「藤森寮」インタビュー

古き良き京都の街に集まる手作りショップ/藤森寮 オーナーの皆さん


京都の町並みに溶け込む『町家』。この木造の趣ある建物は、人気を増す一方で、保存のコストや利便性の低さというデメリットもあり、年々減少の一途をたどってきている。しかし、近年はリノベーションを施して店舗として活用する事例も出てきて、注目を集めている。鞍馬口のエリアでその先陣を切ったのが「藤森寮」。アトリエとショップを兼ねた手作りショップがテナントとして集まっている。古くは学生寮として重宝されていた建物が空家になっていたところを活用したもので、今では県外から多くの方が訪れる人気スポットとなっている。今回はそんな「藤森寮」を訪ねて、「ガラス工房nazuna薺」の望月さんをはじめ、お店のオーナーさんたちにお話を伺いました。

遠方からも人が訪れる人気スポット

望月ひとみさんと「ガラス工房nazuna薺」店内

――素敵な建物にセンスのよいテナントばかりですね。「藤森寮」の概要を教えて頂けますか。

望月さん:元々は「学生寮」として使われていた建物で、空家になっていたところを手直しして今の形になったのが13年前だと聞いています。私は10年ほど前からですが、知人に「空きが出たよ」と聞いてすぐに入居を決めました。現在は全部で9つのお店が入っていて、ウチはガラス工芸ですが、他には一閑張りやフェルト工芸、漆器や紙細工に竹細工、そして植物のお店も入っています。どれも個性豊かで関東をはじめ遠方からのリピーターも多いようです。

望月さんが手掛けるガラス細工

――これほど素敵な空間だと入居希望の方も多いでしょう?

望月さん:確かに人気があります。そして出ていく人が少ないので、なかなか空くことがありません。そういう私も「藤森寮」の中で2回動いて今のところにたどり着きました。ただ私はキレイになったところに入りましたが、当初は「個々に直しながら使う」という条件だっということで、初期に入居された方は大変だったと思います。でも趣味のよい方ばかりなのか、とても趣のある仕上がりになっているので、私もとても気に入っています。

「ガラス工房nazuna薺」

――望月さんのお店「ガラス工房nazuna薺」について教えて下さい。

望月さん:私はバーナーを用いたガラス細工を手掛けていて、他のショップさんと同様、ここは工房兼ショップとして使っています。また制作と販売だけでなく、ガラス細工、バーナーワークの体験も常時可能受け付けていて、とんぼ玉やスプーン、箸置きなど色々なコースを用意しています。ほぼ毎日体験にお見えになって、ガラス細工に触れていただいています。

藤森寮の中庭

――周辺でオススメのスポットがありましたら教えて下さい。

望月さん:私は空が広くて自然がある「賀茂川」が好きですね。天気のよい時は川辺を歩いて通勤することもあります。また「藤森寮」の近くは古くからある京都、という感じの穏やかな住宅街で、毎日同じ顔の人が同じ時間に散歩をしていたり、そんな温かい雰囲気が好きです。「藤森寮」の中の庭もオススメです。京都らしい風情はもちろん、表の車の音も聞こえない、本当に静かで街中のオアシスという感じです。

不便さをも楽しむ風情ある空間

「アートスペース CASAne」店内

続いて、奥のテナントに入られている「アートスペース CASAne」さんを訪ねて、店主にお話しを伺いました。「アートスペース CASAne」さんはニットや紙の手づくり商品の制作を手がけながら、陶器をはじめ多岐にわたる創作物も販売するセレクトショップ。お店としてはもちろん、その作品自体も書籍で大きく紹介される人気ぶりです。「藤森寮」がある京都市北区に生まれお育ちということで、鞍馬口の魅力についてお聞きしてみました。

9つのお店が集まっている

――鞍馬口、そして「藤森寮」の魅力を教えて下さい。

CASAne 店主:このエリアの一番の魅力は、昔の京都がここにあるということでしょう。あちらこちらと身近に良き時代の京都を感じることができます。その一方で若い方が新しいお店を出されているので、町全体としてより魅力的になっているのではないでしょうか。

歴史を感じる「藤森寮」の外観

「藤森寮」は「おばあちゃん家に来たみたい」とお客さんもおっしゃいますが、そのイメージはよくわかります。ここは町家リノベーションのはしりで、最初に入居された方は改装が大変だったと思いますが、私たちはキレイになったところに入らせてもらいました。私もそうですが、皆さんマイペースに仕事をされていますよ。

リノベーションが施された建物内観

町家や今の建築に比べると利便性は低いかもしれませんが、そんな不便さも楽しむような空気がこここにはあります。この雰囲気を東京の方なんかは特に喜ばれますね。ぜひお気軽にお越しください。

人の温もりを感じる街、鞍馬口

「夢一人」の店内

さらに取材に伺った時間に在廊だったのが、紙や竹に和紙を張り重ねて制作する伝統工芸、一閑張のお店「夢一人」の店主である尾上瑞宝さん。「藤森寮」が現在の形でオープンした当初から入られているとのこと。尾上さんは、400年にわたって一閑張りの技術と心得を継承する飛来一閑 泉王子家の十四代家元を務める方でした。しかし、気さくに一閑張についてご教示くださった尾上さん。こちらでも鞍馬口という町と「藤森寮」の魅力についてお伺いしました。

尾上瑞宝さん

――閑張りについて簡単にご説明願えますでしょうか?

