プラリバ-伊東さん

今回、話を聞いた人

港区立港南子ども中高生プラザ
館長 伊東寛さん

住所:東京都港区港南4-3-7
電話番号:03-3450-9576
http://www.plaliba.com/

※記事内容は2013(平成25)年4月時点の情報です。

子どもたちに“居場所”を提供する/港区立港南子ども中高生プラザ 伊東寛さん
所在地:東京都港区港南4-3-7 
電話番号:03-3450-9576
開館時間:9:30~20:00
休館日:祝日、年末年始(12/31~1/3)
https://www.plaliba.com/

楽しみながら能力を伸ばす/レゴ®スクール大井町 マネージャー 渡邊くみ子 先生


レゴ®スクール大井町
マネージャー 渡邊くみ子 先生

デンマーク生まれの教育法
楽しみながら能力を伸ばす「レゴ®スクール」

「大井町」駅中央口の目の前、光学通りの入口角にあるビルで開かれている「レゴ®スクール」は、昨今さまざまなメディアでも取り上げられ、注目されているデンマーク生まれのスクールだ。おなじみ「レゴ®ブロック」を使ったハンズオン・ラーニングを基本としながらも、そこに論理的思考、実験と検証、表現、コミュニケーション、プレゼンテーションなどの要素を組み入れ、楽しみながら能力を伸ばしていくことを目的としている。

今回は土曜日に開かれていた幼児・小学生向けのレッスンを見学しながら、レゴ社公認の「レゴ®スクール」を都内・港北に計4教室展開する「株式会社イマージュ」のマネージャー、渡邊くみ子先生にお話をうかがった。

「レゴ®スクール」とはどんなものでしょうか?

LEGO 大井町

「レゴ®スクール」は、レゴ社(本社デンマーク)独自の教育システムと発達段階に合わせたカリキュラムで、レゴ社認定の先生による少人数制レッスンを行いながら、学びの意欲を高め、レゴ®ブロック教材で何かを作るという体験を通して、子どもたちの潜在能力を引き出すことを目指しています。「Open-ended」(答えは1つではない)というのが大きな魅力のひとつになっています。

LEGO 大井町

「レゴ®スクール」は、大井町スクールのほか、六本木ヒルズスクール、世田谷スクール、港北スクールの計4教室を弊社で運営しております。私自身としては、13年間、レゴ®ブロック教材を使用した教室のインストラクターをやらせていただいています。以前は日本独自のカリキュラムを実施する教室でインストラクターとして指導をしておりました。

現在は「レゴ®スクール」としてレゴ社の教育部門レゴエデュケーションが、子どもたちが遊びの中で自然に学びを探索できるよう、マサチューセッツ工科大学やタフツ大学などの教育の専門家、教育現場の先生など様々な教育機関との提携のもと、開発された教材やカリキュラムを実施しています。

最近は「グローバル化」という言葉をよく耳にします。国を超えグローバルに活躍する人材を育てることもレゴ®スクールの使命です。『世界にはばたく子どもたち』を育成するレゴ®スクールが今年4月大井町にも誕生しました。

大井町教室の沿革について教えてください。

LEGO 大井町

大井町の教室が「レゴ®スクール」になったのは、今年(2013(平成25)年)の4月ですが、私も山口スクール長も、10年以上大井町で日本独自のカリキュラムを実施するレゴ教育をしていました。現在の「レゴ®スクール大井町」は、JR「大井町」駅からも徒歩1分、バス停も目の前ですし、コインパーキングも充実しています。また、「品川」駅の1つ隣ということもあり、遠方からの生徒さんもいらっしゃいます。中には新幹線で来られる方もおられます。

「レゴ®スクール」のカリキュラムは基本的に3歳(年少)から10歳(5年生)までのカリキュラムですが、弊社のスクールに関しては、オリジナルで2歳児のプログラムもあり、就学前の子どもたちが楽しみにしている習い事として、人気のクラスとなっています。母子分離のクラスですが、子どもたちは先生の言葉を聞いて、理解して、形にして、言葉にしてという生きていくための必要な力を楽しい遊びの中で学んでいます。現在は2歳児から高校生まで、150人くらいの生徒さんが通ってくださっています。

今日はどんな内容を行っているのでしょうか?

LEGO 大井町

今日は小学1年生がお家にある物の仕組みの「電気のスイッチ」について学んでいます。一般販売されていない「アーリーシンプルマシン」という、簡単な機構について学べる教育用教材を使ってテコの原理を活用した電気のスイッチを作り、どうしてスイッチを押したら電気が点くのか、電気回路を体験的に学んでいきます。このほかにも、滑車の原理、ギアの比率の仕組みなどを理解していくカリキュラムもあります。たとえば壁の掛け時計。「なぜ乾電池1個で長い針と短い針と、違う動きをするかご存知ですか?」あたりまえの事だけど不思議ですよね!子どもたちはレゴ®ブロック教材のアーリーシンプルマシンで時計の仕組みを作り、作ったモデルを実際に動かすことで、その仕組を自分たちで理解していくんです。

このように子どもたちは物理、数学およびテクノロジーの基本概念を自然に学びます。それらの知識を取り入れた作品を表現することで独創的なアイデアや分析力を高めていきます。

LEGO 大井町

こちらは小学校2・3年生のサイエンス&テクノロジーという教育用教材です。こちらはモーターを取り入れ運動エネルギーやエネルギー変換などの力学を体験します。単に知識を詰め込むのではなく、自分で作る体験から、科学が生活の身近にあることも理解できます。

例えば「風に向かって進むんだ!」のカリキュラムでは、風を吹いている扇風機に向かって走る車を組み立てます。わかります!?風に向かって走る車なんて不思議ですよね!このモデルを使って、予測→実験→検証→発表をする事で風力の利用、ギアダウンや回転方向の変更、摩擦の考察などを学びます。このように、ものづくりを通して身近なものの仕組みや数学的な見方などを学び、科学を応用した創造力と問題解決力を身につけていきます。

 

先生方が普段心がけていることは、どんな点でしょうか。

LEGO 大井町

「考えることの楽しさ」を発見できるようにということを常に心がけています。子どもたちの「もっと知りたい」「もっとやりたい」という気持ちを引き出す指導方法は、学校教育者の皆様からもすごく興味を持っていただいています。

「レゴ®スクール」は、理科と算数の知識を多く使います。分類したり、確率を考えたり、予測して、データ分析などもやります。たとえば「Aはタイヤが大きい、Bはタイヤが小さい、どちらがどれだけ進むだろう」っていう実験についても、それを何度も繰り返し、計測して、「たぶん、こうであろう。」と分析をします。事前にはきちんと予測も立てます。

でも、予測を立てて、実験をして、全然違う結果になることもありますね。その時、子どもは「どうして違ったの?」ということになるわけです。その時インストラクターは説明するのではなく、「どうしてかな?」と一緒に考える方向へ導きます。インストラクターは「ファシリテーター」なんです。子どもたちが考えるための声かけをします。行き詰まってしまった子に提案やアドバイスをしたり、パターン化してつまらなくなってしまった子に、「次はこんなことできるようにならないかな?」と声をかけてみることで、”フロー”という長い時間集中できるように導きます。 子どもたちのさらに学ぼうという好奇心や探究心を引き出し、最適な課題を提供していくことを心がけています。

「コミュニケーション」ということも大切に考えています。今日も年少さんは「お医者さん」というテーマでレッスンを行っていますが、インストラクターは「病院ってどんなところ?何をするところ?そのためには何が必要なのかしら?」と、子どもたちの知識や経験を引き出し、今日の課題の「お医者さん」に興味をもち、想像力を働かせ、ブロックを組み立てながらアイディアを表現できるように導きます。作ったものを見ると、ひとりひとり全然違うものが出来上がるんですね。これが「オープンエンド方式」です。答えは1つではなく、子どもの数だけ答えはあるという考えです。自由な発想を大切にすることでクリエイティブな問題解決力が身につき、自信へとつながっていきます。

自分たちが作り上げたもので遊ぶ中で、「あら、○○ちゃんの病院すごいね、これは何?」という風に、先生が質問を投げて、子どもたちはその質問に対して答えることで、楽しい遊びの中でコミュニケーションを理解していくんです。

また、ほかの子の作ったものを見て、発表を聞いて、「自分はこう作ったけど、こんな考えや、こんなブロックの使い方があるんだ」ということを、ディスカッションの中で理解したり、シェアしていきます。それがレゴブロックを使った教育の一番の魅力かもしれませんね。

子どもたちには、ほかにどんな力が付くと思いますか?

LEGO 大井町

ひとつは集中力だと思います。大井町スクールは部屋と部屋との間に棚を置いてあるだけで壁を作っていません。隣の部屋の様子も見えますし、もちろん声も聞こえます。「シーン」とした静かな環境も良いのですが、どんなところでも対応できる集中力を身につけたいと私たちは考えています。そのためには、『見たい』『聞きたい』『やりたい』という気持ちを引き出すことが必要です。「しっかりと先生の話を聞いていると、または作ってみたら楽しいことがある」というモチベーションが必要だと思うんです。見ていただければわかると思いますが、子どもたちはこんな賑やかな環境でも、すごくレッスンに集中していますよね。

LEGO 大井町

ちょっと面白いのは、絵を描く能力にも影響があるそうで、保護者の方から「先生、うちの子の絵が学校の先生に褒められたんです。絵が3Dになっているって!」という声をいただいた事があります。レゴ®ブロックでものづくりをする中で、色々な方向から物を見ることや、立体的に表現する力、そして空間認識が身についたようです。

また、英会話の先生からも「さすが、君はレゴをやっているからいろいろな表現ができるね」って褒められたという話もお聞きしました。「物事の見方が変わると表現が豊かになる」とでも言うんでしょうか。これらの話は、通ってくださっている生徒保護者様からお聞きした成果です。こういった生徒さんの成長した話を驚きながらも大変喜んでいるところです。

レッスンの最後に行なっていることは何でしょうか?

LEGO 大井町

授業を振り返って記録する、ということでワークブックへの記入も行ないます。記憶は忘れてしまうから、記録をしましょう、ということですね。これはテストではなくて記録ですから、合っているとか間違っているとかの評価はしません。ワークブックの写真やイラストを見ながら今日のレッスンを振り返り、レッスンの中で気がついたことや発見したことを記入します。ワークは今日の学習内容の確認をする作業なので、子どもたちも楽しみながらワークブックの記入ができています。

また、レッスンの最後には、その日に作ったものや発見したこと、工夫した点などを、迎えに来る保護者の方に“プレゼン”します。「どこをどうすれば、どういう動作になります。そのためにどういう点を工夫しました」などという風に自分の言葉で説明するんですね。毎回のレッスンで、2つか3つくらい、今日はこの言葉を使いましょうという「語彙」がカリキュラムの中におりこまれていて、たとえば摩擦、重力、支点なんかがそうなんですが、これらの語彙を取り入れながら、保護者の方に説明できるように導いています。

子どもたちはずいぶん楽しそうに取り組んでいますね。

LEGO 大井町

これも「レゴ®スクール」の特徴なんですが、子どもが「見て見て!」って楽しくやっている習い事なんです。レッスンをやっている間、保護者の方は教室にいませんが、これはレッスンが終わった後に、保護者の方に初めて中に入ってもらって作品を見てもらうことで、ママもパパも、「すごいすごい」って褒めてくれますし、喜んで写真を撮ってくれたりするんですね。そうすると、お子さんたちはそれが嬉しくて、「ここはこんな工夫があって、こういう仕組みを作ったんだよ」って一生懸命に説明するんです。

ですから、子どもたちは最初はレゴが好きで来るんですけれども、インストラクターは子どもの気持ちや考えを引き出し、思いや考えを自由に表現するように、その子のいいところを褒めてあげるという作業を大切にしているので、子どもたちは、「先生が大好き、お友達が大好き」という心地良い場所になっているようです。

LEGO 大井町

保護者の方からも、「レゴが好きで見に来たんだけど、すばらしい教育ですね」と言っていただけることもあります。問題があって答えを覚えるという詰め込み教育ではないので、お子さんの成長をテストの点数などで評価できるような教育ではありませんが、子どもたちが生き生きとした活動の中で、将来のための力を身につけていくことを、保護者の方にも感じていただければと思います。

ロボットを使った授業も評判とお聞きしましたが。

LEGO 大井町

「ロボティクス」の学習は8,9歳(3,4年生)からのカリキュラムです。ロボット教材教育版「レゴ マインドストーム」を使ったレッスンは、プログラミングの基礎学習を習得しながら、自立型ロボットを組み立てます。ブロックを組み合わせるように、コンピュータ上でアイコンを組み合わせて、その値を変えていくことで、様々な動きをつくり出すことができます。大人の方がやっても夢中になれますよ。

実際には、自分でパソコンの画面を開いて、アイコンを組み合わせてプログラムを作って、それを「レゴ マインドストーム」にダウンロードして、フィールドの上に置いて、スイッチを押して走らせて検証する、という流れになります。例えば”道をたどる犬”では光センサーを使って黒と白を見分け、黒のラインから外れないように犬型ロボットが進むプログラムをつくります。”お父さんのラジオ”ではサウンドセンサーを使い、遠く離れ場所からラジオを止めるプログラムを作ります。プログラムを作ることで論理的思考力を養いながら身の回りの社会環境と科学の関連性を深めていきます。

ここまで至るには、やはり年少からレゴに触れて、ステップアップしていく必要があるのでしょうか。

LEGO 大井町

そうですね。意欲的な探究心や創造的な思考力などは、問題があって答えがあって覚えるという習慣がつく前に、つけてあげたいと私は考えます。幼児期には「何これ?」「どうして?」などの物への興味をもつことや、夢中になって遊ぶ経験がとても大切です。

幼児期には「何これ?」「どうして?」という好奇心が強い時期だからこそ、夢中になって教育・経験をたくさんさせて、いろいろな事に興味・関心を広げることができます。ただ、お子様によって興味を示す時期は異なりますし、少し知識を持ってからの方が、より深く考え集中し、学ぶことが楽しいと感じることもあります。インストラクターは常に子どもたちの「これをしたい!」という気持ちを引き出していきますから、安心してお任せ下さい。

最後に、大井町エリアの魅力についてお聞かせください。

電車の便も、バスの便も、車も交通の便がすごく良いです。駅周辺は大型ショッピングセンターもあれば、小さな街の商店もありますし、美味しいお食事からリーズナブルなお食事まで充実しています。そして一歩入れば閑静な住宅街なので大井町は住みやすいと思います。教育に対する興味関心度の高い方が多くお住まいであるように感じます。すべてが詰まっている街だと思います。

LEGO 大井町

今回、話を聞いた人

株式会社イマージュ 教育事業部 マネージャー
レゴ®スクール ヘッドインストラクター
渡邊 くみ子 さん

所在地:東京都品川区大井1-49-15
電話番号:03-6417-1415
イマージュ:http://www.image-n.co.jp/
レゴ®スクール:http://legoschool.jp/

※記事内容は2013(平成25)年9月時点の情報です。

楽しみながら能力を伸ばす/レゴ®スクール大井町 マネージャー 渡邊くみ子 先生
所在地:東京都品川区大井1-49-15 アクセス大井町ビル3F
電話番号:03-6417-1415
http://legoschool.jp/locations/oimachi/

「地域の学校」を目指して/浜川小学校 校長 矢田雅久先生


品川区立浜川小学校
校長 矢田雅久先生

「地域の学校」を目指して
「浜川小学校」のユニークな取り組みとは?

全国に先駆けて学校選択制を導入した品川区。京浜急行電鉄「立会川」駅近くにある品川区立「浜川小学校」は、一流アスリートの授業などユニークな内容の特色ある教育活動を行っています。今回は校長を務める矢田雅久先生に、教育の方針やその狙いについてお話を伺いました。

学校の歴史や概要についてご紹介をお願いします。

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「浜川小学校」は1934(昭和9)年に創立され、2014(平成26)年に80周年を迎えます。来年は80周年の記念式典や祝賀会を行う予定です。2013(平成25)年度は、普通学級各学年2学級に特別支援学級3学級を合わせて、全15学級があり、12月現在の児童数は346名になります。おかげさまで最近は生徒の数が増え、2014(平成26)年度の新入生から今まで2学級だったものが3学級になる予定です。

「浜川小学校」の教育方針について教えてください。

浜川小学校インタビュー

当たり前のことが当たり前にできる学校を目指しています。ところが、当たり前のことを当たり前にすることはとても難しいのです。私が赴任して、まず手掛けたのは学力の向上です。そのために重視したのが、学習習慣や生活習慣といった規範意識の向上と定着でした。

学力向上、規範意識の向上には、教職員が一丸となって取り組む必要があります。しかし、従来の学校では担任の教師がそれぞれの方法で教育を行い、教師によって差があることがよくありました。公立の学校として、それはおかしいと思います。そこで、全教職員に校長の学校経営方針を共通理解、共通実践、徹底定着することからはじめました。こうした取り組みを続けた結果、約2年で学力は全教科で向上しました。そこで、現在は、学力向上に加えて体験学習を中心とした「楽しい学校づくり」を推進しています。

規範意識の向上としてどのようなことを取り組んだのでしょうか。

浜川小学校インタビュー

今までは多くの学校で、担任がそれぞれの学級内において独自の生活や学習のルールを作っていました。ですから、子ども達は担任が変わるたびに新しいルールを覚えなくてはなりません。これでは子どもも大変ですし、学校全体として定着させていくことはなかなかできませんでした。ですから、浜川スタンダードとして、生活や学習のルールは勿論、掃除の方法や給食の配膳の仕方、教室掲示や整理整頓等、細かいところまで全校で統一したルールにしました。このルールを学校として全教職員で1年生から6年間をかけて、徹底して取り組ませることにより、徹底定着を図りました。 

 

子どもを教えるのは教師ですから、教師は当然子ども達の見本となるような人間でなくてはいけません。教師の机が乱雑だったら、子ども達に机をきれいにしなさいとは言えません。ですので、「浜川小学校」の職員室は日本一きれいだと思っています。こうした人の師にふさわしい教師を目指して、教師としての人材育成も徹底的に行いました。

学力向上のためにどのようなことを行ったのでしょうか。

浜川小学校インタビュー

まず、カリキュラム全体を校長の経営方針の下に見直しました。例えば、朝と昼に実施している15分間の「浜川タイム」という基礎・基本の定着の時間の内容を、学年で統一するとともに、1年生から6年生までを子どもたちの実態に合わせて整理しました。次に、学力定着度調査の結果を徹底的に分析して、それぞれの学年で長中短期の目標を設定し、具体的な方策と計画を立てて校長が進行管理していくことにしました。これで、教師は今、何をすればよいのか把握できます。

さらに、人材育成のために、授業観察の仕組みや校内教師塾を作って若い教師同士で 切磋琢磨したり、中堅やベテランが若い教師の講師になるシステムを作り、教師の指導力・授業力向上に力を入れました。

また、公立学校では、全体的に学力を引き上げてあげなくてはいけません。それに一番有効なのは、子どもひとりひとりをどれだけ手厚く見ていくかに尽きます。「浜川小学校」 では、補習授業としてパワーアップタイムやサマースクールを行っています。ところが、こうした補習授業をすると、勉強が好きな子ばかり来ることが多いのです。そこで、「浜川小学校」では、保護者の皆様に協力をお願いして、本当に来てほしいお子さんに声をかけるようにしました。もちろん、そのほかのお子さんも参加することができます。内容も、こちらから呼んだ子を中心に基礎を徹底的に教えるコースと、その他の子ども達を中心に反復学習をするコースの2つを用意しています。

楽しい学校づくりの内容を具体的に教えてください。

浜川小学校インタビュー

私は、学校は楽しくなくてはいけないと思っています。楽しい学校づくりのひとつとして、木曜日は掃除の時間をなくして昼休みを35分に延長しました。35分あれば子どもたちは思いっきり遊べるでしょう。 また、学校に来たくなる楽しい授業にするには体で学ぶ体験学習が一番だろうと考え設定したのが、「わくわくドキドキ体験学習」です。オリンピック選手の短距離走教室や読売巨人軍の野球教室といった内容ですが、年間指導計画にカリキュラムとして組み込むことで、毎年継続的に行うことを可能にしました。

