緑豊かな環境下での 国際色豊かな学校教育/つくば市立竹園東小学校 田村実枝子 校長先生


つくば竹園学園 つくば市立竹園東小学校
校長 田村実枝子先生

緑豊かな環境下での
国際色豊かな学校教育

学習にコンピュータを導入した日本初の学校となる「つくば市立竹園東小学校」。その先進的な取り組みは、筑波研究学園都市内にあるということと決して無関係ではない。「竹園西小学校」、「竹園東中学校」とともに「つくば竹園学園」を構成する同校が掲げる「ひびき合い、高め合う楽しい学校」を目指し、日々尽力している田村実枝子校長にお話を伺った。

まずは、「竹園東小学校」の沿革、また教育方針について聞かせてください。

つくば市立竹園東小学校

本校は、筑波研究学園都市で最初に開設された学校で、1974(昭和49)年4月に、6学級99名の学校としてスタートしました。「ひびき合い、高め合う楽しい学校」を教育目標に掲げ、現在は「竹園西小学校」、「竹園東中学校」とともに「つくば竹園学園」を構成しています。

つくば市が力を入れているICT教育(※1)について伺えますか?

つくば市立竹園東小学校 貴重なしな

本校は教育にコンピュータを取り入れた日本初の小学校で、「筑波大学」との共同研究により1977(昭和52)年からCAI教育(※2)を開始。現在でも電子黒板やハイスピードカメラ、ネットワークコンテンツをはじめとしたICT機器・コンテンツを導入し、全学年での学習に活用しています。

※1:ICTとは、情報通信技術を表すITに、コミュニケーションの概念を加えた言葉(Information and Communication Technology)。具体的には、電子黒板やノートパソコン、タブレット型端末などを用いた教育を指すことが多い。教育日本一を目指しているつくば市教育委員会では,ICTの「C」に4つの意味(協働力Community、言語力Communication、思考・判断力Cognition、知識・理解力Comprehension)を持たせることを考え、この4Cを未来の子どもたちのために大切に実践し、夢感動のある楽しい学校づくりに生かしていきたいと考えている。
※2:子どもの教育(主として学校教育)にコンピュータを活用すること。また、そのためのソフトウェアやシステムなどのこと。

“中1ギャップ”という言葉がありますが、その対策として取り組まれていることがあれば教えてください。

つくば市立竹園東小学校 体育館

小中一貫教育のメリットに、児童・生徒間の交流が挙げられます。先日も、7年生が中学校の様子を教えにきてくれるなど、こうした小小・小中連携によって新しい環境に適応しやすくなっています。また、全てではないのですが、教科によっては教科担任制を実施し、より細やかな指導ができることもあって、特に“中1ギャップ”を意識することはなくなりました。

国際理解教育の「竹園ワールド」について伺いたいと思います。

つくば市立竹園東小学校 スマイルルーム

1~4年生を対象に、朝の15分間を利用して英語教育をするのが「竹園ワールド」ですが、2012(平成24)年度に「つくばスタイル科」が導入され、そのなかに組み込まれることとなりました。ここは海外からの研究者も多く、国際色豊かなエリアです。本校でも英語教育には力を入れており、外国語学習専用のスマイルルームも設けています。

地域の方々がスクールボランティアとして、協力してくれるそうですね。
周辺地域の方や、保護者の方との連携について伺えますか?

つくば市立竹園東小学校 田村校長

子どもたちの教育に関心が高く、学校活動に熱心な方が多いので、本校としても大変嬉しく思っています。本の読み聞かせや、草花の手入れをしてくれるクリーンボランティアの方もいらっしゃいます。また、ゲストティーチャーとして、「筑波大学」の先生が学部生・院生とともに理科の実験をしてくださったこともあります。

「竹園東小学校」は学力水準の高い学校として知られています。
教育に関して、先生方が心がけていることはありますか?

つくば市立竹園東小学校 校名

「つくば竹園学園」としてのテーマでもありますが、国際社会で活躍する児童生徒の育成には何が必要かということを踏まえた授業をしています。研究機関が点在し、先端技術を身近に感じることのできるエリアですから、その地域性を存分に活かし、児童の将来を見据えた取り組みをしたいと考えています。

行政から研究校やモデル校に指定されているそうですね。

つくば市立竹園東小学校 ICT教室

先進的教育用モデル地域事業の指定を受けている本校ですが、1999(平成11)年5月に、60台ものコンピュータネットワークが完成。CAI以外でもコンピュータを活用できるようになりました。その4ヵ月後には職員室、図書室がコンピュータネットワークに接続され、インターネットにも対応しました。現在は児童用のタブレットPCも完備され、授業で活用してきました。

「竹園東小学校」で誇れること、自慢できることをぜひ聞かせてください。

つくば市立竹園東小学校

あり過ぎて困りますね(笑)。素直な児童が多く、学習面についても意欲的で探究心にあふれています。合唱も盛んで、これまで数多くのコンクールで賞をいただきました。施設面では、開校から40年近くも経っていることから木々の幹は太くなり、緑も豊かです。敷地も広いので、落ち着いた環境のなかで学校生活を送ることができます。

最後になりますが、この街での生活を考えている方にメッセージをいただけますか?

つくば公園通り

海外からの研究者が多いこともあり、新しいものを受け入れようという土壌があるように思います。周辺には自然が残り、駅周辺は遊歩道が整備されているので大通りを渡る必要はありません。さらにTXが開通したことで、これまで以上に都心が身近になりました。教育面、住環境を含め、これまで以上に注目される街になるのではないかと思っています。

今回、話を聞いた人

つくば市立竹園東小学校 校長先生

つくば市立竹園東小学校 田村実枝子校長先生

住所:茨城県つくば市竹園3-13
電話番号:029-851-2032

http://www.tsukuba.ed.jp/~takezono-east-e/

※記事内容は2014(平成26)年7月に実施した取材に基づいて作成しています。

緑豊かな環境下での 国際色豊かな学校教育/つくば市立竹園東小学校 田村実枝子 校長先生
所在地:茨城県つくば市竹園3-13 
電話番号:029-851-2032
http://www.tsukuba.ed.jp/~takezono-east-..

自立した女性を輩出する名門女子大学本部

生涯にわたる学びを支援するため 時代のニーズに合わせた講座を開催する/津田梅子記念交流館 吉田真理子 教授


津田梅子記念交流館
交流館長 吉田真理子 教授

生涯にわたる学びを支援するため
時代のニーズに合わせた講座を開催する

武蔵野の豊かな自然が満喫できるベッドタウン、恋ヶ窪エリア。有名大学が点在する学園都市でもあり、教育に適した落ち着いた環境が整っている。このエリアで質の高い教育を実践している施設のひとつに「津田塾大学」がある。小平キャンパス内にある「津田梅子記念交流館」では在学生だけではなく地域市民や子どもたちにも門戸を開き、公開講座をはじめさまざまなプログラムを実施しているという。そこで今回は交流館の役割やどんな講座を開いているのか、館長の吉田真理子教授にお話を伺ってきた。

まずは地域に対する「津田梅子記念交流館」の役割を教えてください。

津田塾大学  小平キャンパス 外観津田梅子記念交流館 外観

交流館は、津田塾大学創立百周年(2000〔平成12〕年)を記念し、卒業生をはじめ、多くの方の寄付のもとに設立されました。建物は、もともとこの場所にあった卒業生寄贈のチャペルに増築する形で造られ、在校生、卒業生、そして地域の方々との交流の場となっています。女性の自立を目指して創設された津田塾大学の建学の精神に基づき、生涯にわたる学びをサポートしようというのが、施設の理念です。 交流を主要なコンセプトとして、これまで市民生涯学習講座や親睦コンサート、展示、学生主体の子ども向け英語講座など、さまざまなプログラムを開催してきました。

交流館自体も開放感があり、周囲の緑豊かな環境と調和した素敵な建物になっていますね。建設時にコンセプトなどはあったのでしょうか。

津田塾大学  小平キャンパス ウッドデッキウッドデッキのある中庭スペース

周りの武蔵野の自然との調和が重要なコンセプトになっています。象徴的なのが、建物中央にあるウッドデッキの中庭です。西側の林がバックドロップ(背景)となるような木の簡易ステージが設けられています。自然との一体感を味わえる小さな野外劇場としても利用できる造りになっています。

津田塾大学  小平キャンパス 教室2階セミナー室

また、2階のセミナー室は周りがすべてガラス張りなので、まるで緑の中に浮かんだ空間という印象を受けます。交流館の講座で使うだけでなく、授業でこちらの部屋を希望される先生もたくさんいらっしゃいます。

子ども英語プログラムからヨガ、マネー学まで、講座の内容を拝見すると多岐に渡りますが、どなたが企画されているのでしょうか。

事務局は交流館の事務室が担当し、企画の検討は、本学の教員と同窓会選出の委員から構成される交流館運営委員会の月例会で話し合われます。交流館長は同委員会の委員長でもあります。

開講している講座は継続しているものが多く、特に翻訳を体験できる講座はリピーターが複数いる人気講座です。実施していく中で要望があれば、その講座を定期的なメニューとして続けていきます。ご希望やご提案いただいた新企画は運営委員会で審議し、新しい講座として開設しています。

津田梅子記念交流館インタビュー1階・ソファーのあるラウンジで「きり絵展」開催
提供:津田梅子記念交流館・事務室

講師は本学教員のほか、他大学で教鞭をとられている方、専門家として活躍されている方々にお願いしています。各界で活躍している卒業生に講師を依頼することもあります。
ソファーのあるラウンジでは展示なども行われます。掲載させていただいている切り絵展の写真ですが、本学卒業生できり絵作家になった種村千明氏の作品展を開催したときのものです。

市民生涯学習講座は実際にはどのような方が参加されているのでしょうか。また、参加された方々の感想や反応などをお聞かせください。

年少者から高齢の方まで、幅広い年齢層の方が参加されています。小平市を中心に近隣地域から参加される方が多いですが、講座によっては地方から参加する方もいらっしゃいます。広報は交流館のホームページや大学の公式ホームページ、小平市報などで行います。

