日々の“あいさつ”を大切にする/さいたま市立浦和別所小学校 校長 福原秀夫先生


さいたま市立浦和別所小学校 校長 福原秀夫先生

「武蔵浦和」駅の東側にある「さいたま市立浦和別所小学校」は、駅の北東側を主な学区とする、児童数約800名ほどの小学校。近年はマンション増加にともなって児童数も増え、2012(平成24)年には校舎のおよそ半分にあたる西校舎部分を建て替えるなど、環境の整備も進められている。今回はこちらで校長を務める福原秀夫先生に、学校の特徴と地域の魅力について、お話をうかがった。

「さいたま市立浦和別所小学校」はこの地域でも古くから続く伝統校ということですが、どのような歴史を辿ってきたのでしょうか?

浦和別所小学校 校長インタビュー

もともと、本校の元となる「六辻(むつじ)尋常高等小学校」という当時の小学校にあたるものがあり、本校の場所には、1934(昭和9)年に「六辻尋常高等小学校分教場」というものができました。それが1938(昭和13)年に新しい小学校として独立して、「六辻第二尋常小学校」となりました。それが、本校の始まりで、2014(平成26)年で77年目になります。

現在の児童数はどのぐらいでしょうか?

浦和別所小学校 校長インタビュー

2014(平成26)年6月現在、児童数は831名となっております。それを聞いて皆さん、規模の大きな学校とおっしゃいますが、「武蔵浦和」駅の周辺にある小学校は、どこも同じくらい規模の大きな学校になっております。そのなかでは本校は比較的、定員にまだ余裕のある学校かと思っています。

学区はどのように区別されているのでしょうか?

別所沼公園

本校の学区は南北に非常に長く、「別所沼」の辺りから駅の周辺、さらに駅の南まであります。主に線路の東側となりますが、線路の西側も一部学区となっています。

学校教育目標等についてお聞かせください。

浦和別所小学校 校長インタビュー

教育目標としては、「すすんで学ぶ子」、「あいさつができる子」、「つよい体をつくる子」ということを掲げております。そのなかでもとくに私は、「あいさつができる子」ということに力を入れております。

浦和別所小学校 校長インタビュー

「子どもたちにコミュニケーション力が足りない」ということは、昨今叫ばれているところかと思いますが、やはり「あいさつ」というのは、コミュニケーションをとっていくツールになるものと思いますが、同時に“人としての基本”だと思っています。世の中、「グローバル化」という事もよく言われていますが、やはり子どもたちが世界に羽ばたくには、コミュニケーション力が必要です。でも、その基本となるのは、最も身近なところにある、日々の“あいさつ”だと思うわけです。

学習面で特徴的な点はありますか?

浦和別所小学校 校長インタビュー

本校では伝統的に、国語教育に力を入れて取り組んできております。ここ数年は、とくに「伝え合う力」という点を重視しておりますが、さいたま市の研究校ということで頻繁に委嘱を受けてきております。先生方はそのたびに、授業の新しい方法や力を注ぐ視点を明確にして研究しております。

日常的には、毎週水曜日の朝に「国語タイム」を設けており、漢字の書き取りや、さいたま市の「基礎学力定着プログラム」に沿った問題を解いたりしています。また、金曜日の朝は「読書タイム」としております。 このほか、国語に関する行事として、「詩を楽しむ会」というものがあります。学期ごとに一度、全校児童が体育館に集まって、詩を群読していきます。たとえば宮沢賢治の「雨にもマケズ」などの詩を暗記して、群読するわけです。これを1年生から6年生まで、それぞれの学年で発表する詩を決め、お互いに披露していきます。

算数については、他校と同様に少人数での指導も行っていますが、これは単元によって指導形態を変えながら進めています。必要に応じてクラスをふたつに分けて少人数指導にしたり、ふたりの教員でひとつのクラスを指導するチームティーチングにしたりしております。

年間行事について、特徴的なものがあればお聞かせください。

浦和別所小学校 校長インタビュー

学区内にある「別所沼」に、1年生から6年生までの「たてわり班」で徒歩遠足に行くというものが、ユニークな行事かと思います。「別所沼公園」でお弁当を食べて、少し遊んでから帰ってくるという催しを毎年5月に行っています。このときには、上級生が下級生の面倒を見たり、下級生はその指示に従ったりという姿も見られます。異年齢の子ども同士のふれあいという面でも、このたてわり遠足は有意義な機会になっているものと思っています。

浦和別所小学校 校長インタビュー

このほかには、音楽会を毎年11月の学校公開日に行い、たくさんの保護者の方に見に来ていただいております。学校行事としての運動会は9月に開催していますが、11月には地域の方々が主催の運動会もあります。この件については、また後でふれさせていただきます。それから、これは行事ではないのですが、西校舎を新しく建て替えた時に縄文土器が出土しています。今も6年生の「総合的な学習の時間」を使って、毎年縄文式土器作りをしているというのも、面白い点かと思います。

浦和別所小学校 校長インタビュー

実際にひとりひとり粘土で土器の形を作り、文様を付けて、校庭の真ん中で野焼きをして、作ったものは持ち帰りますので、子どもたちにとっては良い記念になるかと思います。縄文の昔から、ここは住みやすい場所だったということなんでしょうね。

クラブ活動などについて、特徴的な点があればお聞かせください。

浦和別所小学校 校長インタビュー

人数が多いものとしては、課外のクラブになりますが、「金管バンドクラブ」があり、7月には中山道の「浦和まつり 音楽パレード」に毎年参加しています。そこでの演奏と、12月にある、管楽器連盟が主催する発表会への出場が、大きなものになっています。ほかにも、日頃から地域にお呼ばれして、演奏したりもしております。地域の方には、なにかとお世話になっていますので、このような形で還元できれば、と思っています。

また、4年生以上が全員参加するクラブ活動もあります。こちらではローラーブレード・一輪車クラブ、バトンクラブ、科学クラブ、サッカークラブなどが人気です。本校にはグラウンドの周りを囲むように、コンクリートで固めたローラースケートコースが整備されており、これも他には無いものだと思います。

2012(平成24)年には新しい西校舎が完成したそうですが、
こちらの特徴について教えてください。

さいたま市立浦和別所小学校

西校舎は耐震性の関係で新しく建て替えになりましたが、木をふんだんに使った校舎になっている点が、大きな特徴かと思います。この木については、埼玉県産の杉材を使っていますので、香りが今も残っています。 新しいからと言って特別な施設があるという訳ではありませんが、新校舎は今は3年生と6年生が使っていまして、3年間のうちに1回は新しい校舎を経験できるようにと配慮しています。

東校舎については、建て替えはしておりませんが耐震性は保たれております。体育館も2013(平成25)年に耐震補強工事を終えておりますので、安心してお子さんを通わせていただけると思います。

大きな学校ならではのメリットは、
どのような点にあると感じられていますか?

