豊かな自然とまちから学ぶ人づくり。 地域から学ぶことで得られるものとは。/横浜市立荏田小学校 澤田有子 先生


横浜市立荏田小学校 校長
澤田有子 先生

豊かな自然とまちから学ぶ人づくり。
地域から学ぶことで得られるものとは。

その生活利便性からは考えられないほど、のどかな田園風景が広がる都築区荏田南町。この地で40年の伝統を育み続ける「横浜市立荏田小学校」は、「稲作」を学習の軸のひとつとして扱っている、首都圏では珍しい取り組みを行っている公立学校である。今回は、脱穀も終わり晩秋の姿になった学校を訪ね、校長の澤田有子先生に、学校のこと、稲作のこと、地域のことについてお話をうかがった。

まず、学校の概要について教えてください。

もともと、ここは大山街道沿いに発展した地域でしたから、古くからお寺もありまして、そこで寺子として始まり、1873(明治6)年に「荏田学舎」となりました。それが本校の発祥です。その後、1880(明治13)年に「公立小学荏田学校」、1900(明治33)年に「尋常荏田小学校」となり、何度か名前を変えています。

横浜市立荏田小学校インタビュー

昭和に入り荏田小は国道246号線の向こう側にあった「山内小学校」の分校だったのですが、1973(昭和48)年に「荏田小学校」という学校になりました。今年がちょうど創立40周年になります。校舎も40年前のものになりますね。

分校は今の「かたらい宿公園」の場所にありましたが、人数がすごく増えていった当時は、国道を隔てて、3年生までが分校に、4年生からが向こうの山内小に行くようになっていたそうです。それがあまりにも遠いということで、新しい小学校をを作ろう、ということになったそうです。

先生は荏田小学校に今年から着任されたそうですが、学校の第一印象はいかがでしたか?

横浜市立荏田小学校 校長先生インタビュー

まず、「自然がいっぱいあるな」ということに驚きました。そして、子どもたちが自然の中で生き生き生活しているな、ということも感じましたね。キラキラした目の子どもたちがいる、素晴らしい学校だと思ったのが第一印象です。

荏田小学校は各学年2クラスと小さめの学校ですが、「小さいならではの利点」などはありますか?

横浜市立荏田小学校インタビュー

本校は2学級の学年ばかりですけれども、その2学級についても、多くても30名前半の学級なんですね。ですので、少人数での指導ができると思います。子ども一人ひとりに「目配り・気配り」が出来ているかと思います。

スペースがいっぱいあるので、子ども達はのびのびと生活しています。一番多い時には960名の児童がいたこともあります。今が320名ですので、ちょうど3倍ですね。一人のスペースも今は、すごく広いです。

では、学校の大きな特徴になっているという「米づくり」について教えてください。

横浜市立荏田小学校インタビュー

本校の一番の特色は、「米づくりは、人づくり」ということで、田んぼを作っていることでしょうか。創立3年目の年に、当時の校長と地域の方が「地域と学校でなにか一緒になって、子ども達を育てる活動ができないか」ということで始まったものでして、田んぼも発起人の方々が無償で提供してくださいました。

この田んぼ学習は「命をつなぐための食糧を、一からすべて、自分たちの手で生産する」という授業ですから、ものすごく子どもたちのためになっていると思います。米を作るということは、すべての事に通じるのだと思っています。

横浜市立荏田小学校 校長先生インタビュー

泥の田んぼに入る体験というのは、都会ではなかなか出来ないものですね。本校の児童は、みんなハイソックスで、泥の田んぼに入ります。靴で入ると抜けなくなってしまうので。そういった中で、泥に触れて、周りにいる虫、かえるやヤモリなどもにも、実際に触っていくわけです。ですから、都会のほかの小学校ではなかなか出来ない、本物の体験ができると思います。

田んぼは一から全部やっていますから、実は職員も大変なんです。最初は地域の方にもかなり協力していただいていたんですが、40年近くもたったので、皆さんもだんだんご高齢になられたので、今では教職員でほとんど進めています。実際、かなり負担もありますが、「子どもに還るもの」が多いですから、頑張ってやっているところです。保護者の皆さんにもお手伝いをして頂いています。

「田んぼのことを一からすべて」と言いますと、具体的にはどんな作業をされるのでしょうか?

横浜市立荏田小学校インタビュー

まず種もみからです。田とは別に畑も借りているので、畑で種を蒔いて、苗を育てるところからやっています。これは5年生が中心になってやっていますね。

それから、みんなで「苗取り」をしまして、田植えするんですが、実はその前の段階で、教職員であぜ切りをやり、代掻きをやり、田起こしもやって、全部やったところに、子どもたちと保護者が入って、田植えをします。

横浜市立荏田小学校 校長先生インタビュー

その後は、7月ぐらいに草取りをして、秋に稲刈りをするのですが、収穫の前にかかしを作ったりもします。稲刈りについては3年生から6年生までがやります。1年生と2年生は「応援する」ということで参加しています。刈った稲は、田んぼではざ掛けにしまして、乾いたところで、5年生を中心に脱穀をします。

脱穀したお米は保管し、11月の末ごろに「荏田っ子まつり」というイベントがありますので、そこで餅つきをします。子どもや保護者の皆さん、地域の方々などに提供しています。今作っているのはもち米です。

残った「わら」については、毎年しめ縄を作っています。今年はわらじを作ったり、わら飾りを作ったりということも考えています。1月になりますと、どんど焼きで残ったわらを焼いたりしています。

地域の方と関わって授業を行なっている例はありますか?

横浜市立荏田小学校インタビュー

もちろん米づくりもそうですが、社会科、生活科、総合学習それぞれで、地域の方々に「まちの先生」ということで教えに来ていただいています。3年生は、この近くは梨作りが盛んということで、梨園に1年間に何度か行って見学させていただいています。あとは、お寺に行ったり、江田の商店街の方々などに話を聞いたり、時には仕事のお手伝いをさせていただいたりしています。

あとは、もとの分校だった場所にケアプラザがありますので、そこで太鼓クラブが演奏をしたりもしますし、今後はわらぞうり作りについても、地域の方に教えていただく予定です。そういった地域の人々との関わりを通じて、荏田のまちを子どもたちの「心のふるさと」にしていければ良いな、と思っております。

学校の施設面、学習面の特徴について、それぞれ教えてください。

横浜市立荏田小学校インタビュー

エアコンが普通教室に全部入っておりますので、快適に過ごせるかと思います。あとは、人数の割に学校が広いので、のびのびと過ごせることでしょうか。

学習については3年生以上の算数学習は、1学年2クラスを3クラスに分けて、少人数の授業をしています。ですので、算数に関しては20人ぐらいで学んでいます。少人数教育には特に力を入れていますね。人数を減らして、個に応じた指導ができるように、ということですね。

横浜市立荏田小学校 校長先生インタビュー

あとは、「たて割り」の活動がすごく盛んです。6年生をリーダーとしたグループがありまして、ひとつのグループは10人ぐらいです。各学年2名から3名ずつになっているんですが、そのグループを中心とした遊びや、交歓給食、全校遠足、運動会でのたて割りの取り組みなどをやっています。「たて割り班」で活動する回数が多いんです。かかし作りもその一つですね。

特に全校遠足などに行くと、子どもたちは6年生が大好きになるんですよ。遠足の帰り道には、6年生が下級生をおんぶして帰ってくるという光景もありまして、これが伝統になっていたりもします。だから子ども同士もすごく仲が良いと思いますし、名字ではなく名前で呼び合うことが多くて、学校全体がアットホームな雰囲気があると思います。

横浜市立荏田小学校インタビュー

グループの名前もユニークで、今年は電化製品の名前で、「アイロングループ」とか、「せんぷうきグループ」とか、そういう名前でやっているんですよ。この活動は、本校では長く続いていますね。6年生になって、グループのリーダーになるのが「荏田小学校」では子ども達の憧れになっているんです。「あこがれの6年生」なんていう言葉も聞きますよ。

それから、本校は6年生の人数は少ない分、「全員がどこかで必ず前に出なければいけない」というチャンスがありまして、教員はバックアップしながら、子どもたちが役割を果たし、成長できるよう見守るようにしています。

学区内にはこういう雰囲気の方が多く住まわれている、といった印象はありますか?