ワークショップ型の講座は、特に参加者の方の満足度が高いです。2014年に開講した「大人のためのマネー学」は、金融消費者問題のエキスパートになった卒業生を講師に迎え、今注目のNISAも含めてお話していただいたところ、「とても良かった」「講座に参加してから買えばよかった」など反響が大きかったです。

子ども向けのプログラムにはどんなものがありますか?実施にあたり意識されているポイントなども教えてください。

津田塾大学  小平キャンパス 子ども1階の教室スペースでの
「春休み子ども英語クラブ」の様子
提供:津田梅子記念交流館・事務室

小・中学生を対象にした「春休み講座 子ども英語クラブ」、「夏休み子ども英語プログラム―津田塾生とつくる英語劇」、秋には1日だけのプログラム「Let’s 国際交流」を実施しています。春のプログラムは英語の歌やチャンツ、絵本の読み聞かせ、調べ学習などを子どもたちの春休み5日間を利用して行っています。夏休みのプログラムは1週間のプログラムですが、最終日には子どもたちが英語劇を発表します。秋に行う「Let’s 国際交流」では、すでに世界28か国からゲスト・スピーカーを迎えています。子どもたちは、ゲストの国の文化やことばについて英語をとおして学びます。

「小学生英語のひろば」という本学教員と学生とでつくる自主フォーラムが企画・運営していますが、あくまで学生たちの自主性を尊重し、教員はそのサポート役にまわっています。例えば、夏休みの英語劇プログラムは、2015年(平成27年)度で10周年を迎えますが、そのプログラムの準備には約半年間かけます。毎年15名程度の学生が自主的に関わり創り上げています。学年、学科を越えて協力しあい、学生たちにとって非常によい経験になっています。

そもそも、これらの取り組みは、小学校高学年で英語が必修化されるよりも10年以上前に、英語に初めて触れる地域の子どもたちに英語のプログラムを提供する目的で、本学教員と学生とが「小学生英語のひろば」という自主フォーラムを立ち上げたところからスタートしています。設立当初から、近隣の小学校への出張授業や「放課後子ども教室」などでの実践を積み重ねてきた歴史があります。また、現在では、小学校での外国語(英語)活動に「ひろば」に所属する学生たちが学習ボランティアとして積極的に参加しています。

英語プログラムに参加されている子どもたちの様子はいかがでしょうか?

津田塾大学  小平キャンパス 応援夏休み子ども英語劇『ピノキオ』
クジラのセットの中での記念撮影
提供:津田梅子記念交流館・事務室

夏の英語劇は小学5・6年生と中学1年生が対象で、定員は約15人です。リピーターが多く、姉妹で合わせて6年間参加してくれたケースもあります。このお子さんは「将来、英語の先生になりたい」と言ってプログラムを卒業していきました。主に近隣の小・中学校に広報していますが、ホームページや知人からの情報で、夏休みを利用して新潟や北海道、大阪などからも参加者があります。

子どもたちは友達と一緒というより、個別に応募してくるケースが多いのですが、初日の午前中こそ緊張していても、学生も交えて一緒にお昼を食べたり、いろいろ話すうちに打ち解けて明るい笑顔になってきます。好奇心旺盛な子どもたちの吸収力には目を見張るものがあります。英語劇についても、リピーターや年上の子たちが年下の子や初めて英語を学ぶ子を励まし引っ張っていってくれます。そして、最終日の発表では、子どもたちの堂々した姿、英語での豊かな表現力に、保護者や学生たち、一般の観客も拍手喝采しています。

最後に、小平キャンパス周辺の魅力について、教えてください。

玉川上水緑道(小川橋付近)玉川上水緑道

キャンパス近くには玉川上水も流れています。自然が豊かでとても静かな環境にあるため、学生は勉強に集中できます。都心へのアクセスがいいのも魅力です。体育館や図書館、公民館などの公共施設も多く、とても住みやすい地域です。

津田塾大学  小平キャンパス 吉田教授

今回、話を聞いた人

津田梅子記念交流館

交流館長 吉田真理子 教授

津田梅子記念交流館
所在地:東京都小平市津田町2-1-1
電話番号:042‐342‐5146
URL:http://koryukan.tsuda.ac.jp/

※2015(平成27)年1月実施の取材にもとづいた内容です。 記載している情報については、今後変わる場合がございます。

生涯にわたる学びを支援するため 時代のニーズに合わせた講座を開催する/津田梅子記念交流館 吉田真理子 教授
所在地:東京都小平市津田町2-1-1 
電話番号:042-342-5111
https://www.tsuda.ac.jp/

「学校公開週間」で地域と連携する中学校

文化的な土壌に恵まれた教育環境/小平市立小平第四中学校 芝田博 校長先生


小平市立小平第四中学校
校長 芝田 博先生

文化的な土壌に恵まれ
落ち着いた教育環境における学校生活

玉川上水のせせらぎを身近に感じることのできる「小平市立小平第四中学校」。門標には学校名が記され、その下には“湯川秀樹”の文字も見える。初代校長が、同氏にお願いして書いていただいた字とのこと。アカデミズムの香りがただよい、また近くには「平櫛田中彫刻美術館」もある。周辺環境に恵まれた同校を訪ね、芝田校長にお話を伺った。

「小平市立小平第四中学校」の概要について聞かせてください。

小平市立小平第四中学校インタビュー

本校は、1965(昭和40)年4月に開校しました。“自分で考え進んで実践する人間・公共心に富み情操豊かな人間・勤労を尊び責任を重んじる人間・健康でたくましい人間”の育成を教育目標に掲げています。

小平市立小平第四中学校インタビュー

校歌は作曲家・渡邊浦人氏と詩人・草野心平氏の手によるもので、校名が掘ってある門標は、ノーベル物理学賞を受賞した湯川秀樹先生に書いて頂いた字が基になっています。いずれも“生徒に一流のものを与えたい”という初代校長の考えがあったからに他なりません。

近隣の幼稚園や小学校、また大学との連携について伺えますか?

小平市立小平第四中学校:幼児とのふれあい体験の様子幼児とのふれあい体験の様子
(提供:小平市立小平第四中学校)

家庭科のなかに、2年生が半日間、クラスごとに保育園を訪ねて保育士の手伝いをする「幼児とのふれあい体験」という授業があります。また、大学との連携については、様々な理由から教室に入れない生徒のために、授業補助という形で「津田塾大学」などの学生が毎日来てくれます。

学校生活をサポートする「学校支援ボランティア」という制度があるそうですね。

小平市立小平第四中学校インタビュー

卒業生の保護者が中心となり、様々な場面で協力していただいています。彫刻刀を使用する授業であれば、大人の目が多ければ多いに越したことはありません。こうしたサポートは、我々としても本当にありがたく思っています。

部活動について伺いたいのですが、参加率はいかがでしょうか。

小平市立小平第四中学校インタビュー

生徒の9割近くが参加しています。男子バスケットボール部や、サッカー部、男子バレーボール部は都大会の常連です。実業団のバレーボールチームがあった街なので、その名残も少しあるような印象を受けています。

学校行事の「地域めぐり」について、少し具体的に教えてください。

小平市立小平第四中学校:地域巡りの様子地域めぐりの様子
(提供:小平市立小平第四中学校)

「地域めぐり」というのは、1年生が班ごとに「小金井公園」を訪ねるものです。地域の魅力を知るだけでなく、修学旅行を見据えた班行動の予行演習という意味合いもあります。

毎年12月には「落ち葉掃きボランティア」を募っていると伺いました。

小平市立小平第四中学校:落ち葉掃きボランティア落ち葉掃きボランティアの様子
(提供:小平市立小平第四中学校)

本校の近くには玉川上水の流れがあり、その両岸には豊富な緑があります。秋から冬に掛けては、その周辺は落ち葉だらけになってしまうので、生徒の手を借りることになりました。期間中は毎日50名近い生徒が参加してくれます。

最後に、学校の周辺、また街の魅力について聞かせてください。

平櫛田中彫刻美術館「平櫛田中彫刻美術館」

近代を代表する彫刻家・平櫛田中氏が晩年を過ごした小平市。本校の近くには「平櫛田中彫刻美術館」があり、授業の一環として同館を訪ねる小学校もあるそうです。こうした文化的な土壌に加え、カルガモが雛を引き連れて歩いているなど、穏やかな雰囲気があることも魅力のひとつではないかと思います。

小平市立小平第四中学校インタビュー

今回、話を聞いた人

小平市立小平第四中学校

校長 芝田 博先生

住所:東京都小平市学園西町1-3-1
電話番号:042-341-4344
http://www.kodaira.ed.jp/34kodaira/

※2014年12月に実施した取材に基づいた記事です。内容については今後変わる場合がございます。

文化的な土壌に恵まれた教育環境/小平市立小平第四中学校 芝田博 校長先生
所在地:東京都小平市学園西町1-3-1 
電話番号:042-341-4344
https://www.kodaira.ed.jp/34kodaira/

地域密着のスローフードで、 食の素晴らしさを伝えたい/れすとらん さいとう 齊藤良治さん


れすとらん さいとう
店主 齊藤良治さん

“地域密着のスローフードで、
食の楽しさ・素晴らしさを伝えたい。”
菊名のカジュアルフレンチ「れすとらん さいとう」。

「菊名」駅から徒歩5分。お箸で気軽に食べられるカジュアルフレンチ「れすとらん さいとう」。地産地消にこだわり、横浜育ちの野菜と三浦半島の漁港で仕入れた魚介類等を、日本の調味料を使ってフレンチに仕上げている。手間をかけることを厭わずパンやアイスクリームまで手作りというこだわりよう。今回はシェフの齊藤良治さんにお話を伺った。

まず、「れすとらん さいとう」のテーマやコンセプトをお聞かせいただけますでしょうか。

「れすとらん さいとう」 店主インタビュー

「れすとらん さいとう」は、2005(平成17)年5月にオープンして、2015(平成27)年で10周年を迎えます。
私の料理は、日本で生まれ育ち培ってきた味覚を存分に活かし、醤油や味噌、麹、ごま油などを使用しています。日本の気候風土の中で育った食材を使って調理し、お客様に召し上がっていただくわけですから、日本の調味料を使うのが一番しっくりくると考えているのです。いわば“和のフレンチ”といったものです。