浦和別所小学校 校長インタビュー

人数が多いことのメリットには、ひとつは、「友達がたくさんできる」という点があるかと思います。いろいろな友達と交流できるということは、本校においても大きなメリットになっているかと思います。 また同時に、人が多ければお互いに切磋琢磨もできますので、楽しいなかにも、自分を磨き上げることができるということになると思います。子どもたちの成長にとっては、大人数の学校で学んだということが後々にはいい結果につながっていくものと思っています。

防災対策にも積極的に取り組んでいるそうですね。

浦和別所小学校 校長インタビュー

防災対策については、各学期に2回程度、避難訓練をしています。広域の防災放送を使ってのものと、自主的に学校の中で行っているものがあります。 また、安全教育については、学校の周辺は見通しの良くない交差点がけっこう多いものですから、交通安全教室などを通して、十分な指導を行い、気をつけております。

地域の方々との連携・協力体制についてお聞かせください。

浦和別所小学校 校長インタビュー

地域との関わりということでは、青少年育成別所地区会との関係が深いです。育成会はPTAのOBの方を中心に、学校評議員さん、地域の有識者の方々などによってできているものになりますが、育成会主催の運動会を毎年11月3日に本校の校庭で行っています。これは地域の恒例行事となっています。 育成会ではこのほか、地域の安全パトロールや、毎月1回、夜間のパトロールなどもしてくださっていますので、本当に有り難いです。

「スクールサポートネットワーク」(SSN)とはどんな組織でしょうか?

浦和別所小学校 校長インタビュー

本校の教育活動をサポートしてくれるボランティアスタッフの方々のことで、現役の保護者の方、OBの保護者の方が中心となって組織されています。 主な活動としては、月に1回、朝の読書タイムに読み聞かせに来ていただいていることや、地域の交通安全、防犯活動などを協力していただいています。

子どもたちの普段の学習活動においても、学習支援のボランティア活動をしてくださっています。 たとえば授業で「町探検」という単元では、授業時間内に地域に出ることがあります。この時などはSSNの方が一緒に引率してくださいますし、たてわり班の別所沼遠足の時にも、SSNの方に交差点ごとに立っていただいております。このほか、英語活動や家庭科の授業などでも補助に入っていただいたりと、たくさんの場面でご支援います。

最後に、別所エリアの魅力についてお聞かせください。

別所沼公園

私は校長になってまだ2年目ですが、ご家庭が学校に対して非常に協力的な点については、本当に素晴らしいと感じています。保護者会を開けばかなりの方に参加していただいておりますし、SSNへも積極的に参加していただいております。本当に有り難いです。 自然環境についても、学区内に別所沼という市民の憩いの場がありますし、便利で閑静な住宅地でありながら、自然が豊かに残っていると思います。

武蔵浦和駅

もちろん、電車のアクセスも申し分が無いですし、駅前にはいろいろなショッピング施設もあります。とても住みやすい場所だと思います。 お住まいの方々についても、最近は大きな集合住宅が次々とでき、そういった環境で、新しい方々と以前から住まわれている方々が上手に融合しておられます。新しく来られた方やそのお子さんについても、とても温かく見守ってくださっている地域なのだな、と感じております。

今回、話を聞いた人

浦和別所小学校 校長インタビュー

さいたま市立浦和別所小学校
校長 福原秀夫先生

さいたま市立浦和別所小学校
住所:埼玉県さいたま市南区別所2-5-34
電話番号:048-862-2775
http://urawabessho-e.saitama-city.ed.jp/

この記事内容は2014(平成26)年9月時点の情報です。

日々の“あいさつ”を大切にする/さいたま市立浦和別所小学校 校長 福原秀夫先生
所在地:埼玉県さいたま市南区別所2-5-34 
電話番号:048-862-2775
http://urawabessho-e.saitama-city.ed.jp/

みたけ台幼稚園 園長先生インタビュー

明るく、元気に、たくましく育つ子どもたち/みたけ台幼稚園 園長 木下泰先生


みたけ台幼稚園
園長 木下泰先生

明るく、元気に、たくましく。
みんなのびのび過ごす「みたけ台幼稚園」。

横浜市青葉区みたけ台にある「みたけ台幼稚園」はとにかく元気な子ども達がいっぱい。成功体験を積むことを重視し行事が非常に充実していることが特徴。この幼稚園ではみんなで協力し、みんなで努力を分かち合うことで、思いやりのある子を育てています。そんな「みたけ台幼稚園」について園長の木下泰先生にお話を伺いました。

「みたけ台幼稚園」の沿革、概要を教えて下さい。

みたけ台幼稚園 木下泰さん インタビュー

みたけ台幼稚園は1973(昭和48)年4月に開園しました。当時東急さんがこの辺りを分譲し始めてから人口が増え、小学校や幼稚園が足りなくなりました。地域の要望にこたえて、創立者原田林蔵が幼稚園を始めたのがみたけ台幼稚園のスタートです。

子ども達は400人ちょっとで、クラスは各学年5クラスの15クラスです。子どもの数は青葉区では真ん中くらいなんです。一番多い所は倍の800人くらいいます。子どもの数には恵まれている地域で、ゆるやかに少子化は進んでいるんですけど、全国的に見てもあまり急激に変わっているという印象はありません。子どもは非常に育てやすいと思います。私もみたけ台幼稚園の卒園児なんです。こんなにすくすくと、いい大人になりましたので、ご安心頂いて皆さん登園してくださいと言っています(笑)

みたけ台幼稚園 木下泰さん インタビュー

この辺りは昔は竹がたくさんある地域で、前は漢字で「美竹」って書いたんです。そしたらみなさん「びたけ」って読んでしまうので、ひらがなになったんです。「みたけ台幼稚園」の住所は「みたけ台1-1」で、美しい竹が生えていたと言われる場所なので、園のマークは竹なんですよ。

「みたけ台幼稚園」に通うお子さんはどのような特徴が見られますか。

みたけ台幼稚園 木下泰さん インタビュー

みたけ台幼稚園は100%明るく元気にたくましく伸び伸び幼稚園なので、世間の皆様からもそういう認知を頂いていて、私達は大変喜ばしく思っています。「勉強はしないんでしょ」って言われたりするぐらい、元気がある幼稚園だと街の方からも思われているようです。もちろん、ほかの幼稚園同様、きちんとしつけや勉強もしていますよ(笑)