尾上さん:約400年前に中国から日本に渡った飛来一閑(ひらい・いっかん)が伝えたとされる、和紙を張り重ね渋柿や漆を塗って固める工芸の手法です。二代目で茶道具を扱う派と生活道具を作る私ども泉王子家の二派に別れたとされ、現在にいたるまでそれぞれが継承しています。当方の四代目の時には徳川吉宗将軍に天体望遠鏡を納めた実績もあり、昨年の春にその現物が長崎県から出てきて、その鑑定に私も立ち会った。そんなエピソードもあります。

――尾上さんにとって、この町、そして藤森寮はどのようなところでしょう?

尾上さん:私は「智恵光院」という通りに縁を感じてここへ入ることを決めたのですが、この界隈は本当に温かくて「ここに来てよかった!」と心から思っています。

一閑張の職人の技が光る

私が出張などで不在の時は向かいのタバコ屋さんがいつも荷物を預かってくださり、近所の方はみな親切な方ばかりです。今日もガレージからココへ来るまでに3人の方とおしゃべりをしました。時に「これ持っていき」とお裾分けをいただいたり、困ったことがあれば駆けつけて下さったりしますよ。

そして「町家を残すのは大変だけれども保存しなければ」という大家さんの思いとともに皆さんが手を加えて素敵な空間になっているのが藤森寮です。私は自宅から車で45分くらいかかるのですが、元気で通える限り、一生ここに入っていたいと思っています。

学生寮時代の風情を残す建物内観

個性的で魅力的な方が集まる「藤森寮」。皆さんが口を揃えるように、「藤森寮」の中にはまるでタイムスリップしたかのように古き良き時代を思わせる優雅な時間が流れていました。そして、周辺にもリノベーションを施して店舗活用されている歴史ある建物がたくさんありました。その魅力に惹かれ、リピーターが多いということも肯ける素敵な街並みです。是非、機会をみつけて散策されてみてはいかがでしょう?

古き良き京都の街に集まる手作りショップ「藤森寮」

藤森寮

「ガラス工房nazuna薺」望月ひとみさん
「Art Space CASAne」店主
「一閑張 夢一人」尾上瑞宝さん
所在地:京都府京都市北区紫野東藤ノ森町11-1
※この情報は2016(平成28)年12月時点のものです。

古き良き京都の街に集まる手作りショップ/藤森寮 オーナーの皆さん
所在地:京都府京都市北区紫野東藤ノ森11-1 

伝統を育む街で新しい懐石スタイルを。/「露庵 菊乃井 木屋町店」代表 村田喜治さん


創業は1926(大正元)年と90年の歴史を育む京都の老舗料亭「菊乃井」。「菊乃井」の名は、豊臣秀吉の妻・北政所が茶の湯に用いたとされる東山の懐に湧く名水「菊水の井」を、代々守ってきたことに因んで屋号に用いられたことに由来している。創業以来、現在で三代目となる料亭「菊乃井」。現在の社長の弟である村田喜治さんが暖簾分けを引き継いだ「露庵 菊乃井 木屋町店」に訪れた。同じ「菊乃井」であっても東山の本店とは、少し趣の違うカジュアルなスタイルで楽しめる本格懐石をコンセプトとしている。「露庵 菊乃井」代表の村田喜治さんに店と京の街についてお話を伺った。

大正元年創業から受け継がれる京都の伝統

趣のある石畳の路地を抜けて、店内へ

――まず、お店の沿革からお話をお聞かせください。

元々は東山で1926(大正元)年に創業した京都の老舗料亭「菊乃井」から始まっています。現在の「露庵 菊乃井」があるこの土地で、当初は「寿司菊」という寿司屋、「三橋楼」というすき焼き屋、「菊亭」というおでん屋をやっていましたが、1976(昭和51)年に私の兄が修行から帰ってきたのを機に「菊乃井 木屋町店」として懐石料理を始めました。2011(平成23)年に、この木屋町店を暖簾分けという形で、兄から私が受け継ぎまして、それが現在の「露庵 菊乃井」となっています。

木屋町で懐石料理を楽しむという日常

彩り豊かな八寸

――お店のコンセプトを教えて頂けますか。

本店は全室個室の料亭になっていますが、この木屋町の「露庵 菊乃井」は、かしこまり過ぎずに、もっとカジュアルに懐石料理を楽しんでもらおうというのがコンセプトになっています。座敷でなくカウンターで本格的な懐石料亭を楽しめる、その先駆けのような存在です。

――店名「露庵」という茶室があるとお聞きしていますが。

京都の一流料理店では茶室が作るのが”夢”であり、また、ひとつのステータスのようになっております。この「露庵 菊乃井」を作るにあたって、数奇屋大工の第一人者として有名な中村外二さんに茶室や内装を手掛けていただきました。店内の一階にはカウンター席、二階には個室と茶室を設けております。