そうしたコンセプトもあり、店名は敢えてひらがなで「れすとらん」としました。また、お客様には、肩肘を張らずにお箸でも気軽に召し上がっていただきたいので、カジュアルさもテーマにしています。値段も手ごろに設定しておりますので、どなたでも気軽ににご来店いただければと思います。

「食の大切さ、素晴らしさに」に魅せられ今に至ったと伺いましたが、お店をオープンするまでの経緯を教えていただけますでしょうか。

「れすとらん さいとう」 店主インタビュー

私は元々、出版社で働いていました。毎日ハードで、デスクワークをしながらおにぎりを頬張る、というような生活から、ストレスで体を壊してしまいました。
そこが運命の分かれ道で、体が治ったら味覚がものすごく鋭敏になってしまったのです。自然の物は美味しく感じるのですが、添加物が入っているものは、苦く感じて、普段はわからない味までキャッチできるようになってしまいました。

例えば、飴を食べても、最後まで食べることができなくて捨ててしまったり…。そんな時に、父のやっている家庭菜園で朝獲りのキュウリを食べたら、“何だこの美味しさは!なぜこんな美味しいんだろう!”と、驚きました。「食べる」とは、こういうことなのかと目からウロコが落ちました。

れすとらん さいとう 齊藤さん インタビュー

自然の恵みを美味しく食べることはとても大事なことなんだと気づき、それまで趣味でやっていた料理に本格的に力を入れ始めました。それから間もなく脱サラをし、料理の専門学校に入り、基礎を修得した時点で学校も辞めて、以前からいいなと思っていたお店でパティシエとして働き始めました。その後、独立をしてこの店を開きました。

なぜフレンチを選ばれたのでしょうか。

れすとらん さいとう

洋食をやりたかったからです。気軽に利用できるビストロのようなものをやれたらいいなと昔から思っていました。
その点で、フレンチは技法的にも応用が効くと言われているので、フレンチを選びました。例えば、美味しい出汁も取れるので、ラーメン屋もできるじゃないですか(笑)。仕込みに手間をかけて出すというフレンチのスタイルが、僕は好きなんです。

この菊名の街にお店を開かれたのはなぜなのでしょう。

「れすとらん さいとう」 店主インタビュー

私は菊名が地元なんです。この辺りにはこういう雰囲気のお店があまりないので、ちょうどいいと思いました。また、何の実績もないところからのスタートだったので、まず知り合いがいるところで始めたかったということもあります。

「スローフードな料理」をテーマにされていますが、
齊藤さんの考える“スローフード”とは、どのようなものなのでしょうか。

れすとらん さいとう 齊藤さん インタビュー

昔からある「身土不二(しんどふじ)」という、その土地でその季節にとれたものを食べるのが健康に良い、という考え方です。その土地に暮らしている人は、その土地の恵みを受けて、食するわけで、それが本来の姿だと思うのです。今は流通が発達しているので、北は北海道、南は沖縄まで各地の食材も多く入ってきますが、人間はそこの土地で生き、そこの水を飲んでいるので、そこの水で作られた野菜を食べた方が、体にしっくりくるのではないでしょうか。今でいう「地産地消」ですね。それが私が考える“スローフード”です。

「れすとらん さいとう」 店主インタビュー

野菜は生き物なので、ストレスを感じるんですよ。ぎゅうぎゅう詰めの箱で運ばれて来たら、美味しくなくなってしまいます。そう考えると、今までそこの畑でなっていた物を食べた方が美味しいし、同じ水で生きているわけなので、体にもすっと入ります。感覚でしかないのですけれど、それが人間の本来の姿だと思いますね。

齊藤さんが料理に使用している、地場の食材へのこだわりやその魅力などを教えてください。

れすとらん さいとう 齊藤さん インタビュー

野菜は地元の契約農家のものを中心に、魚介類は三浦半島の漁港で仕入れた魚介類等を使っています。

意外と知られていないのですが、実は横浜市は農業が盛んで、各地に農業専用地区というものがあります。横浜市も農業をサポートしているので、市の8%くらい(※)が農地なんです。そうした土壌もありますから、うちの野菜は100%地元の契約農家の方と直売所から仕入れています。

野菜は人が作るので、その人柄が表れるんです。農薬がたくさん使われた野菜よりは、なるべく農薬を使わずに作られた野菜を使いたいですね。その方がきっと野菜本来の味を感じられますし、安心してお客様に提供できます。農家の方と話すと、どうやって作っているのかも教えてくれます。それだったら安心して使えるなって。僕も農家の方たちに頑張ってもらいたいので、お互い助け合いながらやっていけたらいいなと思います。

れすとらん さいとう 齊藤さん スズキ

魚介類については、三浦半島の漁港から仕入れた魚介類を配送してくれる業者があり、週に2回届けてくれます。朝電話が入って、「今日はこういうのがあるんですが、どうですか?」という感じでやり取りをしています。メニューは魚のカルパッチョとか、魚のポワレとだけ書いていて、魚の種類は水揚げ次第。その日に届いた新鮮な魚で作ります。

れすとらん さいとう 齊藤さん インタビュー

農産物を作る人がいて、私が料理をして、お客様に食べてもらう。それぞれ気持ちがこもっているんですよ。農家の方が野菜に込めた気持ちもあるし、僕が料理に気持ちを込めてお客様に出す。生産者の顔を見て料理を作るのと、市場から流れてきた野菜を使うのとじゃ違うと思います。

 

作った方がどういう人かも知っているし、今年はちょっと苦労しちゃったんだよ、というような話も聞いていれば、その想いはお皿に盛りこめる。いろんな想いが詰まっている訳で、それをキャッチボールと言うか、伝え合うのが地産地消だと思います。

※参考
2015(平成27)年1月横浜市環境創造局作成「横濱都市農業推進プラン」資料より
http://www.city.yokohama.lg.jp/kankyo/nousan/images/nougyoplanall.pdf

食材だけでなく、料理を作ることに対するこだわりについても聞かせてください。

れすとらん さいとう 齊藤さん 厨房

やっぱり「手作り」ですね。想いを料理を通してお客様に伝えたい、料理で会話ができればいい、という気持ちがあるので、手作りにこだわっています。パンも焼いていますし、アイスクリームも作っています。手間暇は掛かりますが、うちじゃないと食べられない料理を出したい。僕が体を壊して味覚が戻った時に感じた、あの食の素晴らしさを伝えたいのです。

美味しいだけじゃなく、驚きや味の組み合わせがプラスされると、さらに喜んでもらえるかな、と思ってメニューを考えています。例えば、「牛フィレ肉のステーキ」。リンゴとじゃがいもとキウイとビーツを使用して作っているのですが、リンゴはバターで炒めて塩をふります。

キウイは甘いソース。塩の効いた牛肉とリンゴとキウイのソースを一緒に食べると美味しいんですよ。ビーツは甜菜(テンサイ)とも呼ばれていて、甘いソースなのですが、お肉の付け合わせには通常はあまり使われません。そうした普段に無い味の組み合わせを、面白く食べてもらいたいです。

れすとらん さいとう 齊藤さん インタビュー

あとは見た目にもこだわっています。見た目が綺麗でないと、美味しそうには見えません。だからといって、高級フレンチみたいに凝った盛付けをしているということではないんです。例えば、今メニューで出している7種類の大根を使った魚料理。ビタミン大根の緑、紅くるり大根の鮮やかな赤い色、味いちばん紫の紫色、黒長大根は周りは黒く中は白、赤峰大根は縁取りが赤い、聖護院大根の白、三浦大根はみぞれおろしソース。

決して複雑ではないですが、いろんな色を組み合わせたりして、綺麗に仕上げています。

料理教室や食育のイベントなども開催されているようですが、そうした活動にはどのような想いがあるのでしょうか。

「れすとらん さいとう」 店主インタビュー

きっかけは、地元の小学校の栄養士さんに話を聞きに行った時のことです。そしたら、最近の子は魚が三枚に下した状態で泳いでいると思っていたとか、カットされた野菜しか見たことが無くて、原型を知らないと聞いて、これはいけない、と思いました。自分にやれることはやらなきゃいけないな、と。

 

毎年夏休みには食育料理教室をやっています。学校だけじゃなく、区役所などからも味覚の授業をやってほしいなど、様々な依頼があります。子どもって、味覚が一番鋭敏な時期なんです。舌にある、味を感じる味雷(みらい)の数は、小学校高学年がピークで、あとは減っていきます。ですので、いろいろな味を伝えるには小学生がベストだと思っています。

「れすとらん さいとう」 店主インタビュー

その時期にしっかりとした味覚を体感させること。僕の場合は「生で食べなさい」ということを伝えます。例えば茄子。朝獲りの茄子は、甘くて、みんな驚きます。
いろいろな味があって、その味が重なり合って食べ物はできているんだよ、という話をしてあげることで、今後彼らの好き嫌いが無くなればいいですし、そこで味の体験をしているか否かで、その子の将来は全然違うと思います。実際にそこまでするのは難しいのですが、本当は自分で種を植えて、自分で育てた野菜で料理教室ができたらいいですね。

その他に最近では、地元の中学生の職業体験の受け入れなども行っていますよ。

お店にはどのようなお客様が来られますか?