また4年生では生活指導宿泊体験学習を設けました。最近の子どもたちは布団の敷き方やお風呂の入り方が分からないのです。こうした基本的な生活の方法を楽しみながら身に付けてほしいという狙いで、代々木のオリンピックセンターでの宿泊学習を行うことにしました。

「浜川小学校」はどのように変化してきたのでしょうか。

品川区立浜川小学校

各種の学力定着度調査の結果が向上したことは前にもお話ししました。その他に、保護者の方からは子どもが明るくなった、ルールが守れるようになった、授業が活発になったとご評価いただいています。保護者アンケートの結果でも、教育活動や教室内外の環境整備の満足度が大きく向上しました。この結果には、学校の経営方針を保護者にもしっかりと伝え、アンケートで書いていただいたご意見には 必ずお返事をするなど、保護者の方にありのままの学校の姿を説明し、校長がよいと思ったことは、即決で改善策を講じて対応してきたことが反映されていると考えています。

 

私が赴任した直後の「浜川小学校」は、学力が思うように向上しなくて苦しんでいました。そこで、学校の組織やカリキュラムを赴任1年目の夏休み終了までに大きく改めました。アンケートを採り、何が悪いのかを分析し、新たな施策を考え、進行をきっちり管理しました。すると1年目で、学力調査やいろいろな項目での保護者アンケートの結果等、様々な数値が前年度より大きく向上したのです。実際に学校が変わってきたことで、子ども達にできたという喜びを感じさせることができるようになりました。これは教師にとっても最大の喜びです。当たり前なことが当たり前にできる教師、児童を目指して、校長の経営方針を全教職員が「共通理解」し、「共通実践」して「徹底定着」させる。このことを一人ひとりの教師が確実にやっていくこと。この積み重ねがいい学校をつくることになると考えています。

保幼小の連携ではどのような取り組みが行われていますか。

浜川小学校インタビュー

「浜川小学校」には浜川幼稚園が同じ敷地内にあり、特別支援の固定教室もありますので、幼稚園との連携や特別支援との共生に力を入れています。特別支援の子どもたちは、籍は特別支援にありますが、普通学級の教室にも机や椅子があります。運動会や学芸会などの行事は全て通常級と合同でやりますし、朝読書や浜川タイム等も通常級で受けることが多くあります。また、算数や体育などの授業も子どもたちの実態に合わせて普通学級でいっしょにやります。こうして一緒の時間を過ごすことで、互いに相手を知り、受け入れるようになるので、自然に手助けができる心の優しい子どもが育ちます。

「浜川小学校」の連携園である「浜川幼稚園」や「大井保育園」はもちろん、近隣の他の幼稚園、保育園とも積極的に連携しています。幼稚園の子どもたちとは一緒に給食を食べたりしますし、 5年生が幼稚園に行って読み聞かせをすることもあります。運動会では5年生と浜川幼稚園の園児が一緒にやる種目もあります。保育園の子どもたちに運動会に見に来ていただいたり、低学年の子ども達と授業を一緒にやることもあります。

浜川中学校との一貫教育の内容について教えてください。

浜川小学校インタビュー

品川区では小中一貫教育が行われていますので、「浜川小学校」でも「浜川中学校」と設備分離型小中一貫教育として、9年間を通じたカリキュラムにしています。その他に、小中の教師が一緒に授業研究をすることもありますし、サマースクールに中学生が来て答案の丸付けをしたり、簡単な算数だったら教えてくれることもあります。また、運動会では中学生が係りとしてお手伝いをしてくれたり、共同で地域清掃をしたりするなど、さまざまな連携をしています。

校内に「すまいるスクール」があると聞きました。

浜川小学校インタビュー

「すまいるスクール」は「浜川小学校」だけでなく、品川区すべての小学校で行われているものですが、放課後から午後6時までお預かりするものです。学校外の児童館に行くのと違って、交通事故の心配がないこともメリットでしょう。日曜・祭日はお休みになりますが、夏休み、冬休み、春休み期間中も行っています。

 

「浜川小学校」では「すまいるスクール」の職員とのミーティングを頻繁に行い、「昼間学校で、この子とこの子がケンカしていた」などの児童の状況を相互に伝え合うなど、連携を密接にしています。学校の要望として宿題をやってから遊ぶことにしてもらっていますし、「浜川小学校」のルールは「すまいるスクール」でも守ってもらっています。

≪すまいるスクール≫
【登録費用】 1200円/年(平成25年度) 
【勉強会参加費】 週1回の学年は500円/月、週2回の学年は800円/月

地域との連携について教えてください。

浜川小学校インタビュー

「地域の学校、浜川小学校」をキャッチフレーズにして、あらゆる面で地域と連携しています。例えば、地域清掃や地域防災訓練には子ども達はもちろん教師もできるだけ参加するようにしていますし、子ども達の名札には町会名と避難所を入れています。ボランティアクラブも作りましたので、子ども達が何らかの形で地域にボランティアできる機会を増やせたらと思っています。さらに、教師は、地域の行事には何らかの形で1年に5回以上必ず参加させています。

「浜川小学校」の隣にある浜川公園には浜川街角ギャラリーというのを区の公園課と共催で設置しました。ここには「浜川小学校」の子ども達の絵を飾っています。これもひとつの地域貢献でしょう。また、体験学習の龍馬に関する授業では、地元の龍馬会の人にお話ししていただいたり、地域の伝統工芸を体験したりすることもあります。学校の図書館でも 地域のボランティアの人が大勢協力してくれています。

南大井エリアの子育て環境としての魅力をお聞かせください。

りんかい線

品川区は、プラン21による学校改革により、学力定着度調査や学校選択制、外部評価制度の導入、そして、区独自の小中一貫指導要領に基づく小中一貫教育やジョイントカリキュラムによる保幼小の連携等、日本の最先端の教育を行っており、また、教育予算も潤沢に確保されています。南大井エリア周辺は小学校がたくさんありますから、学校選択制では激戦区となりますが、こうした背景から、学校ごとに切磋琢磨や協力し合ったりして、公立学校全体の質を向上させていこうという機運が高まっているエリアでもあります。また、このエリア周辺はウォーターフロントの再開発で多くのマンションや商業ビルが建ち、人口も増えつつあり、活気も出てきています。

浜川小学校インタビュー

今回、話を聞いた人

品川区立浜川小学校

校長 矢田雅久先生

住所:住所:東京都品川区南大井4-3-27
電話番号:03-3761-0530
URL:http://school.cts.ne.jp./~hama-e/

※記事内容は2013(平成25)年12月時点の情報です。

「地域の学校」を目指して/浜川小学校 校長 矢田雅久先生
所在地:東京都品川区南大井4-3-27 
電話番号:03-3761-0530
http://school.cts.ne.jp/~hama-e/

地域の核としての「学校」作りを行う伝統校

都心の「住民力」。地域の核としての「学校」作りとは/千代田区立麹町小学校 校長 淺川宏先生


千代田区立麹町小学校 校長 淺川宏先生

都心の「住民力」。地域の核としての「学校」作りとは

皇居から国会議事堂をぐるりと取り囲む通学区域。「千代田区立麹町小学校」は東京の中心地に位置する公立小学校だ。しかし周辺エリアでは近年マンション建設が増えており、人口も増加中。そんな千代田区麹町で過ごす子どもたちは、一体どんな学校に通っているのだろうか。麹町小学校の実情について、校長の淺川宏先生にお話を伺った。

「麹町小学校」は20年前に「永田町小学校」と統合されていますが、それ以前にも長い歴史を持つ小学校であると伺っています。

麹町小学校インタビュー

前身の「麹町小学校」が開校したのは1875(明治8)年、「永田町小学校」は1905(明治38)年に開校しています。「永田町小学校」の学区域は議員関係者の方が多い場所でしたが、児童数が非常に少なかったので、公共施設適正配置構造によって現在の形になりました。

「麹町小学校」には現在382名の児童が通っていますが、近年はマンション建設が進んでいるので児童数は微増しています。「麹町小学校」の場合、学区外の児童は全体の1割もいません。今年1年生は82名が入学しましたが、学区外の児童は5名だけです。

学区外の児童が少ないのは、やはり地元の子どもが増えたからでしょうか?

麹町小学校インタビュー

そうですね。校舎は10年前に建設されましたが、1学年2クラスを想定した作りになっているんです。2013(平成25)年度は学校内だけでも70名以上の新入生がいて、学区外の児童が加わって82名でした。文部科学省では「35人学級制度」を実施しているので、今年は1年生のみ3クラスになっています。

千代田区は長年、定住人口の増加に取り組んでいますが、2013(平成25)年は25年ぶりに5万人台を回復しました。そのための施策として、子どもたちの教育支援に力を入れています。例えば学童クラブも、千代田区では小学校6年生まで在籍することが可能です。当学校では「麹町幼稚園」も併設されており、100名の子どもたちが通っています。

子どもたちを支える環境だけではなく、設備も充実しているように感じます。

麹町小学校インタビュー

千代田区内の小学校は、校舎が古い一部を除いてほぼ温水プールを所有しています。当学校は授業数の関係により、プールの授業は10月までしか行いませんが、学校によっては1年中プールの授業がありますね。当学校のプールは床が稼働式になっていることが自慢です。例えば低学年がプールを使用した後に高学年が使用する際は、ボタン1つで水深を変えてしまいます。夕方からは一般開放もしているんですよ。

ちなみに一般開放しているのは、プールだけではありません。学校が終わった夜6時よりランチルームや音楽室、図工室など、いろいろな校内の施設を一般開放しています。ですから地域の方が自由に行き来できる環境が整えられています。もちろん不審者対策も行っており、部外者が教室部分には入れないよう、一般開放している際には教室にシャッターを閉めています。

「麹町小学校」は教室がオープンスペースになっていたり、全校生徒が一緒に給食を食べる「ランチルーム」があったりと、非常に面白い試みをされていますね。

麹町小学校インタビュー

「ランチルーム」は全校生徒が一緒に、一斉に給食を食べます。一斉に「いただきます」をして「ごちそうさま」をする。もちろん先生も一緒です。ですから先生はしっかり時間を守って、授業を延ばしたりしないように心がけています。

「オープンスペース」の教室は近年導入する小中学校が増えています。一見他のクラスの声が聞こえて集中できないと思う方もいるかもしれませんが、そんなことはありません。ほかのクラスからお互いに見られているという緊張感が出ますし、集中力もかえって高まります。

確かに「麹町小学校」は非常に学習への取り組み意欲が高く、学力も高いと伺っています。そのほかに学力を維持する秘訣はありますか?

麹町小学校インタビュー

授業を充実させたいということで、学校の評価制度を取り入れることで指導法を工夫・改善できるようにしています。5、6年生の児童や保護者を対象に、教科ごとに「学校の授業はどのくらいわかっているか」というアンケートを取るんです。子どもたちの意見がダイレクトに100%的を射ているかというと、必ずしもそうでもないことはあると思いますが、子どもたちに自己評価をさせると、自分自身を見つめなおします。そこが大切なのです。

「麹町小学校」は区役所の出張所も併設されていますよね。

麹町小学校インタビュー

千代田区は近年校舎の建て替えの際に図書館を併設したり、あるいは研究所や支援センターといった区の施設を兼ねて、一つの建物の中に入れるケースが増えています。その目的はやはり地域住民の方にとって、“学校”が一つの生活拠点になること。

例えば先日、区が「社会を明るくする運動」として、「麹町中学校」や「大妻中学高等学校」などいろいろな学校が集まり、「麹町小学校」から「上智大学」まで新宿通りをパレードしています。やはり地域密着には“学校”が重要なキーになるんですね。8月に地域のお祭りもありますが、学校が会場となっていて、校庭にいろいろなお店が出る予定です。

一般的には地域活動が活発というイメージがあまりない街だと思うのですが、街の方々と一体になって活動されているのですね。

麹町小学校インタビュー

PTA活動は非常に盛んですよ。例えば千代田区では「見守り隊」といって、PTAが保護者全員を割り振ってパトロール活動をしています。ただ交通安全週間に役員だけが出るのではなく、全員で安全を確保する取り組みをしているんです。

あと面白いのは夏休みのラジオ体操。普通は地域の町会が主催していることが多いと思いますが、麹町小学校の場合は主催している団体が同窓会なんですよ。在校生はもちろん卒業生から親世代、おじいちゃんおばちゃんまで、毎回200名前後の地元の方が参加しています。普通中学生くらいの子はあまりラジオ体操に参加しないと思いますが、うちの卒業生はみんな来るんです。それだけ学校に対する想いが強いんですね。

都心にあるという特殊な環境にある学校ということで、どんな学校生活を送っているのかイメージが沸きにくかったのですが、いい意味で裏切られました。

麹町小学校インタビュー

確かに都心にある小学校なので、周りの環境は多少特殊です。例えば「国会議事堂」や「警視庁」など、普通の学校が6年生の社会科見学ででまわるようなところを、うちは低学年で見学してしまいますから。とはいえ基本的に、子どもたちの生活は普通の小学生とまったく変わりません。すぐそばには国の重要機関が立ち並びますが、一本道を入ると人間味あふれる地域の顔があります。本校の位置する町会をはじめ、街の人々が親しみをもって生活し、多くの人を受け入れる温かい雰囲気がある。

自然環境も整っていて「北の丸公園」がすぐそばにあります。議員会館の横には「清水谷公園」もあり、1年生が出かけていきますね。区内の学校は校庭が狭いところが多いですが、公園が併設されているところも多いんですよ。だから意外に自然に触れることはできますし、子どもにとっていい環境が作られていると思います。

麹町小学校インタビュー

今回、話を聞いた人

千代田区立麹町小学校 校長 淺川宏先生

2012(平成24)年に神田地区の小学校より赴任。千代田区での教員生活は10年目を数える。

所在地:東京都千代田区麹町2-8
電話番号:03-3263-7337
http://www.kojimachi-e.ed.jp/

※記事内容は2013(平成25)年7月時点の情報です。

都心の「住民力」。地域の核としての「学校」作りとは/千代田区立麹町小学校 校長 淺川宏先生
所在地:東京都千代田区麹町2-8 
電話番号:03-3263-7337
http://www10.schoolweb.ne.jp/swas/index…

独自の学習活動に力を入れる伝統校

地域との関わり合いを大切に、 「豊かな心」と「健やかな体」を育む/中央区立久松小学校長・久松幼稚園園長 酒井寬昭先生


東日本橋 中央区立久松小学校長・久松幼稚園園長
酒井寬昭先生

地域との関わり合いを大切に、
「豊かな心」と「健やかな体」を育む 

日本橋久松町にある久松小学校は、創立141年という歴史を持つ公立小学校。公立といえども、「ここに通いたい」と近隣へ居を移すファミリーも多いという、伝統ある学校である。伝統をより良く変化させ同時に守ってきた同校で、校長に就任して5年目の酒井寬昭先生に、その特徴ある教育への取り組みと信念についてたっぷりお話を伺った。

2012(平成24)年に創立140周年を迎えられましたが、その歴史についてお聞かせ下さい。

久松小

伊予松山藩主の末裔・久松定謨(ひさまつさだこと)伯爵からの寄付によって、1873(明治6)年に児童数70余名で設立された本校は、関東大震災・第二次世界大戦と2度の全焼を経験し、決して平たんではない140年の歴史を歩んできました。関東大震災後は、翌年に仮校舎ができるまで、地域住民のバラック住宅を一棟借り受けて授業をするなど、当時から地元住民の方々との交流が盛んで、地域に支えられていたようです。

その長い歴史を背負って、今の久松小学校があるんですね。

久松小

ええ、良い意味で「伝統」を大切にしている学校です。例えば卒業式ひとつを取っても、1955(昭和30)年代から卒業生全員が平等に一言ずつ卒業の言葉を発し、全員で呼びかけをする形式が主流ですが、本校では「送辞」「答辞」は各代表がする一昔前のスタイルを通しています。代表が一人ずつ、クラスメイトや先生たちと相談して本当に感じたことを言葉に紡ぎ、贈り合う。形式上の平等よりも、より心のこもったシンプルな卒業式で、私はとても好感を持っています。昔ながらのこの形を残せたのは、久松ならではではないでしょうか。

伝統があることで、逆に大変な側面もありますか?

久松小

私は「例年通り」「いつもと同じ」というのが実に苦手な性分でして、何においても必ず改善すべき点があるというのが持論です。変えても大差がないなら、変えませんが、「明らかに良くなる」のであれば、何度も検討を重ねたうえで、地道に着実に改善します。
例えば、以前は指定の運動靴で全校児童が同じ靴を使用していましたが、足の形や好みは人それぞれ。

白に統一、という点は残して、各家庭で子どもに合ったものを用意してもらうようにしました。当初は反対意見も多数ありましたが、靴は子どもたちの健康に直接つながることを重ねて説明し実現しました。学校行事や日々の生活においても、改善の余地がないかを常に考えています。伝統の良さは残しつつ、新しいものも取り入れる、風通しの良さは常に意識していますね。

学校運営で大切にしていることは何ですか?

久松小

学校をより良く運営するためには、企業と同じように「経営」として考える側面も多くあります。私が心がけているのは、学校側の思いや考えを、保護者や地域の方々に分かりやすく、しっかりと伝えること。しっかり情報発信することで、学校に関わる方々に安心してもらえれば、より理解され協力してもらえる学校になると考えています。例えばホームページや学校要覧など、初めて見た方が驚くほど、たくさんの写真と解説が掲載されています。これを見るだけでも、子どもたちの日頃の様子が分かるはずです。

久松小学校へは、どんな子どもたちが通っているのでしょうか?

久松小

この地域はもともと呉服屋・布問屋が集まった土地柄ですので、昔ながらの旦那衆の文化が未だに根強く残っているんですね。挨拶や礼儀作法といった「人」としての教育を、親から子へ、そして孫へ伝えていく習慣が綿々と続いている。現代の子どもたちも元気ですし、やんちゃな子もいますが、スイッチの切り替えがきちんとできる子どもが多いと思います。

御校の教育目標を教えてください。

久松小

2つある重点教育目標のなかのひとつ「豊かな心と健やかな体の育成」は非常に重要な目標だと考えています。今の子どもたちは、放課後は塾や習い事で忙しく、体力も低下しがちなうえ、友だちと遊んで、喧嘩して、仲直りするという人との関わりを持ちにくいのが現状です。自転車や水泳など適切な時期に習得すれば、非常に短い時間で身に付く「適時性」という言葉がありますが、人との関わり方の訓練も、小学生時代が一番適しています。

そのため、放課後の体力づくりという目的で始めた「ロング放課後遊び」は、朝から少しずつ時間を詰めることで放課後1時間、塾や習い事に行く前に学校で遊ぶ時間を捻出するようにしました。年間40回程度ですが、思いっきりカラダを動かして体力をつけ、心を解放して友だちとのびのびと遊ぶ時間をたっぷり堪能してほしいですね。余談ですが、久松小学校では、なるべく休み時間を潰さない努力もしています。休み時間にしっかり頭を休めることで、前向きに授業に臨むことができる、このメリハリこそが子どもには大切です。

オリジナリティあふれる取り組みが多いように感じますが。

久松小

自分の目で見たり、本物の話を聞いたりという、実体験を子どもにたくさんしてほしいと考え、イベントも積極的に取り入れています。今年の6月には、アテネ五輪競泳女子800mで日本人初金メダリストの柴田亜衣さんに、講演と実技指導(対象:6年生)をしていただきました。全員が金メダルに触らせてもらい、子どもたちは大興奮でしたね。

7月には、2008(平成20)年にシンクロナイズドスイミングで日本代表だった石黒由美子さんが、1日校長先生として来校し、「夢をあきらめない」というテーマで講演をしていただきました。本物のアスリートの方々のリアルなお話に、子どもたちも夢中で聞いていました。やはり努力を重ね、結果を出している人の話というのは、人の心を動かします。このような体験が、子どもたちが夢に向かう時に少しでも気持ちの支えになってくれたら…と思っています。

なかでも「久松しぐさ」という御校ならではのユニークな取り組みがありますね?