教育目標や理念を教えて下さい。

みたけ台幼稚園 木下泰さん インタビュー

幼稚園の教育課程は5領域といって、健康、人間関係、環境、言葉、表現なんですが、これについてはきちんと指導するよう、文科省で決まっているんです。どこも5領域は大事にされていて、5角形のどこを尖らせていくのかが特徴だとお考えのところも多いかと思います。みたけ台幼稚園はきれいな5角形が大事だと考えています。それを下していくと、知育、体育、情操教育、食育など、色々な個別の分野に広がっていきますが、この時期は基本となる5領域を大事にして、どれが欠けても、どれに偏ってもダメじゃないかなと考えています。

みたけ台幼稚園 木下泰さん インタビュー

成功体験を踏ませるというのが一番根っこにあります。知育でこれが書けた、褒められたというのも成功体験ですし、体育で跳び箱が跳べた、二重跳びができたというのも成功体験だと思うんです。私はこれが得意、これは苦手という個性をこの時期につけるのはもったいないなと思うんですね。みんな可能性を多く持っているので、みんなで協力して何かを作るとか、みんなで痛みを分かち合うとか、みんなで努力するとか、みんなで悔しい思いをするとか、みんなで一緒に何かやって、最後には達成感を味わってもらおうという行事を大事にしています。

みたけ台幼稚園 木下泰さん インタビュー

また、小さなハードルをいっぱい用意していて、努力、協力しないと越えられないハードルをカリキュラムで組んでいます。みんなで「これやろう!おー!」と気勢を上げます。できなかったら先生や友達に聞いてできるようになる。努力するとできるんだっていう成功体験を踏ませることを一番大事にしています。漢字や掛け算、逆立ちなどに力を入れているというよりは、行事に向かって前向きな気持ちを持たせる、成功体験でみんなで喜ぶというところに力を入れています。

行事は他の園に比べると多いということですが、どのような行事があるのでしょうか。

みたけ台幼稚園 木下泰さん インタビュー

幼稚園は遊園地だと思っているので、来週これがある、明日これがあるというわくわくの中で、当日を迎えるという考え方です。「みたけ台幼稚園」では、月に1・2個大きな行事を用意しています。例えば年長さんのお泊り保育がつい先日終わりました。体育館に泊まって、火を起こして、米をといで、野菜を切って、煮て、カレールーを入れて、カレーを作って食べました。みんな好き嫌いなくにんじんも食べるんですね。ついでにピーマンも食べさせるっていうね(笑)。雰囲気なんでしょうけど、嫌いな子でも食べるんです。これも小さいですけど成功体験です。

みたけ台幼稚園 木下泰さん インタビュー

キャンプファイヤーもただ火を起こしてもつまらないので、悪い人たちが幼稚園を襲ってくるストーリーでやるんです。本気で怖がったり泣いたりする子もいるんですけど、みんなで協力してやっつけます。でも結局悪い人もお友達がほしかったんだっていうことで、最終的にはみんな仲良く大団円です。

その催しの中で宝物を見つける下りがあるんですけど、そこにはハチマキが入っているんです。2学期が始まるとすぐ運動会があるんですけど、年長さんはハチマキをつけてやるんですよ。それをつけると子ども達のかっこよさとモチベーションがとても上がるので、そういう所もストーリーに取り入れて、次の保育につなげていくことを意図しています。

みたけ台幼稚園 木下泰さん インタビュー

それと、みたけ台幼稚園は他の園と比べると、「作って食べる」という機会がとても多いです。自分たちで作るようになって残飯がすごく減ったり、食の細い子もきちんと食べるようになって、小学校に入ってからの給食も乗り越えていけるかと思っています。

好き嫌いは小学校生活でつまずく第一のポイントだと言われるので、みたけ台幼稚園の取り組みでそういった子を減らせるといいですよね。みんなで作ったり、雰囲気があったり、ストーリーがあれば乗り越えていけると思うんです。そういう思いもあって、うちはゼリーや白玉、カレー、ケーキなどを作ったり、稲刈りや餅つき、芋ほりをしたり、折を見て何かを作って食べています。

英語教育について教えて下さい。

みたけ台幼稚園 木下泰さん インタビュー

カナダ人のロジャー先生に来てもらっています。英会話っていってもペラペラになるというほどじゃなくて、鼻が高くて目の色や言葉が違っても友達になれるんだということを感じてもらうのが一番大事なところですね。子ども達もすれ違うと「See you」とか「Do you like an apple?」「Yes,I do.」くらいは言えるレベルです。小学校で英語が始まったので、違和感がないようにやっています。

情操教育として生物を飼っているそうですね。

みたけ台幼稚園 木下泰さん インタビュー

みたけ台幼稚園はビオトープがあって、メダカとかは自生しているんですよ。そこで時々土をさらって掃除をするんですけど、ヤゴがわらわら出てきて、子ども達が「これは何だ!」って大騒ぎしたりします(笑)。

それと、青葉区は公園が多いのでザリガニが非常によく取れるんです。子ども達が名前を付けてお世話をして、夏休みに入ると逃がします。そういう近くの自然で自分で捕れるものを重視しています。身近な自然。自分で探しに行って、これは危険な動物だとか、これは毛虫だから触っちゃいけないとか、子どものうちの自然体験を大事にしないと、大人になると触らなくなりますから。

未就園児クラスも充実しているそうですね。

みたけ台幼稚園 木下泰さん インタビュー

未就園児クラスは3つ用意しています。1つは母子分離で年少さんを小さくしたようなクラスで、1クラス15人、火曜日から金曜日まで。火曜日のクラスの子は火曜日に、水曜日の子は水曜日にきます。全部で60人の4クラスです。2学期からはお昼ご飯を食べて帰るようになります。

みたけ台幼稚園 木下泰さん インタビュー

2つ目は母子共同のクラスです。体育館でママと一緒にリトミックとかマット運動をして楽しんでもらいます。幼稚園という施設に慣れたり、よそのお母さんやお友達に慣れたり。刺激が多い方がいいから母子分離でという方もいれば、3歳になれば幼稚園が始まっちゃうわけだから、2歳まではママと一緒がいいという方もいます。これは考え方の違いですね。

みたけ台幼稚園 木下泰さん インタビュー

3つ目は園庭開放で、これは先生がつかないです。ママも子育ては楽しい反面、ノイローゼになってしまう方もいらっしゃって。この辺りは転出、転入が多い地域なのでご両親のヘルプがない方ってたくさんいらっしゃるんです。コミュニケーションが無かったりヘルプが無かったりする方は、ここでお友達を作ってねというところなんです。