れすとらん さいとう 齊藤さん インタビュー

老若男女問わず幅広くいらっしゃいます。地元のリピーターの方が多いですね。平日の昼は女性が多いですが、お一人様も来られます。夜は企業の方の接待や、女子会など。土日は家族連れや記念日などいろんな方が来られますね。幼いお子様もご来店できますので、テーブルにベビーカー横付けで、という方もいますよ。

れすとらん さいとう 齊藤さん インタビュー

お客様に、この店の料理は3拍子揃っているね、と言われたことがあります。「美味しい」「ヘルシー」「翌日残らない」。僕はソースに油脂を入れません。フレンチは、最後にバターを入れて乳化させたりして重くなりがちなのですが、僕はそれが嫌で、野菜のソースも、野菜と水と塩だけで作るので軽いんです。ご高齢の方にも安心して召し上がっていただけます。

齊藤さんの今後の目標や、展望を聞かせていただけますでしょうか。

「れすとらん さいとう」 店主インタビュー

今はレストランだけですが、加工品なども作りたいと考えています。農家の方とお付き合いをしていると、大きさや形状によって「B級品」、「C級品」といった、行き場のない農産物が出てきます。捨てるにはもったいなので、加工品で何とかできれば農家の方も喜ぶし、うちで出している物を販売したらお客様にも喜んでもらえるだろうと思うのです。あとは、うちはパンとデザートも美味しいので、販売していきたいですね。総合的な「食」を、皆さんに提供していけたらいいと思います。

最後に、地元である菊名の街の魅力について教えてください。

れすとらん さいとう 齊藤さん

生活に必要な物は大体何でも揃っています。「新横浜」駅からは新幹線にも乗れますし、交通アクセスも便利です。落ち着いた雰囲気で、住みやすい街だと思いますよ。

「れすとらん さいとう」 店主インタビュー

今回、話を聞いた人

れすとらん さいとう

店主 齊藤良治さん

れすとらん さいとう
所在地:神奈川県横浜市港北区菊名6-13-41 ラピス菊名 1F
電話番号:045-434-1761
URL:http://www.restaurantsaito.com/

※記事内容は2015(平成27)年2月時点の情報です。

地域密着のスローフードで、 食の素晴らしさを伝えたい/れすとらん さいとう 齊藤良治さん
所在地:神奈川県横浜市港北区菊名6-13-41 ラピス菊名 1F
電話番号:045-434-1761
営業時間:11:30~14:30、18:00~22:00
定休日:月曜日
http://www.restaurantsaito.com/

お金では買えない舞台表現の喜びを子どもたちに 感性豊かなバレリーナを育てる/くわはらバレエアカデミー 桑原智美さん


くわはらバレエアカデミー
桑原智美さん

お金では買えない舞台表現の喜びを子どもたちに
感性豊かなバレリーナを育てる「くわはらバレエアカデミー」

「くわはらバレエアカデミー」は67年の歴史があるバレエ教室。クラシック・バレエの代表作「白鳥の湖」などを生み出した、ロシアバレエの伝統や技術を継承している。今回は、「くわはらバレエアカデミー」が運営している教室の1つ「菊名教室」について、創設者の娘さんであり、ロシアのバレエ団にも所属していたことのある講師・桑原智美さんにお話を伺った。

まず、くわはらバレエアカデミーの歴史について教えてください。

くわはらバレエアカデミー

1948(昭和23)年に「石塚洋子バレエ研究所」として始まり、1969(昭和44)年に「石塚千香子バレエ研究所」、1973(昭和48)年に「石塚千香子・桑原君昴バレエ研究所」と発展してゆき、1978(昭和53)年の創立30周年を機に、現在の「くわはらバレエアカデミー」になりました。

クワハラバレエ35

私の両親でもある桑原君昴と石塚千香子が教室を始め、ここ6、7年は私が主体となってレッスンを行っています。教室はここ菊名と古淵、東京の駒込の3か所です。

講師は主に、私と母の石塚千香子、教え子である山口亜美の3人です。菊名教室で指導に当たっているのは、私と山口先生の2人です。

幼児から大人までを対象としたクラスがありますが、年齢層や通う目的は、どのような方が多いのでしょうか。

クワハラバレエ34

現在、幼稚園の年中さんから小・中・高・大学生、大人は50代の方までと幅広い年代の方が所属されています。それぞれのクラスは、5~10名で構成されています。

子どもは、たとえ将来バレリーナにならなくても、バレエ教室で表現力や感受性、感性を身に付けたいと思い、練習に励んでいます。大人の方は趣味で通われている方が多いですね。

くわはらバレエアカデミー

菊名教室に通う子どもたちは、踊ることが好きで、舞台に出ることをとても楽しみにしていますし、学業とバランスをとって取り組もうと努力しています。”やると決めたら目標に対して、きちんとやる。”という志を強く感じますね。通っている生徒については、やはり菊名に住んでいる方が多いですね。妙蓮寺や大倉山、綱島から通われている方もいます。中には溝の口や、鶴見からバスで来ている方もいらっしゃいますね。

最近では、ローザンヌ国際バレエコンクールで日本人男性が優勝したりと、バレエが男女問わず親しまれているように思いますが、菊名教室ではいかがでしょうか。
桑原様のご家族のように、夫婦、親子、兄弟姉妹などで通われる方もいらっしゃいますか?

くわはらバレエアカデミー

元々バレエの発祥は、男性であるフランスのルイ14世が幼少の頃からバレエを習い、自ら踊っていたことが始まりだと伝えられています。日本では女性のイメージがまだ強くて入りづらいかもしれませんが、「くわはらバレエアカデミー」は男女関係なく随時生徒を募集しておりますので、もちろん男性の方も通われておりますよ。

クワハラバレエ04

生徒の中には、ご家族で通われている方もいらっしゃいます。お母さんが独身時代から教室に通っていて、結婚、出産してからは、赤ちゃんがスタジオをハイハイする横でレッスンをしていました。当時赤ちゃんだった娘さんもバレエを始めて、今も母と娘で通ってきてくださっています。

くわはらバレエアカデミーで習うことができる「ワガノワメソッド・ボリショイスタイル」の特徴を教えていただけますでしょうか。

クワハラバレエ14

「メソッド」というのは教授法のことです。フランス系のメソッドや、イギリス系のメソッド、アメリカ系があったりと、さまざまな種類のメソッドがあります。その中の「ワガノワメソッド」というのは、「ボリショイ」という派手な動きで魅せることが特徴的な教授法のことです。同じ国内でもカラーが若干違いますが、まとめてロシアのメソッドと呼んでいます。メソッドが違うとレッスンの内容も違ってきます。

クワハラバレエ38

ロシアの振付家が作った作品は、男性が頻繁に跳んで、動いている作品が多いですが、ヨーロッパの振付家が作った作品は、足さばきを魅せることが中心で、足の裏を使う動きが多いです。おそらく、ロシアは大劇場で、大きなスタジオがあるので、動きの大きな作品が作られ、ヨーロッパは小さな劇場で、小さなスタジオのため、動きは小さいけれども細かい足さばきを魅せる作品が増えたのではないかなと思います。

各クラスの具体的なレッスンの内容について、教えてください。

クワハラバレエ36

レベルには個人差があるので、生徒に合わせて基礎もやりつつ、テクニックも身につけられるように指導しています。クラスは、小学生までのクラスと、中学生から入ることができる大人のクラスに分けています。小学生までのクラスは、幼稚園児と小学生で分けており、また大人のクラスは中級と趣味のためのクラスで分けているので、全部で4クラスご用意しています。

 

小学生までのクラスは、フロア(床運動)とバー(棒につかまり行う練習)とセンター(スタジオの真ん中で行う練習)とトゥシューズ。大人のクラスはフロアが無く、バーとセンタートゥシューズを中心に練習しています。

それぞれの課題については、どのように対策されているのでしょうか。

クワハラバレエ05

振り付けで特に難しい箇所があるときは、レッスンの中に重点的に練習を取り入れたりしています。ロシアの教本をお手本にしていて、難しい振り付けがあったりすると、できないところを何度も繰り返して、身に着けられるように分解してやったりします。

また、自分自身の課題を発見してもらうためのテストの日を設けています。レッスンを始めた年によっても、レベルに個人差がありますので、テストの内容は各自にあった内容を考えています。

 	クワハラバレエ09

他にも、腹筋、背筋などの筋トレで一番を競います。チョコなどの景品が付いたりすると、みんな必死です(笑)。こんな風に少し工夫した内容もレッスンに取り入れることで、子どもたちも楽しんで取り組んでいます。

プロのバレエダンサーを目指す生徒などもいるのでしょうか。そうした場合、特別なレッスンやバレエ団入団への道などは開かれているのでしょうか。

クワハラバレエ39

数年に一度はプロになる生徒がいます。バレエ団に入る子もいますし、ミュージカル劇団に進む子や、ダンサーとして有名なテーマパークで活躍する卒業生もいます。

特に情熱がある生徒は、菊名と古淵両方の教室に行き来して練習しています。他の習い事と被ってしまい、自分のクラスの練習を休むことになっても、別クラスに参加して練習をするなど、両立してやろうとする生徒は伸びますね。

クワハラバレエ24

プロになりたいという子どもがいたらサポートしていますし、日本で行われる海外留学のオーディションなども自ら進んで受験するよう進めています。ですが、同時にバレエだけで暮らしていくことは厳しいという現実も伝えなければなりません。親御さんの負担も大きいので、軽い気持ちではいけません。「それでも私は、プロになりたい!」という情熱のある生徒は背中を押しています。

主な公演(発表会)についても教えてください。

くわはらバレエアカデミー

発表会は年に一度、川崎にある約1,000人収容できる会場で夏に行っています。

内容はクラスコンサート、幕もの、その時のメンバーでの3部構成にしています。クラスコンサートは各クラスごとに行い、幕ものは、みんなで大きな作品を創り上げます。数年前は「ドンキホーテ」の「夢の場」というシーンをやり、子どもは天使役として舞台に立ちました。

くわはらバレエアカデミー

大きな作品では、1人が抜けたら主役も立たないし、小さい役だからといって手抜きはできません。一人でも欠けたら作品にならないというのを理解してもらうために、みんなが参加する作品を必ず入れるようにしています。また、その時のメンバーによって、小さい作品を子どもと大人に分けて構成することもあります。穏やかな曲を踊ったら、次は元気な作品にしたりとバリエーションもつけています。