久松小

江戸しぐさというのは、様々な土地から人が集まっていた江戸の町で、お互い気持ちよく暮らせるようにと、ちょっとした気遣いをしぐさにしたものです。傘ですれ違う時に、お互い少しずつ傘を傾けることで濡れないようにしたり、後から座る人のために、こぶし一つ分腰を浮かせて席を空けるなど、何気ないけれども、どこかホッとするような行いです。

それをあえて「久松しぐさ」と名付け、道徳の授業や児童会活動内で考える機会を設けたり、高学年が低学年に紹介したりしています。今の時代だからこそ必要な「思いやり」「他者への心遣い」、また「心を動作に表すことの価値」を学んでほしいと考えています。お江戸日本橋にある学校ですから、粋な久松しぐさを習得して広めてくれたら嬉しいですね。

都心の学校ながら、自然との触れ合いにも力を入れていらっしゃるとか?

久松小

はい。校庭の中心にある桜の木は、春には満開に花をつけ、四季の移り変わりを感じさせてくれる本校のシンボル的な存在です。花壇や玄関、プールフェンスのグリーンカーテンなど、いたるところに花や緑があり、水やりや手入れを毎日交代で行っているのは児童たち。屋上スペースを利用して、昨年には小さいながらもビオトープも完成しましたし、毎年5年生が小さな田んぼで米づくりにも励んでいます。季節ごとの地道な世話をしっかりとして、秋には自分たちで育てた米を収穫する喜びは、何にも代えがたい体験です。

最後に、この地域の魅力を教えてください。

久松小

先ほども申し上げましたが、この辺りは問屋さんが多く集まるまさに下町です。卒業生のOB・OGの方々も、本当によく本校に足を運んで下さり、子どもたちの様子を気にかけてくれます。つまり、昔ながらの「地域で子育てをする」という気持ちが、まだ残っている貴重な地域なんですね。子どもたちが老人福祉施設でお年寄りと交流を持つ活動にも力を入れていますし、世代を問わず人間同士の関わり合いができる町だと思っています。

久松小学校

今回、話を聞いた人

中央区立久松小学校校長・久松幼稚園園長 酒井寬昭先生

所在地:東京都中央区日本橋久松町7-2
電話番号:03-3661-6016
http://www.chuo-tky.ed.jp/~hisamatu-es/

※記事内容は2014(平成26)年2月時点の情報です。

地域との関わり合いを大切に、 「豊かな心」と「健やかな体」を育む/中央区立久松小学校長・久松幼稚園園長 酒井寬昭先生
所在地:東京都中央区日本橋久松町7-2 
電話番号:03-3661-6016
https://www.chuo-tky.ed.jp/~hisamatu-es/..

本当のイタリア料理を提供したい/Pizzeria-Trattoria Napule 東京ミッドタウン店 総料理長・中林さん


Pizzeria-Trattoria Napule 東京ミッドタウン店
総料理長・中林さん

本当のイタリア料理を提供したい

修行時代は、公私共にイタリア料理とイタリアワインしか口にしなかったという徹底した中林総料理長。ミッドタウン店を任せられた責任と可能性にときめきながら、今日もキッチンで腕を振るう。

お店の食へのこだわりを教えてください

Pizzeria-Trattoria Napule

「日本で本場のナポリの味を楽しんでいただきたい!」ということをモットーとしています。日本人の味に合わせたイタリア料理ではなく、イタリア人も納得できるイタリア料理を来てくださる全ての方に食べていただきたいです。

Pizzeria-Trattoria Napule

日本人向けイタリア料理は、見た目や野菜の食感を大事にしていますが、イタリア人は素材の味を楽しみます。例えば、肉でも野菜でも煮込んだりする場合、それぞれの味が120パーセント出し尽くされるまで煮込みますので、非常に手間がかかります。ですが、どんなに忙しい時でも手を抜かず本場の味をちゃんと出せるように心がけているのです。

ピッツァに対するこだわりを教えてください

Pizzeria-Trattoria Napule

自社でイタリアから小麦粉を直接輸入しております。なぜかと言いますと、国産の小麦粉とは香りが違いますし、コシも違うからです。本場イタリアの味を追求していけば、おのずとイタリアから輸入するという結論に至ります。そうやって手に入れた本場の小麦粉を生かせるように調理も日夜努力しております。

Pizzeria-Trattoria Napule

ピッツァ作りでこだわっている箇所は、薪を使って調理をする点です。ガスとの違いは、遠赤外線で焼けること。外側をかりっと内側をやわらかい仕上がりに保てます。手間は掛かりますが、美味しいものを提供するための大事なこだわりです。

本場の味へのこだわりは多いと思います。特に1つ上げていただくと、どんな事がありますか。

Pizzeria-Trattoria Napule

パスタ1つとっても、乾麺と生パスタではゆで方と調理法が変わってきます。生パスタはパスタと絡み染み込んだソースの味を楽しみます。乾麺はパスタそのものの食感も楽しみます。そうなるとゆで方も調理も変わってくるわけです。

Pizzeria-Trattoria Napule

キッチンには麺をゆでる担当がいるんですが、うちでは麺の湯であげにタイマーは使いません。状態によって変わる麺のゆで加減を人がいつも確認をしているからです。気になれば私も麺のゆで加減を見る事があります。自分が納得のいく料理を出したいという気持ちの表れでもあります。

人気メニュー(おすすめメニュー)を教えてください

Pizzeria-Trattoria Napule

日替わりメニューです。これはマニュアルでローテーションをするのではなく、調理法から仕入れまで全部こちらで考えて決めています。また、ソーセージは自家製ソーセージです。どこかに作らせているのではなく、私たちが店で作っているのです。かなりこだわって作っているので、そちらも是非食べていただきたいと思います。

料理をしていて嬉しい事は何ですか。

Pizzeria-Trattoria Napule

やはりお客様が料理を食べて喜んでいただける事がとてもうれしく感じています。キッチンではそれぞれ担当した持ち場で仕事をしています。ですが、ここはオープンキッチンのため、お客様が喜んでくれる顔を見られるので疲れも忘れてしまいます。

東京ミッドタウン店について

Pizzeria-Trattoria Napule

お客様を拝見していると、ランチはミッドタウンで働くビジネスマンの方が多く、ディナーは外国の方が増えるように感じます。外国の方の中にはイタリア人のお客様もいらっしゃいます。イタリアの方からすれば、ここの料理はまさに母国料理そのもの。つまり私たち日本人が海外の日本料理屋で肉じゃがを食べるようなものです。だから、手を抜けばすぐに分かってしまいます。

Pizzeria-Trattoria Napule

そのため本場の味を覚える為に、プライベートでもイタリア料理を食べるようにし、イタリアに行って本場の味を覚えたりしてきました。いつでも本場イタリアの味をお客様に提供できるように努力し続けているのです。

この街でお店をやっていて感じる街に対する雰囲気を教えてください。

Pizzeria-Trattoria Napule

この界隈は青山店と違って国際色豊かな街だと感じますね。青山店は若い方も多かった印象があります。ミッドタウンはビジネスマンから近隣にお住まいの方、外国のお客様など実に様々です。それと、ここはホテルが併設されているのでそちらに滞在されているお客様もいらっしゃいます。お客様の層が厚く様々な方がお見えになりますので、いつでも本場の変わらぬ味を提供できるように心がけています。

今後、この街は、どんな街であることを期待しますか?

東京ミッドタウン

ミッドタウンは、働く人も集う人も国際色豊かなインターナショナルな雰囲気を感じさせる街なので、さらにここから多くの情報発信ができるのではないかと思っています。

Pizzeria-Trattoria Napule

今回、話を聞いた人

Pizzeria-Trattoria Napuleミッドタウン店/総料理長・中林さん

ミッドタウン店オープニング立ち上げからの総料理長。イタリア料理を目と舌で徹底的に覚えこんだ腕前は、本場イタリア人からも絶賛を頂いている。お客様から喜んでいただける料理をこれからも提供していきたいと、食への探求がやまない料理人。

Pizzeria-Trattoria Napule 東京ミッドタウン店
所在地:東京都港区赤坂9-7-4 D-0117 電話番号:03-5413-0711 http://www.bellavita.co.jp/napule_tmt/

※記事内容は2014(平成26)年2月時点の情報です。

本当のイタリア料理を提供したい/Pizzeria-Trattoria Napule 東京ミッドタウン店 総料理長・中林さん
所在地:東京都港区赤坂9-7-4 D-0117 東京ミッドタウン ガーデンテラス1F
電話番号:03-5413-0711
営業時間:ランチ11:00~15:00(L.O.14:00)、ディナー17:30~24:00(L.O.22:30)
http://www.bellavita.co.jp/napule/tmt

未来の神社像がここに。赤坂氷川神社の新たな取り組み/赤坂氷川神社 禰宜・恵川さん


赤坂氷川神社
禰宜・恵川さん

未来の神社像がここに。
赤坂氷川神社の新たな取り組み

江戸8代将軍の時代からこの地に社殿を構え、赤坂と六本木総鎮守として親しまれている赤坂氷川神社。ここは伝統ある「由緒正しい神社」である一方、若き禰宜(ねぎ)による積極的な地域コミュニティへのアプローチが、たびたび話題となってきた。今回は、その名物禰宜・恵川義浩さんから地域社会と神社が織り成す“近未来型の神社像”について、お話を伺った。

まず、赤坂氷川神社の概要について、お教えください。

禰宜・恵川義浩さん

当社は951(天歴5)年の創立と伝えられています。以前は赤坂見附にありましたが、8代将軍吉宗公の時代に現在地に遷座されました。吉宗公は紀州家の生まれの方で、現在の赤坂御所の場所に紀州家のお屋敷があった為、「より高い場所に」という考えがあったようです。現在の社殿は吉宗公の時代に建てられたままの社殿で、震災と戦災にも耐えまして、東京都重要文化財となっています。氷川神社は各地にありますが、大宮の氷川神社が氷川神社の総本社となっております。赤坂を含む各地の氷川神社は、総本社からお御霊をいただいて分霊されたものです。ご祭神は素盞嗚尊(すさのおのみこと)、奇稲田姫命(くしいなだひめのみこと)、大己貴命 (おおなむぢのみこと)の三柱となっています。かつては勝海舟が近所に住んでいたこともあり、氷川神社と書かれた勝海舟直筆の掛け軸が社宝となっています。

恵川さんは氷川神社の跡取りということで、少年時代をこの街で過ごされていると思います。当時の思い出、街の変化についてお聞かせいただけますか?

赤坂氷川神社

私は神社の敷地の中で生まれ育ちまして、わずか40年ばかりではありますが、この地の移り変わりを見てきました。長老のように戦時中のことは分かりませんが、40年の間でもずいぶん様変わりしましたね。大きく変わったのはやはりバブルの頃でしょうか。バブル景気以前には雑居ビルや住宅が多かったのですが、個人商店はマンションやテナントビルに建て替えられました。新しいビルや大規模マンションが建ち、町の様子はずいぶん変わったと思います。

近年、この街で大規模な開発が相次ぎました。恵川さんはその変化をどう受け止められましたか?

赤坂サカス

ここ数年はミッドタウン、赤坂サカスなどの大規模開発が多くありましたね。開発によって景観が良くなりましたし、地域のブランドイメージが上がり、防犯事情も良くなったと言えます。住民の方も働く方も増えまして、街がより活気に満ちてきました。ただ、昔からの人が移り住んでしまって住民同士の繋がりが希薄になり、地域の活動やお祭りは少し盛り上がりに欠けるようになりました。

東京ミッドタウン

そんな時代や地域の変化の中で、神社としても「街づくり」に何らかの新しいアプローチの仕方があると考えています。私が禰宜に就いてからは、特に「お祭り」の振興に力を入れています。やっぱりお祭りには特別な意味がありまして、地域の人たちが町会に関わり、結束する力を強める機会になりますし、新旧住民の接点もやはりお祭りで生まれることが多いと思っています。

お祭りと言えば、氷川神社では「山車(だし)の復活」が大きな話題となったそうですが。

山車

2007(平成19)年のお祭りから「氷川山車」という山車を復活させましたことは、神社にとって大きな出来事でしたね。今は東京の神社のお祭りと言えばほとんどが「お神輿」なんですが、江戸時代はほとんどが山車だったんです。これは京都からの流れと言われていまして、山車は子供やお年寄りでも参加できるんですね。お神輿は各町会単位で出すもので氏子しか担げませんが、神社が出す「山車」なら誰でも曳くことができます。より多くの人に関わってもらえ、地域のシンボルになるものとして是非とも山車を復活させたいと思っていました。

祭りの風景

神社の蔵には江戸時代の部材(人形など)が残っていました。ですが人形から下の部分を新たに作るだけでも多額の費用がかかり、専門の職人さんを探すのも非常に大変でした。そこで2006(平成18)年にNPOとして「赤坂氷川山車保存会」を組織しました。氏子さんや地域の企業、新しく引っ越してきて町会には属していない住民など、いろんな方々にスポンサーをお願いしたのです。2007(平成19)年には1台の山車が復活し、今では昔と同じ3台となりました。

赤坂氷川神社

町会それぞれの神輿に加え、3台の人形山車がコラボレーションするお祭りは都内ではとても珍しいものだと思います。3台の山車に鎮座する人形は江戸時代から代々伝えられてきたものですので、地域の外の方にも是非見ていただきたいですね。山車を復活させてからは神輿と山車が巡回する地域も拡大しまして、数年前からは赤坂通りを通行止めにするなど、より多くの方に楽しんでいただけるようになりました。このことで六本木と赤坂が一体となった求心力のあるお祭りになりました。

新旧の住民が関わり合いながら、気持ちよく暮らす。そのための接点を提供するのが、神社の役割のひとつということでしょうか。

赤坂サカス

そうですね。セキュリティは完璧ですけれども、反面横のつながりが無いということは、どこの都市でも抱えている共通の問題だと思います。その中で地域の神社で行われる伝統的な「お祭り」というのは、色々な人が一つの場所に集まる貴重な機会だと思います。確かに価値観の違う人が一緒になれば問題が起きたりもしますが、解決していく中で新たな交流というのも生まれると思うんですね。

恵川さんは現在この神社の経営を担われていますが、禰宜としては若手になるかと思います。若さを生かして、時代に応じた神社改革などもされているのでしょうか。

赤坂氷川神社

私自身、神社の跡取りとして生まれましたが大学では中国文学を専攻し、その後9年間サラリーマンをしておりました。社会人経験を生かして「未来の神社はどうあるべきか」という問題にも取り組んでいきたいと思っています。一つは神社を難しい場所ではなく、人生儀礼で必ず訪れる心の拠りどころに考えてくれる人を増やすことです。かつて、氷川神社で結婚式を挙げるご夫婦は非常に少なく年間2~3組だったりしました。私が禰宜になってからはその数を増やすために尽力し、2年後には100組、去年今年からは300組以上になりました。

餅つき

昔はホテルの中の神殿で挙式をし、そのままホテルで披露宴というのが当たり前でしたが、私はちょっと違うと思うんですね。神前結婚式はあくまでも“神事”として執り行ない、人生の節目のたびに神社を訪れて気持ちを確認することが大切だと思います。実際に結婚式を増やした後は、お宮参りなど人生儀礼のたびに訪れる家族がとても増えました。お祭りや初詣にも来てくださるんですね。神社自体も賑わいますし、神社の経営を安定させるということにも繋がります。また、私の代からの企画ですが「ともえ会」という“氷川神社の青年部”を組織しました。地域にお住まいの氏子さんだけではなく、お勤めになっている方も一緒になって境内の清掃や、地域のごみ拾い、子供たちを招待しての餅つき大会などを行っています。赤坂や六本木では町会や商工会などがかなり高齢の方中心になっていますので、「赤坂・六本木を良い街にしたい」という若手の同志を、神社という枠で汲み上げる必要があると思ったんです。今後も町会や商工会とも連携して“遊撃部隊”として町の振興に関わっていければと思っています。

今後、将来の地域づくりに向けて、神社が果たすべき「ミッション」は何だとお考えでしょうか。

雅楽教室

私は神社とは「宗教」ではないと思っているんですよ。日本の大事な「伝統文化」の一つと考えています。ですから、氷川神社ではワシントン大学の学生を「神社体験」として受け入れたりしています。外国の方は自国の文化を非常に大事に思っていますし、そういった教育も受けていますから、非常に伝統文化に対する関心が大きいです。対して日本の方はと言うと、昔の文化に対して何か煙たいようなイメージを持っていらっしゃる方が多いですね。

赤坂氷川神社

でも日本人にとって、自国の伝統文化を知ることは非常に大切なことだと思うんですね。特に将来はそうなっていくと思います。私も雅楽教室を開いたりしているんですが、帰国子女の方がけっこう多いんです。何故かと言えば、海外に行って流暢に英語を話せても自分の国の文化はうまく紹介できなかった、という反省があるようなんですね。

例大祭

 

実は近い将来、神社社務所の建て替えなどが控えており、それを機に雅楽に限らず「道」と付くものを広く教える「現代の寺子屋」作りをしたいと思っています。私は雅楽、柔道、書道などしか教えられませんがお茶や華道もそれぞれ専門の先生をお願いしたいと思っています。神社が中心となって、地域の子どもたちに日本伝統の文化の良さを伝える。これも新しい時代の神社の役割だと思っています。

赤坂氷川神社

今回、話を聞いた人

赤坂氷川神社/禰宜・恵川義浩さん

氷川神社に生まれ、現在も境内の自宅で暮らす。早稲田大学で中国文学を専攻、その傍ら國學院大学に通い神職の資格も取得。卒業後は9年間サラリーマンとして大手出版取次会社のネット事業部に勤め、2002(平成14)年から氷川神社に戻り、現在は禰宜を務める。特技は雅楽、書道、柔道、インターネット。

赤坂氷川神社
所在地:東京都港区赤坂6-10-12 電話番号:03-3583-1935 http://www.akasakahikawa.or.jp/

※記事内容は2014(平成26)年2月時点の情報です。

未来の神社像がここに。赤坂氷川神社の新たな取り組み/赤坂氷川神社 禰宜・恵川さん
所在地:東京都港区赤坂6-10-12 
電話番号:03-3583-1935
http://www.akasakahikawa.or.jp/

お子さま連れでも安心な料理教室/フードメイト・キッチン主宰 安齋花子さん


フードメイト・キッチン主宰 安齋花子さん

お子さま連れでも安心な料理教室
「フードメイト・キッチン」

「お子さま連れでも安心な料理教室」というコンセプトで2006(平成19)年にオープンした「フードメイト・キッチン」。阿佐ケ谷の住宅地にある教室におじゃますると、玄関の前にはママチャリがずらり並んでいました。今では口コミでキャンセル待ちになるほどの人気の秘密は、乳幼児のいる家族に、毎日の食事を少しでも安全に、そして気軽に作ってもらえるよう考えられた安齋さんの心のこもったレシピと教室の雰囲気にあるようです。

なぜ、「お子さま連れでも安心な料理教室」にしようと思ったのでしょうか。

フードメイト・キッチン

子どもが産まれるとしばらくは、習い事や趣味の外出がしづらくなりますよね。うちは乳幼児連れでも気軽に参加いただけるよう託児料もいただいていません。教室中でも授乳やおむつ替えもできます。ゼロ歳児連れでも大丈夫ですし、はじめてのお子さんが離乳食の時期になって、大変だなと思っても、大人と同じ食材を上手にアレンジする方法もお教えしています。

大人と同じ食材を使って離乳食や幼児食を作る方法も提案しているというのは?