預かり保育事業について教えて下さい。

みたけ台幼稚園 木下泰さん インタビュー

みたけ台は横浜市から預かり保育の指定を受けた幼稚園で、日曜祝日以外は毎日、朝7時半から夕方6時半までやっています(土曜日は15:30まで)。保育園のように預かり保育だけ単独で地域の子を預かっているのではなくて、うちの在園児が対象者です。例えば、お母さんがフルタイムで働いているので、朝7時半に連れられてきて、9時に幼稚園が始まると、そっちに混ざって、幼稚園が終わってもそのまま預かって、夕方6時半にお帰りいただくという感じです。この日だけっていうスポットで預けることもできます。

地域の魅力を教えて下さい。

みたけ台幼稚園 木下泰さん インタビュー

治安はいいし、子どもの数は多いし、公園は多いし、緑は多いし、子どもを育てるという私達の分野からすると、最高のロケーションだと思いますね。こどもの国だったり、大きな公園もあります。保護者や住民の方も穏やかな方が多くて、幼稚園をやっていても、私のようにここにずっと住んでいても、素敵なご家族がたくさん住んでいるなと思います。

みたけ台幼稚園 木下泰さん インタビュー

今回、話を聞いた人

みたけ台幼稚園
園長 木下泰先生

所在地:横浜市青葉区みたけ台1-1
電話番号:045-973-0817
URL:http://www.kidslink.jp/mitakedai/

※この記事内容は2015(平成27)年8月時点の情報です。

明るく、元気に、たくましく育つ子どもたち/みたけ台幼稚園 園長 木下泰先生
所在地:神奈川県横浜市青葉区みたけ台1-1 
電話番号:045-973-0817
教育時間:8:45~13:45
休園日:土曜日、日曜日、祝日、年末年始 ほか
預かり保育:あり(7:30~8:45、13:45~18:30)
http://www.kidslink.jp/mitakedai/

染の小道 2015年代表 高市洋子さんインタビュー

“染色”をテーマにした街の活性化プロジェクト/染の小道 2015年代表 高市洋子さん


「染の小道」が始動したのは2009(平成21)年のことだ。当初は、地元からもあまり注目されなかったそうだが、イベントの回を重ねるごとに認知度を高め、現在は各方面との連携を深めながら活動を充実させている。街の歴史、特色を踏まえたプロジェクトだからこそ、地域社会に浸透しやすかったという一面もあるだろう。今回は、2015(平成27)年度に「染の小道」の代表を務めた高市洋子さんにお話を伺った。

「染の小道」の代表を務めた高市さん

街の歴史を掘り起こしたい

――どのような背景から「染の小道」の活動は始まったのでしょうか。

それを語る前に、この街の歴史から説明させてください。大正から昭和の初期に東京・日本橋から当地に移ってきた染物業、そのため神田川・妙正寺川流域は国内有数の“染色の街”でした。当時は、妙正寺川の流れで反物の糊を落としていましたが、環境への配慮から屋内でその作業をするようになり、人目につかなくなったことで染色の街というイメージが薄れてしまいました。そうした背景から染色工房の「二葉苑」が旗振り役となり、“染色”をキーワードに街の活性化を図ろうとしたのです。それが「染の小道」が動き出したきっかけとなります。

旗振り役となった「二葉苑」

――高市さんが「染の小道」に関わるようになった経緯は?

子育てに専念するため勤めていた会社を退職したのですが、社会とは関わっていたかったのでフリーペーパーを発行することにしました。それに関係した取材で「二葉苑」を訪ねたとき、社長から“プロジェクトを手伝ってくれないか”と言われました。でも私には、その期待に応えられる自信がなかったものですから、お断りすることにしたのです。それを伝えるため再び訪問したとき、店舗の軒先に染色作家が制作した暖簾(のれん)を掲げるという企画を聞かせてもらい、直感的に“きっと面白いことになる”と思い、「染の小道」の活動に携わるようになりました。

街を彩る暖簾

――着物姿でインタビューに応じてくださっていますが、もともと着物は好きだったのですか?

そうですね。母が仕立業に就いていたものですから、私にとって着物は身近でした。ただ、「染の小道」に携わるようになってから、着物を着る頻度は高くなりましたね。気持ちが引き締まるというか、洋装では得られない感覚が気に入っています。布団を干したりするときはさすがに不便を感じますが、この格好で自転車にも乗りますよ(笑)。ハレの日だけでなく、普段着に着物を選ぶ方が増えてくれたらなと思っています。

認知度とともに期待も高まる

――「染の小道」の柱となる活動内容について教えてください。

ひとつは、商店街を暖簾で飾る「道のギャラリー」です。それぞれ異なる作家さんたちの作品が、見慣れた風景を味わい深いものに変えてくれます。また「川のギャラリー」では、美しく染め上げられた反物が川の上方に掲げられます。これは、中井・落合にあった染物の水洗いをモチーフにしたものです。

反物が美しく揺れる「川のギャラリー」

それ以外に各種イベントも行いました。前回の例ですが、街の魅力を訪ね歩くツアーや、誰でも気軽に染物体験ができる「千人染め」なども行いました。

――来場者はどのような方が多いですか?

もともと着物が好きで、その延長で染物にも興味を持っている方。また、作家さん本人だけでなく、ファンの方もいらっしゃいます。人と人とが繋がりながら、それぞれの楽しみ方で「染の小道」を満喫してくださっているように感じます。

間近で職人技を見ることができる

――「染の小道」の運営についても聞かせてください。

作家さん、協力店舗、地域住民の3グループで運営に当たり、代表者の選定については持ち回りとなっています。東日本大震災後に、人と街との繋がりを大切にしようと考える方が多くなり、ボランティアスタッフとしてサポートしてくれる方が増えました。

地域との繋がりを感じられる体験イベント

――これからの展開、また、目指している方向性などあれば伺えますか?

現時点では、「染の小道」は3日間限定のイベントですが、いつ訪ねても“染色の街”を実感できるように定着化・通年化することが目標ですね。染色を専業にするというのは難しいことですが、この街が育んできた文化を活かしながら、染色を産業として確立させたいというのが願いです。

街と深く関わってこその「染の小道」

――他団体との連携・協力についてはいかがでしょうか。

「川のギャラリー」に関しては、河川占用の許可を取らなくてはいけませんでした。「染の小道」にとって行政機関の協賛は、不可欠なものと言えるでしょう。

行政、住民、学生が協力し合い実施されている

また、「目白大学」にも協力していただき、趣旨を理解してくれた先生方が、ボランティアスタッフとして学生さんを派遣してくれました。そのことがきっかけで、「目白大学」内に街づくりサークル「ちえの小道」が誕生するといった動きもあります。

――これまでの活動を通して、街の変化を感じることはありますか?