バレエを教える上で、どのような点を大切にされていますか。
また、バレエを通じて生徒さんたちにどのように変化があると感じますか。

クワハラバレエ03

子どもたちは、みんなそれぞれ個性があるので、それぞれの性格に合わせて対応しています。大人はまずは体を温めないと怪我をしてしまうので、体を壊さないように健康に注意しています。

クワハラバレエ06

生徒たちの変化としては、やはりレッスンだけではなくて、舞台を踏んだ後が大きいですね。練習して練習して、舞台の上で照明と衣装と装置が入って、お客さんの前でリアルに表現した後は、表現したいとか練習したいという気持ちは強くなります。
今の子どもたちは、自分自身のスタイルを認め、ここは劣っているけれど得意なところを生かしてやろうとか、家で自習しようとか、踊りだけじゃない部分を学んでくれています。そういうカラーの教室を発展させていけたらいいなと思います。

桑原さんにとってバレエの魅力とは何でしょうか。

くわはらバレエアカデミー

音楽と舞台装置と踊りと全部が一緒になったとき、劇場全体の空気感が変わるのがいいですね。実力のあるダンサーになると、曲が始まって、まだ舞台に出てこないで袖にいるのに、背中がゾッとする、というのをお客様に感じさせることができるんです。その場でしか味わうことのできない感覚が芸術にはありますよね。今の瞬間は二度と作れない、お金では買えない、舞台の立体的に融合された空気感はいいと思います。

最後に教室のある菊名エリアの魅力についても教えてください。

トレッサ横浜

一言で言うと、“居心地がいい”ところです。横浜市の海にも近いですし、交通アクセスが便利で東京方面、横浜方面共に行きやすく、美味しい外食のお店もあるので、生活環境としてとても魅力的です。
菊名教室の入っている「青木ビル」は、オーナーさんの意向でバレエ教室と音楽教室と学習塾がビルの中に揃っていて、教育の場になっています。特に提携はしていないですが、ピアノとバレエを合わせて習っている方もいますし、そういう教育面でも充実している環境だと思います。

クワハラバレエ37

今回、話を聞いた人

くわはらバレエアカデミー

桑原智美さん

くわはらバレエアカデミー
所在地:神奈川県横浜市港北区菊名4-3-21 青木ビル 4F
電話番号:045-401-9671
URL:http://kuwahara-ballet.jimdo.com/

※この情報は2015(平成27)年2月時点のものです。

お金では買えない舞台表現の喜びを子どもたちに 感性豊かなバレリーナを育てる/くわはらバレエアカデミー 桑原智美さん
所在地:神奈川県横浜市港北区菊名4丁目3−21 
http://kuwahara-ballet.jimdo.com/

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文武両道のプログラム 完全ワンストップ型学童保育サービス/ティップネス宮崎台 ティップネス・キッズアフタースクール 箕田紗代子さん


ティップネス宮崎台 ティップネス・キッズアフタースクール
チューターマネージャー 箕田紗代子さん

文武両道のプログラム
完全ワンストップ型学童保育サービス

東急田園都市線「宮崎台」駅から徒歩2分、最新の設備が揃う「ティップネス宮崎台」の中に、勉強や運動などの習い事ができ、学校からの送迎もしてくれる学童保育施設「ティップネス・キッズアフタースクール」がある。2013(平成25)年夏に開業した施設に、毎日元気な子どもたちが集まってくる。今回はこちらのチューターマネージャー、箕田紗代子さんにお話を伺った。

「ティップネス・キッズアフタースクール」とは、どんなところなのでしょうか?

ティップネス宮崎台 ティップネス・キッズアフタースクールインタビュー

民間学童保育で実績を持つウィズダムアカデミーと提携して、お迎えやお預かりだけでなく、習い事も同じ施設で行えるアフタースクールです。習い事は「ティップネス」で行われている、スイミング、スカッシュ、バレエなどの運動系のプログラムのほか、英会話、書道、ピアノなどの知育系のプログラムがあり、知育系プログラムは専門の先生が指導します。1年生~6年生までのお子さんが対象ですが、1、2年生のお子さんが多く通っていますね。

送迎もしていただけると聞きました

ティップネス宮崎台

「ティップネス・アフタースクール」の車を使った送迎のほか、それだけでは賄えない部分はバスや電車などの公共機関を使ってお迎えをします。また、学校までのお迎えは必須になっています。今まで続けてきた習い事に通いたいというお子さんもいらっしゃるので、中抜けも可能です。その場合は、習い事の教室までも送迎しています。

1日のスケジュールはどのようになっていますか?

ティップネス宮崎台 ティップネス・キッズアフタースクールインタビュー

ほとんどのお子さんが14時過ぎ~16時前に入室します。そのあと、用意したおやつを食べ、チューターが連絡帳を確認し、学校の宿題を行います。宿題は、チューターが答え合わせまでするようにしています。お子さん10人に対して1人のチューターがつきますので、細かいところまで目がいき届くようになっています。そのあと、16時から17時に行われる習い事に参加していて、習い事をしないお子さんは、季節のお花を調べるなど、チューターが考えたカリキュラムや工作、読書などをして過ごします。

人気の習い事はなんですか?

ティップネス宮崎台

運動系はスイミング、知育系だとそろばんや書道が人気です。英会話も人数は多いですが、やはりそろばんが人気ですね。意外だと思われるかもしれませんが、この教室はフラッシュ暗算と言って、そろばんを使わず、頭の中で暗算ができるようになることを最終目標としています。小さい時から計算になれておくことは大事なことなのだと思います。 また、クリスマス会や夏祭りなど、お子さんと一緒に計画し、季節に沿ったイベントも行っていますので、習い事をしないお子さんでも楽しめるように心がけています。

利用者はどのような方が多いのでしょうか?

ティップネス宮崎台 ティップネス・キッズアフタースクールインタビュー

要望に合わせて、22時までお預かりを延長できますし、希望者には夕食のご用意もしますので、共働きのお母さんたちにはご好評いただいています。また、ご両親が共働きのお子さんだけでなく、習い事をさせたいと考える保護者の方も多いです。運動系と知育系の習い事を一つの場所で出来るので、教室を探す必要がないですからね。

ほかの学童保育とは異なる、アフタースクールならではのところを教えてください

ティップネス宮崎台 ティップネス・キッズアフタースクールインタビュー

1番の魅力は、お母様が働いていてもお子さんのスケジュール管理を心配しなくてよいところだと思います。「ティップネス・アフタースクール」では、お子様の入退室をカードで管理し、自動的に保護者の方にメールが届くシステムを採用しているので、外に習い事に行くときも「時間に出て行ったかしら?」と心配する必要がありません。このサービスは好評で、嬉しいお言葉をたくさんいただいています。

定員はどのくらいでしょうか?

ティップネス宮崎台 ティップネス・キッズアフタースクールインタビュー

現在は20名のお子さんが通っていますが、来年はすでに40名の予約をいただいています。施設の中で運動、知育系の習い事ができるということが、口コミで広がりご好評いただいています。教室の規模から、1日の定員は30名ですが、曜日ごとに分散するのでまだ余裕があります。

最後に宮崎台の魅力を教えてください。

さくら坂

宮崎台のお子さんたちは、元気がよくてのびのびとしています。街自体も落ち着いていますし、こちらの施設も大きいので、のびやかに育っているのではないでしょうか。通ってくるお子さんたちも、小学校は違うけれど、保育園が一緒でその頃から繋がりのあるお子さんもいますし、初めて会うお子さんもいます。環境は様々ですが、みんな仲良しです。 この街には、そんなおおらかな子どもを育てる環境があるのだと思います。

ティップネス宮崎台 ティップネス・キッズアフタースクールインタビュー

今回、話を聞いた人

ティップネス宮崎台 ティップネス・キッズアフタースクール
チューターマネージャー 箕田紗代子さん

住所:川崎市宮前区宮崎2-10-10
電話番号:044-856-0028
http://kids.tipness.co.jp/afterschool/shop/SHP026/

※2013(平成25)年12月実施の取材にもとづいた内容です。 記載している情報については、今後変わる場合がございます。

文武両道のプログラム 完全ワンストップ型学童保育サービス/ティップネス宮崎台 ティップネス・キッズアフタースクール 箕田紗代子さん
所在地:神奈川県川崎市宮前区宮崎2-10-10 
電話番号:044-856-0028
営業時間:9:30~23:00(土曜日は22:00、日曜日・祝日は20:00まで)
休館日:金曜日、年末年始、メンテナンス休館
https://tip.tipness.co.jp/shop_info/SHP0..

学校と地域に「自信と誇り」を。まちぐるみで子供たちを育てていく/葛飾区立大道中学校 殿村靖廣校長先生


葛飾区立大道中学校
校長 殿村靖廣先生

学校と地域に「自信と誇り」を
まちぐるみで子供たちを育てていく

旧水戸街道沿いにあり、開校67年目を迎えた「葛飾区立大道中学校」は、今年度から独自の取り組み「大道四人組」をスタートさせるなど、さらに大きな飛躍を遂げようとしている。地域に根差した学校として子供たちをどのように育んでいくのか、2012(平成24)年に校長に着任された殿村靖廣先生にお話を伺った。

学校の沿革についてお聞かせください

葛飾区立大道中学校 外観

学校制度が新しくなった1947(昭和22)年に、区内12番目の中学校「葛飾区立第十二中学校」として開校しました。校章には“ペンは剣よりも強し”の意味を込めて、12本のペンをあしらっています。1950(昭和25)年に、旧水戸街道(国道6号)という“大きな道”が通っている学区にあることから、「葛飾区立大道中学校」へと改称しました。

どのような教育に力を入れていらっしゃいますか

葛飾区立大道中学校 学校目標

本校が目指すのは「生徒が自信と誇りを実感できる学校」です。そうなるために、「進んで学習に励む人」「勤労と責任を重んずる人」「心豊かで健康な人」の3つを教育目標に掲げています。また、2014(平成26)年度は「葛飾区教育研究指定校(平成26・27年度)」と「葛飾区特別支援教育推進モデル校」に指定されています。子供たちに学校、そして自分に対して「自信と誇り」を持たせたいと、指定校の研究においても、新しい取り組み「大道四人組」をスタートさせました。