フードメイト・キッチン

私自身、はじめての子育てのときに離乳食作りの本を参考にしたら、専用の道具が必要だったりちょっと大変だったんですね。それで、もっとやさしく作れる方法はないかと。教室では、自分の体験を元に、大人と同じ食材や調理法のアレンジで簡単にできる離乳食、幼児食を具体的にご紹介しています。気負わずに毎日作り続けられる料理を提案できたらと思っています。

今日の料理教室でも、お母さん用とお子さん用の離乳食を同じ素材でアレンジしていましたね。

フードメイト・キッチン

今日のレシピの鮎ご飯を、1歳のお子さんの離乳食にアレンジする時に、生徒さんには、「お子さんに鮎の香りのするご飯だけを用意するか、鮎も入れたご飯にするか」を確認しています。同じ月齢でもお子さんによって食べ方や好みが違うので、お母さんに確認してレシピもアレンジするようにしています。アレルギーがあるお子さんの場合も同じです。

教室で教える料理のレシピの特長は、どんなものですか。

フードメイト・キッチン

『旬の素材を使ったおもてなし料理』がテーマですが、素材はあくまで特別なものではなく、いつものスーパーで買えるもの。“ふつうの食材で作る特別な料理”を紹介しています。二つ目のポイントは、添加物を使っていないもの。アレルギーの大人や子どもが増えているということも考えて、できるだけ安全なものを食べてもらいたいと思っています。

どんな生徒さんが多いですか。

フードメイト・キッチン

区内の方が8割で平日は100%女性です。お子さま連れで参加される主婦の方が多いのはもちろんですが、土日はご夫婦とお子さんというご家族の参加もあります。80%がリピーターで、8年前の設立当初から通ってくださる生徒さんも。

私は、完璧なタイプではないので、ときどき生徒さんから「先生、この食材は使わなくていいんですか」なんてうっかり忘れていることを教えられることもあるくらいなんです(笑)。レシピを発表する前から次の教室の予約が入るのも、そういう教室の雰囲気を気に入っていただけているのかなと思います。ただ、私の話を聞いて出来上がった料理を食べて帰るというのではなく、生徒さんも一緒に作って盛りつけもする『楽しい参加型の教室』を目指しています。

フードメイト・キッチン

今回、お話を聞いた人

フードメイト・キッチン主宰 安齋花子さん

所在地:東京都杉並区成田東2-30-7
電話番号:090-2426-2034
URL:http://mm.visia.jp/foodmatekitchen/

※記事内容は2013(平成25)年6月時点の情報です。

お子さま連れでも安心な料理教室/フードメイト・キッチン主宰 安齋花子さん
所在地:東京都杉並区成田東2-30-7 
電話番号:090-2426-2034
http://foodmatekitchen.com/

赤ちゃん連れのママに憩いの場を/おやこカフェ・ほっくる阿佐ヶ谷 スタッフのみなさん


おやこカフェ・ほっくる阿佐ヶ谷 スタッフのみなさん

赤ちゃん連れのママに憩いの場を
「おやこカフェ・ほっくる阿佐ヶ谷」

JR「阿佐ケ谷」駅前のフレンチレストランのあるビルの3階に2013(平成25)年1月オープンしたのが「おやこカフェ・ほっくる」です。乳幼児を連れてお茶もランチもできて、おむつかえも授乳もできる。地域の人気パン屋さんの料理教室や親子ヨガ教室、ベビーマッサージ教室、ハーブ、アロマ講座など、講座やイベントも豊富。訪れるママたちを迎えるスタッフも地域の(ちょっと先輩の)子育てママたち。手づくりの日替わりランチから講座やイベントの企画などもママ目線で考えているというスタッフの國松佳子さんに伺いました。

「ほっくる」はどんなところですか。

おやこカフェ・ほっくる阿佐ヶ谷プチフリマスペースやおむつ替え専用スペースも常設

親子でご飯を食べたり、ママ友だち同士でおしゃべりしたり‥‥。親子で、友だち同士でゆっくりくつろげる場所がほしい、そんな阿佐ヶ谷ママたちの声から生まれたのが、「おやこカフェ・ほっくる」です。

おやこカフェ・ほっくる阿佐ヶ谷

子どもが泣いたり、騒いだりしても気にせず、ここでは親子ともにリラックスしてほしい。カーペットとローテーブルの内装なので、席を行き来しやすいせいか初対面の子ども同士がいつの間にか仲良くなることもあって、それがきっかけで、知らないママ同士が顔見知りになることもあるようです。

ママや親子のための講座も主催していますね。

おやこカフェ・ほっくる阿佐ヶ谷イベント企画ももりだくさん!

いつもは子ども中心の生活をしているママでも、自分自身の趣味ややりたいことへのアンテナも大切にしてほしい。一般の主婦向けの習い事だと子どもを誰かに預けてママだけで出かけたり、子どもを連れで行っても「おとなしくしててね」と子どもに我慢させたりすることもあるけれど、ここならママが講座に参加している間、子ども用のおもちゃや絵本も常備しているので遊んでいられます。子どもが泣いたり昼寝をしても周りがみんなママだから気兼ねせずにいられます。

日替わりランチは、どんなところにこだわっていますか。

おやこカフェ・ほっくる阿佐ヶ谷

手づくりの日替わりランチ(フリードリンク付き1050円/平日1時間半)は、パンにヘルシーなスープやデザートが付いて素材にもこだわっています。家族と自分の健康を考えたいという若いママたちのための『雑穀やマクロビを取り入れたスペシャルランチの日』も同じ価格で企画しています。

カフェに来ているママの声 「ほっくる」の魅力とは?

おやこカフェ・ほっくる阿佐ヶ谷

◯赤ちゃん連れでゆっくりできるカフェってなかなかないので、月2回は来ます。ママ友だちと待ち合わせすることもあれば、自分が興味のある講座があれば子連れで一人で参加することも。今日は大好きなパン屋さんのサンドイッチ教室なので子ども(1歳)連れで参加しました。

◯子どもを連れてリラックスできる場所は、ここと友だちの家くらい(笑)。月に何回か遊びに来ます。ランチを食べに来たり、友だちとお茶しに来たり。講座の情報はインターネットでチェックして申し込んでいます。

左から、スタッフの前田理絵さん、國松佳子さん、上野京子さん

スタッフの倉石蘭さん

今回、お話を聞いた人

「おやこカフェ・ほっくる阿佐ヶ谷」のスタッフのみなさん

<ほっくるのシステム>
◎月曜日~金曜日 10時30分~17時(ラストオーダー16時)
◎ママにもお子さんにもぴったりのお茶はフリードリンク1時間450円~。
◎乳幼児のみ持ち込みOK
◎平日17時~、土日はレンタルスペースになります。1時間2,000円。親子やママサークルなどのパーティー、カルチャー教室などに使えます。

所在地:東京都杉並区阿佐谷南3-37-10 YSディセンダンツビル3F
電話番号:03-5335-7285
URL:http://suginamimama.com
ブログ: http://ameblo.jp/hokkuluu/
Facebook: http://www.facebook.com/hokkuluu

※記事内容は2013(平成25)年5月時点の情報です。

赤ちゃん連れのママに憩いの場を/おやこカフェ・ほっくる阿佐ヶ谷 スタッフのみなさん
所在地:東京都杉並区阿佐谷南 3-37-10-301 
電話番号:03-5335-7285
http://suginamimama.com/

世界でただひとつの店を目指して/みかわ是山居 ご店主・早乙女 哲哉さん


みかわ是山居 ご店主・早乙女 哲哉さん

世界でただひとつの店を目指して

天ぷら職人としての生き様も「江戸前」でありたいから、深川で「世界でただひとつの店」をやっていきたい。門前仲町の隣町・福住の静かな住宅街の一角に天ぷらの名店「みかわ是山居」がある。日本が誇る「当代屈指の天ぷら職人」と呼ばれる早乙女哲哉氏に、深川で天ぷら店を営む志などについて伺った。

もともと日本橋で始まった天ぷら店ですが、なぜ深川で店を開こうと思ったのですか?

みかわ是山居

世界で一番最初に100万人都市となったのは江戸です。しかも深川は「江戸前」食文化の中心地です。 福住は歴史ある土地柄でした。天ぷら店を営む上で、自分の生き様も「江戸前」でいきたい。だから、ベースは絶対ここにしたいと思っていた。

 

ミシュラン2011で星を獲得されていますが、何か変わったことはありましたか?

ご店主・早乙女さん

自分には全然関係ないですね。私は多くの店の一つに仲間入りしたいのではなくて、目指しているのは「世界でただ一つの店になりたい」ということ。外部からの点数は関係ありません。 「感想」はそれぞれですから、たくさんあっていい。でも「点数」を付けるなら「答え」を知っていないとできないと思いませんか?なのでそういった格付けには興味ありません。 天ぷらはシンプルな料理ですが、日本料理は現代フランス料理に負けない、いやもっと深い歴史がある。そこを日本人がきちっと見てほしい。日本人は自分たちの文化に自信を持て!と、言いたいです。

このお店はアート的な空間でもありますが、なぜこういったお店にしようと思われたのですか?

サロン

私は、17歳の時に「好きなアーティストに店を作ってもらって、その中で私もアーティストとして天ぷらを揚げる」という夢を語ったんです。それをカタチにしたのがこの店です。夢を語った日から47年かけて叶えました。 この店は建物自体が美術館でもあります。3Fは美術品を展示したサロンになっていて、待ち時間などに利用していただいています。

芸術品の数々

食事っていうのは「食べる」だけではなくて、食前の気分をワクワクさせたり、食後の余韻を残したり、一連の時間全部を含めて「食文化」なんです。「感性」をかきたててくれる店でないと!カタチばかり「豪華だったね」とステイタスだけで終わる店にしたくはなかったんです。

「是山居」の意味を教えてください。

看板

読んで字のごとしです。「これこそ山にすむ」ということ。 「山居」とは曹洞宗の開祖・道元禅師が「修行」に対する思想として残した言葉です。「是山居」は、もともと陶芸家の先生が財閥の山荘の名前のために案出した名前です。

その陶芸家の先生がお亡くなりになる前に、完成間近だったこの店に授けようとしてくださいました。そして由緒ある「是山居」の名前を染色家の芹澤銈介筆として託されたのが今の看板です。(芹澤銈介氏は型絵染の人間国宝で故人)。

ご店主の天ぷらに対するこだわり、志を教えてください。

店舗内観

天ぷらも「モノづくり」の一つです。歌とか美術とか、分け方なんて関係ない。モノづくりに対してどう取り組むかということ。なんとなく「根本」が曖昧なままやっている人が多いと感じます。要は「最終的に何を目指すか」。何が大切なのかを考えること。

調理風景

では、そのためにはどうするか。真面目さや腕、素材などはプロとしてあって当然のことで、全ての手段をトータルで考えて「どういう感性でどういう表現をするか」を導き出すこと。 (天ぷらを揚げると言っても)モノづくりとして本質が曖昧であってはいけない。絶対的にこれ!という何かを見極めるための「表現の意識」、こういったことを一番大切に考えてやっています。

これからの展望などありましたら教えてください。

美味しそうな料理

そうですね……以前、せがれに「ここが(お父さんの)最終章?」って聞かれたことがあります。 そんな、「最終章」って言ったって、今どきはパート2、3がどんどん出るじゃないですか(笑)。だから、自分もここが終着点なのかどうか、まだ分からないですよ。とにかく、続けていきます。

ご店主・早乙女さん

今回、話を聞いた人

みかわ是山居/ご店主・早乙女哲哉(そうとめ てつや)さん

天ぷらを揚げて51年。常に創意工夫する調理法と、卓越した技術と繊細な味は料理界から「当代屈指の天ぷら職人」と呼ばれている。「天ぷらみかわ」が日本橋茅場町にあり、「みかわ是山居」はオープン3年目。六本木ヒルズにも姉妹店がある。(2011年現在)。

みかわ是山居
http://mikawa-zezankyo.jimdo.com/

※記事内容は2014(平成26)年1月時点の情報です。

世界でただひとつの店を目指して/みかわ是山居 ご店主・早乙女 哲哉さん
所在地:東京都江東区福住1-3-1 
電話番号:03-3643-8383
営業時間:11:30~13:30/17:00~21:30
定休日:水曜日
http://mikawa-zezankyo.jimdo.com/

「楽しみながら漢字を読む」 子どもの力を伸ばす教育とは/田園都市幼稚園 園長 志田元さん


田園都市幼稚園
園長 志田元さん

「楽しみながら漢字を読む」
子どもの力を伸ばす教育とは

「青葉台」駅と「長津田」駅の中ほど、「田奈」駅近くの段丘にある「田園都市幼稚園」は、「楽しみながら漢字を読む」という幼児教育を取り入れ、子どもたちの能力を伸ばしていくことを目指す、個性派の幼稚園として知られている。今回は漢詩を元気に読む授業風景を見学したのち、親子3代にわたって園の伝統を守り続けている、3代目園長の志田元(しだはじめ)先生にお話をうかがった。

まず最初に、園の歴史・沿革について教えてください。

田園都市幼稚園

当園は開園が1966(昭和41)年でして、今年で47年目になる幼稚園です。園ができたのはちょうど東急田園都市線が開通した頃でして、当時は東急電鉄の多摩田園都市開発で急速に人口が増えはじめた時期で、うちの祖父がこれからは「幼稚園教育が必要だ」ということで、開園に至ったんですね。

田園都市幼稚園

祖父は教育者ではありませんでしたが、郷土の発展には熱い思いがありました。祖父は初代園長ですが、幼稚園が開園した翌年に亡くなったので、実質この幼稚園の基礎を作ってきたのは私の父になります。

現在の園舎は1991(平成3)年に新築した建物でして、上にある、年長さんの部屋やホールのある新しい建物は、さらに2010(平成22)年に増築したものです。だから開園当初の建物はもう全然無いんですけれども、場所はずっと、この場所で変わりません。現在、園児の数は全部で300人になりまして、各年齢で3クラスずつの編成になっています。

教育方針に「三つ子の魂百までも」という言葉を掲げていますが、その思いについてお聞かせください。

田園都市幼稚園 園長インタビュー

教育方針には開園当初から「三つ子の魂百までも」という諺を引用しておりまして、「幼児期の教育の大切さ」ということに、非常に注目しております。当園が重視している漢字教育ももちろん大切ですが、「挨拶・返事・靴を揃える」といった“三つの躾”が実践できているかどうかということは、園の教育全体を支える土台なのです。こうした基礎を大事にしていきたいという思いがあります。

幼児というのは、大人の未成熟な状態、幼くて、まだ能力も低くて、何もできない。それが歳を経るに応じて、だんだんと高度なことができるようになる、と捉えられがちですが、実は幼児には、3歳から6歳までの間しか存在しない、特別な認知力があるんです。私たちもみな、そういう時期を過ごしているはずなんですけれども、大人になってしまうと、もう分からないんです。

田園都市幼稚園 園長インタビュー

一番身近な例だと、母国語をどうやって覚えたんですか、と言われても分かりませんよね。あれは、日本語の言語環境に、おそらく2歳か3歳くらいまでどっぷりと浸かっていたから、何の努力もなしに喋れるんです。それは国籍とか、血ではないんです。日本人でも、ドイツ語の環境にいればドイツ語しか喋れなくなってしまうんです。その能力というのは、人間の土台を作るのにとても大事なものなんですね。最近は特に脳科学が発達してきているので、その「三つ子の魂百までも」という諺が、科学的にもずいぶん裏付けられてきているそうです。

田園都市幼稚園 園長インタビュー

もちろん開園当初はまだ、「幼児期の能力」なんてことは迷信みたいな言われ方をしていました。でも、私の父や祖父は、昔からずっとそういう部分に着目して教育をしてきました。

東井義雄先生の言葉で「根を養えば樹はおのずから育つ」という言葉がありますけど、人間というのは土台さえ作ってあげれば、何をしなくても自分で個性を発揮して、自分で伸びていくんです。その土台を作ってあげるのが幼児期で、そのために幼稚園があると思っています。

次に、園児の1日の流れについて教えていただけますか。

田園都市幼稚園

うちはバス通園が7~8割になっていまして、子どもたちの登園は8時半ぐらいからです。3台のバスで6つのコースを周りまして、最後のバスが9時40分くらいに到着します。

登園した子どもたちは、9時20分くらいから園庭に出て自由あそびをしていまして、9時50分に一度お片付けをしして、そのまま園庭で「朝の会」という朝礼を行います。そこで園長先生から話をしたり、その日の担当の先生からお話があったり、体操をしたり、サーキット運動をしたりします。

田園都市幼稚園 園長インタビュー

朝の会が終わると、だいたい10時半くらいに教室に入って、30分弱ほどその日の活動(日課)をします。古典などもそうですね。この時、「腰骨を立てる活動」は毎日必ず行なっています。

11時ぐらいになると、日課の活動が終わりますので、その日のいろんなプログラムに入ります。行事があれば行事の練習をしたり、季節の制作をしたり、というものです。そのあとはお昼になりますが、月・木が給食で、火・金がお弁当で、水曜日は午前授業ということになっています。

田園都市幼稚園 園長インタビュー

午後については、行事があれば行事の練習をしますが、それ以外の日は、14時ぐらいまでは自由あそびでして、14時10分からは降園になりまして、バスが出始めます。14時以降の預かり保育については、通常は14時から17時まで、水曜日に関しては16時までです。

漢詩を読む前にやっていた、「腰骨を立てる活動」というのはユニークですね。

田園都市幼稚園 園長インタビュー

これは「姿勢を正す」ということで、毎日の日課の前にやっていまして、腰椎をスーッと立てていくと、やっぱり気持ちもスッキリするし、頭も澄んでくるんです。3歳から始めていますから、最初は何も分からず、ぽかんとしている子も多いんですけれど、形が入ってくると、全然私語は出なくなるんです。つまり、「心と体はひとつ」ということです。心がシャンとすれば体もシャンとする、体がシャンとすれば心もシャンとするということなのです。この活動をすることによって、集中する時間と、思いきり遊ぶ時間の切り替えができるようになります。

漢字教育に力を入れていますが、その根底にある思いとは何でしょう?

田園都市幼稚園 園長インタビュー

「漢字教育」と言うと、すごく誤解されやすいんですよ。「先取りして漢字を憶えて、小学校で楽をさせようとしているんじゃないの?」ともよく言われるんですが、全く違うんです。

確かに結果として、漢字は憶えます。でも世の中というのは、普通に漢字かな交じりの環境ですよね。でも幼稚園や小学校に行くと、全部かなに直してあるんです。あれを「幼稚園だからね」という見方もあるでしょうけれど、でも、世の中ってそうじゃないんです。社会はどこに行ったって、漢字かな交じりの環境なんです。だからそれをそれをそのまま、社会で使われているとおりに、教育に取り入れたらどうなんだろう、ということで取り組んでいます。でも実際にやってみると、全然問題ないんですよ。すらすらと読めてしまうんです。

たとえば、うちの園児の名札は全部漢字で書いてありますし、持ち物にも全部漢字で名前を書いています。逆に言うと、その子の名前をそのまま書いてあるわけですから、“普通”なんですね。

田園都市幼稚園 園長インタビュー

ひらがなだけの文章って大人には読みづらいですけど、これは子どもだってそうなんですよ。読めれば、漢字はひとつの「かたまり」として読んでいくんです。実は幼児には、漢字のほうが逆に簡単なんです。大人から見れば、画数が多い漢字のほうが難しそうに見えますでしょ。でも、子どもたちにとっては、逆に画数が多いほうが特徴を捉えやすいんです。

田園都市幼稚園 園長インタビュー

3歳ぐらいまでの時期というのは、形とかパターンを無条件で憶えられる能力が最大なんですね。2歳3歳の子は、「こうだよ」と教えられたら、「ふーん」と無条件に憶えるんですよ。疑問を持たないんです。だからこそ逆に怖いんです。しっかりとした環境を与えないと、それがそのまま入っていっちゃうんですから。年中さんくらいになって論理的に考えられるようになると、好きとか、嫌いとか、自分に得かどうかとか、取捨選択できるようになります。

だから漢字かな交じりの教育というのは、ひとつには「言葉の教育」という側面があるんですね。いろんな語彙に触れさせてあげて、吸収させてあげたいんです。日本語っていろんな表現があるじゃないですか。とても繊細な表現もありますよね。だからそれを知っていけば、いろいろな繊細なものごとを、言葉で伝えられるようになるんです。「言葉で心が作られる」という面もありますし、言葉を知れば、自ずと表現力も付いてくるんです。

今日は漢詩と唐詩を読んでいましたが、古典に注目するのは何故でしょうか?