二階にある茶室「露庵」

――食材や料理のこだわりを聞かせてください。

食材に関しては地産地消で、野菜は契約農家から仕入れた、美味しい新鮮なものを使用しています。魚は毎日、淡路から瀬戸内の魚を届けてもらっています。当店の料理に合うように伏見の日本酒を「菊乃井」オリジナルで作っていただいています。料理へのこだわりは”情・才・気”と、「菊乃井」創業以来のコンセプトとなっている言葉があります。これは「愛情があって。技術を使って。パワーのある料理」という意味があります。これが代々引き継がれてきた「菊乃井」の料理へのこだわりです。

美しい盛り付けが器に映える

またお客様に対して「Noと言わない」。どんなリクエストにも応えるようにし、また応えられる努力をする、ということを心がけています。外国人のお客様も多いですし、最近ではアレルギー関連に体が敏感なお客様もいらっしゃいます。そうしたお客様の事情に配慮して、料理を組み立てさせていただいています。

地元を愛する心と、新しい価値を見据えて

「露庵 菊乃井」代表の村田さん

――お店に来られるお客様は、どのような方が多いですか。

カジュアルに懐石料理を楽しんでもらうという店のコンセプトで、カウンター席も用意させていただいておりますので、若いお客様にもよく御利用していただいておりますし、外国人のお客様も多いです。四条に近い立地で若者も多いことに加えて京阪、阪急の駅からも近いですので、気軽に御利用していただいております。

趣ある座敷で穏やかな時間を過ごせる

――地元の方との繋がりはいかがでしょうか。

やはり地元の食材を使用していますので、店同士の繋がりに限らず、そこから回っていろんな方と繋がっていきます。例えば、食材を提供していただいている向こう様から、「露庵 菊乃井」を紹介していただいたり、当店で食事をしていただくお客様から、お味噌や野菜やお漬け物のことを尋ねられたりもします。どこの包丁を使っているか、なんてこともお客様から尋ねられたりもしますが、そういう食事だけに留まらないお話をすることで、地元と地元以外の方ともどんどん繋がりが広がっていきます。地元・京都のものだけを使うから狭い付き合いなのではなくて、地元・京都を大切にするからこそ、より多くの人との繋がりが広がっていくのだと思います。

カウンター席で、カジュアルに懐石料理を楽しめる

――伝統ある京都の街でお店を続けていく思いと、また京都においてどのようなお店でありたいと考えておられますか。

新しいことも取り入れなくてはならないとは考えていますが、見せかけだけの流行りには流されないようにしたいと考えています。お客様からはカジュアルに利用していただいていても、料理は先代から継承してきたことをしっかりと土台に据え、一本筋は通していきたいと思います。
逆に言いますと、伝統の中にも「菊乃井」らしい新しさを提案できる店でありたいと、そういう努力を店の皆と行っていきたいと考えています。

京の伝統的だが革新的な魅力がある「露庵 菊乃井」

――最後にお店の周辺の魅力を教えてください。

四条通りの歩道が拡幅されて以来、観光に来られる方も動きやすくなって、街並みもより魅力的になってきました。四条は若者も多くて活気のある賑やかな観光地という雰囲気ですが、少し離れて五条に行けば、落ち着いた雰囲気になり、先斗町では伝統のあるお店と、この周辺ではいろんな京都の街の顔を見ることができると思います。また、京都の人は、案外、考え方が硬くないです。老舗の店でも、若者に合わせて新しいものを作っていくような柔軟なところもあります。伝統の中にも新しさがあるのは、そんな柔軟な考え方があるためだと思います。そういった革新的な部分は、五条から四条、そして先斗町にかけた地域の魅力だと思います。

露庵 菊乃井 村田喜治さん

露庵 菊乃井 木屋町店

代表 村田喜治さん
所在地 :京都市下京区木屋町通四条下ル斉藤町118
TEL :075-361-5580
URL:http://kikunoi.jp/store/roan/
※この情報は2016(平成28)年9月時点のものです。

伝統を育む街で新しい懐石スタイルを。/「露庵 菊乃井 木屋町店」代表 村田喜治さん
所在地:京都府京都市下京区木屋町通四条下ル斉藤町118 
電話番号:075-361-5580
営業時間:11:30~13:30(最終入店)、17:00~20:30(最終入店)
定休日:不定休(年末年始は休み)

“かつての超進学校”がパイオニアとなって取り組む教育改革

私立のような公立中「千代田区立麹町中学校」の挑戦<後編>/千代田区立麹町中学校 校長 工藤勇一先生


前編に引き続き、数々の「麹中メソッド」を取り上げながら、“麹町中の今の姿”をお伝えしていく。

今年度から復活した文化祭 ~失敗するための舞台を作る

「その道のプロ」を講師に招いて、実社会のリアルを学ぶ「麹中塾」とサークル活動は、成功への最短ルートとも言える効率的な学び方と言える。これに対し、「敢えて失敗させる機会をつくりたい」として、一度消えたものを復活させたものもある。それが文化祭だ。