横浜市立荏田小学校インタビュー

そうですね、代々この地域に住んでおられる方が多いですね。最近はそれに加えて、マンションも増えてきましたし、新荏田の住宅地の方もありますから、新しい方も増えつつあります。みなさん口を揃えておっしゃるのは、「住みやすい場所です」ということですね。

この周りにも、いろいろな新しい住宅地が沢山ありますけれど、荏田は古くからお住まいの方がいる分、ちょっと雰囲気が違う地域だと思いますよ。「地域のつながりが強い」とでも言うんでしょうか。

学校でも稲作をしていますと、作業の中で保護者と地域の方がかかわり合う部分もありますから、地域の方同士ですごく仲良くなれるんですよ。稲作を通して、日本人の気質だとか、いろんなものが生まれてきたのかなあ、と思います。それをこの学校に来て、実感しています。

澤田先生が考えられる「荏田地域の魅力」は、どんな点でしょうか。

横浜市立荏田小学校インタビュー

この地域は、子どもたちを見てくださる目がとても温かいんですね。それが一番だと思います。地域の方が「自分たちのまちの子ども」ということで、叱るべきところは叱ってくださり、すごく大事にもしてくださって、温かく見守っていただいています。子どもたちもきっと、「あったかいまちだな」と思ってくれていると思いますよ。

もちろん、時には厳しいご意見をいただくこともありますが、その時にも、「こうすればもっと良いと思いますよ」という事を必ず言ってくださいますし。この学校を建てる時についても、「自分たちのまちの学校を作ろう」ということで、先祖代々の田んぼを提供してくださったそうです。もちろん、稲作りに関しても地域の方が協力してくださっているからできていることでして、地域が温かい、たいへん素晴らしい地域だと思います。

そして、こうやって地域の方にも愛されていることで、子どもたちも、自分が愛されている、見てもらっている、大切にされている、という気持ちを持つことができていると思います。

最後に、学校のおすすめポイントを一言でお願いします。

横浜市立荏田小学校インタビュー

やっぱり「人づくり」ですよね。米づくりから学ぶ、たて割り活動から学ぶ、豊かな自然とまちから学ぶ。この3つで「人づくり」をしています。

横浜市立荏田小学校 校長先生インタビュー

今回、話を聞いた人

横浜市立荏田小学校
校長 澤田有子 先生

所在地:神奈川県横浜市都築区荏田南町694
電話番号:045-911-0149

※記事内容は2013(平成25)年10月時点の情報です。

豊かな自然とまちから学ぶ人づくり。 地域から学ぶことで得られるものとは。/横浜市立荏田小学校 澤田有子 先生
所在地:神奈川県横浜市都筑区荏田南町694 
電話番号:045-911-0149
http://www.edu.city.yokohama.lg.jp/schoo..

特別延長保育や宿泊保育が充実

緑豊かな環境の中で子どもたちが元気に過ごせる保育園/天王保育園 園長 澤田百合子さん


社会福祉法人 昭徳会 天王保育園
園長 澤田百合子さん

緑豊かな環境の中で
子どもたちが元気に過ごせる保育園

市の中央部に位置する「三好池」のほど近く、豊かな緑に囲まれた「天王保育園」。2009(平成21)年にみよし市初の民間保育園となり、延長保育や休日保育などの民間運営の利点を生かした取り組みで、働くお母さんの強い味方となっている。
「働くお母さんたちを応援したい」と話す澤田百合子園長に、「天王保育園」の特徴やみよし市の子育て環境についてお話を伺った。

「天王保育園」の概要について教えてください。

天王保育園

2009(平成21)年に、今まであった公立保育園の建て替えを機に、運営が民間に移管されました。「社会福祉法人 昭徳会」が運営を引き受けさせていただき、みよし市初の民間保育園としてスタートしました。 定員は、0歳が6名、1歳が12名、2歳が18名、3歳が40名、4、5歳が42名、計160名です。現在は、生後8か月から就学前までの146名の子どもたちが通っています。

園の保育方針について教えてください。

天王保育園 昇降口

「社会福祉法人 昭徳会」は、保育園が3つ、老人ホームや児童福祉施設を加えると全部で20あまりの施設がある法人です。「昭徳会」の基本理念は「幸福(しあわせ)」。その中で保育園としては、子どもはもちろんのこと、保護者や地域の方など、みんなが幸福になれるようにと考えています。

天王保育園 教室

保育の目標としては、「心身ともにたくましい元気な子」「やさしく、思いやりがあり、友だちと仲良く遊べる子」「豊かな感性を持ち、創意工夫する子」の3つを掲げさせていただいています。保育園は特に働いているお母さんたちの手助けをするところ。子どもたちが安全で楽しく、のびのびと育ってもらえるよう、お母さんたちを応援したいと思っています。

お母さんたちを応援するという意味でも、一時保育、緊急24時間保育(延長保育、宿泊保育)、休日保育、障がい児保育などのサポートは心強いですね。どれくらいの頻度で利用される方がいますか?

天王保育園 サンタ

2009(平成21)年度以前は、公立の保育園が延長保育などを行なっていましたが、それを引き継ぐ形で受けさせていただいています。 利用状況は、お母さんやお父さんの働き方も違いますので、年度によってかなり違いがあります。延長保育については、22時(夜10時)くらいまでお預かりしていた年もありますし、今年は平均19時くらいまで、時折20、21時までお預かりすることがあります。緊急24時間保育は、開園以来現在まで1度も利用はありません。

天王保育園 ボール

休日保育については、みよし市内の保育園に入っている方で就労条件等を満たしていればご利用頂けるため、他の保育園の方も利用されます。自動車関連企業でお仕事をされている保護者の方が多いようで、祝日にご利用になる方が多く、平均10名ほどです。休日の利用者数はそれほど多くはなく、1日あたり1、2人くらいですね。延長保育と同じように年度によって違いがあります。

三好町(現在みよし市)としては、初めての民間保育園だそうですが、公立保育園との違いはどんな部分でしょうか?

天王保育園 給食

公立の子どもたちを引き継いでいるという経緯があるので、あまり違いはありませんが、当園では自園調理で給食を提供させていただいています。その点は、公立との違いかと思います。

天王保育園 遊具

こちらの建物は、みよし市からの無償貸与という形でお借りしています。建物自体も、ゆとりをもって、木をふんだんに使って造っていただいています。他の保育園の先生にもうらやましがられるくらいです。初めて民間に変わったということで、みよし市にも応援していただいていて、市との関係も深いので、そういう意味でも公立とあまり違いはないかもしれません。

自園調理について、もう少し詳しくお聞かせください。

天王保育園 こんだて

給食センターの栄養士さんの献立に添って作らせていただいていますが、自由が効くため、例えば冷凍のものをなるべく使わず手作りにしたり、手作りおやつを多く取り入れたりしています。
色々なアレルギーを持った子どもがいますが、それにも細かく対応しています。アレルギーのあるものを単に除くのではなく、代替できる食品で対応するように工夫しています。

天王保育園 プランター

園庭のプランターで、ナスやピーマン、ミニトマト、ゴーヤ、オクラなどの夏野菜を育てていますが、収穫したものをみんなでちぎってピザを作りました。そういうことができるのも自園調理の良さだと思います。苦いゴーヤも、自分たちが調理のお手伝いをすると不思議と食べられるようになります。

世代間交流にも取り組んでいらっしゃるとのことですが、具体的にはどのような活動になりますか?

天王保育園インタビュー交流会の様子
提供:天王保育園

近くに法人系列の老人ホームがありますので、年6回くらい5歳児が出向いていって、交流をしています。おじいちゃんおばあちゃんにとっても良い影響があると思いますし、核家族の子どもたちが多いので、子どもたちにとっても良い機会になっています。老人ホームには寝たきりや車いすの方もいらっしゃり、最初は戸惑っている子もいるのですが、子どもたちはとても対応力があり、すぐに仲良くなることが出来ます。

隣接する「みよし市立天王小学校」とは交流がありますか?また、地域の方との交流があれば教えてください。

天王保育園 園庭

去年は小学校3年生の子たちと行き来をしながら、一緒に遊んだりしました。天王小学校にはボランティアサークルがあるので、その子たちが来てくれて遊んだりもしています。地域の人との交流としては、「三好公園」で行われる老人クラブ連合会主催の「歩け歩け大会」で、老人クラブの人たちと、少しの区間だけですが一緒に歩かせてもらっています。

最後に、園周辺の子育て環境の魅力について教えてください。

三好公園

保育園の前には天王神社や天王公園があって、少し行くと三好公園もあります。今だとドングリなども拾えますし、遊具がたくさんあるので、子どもたちが遊べる環境が多くあります。園の周りは桜などの緑に囲まれていて、とても良い環境です。春は桜吹雪が本当にきれいですよ。高台なので空気が澄んでいるので、夕焼けもとても美しいです。

天王保育園インタビュー

みよし市は比較的ゆとりのある市なので、子育ての環境も整っているかと思います。園の周辺はフレンドリーな方が多く、子どもや職員が歩いているとよく声をかけていただきます。そのような地域の方の見守りは大きいです。そのような環境は、子育てする方にとっても安心感に繋がっていると思います。

天王保育園 三輪車

今回、話を聞いた人

社会福祉法人 昭徳会 天王保育園

園長 澤田百合子さん

社会福祉法人 昭徳会 天王保育園
住所:みよし市三好町天王51-20
電話番号:0561-32-2346
URL:http://www.syoutokukai.or.jp/tenno/

※記事内容は2014年12月に実施した取材に基づいて作成しています。情報は今後変わる場合がございます。

緑豊かな環境の中で子どもたちが元気に過ごせる保育園/天王保育園 園長 澤田百合子さん
所在地:愛知県みよし市三好町天王51-20 
電話番号:0561-32-2346
保育時間:平日 7:30~19:00、土曜日 7:30~17:00、日曜日、祝日 8:00~18:00
※緊急24時間対応保育(延長保育 19:00~22:00、宿泊保育 22:00~翌7:30)
休園日:年末年始(12月29日~1月3日)
http://www.syoutokukai.or.jp/tenno/