「大道四人組」とはユニークな響きですね。どのような試みですか

葛飾区立大道中学校 教室

学級の生活班を4人1組にし、そこでの人間関係を授業内での協同学習へ広げていこうという取り組みです。同じメンバーが生活班では給食当番や掃除などで協力し合い、授業の中では学習班として組んで「学び合い」「教え合い」をする。授業の振り返りや意見を出し合うといったことを4人グループの中で活性化させていくんです。6時限で10分ずつ協同学習をしたら、毎日1時間は話し合いができるわけで、それだけ、自分の意見を言わせること、人の意見を聞かせること、協同で作業させることは大事だと考えています。さらに、人に教えるには授業の内容を8~9割理解していなければならないので、子供たちの学習定着度は当然上がっていきます。

こうした取り組みは他校では聞いたことがありません。中学の3年間続けていくことで学習を完成させるつもりですが、今年の4月から始めたばかりで、すでに1年生はすごく変わってきました。これから、本校の生徒は「大道四人組」で大きく伸びていくと確信しています。

生活班と学習班が連動しているように、「大道四人組」では指導の“連続性”がキーワードになっています。新しい展開としては、地元の葛飾区立白鳥小学校に続いて、葛飾区立宝木塚小学校でも「四人組」の学習を始めることになっています。近隣の小学校が協同学習を取り入れてくれ、そこで学んだ生徒が本校に来てさらに「四人組」を発展させていければ、指導が連続しますよね。今、「小中連携」ということが盛んに言われていますが、一貫校でなくても、小・中学校で指導を連続させることは可能なんです。よく校長や先生が変わると学校は変わってしまうと言われていますが、人が変わっても変わらない学校は、やはり「自信と誇り」がある学校ではないでしょうか。「大道四人組」を起点にして、プライドを持てる学校にしていきたいと思っています。

学習面では他にもいろいろな取り組みをされていると伺っています

葛飾区立大道中学校 少人数学習教室

習熟度向上のため、理科・数学では2クラスを3分割した少人数クラスにしています。少人数クラスであっても、「四人組」による協同学習の要素は必ず入れています。また、プレゼンテーションの力が必要だと考え、ホワイトボードを導入しました。子供たちがきちんと書くこと、人の意見をしっかり書き留めておくこと、それを人前で発表することを重視し、そうした場面で有効活用しています。それから、このホワイトボードとセットで導入したのが、デジタイマーです。「四人組」で話し合いをしても、時間の感覚がつかみづらい。しかし、デジタルで明確に表示されれば、自然に時間の感覚が身に付くし、指導する側も時間をはっきり区切れるので、いろいろな教科で使っています。

生活指導ではどんな点に留意されていらっしゃいますか

葛飾区立大道中学校 教室

「当たり前のことを当たり前にやる」ことです。そうすることで、学校をブランド化できればいいなと思っています。例えば、地域の年少の子供たちが、「大道中学校に行くなら、きちんとこうしなければいけない」と思うような学校でなければならないということ。ですから、生徒指導では、生徒にだめなことはだめだときちんと注意します。

また「カンファレンス」という教育相談部会を設けて、カウンセラー・養護教諭・管理職・学年主任が各学年で気がかりな子どもたちの情報交換をしています。担任が一人で抱え込むのではなく、子どもの課題をチームで共有し、支援のための知恵を出し合っていく。生徒指導というのは、問題が起こってからするのではなく、子供たちの課題を早く見つけて解決してあげること、同時に子供たちの心を耕し育てていくことだと思います。

先生からご覧になった子供たちの印象を教えてください

葛飾区立大道中学校 トロフィー

本校の子供たちは素直で前向き、本当によく頑張ります。何事にも一生懸命に取り組むので、いい加減にやっている部活はひとつもありません。今年の春季大会ではサッカー部が準優勝、バスケ部は3位になりました。相撲部は毎年全国大会へ出場していて、力士の大道(十両筆頭)と千代大龍(前頭二枚目)はここの卒業生なんですよ。

子供たちの意欲を引き出すには、先生たちがものすごく頑張って指導していることが大きいですね。先生たちは休み時間になっても、子供たちから離れません。先生が常に子供たちのそばにいて、「君たちが頑張るから、先生も頑張れるんだよ」という姿勢を見せることで、いじめや不登校もなくなっていると考えています。

校内の環境・設備はいかがでしょうか

葛飾区立大道中学校 校庭

昨年、トイレの改修工事、校庭の全面改修工事が終わり、来年は校庭に夜間照明が点く予定です。今後は、きれいになった校内をこのまま維持していきたい。私は、学校は「ディズニーランド」のようでなければならないと思っているんです。「ディズニーランド」では、「ごみが落ちていないから、捨てられない」という人の心理現象があるはず。つまり、常にきれいな環境を作っておけば、生徒たちも汚そうとは思わない。だから、きれいな環境で生活させることが重要だと思っています。

職員室の廊下には、卒業生が制作した美術作品を飾っています。私が持ってきた鈴虫も飼育していたり、理科室ではヤマメとサケもいて、いろいろ飼っているんです(笑)。学校の雰囲気がよくなれば、自然と生徒たちもいい雰囲気になるので、どういう空気感にしていくかが大事だと思っています。

地域との連携はどのようになさっていますか

葛飾区立大道中学校 地域

葛飾区には学校地域応援団もありますが、地域の方たちに学校に入っていただくことがすごく大事だと思います。イメージは“おらが村”の学校です。地域の方たちが「応援しているよ」「協力するよ」という姿勢を取ってくだされば、子供たちにとって絶対ためになる。地域の方にとっても、「自分たちが関わったことで、子供たちがこういう風に成長していったんだ」とすごく自慢になるのではないでしょうか。それが、地域に根差した学校が進むべき姿だと思います。

具体的な取り組みとしては、子供たちと応援団が声をかけて集まってくださった地域の方たちが一緒になってボランティア清掃に取り組んだり、地元の祭礼で神輿をかついだりしています。先日は白鳥東町会から祭りの半てん50着をいただきまして、お礼に体育祭で半てんを着た生徒たちがソーラン節を踊りました。祭りの時には半てんを着て、神輿を担ぎに行こうと話しています。背中に「大道」の文字が入った半てんを着て外に行くと、自分の学校への「自信と誇り」になる。地元の方も嬉しいと思いますし、そういう関係はとても大事だと思います。

「運動会ボランティア」というのもあって、宝木塚小学校の運動会へ毎年、同校出身の2・3年生有志が手伝いに行きます。自分の母校を手伝えたら、その子たちの自信になる。小学生にとっては卒業した先輩であり、地域のご父兄からしたら、“だれだれちゃん”だとわかる。まさに町ぐるみのつながりですよね。そして、運動会を通じて、大道中学校へ行きたいという子どもたちが出てきたら、それも生徒たちのプライドにつながる。しかも、連続した関係性が生まれると思います。

今年から学校を開放して「ホタルの夕べ」も始められたそうですね

葛飾区立大道中学校 ホタル

亀有~四つ木に渡る親水公園はもともと曳舟川だった所で、昔はホタルが飛んでいました。そこで、本校と宝木塚小学校とで協力してホタルを甦らせようということになり、両校でホタルを育てて、ホタルが光るようになったら、「ホタルの夕べ」を開いて地域の人たちに公開しています。先日、本校で開いた「ホタルの夕べ」には生徒と地元の人たち合わせて300人以上が集まり、すごく賑やかでした。本校ではマルチ部の生徒たちが先生と一緒にホタルを飼育していますが、ぜひ地域の方たちも手伝ってほしいですね。学校の取り組みに自分たちも関わっているということになれば、地域も「自信と誇り」が持てるようになり、街がさらによくなるのではないでしょうか。

お花茶屋エリアの魅力を教えてください

葛飾区立大道中学校

学校に対してすごく協力的で、温かい目で見守ってくださる方が多いですね。町内会やPTA役員には卒業生が大勢いて、学校をとても大事にしてくださいます。町内会から贈られた半てんにしても、町会長が子どもたちが頑張っている姿を見て、「なんとか応援してあげたい」と作ってくれました。そういう温かい地域性があると思います。子どもたちがこれを着ることでまた地域とつながれるし、本当にありがたいことです。

本校が「自信と誇り」を持った学校になることはもちろん、“おらが村”の学校に関わることで、最終的には地域が「自信と誇り」を持って、「ホタルの夕べ」などで地域との連鎖がもっと出てくればうれしいですね。街の人と一緒に子供を育てていけば、学校も地域もよくなる。そのための「自信と誇り」であり、学校のブランド化だと考えています。

今回、話を聞いた人

葛飾区立大道中学校 校長先生

葛飾区立大道中学校 校長 殿村靖廣先生

住所:東京都葛飾区四つ木5-22-1
電話番号:03-3693-3350

https://school.katsushika.ed.jp/swas/index.php?id=daidou_j

※記事内容は2014(平成26)年6月時点の情報です。

学校と地域に「自信と誇り」を。まちぐるみで子供たちを育てていく/葛飾区立大道中学校 殿村靖廣校長先生
所在地:東京都葛飾区四つ木5-22-1 
電話番号:03-3693-3350
https://school.katsushika.ed.jp/swas/ind..