地域の理解が不可欠だったので、当初は“店先に暖簾を掲げてもらえないか”と一軒ずつ訪ねてまわりました。大きかったのは、マスコミに注目されるようになったことですね。自分たちの街が注目されているということで、「染の小道」に関心を持たれた地元の方も多いと思います。

――“暮らす”をテーマに落合・中井エリアを語っていただけますか?

本当に住みやすい街だと思います。都営大江戸線・西武新宿線「中井」駅、東京メトロ東西線「落合」駅を利用できるので主要駅へのアクセスもいいですし、文人に好まれた環境からも窺えるように凛とした落ち着きがあります。川面を渡ってくる風は瑞々しく、自然も豊かで、小鳥のさえずりで目が覚めるほどです。

魅力的な風土、伝統、そして人

地域コミュニティも充実しているほか、チェーン店だけでなく個人商店が頑張っているのも特徴ですね。子育てという観点からも、“ここで育てたい”と思える街です。

2015(平成27年)年代表 高市洋子さん

染の小道

2015(平成27)年度代表 高市洋子さん
URL:http://www.somenokomichi.com/
※この情報は2016(平成28)年5月時点のものです。

“染色”をテーマにした街の活性化プロジェクト/染の小道 2015年代表 高市洋子さん
http://www.somenokomichi.com/

美味しさと安心を届けるパン作り/ヨシダベーカリー オーナーシェフ 吉田稔さん


ヨシダベーカリー
オーナーシェフ吉田 稔さん

美味しさと安心を届けるパン作り
地域に根ざした「ヨシダベーカリー」

2012(平成24)年4月に、京王線「富士見ヶ丘」駅近くにオープンした「ヨシダベーカリー」。国産小麦を使用するなど、美味しさだけでなく安全性への追求もテーマにしており、近隣住民を中心に既にたくさんの常連客に愛されている。今回は同店のオーナーでありブーランジェ(パン職人)の吉田さんに、オープンまでの経緯やパンづくりへのこだわり、街の魅力などについて伺ってきた。

吉田さんがブーランジェを志したきっかけを教えていただけますでしょうか。

ヨシダベーカリー

学生時代から、「ものづくり」に携わりたいという気持ちがありました。試行錯誤を繰り返しながら自分の理想を追求していく「ものづくり」に対する興味に、生来の「パン好き」が加わってこの道を志したのです。

パン作りにあたり、どのような点を大切にされていますか?

ヨシダベーカリー

この店を出す前、代々木上原にある「カタネベーカリー」で修業していた当時から、“自家製”にこだわったパン作りをしてきました。“自家製”というのは、美味しいパンを作るためだけでなく、安全性を高めるということでもあります。

ヨシダベーカリー店主

当店ではポストハーベスト農薬(収穫後の農産物に使用する殺菌剤、防かび剤など)が使われている輸入小麦ではなく、国産小麦を使用しています。またパン以外にも、例えばサンドイッチの具材の安全性も追求しています。将来的には、無添加商品の少ないハムやベーコンについても、「完全無添加」を謳えるようにしたいですね。

「ヨシダベーカリー」インタビュー

それと、美味しいものを生産してくれていることに関して、生産者に畏敬の念を抱いています。それが美味しいパンをつくりたいという私の大きな原動力になっているのです。農業従事者の減少をはじめ、課題の多い農業界を少しでも応援できれば嬉しく思います。

この場所でお店を開こうと思った理由はありますでしょうか?

「ヨシダベーカリー」インタビュー

もともと京王線沿線か小田急線沿線で出店しようと考えて探していたときに、たまたまこの場所にあったベーカリーの居抜きでこの物件と出会いました。居抜きとはいえ、実際には営業していなかったそうでオーブンも新品。街の雰囲気も良く、この場所を選ばない理由はありませんでした。

「ヨシダベーカリー」の売れ筋の商品を教えてください。
また、新しいパンのアイディアはどこから生まれるのでしょうか?

シンプルパン

ローストポーク、ローストチキンが入ったサンドウイッチやピタサンドなど、ひとつで食べ応えのあるパンが人気です。おすすめはプレーンタイプのパンですね。シンプルなだけに、美味しいと言ってもらえるときは特に嬉しいです。

「ヨシダベーカリー」インタビュー

特別なことをしているわけではありませんが、常日頃から良いアイディアがないか考えています。時間があれば試作品を作ってみたりして、そうしたことの積み重ねで、自然と形に仕上がっていくのです。

高井戸・富士見ヶ丘エリアの魅力はどのよう点だと感じますか?

高井戸駅

落ち着いた雰囲気があり、交通の便が良いことですね。この周辺に関して言えば、最近はワインバーやレストランなどの個人店が増えてきました。街の活性化に繋がることも含め、そうした流れが加速していくことを願っています。

最後に、今後の夢や展望を聞かせてください。

「ヨシダベーカリー」インタビュー

国産小麦の特色を活かしたパンづくりを追求していきたいですね。お店の規模を大きくしたり店舗展開をしていくということではなく、より地域に根ざしたベーカリーとして営業していけたらいいなと思っています。

ヨシダベーカリー

今回、話を聞いた人

ヨシダベーカリー
オーナーシェフ吉田 稔さん

所在地:東京都杉並区久我山2-23-29 ハイネス富士見が丘1階
電話番号:03-6326-2754
URL:https://www.facebook.com/yoshidabakery

※この情報は2015(平成27)年4月時点のものです。

美味しさと安心を届けるパン作り/ヨシダベーカリー オーナーシェフ 吉田稔さん
所在地:東京都杉並区久我山2-23-29  ハイネス富士見が丘1F
電話番号:03-6326-2754
営業時間 11:00~19:00
定休日 水・日曜日
https://www.facebook.com/yoshidabakery

地域密着型のリフレッシュスポット/ナフウェルネスクラブ 広報担当 芦澤信子さん


ナフウェルネスクラブ
広報担当 芦澤信子さん

地域密着型のリフレッシュスポット
「ナフウェルネスクラブ」

温浴施設・プール・フィットネススタジオを併設した「ナフウェルネスクラブ」。特に、「高井戸天然温泉 美しの湯」は注目すべき泉質を誇り、地域にとって欠かせない存在となっている。根底にあるのは、オーナーの地域貢献への意欲だ。“地域社会における健康促進”をテーマに掲げている同施設の広報担当・芦澤さんにお話を伺った。

