伝統と文化を大切にする情操豊かな子どもになってほしい/今宮幼稚園 園長 岸省子先生


今宮幼稚園
園長 岸 省子先生

伝統と文化を大切にする情操豊かな子どもになってほしい

京都市北区の落ち着いた住宅街のなか、「今宮神社」の鎮守の森に囲まれた「今宮幼稚園」は、京都では珍しい神社保育を掲げた幼稚園。神社保育とはどんなものなのか、園の特徴や周辺の子育て環境について、園長の岸省子先生にお話をお伺いした。

今宮幼稚園の沿革と特徴についてお聞かせ下さい

今宮幼稚園 インタビュー

鎮守の森に囲まれた「今宮神社」の境内に位置する当園は、1930(昭和5)年に創立された、85年の伝統を持つ幼稚園です。敬虔な心と報恩感謝の気持ちを養う神社保育の精神を大切にしながら、健康な心身と、伝統と文化に培われた情操豊かな子どもたちを育てることを目指して参りました。寺社仏閣が多い京都市内では数少ない神社保育の幼稚園のひとつです。

今宮幼稚園 インタビュー

「鎮守の森は保育の庭」ということばのもと、隣接する「今宮公園」も含めて豊かな自然に囲まれている立地を活かし、子どもたちにもさまざまな自然とのふれあってもらうことを心掛けています。周辺は「今宮神社」への参道を中心に静かな住宅街が広がり、園舎の2階からは東山の大文字を望むこともできます。

神社教育とは具体的にどのようなものですか?

今宮幼稚園 インタビュー

私たちは日本の歴史や伝統を大切にし、誇りと思いやりを持って子どもたちに接することで、豊かな人格が育てられると考えています。たとえば、年長さんは毎年5月の今宮祭の時期に「御旅所参拝(おたびしょさんぱい)」を行います。神さまが巡幸の途中で休まれる御旅所に、子どもたちが出向いていって参拝をするのです。「大徳寺」の境内を抜けて、御旅所の神さまの元を訪ねてお参りをし、「御神輿(おみこし)」にふれて、いにしえの文化を体験します。

今宮幼稚園 インタビュー

帰りには「今宮神社」の門前名物「あぶり餅」をいただいけるというご褒美もあるので、みんな楽しみにしていますよ。また、七夕祭りには「今宮神社」の境内にある「織姫神社」にお参りも行います。西陣織なども伝統文化も大切に継承していってほしいと思っています。

体育や音楽専任の講師もいらっしゃるそうですね

今宮幼稚園 インタビュー

自然環境に加えて人的環境もとても大切なものだと考えているので、正課の保育時間に体育、音楽、英語の専任講師に来ていただいています。子どもたちとっても有意義なことですが、先生たちも専門性の高い授業を目の当たりにすることで、スキルアップにつながっています。ちょうど今日は運動会の練習で、年中さんのバルーン練習をしているところです。年長さんは素晴らしい組み体操の演技をみせてくれますよ。

今宮幼稚園 インタビュー

また、保育終了後の課外教室として体操、フットサル、剣道、空手、バレエ、英語、そろばんなどの教室も開催していますので、希望に応じて参加していただけます。

「ハニークラス」について詳しく教えてください

今宮幼稚園 インタビュー

「ハニークラス」では、2歳児を対象にした保育を行っており、満3歳になると幼稚園へ入園することになります。60人の定員ですが、現在はほぼ定員いっぱいの子どもたちが集まっています。保育内容は通常のカリキュラムとほとんど同じですが、2歳3ヵ月になったタイミングで、子どもたちが毎月入室してきますので、4月から入った子どもたちは次第に成長して、運動会や音楽会にも参加できるようになりますよ。

延長保育や休暇中保育の「キッズクラブ」も運営されているそうですね

今宮幼稚園 インタビュー

最近は社会参画したいというお母さんも増えていますので、延長保育「キッズクラブ」も行っています。17時までのお預かりに加えて、最近は18時までの延長保育も行っています。お仕事をされているお母さんにとっては17時までだとお迎えに間に合わないので、18時までの延長保育は喜んでいただいていますね。先生方の負担は増えるのですが、女性の活躍の場を広げるための手助けとなるために頑張りたいと考えています。

また、夏休み、冬休みという長期休暇の際には、2歳から5歳までの子どもを対象にした「夏キッズ」「冬キッズ」を設けています。9時から15時までの保育で、今年の夏もお盆の前後2週間実施しましたが、参加者が80名ほどいましたよ。昨年から冬期も始めており、年末28日までお預かりしました。こちらも運営は大変ですが、ご父兄からは喜んでいただけたので良かったです。幼稚園の制度も時代の流れに合わせた変化が必要なので、これからも地域の皆さんの期待に応えていきたいと思っています。

保護者の方々も子育てに熱心だとお聞きしました

今宮幼稚園 インタビュー

当園では伝統的に「父母の会」の活動も盛んです。園舎には「父母の会部屋」も設けてあるのですが、今日もバザー委員さんたちが集まって、カレーや焼きそばの絵を描いて看板づくりをされていましたね。普段からお母さんたちが集まってお茶を飲まれていることも多いですよ。まるでカフェのようですね(笑)。また、「美化運動、ゴミゼロの日」を定めて幼稚園の周辺と公園、神社とその周辺の清掃活動を行っています。皆さん率先して参加していただきき、ありがたく思っています。

地域との関わりや、連携などはいかかですか?

今宮幼稚園 インタビュー

京都市北区は住環境に恵まれた教育熱心なエリアでもあり、地域横断型の支援システムも充実していると思います。「北区子ども支援センター」には行政からのさまざまな支援情報が集まっています。「NPO法人京都子育てネットワーク」が中心となって地域の保育園、乳児院、子育てグループなどと連携した支援活動を行っていますが、当園も積極的に参加しています。また、中学生の子どもたちが職業体験を行う「生き方探求・チャレンジ体験」では「保育」の仕事を体験するために地元の中学生たちが当園にやってきます。隣接する「京都市立紫野高等学校」とも一緒に活動を行っており、高校の家庭科で「保育」を学ぶ授業の一環として学生が幼稚園にやってきます。そして、幼稚園は運動会を高校のグラウンドを借りて行っています。子どもの年齢の壁を飛び越えて、地域全体で子育てをしていくという風土がある街だと思いますね。

今宮幼稚園 インタビュー

今回、話を聞いた人

今宮幼稚園

園長 岸 省子先生
所在地:京都市北区紫野今宮町95
電話番号:075-491-0551
http://imamiya.kids.coocan.jp/index.html

※この情報は2015(平成27年)9月時点のものです。

伝統と文化を大切にする情操豊かな子どもになってほしい/今宮幼稚園 園長 岸省子先生
所在地:京都府京都市北区紫野今宮町95 
電話番号:075-491-0551
http://imamiya.kids.coocan.jp/

「みて、ふれて、感動体験」を実践/所沢第六文化幼稚園 園長 阿部泰己先生


所沢第六文化幼稚園
園長 阿部泰己先生

「みて、ふれて、感動体験」を実践
ホタル舞う自然観察園で感性を培う

西武鉄道池袋線「小手指」駅の南西、茶畑に囲まれたのどかな環境にある「所沢第六文化幼稚園」。法人付属の自然観察園でホタル観賞会を行うなど、自然の中での実体験を通したユニークな保育で知られ、メディアでもたびたび紹介されている全国的にも評判の私立幼稚園だ。充実した保育環境でのびのびと成長していく子どもたちの様子と小手指エリアの魅力について、園長の阿部先生に語っていただいた。

まずは「所沢第六文化幼稚園」の概要や教育目標について教えてください。

所沢第六文化幼稚園外観

開園は1977(昭和52)年、現在の防音園舎が完成したのは1989(平成元)年です。年長3、年中3、年少3の計9クラスで、年長は約30名、年中は20数名、年少は約20名の園児が通っています。
当園を含めて「所沢文化幼稚園」では、「みて、ふれて、感動体験」が一番大きなテーマです。子どもたちが実際に見て・触れて・感じて、五感を通しての体験をたくさん取り入れていく保育を目指しています。