田園都市幼稚園 園長インタビュー

古典というのは、日本人がずっと培ってきた文化遺産ですから、そういうものに言葉として触れていくことって大切なんですね。みなさん、「日本人は英語が苦手な民族だから、英語教育をやりましょう」と言うんだけれど、外国に行っていちばん軽蔑されるのは、自分の国について語るべきことが無い人なんです。英語の文法や発音が良くても、会話の中で、「じゃあ、あなたの国の文学について教えて」と言われても、答えられなければ恥ずかしいですよね。海外のエグゼクティブの方ですと、敢えてそういう質問をぶつけて、試すらしいんです。逆に言えば、英語の発音なんてブロークンでもいいと思うんです。考えていること、自分の国のことなどを、まず話せるようになってほしいですね。

田園都市幼稚園 園長インタビュー

そういう一端として古典も読んでいるんですが、、子どもたちがイヤイヤ読んでいたんじゃ続かないですよね。でも、見ていただいたとおり、みんな古典が大好きなんですよ。

なぜかと言えば、古典って音読すると楽しいんですよ。特に文語文はスパッとしていて、切れがいいですよね。でもあれを読むにあたって、意味に固執してはダメなんです。読んだ内容を、「これはこういう意味だよ」っていちいち講義してしまうと、みんなつまらなくなっちゃって、もう読まないんですよ。子どもたちも、ひとつできるようになると、今度は「新しいの教えて」って来るわけです。漢詩や唐詩以外にも、方丈記があったり、俳句や諺なんかもやります。年長さんくらいになると、やりながら言葉の意味を聞いてくる子もいますけれど、先生から教えることはしなくて、聞かれたら教えてあげるようにしています。

田園都市幼稚園 園長インタビュー

全国では700園ほどの幼稚園~保育園が「漢字で教える教育」を実践していますが、知らない方の中には「お勉強幼稚園」と言う方もいますけれど、私たちは、全然“お勉強”なんて意識は無いんですよ。ただ、「今の時期に接しておくべきもの」ということで、漢字に親しませてあげたいんです。

田園都市幼稚園 園長インタビュー

また、漢字が読めるということは、本が読めることにつながります。そして読書というのは、色々なことの基本になります。勉強だってそのひとつですよね。うちでは、漢字を憶えさせることが目的ではなくて、漢字は「ツール」だと考えています。日本人の基となっているようなものに触れていって、漢字を通して、立派な「日本人」を育てよう、という考え方があるんです。

「2歳児教室」があるそうですが、これについて詳しくお聞かせください。

田園都市幼稚園 園長インタビュー

「2歳児教室」というのは、幼稚園に入る前のお子さんを対象に、5月から3月まで、週に1回の教室を行っているものです。うちの園には独自の教育方針がありますから、1学期、5月から7月はお母様と一緒の活動で、ダンスをしたり、制作をしたりしまして、月に1回、1時間の体操の時間もあります。

2学期からは母子分離で、お母様も一緒に来るんですけれども、お母様は別室に居ていただいて、子どもたちと先生だけになって、慣らしていきます。最初はちょっと泣いたりもしますけれどもね。これで3学期もやってきます。さすがに最初から突然腰骨は立てたりはしませんけれども、だんだんと腰骨も立てていきますよ。

年間行事としては、どのようなものがあるのでしょうか。

こどもの国

まず、5月には春の遠足ということで、各学年とも親子遠足があるんですが、この時は「こどもの国」に行きます。これは新しくクラスが編成されたので、親睦も兼ねて、という部分が大きいですね。その中で、ウォークラリーをやったり、クラスごとのレクリエーションをやったりします。

田園都市幼稚園 園長インタビュー

6月には休日参観、いわゆる父親参観日というものがありまして、7月は年長さんのお泊まり保育があります。お泊まり保育の時には園庭でキャンプファイヤーをしたり、園の周辺で宝探しをしたりという活動があります。夏休み後半に夏季保育がありまして、最終日には「夕涼み会」ということで夏祭も行ないまして、盆踊りを踊ったり、お店が出て買い物ができたりします。

青葉公会堂

9月から10月にかけては秋の遠足がありますが、秋の遠足は保護者の方と一緒ではなくて、園児のみとなります。あとは、10月には運動会がありますし、お芋ほりがありますし、12月は音楽発表会がありまして、これは「青葉公会堂」を使って行います。もちろんクリスマス会や、おもちつきも行ないます。年度の最後、2月にはお別れ発表会というものがあります。

ほかには、移動動物園が年に2回来ますし、「ひとみ座」という人形劇団が各学期ごと、3回来てくれています。

かわいらしい銅板彫刻や木彫りの小物が沢山ありますね。

田園都市幼稚園 園長インタビュー

これは幼稚園を設計した建築士の先生の知り合いに銅板作家の方がいらっしゃって、その方が作ってくださったものなんですね。だんだん増えてきて、今では園内のあちこちに置かせてもらっています。木の彫刻については、「えほん村」という絵本の博物館に木工の工房がありまして、そこから買ってきたものですね。からくり時計なども、そちらにお願いして作っていただいたものです。

キャラクターなどではなく、こういった“作家もの”を置いているのは、平たく言えば、「“本物”を置いて、それを園の環境にしていこう」ということなんですね。

保護者の方、園児にはどんな子が多いのでしょうか。

田園都市幼稚園 園長インタビュー

説明会の時などにもご説明するんですが、幼児期の大切さとか、今をどういう風に過ごすことが大事なんですよ、ということをしっかりとお話をして、見学もしていただいて、日課の活動なども見ていただいて、納得していただいて、みなさん入られます。ですから、入ってきてから、「何でこんなことをやっているんだ?」ということはまず無いですね。

ですから、わたしたちの園の教育方針に共鳴してくださる方、理解してくださる方が入ってくださいます。保育預かりが17時までですので、フルタイムで働くお母様方は少ないです。

田園都市幼稚園 園長インタビュー

子どもたちの特徴、という面ですと、入園する子たちがどうというよりも、その子たちが「どうなっていくか」ということが大事なんですね。最終的には、さきほど見ていただいた年長さんのようになれるのが目標です。子どもたちはやっぱり、切り替えがすごく上手にできますし、集中力もあると思います。逆に遊ぶときはものすごく元気に遊ぶんですよ。やる時はやる、遊ぶときは遊ぶ子たちが多く育ちます。

でも、その一方で家ではすごく甘えたりするんですね。時々、保護者の方からそんな心配の声をいただくんですが、子供たちは幼稚園ではすごく頑張っているんです。家庭は憩いの場ですから、甘えやわがままが出るのは当然です。でもその中で子ども達の根っこはたくましく育っていきます。

最後に、園長が感じていらっしゃる、青葉台エリアの魅力について教えてください。

青葉台東急スクエア

青葉台というのはこの辺りの開発の拠点になった場所で、最初に開発されましたから、わりと昔の地形がそのまま残っているんですよ。だから昔はこんな地形だったなって思い出せる部分が残っているんですね。青葉台あたりは近代的な街並みにはなっているんですけれど、昔の形がちゃんと残っているというところが、私はすごくいいな、と思います。

もちろん、今は交通の便もすごく良くなっていて、街もいろいろな店ができて便利になりましたけれど、少し足を伸ばすと昔と変わらない自然が残っていて、とてもいい場所だと思いますね。

田園都市幼稚園

今回、話を聞いた人

田園都市幼稚園
園長 志田元さん

所在地:横浜市青葉区しらとり台62-14
電話番号:045-981-6588
※記事内容は2013(平成25)年9月時点の情報です。

「楽しみながら漢字を読む」 子どもの力を伸ばす教育とは/田園都市幼稚園 園長 志田元さん
所在地:神奈川県横浜市青葉区しらとり台62-14 
電話番号:045-981-6588
保育時間:9:00~14:00、水曜日9:00~11:00
休園日:土曜日、日曜日
http://denentoshi.ed.jp/

自由なスタイルで音楽を“楽しむ”/Music Together Allegro 主宰 相澤美穂子さん


Music Together Allegro
主宰 相澤美穂子さん

自由なスタイルで音楽を“楽しむ”
Music Together Allegro

「青葉台」駅から徒歩数分の場所にあるマンションで、水・金・土・日曜日に教室を開いている「Music Together Allegro」は、親子が一緒に歌い、遊びながら、世界の音楽に親しんでいくという、アメリカ発の音楽プログラム。楽しく英語に触れながら、リズム感も養えるということで、田園都市エリアのママの間で口コミで人気を広げ、今では横浜市内に合計5か所の教室を持つまでになっている。

今回訪れたのは平日のお昼前に行われている、この日の2グループ目の教室。歌ったり、踊ったり、床を叩いたりと、リズムに合わせて自由なスタイルで音楽を“楽しむ”親子の姿が印象的だった。今回はこの教室の創業者であり、今でも各教室を回る現役インストラクターとして活躍している、相澤美穂子さんにお話をうかがった。

「Music Together Allegro」とは、どういったプログラムなのでしょうか。

Music Together Allegro インタビュー

この「Music Together」は、25年前にアメリカで始まったプログラムで、今は世界中40か国ぐらいで展開されているプログラムです。ワンレッスン45分、親子で一緒に音楽表現を楽しんでいく、という点が特徴となっていまして、手あそびをしてみたり、いろいろな楽器を使ってみたり、ダンスをしたりと、いろんな形で音楽を“親子で”“楽しんで”いくというものです。「Allegro」は、私たちの教室の名前になります。

「Music Together」が日本に入ってきたのは10年ほど前になりまして、少しずつ日本でも広がってきていますけれど、まだまだ、日本での認知度は低いかもしれません。教室も全国で30か40ほどでしょうし、この辺りでは、私たちがやっている教室だけだと思います。私のところでは、青葉台を含めて、横浜・川崎市内に5か所の教室を運営しています。

でも、アメリカに行きますと、日本で言うヤマハさんの音楽教室のような感覚で、少し行けばすぐに「Music Together」の教室があるという感じで、本当にポピュラーなものになっているんですよ。

「Allegro」(アレグロ)という名前には、どんな思いが込められているのでしょう?

「アレグロ」という言葉は、ひとつは音楽用語として「軽やかな、軽快なテンポで」という意味があるので、「みなさんに楽しんでいただける教室にしたい」という願いから付けました。あとは、もちろん音楽教室ですから、音楽に関する言葉に絡ませたかったということもあります。

レッスンの内容について、具体的に教えてください。

Music Together Allegro インタビュー

まず、教材としてはアメリカから届く「Music Together」の世界共通の教材がありまして、一応、子ども向けのプログラムではあるんですが、いわゆる“子どもの歌”だけではなくて、大人も楽しめるようなジャズっぽい曲や、クラシックをベースにした曲など、世界中の音楽を網羅して載せています。ですので、幅広いジャンルの音楽を、大人も子どもも、みんなで一緒に楽しんでいくんですね。

毎回のレッスンでは、まず最初に「ハローソング」を歌って、子どもたちひとりひとりの名前を呼びながら、最初のごあいさつをします。これは毎回行いますので、やっぱり、子どもたちも大好きな歌になっていますね。

Music Together Allegro インタビュー

そのあとは、毎週内容が変わってきますが、手あそびがあったり、いろんな楽器や道具が出てきたり、ダンスをしたり、動物さんになってみたりという感じで、自由に音楽を楽しんでいきます。「この曲では必ずこうやらなきゃいけない」というものがありませんから、「じゃあ、今日はこの曲をこんな風に楽しんでみようか」という、すごく自由な感じのプログラムです。ですから、その時の雰囲気に合わせながら、自由に歌って、動いて、寝転んで、ということで楽しでいきます。そして、最後にはママのひざで眠って、グッバイの歌があって、終わるという45分のプログラムです。

曲目は毎回変わるということですが、歌詞は英語が多いし、憶えるのが大変ではないですか?

Music Together Allegro インタビュー

曲は毎週変わりますが、使う道具も変わるので、ママも子どもも、毎回「次の曲は何だろう」とか、「次はどんな道具が出てくるのかな」ということを、楽しみにしておられます。

歌詞については、まず教材自体がアメリカから来るので、教材はもちろん英語になっているんですが、音楽ですから、歌うことができればいいんです。歌詞は気にせずに、「ラララ・・・」でもいいですし、歌詞を憶えたいという人は、テキストを見ていただいて、歌いながらどんどん憶えていただければいいですし。そうじゃない方は無理に憶える必要はないんです。だから全然大変じゃないんですよ。

Music Together Allegro インタビュー

でも、何回か参加していくと、好きな曲が必ず出てくるので、そうすると何度も歌うようになるし、CDも聞くようになりますから、自然と憶えていくんですね。ですから、あまり意識して歌詞を憶える必要は無いんです。

反対に子どもたちは、本などは一切見ないので、完全に耳から憶えて、耳で聞いたままを素直に歌っていきますね。それに英語の曲は半分ぐらいでして、あとは、「ラララ・・・」「トゥトゥトゥ・・・」とか、歌詞が無かったり、英語以外の言語の曲なんですね。スペイン語もありますし、アフリカの言語などもあります。ですので、英語ができなくても、全然気にすることはありません。

教材は幾つかあるようですが、どのようにプログラムに組み入れていくのでしょうか?

Music Together Allegro インタビュー

「Music Together」では全世界で同じ教材を使って、同じカリキュラムでレッスンをやっていますので、教材はすべてアメリカから来ています。切り替えのタイミングとしては、ワンシーズンごと、3か月で1冊の本をやるというのが基本になります。1冊の教材に曲が20~30曲くらい入っていて、CDも付いてくるので、レッスン以外の時にも、家でも車の中でも、日々の生活の中で音楽を楽しんでいただけるようになっています。

「Music Together」の特徴として、「電子音を使っていない」という点も大きな特徴でして、レッスンの中でも、ほとんど自分たちの声や、楽器のリズムだけで音楽を作っていきます。教室で使っている楽器には、「リズムスティック」というアメリカから来ている棒の形の楽器や、「リゾネーターベル」といって、長さによっていろんな音を出せる楽器、子どもたちも大好きな「ジングルベル」や、マラカスのように使う「エッグシェイカー」などがあります。

レッスンに参加するためには、どうすれば良いのでしょうか

Music Together Allegro インタビュー

ほとんど毎週レッスンをやっていますので、興味のある方は、まずは体験していただいて、そのあと入会希望であれば、随時入会ができます。基本的にいつでも入会はできますが、教材が切り替わるタイミングで入られる方が多いですね。

クラスについては、年齢別のクラス分けはしていないので、すべてのクラスで、0歳から5歳までのお子さんと保護者の方という構成になっています。傾向としては、平日のクラスは1歳前ぐらいから3歳前ぐらいまでの方が多くて、週末のクラスは0歳から5~6歳までと、少し幅広くなります。ですので、1つのクラスの中に大きな子も小さな子もいて、ママもいて、という感じですね。平日のクラスですとママが中心なんですが、週末のクラスになるとパパも沢山の方が参加されますし、おじいちゃんおばあちゃんが来たりと、ひとつのクラスが大家族みたいな感じになります。

どういった目的をもって、どういった雰囲気の方が参加されていますか?

Music Together Allegro インタビュー

年齢層としては先ほど申し上げたような感じで、とても幅広いです。参加する最初のきっかけとしては、保護者の方自身が「音楽が好きなので」という方がいちばん多くて、中には「英語に触れたいから」「英語に興味があるから」という方もいらっしゃいますし、親子で一緒に楽しめる雰囲気を気に入って入ってくださった方も多いです。

ですので、子どもたちも楽しんでいるんですけれども、けっこうママ達も楽しんでいるんです。それが一番の特徴なのかもしれません。「子どもに習い事をさせる」ということではなくて、まずはママが楽んで、ママが楽しんでいれば、子ども楽しい気持ちになる、ということなんです。

Music Together Allegro インタビュー

お住まいのエリアとしてはけっこう幅広くて、青葉台以外にも田園都市線の沿線の方が広くいらっしゃいますし、車で30分くらいかけて来られる方もいらっしゃいます。中には世田谷あたりから来られている方もいますね。口コミで、お友達のご紹介で、ということで来られる方もかなり多いです。

「Music Together」を通じて、何を感じ、学んでほしいと思われますか?

Music Together Allegro インタビュー

これぐらいの時期の子どもたちって、大人とは違った“学び”のスタイルがあるんです。いわゆる「お稽古」のように、「これはこうやってやるんですよ」、「はい、上手にできました」という感じではなくて、見よう見まねでできるようになるんですね。子どもって見ていないようで周りのことをすごくよく見ていて、特に親のことは何でも真似してしまいます。教えなくても、「自分で学ぶ力」をすごく持っているんです。

ですから、このプログラムも、子どもたちに“させる”のではなくて、まず大人が音楽を楽しむ姿を見せてあげて、子どもたちは親をお手本にしながら、音楽の楽しさを学んでいく、ということを大切にしています。

子どもたちの変化や成長について、実際にどんな声を聞かれますか?

Music Together Allegro インタビュー

これはママたちからの感想になりますが、いつの間にかリズムを取るようになったとか、上手に歌えるようになったとか、音楽的な成長はもちろんもあるんですが、それ以外にも、「表現が豊かになった」、「積極的に行動できるようになって社会性が身についた」、「言葉の発達にも良い影響が出てきた」、などという声も聞きます。

ですので、音楽だけではなくて、それ以外のところでもいろんな成長があるかと思います。

相澤さんが「Music Together」に興味を持ったきっかけは何だったのでしょうか?