子どもの持つ可能性は無限大!その子らしさを大切にする保育の秘訣とは/城山みどり幼稚園 副園長 石川明彦先生


城山みどり幼稚園 副園長 石川明彦先生

子どもの持つ可能性は無限大!
その子らしさを大切にする保育の秘訣とは

地域の方々のご要望で、昭和24年に創立された「城山みどり幼稚園」。約60年余の歴史ある私立幼稚園だ。教育方針として、「YYプロジェクト・ヨコミネ式子育て法」を取り入れ、子どもたちの著しい成長と共に、保護者の方々からの信頼も厚い。今回、「城山みどり幼稚園」の副園長先生に、園内での取り組みについてお話を伺った。

貴園は、昭和24年創立と約60年余の歴史ある幼稚園ですが、地域の方々のご要望で設立された「城山みどり幼稚園」には、地域の方々のどのような願いが込められているのでしょうか。

SPECIAL INTERVIEW:城山みどり幼稚園

約65年前に近隣に住まわれていた方と、現在お住いの方とでは、だいぶ異なりますので、当時の期待が現在どのように反映されているのかは、正直わかりません。 ただ、時代や手法が変わっても、「心づくり 人づくり」という理念の部分は変えていません。当園の子どもたちは、3年間で驚くほど、体操、読み、書き、計算、ピアニカの力をつけますが、こういった力をつけること自体を、当園は目的とはしておりません。その子らしく生きるために必要な「自ら学び、自ら考え、自ら行動できる力」を身につけるための手段であるということを説明会や行事などで、繰り返しお話しさせてもらっています。

貴園で取り入れている「YY プロジェクト・ヨコミネ式子育て法」とはどのような教育なのでしょうか。このような教育を用いて、実際に取り組まれている活動内容について教えてください。

SPECIAL INTERVIEW:城山みどり幼稚園

「読み・書き・計算・ピアニカ・かけっこ・体操」などを通して、「自ら学び、自ら考え、自ら行動する力」を育む教育法です。それぞれの活動を、毎日、10~20分ずつ行います。「読み・書き・計算」は基本的に自学自習で行います。それぞれの学習ができるようになることも大切ですが、学習に対する“自主性”を育てることが一番の目的です。「体操」ができる子を育てるのではなく、“体操で”子どもたちの心(挑戦心・あきらめない心・友達を応援する心)を育てたいという想いで、日々保育に取り組んでいます。

じゃがいも堀りや、神輿かつぎの他にも、城山幼稚園との合同運動会を行う等、行事も沢山開催されていますが、城山みどり幼稚園ならではの行事について教えてください。

SPECIAL INTERVIEW:城山みどり幼稚園

2010(平成22)年度からスタートしたクラス対抗のリレー大会「みどりカップ」を1学期と3学期に開催しています。子どもたちだけではなく、職員・保護者の心が一体となる素晴らしい行事です。

英会話教室や、体操教室といった課外教室にも取り組まれていますが、このような教室を始められたきっかけについて教えてください。またこのような活動について保護者の方々からはどのような声を頂いていますか。

SPECIAL INTERVIEW:城山みどり幼稚園

英会話、ピアノ、パズル、体操など。普段の保育の中では、なかなか担任だけでは教えにくいものを課外教室として行っています。また、私自身が幼少期に、親が働いており、なかなか習い事に通いにくい環境の中で育った経験から、園内で放課後も習い事ができる課外教室を積極的に導入するようにしました。2015(平成27)年度からは地域のフィットネスクラブと連携し、プール教室もオープンしました。安全に習い事に通わせられる上に、送迎の手間が省けますので、保護者の皆様には喜んでいただけていると思います。

先生方の一体感も貴園の魅力だと思います。朝礼の際、「活力朝礼」を取り入れていますが、実際どのような効果がありましたか。

SPECIAL INTERVIEW:城山みどり幼稚園

「挨拶」「笑顔」「ありがとう」が自然とあふれる職場になりました。その影響は子どもたちや保護者の皆様にも広がっているように感じています。また、職員朝礼を通して日々、方針を確認し合うことで、トップから新人職員までが同じ方向を向きながら保育ができています。毎週月曜日と金曜日は、子ども朝礼も行っています。子どもも職員も、とっても元気な幼稚園です。

地域の方々と連携した行事や取り組み等はあるのでしょうか。

SPECIAL INTERVIEW:城山みどり幼稚園

地域の高齢者施設に伺ったり、神社の豆まきに参加したりすることがあります。 当園は、保護者の皆様とのコミュニケーションを大切にしているため、通園バスを使用しておりません。従って、園児のほとんどは地域の子ども達です。他にも、月一回は、日頃お世話になっている地域の公園を清掃に行きますし、毎朝の職員朝礼終了後は職員が、地域清掃に廻ります。

入園前から未就園児のためにイベントを開催されていますが、このようなイベントを通して、入園後の子どもたちにどのような変化があるのでしょうか。また、子どもたちと接する際に大切にされている点についても教えてください。

SPECIAL INTERVIEW:城山みどり幼稚園

2010(平成22)年から「YYプロジェクト・ヨコミネ式子育て法」を採用し、子どもの持つ可能性に驚かされ続けてきました。日々接する中で、どうしたらその子の持つ才能が開花してくれるか、を考えながら保育をしています。 その中で、2歳から準備を進めた方が、脳科学的にも効果的と思われる分野があることを知りました。以来、2歳児イベントには、そういった要素をわずかですが、盛り込むように工夫してあります。これを毎月繰り返すことで、入園後の幼稚園への慣れも早くなりますし、入園前に保護者の方々に幼稚園を正しく理解していただくための、大切な機会にしています。

より深く2歳児教育を行って欲しいとの要望から、2013(平成25)年より、会員制の2歳児教室「ぞうさんクラブ」(週2回クラスor3回クラス)も開室しています。

最後に周辺エリアの子育て環境の魅力について教えてください。

SPECIAL INTERVIEW:城山みどり幼稚園

これは意外と知られていませんが、板橋区内には幼児教育者を育成する学校(養成校)が沢山あります。従って、この地域は地元出身の幼児教育者が多い地域と言えるのではないでしょうか。その地域が好きな教育者が多いというのは、子育てをする上で、非常に大きな魅力と言えるかと思います。実際に当園の職員の多くが地元出身者です。 しかし、いつかは「城山みどり幼稚園・城山幼稚園があるから、子育てするなら板橋!」と言ってもらえるようになりたいですね。頑張ります!

今回お話を聞いた人

子どもの持つ可能性は無限大!その子らしさを大切にする保育の秘訣とは/城山みどり幼稚園 副園長 石川明彦先生

学校法人石川キンダー学園 城山みどり幼稚園
副園長 石川明彦先生

※記事内容は2015(平成27)年6月時点の情報です。

子どもの持つ可能性は無限大!その子らしさを大切にする保育の秘訣とは/城山みどり幼稚園 副園長 石川明彦先生
所在地:東京都板橋区坂下2-22-10 
電話番号:03-3966-4646
保育時間:7:30~19:00
http://shiroyamagroup.jp/

八王子の夜を彩る“彫り”の山車 地域が作り上げる「八王子まつり」の魅力とは/八王子まつり実行委員会 広報宣伝部会長 青木訓行さん


八王子まつり実行委員会 広報宣伝部会長 青木訓行さん

八王子の夜を彩る“彫り”の山車
地域が作り上げる「八王子まつり」の魅力とは

毎年8月初旬に開催され、東京でも指折りの大規模な夏祭りとして知られている「八王子まつり」。52回目を数えた2012(平成24)年には、3日間でおよそ70万人もの人が訪れたという。今回はこの「八王子まつり」の運営にあたっている「八王子まつり実行委員会」(八王子市学園都市文化ふれあい財団内)をお尋ねし、広報宣伝部長の青木訓行さんに、祭りの魅力と見どころをうかがった。

「八王子まつり」は今年で53回目の開催を迎えるそうですが、お祭りの歴史的な背景について教えてください。

八王子まつり

そもそも「八王子まつり」は、1961(昭和36)年に「3万人の夕涼み」という形で始まった「市民祭」ですので、「宗教色を出さない」ということが原則になっておりますが、もとをたどれば、八王子では300年くらい前から、それぞれの町にお祭りがあったそうなんですね。氏子のお祭りということです。それらを一つにまとめて行なうことにした時に「八王子まつり」と呼ばれるようになったんです。ですからまだ53回目と、歴史が無いように思われる方もいらっしゃるかと思いますが、それは「八王子まつり」になってからの回数ですので、歴史的には何百年と繰り返されてきたものです。

「八王子まつり」の見どころについて教えてください。

八王子まつり

「八王子まつり」は「山車(だし)を中心にした祭り」というのがやはり大きな特徴かと思います。2003(平成15)年には、全国でも有数の伝統芸能と認められまして、「地域伝統芸能大賞」を頂いています。

山車は「ぶつけ」というのが一番の見せ所でして、これは山車と山車が向かい合って、お互いのお囃子を披露しあって、自分達のテンポに引き込んでいこうというものです。あとは「辻合わせ」といって、四隅から山車が集まってくる場面があって、それも迫力があります。

それから、八王子の山車というのは「彫り」の山車ですから、夜は立体的に照らされて、照明に映えてきれいなんですね。京都なんかの山車ですと、西陣織のきれいな布が張ってあったりするんですが、これは「昼間の山車」ですよね。「八王子まつり」がどちらかと言えば「夜の祭り」になっているのは、そのためかもしれません。灯火に照らされると、山車がすごく映えて美しいんですよ。写真を撮られる方なども、楽しめるかと思います。

山車は町会に参加している人でないと曳けないのでしょうか?