まずは、「ナフウェルネスクラブ」・「高井戸天然温泉 美しの湯」を立ち上げるまでの経緯を聞かせてください。

フロント

オーナーが地元である高井戸に、誰からも歓迎される施設をつくりたいと考えたことがきっかけでした。20代と60代とでは求める施設は異なりますが、温泉であれば、世代を問わず喜んでもらえるだろうということで、「ナフウェルネスクラブ」内の温浴施設「美しの湯」が誕生したという経緯があります。

「美しの湯」について、詳しく聞かせてください。

ナフウェルネスクラブ

当施設に限らず、温泉を楽しめる施設というのは23区内にも存在します。しかし、いずれも1,200~1,500メートルの掘削がほとんどなので、泉質はどこも似通っています。一方、「美しの湯」の源泉は、それよりさらに掘り下げ、地下1,600メートルのものです。お湯に浸かれば、泉質の良さを実感していただけるのではないかと思います。

ナフウェルネスクラブ

「上の湯」は、木と岩を配した大浴槽で、その下手には「下の湯」があります。「上の湯」よりも温度が低いのが特徴です。もともと木々が生い茂っていたところで、出来る限りその雰囲気を残すように努めました。木々を眺めながらお湯に浸かっていると、地方の温泉宿に来ているかのような気持ちになると思いますよ。

1週間ごとの入れ替えになりますが、「絹の湯」「炭酸泉」もぜひ体験していただきたいですね。炭酸が溶けたお湯に浸かることで血行が良くなります。血流量が増えると疲労回復・美容促進・腰痛・冷え性などにも効果が期待できます。

ナフウェルネスクラブ

また、それぞれ水流や気泡が異なるアトラクション風呂も充実しており、リラックスバス、ドリーミーバス、エステジェット、エステバス、ボディージェット、ボディーバスなど、様々なお風呂を体験することができるかと思います。

どれに入ろうかと迷ってしまうくらいに選択肢が多いですね。

ナフウェルネスクラブ 食事処

そうですね。お風呂を出てからも、「癒し処」ボディケア(有料)やコイン式マッサージチェアで、お寛ぎいただけます。お食事処も併設しているので、館内で何時間でも過ごすことができますよ。地元の方だけではなく、遠方からいらっしゃった方にもぜひゆっくりしていただけたらと思います。

「ナフウェルネスクラブ」についてですが、「美しの湯」以外の施設についても教えてください。

ナフウェルネスクラブ 内湯

25メートルの温水プール、大型ジャグジー、フィットネススペースがあります。フィットネススペース「SION」のコンセプトは、“無理なく気軽に運動を楽しもう”で、様々なニーズに応えたトレーニングができます。

ナフウェルネスクラブ フィットネススペース

高井戸にお住まいの方をはじめ、遠方からおいでの方、若い方から年配の方までご利用いただいているので、ぜひ気軽にお問い合わせいただけたらと思います。

「高井戸スイムクラブ」はいかがでしょうか。

ナフウェルネスクラブ

コンセプトとして3つの柱があり、1つ目は“日々の水泳指導を通して、子どもたちの心身の発育発達に貢献する”、2つ目は、“常に安全管理を優先しながら、未来の社会人として恥ずかしくない子どもたちの公共マナー向上に貢献する”、3つ目は“保護者とコミュニケーションを密にし、子どもたちの成長を見守る”です。

ナフウェルネスクラブ スリムクラブ

コースは、幼児コース、小中学生コース、上級の小中学生コースがあり、全く泳げないという場合でも、豊富なカリキュラムを用意しているので問題ありません。泳げなかった子がだんだん泳げるようになるので、高井戸にお住まいのご家族の方に人気ですよ。

高井戸の魅力について教えてください。

神田川_高井戸2013

「神田上水」につながる神田川など、緑が豊かでゆったりとした時間が流れているのがいいですよね。春、川沿いの桜並木が満開になるととてもきれいなんですよ。
交通の便も良くて、通勤や通学にもとても便利ですよね。環八通りがすぐ近くを通っているので、自動車のアクセスも良いと思います。

最後の質問になりますが、施設としての今後のビジョンはいかがでしょうか。

ナフウェルネスクラブ

プールとフィットネススペースだけでなく、温泉も楽しめる施設というのは全国的に見ても珍しいので、そうした環境を活かし、地域社会における健康促進に貢献していきたいですね。それがオーナーをはじめ、私たちの考える“地域貢献”ですから。

ナフウェルネスクラブ

今回、話を聞いた人

ナフウェルネスクラブ

広報担当 芦澤信子様

ナフウェルネスクラブ
所在地:東京都杉並区高井戸西2-3-45
電話番号:03-3334-0008
URL:http://www.nafsport.com/wellness/

※この情報は2015(平成27)年4月時点のものです。

地域密着型のリフレッシュスポット/ナフウェルネスクラブ 広報担当 芦澤信子さん
所在地:東京都杉並区高井戸西2-3-45 
電話番号:03-3334-0008
営業時間:9:30~22:30(土曜日 ~21:30、日曜日・祝日 ~19:00)
定休日:不定休
http://naf-wellness.com/

富士見中学高等学校インタビュー

自主性と協調性を養い社会貢献のできる自立した女性を育む/富士見中学高等学校 校長 板倉 清先生


西武池袋線「中村橋」駅より徒歩3分。地域に根差した歴史ある学校として知られる「学校法人山崎学園 富士見中学高等学校」。2011(平成23)年より完全中高一貫教育を取り入れ、6年間を見据えた充実したカリキュラムを行っています。2020(平成32)年の創立80周年を記念した新校舎の建設も着々と行われ、次世代へと発展し続ける魅力ある学校です。今回は学校長の板倉清先生に「富士見中学高等学校」の特色についてお話を伺いました。

―まず、学校の歴史と特色について教えてください。

鮮やか赤が印象的な学校の看板

板倉校長: 「富士見中学高等学校」の歴史は、1940(昭和15)年の山崎学園の設立より今年で76年目を迎えます。前身となる「富士見高等女学校」も現在と同じく練馬にあり、1924(大正13)年の発足時から数えると90年以上ものあいだこの土地に根ざしている歴史ある学校と言えます。

芸術観賞会や文化祭の公演、合唱祭などで利用される山崎記念講堂

学校の特色のひとつとして、校内の廊下や階段などパブリックスペースに60点もの日本画や彫刻などの芸術作品が飾られているほか、人間国宝の野村萬斎氏などを迎えて行われる芸術鑑賞会など、通常では考えられないような名画や作品に触れられる環境に囲まれています。

超一流の芸術作品が触れられる距離にある

―現在の生徒数を教えてください。また、どの地域から通学してくる生徒が多いですか?