所沢第六文化幼稚園教室

そのうえで、教育目標としては、「一人ひとりを大切にする保育」「感性を大切にする保育」「基本的な生活習慣を大切にする保育」を掲げています。先生が園児一人ひとりと向かい合い対応することで、豊かに育ってほしい。実際の体験を通して、感性を培ってほしいと願っています。

また、小学校へ上がる前に社会生活の基礎となる生活習慣やルールをしっかり教えて、積み重ねながらそれぞれの個性を引き出していく保育が必要だと考えています。

「所沢文化幼稚園」といえば所沢市内の私立幼稚園の約3割を占める大規模園ですが、その中でも第六文化幼稚園の特色、子どもたちの様子をお聞かせください。

所沢第六文化幼稚園 園庭

学校法人の「所沢文化幼稚園」は、幼稚園6つ、保育園3つ、児童クラブ1つ、自然観察園、本部事務局と、所沢市内に12の施設があります。第六文化幼稚園の特色としては、まずは環境の良さが挙げられます。周りは茶畑に囲まれ、高い建物がないので、窓を開けると風がよく通ります。都心近くでこうした環境はなかなかないのではないでしょうか。

園庭は広い庭と、砂場や遊具で遊べる中庭のふたつあり、使い分けることができます。運動会など行事の間近で広い庭が使用できないときも、中庭で遊べるので、子どもたちが気持ちを発散できて事故が減るという効果もあります。

所沢第六文化幼稚園 陸カメ

それから、門のそばの小屋には、体重が30キロぐらいある陸ガメの“リッキー”がいます。陸ガメがいるのは文化幼稚園の中でも当園だけ。子どもたちは家から野菜を持ってきて食べさせたり、すごく親しんでいます。

自然観察園の利用頻度や活動内容を教えてください。

所沢第六文化幼稚園 滑り台

「みて、ふれて、感動体験」というテーマを最も具現化している施設が、荒幡にある自然観察園です。動物園と植物園と公園が一体化したような施設で、一日思い切り遊ぶことができます。ロバやヤギなどいろいろな動物がいて、禽舎にはクジャクやガチョウもいます。植物の種類も数百種類以上あり、四季を感じられます。本物の石炭を使って走るミニSL、全長71mの日本一長いローラー滑り台まであるんですよ。

所沢第六文化幼稚園 ひよこ

子どもたちは月に2回程度、バスで自然観察園に出かけます。春から夏にかけてウサギやヒヨコを抱っこして触れ合い、夏には金魚が泳ぐ川で金魚をつかまえたり、秋には落ち葉のプールで遊ぶなど、その季節ならではの遊びを楽しみます。

所沢第六文化幼稚園 焼きいも

9月にはお月見でお団子を焼いて食べ、10月には芋ほりで収穫した芋を鉄板で焼いて食べるということもしています。また、第2~第4 土曜日は10時~15時まで「開放日」という形で在園児親子らに園を開放し、一緒に遊んでもらえるようにしています。多い時だと1日1,000人近くが訪れる日もありますよ。

年間行事の中で、特徴的なものがありましたらご紹介をお願いします。

所沢第六文化幼稚園 ホタル鑑賞会

6月には、文化幼稚園で一番大きな行事である「ホタル観賞会」を自然観察園で行っています。10月頃から子どもたちと一緒に園内の川にホタルの幼虫を放流し、5月末に年長組で観賞会をした後、6月にかけて夜間に園を開放し在園児親子らにホタルを観賞していただいています。本物のホタルを見る機会は今滅多にないので、目の前で飛んで光っているホタルを 見ると、すごく感動してもらえます。

ホタルは人の手で触られることにとても弱い生き物なんですが、何十年も観賞会を続けてきて、ホタルを手でつかんでしまうような園児はひとりもいません。それだけ、感性や心が育っているのだなと感じています。

所沢第六文化幼稚園 オオムラサキ放蝶

自然観察園では国蝶のオオムラサキ、国の天然記念物であるミヤコタナゴも特別に飼育しています。ホタルもそうですが、昔の武蔵野の自然と同じ環境に戻そうという目的で、今年度は6月に第六文化幼稚園の子どもたちがオオムラサキを放蝶しました。
そのほか、季節の行事としてぶどう狩りや芋ほり、運動会、こどもフェスティバル、音楽会などがあります。フェスティバルはいわゆる秋の子ども祭りで、餅つきやお店屋さんごっこ、おみこしを担いだりするパレードを楽しみます。

先生方が日常の保育にあたり心がけているのはどんな点でしょうか。

所沢第六文化幼稚園 稲

感性を培ってもらえるように、園庭で子どもたちと一緒に野菜を育てて、収穫して給食の時に食べたりしています。また、小さい虫を見つけて飼いたいと言う子がいたら、餌を調べてあげたりと、子どもたちが自分から興味を持ったことを大切にしながら、先生が言葉がけするようにしています。
感性を培うためには、体験をしながら子どもたちが発した言葉を先生たちも拾って返してあげる、そういう言葉のキャッチボールが大切です。ですから、園児一人ひとりを大切にし、すごく細かいところまで見ています。

明るく元気で楽しい幼稚園ということも、大きなテーマにしています。先生たちが笑顔で子どもに接すれば、子どもたちも笑顔になり、そうすると保護者も笑顔になってくれる。保護者の方が安心して子どもたちを送り出してくれる環境が作れるように心掛けています。そのほか、正門に電子錠を付けて来園者にはこちらがインターホンで確認してから入っていただくようにしたり、バスの送り迎えの際には保護者の方にお子さんのネームカードを首にかけてもらうなど、安全面にも留意しています。

第六文化幼稚園で受けられるクラブスクールについて教えてください。

サッカークラブとバトンクラブ、ECCジュニア教室をそれぞれ週1回、保育後の14時~16時の間に設けています。どれも年中から入ることができます。

年長になると、サッカークラブは、文化幼稚園主催の大会、所沢市内の幼稚園チームによる大会、埼玉県内の幼稚園やサッカークラブの子どもたちが参加するわんぱくサッカー交流大会など、年に3回ぐらい大会へ出場します。
バトンクラブは、秋に所沢航空記念公園の野外ステージ、春に所沢市民文化センターミューズの中ホールでと、年2回発表があります。サッカークラブもバトンクラブも、身体を動かすことの楽しさを知ってもらうことが大きな目的です。そのうえで、サッカーなら、「負けて悔しいけど、次頑張ろう」とか、気持ちの部分でも成長してほしい。バトンも、幼稚園のお遊戯と違って最新の曲を使って早いテンポで体を動かすので、リズム感が養えます。

預かり保育にも力を入れていらっしゃるそうですね。

所沢第六文化幼稚園 うさぎ

これまで最大18時まで預かり保育を行っていたのを、今年度から早朝の預かり保育も始めました。通常8時50分までに登園していただいていますが、預かり保育は7時半から行っています。時間も延長して18時半までとし、トータルで11時間お預かりしています。さらに、ご両親がフルタイムで働いている場合、常時預かりという形で時間内にいつでも預かり保育を使えるサービスも提供しています。保護者の方たちからは、保育園で預けていたのと同じぐらい長い時間、低料金で預けられるので助かりますと、たいへん好評です。子育て支援という部分で幼稚園でも預かり保育を充実させ、お子さんを安心して預けてほしいと思っています。

最後に、小手指エリアの街や子育て環境の魅力について、お聞かせください。

所沢第六文化幼稚園 庭

当園の周辺もそうですが、緑が多くて公園がたくさんあるので、子どもたちが自由に遊んでいますね。公園があると、大きい子と小さい子が混在し、異年齢の関わり合いの中で成長する面があるのかなと思います。

また、小手指は交通の便もよく、西武線が頻繁に運行していて、バス路線も複数あります。大きな道路が走っているので、いろいろな商業施設へも車ですぐに行くことができます。近所のおじいちゃん、おばあちゃんが声を掛けてくれたり、畑で採れた野菜をくれるなど、住んでいる人たちも気さくです。