八王子まつり

「八王子まつり」のいちばん良いところは、「氏子の祭り」ということで始まったものですので、どなたでもその土地に生まれれば、土地の神様に支えられているという風習に基づいますから、「鎮守様にお礼を言う」という意味のお祭りでして、地元の方なら誰でも参加しやすいと思いますよ。

ですが、町会に所属している人でしか担げないということもなく、誰でも参加することができますよ。今はこの「八王子まつり」を契機として、新しく八王子に住まわれた子育て世代の方と古くからお住まいの方との間に、うまく交流の形ができてきています。

八王子の夜を彩る“彫り”の山車 地域が作り上げる「八王子まつり」の魅力とは

ですから新しく引越してきた方も歓迎ですし、どなたでも山車を曳けるとは思いますよ。一応町会にお断りは通していただきますし、小さなお子さんには親御さんが付いたりとか、お年寄りの方で身体が不自由な方は指示に従って曳いていただくだとか、いろんな注意点はありますけれども。その判断は町会によりますが、当日はどこの町会も「會所」という形でテントを張っていますから、そこで一言言っていただければと思います。場合によっては、半被を貸してくれる町会もあるかと思います。ただ、注意点としましては、暑いですから、水分補給などにはご注意いただければと思います。

もちろん見るだけという方も大歓迎ですので、遠方の方もぜひいらしてください。

山車もお祭りも、皆さんの力が合わさって実現できるものなんですね。

八王子まつり

そもそも山車というものは一人で曳けるものでないですから、そこには若い人の手も借りないといけないし、八王子から出ていってしまっているご子息の方なども、お祭りの時には山車を曳きに戻ってきたりしていますよ。

それから、山車を曳くには統率も必要でして、全員が町内頭などの指揮に従って山車を曳きますから、非常に地域のまとまりが良くなりますよね。昔の人はよく考えたもので、お祭りをコミュニケーションツールに使っていたんですね。地域のみんながお祭りに向かって気持ちを一つにして、お囃子を習ったり、山車の飾り付けの準備をしたり、点検をしたりする。そのへんの協力する姿は、本当に素晴らしいものだと思います。

一時的に八王子に住んで、学校などに通われている学生の方々なども、せっかく縁があって八王子にいらっしゃっているわけですから、「八王子まつり」も良い思い出にしていただき、将来、また来るきっかけにしてもらったらありがたいと思います。

山車、神輿以外にも見どころがありましたら教えてください。

八王子の夜を彩る“彫り”の山車 地域が作り上げる「八王子まつり」の魅力とは

「民踊流し」などはユニークだと思いますね。これは踊りの同好会の方が、民踊を踊りながら甲州街道を練り歩くというものです。それから「関東太鼓合戦」や獅子舞なんてのもあります。獅子舞って言うと、多分お正月の金歯の獅子舞を思い出すでしょうけど、「八王子まつり」では由緒正しき、龍の形をした獅子が舞います。

あと、子ども達にとっては夜店でしょうね。甲州街道の国道にお店が出るっていうのは、ほかの街だと事例がないみたいなんですね。「八王子まつり」は歴史があるから、国道にも夜店が出るんです。子どもたちにとって、夜店の思い出ってすごく印象深いじゃないですか。そういった点でも、子どもからお年寄りまで楽しんでもらえるんじゃないかと思います。

青木さん、ありがとうございました。今年の「八王子まつり」についての最新情報は、公式ホームページをご覧ください。

八王子まつり

今回、話を聞いた人

八王子まつり実行委員会
広報宣伝部会長 青木訓行さん

URL:http://www.hachiojimatsuri.jp/

※記事内容は2013(平成25)年7月時点の情報です。

八王子の夜を彩る“彫り”の山車 地域が作り上げる「八王子まつり」の魅力とは/八王子まつり実行委員会 広報宣伝部会長 青木訓行さん
電話番号:042-686-0611(八王子まつり実行委員会)
https://www.hachiojimatsuri.jp/

時代に寄り添う商店街を作る 八王子を見守り続けてきた「荒井呉服店」/荒井呉服店 常務取締役 橋本孝さん


荒井呉服店 常務取締役
橋本孝さん

時代に寄り添う商店街を作る
八王子を見守り続けてきた「荒井呉服店」

八王子市・甲州街道沿いにある老舗の呉服屋「荒井呉服店」は、街道沿いに連なる老舗の中でもひときわ歴史の深い店のひとつ。八王子界隈に住む多くの人々がここで人生の節目に呉服を買い求め、晴れの日に彩りを添えてきた。また、いっぽうでは「ユーミン」こと松任谷由実さんのご実家としても有名な店である。

今回はここ「荒井呉服店」の常務を務めながら、店の入り口で日々お客さんに接し続けている、橋本孝さんにお話をうかがった。

「荒井呉服店」さんは商店街の中でもひときわ歴史の長いお店とお聞きしましたが、商店街の歴史、お店の歴史について教えてください。

荒井呉服店インタビュー

私がこのお店に入ったのはもう60年近くも前のことですが、その頃は駅前に今のような街並みはなくて、街道筋のこの辺りが、街の中心になっていたんですよ。歴史的には大久保長安さん江戸時代に街を開いたということで、400年ほどの歴史があるそうなんですね。

八王子宿の中には横山宿、八日市宿、八幡宿というものがあったそうでして、そのうち横山宿と八日市宿が商店街に成長して、当時から「八王子に来れば何でも揃う」ということで、近在の方々でにぎわっていたということです。荒井呉服店が創業したのは1914(大正3)年ですので、すでに100年以上もこの場所で呉服店を続けております。

荒井呉服店インタビュー

1931(昭和20)年の八王子空襲で、商店街もほとんどが焼けてしまいましたが、戦後はいち早く復興しまして、私もこのすぐそばに住んでいましたが、いちばん最初に「八日町商店街」が復活しましたね。その中でも「荒井呉服店」は最初に営業を再開したそうです。それから、1950(昭和25)~1951(昭和26)年ぐらいからでしょうか、大規模な区画整理が始まりまして。店の前の歩道が5メートルの立派な歩道になったんですよ。工事は1953(昭和28)年に完成して、いまの商店街の原型になっています。

橋本常務は「八日町商店街」の代表理事をされており、市内の数々の商店街のとりまとめもなさっているそうですが、最近の商店街の動向についてお教えください。

荒井呉服店インタビュー

八王子には合計で15の商店街がありますが、やはり、ここ数年はだんだんと元気がなくなってきてしまっているんです。「後継者がいないためにやむなく」と言われる方も多いのですが、私はそれはちょっと違うと思うんですね。商店街に魅力がなくなってきてしまったから、「親のやっている店を継ぎたくない」っていう子どもさんが増えてきたのだと思います。

そこで私どもはこういうのを何とかしなきゃと思いまして、2012(平成24)年の7月に一般社団法人「まちづくり八王子」というものを立ち上げました。これは市内の14の商店街のうち9つの商店街が集まりまして、一緒に商店街を盛り上げていこうというものです。今後は残りの5つの商店街にも参加してもらえればと思っています。

荒井呉服店インタビュー

「まちづくり八王子」では、まず「空き店舗対策」というものをやっています。この中では八王子市の産業政策部の方の協力も得まして、空き店舗への出店店舗に対して、内装工事の補助金を出してもらえることになるなど、成果を上げ始めています。今年の4月には、早速その成果で生まれた1店舗目が開店しました。大正琴の教室ということでしたね。

そもそも商店街というものは、「人が集まる場所」があればいいわけで、必ずしも物販でなければいけない、というわけじゃないんですよ。店舗を空けておくことがもったいないわけですから、とにかく店を開いて、人を集めてもらうことが良いことなんです。「まちづくり八王子」では2013(平成25)年から専従のスタッフを入れましたので、これからより一層活動していきますし、街づくりにもいろんな形で関わっていきたいと思います。

「まちづくり八王子」の活動で、将来的に街はどのように変わっていくのでしょう?