文化祭に向けて本気で映画製作に取り組む3年生有志の生徒たち。<br />真中にいるのが全体を取り仕切る監督。やる気に満ちた生徒が多い印象

麹町中ではかつてあった「文化祭」がいつからか無くなり、学校主導の「合唱祭」に縮小され、置き換えられていたという。そこで、校長が提案したのが、かつてのような、生徒の自主性に重きを置く文化祭の復活だった。生徒で実行委員会を編成させ、企画を決め、生徒への呼びかけをする。先生は基本的にそのサポートに回るというスタンスだ。

復活初年度の生徒たちにとっては蓄積された運営のノウハウもなく、当然失敗が数多く生まれ、トラブルも生まれる。だが校長は「そこが重要なんです。意見が対立するのも、トラブルが起きるのも、実社会に出れば当たり前のこと。それを解決することが成長につながるんです」と、敢えて生徒に失敗をさせる。できないことに対して感情をコントロールし、(改善に向けて)行動に移すこと。それも「麹中メソッド」の一部ということだ。

ノート指導 ~フレームワークを使った思考の“見える化”

「麹中メソッド」においては、「学び方の習得」も重視している。それを身につけるために最適と考え、取り入れたのが「ノート指導」である。

これは、すべての授業のノートを縦罫や横罫ではなく、5ミリ方眼のA4ノートに統一して、授業ごとに使いやすい区切りをして使うというもの。モデルとしては『頭がいい人はなぜ方眼ノートを使うのか?』という本で紹介された手法が使われており、実際にこの本の著者に学校に来てもらい、年度初めにノートの使い方講習会なども開いている。

この「ノート指導」は民間の学習塾等では一部採用され始めているが、公立の学校で採用するのは麹町中が初ということ。「これはどの学校でも真似できること。全国に広がるモデルケースになれば」という取り組みの一つだ。

実際に生徒たちが使用している方眼ノートと参考書

具体的にどう区切るかは教科ごとに異なるそうだが、基本的には見開き2ページの左側ページに板書の代わりとなるB5判プリントを貼り付け、そこから右ページに気づいた点、疑問点などを抜き出し、思考の過程を「見える化」する。

そしてその疑問点については、自宅学習や補習の時間を使って明らかにし、最終的には見開きごと、つまり授業ごとに内容を要約し、見出しを付けて、「自分だけの参考書」を作る。こうすることで、自分のその時の思考が見えるようになり、「未来の自分に伝えるノート」ができるそうだ。つまりは「自分だけの参考書」が完成するわけだ。「学習というのは、分からないことを分かるようにすること」という、根本的な部分も目に見えるようになるので、生徒たちのモチベーションも高まるのだという。

手帳の活用 ~自己管理能力の育成

自己管理能力を育てるという観点から、「手帳指導」に取り組んでいるのもユニークな点だろう。これは大人が使うような、いわゆる「能率手帳」を生徒一人ひとりに持たせ、毎日のスケジュールを書き込み、メモを取り、情報を管理させるというもの。フレームワークを使い情報を整理するという点では、「ノート指導」とも共通するところがある。

ビジネス手帳で自己管理をする中学生。それぞれ工夫を凝らして書いている

この手帳についても、手帳のプロとも言える手帳製造会社(株式会社ノルティプランナーズ)の専門家に来校してもらい、生徒に対して使い方を指導しってもらっている。加えて、毎日の最後のホームルームでは手帳に書き込むための時間も取られている。

普段は先生にこの手帳を見せることも無いそうだが、時折、見せて良いページだけを公表して、その内容を評価し合ったりという機会もあり、優秀な生徒は手帳の全国コンクールである「手帳甲子園」にも参加する。そのため、生徒もそれぞれに工夫を凝らしながら書き込み、自己管理のスキルを磨いているという。

修学旅行ならぬ「ツアー企画取材旅行」
~他者意識、目的意識を持った修学旅行

「ツアー企画取材旅行」プレゼンテーション

さらに面白いのは修学旅行だろう。工藤校長は「今は誰でも、小さな頃からいろいろな場所に旅行に出掛けている時代。昔とは違うから、ただ京都や奈良に旅行に行くだけでは学びの意義は薄い」と話す。その「意義」を見出すために企画したのは、旅行会社とタイアップして行う、ミッション遂行型の修学旅行。名づけて「ツアー企画取材旅行」だ。

これは早速今年から実行したそうだが、まず、生徒が区内に本社を置く旅行代理店(近畿日本ツーリスト株式会社)の社員になったという想定で、「面白い京都・奈良ツアーのプランを提案せよ」というミッションを与えられる。そのミッションに応えるため、生徒は旅行先の事前研究を行い、チームごとに回るコースを決め、「取材」として、旅行に出かけていく。旅行先では写真を撮ったり、細かな部分の確認をしたり、時には街の人や商店の人にも取材も行いながら、それぞれの班ごとに活動する。
そして、最終的には一つのパンフレットとしてツアープランをまとめ上げ、各班で競い合う。これが麹町中の「ツアー企画取材旅行」である。