このあたりは古くからの地主で、3世代で住んでいらっしゃるというご家族が多く、文化幼稚園を卒園したという保護者も結構いらっしゃいますよ。一方、周囲にどんどん戸建てやマンションができているので、新しいコミュニティができてさらに住みやすい街になっているのかなとも感じています。

所沢第六文化幼稚園 園長

今回、話を聞いた人

所沢第六文化幼稚園

園長 阿部泰己先生

所沢第六文化幼稚園
所在地:所沢市北野1-1-22
電話番号:04-2948-1311
URL:http://www.toko-bunka.ed.jp/

※2015(平成27)年7月実施の取材にもとづいた内容です。 記載している情報については、今後変わる場合がございます。

「みて、ふれて、感動体験」を実践/所沢第六文化幼稚園 園長 阿部泰己先生
所在地:埼玉県所沢市北野1-1-22 
電話番号:04-2948-1311
教育時間:8:30~14:00
休園日:土・日曜日、祝日、夏季・春季・冬季、年末年始
預かり保育:あり(7:30~8:30、14:00~18:30)
http://www.toko-bunka.ed.jp/kindergarten..

なんてんcafe インタビュー

建築事務所が運営する地域とつながる癒しのカフェスペース/建築事務所 鯰組(なまずぐみ)代表 岸本耕さん、なんてんcafe 店長 小西菜月さん


「設計から大工まで」をコンセプトに一貫した家づくりを強みとする建築事務所「鯰組(なまずぐみ)」。建築学科を卒業した後に大工として職人の道を選んだ異色の経歴をもつ代表が、地域との交流の場としてオープンさせた「なんてんcafe」。「要町」駅徒歩1分の古民家を改装した店内は、しっとりと落ち着いた和の風情が漂い、地域のママさんやビジネスマンなど幅広い層のお客さんに親しまれている憩いの空間です。今回は「なんてんcafe」を運営する建築事務所「鯰組(なまずぐみ)」代表の岸本耕さんと、4代目店長として地域とつながる小西菜月さんに、開店に至るまでのエピソードやお店の特色、また地域の魅力についてもお話を伺いました。

「鯰組」の魅力を伝える情報発信拠点としてオープンした「なんてんcafe」

 	しっとりと落ち着いた和の風情が漂う「なんてんcafe」の佇まい

--まず「なんてんcafe」の開店に至るまでの経緯と、運営する「鯰組」についても教えてください

岸本さん:「鯰組」は2009(平成21)年に株式会社吉川の鯰として法人化した建築事務所で、設計から施工まで一貫した家づくりを強みとしています。建築の分野では、設計と施工とが切り離されているのが一般的なのですが、在学中にフランスの建築家ジャン・プルーヴェ氏に魅せられ、企画から設計、施工に至るまで一貫したものづくりに興味を抱くようになりました。

建築家を目指して建築学科に入学したものの、日本にも古民家や社寺建築の研究に携わる大工棟梁の田中文男先生という方がいらっしゃるのを知り、建築設計事務所や大手ゼネコンへの就職ではなく、大工として職人の道を歩むことを決意しました。

「鯰組(なまずぐみ)」代表の岸本耕さん

大工修行を経て2004(平成16)年に個人事業として起業した後は、翌年に有限責任事業組合(LLP)を設立し、専門的な能力をもつ人たちによる共同事業を推し進め、2009(平成21)年に自社工場を構え法人化しました。

要町のこの物件も「鯰組」の事務所兼情報発信を目的としたショールームとして改装したのですが、建築事務所のショールームには目的のある人しか訪れず、より多くの人に訪れていただきたいという思いから2010(平成22)年5月に「なんてんcafe」をオープンする運びとなりました。

地域とのつながりのなかで運営する憩いのカフェスペース

なんてんcafe 店長 小西菜月さん

--どのような客層の方が多いですか? またおすすめのメニューは?

小西さん:「なんてんcafe」にはお子さんを連れたご近所のお母さんやカフェめぐりをする若いカップルの方、ビジネスマンなど幅広い客層の方がいらっしゃいます。私ももともとは客として訪れていたファンのひとりで、アルバイトを経て2015(平成27)年4月に4代目の店長を任されることになりました。

食材は地元の商店街で

提供しているメニューには、地域のもの、手づくりのものを取り入れるように心がけていて、「要町」に古くからある「えびす通り商店街」の青果店や魚屋さん、精肉店など出来る限り近所のお店から仕入れるようにしています。

要町ブレンド

また「要町ブレンド」と名づけた珈琲豆を取り扱う専門店も近所にあり、地域の交流の場として多くのつながりのなかでお店を運営しています。

地域イベントの会場としても利用される地域に根ざしたレンタルスペース

4.5畳ふた間の「レンタルスペース」

--近隣の子育てファミリーを対象にしたイベントも開催しているようですが?

小西さん:「なんてんcafe」では通常のカフェとしてのご利用以外に、店内奥のお座敷のみ「レンタルスペース」として時間貸しを行っています。4.5畳ふた間の空間を利用して、ワークショップやミーティングなどにご利用いただけます。

手づくりあんみつ

また「レンタルギャラリー」として1週間継続してご利用いただくことも可能ですので、利用をご希望の方は直接店舗にお越しいただきお話をお伺いできればと思います。要町では「要町ご近所フェスティバル」という名前で料理教室やクラフト展示など地域イベントの取り組みが盛んで、「なんてんcafe」もその会場として利用いただいています。

「要町ご近所フェスティバル」と検索すると、HPやブログ、facebookでも詳しい情報があるのですが、子育て中のお母さんとそのお子さんを対象に行われる“子ども家庭科教室”は月に2〜3回定期的に行われている人気イベントのひとつです。

癒しのひとときを提供するくつろぎの空間を目指して

お店の外観

--今後の目標や展望についてお聞かせください

岸本さん:「鯰組」としては、「なんてんcafe」の運営を通じて地域とのつながりを持ちながら、“町場の工務店”として自然に受け容れていただいている状態が理想的です。

また設計事務所ではなく企画から設計、施工まで一貫した家づくりができる“建築事務所”としていろいろな仕事に挑戦していくのも今後の目標です。進行形のプロジェクトとして取り組んでいる“池袋モンパルナス”のアトリエ付き住宅の保存・改修工事も、要町に拠点を構えたからこそ実現した仕事のひとつで、新たな芸術観光のスポットとして注目を集めています。

食材の仕入れでお世話になっている「えびす通り商店街」

小西さん:「なんてんcafe」の今後の目標としては、これまでお店が築いて来た地域との関わりを大切にしながら、「4代目の店長として何ができるか?」をちょうど岸本さんやスタッフのみんなと相談しているところで、新たな魅力を提案していければと思っています。

またこのお店がいらっしゃる皆さんにとって、思い思いの時間が過ごせるくつろぎの場として癒しのひとときを提供していけたらと願っています。

なんてんcafe

今回、お話を聞いた人
建築事務所 鯰組(なまずぐみ)代表 岸本耕さん
なんてんcafe 店長 小西菜月さん
所在地 :東京都豊島区要町1-10-7
TEL :03-5986-1087
URL:http://www.nantencafe.com
※この情報は2016(平成28)年2月時点のものです。

建築事務所が運営する地域とつながる癒しのカフェスペース/建築事務所 鯰組(なまずぐみ)代表 岸本耕さん、なんてんcafe 店長 小西菜月さん
所在地:東京都豊島区要町1-10-7 
電話番号:03-5986-1087
営業時間:11:30~22:00(L.O.21:30)
定休日:不定休
http://nantencafe.com/