荒井呉服店インタビュー

これからは専従スタッフが活動しますので、個人のお店もいろんなアドバイスをいただきながら、時代に見合ったお店に変わっていけると思います。商店街というのは店の数を減らさないようにしなきゃいけないんですが、立場が近いと、たとえ私が代表理事であっても、人の店の経営には口出ししにくいんですよ。

それが「まちづくり八王子」の立場からであれば、たとえば「ここは改装したほうがいいんじゃないか」とか、「こういう風にすれば負担が少なくなる」などと、的確なアドバイスができるんですね。古い商店街にはそういった外部からの刺激が必要だと思っていまして、八王子はいま、これをやり始めているところです。

商店街に幾つものマンションが建つような時代になりましたが、商店街としてはどのように関わっていきたいと思われますか?

荒井呉服店インタビュー

そうですね、私個人としては、マンションを作ることに反対はしていないんですよ。人がいなければ物は売れませんから、新しいマンションの住人の方も大切なお客様です。まず、この八日町を選んで住んでくださるってことが、何よりも嬉しいですよね。

今後の商店街としては、「女性の方が沢山来てくれる街」を意識していきたいと思っています。商店街は昼間だけじゃないんです。夜も商店街なんです。だから夜、シャッターが閉まっていても、「明日ここの店に来たいな」と思えるようでなければいけないんです。
「八日町商店街」では、すでに防犯灯を設置しましたし、これから防犯カメラも付けようと思っています。女性が安心して通れる街、夜が安全な街にしていきたいですね。

「八日町商店街」のアピール、おすすめの店舗などがあればお教えください。

荒井呉服店インタビュー

八王子の商店街では、買わなくてもいいので、ぜひ気軽に店の中に入ってみてほしいですね。回ってもらえば1日かかってしまうくらいいろんな店がありますし、いろんな出会いがあると思います。歴史が古い店もたくさんありますし、個性的な店もたくさんあります。

食べ物だと、「伊勢屋」さんのお団子、「富士屋」さんのお惣菜なんかはおすすめですね。文具の「ヒノデン」さんもありますし、「イワイ」さんなんかは特殊な額縁屋さんで、オーダーメイドにも対応してくれますしね。そういうのは商店街にしか無いですよ。婦人服の「乙女屋」さんや、帽子屋さん、お茶屋さんなんかでも、百貨店でも扱ってない品を扱っていますし。この八日町ってところには、とにかくいろんな業種があるんです。百年以上の老舗もけっこうありまして、中でもいちばん古いのは「イゲタヤ」さんですかね。創業して200年以上になるかと思います。

荒井呉服店インタビュー

昔はお茶屋なんて世間話をするところでしたし、呉服屋なんてのはいろんな情報が集まってくるから、何でも聞きに来るお店だったらしいですね。「だれかいい嫁さんを紹介してほしい」とか。そういう商店街ならではの「身近さ」「親しみやすさ」も復活させたいですね。入ってくるときには笑顔でお迎えして、お店を出るときにも、買い物をしてもしなくても、笑顔でお送りする。それが次の来店につながりますし、商店街の将来にもつながると思っています。

「荒井呉服店」さんならではの特徴はどんなところでしょうか。どんな人に来てほしいですか?

荒井呉服店インタビュー

うちの場合は「ほかに無いものを置いてある」というのが特徴ですかね。「呉服関係で無いものはありません」というのがキャッチフレーズです。他の呉服屋さんに無いようなものも、うちに来てくれればきっとありますよ。値段も柄も幅広く揃えているので、初めての方でも気軽にいらしてください。

荒井呉服店インタビュー

もちろん接客も大切にしています。今はコンビニもスーパーもお客さんが選んで買う時代ですが、呉服の場合は今でもマンツーマンで接客して、選んで頂くわけですからね。「人」が良くなければ商売にはなりません。あとは、「お客さんに教わる」という姿勢も大事だと思います。お客さんには着物をよく知っている方がたくさんいらっしゃるわけですよ。着物を気軽に着ることができる環境があるのはやはり日本なので、どんどん着てみてほしいですね。

自治会との連携、地域のお祭りとのかかわりなどはありますか?

荒井呉服店インタビュー

地域との連携という意味では、やっぱり「八王子まつり」は大きいですね。関東の3大まつりのひとつですから。八日町にも「山車」(だし)があるんですよ。2001(平成13)年に5千万円を使って再建しましてね。

新しく来られた方にも、お祭りに是非参加してほしいですね。祭りに参加して山車を引くには「花」、つまりお金が必要なんですが、そんなに沢山じゃなくてもいいんです。だから、今より少しでも参加する人が増えてくれれば嬉しいですね。山車を引く人が増えたら、引く縄を伸ばせばいいんだけなんですから。あと、祭りに参加するには浴衣を着るんですが、八日町の浴衣はうちで仕立てたものだからいいものだと思いますよ。原価のままで売ってるから儲けはないんだけどね。

マンションにどんな人が住んでいるか分かることも、商店街の発展には必要なことなんだよね。だからマンションの方にはどんどん商店街を利用してもらって、仲良くなって、一緒に楽しみながら発展していきたいものですね。

最後に、八王子の魅力について教えてください

荒井呉服店インタビュー

私は60年近くこの町で仕事をしているけど、「楽しい町」だなって思いますよ。近くに高尾山もあるし、川も流れているし。電車の便がいいのはもちろん、公共交通がしっかりしている点もいいですね。若い方はもちろん、歳をとってもずっと、安心して暮らせる町だと思います。

荒井呉服店インタビュー

今回、話を聞いた人

荒井呉服店 常務取締役 橋本 孝さん

所在地:東京都八王子市八日町9-8
電話番号:042-625-5291
URL:http://www.araigohukuten.co.jp/

※記事内容は2013(平成25)年4月時点の情報です。

時代に寄り添う商店街を作る 八王子を見守り続けてきた「荒井呉服店」/荒井呉服店 常務取締役 橋本孝さん
所在地:東京都八王子市八日町9-8 
電話番号:042-625-5291
営業時間:10:00~18:00
定休日:水曜日、 第1木曜日
https://www.araigohukuten.co.jp/

創立140年を超える地域密着型の伝統校/八王子市立第一小学校 校長 金井尚志先生


八王子市立第一小学校
校長 金井尚志先生

創立140年を超える地域密着型の伝統校。
数々の取り組みのもと、地域で子どもたちを育む。

甲州街道・横山町交差点の北側に位置し、甲州街道と浅川に挟まれた市街地の多くを学区に含む「八王子市立第一小学校」は、2012(平成24)年に140周年の節目を迎えた、八王子市内でもっとも古い小学校のひとつ。地域との関わりが特に深い学校としても知られ、近年は商工会議所と連携したさまざまな取り組が注目を集めている。今回は校長の金井尚志先生を訪ね、お話をうかがった。

まず、学校の概要についてお聞かせください。

八王子市立八王子第一小学校

本校は2013(平成25)年で141周年になる学校でして、八王子市内で最も古い小学校のひとつです。学制が敷かれた後、すぐ開校したということですね。それ以前からも、学校前にある「八幡八雲神社」の寺子屋として「横山学舎」というものがありまして、そこに始まっています。

 

 

2014(平成26)年1月現在で410名の児童が在籍しておりまして、児童数はここ数年、大きく変わっていません。学区は北が浅川、南が甲州街道、西が国道16号、東が駅前通りに囲まれた範囲となります。 児童の中には、親御さんも含めて3世代、4世代にわたって通われているという方も沢山いらっしゃいますので、「地域に根づいた学校」という点が特徴かと思います。

教育目標と、目標に向けた実践例についてお聞かせください。

八王子市立八王子第一小学校

教育目標としては「健康な子」「進んで学ぶ子」「心豊かな子」ということを掲げていまして、それに加えて、「地域で育ち、地域で生きる子の育成」という点も重視しています。

八王子市立第一小学校

「健康」については、朝に体育集会という形で行ったり、縄跳びや持久走についても、積極的に取り組んでおります。運動会ももちろん大きな行事ですが、2月にも、「持久走記録会」というものがありまして、浅川の土手で記録会をしています。

八王子市立第一小学校

ほかには、「さわやかカレンダー」というものがありまして、これは、毎日の手洗い、歯磨き、朝ごはんなどの生活習慣を、期間を決めてチェックしてみようという取り組みでして、子どもたちはもちろん、保護者の方にもご協力をいただいているという状況です。

八王子市立八王子第一小学校

「心豊かな子」という点については、ひとつは、毎週の校長講話の中で、子どもたちの心の成長をうながすような講話を意識してしておりますし、ユニークなものとしては、各教室に「あったかことばの木」というものを作っています。

これは各教室の掲示板等に模造紙を貼って作っているものですが、子どもたちが「あの子が言った言葉が心に響いたな」と思ったら、その言葉を自分で書いて、「木」に貼っていくんですね。

「地域で育つ子」という点では、どのような取り組みがあるのでしょうか。

八王子市立八王子第一小学校

「地域との関わり」というのは、本校の大きな特徴のひとつになっているものですが、「地域と一緒に何かをする」というよりも、「子どもたちが地域に出て行く」ということでやっておりまして、そこに地域の方が関わって下さるという形が多いです。