ツアー企画取材旅行で実際に生徒たちが作成したパンフレット。ページ構成までしっかり作り込まれている

この過程では旅行代理店からパンフレットのデザイン担当者、編集担当者らが来校し、写真の構図や取材で面白い話を引き出す方法などについて指導をしてもらう機会も設けため、出来上がったパンフレットのクオリティは中学生の作品の域を超えている。実際にミッションを終えた生徒からの反応も、「やり甲斐があって楽しかった」などと、上々だったという。「今までの修学旅行というのは、漫然と出かけ、感想文を誰に見せるわけでもなく書くだけでした。でもそれでは意味が無い。旅行にしっかりとした目的があって、成果をプレゼンする相手が明確に見えている。それが生徒のモチベーションにつながるんです」と校長は話していた。

まだまだ改革は序の口

このように学校の組織改革から始め、わずか1年半ほどの間に数々のユニークな取り組みをスタートさせてきた工藤校長。最初の頃は懐疑的だった学校の教職員も、今では校長の理念を理解し、学校が一丸となって改革に取り組めるようになったという。これからは更に加速度を増し、次々に新しい改革、企画を打ち出してくれることだろう。

P&P(プランニング&プレゼンテーション)タイム

数々の取り組みの話を聞きながら強く感じたのは、校長は何の学習においても「その道のプロ」の指導を仰ぐことを大事にしているという点だ。どんな業界であっても、「プロ」はその道を生業にしている人々であり、その道で「生き抜く能力」を持っている人々である。そういった人の話を聞くことが、生徒の本当の力になる、と確信しているのだろう。

また、工藤校長は自らの取り組みについて、「公立学校の挑戦」としばしば語っていた。公立校はさまざまな規制のもとで縛られて停滞し、私立校の後塵を拝することになってしまった。その悔しさがあるからこそ、ここまで精力的に活動できるのだろう。

「公立学校にも優秀な先生方は沢山います。でも現状では、そういう先生方の能力を活かしきれていない。うちのやっていることが、全国の公立学校を励ますようなものになれば、この国の公立学校の教育は変わっていくと思っています」。
言葉に信憑性があるのも、工藤校長ゆえだろう。

千代田区立麹町中学校 校庭のトラック

かつて“エリートコースの常道”を形成していた公立校が目指すのは、単なる進学校としての地位奪還ではない。生徒一人ひとりが自律し、希望と誇りを持って社会に出ていく基盤をつくること。日本の中枢とも言えるこの地で、その期待に向けた取り組みはスタートを切ったばかりだ。
「いま、この学校は第2志望の学校になってしまった。それを第1志望の学校に返り咲かせたい」というのが、校長の夢の一つでもあるそうだが、その日は案外近いのかもしれない。

千代田区立麹町中学校

校長 工藤勇一先生
所在地 :東京都千代田区平河町2-5-1
電話番号:03-3263-4321
URL:http://www.fureai-cloud.jp/kojimachi-j/
※2015(平成27)年10月実施の取材にもとづいた内容です。 記載している情報については、今後変わる場合がございます。

私立のような公立中「千代田区立麹町中学校」の挑戦<後編>/千代田区立麹町中学校 校長 工藤勇一先生
所在地:東京都千代田区平河町2-5-1 
電話番号:03-3263-4321
http://www.fureai-cloud.jp/kojimachi-j/

“かつての超進学校”がパイオニアとなって取り組む教育改革

私立のような公立中「千代田区立麹町中学校」の挑戦<前編>/千代田区立麹町中学校 校長 工藤勇一先生


「麹町中学校」の開校は終戦とほぼ同時期、学制が施行された1947(昭和22)年春であった。それ以来現在に至るまで、政治の中枢である永田町に最も近い公立中学校であり続けており、付近に住まう政財界の重鎮やその子弟も、かつてはこの学校に多く通っていたという。今は「進学校」と言えばまず私立校を思い浮かべる時代になっているが、公立学校がエリート街道だったという時代もあり、麹町中もその一角を占めていた。「番町麹町日比谷東大」という言葉も、昔から都内に住む人の間ではよく知られている。千代田区に住み、「番町小→麹町中→日比谷高→東京大学」と辿るのが、かつてのエリートコースの代名詞だった。
その後時代は変わり、学校群制の導入などもあり、カリキュラムの構築が比較的自由な私立校に「進学校」としての地位を奪われる形となった。そうした状況の中、昨年春、ここに赴任した工藤勇一校長が麹町中再建に向けて、ユニークな施策の数々を打ち出している。
今回はそんな工藤校長の施策とそこに秘めた思いについて取りあげながら、“麹町中の今の姿”を前後編の2本立てでご紹介していきたい。

良好な設備にも後押しされる環境

自身の思いや教育のなんたるかを分かりやすく聞かせてくれる工藤勇一校長

麹町中の生徒数は現在、約340名余り。3学年が4クラス、1・2学年が3クラス、特別支援学級が1クラスで編成されている。校舎自体は各学年4クラスの構造になっているので、十分なキャパシティを持っているが、千代田区の子どもの数は減少傾向にあり、私立へ流れる割合も比較的高いことから、生徒数はここ数年、不安定な傾向にあるという。「生徒数を4クラスで安定させたい」というのも校長の願いのひとつであるという。