エコール・クリオロ 本店インタビュー

フランス人パティシエによる“常に進化しつづけるパティスリー”/エコール・クリオロ 本店 代表 サントス・アントワーヌさん、愛さん


フランス人パティシエのサントス・アントワーヌシェフと奥さまの愛さんの2人3脚で洋菓子の魅力を提案し続けている「エコール・クリオロ」。わずか7名でスタートした店舗も今は製造スタッフ40名を含む総勢80名もの従業員を抱える企業で、“常に進化しつづけるパティスリー”として全国から注目を集めている名店だ。今回は「エコール・クリオロ」代表のサントス・アントワーヌさんと奥さまの愛さんに、日本で開店するに至ったエピソードやお店の特色、また地域の魅力についてもお話をお伺いした。

フランス人パティシエによる“常に進化しつづけるパティスリー”

仲良くインタビューに答えてくださったお二人

――お店の特色やおすすめの商品について教えてください

愛さん:「エコール・クリオロ」は「千川」駅近くに本店を構える洋菓子店です。夫であり代表のサントス・アントワーヌはフランスのプロヴァンス地方の出身で、母国フランスをはじめスイス、イギリスなどヨーロッパ各地で経験を積んだ後、日本に訪れました。

これまでの経歴やコンクールなどの受賞歴についてはHPでも紹介していますが、2009(平成21)年に東京で開催された「世界パティスリー2009」にフランス代表チームとして出場し、アントルメ部門、プチガトー部門で優勝し総合準優勝、また味覚部門では最優秀味覚賞を受賞したことでも知られています。

エコール・クリオロ本店の外観

お店は現在、2003(平成15)年4月にオープンした要町の「本店」と、「中目黒」駅前にある「中目黒店」、エキナカ施設の「エキュート上野店」、関西初出店となる神戸の「クリオロカフェ」の4店舗があり、その他にもバレンタインやクリスマスなどイベントに合わせて百貨店の催事場などにも出店しています。

おすすめの商品は、サントスシェフが得意とするチョコレート菓子のなかでも、バレンタインに合わせて「サロン・デュ・ショコラ」にも出品したチョコレートケーキの「トレゾー」(新店舗オープンから発売予定)、2016(平成28)年度の限定商品となる「エヴォリュション」もぜひ食べていただきたいシェフの自信作です。

“時代に合ったおいしいもので幸せに”をモットーにしたシェフのお菓子づくりは、“常に進化しつづけるパティスリー”であることにも通じています。フランス人ならではの独特のセンスに、日本が大好きなシェフならではの繊細な感覚を融合させたオリジナルスイーツをぜひお楽しみください。

2016年限定商品の「エボリューション」

民家の一室ではじめたエコール(学校)で再出発

閑静な住宅街に或る「エコール・クリオロ

――そもそも日本でお店を開いた理由とは?

サントスさん:もともとは日本ではなくオーストラリアでお店を開く予定だったのですが、日本に滞在しているときに交通事故に遭ってしまい、同僚や仲間のすすめもあり、ひとまず日本に残ることにしました。

愛さん:「エコール・クリオロ」の「エコール」とはフランス語で「学校」という意味なのですが、身体に負担がかからないようにと2000(平成12)年4月に隣駅の「小竹向原」駅で菓子学校としてスタートしたのがはじまりで、洋菓子店としてお店を開いたのは2003(平成15)年になってからのことです。「小竹向原」駅を選んだのは、当時住んでいたアパートから近かったためで、神戸出身の私にとってまったく土地勘の無い場所でした。

サントスさん:普通の民家のような場所を借りてはじめたのですが、その後、要町の本店の2階へと場所を移しもっとも多いときで300名近い生徒数にまで増えました。その後店舗数が増え、店頭販売商品の需要が大きくなってきたため、2013(平成25)年5月に教室を閉校することにしました。

リニューアルオープンする新生「クリオロ」

新しい店舗の完成イメージ

――今年の5月にリニューアルオープンされるそうですね

サントスさん:菓子学校を閉校してしばらくしてから、要町にある工房も手狭になりチョコレート部門をもっと大きくしたいという思いから物件探しをしていました。

しかし本店のある要町や千川のあたりは住宅地で、40人近い製造スタッフが仕事に専念できる物件は無く諦めかけていたところに、「小竹向原」駅から徒歩3分ほどの場所に180坪もあるひろびろとした土地を見つけました。

それまではテナントとして場所を借りることだけしか頭に無かったのですが、「自分で好きなようにイチからお店を作ってみたい!」という思いに突き動かされ工房と店舗とが一体になった新店を建てることになりました。

工房併設の新店で味わえる「クリオロ」の作り立てスイーツ

現在は新店舗の内装を検討中

――新店のオープンにより具体的にはどんな部分が変わりますか?

サントスさん:店舗のイメージはオレンジを基調としたこれまでのポップな雰囲気とは異なり、ナチュラルで高級感のある空間を目指しています。テラス席もあるカフェスペースにはアンティークや歴史を感じさせるような落ち着いた家具やインテリアを揃えて入りやすく居心地の良い空間にしようと思います。また、工房が併設することで、これまで提供できなかった焼き立てのパンや作り立てのスイーツも提供できるようになります。

それと製造に携わるスタッフにとっても、お客さまの顔や反応を間近に見られるようになることで仕事に対する張り合いにつながるのではないかと期待しています。

商品は「クリオロ」のアイデンティティーとも言うべきチョコレートを使った看板商品はそのままに、ミルフィーユやロールケーキ、タルトなど生地ものにも挑戦していきたいと考えています。

プチガトーも充実している

「帰って来たなぁ」とほっとできる都心にも近い生活環境

周辺は緑豊かで静かな街並み

――最後にお店のあるこの地域の魅力についてお聞かせください。

愛さん:小竹向原で菓子学校をはじめてから16年になりますが、「池袋」からわずか数駅離れるだけで、「帰って来たなぁ」とほっとできる雰囲気がこの地域の魅力だと思います。

取材やお客さまも「なんでこの場所で?」とよく聞かれますが、私もプロヴァンス出身の夫も田舎の生まれで落ち着いて生活ができるちょうど良い環境でした。

銀座や青山といった場所と比べると、ご近所の方々に支えてもらって今があることも感じますし、小竹向原に移転した後も地域に根ざしたお店として運営していくつもりです。

地域のおすすめのスポットとしては、「小竹向原」駅の地上出口すぐにある遊歩道や新店へと向かう途中にも遊歩道が整備されていて、散歩しやすい環境だと思います。少し足を伸ばせば「城北中央公園」もあり、ひろびろとしていて散策にもおすすめです。

千早公園など公園も多い

エコール・クリオロ

エコール・クリオロ株式会社

代表 サントス・アントワーヌさん、愛さん
所在地:東京都豊島区要町3-9-7
電話:03-3958-7058
URL:http://www.ecolecriollo.com
※この情報は2016(平成28)年2月時点のものです。

フランス人パティシエによる“常に進化しつづけるパティスリー”/エコール・クリオロ 本店 代表 サントス・アントワーヌさん、愛さん
所在地:東京都豊島区要町3-9-7 
電話番号:03-3958-7058
営業時間:10:00~19:00
定休日:火曜
http://www.ecolecriollo.com/

「ノア・テニスアカデミー北千里」インタビュー

ジュニアプレーヤーを対象にスポーツマンシップの精神を学び、強くたくましく育てる/ノア・テニスアカデミー 藤本 幸久さん


広大な敷地を誇り、四季折々の自然を満喫することができる「万博記念公園」の東側に広がる、閑静な住宅街の中に、「ノア・テニスアカデミー北千里」がある。アウトドアの国際基準ハードコートと砂入り人工芝コートを完備し、テニスの上達を目指すレディスプレーヤー、ジュニアプレーヤーを対象にしたテニスアカデミーだ。ジュニアプレーヤーを競技者として成長を促す一方で、大切にしているのが子どもたちの「自立」。「スポーツマンシップの精神を学び、強くたくましく育てる」をコンセプトとしている。テニスを楽しみ、そして、競い合う。同アカデミーの考え方や、古江台エリアの魅力について藤本幸久さんにお話を伺った。

ノア・テニスアカデミー北千里の概要を教えてください。

ハードコート

コートは、アウトドア3面で、砂入り人工芝コート2面と国際基準のハードコートが1面あります。クラブハウスには、ロッカー、シャワーを完備しております。

クラスは、ジュニア対象のクラスが中心ですが、大人対象のクラスもあります。女性中心の平日クラス、土日の男女混合のクラスがあります。レベル的には、一般のテニススクールでは中級になりますね。ジュニアは、プレパトリー(小学校低学年)、デベロップメント(小学校高学年~中学)、エリート(中学~高校)の3クラスがあります。

ジュニアの場合、どのようなコンセプトで練習されているのでしょうか?