八王子市立第一小学校

面白いものですと、最近、新聞にも紹介していただいた「キッズショップ」という事業がありまして、これは地域の商工会議所との連携の中で行っているものです。6年生の活動になりますが、子どもたちがどんな「お店」を出したいかを話し合って、それについて、自分たちで事業計画を考えて、商工会議所から実際にお金、現金を借りてくるんですね。

八王子市立第一小学校

これを元手に、地域のお店から商品を仕入れて、販売して、利子と一緒に返却して、利益が出ればその使い道について、子どもたちでまた話し合うというものでして、まさに「商売」そのものを体験するわけです。これは商業がさかんな八王子らしい、ユニークな取り組みかと思います。

八王子市立第一小学校

この「キッズショップ」は2005(平成17)年度からスタートしたもので、本校から商工会議所に話を持ち込んで始まったものなんですが、商工会議所の方にも本校の卒業生が多いものですから、スムーズに話が進んだそうです。

 

 

本当のお金を借りて、利子を付けて返すという体験ができる学校というのは、ほかにはまずないと思います。毎年すぐに完売してしまうお店がほとんどですから、後半に保護者の方が買える時間というのも設けているんですが、「売り切れてしまって買えなかった」という声も沢山聞きます。たまたま通りがかった通行人の方が、お金を払って買ってくださるんです。

街中にある花壇についても、「八王子市立第一小学校」の子どもたちが管理しているそうですね。

八王子市立八王子第一小学校

駅前通りから甲州街道までの間に「シンボルロード」という道がありまして、そこの花壇を、本校の5年生が花を植え、管理をしています。水やりについても、子どもたちが花壇の近くのお店に水をもらいに行って、水をやっています。夏休みなどにはお店の方が代わりにやってくださったりもしていますね。これも、商工会議所の中にある「ファッション都市協議会」との関わりでやっているものです。

八王子市立八王子第一小学校

また、シンボルロードと甲州街道が交わったところに銅像があるんですが、その下の花壇については、4年生が同様に管理をしていまして、こちらは、国道事務所との関わりで行っているものになります。3年生については、学校の前に花の鉢植えを飾りまして、近隣の方に喜んでいただいています。

歴史ある学校ならではの「伝統」があれば教えてください。

八王子市立八王子第一小学校

ひとつとしては、『あかごま』という毎年出している文集がありますね。こちらは2014(平成26)年で63号になる文集なのですが、全員の作文が載りますので、6年間で6回掲載されることになります。毎年、子どもたち全員に配っているものですね。

校長室には第3号からあるんですが、3年に1回、学校行事の「展覧会」の時には歴代の『あかごま』を並べて、手にとってもらえるように展示しますので、子どもと一緒に来た保護者の方が、「これ、お父さんが書いたんだよ」なんて指したりするんですね。これは何とも印象的な光景でした。

八王子市立八王子第一小学校

あとは、「一小音頭」というものがありまして、これは運動会などで、全校の児童はもちろん、保護者も交えて踊るものとなっています。来てくださった保護者の方も、地域の方も、みなさん踊れるんです。それだけ地域に密着している学校なのだと思います。

職員全員で共有しているポリシー、校長先生が目指している将来の学校像について教えてください。

八王子市立八王子第一小学校

学校の経営方針としましては、私がこの学校にいる間は「安心、安全な学校づくり」ということをテーマにしたいと思っています。これはハードな面だけではなくて、ソフトの面でも、という意味でして、子どもたち、教職員、保護者、地域、みんなが「安心・安全な学校だね」と思えるような“学校づくり”をしてほしいと、職員には絶えず言うようにしています。

また、「子どもたちにきちんと学力を身につけさせる」ということが、学校の大きな役割ですから、「そのためには何をすれば良いのか」ということを、教員がそれぞれ考えながらやってほしい、ということも言っています。

最後に、この地域の魅力についてお聞かせください。

陵南公園

本校の学区内というのは、旧くからお住まいの方々と、新しく来られた方々が混在をしている地域でして、昔から地域と学校との関わりが非常に強いですから、「安心して預けられる学校がある」という点は、ひとつ大きな魅力かなと思います。

環境の面では、都心から近い割には自然環境に恵まれていますし、公園も多くありますし、交通の便も良いですし、子育てにはとても向いている場所かと思います。あと、時間の流れがとてもゆったりとしていますよね。都心とは全然違う時間の流れがあります。それが一番の魅力なのかもしれません。

八王子市立八王子第一小学校

今回、話を聞いた人

八王子市立八王子第一小学校
校長 金井尚志 先生

住所:東京都八王子市元横山町2-14-3
電話番号:042-642-0851
URL:http://hachioji-school.ed.jp/dai1e/

※記事内容は2014(平成26)年2月時点の情報です。

創立140年を超える地域密着型の伝統校/八王子市立第一小学校 校長 金井尚志先生
所在地:東京都八王子市元横山町2-14-3 
電話番号:042-642-0851
http://hachioji-school.ed.jp/dai1e/

本格手作りパンを地元のみなさんに/Boule Beurre Boulangerie(ブール・ブール・ブーランジェリー)店長 草野武さん


Boule Beurre Boulangerie(ブール・ブール・ブーランジェリー)店長 草野武さん

本格手作りパンを地元のみなさんに
「八王子でいちばん小さなパン屋さん」

八王子「みずき通り商店街」の一角で、小さな店頭にガッシリと実の詰まったヨーロピアン・スタイルのパンを並べている「ブール・ブール・ブーランジェリー」は、自称「八王子でいちばん小さなパン屋さん」。歩道からガラス越しに見える厨房には、いつも店長の草野武さんが立ち、生地の仕込みから焼き上げまでを見守っている。今回は口コミで評判を広げているこちらのベーカリーにお邪魔し、草野さんにお話を伺った。

草野さんがこのお店を作られた経緯、お店にかける思いをお教えください。

ぶーる・ぶーる・ぶらんじぇり

このお店はオープンして8年目になります。私は八王子の横山町の出身で、もともと会社員をやっていたんですけど、海外に行った時にすごく美味しいパンに出会って、パンが大好きになったんです。そんな頃に、偶然あるパン職人と知り合うことができたので、会社を辞めてパンの学校に行き、職人を目指し始めました。 パン職人を目指してからは、「いつか地元にパン屋さんを作ろう」と思っていまして、茨城や都内、多摩地区など、いろいろなパン屋さんで修行をしましたし、フランスにも少し行きました。今でもそれらの修行先で学んだものを生かしながら、丁寧に手作りしています。

ぶーる・ぶーる・ぶらんじぇり

品揃えについては、もともと「自分が食べて美味しいと思ったパンを、地元のみなさんにも味わっていただきたい」と思って始めた店ですので、店の売りになっているのは外国で食べて感動したような“ハード系”のパンで、フランスやドイツのパンが多いです。その中でも、リュスティックとかフリュイとか、比較的食べやすいパンが人気がありますね。 場所について、みずき通りに店を持ったというのは、たまたま物件が空いていたというのもありますけど、この場所が、自分自身が小学校の頃に通っていたプラモデル屋さんだったということが大きいですね。小学校のころによくしてくれたおじさんがいたんです

パンの製法や素材について、こだわりをお教えください。

ぶーる・ぶーる・ぶらんじぇり

特に素材についてのこだわりというものはなくて、小麦自体はそんなに特殊なものではないです。素材よりも製法ですね。特に、生地をいかに熟成させるかということを大事にしています。 酵母としては、イーストも使いますが、ルヴァン・リキッドという小麦の種も使っていますし、天然酵母も2種類使い分けています。ほかにも、パートフェルメンテ法という、発酵生地を中種(なかだね)にして作るものなど、手法としては5種類から6種類ありますね。レモン、いちじく、イチゴなど、季節の素材を使った天然酵母も自家製しています。店が狭い分、パンの種類はどんどん替えていきまして、1週間のうちになるべく多くの種類を提供できるようにしています。

ぶーる・ぶーる・ぶらんじぇり

私は生地作りに関して、「発酵」ではなく「熟成」がより大事だと思っていますので、そこは変わっているのかもしれません。すごく低い温度までもっていって、発酵をさせずに、熟成だけを進めるという方法を取っています。これは多分、ほかのパン屋さんではあまりやっていないと思います。

このような本格派パン屋さんについて、地元の方の反応はいかがでしょう?

ぶーる・ぶーる・ぶらんじぇり

「高い」と思っている方がいるかもしれませんが、小さいお店なので無理して安くはできませんし、適切な材料を使って、適切な価格で出しているとは自負しています。 実際にいらっしゃるお客さんとしては、30代から40代の方がいちばん多くて、それに次いでご年配の方のご利用が多いですね。自分としても、そういった方に好意的に受け入れていただいていることは、やろうとしていたことに近いので、嬉しいですね。

“小さなお店”ということですが、今後はもっと大きくされるのでしょうか

ぶーる・ぶーる・ぶらんじぇり

そうですね、店は将来的にちょっと大きくしたいと思っています。この店、この場所自体は好きなのでそのままにして、何らかの改造はするか、製造の形態を少し変えようかとは思っています。この大きさだとかなり限界までやっているので、それを何とか改善できたらいいですね。

「八王子の魅力」はどんなところでしょうか。

ぶーる・ぶーる・ぶらんじぇり

商店街がいいですね。食べ物屋さんにしても、魚屋さんにしても、専門店色が強くて、実際話し込んでみるとすごく専門的な話が聞けて、自分も色々と勉強させていただいています。食材を買いに行ったりしても、スーパーでは売っていないようなすごく美味しいものを扱っていたりするんです。利用価値の高い、「深い」お店が一杯ありますね。

商店街で個人的にお薦めのお店など、お聞かせいただけないでしょうか?