板倉校長: 生徒数は2015(平成27)年4月時点で、各学年「松」「竹」「梅」「菊」「桜」「桃」の6クラス編成で、中学部735名、高等部687名の計1,422名の生徒が一緒に学校生活を送っています。通学圏については、全体の25%が練馬区内からで、隣接する杉並区や板橋区など近隣から通う生徒も多くいます。

―教育ビジョンについてもお聞かせください。

板倉校長: 本校では、「社会貢献のできる自立した女性を育てること」を目標に、豊かな人間性の育成を目指した教育活動を行っています。

“将来どういう生き方をしていたいか?”をテーマに、2011(平成23)年度から高校の募集を停止し、“完全中高一貫校”として6年間を見据えたカリキュラムを実施しています。

説明をしてくださる板倉校長先生

おおまかな内容としては、①進路指導、②学習指導、③行事・クラブの3つの柱に分け、①進路指導では夢や希望を高く掲げ、“自己肯定感”を養うことで生き方を導きます。また、②学習指導では興味・関心を引き出す授業の工夫で“確かな学力”が身に付くように働きかけます。さらに、③行事・クラブでは、リーダーシップとフォロワーシップという2つの考えのもと、“自主性と協調性”の両方を養い、目指す人物像へと導いていきます。

新校舎での授業風景

また「共学・共育・共生」こそ次世代を見据えた重要な教育の考え方で、勉強はもちろん行事や委員会活動、クラブ活動なども含め、学校生活のすべてにおいて生徒たちが“自ら育つ”環境を整えることに専念しています。

―「共学・共育・共生」へと向けた取り組みの内容が分かる具体的なエピソードはありますか?

板倉校長:10年前に特進コースという制度を無くしたことがあげられます。進学率を重視する私立においては異例のことでしたが、潜在的に生徒にあった格差意識が無くなり、“みんなでがんばって、みんなで勉強しよう”というモチベーションの向上へとつながりました。

枠を取り払ったことで、生徒全体に結束力も芽生えました。行事への取り組みにおいても積極的になったばかりではなく、生徒と教師の距離感も縮まりました。生徒から積極的に声をかけてもらうようになり、今では校長も教頭も教師も全員参加で行事にのぞんでいます。

生徒だけでなく教職員も同じように練習して本番を迎える。真ん中が板倉校長先生

こうしたことで生徒と教師の間に信頼感が生まれ、進路指導などでも安心して相談ができる環境が築かれています。行事にも全力で取り組み、満足のいく学校生活は、勉強の土台作りにつながっています。

体育祭の終わりに全員で方を組んで合唱をするのが伝統になった。結束力を象徴するひとコマだ

それとつい先日あった成人式ですが、特進コースを無くしてからは成人式が終わった後に卒業生たちが自然と学校に集まるようになり、今では9割以上もの新成人が報告に訪れています。

卒業した多くの生徒が訪れる。それだけ満足のいく学生生活だったという現れだろう

―国際交流も盛んなようですが、カリキュラムや留学制度などについても教えてください。

板倉校長: 国際交流の取り組みとしてはホームステイか留学かの2つに分かれ、具体的には①アメリカかオーストラリアへの3週間のホームステイ、高1の7~9月に実施する②ニュージーランドへの短期留学、③個人が希望する場所への1年間の留学の3つに分かれますが、③については2016(平成28)年度からはニュージーランドの提携校に1名、1年間の留学生を送ることが決まっています。

またその他にも、オーストラリアとフランスから訪れた高校生、中国からの中学生との交流会があったり、昨年の夏休みには台湾の女子高生16名が本校生のお宅にホームステイしました。今年の春休みを利用し、今度は富士見の中高生25名が台湾の高校生宅にホームステイをする教育旅行を実施します。

グローバル教育・オーストラリアの高校生が来校した際の様子

しかしながら国際交流を通じたいわゆるグローバル化の真の目的としてはホームステイや留学で海外に行くことではなく、異なるものを理解して受け入れるチカラであったり、コミュニケーションによって人を動かすチカラを養うことこそ大切なため、まずは見知らぬ者同士が集まるこの学校生活を存分に活用することこそ重要かと思います。

―80周年記念事業として新校舎の建設も進行中のようですね。改築に際してのポイントや新校舎の魅力についてお聞かせください。

板倉校長:校舎の大規模な改築に至った経緯としては、災害を見据えた“安心・安全”への対策といったハード面の強化と、教室以外でも“安心”できる居場所を設けるといった生徒目線のソフト面の充実も大きなポイントのひとつです。

第1期工事として2015(平成27)年4月に完成した「本館」には、ダイナミックな大階段や広々としたテラス、ラウンジをそれぞれ設け、生徒たちの作品展示のスペースとして活用したり、授業の前のほっとひと息つける場所として活用されています。

大階段と光庭

また学年ごとに一ヵ所“ワークスペース”と名付けられた自由に使える空間を設け、生徒たちの自主性や協調性を養う空間として役立つことを期待しています。

今後は西館、人工芝のグラウンド、そして2018(平成30)年7月には図書館もリニューアルする予定で、ますます充実する環境に注目が集まっています。

グラウンドのパース画像

文化祭など“招待状”を準備して地域の方にもご参加いただけるような行事も行っておりますので、近隣にお住まいの方は地域にある学校にぜひ足をお運びいただければと思います。

富士見中学高等学校校長 板倉 清先生

今回、お話を聞いた人

富士見中学高等学校
校長 板倉 清先生
所在地:東京都練馬区中村北4-8-26
URL:http://www.fujimi.ac.jp
※この情報は2016(平成28)年1月時点のものです。

自主性と協調性を養い社会貢献のできる自立した女性を育む/富士見中学高等学校 校長 板倉 清先生
所在地:東京都練馬区中村北4-8-26 
電話番号:03-3999-2136
http://www.fujimi.ac.jp/

明石市立大久保南小学校:校長 内藤 聡先生インタビュー

小学校での出来事が、子どもたちの心の故郷になるように/明石市立大久保南小学校 校長 内藤 聡先生


JR神戸線「大久保」駅の南口から歩いて数分、国道250号沿いにある「明石市立大久保南小学校」は、近隣の開発による人口増加に合わせて開校した小学校だ。今年で開校17年目を迎えた小学校は、新しい街の中でどのような役割を担ってきたのか。今回は校長の内藤聡先生に、学校の特徴や取り組み、街の魅力について話を伺った。