屋内にある温水プール

学校の特徴としては、「公立校でありながら非常に設備が充実している」という点がまず第一に挙げられるだろう。2012(平成24)年に建て替えられた地下1階、地上6階建ての鉄筋造りの校舎は頑強で、近代的な造りになっている。工事現場や首都高が隣にあっても、外からの物音はシャットアウトされており、静謐な学習環境が守られている。また、都心立地ながらも十分な広さの校庭を持っている。プールは屋内設置の温水プールで、屋上には天然芝の広い庭園があり、立派な和室や、最新設備を備えた会議室、まるで大学のホールのような、広い階段教室も備えている。

表千家の作法を学ぶこともあると言う和室

こうした恵まれた環境の中で、生徒たちは日々、勉学や自主的な活動に励んでいる。

変革のフェーズその1 ~学校の組織改革、「麹中メソッド」の確立

「一昨年までここは、まだまだ普通の学校だった。でもこれからは違う。公立学校の目指すモデルにしたい」と、会う人すべてに公言しているという工藤校長。校長はもともと中学校教諭はもちろん、東京都や目黒区、新宿区等、教育委員会等にも在籍した経歴を持ち、都の教育行政には精通している人物だ。その工藤校長が「教育の世界を変えるきっかけになりたい」という麹町中の改革とは、一体どんなものだろう。

まず、校長が赴任した2014(平成26)年、早々に行ったのが、「問題点の洗い出し」だった。自らの経験から見えた問題点だけでも約300項目、さらに教諭との個人面談や、学年や部署ごとの討論から挙げられた問題点も加え、合計340項目にも及ぶ問題点のリストを作り、まずはその問題点について解消する、改善する、という方向で動き出したという。

背の高い窓からは外光がたっぷりと取り入れられる。

この改革は半ば強引にスタートしたというから、当初現場は困惑しただろうが、1年目の年度末には、そのうちの半分、170項目について解決し、ほかについてもほぼ解決の方向性を見出したという。「最初はある程度のトップダウンは仕方ありません。でも今は、職員が一丸となって改革に取り組めるムードができてきました」と、校長は話す。

「どんな世界であれ、自分の意志をもって社会に出ていく人を育成する」というのが、工藤校長が目指す中学校の教育像だ。その実現を目指す手法に「麹中メソッド」という名前を付け、生徒はもちろん、教職員にも浸透を図っている。

その柱は主に二つ、
 1 社会で必要とされる学び方の習得を支援する
 2 個性・特性を伸ばす機会を支援する
という二つに集約される。さらにこれを実践する中でキーワードとなるのは、下に記した8つの言葉だという。

 ・様々な場面で言葉や技能を使いこなす
 ・信頼できる知識や情報を収集し、有効に活用する
 ・感情をコントロールする
 ・将来を見通して計画的に行動する
 ・ルールを踏まえて、建設的に主張する
 ・他者の立場で物事を考える
 ・目標を達成するために他者と協働する
 ・意見の対立や理解の相違を解決する

これらの言葉を見ても分かるように、普通の公立中学校の「学校目標」や「目指す生徒像」とはずいぶん言葉の質が違う。どちらかと言えば、大人の社会で用いられる言葉だ。

麹中の目指す生徒像

しかし工藤校長は、「今までの学校教育は“心の教育”ばかりを謳ってきた。しかしそれではいけない。私が目指しているのは“行動の教育”です。実際の社会では行動が問われることが多い」と語る。

「善い心を持っても、善い行動を起こさなければ、何もしないのと同じ。たとえ、不順な動機でも善いことを行動に移す人の価値が高い」という論は社会のなかで生活していれば納得せざるを得ない。そして、“常に道徳的であれ”という「ある意味、大人でさえもできないことを子どもの目標にしない」、というのも校長の一つのポリシーだ。
この8つの言葉は通知票にも評価項目として追加され、生徒たちは少しずつこの言葉を意識ながら行動するように、変わってきているという。

同窓会から寄贈されたIT教卓「映るんボード」各教室に1機完備されている

「生徒にはいつも、再現性のあるスキルを身に付けるよう話をしています」。経験を繰り返して身につけた力は、その後の人生で繰り返し再現され、再現するたびに強くなる。そのきっかけを与えるのが、中学校の役割であると工藤校長は語る。

普遍的な価値観に慣れてもらい、そこから社会で生き抜く「本物の力」を会得してほしい。そういった願いがあるのだろう。

公立校の限界を打破する、放課後の活用 ~「麹中塾」とサークルの誕生

麹中塾のスケジュール

公立校は国が定めたカリキュラムに沿わなければいけない。その自由度は低い。対して私立校は自由度が高く、学年をまたいだ内容も学ぶことができる。この差は授業だけではどうにも埋められない。それが今の公立校の低迷の原因の一つになっている。
その打開策は案外簡単に、意外なところに見出すことができた。「放課後の活用」である。