真剣にレッスンを受けるスクール生

日本テニス協会推奨のITF(国際テニス連盟)PLAY&STAYプログラムにより対象者のテニスの実力に応じ、使用ボールとコートを変えて、ゲームベースのレッスンを行っています。このプログラムでは、指導対象者のレベルに応じてレッドボール(通常のボールに比べて25%の空気圧)、オレンジボール(通常のボールに比べて50%の空気圧)、グリーンボール(通常のボールに比べて75%の空気圧)、通常のイエローボールを使うんですが、ここではグリーンボールとイエローボールを使っています。これらのボールを使う理由は、ボールの飛びの緩やかなボールを使用することでラリーが続きやすくするためです。ラリーを中心とした練習で、ゲームに勝つための戦術指導を行います。まず2人で協力的にラリーを続け、そして競いながらポイントを取りあう。それはゲームの中での戦術を実現するため なんですが、戦術には5つあり、相手コートに返すこと、相手を走らせること、走らされたら素早く自分のポジションに戻ること、得意のショットを使う、最後は相手の弱点に打つことです。戦術を実現するための練習をすることで自然にスキルアップし、その結果が勝つことにつながっていきます。

南千里にもスクールがあるようですね。

壁打ち用コート

「ノア・インドアステージ南千里」はファミリーで楽しんでいただくことを目指しています。テニス経験の浅い方やテニスを楽しみたい方には南千里のスクールをおすすめしています。ノアインドアステージ南千里校は、室内で、コートはカーペットを使用し、冷暖房完備の年中通して快適に楽しめます。南千里で実力をつけていただき本格的にテニスに打ち込んで頂く際は北千里のアカデミーをおすすめしています。

使用しているテニスボール

本格的に打ち込んでいく中で学ぶことも多そうですね。

勝つことを目的として頑張るのですが、当然ながら上手くいかないこともあります。その時に、自分がどうして負けたのか、どうすれば勝てるのかを自分で考えていく事で学びを得ることができます。それが「自立」ということにつながりますし、スポーツそのものがルールに則って行われていますので、低年齢でもスポーツマンシップ、正々堂々と戦うことを覚えて欲しい。ここでそれを実行することで、問題解決能力を身につけて、大好きなテニスというスポーツで日々成長して欲しいと思っています。

その他に独自の取り組みはありますか?

ジュニア指導風景

アカデミーでは、毎回、ジュニアたちには日誌を書いてもらうんですが、練習のやりっ放しは良くないです。振り返りができるものをこちらでちゃんと用意しておかないと、自己の成長を感じることができません。自己成長を感じればモチベーションは次第に上がります。チャレンジする相手が強いほどに毎回 敗北を味わうこともありますが、自分がどういうゲームをしたいのか、今のゲームはどうだったのか、勝っても納得いかず、負けても納得いくことを感じられるような指導を私たちはさせていただいています。あくまで我々指導者はサポーターで、主役は子どもですからね。また、ここのアカデミーで振り返りと改善の習慣を身に付けて、将来社会でも活かしてほしいと思っています。

テニススクールに通う人は増えていますか。

サーブ指導

当社全体では昨年対比で12~3%アップしています。特にジュニアですね。昔は保護者の方がテニスをされていて、子どもにもというパターンだったので、ご両親にテニスの知識があるケースがほとんどでした。ただ、今はテニスを知らない保護者の方も多かったり、子どもが始めたから自分も、というパターンもあり、昔とは状況が変わってきました。今は錦織選手活躍の影響が大きいですが、人気漫画やドラマの影響もありますね。以前には『テニスの王子様』、上戸彩さんが主役を務めた『エースをねらえ!』の実写化の際にもブームがありました。いまの錦織選手ブームは、去年のUSオープンの前あたりからで、現在は極端に低年齢の子どもが増えています。低年齢の子どもたちにテニスの楽しさを伝えることができているのは、これは先ほどお話したPLAY&STAYというプログラムボールのお蔭です。「ノア・インドアステージ南千里」では、5歳から入会を受け付けています。

最後に、古江台エリアの魅力を教えてください。

山田の駅前は拓けていますし、近くにお客さんから好評のパン屋さんなどもありますし、「万博公園」はすぐ近くです。千里中央から彩都までモノレールが走っていますし、阪急千里線「山田」駅からは梅田にも出ることができます。空港にも新幹線にも近いですし、交通の利便性は非常に高いと思いますね。ここに通う生徒は、この辺だけとは限りません。箕面、宝塚、川西、西宮などから車で移動される方もおられます。古江台という街に限れば、高級住宅街ですので静かなところという印象です。千里ニュータウンの中の道はすごく整えられていますので、ゆったりとしています。万博のところに「ららぽーと」ができるともっと変わると思いますね。

古江台街並み

ノア・テニスアカデミー北千里

藤本 幸久さん(写真の女性はスタッフの押井 裕子さん)
大阪府吹田市古江台5-1-28
TEL : 06-6155-2637
https://www.noahis.com/kita-senri/
※この情報は2015(平成27)年10月時点のものです。

【タイトル】 所在地:大阪府吹田市古江台5-1-28 電話番号:06-6155-2637 https://www.noahis.com/kita-senri/

すくすく育ってみんなハッピーに。子育て支援を牽引する/すくっぴーひろば 所長 平山 けい子さん


すくっぴーひろば
所長 平山 けい子さん

すくすく育ってみんなハッピーに。子育て支援を牽引する

乳幼児とその保護者なら誰でも自由に利用できる、市が設置した子育て支援施設「すくっぴーひろば」。2016(平成28)年4月1日に開発の進むJR仙石線「多賀城」駅前へ移転してリニューアルオープンした。同施設は旧施設の約2.5倍の広さとなり、授乳室や相談室、クッキングスタジオなども新設。一時預かり事業なども新たにスタートした。充実の新施設と画期的なプログラムで市民の子育て支援を牽引し注目される同施設を訪れ、平山けい子所長にお話しを伺った。

新しい施設になって利用者の反応はいかがですか?

多賀城市子育てサポートセンター

初めて来た子どもたちは「わぁー!」と声を上げ、目を輝かせてくれます。「すくっぴーひろば」は、明るくて、とても広く、おもちゃもたくさんあるので、子どもたちは楽しく遊んでくれます。
そんな子どもたちを見つめるお母さんの笑顔がとてもうれしいですね。
旧施設では、赤ちゃんも、走り回る子どもも、一緒のエリアで遊んでいたのですが、「すくっぴーひろば」では、「赤ちゃんひろば」「こどもひろば」「ふれあいひろば」と、成長過程によってエリアを分けているので、安心・安全に利用していただくことができます。
子どもたちとお父さん・お母さんの楽しそうな姿を見て、私たちスタッフもさらに元気をもらっています。

「すくっぴーひろば」の概要・役割をおしえてください。

多賀城市子育てサポートセンター

「子育ての不安を解消する手掛かりを伝える最初の入り口」として、子育てをする方に寄り添い社会全体で子どもと子育てを支援するまちづくりを進める為の活動をしています。地域子育て支援拠点として親子同士の交流を活発にして、行政などの関係機関や地域企業などと協力し、総合的かつ効果的に子育てを支援していくところです。事業概要は大きく分けて「地域子育て支援事業」「利用者支援事業」「一時預かり事業」「ファミリー・サポート・センター事業」の4つになります。