ぶーる・ぶーる・ぶらんじぇり

特に食べ物屋さんに関して、美味しいお店が多いと思いますので、そのあたりでお答えします。京王八王子のビストロ「ソワ」さんは、有名な「メゾン・ポール・ボキューズ」で料理長をやっていたシェフのお店なんです。いいお店ですよ。あとは、「グレコ」さんもお薦めです。オーガニックワインとお肉が美味しいお店です。ほかにも食べ歩くと本当にいいお店が一杯ありますので、そんなところでも、いい街だと思います。

ぶーる・ぶーる・ぶらんじぇり

今回、話を聞いた人

Boule Beurre Boulangerie
(ブール・ブール・ブーランジェリー)店長 草野武さん

所在地:東京都八王子市八日町10-19
電話番号:042-626-8806
営業時間:火曜日、月曜日
URL:http://ameblo.jp/boule-beurre/

※記事内容は2013(平成25)年5月時点の情報です。

※「Boule Beurre Boulangerie」は、2014年10月に「八王子市横山町16-5」に移転しました。

本格手作りパンを地元のみなさんに/Boule Beurre Boulangerie(ブール・ブール・ブーランジェリー)店長 草野武さん
所在地:東京都八王子市八日町10-19 
電話番号:042-626-8806
営業時間:11:00~19:00(売り切れ次第終了)
定休日:火曜日、水曜日、隔週月曜日
http://ameblo.jp/boule-beurre/

所沢地域に根づくフラワーショップ

街の“カッコいい花屋さん”を目指して/Hallo Gallo(ハローガロー)オーナー 成瀬拓也 さん


Hallo Gallo(ハローガロー)
オーナー 成瀬 拓也 さん

街の“カッコいい花屋さん”を目指して
地元・所沢で新たな挑戦

「Hallo Gallo」インタビュー

「所沢」駅西口に出てプロぺ通りを過ぎ、「ダイエー 所沢店」前の道に少し入ったところに、2014(平成26)年10月にフラワーショップ「Hallo Gallo」がオープンした。よくある街の花屋とは一線を画す、スタイリッシュなフラワーショップだ。店内には洋楽が流れ、他ではあまり見かけないような珍しい草花を、オーナーである成瀬拓也さんがこだわりをもって仕入れている。今回は、自身も所沢で育ち、所沢をこよなく愛する成瀬さんに、お店や、街との関わりについて詳しくお話を伺った。

まず、成瀬さんが「Hallo Gallo」を開いた経緯を教えてください。

Hallo Gallo 成瀬さんインタビュー

元々は写真や映像関係の仕事をやっていました。ある日、神社の特別な行事の時に、境内の中と外に置いてあった大きい花のオブジェを見て、生け花に強く魅力を感じたのが、花の世界に入ろうと思ったきっかけです。それで、東村山にある花屋で3年程働いて経験を積んだ後、丁度ここに良い物件を見つけたので独立して自分の店を開くことを決めました。

ご自身のお店を開くにあたり、なぜこの場所を選ばれたのでしょうか?

Hallo Gallo 成瀬さんインタビュー

所沢の高校に通っていたので、この辺りのことはよく知っています。以前の仕事は都内に行っていたので、“戻ってきた”という感じですね。ここの場所は目の前にダイエーがあるので人通りもあるし、立地がいいなと思い選びました。
最近の所沢は新しいマンションが建って、人も増えてきていますよね。僕の同級生でも一度都内に出て、結婚をしたり、子どもができてから所沢に戻ってきているという人も結構いますよ。

どのようなフラワーショップにしたい、とお考えですか。
成瀬さんが大切にされていることや、この店ならではのこだわりを教えてください。

Hallo Gallo

店名の「Hallo Gallo」は、僕の好きな洋楽の曲名から付けました。「NEU!(ノイ!)」という70年代に西ドイツで活躍した先進的・独創的なバンドの有名な曲で、「Hallo Gallo」という曲があるんです。その曲が好きだったのと、語呂も良いですしね。

Hallo Gallo

“カッコいい花屋さん”をやりたいと思っています。可愛い花屋さんはよくあると思うんですけど、そういう店とは違う“カッコいい”アレンジメントとか花束とかを作りたいんです。
なので、仕入れるものにもこだわっています。切り花とか鉢花で、例えば、「カフェラテ」という名前の茶色いバラや、観葉植物だと「アンスリュームアロー」や「カラテアクロカーター」など。珍しいものを探しに都内の市場に行ったりもしています。

お客様はどのような方が多くいらっしゃるのでしょうか。

Hallo Gallo

主婦の方が、お誕生日や記念日のギフトで購入されていくことが特に多いですね。また、この辺りは個人でやっている飲食店や美容院などが多く、最近ではそういったお店から、「お花を生けて欲しい」などの依頼を少しずつ頂くようになってきました。

成瀬さんにとって、花の魅力とはどのような点でしょうか。
また、この仕事のやりがいはどのような時に感じますか?

Hallo Gallo 成瀬さんインタビュー

花の魅力とは、「枯れること」でしょうか。これは少し表現が難しいのですが、僕は花はいつか枯れてしまう、だからこそ咲いているときの美しさがあるんだと思います。特に切り花などは一瞬というか、期間はとても短いんですが、限りがあるからこそ“今この瞬間が一番!”と感じられます。

Hallo Gallo

やりがいはなんといってもお客さんに喜んでもらえるところですね。例えば、花束の注文を頂いてお渡ししたときに、すごくきれいだと言ってもられる、それに尽きますね。

「Hallo Gallo」ではどのような花をメインに扱っているのでしょうか。

Hallo Gallo 成瀬さんインタビュー

切り花や鉢花はもちろんのこと、僕はドライフラワーが好きなのでたくさん扱っています。生花には無い魅力があると思うんです。「オクラ」や「リュウカデンドロン」など輸入のドライフラワーもありますし、そういったものを使ってオリジナルのリースを作ったりもしています。

Hallo Gallo

切り花は30種類くらいで、例えば春だったらチューリップやスイートピーを入れてみたり、季節の花を入れるようにしています。鉢物は小さいものも入れたら30種類くらいあります。おすすめはカラーポットです。小さい観葉植物を小さなポットに入れています。鉢物って大きいから置き場所は限られてきますけど、これはちょっとしたところに置けて、色も可愛らしい感じです。

バレンタインや、ひなまつりなど、イベントや、子どもの入学・卒業など季節ごとにアレンジもしていて素敵ですね。お客様の反応はいかがですか。

Hallo Gallo

季節感を大切にしたいので、ひな祭りなら、ひな祭り用の器を仕入れてそこに花を挿したりしています。日常使っているカゴとはまた違うものを入れて作っているので、新鮮で、評判も良いですね。カッコいい花屋を目指していると言いましたが、かわいいものも作れるんですよ。笑

フラワーアレンジメント教室なども開催されているそうですね。

Hallo Gallo 成瀬さんインタビュー

近所のとある企業の方が企画をしてくださって、3か月に一度、季節ごとにやっています。そこの職員の方もすごくサポートしてくれて、小さなお子さんを職員の方が面倒を見てくださるので、普段は子育てで忙しい方なども多く参加しています。
一般の方は普段はあまりフラワーアレンジメントなどはしたことがないようで、新鮮で面白がってくださいますね。「久しぶりに子育てを忘れて没頭しました!」というような感想を頂いたり、ちょっとした息抜きにもなるようで、お客様にも好評です。

その他、今後の夢や展望がありましたら教えてください。

「Hallo Gallo」インタビュー

一般のお客様も、近隣のお店もそうですが、もっといろんな人に「Hallo Gallo」を知ってもらいたいと思っています。あとは、先日桜の時期だったので、依頼してくださったお店に大きな桜の枝を持って行ったら大変気に入ってくださったんですよ。「お店の中でもお花見ができる!」と。季節によってそうした提案を今後もしていけたらいいなと考えています。

最後に、成瀬さんご自身が高校まで所沢に住んでいらしゃったとのことですが、
この街の魅力や暮らしやすさはどのようなところでしょうか。

ところざわまつり

この辺りは個人店がいっぱいあるところが、楽しいし便利だと思いますね。また、毎年10月に「ところざわまつり」あるんですが、いろんな町内会でお神輿を出して、たくさんの人が集まって盛り上がります。

所沢航空記念公園

お気に入りスポットは「所沢航空記念公園」ですね。春は桜が、秋はイチョウがすごく綺麗です。高校生の時によく行っていて、思い入れがありますね。体育祭の練習とか、応援の練習とかをやっていたんですよ。他にも、ちょっと行けば「西武プリンスドーム」があったりと、楽しく暮らしやすいと思いますよ!