Music Together Allegro インタビュー

私も息子がふたりいまして、もともとは上の子が10か月の頃に、このプログラムに日本で参加していたんです。そのあとアメリカに行くことになったので、日本で1年やった後に、アメリカでまた2年やっていたんですね。アメリカに行けばたくさん教室がありましたので。

私が最初に始めた理由が、私自身が体験に行った時、すごく楽しかったからなんですよ。だから、「私が楽しいんだから、息子もきっと楽しんでくれるだろう」と思って始めてみたら、3年間続けることになったんです。

本場のアメリカでは、講師になるためのトレーニングというものがあって、私も向こうの先生に薦められたのでそれを受けて、アメリカで講師の資格を取ったんですね。そして帰国してから、今の教室とは違う場所なんですけれども、この教室を始めたんです。

ありがとうございました。最後に、青葉台の魅力についてお聞かせください。

青葉区しらとり台の街並み

青葉台はとにかく住みやすいですよね。緑も多いですし、子どもがいる世帯が多いですから、子どもが沢山いて、街の雰囲気が明るい感じです。都内にも出やすい場所なんですが、ちょっと行くだけで田園風景が広がっていたりしまして、のんびりした雰囲気もあります。

住んでいる皆さんも教育熱心な方が多いですね。この辺りは青葉区の中でも特に私立中学への進学率が高いそうですし、、本当に教育に対して興味を持たれている方が多いので、お互いに情報交換をして、刺激を受けることもできます。駅前には楽しい、素敵なお店も沢山ありますし、美味しい飲食も店沢山ありますし、特に子育てをしているママには優しいエリアなのかな、と思いますよ。

Music Together Allegro インタビュー

今回、話を聞いた人

Music Together Allegro
主宰 相澤美穂子さん

所在地:横浜市青葉区つつじが丘23-9
サンモール青葉台106

※この記事内容は2013(平成25年)年9月時点の情報です。

自由なスタイルで音楽を“楽しむ”/Music Together Allegro 主宰 相澤美穂子さん
所在地:神奈川県横浜市青葉区つつじが丘23-9 サンモール青葉台106
http://musictogetherallegro.com/

特徴的な教育を進める伝統校/杉並区立桃井第一小学校 校長 内田裕司先生


杉並区立桃井第一小学校 校長 内田裕司先生

特徴的な教育を進める伝統校

青梅街道の北側に位置し、開校以来138年、杉並でも3本の指に入る伝統校として地域に馴染んでいる「桃井第一小学校」。ここは同時に、区内で最も児童数の多いマンモス小学校としても知られており、体育教育を中心に、先進的な取り組みも多数行われてきている。今回はここ「桃一」こと「桃井第一小学校」で6年間校長を務めている内田裕司先生を訪ね、学校の魅力、地域の魅力についてお話を伺った。

桃井第一小学校は非常に歴史の長い学校とお聞きしました。

杉並区立桃井第一小学校

本校は明治8(1875)年に開校した学校でして、いわゆる「杉並3校」、区内で最も古い3つの小学校のうちの1つになります。今年で開校から138年目を迎えます。学校の隣にある薬王院というお寺さんから始まった学校でして、当初は「桃井小学校」と呼ばれていたそうです。


杉並区立桃井第一小学校

歴史の非常に古い学校ですので、何世代も続いてこの学校を卒業しているという方も多くおられまして、そういう意味では、とても地域に根付いている学校です。近年は学区域に大きなマンションが建ちましたので、新しい方と、昔からいらっしゃる方が融合した学校になっています。

規模としても区内最大とお聞きしました。

平成25(2013)年度は714名でスタートしまして、これは杉並区内でも一番の児童数となります。各学年が4クラス、合計24クラスとなっています。人数が多いと活動の幅が広がりますから、たとえば運動会なども縦割りにして、縦の関係が強くできるだとか、紅白でやっているのを違う形にできたりというメリットもあります。

杉並区立桃井第一小学校

この「縦割りの関係」も力を入れている点でして、今日もこれから「縦割り給食」があって、そのあと「縦割り遊び」がありますけれども、異学年同士で交流して、交流する機会を多く持つように取り組んでいます。これも人数が多いからこそ、よりやり易くなっているもののひとつです。

学校施設面での特徴をお聞かせください。

杉並区立桃井第一小学校

特徴でしょうか。屋上にも芝生があり、4年生以上の児童が休み時間に遊んでいます。低学年の子は小校庭の芝生で遊ぶ、という具合に、とてもくつろげる場所になっています。低学年の子は小校庭の芝生で遊ぶという具合に、とてもくつろげる場所になっています。

杉並ですので、(他の新しい小学校だと)校庭をなかなか広く取れないという事情がありますが、その中では、比較的広い校庭が取れているかと思います。

杉並区独自の取り組み、桃一独自の取り組みなどがあればお教えください。

杉並区立桃井第一小学校

教員は普通ですと都道府県の教員ですが、杉並区には“区独自の教員”がおりまして、それを学校に入れることによって、「30人程度学級」というものを実現しています。これによって都の基準よりも若干少ない基準でクラスを編成できます。少人数できめ細やかな指導ができているかと思います。

杉並区立桃井第一小学校

桃一小独自の取り組みとしては、本校が24年度から杉並区の「体力向上センター校」に位置づけられていることもあり、「運動、食、生活習慣」という3つについて「からだ力」と称し、重点的に育成しています。

体力と書いて「からだ力」と読ませているのですが、これを子どもたちはもちろんですが、保護者の方、地域の方にも浸透してもらい、総合的に子ども達を伸ばしていくという活動です。これは私が着任した6年前から取り組んでいます。

「からだ力」について、具体的にどのような実践をされていますか?

杉並区立桃井第一小学校

「運動」の面ですと、毎朝「早朝スポーツ」というものを7時45分からやっていますし、週に2日の「長なわタイム」や、「マラソンタイム」、体育授業の前に行っている「桃一体操」、「MOMOリズム」、「リズム水泳」などが独自の取り組みになっております。
特に「早朝スポーツ」は4年生以上の希望者が参加するものですが、バドミントン、サッカー、卓球、野球、ボレーボール、バスケットボールなど、色々な種目がありますので、沢山の児童が参加しています。

「食」に関しては、給食を残さず食べたクラスに「完食賞」を贈ったり、給食の時にかむ回数をカウントする「かみかみセンサー」を使って、かむ回数をチェックするなどの取り組みをしています。

杉並区立桃井第一小学校

「生活」に関しては、歩数調査を毎月1週間行っていたり、「歯磨きタイム」として給食後に5分間歯磨きをしたり、授業中なども「シャキッとサイン」ということで、「せすじ」、すなわち「しっかり脚を床につける」「せすじをのばす」「いすに深く腰かける」ということで、号令かけを行っています。これらの取り組みも既に6年やっていますから、生活の一部として溶け込んでいるような状態です。

学習面での取り組みについて、特徴があればご紹介ください。

杉並区立桃井第一小学校

音楽、図工、家庭科、理科、体育に専科の教員がいますし、学習支援教員や講師にも入ってもらって、個別指導やTT(チームティーチング)も出来るようになっています。たとえば国語や算数などですと、毎回というわけではありませんが、全体指導は先生がやって、個別の指導はそばに寄って講師がやるなどして、マンツーマンの機会も多く取っています。また、3年生以上では「少人数算数」があります。4クラスを習熟度別に5クラスに分け、より少人数での授業を行っています。

クラブ活動について特徴的なところはありますか?

杉並区立桃井第一小学校

先ほどお話したとおり、学校が主催している「早朝スポーツクラブ」というものがひとつありますが、これ以外にも、地域の方が中心となって作る「学校支援本部」というものがありまして、ここが主催する放課後のスポーツクラブもあります。また、囲碁教室なども行っています。この他、野球、サッカー、ミニバス、剣道などが地域のクラブとしてあります。

「学校支援本部」とは何でしょうか?

これは文部科学省の指針に沿って各学校に作られているもので、学校支援本部を通して、地域の方と学校とが連携しながら教育活動にあたってます。たとえば花ボランティア、読み聞かせ、図書ボランティアなどでサポートもしていただいていますし、さきほどのクラブ活動もそのひとつです。学校支援本部以外にも、PTAや、保護者のお父さんで作る「おやじの会」などもありまして、地域が一体となって学校を支援して下さっています。

地域との共催イベントなどもあるのでしょうか?

7月に「桃一まつり」がありまして、これもやはり、町会や学校支援本部など、たくさんの方の力をいただいておりまして、例年3000人以上が参加する大きなお祭りとなっています。学校からも6年生が代表になって、毎年出し物をしています。

子どもたちの性格の特徴など、お感じになるところはありますか?

杉並区立桃井第一小学校

地域に見守られている、ということがありますので、やはり地域の大人と接触する機会が多くあるためでしょうか、温厚な子が多いという印象です。地域性が穏やかですから、子どもたちもそういう風になるのでしょうね。

児童や保護者の相談窓口などもあるのでしょうか?

スクールカウンセラーは二人おります。毎日ではありませんが、定期的に来ておりまして、子ども達の話を聞くだけではなく、保護者の方からの依頼を受けて話を聞くこともしております。どんな内容でも相談を受けますし、秘密も厳守しますから、相談に来られる保護者の方は多いですね。

もし問題が発生した際にも、まず担任が情報をしっかりと収集しまして、学年全体が一丸となって対応して、生活指導部会とも連携を図りながら、しっかりと取り組んでいきます。

最後に、この地域の魅力についてお聞かせください。

杉並区立桃井第一小学校

魅力といえばまず、緑が豊かなことでしょう。昔、日産の工場があった跡地には「はらっぱ公園」が出来ましたし、遊ぶ場所は沢山あると思います。周辺も閑静な住宅地ですので落ち着いていますし、青梅街道の向かい側も学区域なんですけれども、そちらも閑静な地域です。周辺には警察、消防、図書館、美術館など、いろいろな公共施設もありまして、静かに勉強に打ち込める環境かと思います。

  杉並区立桃井第一小学校

今回お話を聞いた人

杉並区立桃井第一小学校 校長 内田裕司先生

住所:東京都杉並区桃井2-6-1
電話番号:03-3390-3178

URLhttp://www.suginami-school.ed.jp/momo1shou/

※記事内容は2013(平成25)年6月時点の情報です。

特徴的な教育を進める伝統校/杉並区立桃井第一小学校 校長 内田裕司先生
所在地:東京都杉並区桃井2-6-1 
電話番号:03-3390-3178
https://www.suginami-school.ed.jp/momo1s..

音楽がある豊かな暮らしを満喫してもらいたい/しののめ音楽教室 桜井 玲子先生


しののめ音楽教室 桜井 玲子先生

音楽がある豊かな暮らしを満喫してもらいたい

ピアノなどの音楽は子どもの習いごとでも常に人気。楽器を演奏できるようになれば、自分自身が楽しめるだけでなく、音楽を聴く人にも感動を提供できるという喜びもある。今回は、「しののめキャナルコート」に教室を持つ「しののめ音楽教室」の桜井玲子先生にお話を伺った。

教室の特徴を教えてください

東京都江東区インタビュー

「しののめ音楽教室」には1歳から通える「べべミュージッククラブ」から、60歳以上の「シニアクラス」まで幅広い年齢を対象にしたクラスが揃っています。3歳になれば、実際に楽器を弾くクラスに通えますし、小さいうちから音楽の魅力を体験できることが特徴です。 通ってくる生徒さんには、マイペースでレッスンしたい、好きな曲を中心にレッスンしたい、実力を伸ばしていきたいなどさまざまなニーズがあります。そこで、レッスンの進め方を保護者の方やお子さんとよく相談して、ぴったりのレッスン内容を提供していることも特徴のひとつだと思います。

年齢によってクラスの内容が違うそうですが、詳しく教えてください

東京都江東区インタビュー

1歳から3歳までの「べべミュージッククラブ」は、グループレッスンで歌ったり音楽に合わせて体を動かしたりして、音階やリズム感を楽しんでもらう内容になっています。3歳の「キッズミュージッククラブ」からは、実際にピアノやバイオリンを弾くことができます。そのほか、ソルフェージュという音楽の基礎を学べるコースや、大人のコース限定になりますが、ゴスペルのコースもあって、こちらも人気です。

子どもたちに音楽を楽しんでもらうためにいろいろな工夫をされているようですね

東京都江東区インタビュー

この教室の通ってくるお子さんの保護者の方には、ピアノやバイオリンを習っていた方も多く、中にはピアノのレッスンでいやな思いをした方もいらっしゃいます。ですから、ただ技術を教えるレッスンではなく、音楽が楽しいと思えるレッスンにしたいと思っています。そうはいっても基礎は大切ですから、どうしても練習は必要です。そこで、例えば同じリズムを練習する時には、いろいろな方法を取り入れて、同じ内容の繰り返しで飽きないような工夫しています。

うちの子は練習が苦手だし、飽きっぽくてと、不安に思う保護者もいると思いますが、どのような対応をされていますか

東京都江東区インタビュー

お子さんがレッスンに通いたいと思うきっかけは、ピアノが好き、音楽が好きといった純粋な気持ちだと思います。この教室では、こうした最初の気持ちが続くようなレッスンを心掛けています。 また、レッスンを続けるには先生との相性も大切です。この教室には、元気な先生や優しい先生、暖かく見守るタイプの先生といろんなタイプの先生がいますので、いろいろな先生で体験レッスンして、この先生のレッスンだったら受けたいという先生を見つけるとよいと思います。

発表会やイベントはありますか

東京都江東区インタビュー

発表会で演奏することは、自分の実力を知るよい機会です。コンサート形式の発表会を開催していますし、教室内で行うおさらい会もあります。そのほかに、生徒さんと先生がみんないっしょになって歌を歌う会や、踊ったりしてリズムを楽しむ会、ほかの楽器に触れてみる会など、純粋に音楽を楽しめるイベントを、少なくとも毎月1回は企画しています。

東雲の街の印象を教えてください

東雲キャナルコート

東雲は若いファミリーが多い街という印象がありますね。教育熱心なご家庭が多くて、お子さんの興味があることはどんどん習わせたいという方が多いと感じます。スーパーや習い事の教室が充実しているので、ファミリーが生活しやすい街ではないでしょうか。歩行者専用の歩道があるのも、お子さんを習い事に通わせやすいという点でも安心だと思います。

音楽を通じてどのようなことを感じてほしいと思いますか

音楽があると、楽しい時は楽しいことが倍になりますし、悲しい時は悲しいことが半減します。練習している時はその時間に没頭できますし、上達すれば自信が持てます。自分で演奏できるようになれば、ほかの人にも喜びを感じてもらえるという楽しみもあります。音楽のある毎日を過ごしていただくことで、人生の楽しみを増やしてもらえればと思っています。

 東京都江東区インタビュー

今回、話を聞いた人
桜井 玲子先生

しののめ音楽教室
住所:江東区東雲1-9-18東雲キャナルコートCODAN 4街区
電話番号:03-3536-1174
ホームページ:http://www.shinonome-music.com/

※記事内容は2013(平成25)年2月時点の情報です。

音楽がある豊かな暮らしを満喫してもらいたい/しののめ音楽教室 桜井 玲子先生
所在地:東京都江東区東雲1-9-18 キャナルコート102
電話番号:03-3536-1174
http://www.shinonome-music.com/

将来の子どもの幸せをかなえる/江東区立有明中学校 岩野 康之 先生


江東区立有明中学校 岩野 康之 先生

将来の子どもの幸せをかなえる

「江東区立有明中学校」は、「江東区立有明小学校」と一体の校舎を持つ施設一体型小中連携校という新しいタイプの中学校として誕生した。真新しい施設と特色ある教育で、学校選択でも人気の学校という。今回は初代副校長を務める岩野康之先生に、この中学校の魅力についてお話を聞くことができた。

有明中学校の特色を教えてください

東京都江東区インタビュー

有明中学校は、江東区内23番目の中学校として平成23年に開校したまだ新しい学校です。同時に開校した有明小学校と敷地や建物を共有する江東区内の唯一の施設一体型小中連携校ということが最大の特徴でしょう。教室は基本的に小中別で使用していますが、プールや図書室は共用していますし、小中一貫校ではないものの小学校と連携した教育を行っています。ビオトープや屋上の菜園など環境に配慮した設備が充実していることも新設校ならではの特色だと思います。

有明小学校とはどのような連携をしているのでしょうか

東京都江東区インタビュー

学習面の連携としては、有明中学校の教員が、有明小学校の一部の授業を担当していることがあげられます。有明小学校の児童にとっては、5、6年生になると、中学校の部活に参加することができることが一番大きな特徴でしょうか。英語検定や数学検定といった検定を小学校と合同で実施したり、『有明祭』と名付けられた文化祭をはじめ始業式、修了式などの行事は、可能な限り小中合同で行っています。

小中連携にはどんなメリットがありますか

東京都江東区インタビュー

小学校から中学校に進学する時は、中1ギャップと呼ばれる大きな環境の変化を伴います。有明小学校では、有明中学校の教員の授業を受けることになりますので、小学生のうちから中学校の教員とも顔なじみになることができます。また、敷地を共有していますので、自然に中学校の雰囲気になじんでいくでしょう。ですから、中学校進学時の心理的負担は、ほかの中学校に比べて少なくて済むのではないでしょうか。

隣接する大学や地域との連携も積極的に行っているそうですね

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隣にある東京有明医療大学には立派な柔道場がありますし、専門の先生がいらっしゃるので体育の授業の一環として、柔道を教えてもらっています。その隣の有明教育芸術短期大学は音楽の先生が多い学校です。そこで、和楽器が専門の先生に指導をお願いしています。 地域との連携としては、夏にクリーン作戦と名付けて、近隣の東雲小学校や幼稚園、それに保護者といっしょに地域の掃除をしました。この地域では、毎年、東雲シーサイド祭りというお祭りがあるのですが、有明中学校でも模擬店を出店し好評でした。

授業の理解をより深める取り組みをしていると聞きました

東京都江東区インタビュー

例えば、理科では2人の教員で教えるチームティーチングを取り入れていますし、数学の授業は習熟度別少人数のクラスで行っています。 通常の授業のほかに、希望制の基礎学力を身に付けるための補修や、夏休みには塾の先生に教えてもらう補修を開催して、全員がしっかりと授業の内容を理解できるようなフォローアップをしています。

全国的にいじめや不登校といった問題が増えていますが、どのような対策を行っていますか。

東京都江東区インタビュー

いじめや不登校は学校という組織全体で取り組むことが大切です。教員には、いつもしっかり生徒の観察をして、予兆を見逃さないようにと言い聞かせています。有明中学校では、生徒会でもいじめの撲滅宣言をしていますが、このように教員だけでなく生徒も含め、学校全体でいじめや不登校を減らす雰囲気づくりにも取り組んでいます。

どのような思いで教育にあたっていますか

東京都江東区インタビュー

すべての子どもたちに生きる力を伸ばしてほしいと考えています。我々はそれを見守ることが仕事です。ですから、実際に生徒に接する教員には、将来の子どもたちのしあわせを考えてほしいといつも言っています。この学校の生徒は、下町という土地柄もあるのか、素直で明るい子が多いのです。21世紀を担う彼らには、最後まであきらめないで、それぞれが持っているよさを最大限に発揮してほしいと願っています。

 東京都江東区インタビュー

今回、話を聞いた人
岩野 康之先生

江東区立有明中学校
住所:江東区江東区有明2-10-1
電話番号:03-3527-8261
ホームページ:http://www.koto.ed.jp/ariake-chu/index.html

※記事内容は2014(平成26)年2月時点の情報です。

将来の子どもの幸せをかなえる/江東区立有明中学校 岩野 康之 先生
所在地:東京都江東区有明2-10-1 
電話番号:03-3527-8261
http://ariake-chu.koto.ed.jp/

暮らしを支えるエネルギー・ガスを楽しく学べる体験型学習施設

ガスを楽しむ学べる施設/がすてなーに ガスの科学館 広報・総務グループ 新井智子さん


がすてなーに ガスの科学館 広報・総務グループ 新井智子さん

ガスを楽しむ学べる施設

ひときわ目を引く非対象のアーチ型の建物の「がすてなーに ガスの科学館」。館のエントランスホールは春海橋公園側からも、ゆりかもめ側からも出入りできるよう両側に入口が設けられており、観光バスに乗った修学旅行生は線路側から、ベビーカーを押した家族連れは公園側から入ってくる。今回は施設をひととおり見学したのち、「コミュニケーター」として施設案内を行っている新井智子さんにお話をうかがうことができた。

まずは施設を見学

東京都江東区インタビュー

エントランスホールに入ると、まずお出迎えしてくれるのは総合案内のにこやかなスタッフたちと、「プカ」「ポカ」「ピカ」の3人のマスコットキャラクター。青いキャラクターは「プカ」で青いガスの炎をイメージしたもの、オレンジのキャラクターは「ポカ」で、ガスの暖かさをイメージしたもの。そして黄色い「ピカ」は、電気をイメージしたものということで、最初は「なぜ電気?」と思ってしまうだろうが、その謎は展示を見て回れば次第に明らかになってくる。建物は1階と2階の見学フロアに分かれており、まずは1階の小展示室「炎のふしぎギャラリー」から見て回ることにした。

東京都江東区インタビュー

「炎のふしぎギャラリー」では、ほの暗い展示室の中で、ガスの黎明期・明治時代の利用方法や、ガスの炎の炎色反応、ガスの炎の振動を利用した楽器などユニークな性質を紹介している。炎色反応を利用して花や旗、文字などを形づくる方法は「花ガス」と言われ、明治初期から大正時代まで、ネオン看板のように利用されていたそうだ。 展示室を出たらエレベーターに乗り屋上へ。ここは「屋上ひろば」と呼ばれるフリースペースで、周囲には東京湾の大パノラマが広がっている。晴れた日などは見晴らしがよく、湾岸エリアでも屈指の絶景スポットと言えるだろう。

東京都江東区インタビュー

エレベーターから2階に下りると、そこには“楽しみながらガスについて学べる”展示室が広がっている。 家庭でのガスの活躍を紹介する「ようこそポカの家へ」では、野菜炒めやチャーハンを美味しく仕上げる調理疑似体験が楽しめ、床暖房やお風呂の仕組みの体験するスペースがある。 その先には街で使われているガスの役割を探す「探険!ワンダータウン」などもあり、主に小学生~中学生が楽しめる展示内容となっている。 1階への階段を下りれば、ガスの掘削から工場のしくみ、ガスが家へ届くまでの経路を紹介した「プカのひみつ」のコーナー。こちらは子どもから大人まで広く楽しめる展示となっているので、時間をかけてゆっくりと見て回りたい。 そのほか、1階では定期的に実験などが行われる「エナジースタジオ」やクイズ大会が行われる「クイズホール」などがあり、週末ともなれば多くのファミリーで賑わうそうだ。週末には定例イベント以外にもさまざまな体験プログラムやイベント、料理教室などが開催されているので、ホームページも併せてチェックしてみてほしい。

子どもも大人も、いろいろと楽しめそうな展示内容でしたね。こちらは、ふだんどのような利用のされ方をしているのでしょうか?