1961(昭和36)年開校の歴史ある小学校

地域・保護者との絆を深め子どもたちを育む伝統校/調布市立若葉小学校 星野由美子校長先生


調布市立若葉小学校
校長 星野由美子 先生

地域・保護者と絆を深め
子どもたちを育む伝統校

「調布市立若葉小学校」は文教地区の落ち着きと美しい街並みを見せる若葉町にある公立小学校。森や川など武蔵野の豊かな自然に抱かれた絶好の教育環境の中、計18クラス約600名の児童が学んでいる中規模校だ。2013(平成25)年度に開校50周年を迎えた伝統校において、地域や保護者と連携した学習活動を中心に、校長の星野由美子先生にお話を伺った。

「調布市立若葉小学校」の沿革についてお聞かせください。

調布市立若葉小学校

本校は1963(昭和38)年、調布市で10番目の学校として開校しました。鉄筋コンクリート3階建の市内で初めての鉄筋校舎です。当時の建物に増改築を加えて現在に至っています。開校50周年を迎えた昨年は、各学級から出された意見を代表委員会がまとめてスローガンを決め、全校募集で“50周年キャラクター”を決めるなど、50周年をかなり盛大に祝うことができました。

調布市立若葉小学校

50年が経って学校の周りにあった田んぼや畑は住宅地になりましたが、学校のある場所や古い校舎、学校を取り巻く若葉の森は開校当時のままなので、卒業生たちがとても懐かしがってくれます。学校から森を見渡すと、春は桜、秋は紅葉、冬には木々に積もった雪が見えて、とてもきれいです。

この50年で築き上げてきた若葉小の校風とはどのようなものでしょうか。

調布市立若葉小学校 校舎

本校は地域との絆が非常に強い学校です。PTAや地域の諸団体など地域の方たちが主体となって毎年、子どもたちのために夏祭りや運動会を開催してくれます。地域と連携して子どもたちを育てるという基盤がしっかりとできています。また、パトロールやあいさつ運動、ソフトボールの練習など、地域の方たちがいろいろな場面で子どもたちに関わってくださるので、子どもたちがすごく守られていると感じます。地域の方が声をかけてくださり、助けられている部分がとても多いです。

一方、豊かな自然環境に恵まれている子どもたちは優しくて穏やかです。生活指導をあまりしなくてもお掃除やあいさつがきちんとできる子どもたちなので、50年が経過した建物もきれいに維持されています。

若葉小の教育目標について教えてください。

調布市立若葉小学校 校長先生インタビュー

教育目標は「かしこく やさしく たくましく」。今年度は「しっかり考え すすんで学ぶ子」を重点目標とし、研究発表を行ったり、学力向上を目指したりしています。

私が始業式や入学式で毎年必ず話をするのは、「自分でする みんなでする つづける」ということです。「自分でする」というのは「自立」、「みんなでする」というのは集団生活の中で必要な「協調性」、そして何事にも継続しなければ力が身につかないので、「つづける」つまり「継続」ということを大切にしています。このようなことが身につけば、中学生、そして大人になっても役立つと思います。

学習の特色や力を入れていることはどんなことでしょうか。

調布市立若葉小学校

言語力を高めるため、言語環境をよくする取り組みをしています。例えば、火曜の作文、水曜の読書、金曜の読み聞かせを朝10分程度全校で実施しています。作文では段落ごとに分けて書くなど、ポイントを指示して書かせることで、最初は書けなかった子どもでもだいぶ書けるようになってきました。保護者との連携にかなり力を入れていることも特色で、読み聞かせは保護者の方にご協力いただき、年間12回以上、多いクラスで19回も行っています。

調布市立若葉小学校

また、字を書くスピードによって学力に差が出てしまうので、こうした朝の活動に加えて週1回、文章を書き写す「視写」の時間も設けています。他校と違うのは、1年生から辞書を活用していることです。1年生のうちは特定のページに書かれていることを話してもらうなど辞書に親しむ活動をして、高学年になると自分の辞書を使って学習を進めていきます。こうした取り組みにより、学力調査などいろいろなところで成果が出てきていますね。

国語では調布市教育委員会研究推進校、東京都言語能力向上拠点校に指定されているそうですね。具体的な取り組みについて教えてください。

調布市立若葉小学校

さきほどの言語環境の改善に加え、年に6~7回、授業力を高めていくための研究授業を行っています。まず、各学年でこういう授業をしようと手立てを工夫します。その後、各クラスで順に授業をし、それを私や学年の先生方が見て問題点を修正していきます。そして最終的に学年提案として実施される授業を全学年の先生が見て研究します。一部の先生だけでなく、教師全員が関わって自分たちの授業力を高めていきます。この研究授業には言語教育の専門家である外部講師の方もお呼びしています。

保護者や地域の方たちとの交流では、学校支援地域本部を設置していらっしゃると伺いました。

調布市立若葉小学校 校長先生インタビュー

地域支援コーディネーターを中心に、地域の人材や保護者の支援を活かしたさまざまな交流・体験学習に取り組んでいます。学校だけではなかなか地域の状況がわからないので、地域に精通し、なおかつ地域の方に声をかけやすい方にコーディネーターをお願いして、学校・地域・保護者の仲立ちをしていただくという形です。

調布市立若葉小学校 校長先生インタビュー

交流・体験学習のひとつが、「サマーチャレンジわかば」です。地域支援コーディネーターが内容や講師をコーディネートして地域の方が講師となり、夏休みに学校でフラワーアレンジメントやお茶、書道、浴衣の着付け教室など、約40講座もある体験教室を開いています。このほか、「道徳授業地区公開講座」の講師の紹介や、校内清掃での地域諸団体への協力呼び掛けなどでも地域支援コーディネーターに橋渡しをしていただいています。

 

昨年は地域ボランティアの協力で校内のホタル池でホタルを育てて光らせるプロジェクトにも取り組み、今は学校近くの畑の活用について計画している最中です。保護者の方たちも非常に協力的で、「サマーチャレンジわかば」の受付や後片付け、読み聞かせのほか、商店街での校外学習の手伝いや遠足の付き添いなどをしていただいています。

地域行事にも積極的に参加されていらっしゃいますね。

調布市立若葉小学校

夏祭りや秋の運動会、冬のお茶会など、地域の方が子どもたちのために学校でいろいろな地域行事を開いてくださっています。お茶会ではお茶を飲むだけでなく、凧揚げや羽根つきなどの伝承遊びもします。また、若葉地区協議会が開いてくださる、お祖父ちゃんやお祖母ちゃんを交えての3世代交流会というのもあります。

調布市立若葉小学校

子どもも地域の中にいる存在なので、こうした地域行事にはなるべく参加させるようにしています。すると、学校では目立たない子がすごくやる気満々だったりと、学校にいる時とは違う面が見えたりします。地域行事が子どもたちのものの見方、世界観を変える機会にもなっているのです。家庭や地域の中での子どもの状況を見るため、私もほとんどの行事に出席しています。

調布市立若葉小学校 校長先生インタビュー

こうした行事が多いのは、地域の方たちが「ここが故郷なんだよ」「いつでも帰ってきてほしい」という思いで子どもたちを育てているからです。ですから、夏祭りでは別々の学校に行った卒業生たちが必ず顔を出します。そうした“故郷意識”がずっと続いてきた地域なので、学校もそれを無くしてはいけないと思っています。

周辺の幼稚園や隣接する「調布市立第四中学校」との連携についてはいかがですか。

調布市立若葉小学校

幼稚園については、来年小学校に上がる年長組の園児に1年生の授業を公開し、学校に遊びに来てもらっています。「調布市立第四中学校」とは日ごろから連携しています。例えば、夏祭りでは本校の音楽クラブと音楽委員会の児童が「調布市立第四中学校」の吹奏楽部の生徒たちと合同演奏を行い、夏休みの合同練習では卒業生など中学生から教えてもらっています。また、すぐ隣同士で災害時には一緒に行動することになるので、災害時の協力体制について話し合う協議会を設け、調布市防災協力の日には合同で避難所設営訓練を行っています。このほか、防犯に関する会議も月1回ぐらいのペースで実施しています。両校の教員が毎年合同研修会を開き、地域を知るための勉強会を開くなどしています。

「桐朋学園」などをはじめ、エリアには教育施設が多いですが、アカデミックな環境を活かした活動はあるでしょうか。

調布市立若葉小学校 校長先生インタビュー

「桐朋学園」の教員家庭のお子さんが本校に通っていらっしゃるという関係から、今年は夏祭りに「桐朋学園」のダンスクラブの方に来て踊っていただきました。地域の小中学生が大勢見学していました。また、「桐朋学園」の学生が「調布市立第四中学校」の吹奏楽部で指導しているので、吹奏楽部との合同練習の際に一緒に指導していただいたこともあります。同じ地域にある学校なので、こうした交流はこれからも続けていきたいですね。

子どもたちが育つ場として、周辺の教育環境について教えてください。

武者小路実篤記念館・実篤公園

「調布市立第四中学校」、都立の「神代高等学校」、私立の「桐朋学園」があり、学校の前には「調布市立図書館 若葉分館」 、その先には児童館、近くには「武者小路実篤記念館・実篤公園」もあるなど、本当に文教地域なんです。図書館では本を借りられるし、児童館に行けば遊べるし、実篤記念館では文化的なものに親しむことができます。本校の児童は3年生になると、図書館に見学に行き本の借り方を学びますが、調べ学習や読書などで子どもたちはよく利用しています。また、「仙川商店街」という大きな商店街があり、校外学習の探検隊などでお世話になっています。自然があり、文教的な場所や、にぎやかな場所もあるなど、近くでいろいろな学習体験ができる地域だと感じています。

自然環境が豊かな場所ですが、子どもたちの様子はいかがでしょうか。

祖師谷公園

私がこれまでいた学校ではハチが飛んでくると子どもたちがびっくりしていたのですが、本校では子どもたちが虫に慣れていて慌てないことに驚かされました。森に囲まれているので、いろいろな種類の蝶や珍しい鳥もやってきます。おととしは学校近くの道の真ん中にミミズク(フクロウ科の鳥)がいて、本当にびっくりしました。住宅街ですが、森の中にはミミズクやタヌキなどが生息しているらしく、子どもたちが時折はっとするような生き物に出会える、とてもすばらしい環境だと思います。また、学校の近くには野鳥や魚がいる野川が流れていて、校外学習で行ったり、遠足で通ったりします。

最後に、若葉町エリアの街の魅力についてお聞かせください。

調布市立若葉小学校

遠くまで行かなくても、目の前に豊かな自然があり、ちょっと行けば商店街もあります。図書館や児童館、公園といった文教的で子どもたちが遊べる場もあるなど、近くにいろいろな要素がコンパクトに凝縮され、さまざまな体験ができるところが魅力だと思います。子育てにも非常に適した場所ではないでしょうか。