Hallo Gallo 成瀬さんインタビュー

今回、話を聞いた人

Hallo Gallo(ハローガロー)
オーナー 成瀬 拓也さん

所在地:所沢市東町10-5
電話番号:04-2941-3802
URL:http://www.hallogallo.net/

※記事内容は2014(平成26)年4月時点の情報です。

街の“カッコいい花屋さん”を目指して/Hallo Gallo(ハローガロー)オーナー 成瀬拓也 さん
所在地:埼玉県所沢市東町10-5 
電話番号:04-2941-3802
営業時間:10:00~19:00
定休日:なし
https://hallogallo.net/

活気で満ちあふれる商店街の歴史を今に伝える/株式会社いせき 専務 井関克行さん


株式会社いせき
専務 井関克行さん

活気で満ちあふれる商店街の歴史を今に伝える
創業122年の老舗小売店

1893(明治26)年の創業より、木綿織物の産地として栄えた所沢の歴史を今に伝える老舗の小売店「いせき」。「所沢」駅の西口に広がる市内でもっとも賑わいのある繁華街「プロペ通り」にお店を構え、地域に根ざしたお店づくりが多くのファンの支持を集めています。

今回は、「株式会社いせき」の専務として多忙な日々を送るとともに、2014(平成26)年には「公益社団法人 所沢青年会議所」の理事長を務めるなど、まちづくりにも尽力する井関克行さんに所沢の街の魅力についてお話を伺いました。

まず、「いせき」の創業から現在に至るまでの沿革について教えてください。

いせき 外観

「株式会社いせき」の歴史は1893(明治26)年に創業した初代井関丑五郎(いせきうしごろう)による織物の買継商に始まります。明治から昭和のはじめにかけて、所沢界隈は木綿織物の産地として栄えていたのですが、丑五郎の生まれた青梅も機織りの町だったことから、織物の道を歩んだものと思われます。

買継商の仕事は、東京・大阪はもとより北海道や九州まで販路を拡大するほどの実績をあげていたようですが、1942(昭和17)年に施行された繊維関係企業に対する整備令により廃業を余儀なくされ、買継商としての歴史にいったん幕を下ろしました。

いせき 2

その後、丑五郎の孫にあたる井関武七が太平洋戦争後の混乱のなか化粧品と文房具の小売店としてお店を再開させたのが1945(昭和20)年の年末です。翌1946(昭和21)年には衣料品の登録店制度が発令され、1947(昭和22)年3月には正式に登録店として衣料の配給品を扱えるようになり、その後、呉服を扱うようになりました。

当時はまだ呉服店としては駆け出しで、それこそ試行錯誤の連続だったようですが、当時はまだ珍しかった新聞の折込広告や商店街と共同でイベントを企画するなど、さまざまな取り組みを行ってきました。昭和40年代に入ると「所沢」駅前に西友や丸井といった大型店が相次いで出店し、50年代には市内でも屈指の繁華街として街は賑わい、それと共に会社を発展させてきました。

いせき3

昔ながらの土蔵のお店も増改築を繰り返し、1988(昭和63)年には現在の6階建てのビルを完成するに至りました。創業より122年、会社設立より65年を迎える「いせき」は現在、4代目社長のもと35名の社員とともに地域に根ざしたお店づくりに邁進しています。

2フロアに分かれている売場では主にどのような商品を扱っていますか?

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1階の生地売場では、無地やパッチワークの生地はもちろん入園・入学シーズンになると毎年100件以上もの加工の依頼があるキャラクターのプリント生地など、生地だけでも膨大な数の商品を取り扱っています。

レッスンバックや、シューズケース、お弁当入れなど、近くの幼稚園や保育園、小学校に子どもが通う親御さんの口コミにより評判が広がり、ご好評をいただいています。

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また店舗奥には各メーカーのミシンを取り揃えた展示コーナーもあるのですが、専門のスタッフが常駐しているため使い方に関する説明や試し縫いなども丁寧に指導しています。

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続いて2階のカーテン売場には、およそ800点ものオーダーカーテンのサンプルを取り揃えているのですが、近隣のマンションにあたらしく引越してきたご家族などにも好評で、専門のアドバイサーによる出張見積りや採寸も無料で行っています。

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駅周辺で生地やホビー用品を扱うお店は他にもいくつかありますが、ミシンコーナーのインストラクターや1階の生地売場には60歳を過ぎても今なお現役で活躍する販売員がいるなど、経験と専門性を合わせ持ったスタッフがいるのは、地域に根ざした商店街のお店という点でもお客様の信頼感につながっているかなと思います。

地域とのつながりという点では具体的にどのような取り組みがありますか?

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最近の出来事としては、所沢市のイメージマスコット「トコろん」のぬいぐるみを販売しています。2013(平成25)年の「全国ゆるキャラグランプリ」で26位になったのですが、「mini miniトコろん(15cm)」(税込1,200円)と「BIGトコろん(90cm)※お取り寄せ」(税込29,800円)の2種類があります。

ぬいぐるみそのものは市内にある専門の会社が制作しているので販売しているだけですが、店内にもところどころにぬいぐるみをディスプレイすることで、PRのお手伝いをさせてもらっています。

いせき インタビュー

また、市内にある中学校の“職場体験”の受け入れや、近隣の大学からはインターンの協力要請もあり、毎年多くの学生さんにお越しいただいています。それと、私自身は「公益社団法人 所沢青年会議所」のメンバーのひとりでもあり、およそ70名のメンバーとともに“まちづくり”にも携わっています。

「公益社団法人 所沢青年会議所」では具体的にどのような活動をしていらっしゃるのですか?

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まず、「公益社団法人 所沢青年会議所」の目的としては、“まちづくり”とそれを支える“ひとづくり”の2つを大きな柱としているのですが、具体的な取り組みとしては、例えば2014(平成26)年には“B級グルメイベント”や“ダンスコンテスト”など、所沢の魅力をPRする企画を行いました。

他にも子どもを対象とした“わんぱく相撲大会”や“体験塾”と名付けた体験学習活動では、小学校3〜6年生までの約50名とともに伊豆大島を訪れ、土砂災害後のゴミを拾うボランティア活動を行いました。「公益社団法人 所沢青年会議所」のメンバーには、商店主のほかにも工務店の社長さんやお医者さんなど業態業種を超えて幅広い分野の方が集まっているため、今後も所沢の発展のためにさまざまな活動を進めていく予定です。

所沢の街の魅力について教えてください。

いせき 航空公園

所沢には“航空発祥の地”を今に伝える「航空公園」があります。また、映画のモデルになったことで「トトロの森」としても親しまれている「狭山丘陵」など、豊かな自然に恵まれた生活の素晴らしさをあらためて気づかせてくれる環境があります。

武蔵屋のだんご

スポーツでは「埼玉西武ライオンズ」の本拠地でもありますし、食ではB級グルメでもお馴染みの“だんご”と“うどん”は、所沢の食文化をあらわす代表的な食べ物です。住宅地や路地裏にも名店として親しまれているお店があり、ぜひ食べ歩きを楽しんでいただければと思います。

これから、さらに街の魅力を高めていくためにお考えのことを教えてください。

いせき

「所沢」駅前を中心とした“中心市街地の発展”というのが、今もっとも必要とされている事だと感じています。お店のある「プロペ通り」について言えば、チェーン店なども増えてきており、賑わいをみせています。

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そんな中で、こだわりや魅力のある個人商店なども、チェーンのお店と上手く共存し、一緒になって街を盛り上げていければ、子どもからおじいちゃん、おばあちゃんまで老若男女を問わずみんなが安心して過ごせる商店街になるのではと思います。

最後に、これから所沢に移り住もうと考えている方にメッセージをお願いいたします。

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武蔵丘陵など、豊かな自然が身近な住環境となっており、住み心地のよいエリアだと思います。また、青年会議所での活動をして いると、よく分かるのですが地域のつながりが強いように感じます。子育てにも地域が支えてくれる環境が整っているので、安心できると思います。

それから、創業より122年を迎える「いせき」では、歳時記や季節に合わせてさまざまな売り出しを行っています。お越しいただければ、活気ある所沢の商店街の雰囲気を感じていただけると思います。

いせき 井関克行さま

今回、話を聞いた人

株式会社いせき

専務 井関克行さん

所在地:埼玉県所沢市日吉町9-22
電話番号:04-2922-1355
URL:http://www.iseki-tokorozawa.jp

※記事内容は2015(平成27)年3月時点の情報です。

活気で満ちあふれる商店街の歴史を今に伝える/株式会社いせき 専務 井関克行さん
所在地:埼玉県所沢市日吉町9-22 
電話番号:04-2922-1355
営業時間:10:00~19:00
定休日:毎月第3水曜日(ただし2月と8月は19~21日のいずれかを定休とし、第3水曜日は営業する)
http://www.iseki-tokorozawa.jp