東京都江東区インタビュー

そうですね、平日ですと、小・中学生が社会科見学や修学旅行でいらっしゃることがほとんどですが、大人の方が、企業の研修などでお越しになることもあります。週末になりますと、小さなお子様をお持ちの方がほとんどになりますね。周りには新しいマンションも多いですし、公園の散歩ついでにいらっしゃる方や、「ららぽーと」や「キッザニア」に行った前後に寄られる方も多いですね。

新井さんは団体客の案内を担当されているということですが、個人で来ても案内していただけるのですか?

基本的に個人のお客様は自由に見学いただいていますが、1日に2回、「がすてなーにツアー」というものがありまして、私たちが1時間ほどかけて、館内を万遍なくご案内しています。時間に余裕のある方でしたら、こちらにご参加いただければと思います。

利用はすべて無料ということですか?

東京都江東区インタビュー

入館料は無料ですし、ワークショップやイベントの参加もお金は一切かかりません。お料理教室については、実費をいただくようになっています。休憩スペースも無料で利用できますので、気軽にお越しになってください。

新井さんがお考えになる、ガスならではのメリットとは何でしょう?

東京都江東区インタビュー

わたくし個人的には、炎の「温かさ」が好きですね。人間は昔から「火」を上手に利用して生活の中に取り入れることによって、暮らしを豊かにしてきました。炎がある場所には自然と人が集まるように、人は炎にエネルギーとしての熱だけでなく、「温かさ」を感じるのだと思います。ここに訪れるお子さんの中には、「今まで一度も火を見たことが無い」という方もいらっしゃいますが、おうちの中に火があって、それを安全に上手に使うということは、お子さんの情操の発達にとっても良いことだと思います。最近はコンロの安全性も進化していますし、燃料電池も注目されていますので、ぜひご家庭でも、ガスの炎を活用していただきたいですね。

近隣にお住まいの方向けに、おすすめの利用法を教えてください。

東京都江東区インタビュー

周りの公園、屋上ひろばなども合わせて、1日ゆっくりと遊べるところですので、ぜひお弁当を持って遊びにきてください。土日、祝日ですと様々なプログラムも開催しておりますので、気軽に参加して頂ければと思います。「わくわーく工作」は小さなお子様も参加できます。「ワークショップ」と「サイエンスキッチン」は整理券制となっており、暮らしの科学について学んでいただけます。春休み、夏休み、ゴールデンウイーク季節に応じたいろんなイベントも企画していますので、親子で楽しんでもらえると思います。

「東雲・豊洲エリアの魅力」とは、どんなところでしょうか?

豊洲は東京にしては緑が多くて、景観も良くて、水辺もありますから、とても心が落ち着きますよね。館内の展示をとても熱心に見られるなお子さんも多いです。きっと、教育には熱心なお父さん、お母さんが多いのでしょうね。環境がいいから、お子さんものびのび育っているような印象があります。子育てにはとても良い環境だと思いますよ。

 

今回、話を聞いた人

がすてなーに ガスの科学館
広報・総務グループ 新井智子さん

がすてなーに ガスの科学館
所在地:東京都江東区豊洲6-1-1
電話番号:03-3534-1111
http://www.gas-kagakukan.com/index.html

この記事内容は2013(平成25)年3月時点の情報です。

ガスを楽しむ学べる施設/がすてなーに ガスの科学館 広報・総務グループ 新井智子さん
所在地:東京都江東区豊洲6-1-1 
電話番号:03-3534-1111
開館時間:9:30~17:00(入館は16:30まで)
休館日:月曜日(祝日の場合は翌日)、年末年始、施設点検日
https://www.gas-kagakukan.com/

楽しく働き、夢を見つける、叶える

楽しく働き、夢を見つける、叶える/キッザニア東京 スーパーバイザー 佐藤早苗さん


キッザニア東京 スーパーバイザー 佐藤早苗さん

楽しく働き、夢を見つける、叶える

2006年、「アーバンドック ららぽーと豊洲」の開業と同時に誕生した「キッザニア東京」は、子どもが主役の、職業・社会体験型テーマパーク。「仕事を体験する」、「サービスを受ける」など、リアルな社会体験を子どもたちが体験できるという新しいテーマ性が評価され、連日多くの人々でにぎわい続けている。 日々全国から多くの人々が訪れる「キッザニア東京」であるが、実は、豊洲や東雲など近隣に住む子どもたちのリピーターも相当数あるという。「何度でも訪れたい」と思わせる魅力とは、何なのだろうか。 そこで、今回は衰えを知らない「キッザニア東京」の魅力についてご紹介するとともに、「スーパーバイザー」(子どもたちの体験をサポートするスタッフ)として子どもたちと直接関わっているひとり、佐藤早苗さんにお話をお聞きしてみることにした。

まずは施設を見学

キッザニア東京

「キッザニア東京」があるのは、ららぽーとの本館「NORTH PORT」の3階部分。およそ6,000平米の館内に約60のパビリオンが建ち並び、その中では90以上のアクティビティが展開されている。 「キッザニア」のコンセプトは「エディテイメント(エンターテイメント+エデュケーション)」ということ。エントランスをくぐれば、その先には現実社会の約3分の2サイズの“子どもが主役の街”が広がっている。夕暮れぐらいの暗さになっているのも、ちょっと大人びた空間を味わうための演出のひとつ。この空間で、子どもたちは自分の興味のある職業や社会経験を選び、それを体験する。 パビリオンには警察署、裁判所、新聞社、消防署、建設現場、ガソリンスタンド、テレビ局、ベーカリー、銀行、ハンバーガーショップ、病院、出版社などあらゆる業種が揃っており、その中においても、たとえばテレビ局であれば出演者、ディレクター、カメラマン、音響エンジニアなどの職種に分かれ、それぞれに応じた役割をロールプレイングしていく。子どもたちはこのように楽しみながら働くことの意味や社会の成り立ちなどを学んでいくという仕組みだ。

キッザニア東京

しかもこれらの体験にあたっては、多くの場合実在する企業がスポンサーとなっており、各企業のノウハウを提供してもらっている。そして子どもたちの体験をサポートする「スーパーバイザー」も実際にスポンサー企業の社員から研修を受けることもある。設備についても、実際に空を飛んでいた本物の飛行機があったり、キッザニア専用の電子マネーが使えたりと、とにかく“リアルさ”を追求しており、そこが子どもの琴線に触れるようだ。 社会における各職業の位置づけも明確に表現されている。火事が起これば消防署から消防車に乗った消防士の子どもたちが急行し、また、救急車には救急救命士が乗り込み現場に向かい、心配蘇生をし、人命救助を行う。館内を循環するバスに乗車すれば、バスガイドが街の案内をしてくれる。こうした光景が、数十分ごとにメンバーを替え、何度も繰り返されていくというのが、キッザニアの日常風景だ。言ってみれば、究極の「ごっこ遊び」である。

東京都江東区インタビュー

館内に入れるのは、3歳から15歳までの子どもたちと、その同伴者である大人のみ。大人だけの入場ができないので、保護者がちょっとくらい子どもから目を離しても大丈夫。子どもたちがアクティビティに参加している間、大人たちは一緒にパビリオンに入ることはできず、ガラスやモニター越しに静かに見守ったり、大人専用のラウンジでくつろいだりする。そのことがまた、子どもたちの自立心を刺激している。 キッザニアの入場は基本的に予約制で、事前にインターネットや携帯サイトから予約する利用者が多い。週末の予約は早めに埋まることも多いが、枠に限りがあるが、当日券を購入することもできる。営業時間は完全入替え制の2部制となっており、第1部が9時から15時までの6時間、第2部が16時から21時の5時間となっている。平日の昼間は学校単位での団体利用が多く、平日夕方は都心エリアの子どもが、長期休暇の時は遠方からの子どもも多いということだ。

東京都江東区インタビュー

もうひとつ面白いのは、施設内でのみ利用できる「キッゾ」という独自通貨が流通している点だろう。キッゾは職業体験をするたびに報酬としてもらえ、サービスを受ける際にはキッゾを支払う。もらったキッゾは銀行で口座を作って預金することもでき、キャッシュカードを使ってATMから引き出すこともできる。こんな点も、継続して何度も通いたくなる仕掛けのひとつと言える。キッゾを使うサービスにも、レンタカー、スポーツクラブ、クライミング体験など、ユニークなものが目白押しだ。 とにかく「キッザニア」の施設内には、さまざまな仕掛けや楽しさの要素が散りばめられており、何度訪れても、新しい体験や刺激が得られるようになっている。見回せばどこかで何かが起きていて、バスや車も走っていて、どこを見ても子どもたちの本気の表情がある。まさに、「大人の世界の縮図」という表現がピッタリとハマる空間である。 そして、キッザニアの魅力を支えている一番の屋台骨は、施設でもシステムでもなく、笑顔で子どもたちと接するスタッフたち。子どもたちに直接応対するスタッフは「スーパーバイザー」と呼ばれ、訪れる子どもの年齢や体験回数、それぞれの個性や性格に応じて臨機応変な対応をしていく。このきめ細やかな接客こそが、キッザニアの人気を不動のものとしたのだろう。 そんな「スーパーバイザー」のひとりとして、病院パビリオンで活躍されている佐藤早苗さんにお話を伺った。

佐藤さんが担当しているアクティビティはどちらでしょうか?

東京都江東区インタビュー

私はいま、病院パビリオンにおりまして、ふだんは新生児室、外科手術、眼科手術、救命救急室、薬局の5種類のアクティビティを担当しています。実はそのほかにも、さっきまで消防士の担当もしてきましたし…いろいろな役をやっているんです。

佐藤さんは約600名いる「スーパーバイザー」でもベテランにあたるとお聞きしましたが、なぜ、キッザニアに入られたのでしょうか?

キッザニア東京

私はオープンから半年後ぐらいに入りましたが、キッザニアのコンセプトと私のやりたいことにすごくマッチしていたんですね。子どもが大好きで、子どもの教育にかかわりたい、夢を持っている子を応援したい、という思いがつねにありましたので、キッザニアに応募しました。他のスーパーバイザーも、気持ちは同じだと思います。 キッザニアは「子どもの視点」を大切にしてコンテンツを組み立てているので、私たちもこどものちょっとした感想や意見にしっかり耳を傾けています。中には思いもよらない感想もあり、子どもたちから日々勉強させてもらっています。

佐藤さんが子どもと接するとき、心がけていることは何でしょうか?

キッザニア東京

そうですね、「先入観」を持たないことでしょうか。大きい子だからとか、何度も参加しているからとかではなく、「どんな気持ちで来ているのかな?」ということを考えて接するようにしています。 子どもは素直ですから、目を見るだけで、「初めてで動揺しているのかな?」とか、「何度も参加して自信満々なのかな?」ということが、すごく分かるんですね。ですから、子どもの目を見ながら「こういう風に役割を与えたほうがいいかな?」とか、「こういうペースで話したら良いのかな?」などと毎回考えながら、キャッチボールするように言葉を交わしています。

何度も来られているお子さんの場合、内容も重複するかと思いますが、その点で何か対応はなさっているのでしょうか?

キッザニア東京

近くにお住まいの方などですと、1週間に何度も来てくださる方もいらっしゃいますね。キッザニアには“年間パスポート”のようなものは無いのですが、「キッザニアクラブ東京」という会員制度がありまして、会員になると、より難易度の高いお仕事を体験できたりします。 具体的には、特定のパビリオンで3回以上アクティビティを体験して、知識とスキルを十分身につけたと認定された場合に、そのパビリオンの「アクティビティ認定証」を取得できまして、この認定証を提示すると通常よりも難易度の高い「会員用アクティビティ」にチャレンジすることができるんです。体験後には給料(キッゾ)が増額される点も、子どものやる気をかきたてる要素の1つかもしれませんね。

ここに来られる子どもさんの成長について、気づいたところを教えてください

キッザニア東京

初めて来られるお子さんは、年齢に関わらずドキドキしていて、少し硬い表情をされているんです。でもそのお子さんも、2回目に来た時にはすごく柔らかい表情になっているんですね。そしてそのうち、「僕、これがやりたい!」などと積極的にお仕事に取り組む姿が見られるようになります。 キッザニアは、初めて会うお友達と一緒でドキドキする環境だと思うのですが、やっているうちに「どんな人がいるのかな?」と楽しみになってくるみたいです。参加するたびにだんだん自信が出てきて、積極的に出てくるようになるんでしょうね。

保護者からはどんな感想が聞かれるでしょうか?

東京都江東区インタビュー

「今までできないと思っていたことが、こんなにできるなんて思わなかった」という意見はよく聞きますね。キッザニア内では子どもが保護者の方に頼ることはできず、保護者様にはガラス越しやモニター越しで見守っていただくことになります。だから、いつもは手伝ってしまう場面でも手伝えませんし、子どもたちは自分で頑張らないといけないんです。そんな環境の中だからこそ、「今までできないと思っていたけど、この子はこんなにできたんだ」ということを引き出してもらえた、という意見は多いです。 それに、子どもたちが「できた」と思ったところで私たちスーパーバイザーも「よく出来たね!」と声を掛けるので、子どもたちは喜びますし、褒められているお子さんを見て、保護者の方も嬉しいのだと思います。帰る時にはみなさん本当にいい笑顔で帰られるんですよ。この三者の関わりというのは、すごく素敵だと思います。ですから、お近くの方も、ぜひ何度でも、キッザニアに足を運んでいただければと思います。

最後に、豊洲・東雲エリアの魅力について、佐藤さんが考えられるところを教えてください

豊洲公園

私はキッザニアも大好きですが、豊洲のことも本当に大好きでなんですね。仕事で来るから「オン」に切り替えないといけないんですけど、オンなのに「オフ」のような感覚になってしまいます。東京なんですけど、向かい側には海があって、レインボーブリッジがあって、広い公園があって…。「都会のオアシス」のような場所ですよね。こんな素敵なところは、都内にはほかに無いのではないでしょうか。

東京都江東区インタビュー

今回、話を聞いた人

キッザニア東京 スーパーバイザー 佐藤早苗さん

キッザニア東京
所在地 :東京都江東区豊洲2-4-9 アーバンドック ららぽーと豊洲 ノースポート3階33200
URL:http://www.kidzania.jp/tokyo/

※記事内容は2013(平成25)年3月時点の情報です。

楽しく働き、夢を見つける、叶える/キッザニア東京 スーパーバイザー 佐藤早苗さん
所在地:東京都江東区豊洲2-4-9 アーバンドック ららぽーと豊洲1 ノースポート3F
電話番号:0570-06-4646
営業時間:第1部 9:00~15:00、第2部 16:00~21:00 ※完全入替制、開場は営業開始時間の30分前
https://www.kidzania.jp/tokyo/

地域の子ども達の成長をサポート

遊びの中から学ぶ子どもの育ちを見守る/川口市立戸塚児童センターあすぱる 所長 澤田幸江さん


川口市立戸塚児童センターあすぱる
所長 澤田幸江さん

川口市立戸塚児童センターあすぱる

遊びの中から学ぶ子どもの育ちを見守る
「川口市立戸塚児童センターあすぱる」

2001(平成13)年の埼玉高速鉄道の開通に伴い、著しい人口の増加とともに発展した「東川口」。緑の多い環境と整備された街並みは子育て中のファミリーにとっても理想的な環境で、2005(平成17)年の「川口市立戸塚南小学校」の開校とともに待望の児童センター「あすぱる」もオープンしました。

今回は「あすぱる」の所長を務める澤田幸江さんに施設の特徴と街の魅力についてお話を伺いました。

近代的なつくりの建物ですが、「あすぱる」の概要と特徴について教えてください。

川口市立戸塚児童センターあすぱる

南平、芝の児童センターに続き、川口市内で3番目となる「川口市立戸塚児童センターあすぱる」が誕生しました。お隣の「川口市立戸塚南小学校」の開校と同じく2005(平成17)年4月のことでした。近代的なつくりの建物を見ていただいても分かる通り、川口市内の新設の児童センターとしてはもっとも新しい施設となります。

川口市立戸塚児童センターあすぱる

オープン当時は“前衛的”とか“斬新”といった外観の特徴が評判となりました。バリアフリーに対応した設計やひろびろとした空間は、実際に利用してみると子どもさんを連れていらっしゃるお母さんには快適なようです。

 

川口市立戸塚児童センターあすぱる

南平、芝の他の2館と比べると、「遊戯室」と「集会室」がそれぞれ分かれていることと、「遊戯室」の広さそのものも特徴です。東川口には他の地域から移り住むいわゆる“新住民”が多く、出生率も市内でもっとも高い地域のひとつです。

川口市立戸塚児童センターあすぱる

お隣にある小学校の児童の利用も多く、乳幼児の利用者数も含めると利用者数は、施設の広さの違いはありますが他の児童センターの約2倍になっています。東川口駅周辺に3カ所ほどある、民間の保育園の“子育て支援センター”と共に、地域にとって欠かせない貴重な空間です。

さまざまなプログラムが用意されているようですが、人気のイベントについて教えてください。また参加は無料ですか?

児童センターを利用したことの無い方にはまず、施設への入館・利用は原則“無料”であることをお伝えしたいと思います。開催される一部のプログラムによっては、受益者負担ということでお金を頂戴しておりますが、文房具や食材など10円から数百円のものがほとんどです。

人気の高いプログラムのひとつとして、当館の元保育士が講師として開催している「ベビーマッサージ」があります。オイル代とマット代の600円で参加できるようです。東川口には子育てに関心の高い方も多く、10名の定員もいつもいっぱいです。

また土曜日に開催される「親子クッキング」は食材費100円、紙粘土でマカロンを作る手芸体験も材料費50円で参加できます。その他にも、当館の10名のスタッフにボランティア26団体、約50名もの協力を得てさまざまな活動を行っています。

川口市立戸塚児童センターあすぱる

なかには年間25回開催の「幼児クラブ」(4月公募)に参加して、その後“自主サークル”として有志のお母さん方が集まり、手芸や音楽などさまざまな活動へと発展しているようです。

 

川口市立戸塚児童センターあすぱる

リュックサックや帽子など、本格的な手芸品を作るサークルも活動しています。

地域活動のひとつとして、“エコクラブ”という特色のある活動も行われていると伺ったのですが?