※記事内容は2014(平成26)年9月時点の情報です。

調布市立若葉小学校 校長先生インタビュー

今回、話を聞いた人

調布市立若葉小学校
校長 星野由美子 先生

住所:東京都調布市若葉町3-17-5
電話番号:03-3308-5256

※記事内容は2014(平成26)年9月時点の情報です。

地域・保護者との絆を深め子どもたちを育む伝統校/調布市立若葉小学校 星野由美子校長先生
所在地:東京都調布市若葉町3-17-5 
電話番号:03-3308-5256
https://www.chofu-schools.jp/wakaba-sho/

緑豊かな環境や地域とのつながりの中で、のびのびと育つ十二小のこどもたち/小平市立小平第十二小学校 校長 木田 明男先生


小平市立小平第十二小学校
校長 木田 明男 先生

緑豊かな環境や地域とのつながりの中で、
のびのびと育つ十二小のこどもたち

青梅街道の緑や耕作地、「玉川上水緑道(小川橋付近)」など、緑豊かな環境の中にある「小平市立小平第十二小学校」。「明るく元気でたくましい子」「よく考えすすんで実行する子」「たがいになかよくする子」を教育目標に掲げています。

十二小の教育の特色や周辺環境について、木田校長先生にお話を伺いました。

学校の歴史や概要について、ご紹介をお願いします。

小平市立第十二小学校 校歌

1968(昭和43)年5月に、「小平第一小学校」から分かれて開設された学校で、2014(平成26)年に創立46周年を迎えました。2014(平成26)年5月現在の児童数・学級数は、特別支援学級の「けやき学級」を含め全15クラス・380名となっています。

2012(平成24)年には東京都の「スポーツ推進校指定校」に、2014(平成26)年には東京都の「オリンピック教育推進校・コオーディネーショントレーニング実践研究校」に指定されています。

理想の学校像実現に向けてどのような取り組みを行っているのでしょうか。

小平市立 小平第十二小学校 校長 木田 明男 先生

私たちは「かかわり合い、磨き合い、輝き合う、笑顔あふれる子ども」の育成を目指しています。小中連携教育及び「小平市立小平第五中学校区」の取り組みに基づいて、9年間の義務教育の指導内容を踏まえた学年目標や学級目標を設定し、実践しております。

小平市立 小平第十二小学校 校長 木田 明男 先生

具体的には、「学力向上」「体力向上」「健全育成」を大きな柱としております。まず「学力向上」については、子どもたちに「学ぶ楽しさ」を知ってもらうことに注力しています。算数の少人数学習指導はもちろん、各教科の基礎的・基本的な知識・技術の習得を目指すと共に、児童の“思考力・判断力・表現力”を高めるための教材開発や、指導方法の工夫なども行っています。

また、学校の近くにある「玉川上水緑道(小川橋付近)」 では、人や地域、自然などと直接関わり合う体験活動を実施しています。子どもたちが自分で課題を設定し、情報を収集したり、分析結果を発信することで、思考力や表現力を養う総合学習となっています。

その他にも、「学力向上」についての取り組みを教えてください。

小平市立 小平第十二小学校 校長 木田 明男 先生

毎週水曜日には、国語と算数に特化した40分間の「十二小タイム」を設定し、全教職員がドリル学習などの個別指導にあたっています。全教職員ですから、私や副校長も参加します。何を学習するかも、児童が担任と相談して自分で決めます。子どもたちに自ら学ぶ姿勢を身に付けてほしいと考えています。

他には、朝の20分間を活用した「読書マラソン」、学期1回の推薦図書週間の設定、学年に応じた「ビブリオバトル」などを実施しています。子どもたちが読書習慣を身に付けることで、豊かな感性を養ってもらいたいと考えています。

2つ目の「体力向上」については、どのような取り組みを行われているのでしょうか?

小平市立 小平第十二小学校 校長 木田 明男 先生

2014(平成26)年に、「東京都オリンピック教育推進校及び東京都コオーディネーショントレーニング実践研究校」に指定されたこともありますが、「生涯にわたってスポーツに親しむ力」を身に付ける健康教育に注力しています。健康教育を充実させるため、栄養士と連携した食の授業や、養護教諭による保健指導を強化しました。東京都が推進している「一校一取り組み」では、これまでも取り組んできた「長縄跳び」を継続的に行っています。

また、このエリアはラジオ体操の文化がなかったのですが、運動会をはじめとした、任意でのラジオ体操大会などを行ったところ、地域の方も参加してくれるようになりました。

3つ目の柱である「健全育成」についてはいかがでしょうか?

小平市立 小平第十二小学校 校長 木田 明男 先生

「こだいら共通プログラムの」一環として、「あいさつ運動」を実施しています。このエリアは「小平市立小平第一小学校」、「小平市立上宿小学校」、「小平市立小平第五中学校」の「小平“五”中校区」となっていて、毎月「5」のつく日には小中連携のあいさつ運動を行っています。我が校でも、児童が正門に並んで元気よく挨拶しています。

年に数回、「小平市立上宿小学校」の児童と一緒に、立川通り沿いでの挨拶運動も実施しています。その際には、保護者の方や地域の有志の皆さんも参加してくれます。他にも、「児童会・生徒会サミット」をはじめとするさまざまな小中連携の活動も行っています。

高校や大学と連携した教育活動も行っているそうですね。

小平市立 小平第十二小学校 校長 木田 明男 先生

「“地域の教育力”を最大限に活かした教育活動を通じて、子どもたちの人間力を養う」というテーマは、当校の教育方針のひとつでもあります。もともとキャリア教育の育成にも力を入れていた我が校は、高学年児童の自覚とリーダーシップを形成するため、各行事は児童主体の実行委員会形式を取り入れたり、金曜日には「保健・給食・体育・音楽・音読・縦割り班遊び」などの集会活動を行うなど、縦割り班活動の充実を図ってきました。

近くの「東京都立小平西高校」とは、今年から交流を始めました。先日はハンドボール部の生徒が、本校の5年生にハンドボールを教えてくれました。小学生にとっては、高校生のお兄さんやお姉さんたちの温かさを感じることができて楽しかったようです。高校生からすると、小学生に教えることで自己肯定感を得ることができたようだと、「東京都立小平西高校」の先生方からも喜ばれました。今後は、キャリア教育の一環として、西校の文化祭見学といったプランも検討しています。

小平市立第十二小学校 武蔵野美術大学の冊子

また、「武蔵野美術大学」との連携も、もう3年近く続いています。2011(平成23)年に、当校のシンボルだった大ケヤキを切ることになりました。その際に、「武蔵野美術大学」の学生さんたちが、大ケヤキをテーマとしたワークショップを行ってくれたことがきっかけで交流が始まりました。切られたケヤキは、現在「武蔵野美術大学」に預かってもらい、輪切り加工をしてもらっています。我が校とのワークショップの時間を、授業の一コマに入れてくれていることもあって、“ゲストティーチャー”というよりもさらに深いつながりですね。

“地域の教育力”と言いますと、保護者や地域の方たちとの連携もあるということでしょうか。

小平市立 小平第十二小学校 校長 木田 明男 先生

「あいさつ運動」もそうですが、当校では児童の社会性を養うため、地域の一員として活動・貢献する機会を設けるよう努めています。保護者や地域の皆さんの持つ教育力を活かした授業や企画を立ち上げることで、子どもたちに「ふるさと・こだいら」への郷土愛を育んでもらいたいと考えています。地域清掃活動やボランティア活動の充実も図っています。さらに、JRC(青少年赤十字)の活動を委員会活動として位置づけ、国際貢献・災害安全・交通安全など、自分たちが身近にできることを実践させています。

小平市立 小平第十二小学校 校長 木田 明男 先生

一方、周辺地域の方々は、児童の登校時にボランティアとして通学路に立ってくれたり、見回りも行ってくれています。また、下校時には教員も学区域を巡回しますが、低学年の下校時は子どもたちを迎えに来てくれるボランティアの方もいらっしゃいます。そういった点では、地域ぐるみでの子育て環境が醸成されていると思います。

「小平第十二小学校」周辺地域の風土をどのようにお感じになりますか?

小平市立 小平第十二小学校 校長 木田 明男 先生

保護者の中には、以前から地元に住んでいて十二小の卒業生という方もいれば、新たに宅地化された所に引っ越してきた方もいます。昔からの住民と新しい住民との関係がいいバランスを保っており、保護者同士の交流も円滑であるように感じます。そうした穏やかな環境の影響もあってか、十二小の児童には素直な子が多いです。

その他、十二小の魅力や独自の取り組みがあればお聞かせください。

小平市立 小平第十二小学校 校長 木田 明男 先生

「小平第十二小学校」のキャラクター「トニーくん」が子どもたちに親しまれています。「十二(とお・に)」なので「トニーくん」です。下駄箱から校内に貼ってあるポスターに至るまで、「トニーくん」のマークが入っているんですよ。

小平市立 小平第十二小学校 校長 木田 明男 先生

また、当校独自の「大臣制度」があります。教員一人一人が、それぞれの得意分野を活かした大臣として活動しています。たとえば、「あいさつ大臣」「長縄大臣」「ラジオ体操大臣」などで、教員自身が個性を発揮することで、子どもたちにもそういった姿勢を身に付けてもらいたいという想いがあります。ちなみに私は、「交通大臣」なんです。

児童が鉄道・バス・飛行機など交通関係のことでわからないことがあった時は、私に聞きに来ます。そのため、校長室の扉はいつも開けてあります。校長室の中には、このように電車の模型やバスの時刻表などを飾って、子どもたちも気軽に質問に来ることができる雰囲気づくりをしています。児童と教職員の距離が近いのも、当校の魅力と言えるかもしれません。

小平市立 小平第十二小学校 校長 木田 明男 先生

今回、話を聞いた人

小平市立小平第十二小学校

校長 木田 明男 先生

住所:東京都小平市小川町1-464
電話番号:042-342-1761
http://www.kodaira.ed.jp/12kodaira/

※記事内容は2014(平成26)年7月に取材したもので、今後変更となる可能性がございます。