従来放課後は、部活で活動をしている生徒以外は早々に帰宅する、というのが一般的だ。だったらそこを、「放課後も残って色々できる学校にすればいいのでは?」というのが、改革の一つの目玉へと結びついた。それが「麹中塾」とサークルだ。

「麹中塾」とサークル活動は放課後に自由参加で行っているもので、イメージとしては部活や生徒会に準ずるもの。学校の教諭ではなく、外部から雇った専門の講師を呼んでいるのが大きな特徴である。

大学の講堂のような階段教室。この日は文化祭の合唱に向けた練習が行われていた

「麹中塾」には「補習塾」と「発展塾」がある。これは図書館に併設された自習スペースを使い、1コマ90分、大学生の指導の下で学習するというもので、「補習塾」ではその名の通り、その週の授業の補習について、大学生にサポートしてもらいながら進める。いわば個人指導型の塾のようなものだ。

「発展塾」は、授業では取り組めない高度な内容について大学生が教えたり、実験をしたり、討論をしたりと、大学生が考案したユニークなプログラムに沿って行われる。塾の講師となるのは東大、理科大、上智大などの名門校の研究室に声をかけ、校長が「一本釣り」をして招いたという学生達。授業内容は彼らに一任しており、工藤校長が唯一依頼したのは「見本であること」だ。「教師よりも身近な存在が大学で学びながら、楽しく・懸命に生きている姿を見せてほしい」。そうした熱意が届いてか、学生たちが面白い授業をするために趣向を凝らし、生徒たちにとって良い刺激となっているそうだ。

工藤校長がサークル等で使えるようにしたという屋上農園

一方、サークル活動の内容も充実してきている。例えばテレビ局から現役アナウンサーを講師に招いての「アナウンス塾」。これは単に喋り方だけではなく、朗読など感情の込め方、分かりやすいプレゼンテーションの仕方など、まさに社会で実践されていることを、教えてくれるという。

武道館・ダンス部の部活風景。いずれは放課後にたくさんの生徒が残って活動をしているというのが理想だという

その他には屋上庭園で野菜を栽培し、それを販売して市場原理を学ぶ「麹中ファーム」についても、これから本格的に稼働させていく。その他、文化祭前の期間限定で行われる演劇サークルなども、外部からプロを招いて行っているもので、サークルの一環である。

今後は授業の中にも「その道のプロ」を招くことを考えており、近日中だけでも、陳建一シェフを招いての家庭科の授業や三國清三シェフによる生き方についての講演が決まっているそうだ。

後編へ続く

千代田区立麹町中学校

校長 工藤勇一先生
住所:東京都千代田区平河町2-5-1
TEL : 03-3263-4321
URL:http://www.fureai-cloud.jp/kojimachi-j/
※※2015(平成27)年10月実施の取材にもとづいた内容です。 記載している情報については、今後変わる場合がございます。

私立のような公立中「千代田区立麹町中学校」の挑戦<前編>/千代田区立麹町中学校 校長 工藤勇一先生
所在地:東京都千代田区平河町2-5-1 
電話番号:03-3263-4321
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さいたま市立七里小学校 丸山 雅夫校長先生

「あ・そ・び・だいすき七里っ子」。児童一人ひとりの可能性を伸ばす取り組みとは


さいたま市見沼区にある「さいたま市立七里小学校」は平成28年度に創立145周年を迎える歴史ある学校。初代校長先生は、第23代内閣総理大臣の清浦奎吾先生。「なかよく助け合う子。なんでもがんばる元気な子。しっかり考えて学ぶ子」を学校教育目標に掲げ、自然豊かな落ち着いた環境で子どもたちは健やかに成長している。そんな「さいたま市立七里小学校」について丸山雅夫校長先生にお話を伺った。

初代校長先生は第23代内閣総理大臣

初代校長先生 23代内閣総理大臣 清浦奎吾

―― 平成27年度で、創立144年を迎える伝統校ですね。これまでの歩みについて教えてください。

丸山校長先生:1872年(明治5年)に大円寺に「風渡野学校」として開校した、市内でも古い学校の一つで、2016(平成28)年には145周年を迎えます。本校の初代の校長先生は第23代内閣総理大臣の清浦奎吾先生で、23歳の時に校長をされ、後に総理に就任されたそうです。本校には、清浦先生の書が残っており、校長室に飾っています。1901(明治34)年4月21日から現在の場所になり、その日は開校記念日にもなっています。同年には、本校のシンボルツリーとなっているクスノキが植えられました。1975(昭和50)年前後には児童数が2千人を超え、校庭にはプレハブ校舎が立ち並ぶなどマンモス校でもありました。

丸山雅夫校長先生

―― 現在の児童数や、教育目標について教えてください。

丸山校長先生:児童数は男子200名、女子209名、合計409名です。クラスの数は1年生と2年生が3学級で、3年以上が2学級、全部で14学級です。教育方針としては、私が着任してから「あ・そ・び・だいすき七里っ子」を合言葉にしています。「あ」のあいさつは人間関係、「そ」の掃除は環境、「び」のびっくりは感動、「だいすき」は興味関心、それを「声」に出すという取り組みをしています。