利用対象者や、利用方法についてお聞かせください。

多賀城市子育てサポートセンター

主に乳幼児と養育者が対象になります。利用は登録制で登録者は自由に来館できます。登録料は多賀城市民は無料、市外の方は初回のみお子さん1人につき500円かかります。開館時間は、午前9時から午後4時30分までで、土曜日、日曜・祝日も開館しています。毎週水曜日と祝日の翌日、年末年始はお休みになります。事前登録、面談、予約が必要になりますが、一時預かりもしています。一時預かりの利用料は市民の方は1時間700円で以降30分ごとに350円、市外の方は1時間800円で以降30分ごとに400円になります。生後6ヵ月以上未就学児までのお子さんが対象になります。隣接する市立図書館でゆっくり本を読みたいと利用されるお母さんもいて、大変好評ですよ。

イべントや企画も多いそうですが、どのようなイベントがあるのでしょうか。例を教えてください。

多賀城市子育てサポートセンター

妊娠中から参加できて助産師から出産育児の話が聞け、妊婦同士の交流を通じて友人の輪がつくることができる「プレママ・プレパパ集まれ」や、6ヵ月児までと、7ヵ月から12ヵ月児の親子が集まりフリートークをして情報交換ができる「おしゃべり広場」、お子さんの月齢に合わせた遊び等を行って仲間づくりのきっかけをつくる「すくすくハッピー1.2」、身体を使った遊びを行う「すくすくハッピー3」「キッズデー」、地域の企業や図書館などとのコラボレーションで食育をふまえた教育を行う「すくっぴー親子DEクッキング」、地域の少年少女合唱団によるミニコンサート開催など年間150を超えるイベント・事業を企画しています。どのイベント・企画もおかげさまでいつも満員です。

移設されてから、新しく始める取り組みや企画などはありますか?

多賀城市子育てサポートセンター

先ほどお話しさせていただいた中では、「一時預かり事業」と「親子クッキング」になります。「一時預かり事業」は乳幼児を一時的に預かることで、養育者の負担を軽減させることができます。「すくっぴー親子DEクッキング」は施設内にクッキングスタジオがありましてそこで行います。地元企業や市民の方に講師になっていただき簡単なお菓子づくりや四季折々の行事食づくりなどを親子で楽しみます。そのほかは、1歳児対象の育児体験事業を市役所の健康課と共催で行う「1歳児come☆かむ広場」や子育てコンシェルジュが中心になって相談を受け付け、子育ての情報提供を行うサービスも新たにはじめます。

地域の中でどのような存在でありたい、とお考えですか。

多賀城市子育てサポートセンター

「つなぐ・つながる支援」を目指し、「孤育て」による孤立化をなくし、地域と、親子同士、親と親、子と子の交流をし、人とつながることで安心・心地よさを感じられるところでありたいと思います。

開発が進んでいる多賀城エリアですが、子育て環境の魅力を教えてください。

多賀城市子育てサポートセンター

「多賀城」駅に隣接してすくぴーひろば、市立図書館、市役所、母子健康センター、文化センター等があります。多賀城市西部には西部児童センター、東部には鶴ヶ谷児童館があります。電車、バス、タクシーなどの交通機関が充実していて仙台市をはじめ他市町村へのアクセスも良いので子育てには最高の環境ではないでしょうか。

最後に一言お願いします。

多賀城市子育てサポートセンター

「すくっぴーひろば」の“すくっぴー”とは、多賀城市の子育て応援キャラクターで、すくすく育ってみんなハッピーになりますようにという私たちの願いが込められています。「すくっぴーひろば」では各専門分野のスタッフが皆さんの子育てを支援していきます。気軽に子育てについて相談できる地域の拠点として利用していただいてみんなで成長していければ幸いです。ここ多賀城は歴史も深く大変美しい街ですし、新しくなった「多賀城」駅前も大変魅力的で活気があります。多賀城市へぜひお越しください。お待ちしています。

多賀城市子育てサポートセンター

今回、話を聞いた人

すくっぴーひろば(子育てサポートセンター)

所長 平山 けい子さん

【後記】子どもたちと親御さんの為に、子育てについてのご自身と街の想いを丁寧にお話ししてくださった、やさしい笑顔がとても印象的な方でした。

所在地:宮城県多賀城市中央2-8-1 多賀城駅北ビルB棟2F
電話番号:022-355-7085
URL:http://sukupy.jp/
※この情報は2016(平成28)年4月時点のものです。

すくすく育ってみんなハッピーに。子育て支援を牽引する/すくっぴーひろば 所長 平山 けい子さん
所在地:宮城県多賀城市中央2-8-1 多賀城駅前北ビルB棟2F
電話番号:022-355-7085
利用時間:9:00~16:30
休館日:水曜日、祝日の翌日、年末年始(12月28日~1月4日)
http://sukupy.jp/

多賀城を盛り上げる市民の家/多賀城市立図書館 司書 橋口聡子さん


CCC(カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社)
司書 橋口聡子さん

多賀城を盛り上げる、市民の“家”

2016(平成28)年3月21日、東日本大震災の復興のシンボルとして位置づけて開発が進むJR仙石線「多賀城」駅前の再開発ビルに、「多賀城市立図書館」の本館がリニューアルオープンした。佐賀県武雄市、神奈川県海老名市に続いて全国で3館目となるCCC(カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社。以下CCCと省略)が管理する同図書館。「家」をコンセプトにしたモダンなつくりの図書館となっており、自動貸出機、Wi-Fi、読書通帳機などを備え、従来の図書館利用カードだけでなく、Tカードでも貸し出しができる。また、同じ施設内には、書店、レンタル、カフェ、レストラン、コンビニなども併設している。駅前開発とともに、今注目の「多賀城市立図書館」を訪れCCCの橋口聡子さんにお話しを伺った。

新しい「多賀城市立図書館」のコンセプトを教えてください。

多賀城市立図書館

ひと言で表現すると「家」です。ここ多賀城市は2011(平成23)年3月に発生した東日本大震災で家を無くしたり家族がバラバラになってしまった人がたくさんいらっしゃいます。この大きな新しい家である図書館をきっかけに市民の皆さんに来ていただいて、ここから何かを始めて欲しいとの想いで企画しました。実際、大勢の市民のみなさんがオープンを楽しみにしてくださり、オープン初日の貸し出し冊数が7,000冊を超えて大盛況でした。

地域・市民との関わり方について、「多賀城市立図書館」の考え方をお聞かせください。

多賀城市立図書館

地方の場合、子どもはもちろん大人も自己成長できる場所が少なくなる傾向があると思います。人々が集まる駅前に図書館ができたので本の充実はもちろんですが、例えば語学イベントなどさまざまなイベントを企画して市民のみなさんが成長できる場・情報発信の拠点として図書館を活用して欲しいと考えています。また多賀城市は大変歴史の深い街でもありますので、もっと街の魅力をアピールする為に本だけでなく市内、県内のパンフレットを一緒に設置するなど、積極的に文化歴史の発信の拠点としての活動にも力を入れていきたいです。

全国で3館目となる「CCC運営の図書館」ですが、これまでの市立図書館と異なる点を教えていただけますか?

多賀城市立図書館

各フロアごとにテーマを設けているのが特徴ですね。図書館は3階建てで、1階のテーマは「リビング」です。全体的に明るい雰囲気でソファもありコーヒーを飲みながら本を読んだり、ゆったりと寛ぐことができます。

多賀城市立図書館

2階のテーマは「書斎」。アートや人文に関する資料があり、本を楽しみながら、自己成長できるフロアになっています。3階は「学習」です。このフロアでは学習室を設け、静かに集中して学習や調査・研究ができる場を提供しています。「リビング」「書斎」「学習室」と建物全体がまさに「家」そのもののつくりになっています。

多賀城市立図書館

実際のところ一般的な図書館と違って利用者の滞在時間が長いのも、「家」のような感覚でみなさんがくつろぎの時間を楽しんでいる表れではないかと思います。

武雄市と海老名市にある2館との違いや、多賀城の本館独自の取り組みはありますか?