明石市の中で一番最近開校した小学校です

小学校の外観

Q:まずは学校の概要について教えてください

「明石市立大久保南小学校」は、明石市で一番新しい小学校です。1999(平成11)年創立ですので、今年度で17年目になります。つい先日の11月22日がちょうど創立記念日で、「南っ子創立記念フェスティバル」という行ことを行ったところです。これは、愛校心を持たせたいということで行っている「心の故郷プロジェクト」という取り組みの一環として開催したもので、音楽家の湯山昭さんに作曲していただいた校歌、彫画家の伊藤太一さんに作っていただいた校章の話や、これまでの小学校の歩みなどを話しました。その後には、声楽家の松田みどりさんを招いた音楽鑑賞会も行いました。

オーズタウン

もともとは、このあたりは「神戸製鋼」の工場があったのですが、跡地だった場所を中心に「オーズタウン」という新興住宅地が開発されました。人口増加に伴って、近隣の「明石市立大久保小学校」「明石市立江井島小学校」の校区再編を行い、「明石市立大久保南小学校」ができました。大久保地区は明石市の中でも、近年人口が増えてきたエリアで、本校の児童数も去年までは1,000人を超えていました。今年度は978人となっています。

街並みと調和した外観が特徴です

小学校の内観

Q:明石市で一番新しい学校とのことですが、設備などで何か特徴はありますか?

昭和の時代には、明石市の海岸部は地場産業として瓦工場がたくさんあったようです。そのような地場産業を活かすために、校舎の屋根は瓦を使用していると伝え聞いてます。採光が良く考えられていて、校舎内が自然光でとても明るい造りになっています。また、完全バリアフリーでエレベーターも付いています。そのあたりは新しくできた学校ならではといった感じでしょうか。そして、ニュータウンの開発とともに建てられた学校ですので、外観も街と調和のとれたものになっています。それは大きな特徴ではないかと思います。

学校での出来事が、心の中に原風景や原体験として残ってほしい

図書室

Q:教育方針、学校で力を入れていることを教えてください

「生きる力を育み心の故郷になる教育の実践を」というのを教育目標に掲げています。私の幼少時代には、近くに海があって田畑があって、そこで潮干狩りをしたり虫を捕まえて遊んだりといったことが、原風景、原体験として残っています。でも、最近の子どもたちはそういった環境や体験をなかなかすることができません。都会の中で育った子どもたちの中に、どういった原風景や原体験が残るのだろうと考えたときに、この小学校での出来事が、心の中に原風景や原体験として残れば良いなと思っています。そんな学校づくりを目指しています。

「ゆりのきミュージアム」の展示

そのような流れで、先ほども少しお話ししましたが、「心の故郷プロジェクト」という取り組みを進めています。これも関わりのあることですが、子どもたちに愛校心を持ってもらおうと「ゆりのきミュージアム」という部屋をを昨年の2月に開設しました。会議室を利用して、学校の歩みや地域の歴史なども含めて掲示しています。そして、卒業生がこの教室にタイムカプセルを残していってくれています。子どもたちに寄り添った形で、心に残る体験活動が出来れば良いなと思っています。

これは先生方によく言うことなのですが、学年によってカラーも違いますし、毎年違う子どもたちと接するわけだから、去年と同じようなことをしていれば大丈夫とは思わないで欲しいと伝えています。子どもたちのことをしっかりと見て、その中で、様々な変化をもたせて色々な取り組みをしたいと思っています。

周辺地域の一つの特徴かと思いますが、知的好奇心の強い子どもが非常に多い印象です。小学校では現在、算数科の研究を進めており、基礎・基本を生かし子どもたちが興味関心を持って主体的に取り組む授業をめざしています。これまでに、校区内にある公園の面積を計測するといったことや図形の学習でオリジナルパズルを造るなど、子どもたちが実生活の中で、いかに算数の知識を応用するかということを大切にしています。

ナイナイ・ファイブ

また、児童会の取り組みとして、「ナイナイ・ファイブ」というキャラクターを作って、「挨拶を無視しナイ」「廊下を走らナイ」「スリッパをちらかさナイ」といったきまりを守って安全で規則正しい生活を過ごす取り組みもしています。教師の言うことに対してはしっかり守れる真面目な子が多いのですが、ただ教師の指示を待つだけでなく、子どもたちが主体となって活動し、自主性を伸ばすということを目指しています。

小学校が地域のコミュニティを支える存在になれるように

明石市立大久保南幼稚園

Q:同じ敷地内に大久保南幼稚園がありますが、地域との関わりや交流について教えてください

明石市内では小学校と同じ敷地内に幼稚園があるところが多いです。昔は、小学校の校長が幼稚園の園長を兼ねているところもあり、その頃には職員の行き来や、行ことを合同ですることもありました。今では幼稚園も独立していて、そういう取り組みは減ってしまっています。文科省が進めようとしている小中一貫教育の観点からも、幼少の連携、小中の連携というのは今後の課題でもあります。実際、本校では6割から7割が「明石市立大久保南幼稚園」からの進学ですので、子どもたちの繋がりが深くなるのはもちろん、保護者同士の繋がりも深くなります。

地域との関わりですが、明石市では、学校内に「コミュニティーセンター」というのがあり、本校では体育館の脇にこと務所があります。子どもたちがいない時間は、学校施設を広く市民に開放しようという試みで、いわゆる地域の公民館のような役割を担っています。学校外の方々が会議に使ったり、文化教室をやっていたり、スポーツクラブがあったりします。夏休みには「コミュニティーセンター」の自治会やスポーツクラブが中心となって、運動場を使った「ふれあい祭り」が行われています。地域に住まわれている人たちが学校に集まり、ふれあう大切な一時を過ごすわけです。地域が一体となるとても大切な機会だと捉えています。

とても勢いのある街です

JR「大久保」駅前

Q:最後に大久保エリアの魅力について教えてください

大久保エリアは少し足を延ばして南に行けば海岸があり、周辺には田畑が広がり大きなため池もあるので自然も豊かな地域です。一方、大型ショッピングゾーンがあり交通の便もよいので、とても便利で暮らしやすい街だと思っています。人口も年々増えていっていますので、今後も期待できる明石市の中で一番勢いのある街というイメージです。

明石市立大久保南小学校

明石市立大久保南小学校

校長 内藤 聡先生
明石市大久保町ゆりのき通3-1
TEL:078-918-5695
URL:http://scwww.edi.akashi.hyogo.jp/~el_okbs/
※この情報は2015(平成27)年12月時点のものです。

小学校での出来事が、子どもたちの心の故郷になるように/明石市立大久保南小学校 校長 内藤 聡先生
所在地:兵庫県明石市大久保町ゆりのき通3-1 
電話番号:078-918-5695
http://scwww.edi.akashi.hyogo.jp/~el_okb..