川口市立戸塚児童センターあすぱる

2005(平成17)年に新設された「戸塚南小学校」では“エコスクール”といった位置づけのもと環境に配慮した活動が熱心に行われています。学校の南側にひろがる竹林を利用して、自然のなかで学びを促す“自然体験学習”が盛んに行われ、その活動は「戸塚南小エコクラブ」として幅を広げているようです。

 

川口市立戸塚児童センターあすぱる

当館の活動としては、「戸塚南小あすぱるエコクラブ」のもと、学校の屋上にある農園を一部借り受けて、野菜づくりに取り組んでいます。乳幼児を対象としたプログラムになりますが、毎朝の水やりから畑の管理、収穫までボランティアの方のアドバイスを受けながらみずから農業体験をしています。

川口市立戸塚児童センターあすぱる

児童センターとしてはあくまで“子どもを受け入れる場”としての姿勢を大切にしていますので、当館のスタッフが代わりに水やりをすることはありません。毎日のお手入れから収穫まで各ご家庭のサポートというかたちで見守っています。トマトや茄子、とうもろこしなど、今年はどんな作物が採れるのか非常に楽しみです。

最後に、これからの施設としての目標と地域への関わり方についてお聞かせください。

川口市立戸塚児童センターあすぱる

周囲の環境をご覧になっていただいても分かると思いますが、東川口には豊かな緑があります。エコクラブの活動もそうですが、自然と触れ合うなかで多くを学び、自然の恵みに感謝できる豊かな子どもの育ちのお手伝いができればと思います。地域の子育ての拠点として、地域の方とも協力し合いみんなで子どもたちを見守っていきたいと思います。

川口市立戸塚児童センターあすぱる

年度はじめに募集を開始する定員制のプログラムは、市で発行する広報誌をご覧ください。また、ホームページには毎月プログラムを掲載していますので、興味のあるイベントがあったらぜひご来館ください。お待ちしています。

  川口市立戸塚児童センターあすぱる

今回、話を聞いた人

川口市立戸塚児童センターあすぱる

所長 澤田幸江(さわだゆきえ)さん

以前は「川口市立芝児童センター」の所長補佐も務めていたという経験豊かな子育てのプロフェッショナル。写真は苦手なようでしたが、子どもと向き合ったときの柔和な笑顔が素敵でした。

住所:埼玉県川口市戸塚4563-1
電話番号&FAX:048-294-7550
電話番号:048-294-7300(子ども家庭相談室)
http://uspal.web.fc2.com/

この記事内容は2013(平成25)年6月時点の情報です。

遊びの中から学ぶ子どもの育ちを見守る/川口市立戸塚児童センターあすぱる 所長 澤田幸江さん
所在地:埼玉県川口市戸塚南4-10-2 
電話番号:048-294-7550 相談専用ダイヤル:048-446-7750
http://uspal.web.fc2.com/

子どもの「今」を大切にする/社会福祉法人 ひまわり福祉会 ひまわりキッズガーデン豊洲 園長 石田利美さんインタビュー


社会福祉法人 ひまわり福祉会 ひまわりキッズガーデン豊洲 園長 石田利美さん

子どもの「今」を大切にする

高層マンションの建設にともない、子育てファミリー世代が次々と転入している豊洲地区。ママの復職率も高く、保育園需要が多い豊洲では、それぞれの個性的な保育理念を持つ保育園が多く見られる。ここ「ひまわりキッズガーデン豊洲」もその一つ。働く両親のの陰のサポート役である保育園は、子どもを預かるだけの場所から日々進化している。そんな「ひまわりキッズガーデン豊洲」の石田園長に話を伺った。

保育方針を教えてください

ひまわりキッズガーデン豊洲

現在8園ある「ひまわりキッズガーデン」では、共通して7つのキーワードを掲げ、保育の指針にしています。「出会う・見る・聞く・触る・体験する・語り合う・認め合う」この7つのキーワードのなかに、子どもが健やかに育つ全ての要素が詰まっていると考えるからです。先生方も「今週は“触る”というテーマで活動をしよう」というように日々の保育のなかにキーワード取り入れながら、今しかできない経験をなるべく沢山させてあげられるようにと心を砕いています。

朝早くから昼寝・おやつ・希望者には夕食までと、長い時間を過ごす保育園は、子どもにとってはまさに生活の場、生きていく力を養う場なんです。同じ年齢の子どもたちと過ごすことで、思い通りにならないことも、悔しい思いも、楽しさを共有する喜びも味わえます。私がここで子どもたちに習得してほしいのは、“生きていくうえでの知恵”。様々な経験を通して、優しく・たくましく育ってほしいと考えています。

具体的にはどんなことで体験できるようにしているのでしょうか

ひまわりキッズガーデン豊洲

具体的には、小さな園庭の隅っこに毎年必ずゴーヤやミニトマトなどの野菜を種から植えて、水や肥料を子どもが与え、実が成るまでのプロセスを体験します。全ての種から芽が出る訳ではなく、自分が世話を忘れて水をやらなければ枯れてしまうこともある。この植物の世話をするだけでも、「出会う・見る・触る・体験する」の4つのキーワードを体験ことができます。こうやって聞くと「なんだ、そんなことか」と思うかもしれませんが、芽を出した植物を初めて子どもたちが見た時の目の輝きは、表現できないほどキラキラとしています。

ひまわりキッズガーデン豊洲

芽といえば先日、先生が子どもに「ほら芽が出たでしょ?」と若葉を見せたら、一生懸命”目”を探している子どもがいたんです。笑いながらも、その子どもの素直さに感動もしましたし、同時に、植物の芽を見たことがなかったんだなぁ…と保育園で体験させることの大切さも実感しました。こんな小さな体験から、いろいろなことを学び・吸収していくのが子どもです。世話を強要するのではなく、子どもが率先して動けるような誘導や、気づかせてあげられるような保育を心がけたいと思っています。

なるべく自然のものを使用するようにしているとお聞きしたのですが

ひまわりキッズガーデン豊洲

園ではなるべく薬品は使わず、自然に近いもので対応するようにしているのも特徴です。例えば園庭で遊ぶ時も、ユーカリのアロマオイルを使用した虫除けを洋服の裾や帽子のツバに塗ります。床の掃除や手の消毒には、手づくりの「アルカリ水」で汚れを落としたうえに、「酸性水」で殺菌をする。一見手間がかかるように見えるかもしれませんが、子どもに触れるものはなるべく自然に近いものをというのが園の方針です。

また、0才~1才の子どもには布おむつを使用しています。濡れて嫌な感じが分かりやすいので、2才になるとほとんどの子はおむつが外れていますね。

給食ではどのような工夫をしていますか

「普通食」「アレルギー対応食」「離乳食」のほかに、前日に体調を崩していた子には揚げ物を焼き物にアレンジしたり、口の中を切ってしまった子にはオレンジをりんごにしたりと、個々の状態に合わせて「配慮食」もつくっています。こうした細かな対応も、給食スタッフが調理室で毎日手づくりしているからこそできることです。

毎月、園ごとに給食会議が開かれ、献立や行事食に関してかなり細かく打合せをします。朝は、その日に出すメニューを離乳食から配慮食まで全て私が試食して、切り方から柔らかさまでチェック。朝イチで登園した子どもたちの様子を聞いてから、調理スタッフと相談~調理~子どもに食べさせるまで、本当にチームワークで作り上げているという感じですね。

子どものカラダは食べたものからしか作られませんので、とにかくカラダに優しいもの・手づくりのもの、そして美味しいものを提供するために、日々精進しています。

豊洲はどんな街ですか

ひまわりキッズガーデン豊洲

豊洲と聞くと、「高層マンションと新しく整備された街」を想像する方も多いと思いますが、ひまわりキッズガーデンがあるのは昔ながらの商店街も団地も近い場所です。料理のための材料を買いに行ったり、老人福祉施設に子どもたちが訪問したり、お祭りや地元イベントに参加したり、地域の方々との触れ合いの時間をとても大切にしています。また震災の後は、地元の消防団の方と一緒に街を歩いて、「地震の時はこの自動販売機が倒れて来るから危ない」といったハザードマップを実地で確認したり、安全な帰宅経路を親子で考えたりもしました。

下町の温かい雰囲気や人懐っこさが残る豊洲は、子どもが育つ良い環境がまだまだ残っています。親だけでなく、地域で子どもを育てるという意識は大切にしたいですね。

今後の取り組みについて教えてください

ひまわりキッズガーデン豊洲

お仕事でお迎えが遅くなったお母さんたちが、帰宅してから夕食づくりを始めると、子どもの就寝時間が遅くなりがちです。また、やっと迎えに来てくれたお母さんが家事に追われていたら、子どもは一日あったことを話すこともできません。そういった時のために、園では前日予約制で夕食を実費で提供し、働くお母さんたちの負担を少しでも軽減してもらおうと考えています(※夕食の実費提供には細かな条件設定があります)。

また1日10名までの一時保育は、専業主婦のお母さんたちが上のお子さんの幼稚園行事や、通院・リフレッシュのために利用するサービスです。実はこの一時保育の申し込みには、専用ダイヤルを設けたくらいのニーズがあります。自身の勉強のためにお子さんを預けるママさんもいて、豊洲地区のお母さんたちの意識の高さも感じています。

保育園は働くお母さんが子どもを預ける場所、というイメージがあるかもしれませんが、育児講座や一時保育など専業主婦のママさんたちにも利用してほしいサービスがたくさんあるんです。育児講座では、「英語であそぼう」や「親子クッキング」など親子で楽しめる講座を用意していますし、今後は親子サロンのような自由に遊びに来られる場所としてスペースを提供したいという計画もあります。「ここに来れば相談できる」「友達を作れる」といったお母さんたちの心の拠り所になるような、地域の子育て基地の役割を担いたいと考えています。

ひまわりキッズガーデン豊洲

今回、話を聞いた人

社会福祉法人 ひまわり福祉会 ひまわりキッズガーデン豊洲 園長 石田利美さん

所在地:東京都江東区豊洲4-11-20-138号
電話番号:03-3532-4131
http://www.himawari-fukushikai.org/htm/menu-03-06-001.htm

※記事内容は2013(平成25)年5月時点の情報です。

子どもの「今」を大切にする/社会福祉法人 ひまわり福祉会 ひまわりキッズガーデン豊洲 園長 石田利美さんインタビュー
所在地:東京都江東区豊洲4-11-20 
電話番号:03-3532-4131
保育時間:7:15~18:15
休園日:日曜・祝日、12月29日~1月3日
延長保育:あり(18:15~20:15)
http://www.himawari-fukushikai.org/htm/m..

街の人々が集う社交場/バル ブレッツァ 店長 川島賢一さん


バル ブレッツァ 店長 川島賢一さん

街の人々が集う社交場

豊洲の駅前から辰巳方面へ徒歩すぐ、大通り沿いにある「バル ブレッツァ」は、気軽なスタイルでワインとスペイン&イタリアを楽しめる店。「バル」という名前が示す通り、基本的にはワインやビールが主役となるスペイン風のバーであり、大人のための社交場として、豊洲の人々に親しまれている。

経営母体である「三栄堂」は長く豊洲で愛されている会社と伺いましたが

バル ブレッツァ

お店の経営母体である三栄堂は近くで「パティスリー サクラ」、ベーカリー「ペル・エ・メル」なども営んでいる会社です。豊洲の歴史を半世紀以上も見守ってきた会社で「豊洲の人々により楽しめる場所を提供したい」という思いで作られた会社です。
社長も豊洲に愛着をもっていて、「会社がここまで成長できたのは、この街があったから」と言っています。

このお店についてお聞かせください

バル ブレッツァ

「バル ブレッツァ」の店内は、レトロなアンティーク調の雰囲気になっています。

 

バル ブレッツァ

1階は豊洲では希少なスタンドバースタイルで、ふらっと寄ってグラスワイン1杯という使い方をされる方が多いです。チェア席もあるので、ゆっくりと楽しんで頂くことも可能です。

 

バル ブレッツァ

1階は予約はできませんが、2階は予約が可能なテーブル席スタイルとなっています。別途テーブルチャージはかかりますが、ゆったりとコース料理を楽しみたい方にはお薦めです。コース料理は飲み放題も付いて4,500円からとリーズナブルな設定となっています。

料理はどんなものがありますか

バル ブレッツァ

自慢はイタリア料理とスペイン料理です。中でも「シーフードパエリア」は定番の人気の一品です。

 

バル ブレッツァ

他にも、「海老のアヒージョ」や「ハモンイベリコのレセボ」などもワインやビールのお供に人気が高いです。ワインの価格がリーズナブルですので、サイドディッシュを豪華に楽しんでください。

 

バル ブレッツァ

また、17時から19時の間の2時間は「ハッピーアワー」として生ビールとグラスワインを半額で提供しています。地元の常連さんはこの時間帯に利用して頂く方も多いです。

どんなお客さんが多いですか

バル ブレッツァ

客層の中心は30代から60代、男女は半々ぐらいでしょうか。地元にお住まいの方や、会社の歓送迎会などにも使って頂いています。

周辺にお住まいのファミリーの方もよく来られるのでしょうか

豊洲公園

周辺のマンションにお住まいの方もいらっしゃってくれています。普段あまり知りあう機会のない違うマンションにお住まいになる方同士が、ここで知り合われることも多いようです。周辺にはマンションが多いので、このお店が交流の場になってくれるのはうれしいですね。

お店のある豊洲はどんな街ですか

豊洲は街自体が新しいですし、街並みも道路も広々としていて気持ちがいいですね。治安もとても良いと思います。やはり『ららぽーと 豊洲』のイメージが強いかもしれませんが、それ以外にも沢山の見どころがあるところですよ。

最後に一言頂けますでしょうか

バル ブレッツァ

私たちもお客さんに積極的に話しかけるように心がけておりますし、お店もフレンドリーで入りやすい雰囲気にしていますので、お一人でもグループでも、ぜひ気軽にお越しになってください。お待ちしております。

 バル ブレッツァ

今回、話を聞いた人

バル ブレッツァ 店長 川島賢一さん

住所:東京都江東区豊洲4-7-2
電話番号:03-3532-5511
営業時間:17:00~24:00
定休日:日曜日
URL:http://r.gnavi.co.jp/g337802/
※記事内容は2013(平成25)年4月時点の情報です。

街の人々が集う社交場/バル ブレッツァ 店長 川島賢一さん
所在地:東京都江東区豊洲4-7-2 
電話番号:03-3532-5511
営業時間:17:00~24:00
定休日:日曜日
https://r.gnavi.co.jp/g337802/

豊洲のママ友づくりの縁結び役/ベビーマッサージ教室ひよだまり 羽吹寛子さん


ベビーマッサージ教室ひよだまり 羽吹寛子さん

豊洲のママ友づくりの縁結び役

多くの高層住宅が立ち並ぶ豊洲地区は、多くの子育てファミリー世代が暮らす街。子育てママたちが出かけやすい「広い歩道」「スロープ」などの環境が整った豊洲では、ママ向けのサークルや子ども教室も充実し、公私にわたるママコミュニティも活発だ。カフェを拠点に活動する「ひよだまり」は、ベビーマッサージを通してママの友だちづくりをサポートしたい・子連れで楽しめる場所を提供したいとはじまった教室。今回は主宰者の羽吹さんと参加者のママさんたちに、豊洲の魅力とリアルな子育て事情を聞いてみた。

教室をはじめたきっかけを教えてください

東京都江東区インタビュー

最初は一人のママとしてベビーマッサージ(以下ベビマ)の教室に参加し、「これは他のママたちにも広めたい!」と、講師の資格を取得しました。ママの手のひらを使ってゆっくりと赤ちゃんをマッサージしてあげることで、母子の絆が深まるのはもちろん、便秘が解消したり脳や体の発達の促すことが分かっています。またベビマはママが赤ちゃんにしてあげるもの、というイメージがありますが、実はママ自身が癒される不思議な効果もあるんです。何よりもベビマは、まだ言葉の分からない我が子に「愛してる」を伝えるメッセージ。親子間のコミュニケーションツールの一つとして、とっても役立つ手段なんです。

教室ではどんなことをしているのでしょうか

東京都江東区インタビュー

まずはマッサージオイルが赤ちゃんに合うかどうかのチェックをしている間に、手遊びなどで赤ちゃんの体に触れ、マッサージ前の準備をします。オイルが大丈夫であれば、「はじめるよ」と赤ちゃんに声を掛けてマッサージを開始します。膝の裏や脇の下、足、お腹、背中など、赤ちゃんの好きな部分から、手のひらと指を広く使って優しくさすっていきます。 サークルによってそれぞれのマッサージメソッドを持っていますが、私は「ベビマにルールはない」と思っています。泣いてしまったら抱っこをして背中をさすってあげるもよし、裸を嫌がるなら服の上からでもよし。順番も、マッサージをするタイミングにも決まりはありません。「こうすべき」に囚われず、ママと赤ちゃんの「楽しく・気持ちよく」を最優先させてほしいですね。

豊洲教室をオープンさせようと思ったのはどうしてですか

東京都江東区インタビュー

子育て世代が多い豊洲ですが、マンション内のエレベーターで一緒になっても、「なかなか初対面では話しかけられない」というような話をよく聞きます。人間関係が希薄になったと言われていますが、やっぱり人は集いたいもの。特に朝から夜中まで赤ちゃんのお世話に追われ、人と話すことさえままならない新生児のママには、上手に息抜きすることが大切です。ママが多い街だからこそ、ママ同士の縁結びをしたいと思ったのが、豊洲教室をオープンさせたきっかけです。 生後2ヵ月くらいから始められるベビマは、多くのママと赤ちゃんの“初めてのお出かけ場所”になっているようです。こういう教室を利用して外に出かけるチャンスをどんどんつくってほしいですね。マッサージ後のフリータイムではママさん同士がすぐに打ち解けた雰囲気になって、保育園情報を交換したり、お役立ち育児グッズを教え合ったりしていますよ。赤ちゃんがグズってしまってマッサージができなくても、「お話ができて楽しかった」「気分がすっきりした」と思ってもらえるのが一番嬉しいです。

ママ友づくりのコツってありますか

東京都江東区インタビュー

例えば親子で通えるヨガやフラのサークルなど、ママ自身が楽しむ場を見つけることで趣味の合うママ友を見つけられたり、幼児教室などの習い事に通うことで、似たような教育方針の友達ができることもあります。また、仲良しママが集まってサークルを作ってしまうというケースもあって、実に様々ですね。 まずは隣に座ったママさんに、小さなことから話しかけてみる、ちょっとした悩みを打ち明けてみる。そこから「ウチはこうなのよ」「○○って知ってる?」とゆっくりと話が広げていけば良いのでは?
ベビマもそうなのですが、焦ったり、気合いを入れる必要はありません。自然体でいれば、似たようなタイプの気の合うママ友達が自然と集まってくるはずです。

最後に豊洲在住のママさんたちに豊洲の魅力を聞きました

東京都江東区インタビュー

震災後、「都心から歩いて帰れる」「安全性の高い街」という条件で家探しをして、豊洲を選びました。歩道が広いので、とにかくベビーカー押しやすいのが嬉しいです。公園やちょっとした遊びスペースも豊富なので、子どもが歩きはじめても安心ですね。銀座にもアクセスが良くて便利です。

 

東京都江東区インタビュー

豊洲に住んで5年目になります。犬も飼っているのですが、「動物が住みやすい場所は、子どもも住みやすい」という言葉どおり、とても子育てしやすい環境だと思います。ママコミュニティのほかに、ワンちゃんコミュニティもあって楽しいですよ。教育環境がしっかり整備されているのも魅力の一つですね。

 

東京都江東区インタビュー

私は月島から来ているのですが、豊洲は次々と新しい施設ができるので、いつ来てもワクワクして楽しい印象です。勝どきや豊海などの中央区在住のママたちにとって、バスでも自転車でもすぐに来られる豊洲は、なくてはならない街です。

 

東京都江東区インタビュー

主人がベイエリア好きで、豊洲に住むことを決めました。洋服・日用品・食料品・本・おもちゃ、全て豊洲で揃うので、休日も遠出しなくなりました。子育て世代も多いので、レストランやショッピングモールもバリアフリーが徹底されていて、暮らしやすいですね。

 東京都江東区インタビュー

今回、話を聞いた人

ベビーマッサージ教室ひよだまり 羽吹寛子さん

開催場所:CAFE ; HAUS
江東区豊洲2-1-9
電話番号:03-5534-8025
教室概要
定員:8組 (※休日はパパも参加の為6組まで)
内容:講師チョイスによる全身のベビーマッサージ+ランチ&ドリンク
参加費:平日のママ+ベビーのみ 4,000円、休日のママ+ベビーのみ 4,500円、休日のママ+パパ+ベビー 4,500円+1オーダー
持ち物:いつものお出かけセット、バスタオル、授乳用ケープ
URL:http://www.hiyodamari.com/

※記事内容は2013(平成25)年5月時点の情報です。