多賀城市立図書館

武雄市や海老名市では、既存の建物を改修してリニューアルオープンさせていましたが、当館では、東日本大震災の復興のシンボルとして位置づける「多賀城」駅前の再開発事業として一から新設・設計されたのが違いです。この図書館を含めて駅前が一気に明るい雰囲気になって、市民のみなさんと街全体を盛り上げたいと考えています。今後は、スタッフやボランティアによる読み聞かせはもちろんですが、ヨガ教室や夏休みイベントを開催したりと、本を借りる返すだけの場所ではなく、図書館側から地域のみなさんに積極的に情報発信していく活動をしていきたいです。

オープン以来、盛況と伺っております。利用者の反響はいかがですか。また、今後の利用客数の見込み等も教えてください。

多賀城市立図書館

ありがとうございます。オープン以来約14万5,000人の方に来館いただいております(2016年4月14日現在)。年間120万人の来館者数を目指しています。利用者の反応も上々で、毎日来ていただく方も多くいらっしゃいます。子育て中のお母さんからも、子どもと安心して入れて楽しめる場所ができたと喜んでくださる方が多いですね。

「多賀城市立図書館」として目指す姿や、今後の展望を教えてください。

多賀城市立図書館

やはり市民のみなさんのための図書館ですので、まずは図書館に来てみたい、イベントに参加してみたいと思う方々をどんどん増やしていきたいです。そして図書館を活用して学び、楽しんでいるみなさんを見て新たに来館された方が図書館を利用するようになり、さらに来ていただく人が増えていく、そういう流れができればとても嬉しいですね。本の貸し借りだけの場所ではなく、市民のみなさんと成長していくのも図書館の役割ではないかと思います。スタッフ一丸となってここ多賀城を盛り上げていきます。今後の新しい企画・イベントもぜひご期待ください。

多賀城エリアの魅力や、期待感を教えてください。またこれから多賀城市に住む方へ一言お願いします。

多賀城市立図書館

ここ多賀城市は深い歴史があり、「多賀城」駅前の開発・整備も進み、より良く住みやすい魅力的な街になっていくと思います。新しい街をみんなでつくっていこうという活気に溢れています。地元愛のある方が多く優しい人たちが多いので、どんな人でも住みやすいと思います。子育て中のご家族にもおすすめです。子育て環境・学校の整備も充実していますので安心ですよ。そして「多賀城市立図書館」に来ていただければ多賀城市の魅力を本やイベントを通じてもっとお伝えできると思いますのでぜひお越しください。お待ちしております。

多賀城市立図書館

今回、話を聞いた人

CCC(カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社)

司書 橋口聡子さん

【後記】より良い図書館を作る為に日々奮闘する、みんなが元気になるような明るい性格と笑顔が素敵なスタッフさんでした。

所在地:宮城県多賀城市中央2-4-3
電話番号:022-368-6226
URL:https://tagajo.city-library.jp/library/
※この情報は2016(平成28)年4月時点のものです。

多賀城を盛り上げる市民の家/多賀城市立図書館 司書 橋口聡子さん
所在地:宮城県多賀城市中央2-4-3 
電話番号:022-386-6226
開館時間:9:00~21:30
休館日:年中無休
https://tagajo.city-library.jp/library/

”共通言語”で広がる可能性 笑顔にあふれる楽しい学び場

”共通言語”で広がる可能性 笑顔にあふれる楽しい学び場/ペッピーキッズクラブ 伊勢原教室 小山内 千恵子さん・畠中 裕子さん


“日本一愛される英語教室”をテーマに、子どもたちに英語の面白さを伝えている「ペッピーキッズクラブ」。小田急線「伊勢原」駅から徒歩5分の距離にある伊勢原教室を訪ね、普段のレッスン風景を取材してきた。

“日本一愛される英語教室”を目指して

教室の様子

――「ペッピーキッズクラブ」の概要からお聞かせください。

小山内:「ペッピーキッズクラブ」は、“日本一愛される英語教室”を掲げて1993(平成5)年に開校しました。当教室を含め、たくさんの“PEPPY KIDS(元気な子どもたち)”が通っています。お客様に満足してもらえる教室でありつづけられるように、講師陣も日々レベルアップを図りながら、楽しい授業の実践に努めています。

レッスン風景

――“楽しい授業”ということにいて詳しく伺えますか?

畠中:英語に限ったことではありませんが、物事の上達に“楽しい”という気持ちは欠かせません。たとえば日本人にとって、区別が難しいとされる“L”と“R”の発音。しかし難しいからといって、延々と発音を繰返したり聞いたりするだけでは子どもたちも面白くありません。歌詞が英語の歌やリズム遊び、ゲーム、ジェスチャーなどを通して、楽しみながら自然と英語が身につくレッスンをしています。

イベントを通して自ら英語を学ぶ楽しさを知る

――季節ごとのイベントなどあれば教えてください。

小山内:夏は、特別教材を使った5日間連続のサマースクールがあります。年齢ごとのコースが用意され、いつものクラスとは異なるので新鮮な気持ちで英語と向き合えます。また、ハロウィンの衣装をまとったハロウィンレッスンや、クリスマスの雰囲気に浸れるクリスマスレッスンなどもあります。

――イベントがあれば子どもたちの意欲も高まりそうですね。

小山内:そうですね。以前、海外イベントでグアムに行った子どもがいました。英語以外のことに関心が強く、なかなか英語に集中できない子どもだったのですが、帰国してからはレッスン態度が一変(笑)。なぜ英語を学んでいるのかが分かったと言ってくれました。知っている単語を組み合わせ、考えていることを相手に伝えられたときの喜びは、英語学習における原体験のひとつと言えるでしょう。そうした場面は、私たち講師にとって大きな喜びでもあります。

子どもたちの大きな可能性を信じて

レッスンの様子

――英語を学ぶということに関して、理解しておくべきことはありますか?

畠中:継続が何よりも大切ということですね。その過程は、実力がついているのかどうか感じづらいのですが、実際は着実に上達しているのです。このまま続けても良いのだろうかと立ち止まってしまったら、これまでの時間は無駄になってしまいます。英語というのは、突然開花するものということを、ぜひ知ってもられたら嬉しいですね。子どもたちには大きな可能性がある――これは、たくさんの子どもたちを見てきた私たちの確信でもあります。

小山内:学習塾に通うようになったり、また部活動が忙しくなったり――。子どもの成長とともに、何を選ぶかが難しくなってきます。グロバール化が進んでいる社会において、英語を話せるということはビジネスシーンでも有用です。楽しく学び、自然と身についた英語を活かして、子どもたちには世界で活躍してもらえたらと思っています。

――伊勢原エリアにある教室ですが、この街の魅力を聞かせてください。

畠中:自然が身近ということですね。紅葉シーズンには、大きなリュックサックを背負ったハイカーの姿をたくさん見かけます。また大山だけでなく、美しい稜線に囲まれているのが伊勢原です。そうした環境で幼少期を迎えることは、心の成長にとっても良いのではないかと思いますよ。

ペッピーキッズクラブ

小山内 千恵子さん(写真上)
畠中 裕子さん(写真下)
所在地 :神奈川県伊勢原市伊勢原2丁目5-39 UNOイダBUIL 2F
TEL :0120-95-2542
URL:http://www.peppy-kids.com/
※この情報は2015(平成27)年12月時点のものです。

”共通言語”で広がる可能性 笑顔にあふれる楽しい学び場/ペッピーキッズクラブ 伊勢原教室 小山内 千恵子さん・畠中 裕子さん
所在地:神奈川県伊勢原市伊勢原2丁目5-39 UNOイダビル 2F
電話番号:0120-95-2542

活気ある街づくりに一役担う取り組みとは/春日井市商店街連合会 会長 加藤敬さん


春日井市商店街連合会
会長 加藤敬さん

JR中央線開通により発展してきた数々の商店街
活気ある街づくりに一役担う取り組みとは

春日井市には現在14の商店街・商店会がある。その多くが、1900(明治33)年に開通した国有鉄道中央本線(現在のJR中央線)の沿線に誕生した街と共にできたものだ。一から商店街を作り上げ、現在も活気ある商店街であり続けるために、先進的な取り組みを次々と手掛ける「春日井市商店街連合会」の方々にお話を伺った。

まず最初に、「春日井市連合商店街」の歴史について教えてください。

三人集合写真

2015(平成27)年6月現在で「春日井市連合商店街」には、14の商店街・商店会、約500店舗が加盟しています。1900(明治33)年に国有鉄道中央本線(現在のJR中央線)の名古屋から「多治見」駅間が開通したのと同時にまずは「勝川」駅が誕生しました。そういった経緯もあり、「勝川」駅前にある「勝川駅前商店街」「勝川駅東商店街」が春日井市ではいちばん古い商店街になります。

上から見た商店街

その後、1927年(昭和2)に「春日井」駅ができ、「鳥居松本通り商店街」や「春日井駅前商店街」はその辺りからますます大きくなりました。高蔵寺ニュータウンなどの開発も行われて人口が増えると共に、市内各地に商店街がたくさんできました。春日井市の商店街発展の原点は、JR中央線の開通と駅の開設といっても過言ではないかもしれません。

「春日井市商店街」や、春日井市エリアの魅力について教えてください。

御三方

春日井市は比較的新しく発展を遂げてきた街で、元々、核となるような地場産業がなかったということも影響しているのか、新しく商売を始めるにあたり、移って来られるが多い地域でもあります。商店街店主でも、昔からずっとこの街に住んでいたという人は2割くらいに留まっています。そういった土地柄なので、外から来る方に寛容で、その方たちと一緒になって「新しいものを生み出して行こう」という気質があるのがこの街の最大の魅力ですね。

春日井商店街連合会

また、「安心・安全」に力を入れて街を維持しようとしているのも特徴です。「勝川」駅、「勝川」駅東、いちょう並木、鳥居松、篠木の5つの商店街 では、コストを負担して道に街路灯を設置しています。「勝川」駅から「春日井商店街」も含めた篠木商店街までの4kmに渡っては、灯がついているので、安心できるインフラのひとつです。街路灯には放送用のスピーカーや防犯カメラも付けられていて、道行く人を見守っています。

春日井の商店街周辺には、小中高と学校も点在していますが、子どもたちとの交流はあるのでしょうか。

子供

例えば、「鳥居松広小路商店街」には、「愛知県立春日井商業高等学校」の生徒さんが運営する「HAL-SHOP」というお店があります。春日井商工会議所と地元商店街で組織する「鳥居松まちづくり連絡協議会」が空き店舗を利用して作ったふれあいサロン「パレット」の中にできたお店で、高校生たちが作ったものなどを売って、不振の商店街を活性化させようと知恵を絞ってくれています。その他、小学校の生徒から絵画作品を集め、それを商店街の暖簾として飾ったり、子どもたちから集めた標語を商店街マップに載せたりもしています。

「春日井まちゼミ」では、色々なテーマで講座や、ワークショップを開催していますが、ゼミを始めるきっかけは何だったのでしょうか。

まちゼミ

「春日井まちゼミ」というのは、お店の方が講師となって、専門店ならではの専門知識や情報を無料で教えるゼミナールです。年に2回ほど開催しているのですが、フォトスタジオの写真講座や金物屋の包丁研ぎ講座、ギフトショップのラッピング講座など、他では体験できないようなセミナーが盛りだくさんです。

まちゼミ看板

大型店と違い、商店街のような個店は入りにくいイメージがあるかもしれません。それを払拭し、商店街に足を運んでもらうきっかけ作りをしようという思いから立ち上がったのが「春日井まちゼミ」です。

「春日井まちゼミ」を開催して、商店街や街の変化にどのような効果が見られましたか。

一人

最初は、お客様を呼び込みにつなげるために始めた企画だったのですが、実際に開催してみると、主催者の店側にも大きなメリットがあることに気付きました。講座を開催すると、お客様と密な会話をすることができます。そこで、普段店頭でモノを売っているだけでは気づかなかったようなお客様の要望に気付くことができ、「それに応えるために、店作りを頑張ろう!」というモチベーションに繋がったと多くの店主が言っています。

キャラクターと女性

改めて、商店街の良さは、お客様との密接なつながりを大事にし、細かな要望に応えられるところにあるということに気付かされることができ、主催者側も進むべき道筋が見えてきた気がしました。今後も精力的に開催していきたいと考えています。

「はっぴーサボテン商品券・建設券」はどういったものでしょうか。

はっぴーサボテン商品券

「はっぴーサボテン商品券・建設券」は、地域通貨です。市内の店舗や大型店、工務店で利用できる商品券で、1冊(10,000円)購入すると、11,000円分の券が付いてきます。建設券の場合は、1セット50,000円で55,000円分。両方とも10%のプレミアムになります。「はっぴーサボテン商品券」は500円単位綴りで発行しています。食料品や、喫茶店など、日常的な場面でも使いやすいと特に主婦の方を中心に人気です。この通貨発行に取り組んで3年目になりますが、スタート以降、商店街の個店へ足を運んでいただけるケースが増えたので、効果もあったのではないかと感じています。

※「はっぴーサボテン商品券・建設券」は現在発行していません。今後の予定も未定です。

東海地方で初めて「アトム通貨」というものも導入されていますが、この通貨を導入されたきっかけは何でしょうか。

アトム通貨

「アトム通貨」は早稲田・高田馬場で誕生した地域通貨で、「環境」「地域」「国際」「教育」といったキーワードに関連する社会貢献活動に参加する人たちに配布される通貨です。例えば、地域の清掃活動等に参加すると100馬力=100円の通貨がもらえる、といったように使います。約4年前、春日井市を始め、多くの自治体の街づくりに取り組んでいらっしゃる、元名古屋造形大学・学長の高北幸矢さんから「アトム通貨という取り組みがあるんだよ」と教えてもらったことをきっかけに、早稲田・高田馬場まで視察に行ってみました。「アトム通貨」をツールに地域コミュニティの再構築、商店街の活性化、ボランティアの推進に繋げている様子を見て、「これを春日井に取り入れたら面白そうだ」と思い、取り入れることを決めました。

お二方

今では、PTAを中心に行う廃品回収で参加してくれた子どもたちに100馬力を贈るなどして、活用しています。以前はペットボトルなどを配っていたのですが、「アトム通貨」にすると、受け取った子どもたちも、社会貢献に参加したという希少価値と、アトムが描かれたかわいいデザインの通貨を手にした喜びで、好きな買い物をしに行くことができるので、地域活性化により繋がっているのではないかと考えています。

これから春日井へ引越しを検討されている方に向けて、メッセージをお願いします。

商店会上からの図

現在でも、春日井にはマンション建設が進み、新しく引っ越していらっしゃる方が多くいらっしゃいます。そういった方たちに、「春日井の商店街って魅力がある!」と思い、利用してもらえるよう、「春日井市商店街連合会」で新規流入される方のニーズをヒアリングし、新たな取り組みをたくさん実践していきたいと考えています。名古屋市内に通勤・通学される方も、JR中央線に乗れば約20分で行くことができ、とても便利な場所だと思います。お買い物を楽しむ場所としても、名古屋の市街地にはない、春日井市の商店街ならではの魅力もたくさんあるので、ぜひここで楽しい生活を送ってもらいたいと思います。

三人集合写真

今回、話を聞いた人

春日井市商店街連合会

春日井市商店街連合会 会長・加藤 敬さん(写真左)
春日井市商店街マネージャー・河村 洋二さん(写真右)
株式会社まちづくり勝川 代表取締役・水野 隆さん(写真中央)

春日井市商店街連合会
所在地:春日井市鳥居松町5-45 春日井商工会議所ビル5F
電話番号:0568-84-8848
URL:http://www.kasugai-shoren.org/

※この情報は2015(平成27)年6月時点のものです。