子どもたちも楽しんで取り組むタブレット端末授業

一生懸命授業に取り組む子どもたち

―― 授業研究部と体力向上推進部、また、さいたま市教育委員会より「教育の情報化」の研究委嘱として取り入れている「ICT」についても教えてください。

丸山校長先生:2014(平成26)年までさいたま市教育委員会より体力向上の研究推進校の指定を受けていたので、授業研究部と体力向上推進部がありました。2015(平成27)年と2016(平成28)年は「教育の情報化」の研究校指定を受けており、その一環として「ICT」の取り組みを進めています。具体的には、およそ一学級分のタブレット端末を用意しており、子どもたちは図工、算数、理科、社会などの授業で、一人一台タブレット端末を使用しています。また、写真を撮ったり、画面に必要なことを書いたり、電子を資料集として使ったりと全学年で授業活用しています。子どもたちは授業にも楽しんで取り組んでいます。

児童も教師も垣根を越え、みんなでつくる七里小

活動の様子を掲示板で紹介

―― 七里小学校ならではの行事や取り組みについて教えてください。

丸山校長先生:2015(平成27)年から「七里っ子タイム」という、木曜日限定のみ昼休みの時間を長くとる取り組みをしています。子どもたちが思い切り遊べるようにと始めた取り組みですが、時には「くすのきタイム」という、縦割り活動の機会を設ける日もあります。「くすのきタイム」では、1年生から6年生で編成した縦割りのグループで子どもたちは活動します。2015(平成27)年には初めて「全校徒歩遠足」という縦割り班での遠足を行いました。6年生が中心となって近くの公園までお弁当を持って出かけ、クラスや学年の枠を超えてみんなで楽しく活動しました。他にも「縦割り掃除」や「交流給食」も行っています。

このような活動を通して、高学年はリーダーシップを発揮し、互いを思いやる心が育まれ、児童間や児童と教師間の人間関係の醸成が図れるようになりました。また2014(平成26)年には児童会が中心となって全児童からアイデアを募り、学校の「ゆるキャラ」を決めました。クスノキの形のキャラで、今後は名前を決めようと準備を進めています。教師だけで物事を決めるのではなく、児童も学校の取り組みに関わりながら、皆で一緒に学校をつくっていることも本校ならではの魅力だと思います。

授業風景

―― 小中一貫教育にも取り組まれているそうですね。

丸山校長先生:小中一貫教育はさいたま市が進めている施策です。本校は「さいたま市立七里中学校」、「さいたま市立東宮下小学校」の3校で定期的に連携をしています。今は中学校から数学と音楽の先生が週に2回授業のために本校に来て、指導にあたっています。また、さいたま市では小中一貫教育推進のために、年に1回「つぼみの日」という交流の日を設けています。その日を利用し、6年生が中学校を訪れ、授業を見たり部活を体験したりしています。この取り組みは中1ギャップへの対策にも繋がっています。また、教師間では各学期に1回、互いの学校を訪問し授業を参観したり、夏休みに長時間の小中合同の研修会を設けるなどの取り組みも行っています。

地域、教員一丸となって支える子どもたちの成長

歴史資料室の展示

―― 地域のみなさまとの関わりについても教えてください。

丸山校長先生:本校は歴史のある学校なので、地域のみなさまは、本校の卒業生も多く、おじいちゃんおばあちゃんも本校の出身という方が多いんです。また、地域のみなさまもそうですし、みんな「七小出身だよ」と、よく話をしています。そのような環境であることから、地域との結びつきが非常に強く、本校に対しても地域のみなさまは応援をしてくれています。登下校の防犯ボランティアは多くの地域の方が積極的に参加してくださっていますし、各行事や授業にもボランティアとして参加していただき、子どもたちにも近い存在になっています。地域のみなさまはとても温かく、学校教育にも協力的です。地域のみなさまへの日頃の感謝の気持ちも込めて、子どもたちが頑張る姿を見て頂きたく、学校公開日を毎学期に設けることに決めました。また、本校には郷土資料室があり、昔の資料や写真を展示しているので、本校を卒業された地域の方や保護者の方が懐かしそうに資料をご覧になっています。

小学校に保管されている昔の教科書

―― 七里小学校に通う子どもたちの特長について教えてください。

丸山校長先生:子どもたちは素直で明るい子が多いです。楽しい時は楽しい、嬉しい時は嬉しいと、全身で表現できる子どもたちです。また保護者の方々も協力的で、特にPTA活動では25年度には「優良PTA」として文部科学大臣賞を受賞しました。「おやじの会」という組織もあり、学校応援団として学校を力強くバックアップしてくれています。例えば2015(平成27)年では、運動会の前日まで大雨で、当日晴れたものの、グラウンドが水たまりでいっぱいでした。けれど、お父さん達がグラウンドを綺麗に整備してくれて、無事運動会を開催することができました。他にも児童が靴を脱ぐときに使うスノコを作ってくれたり、バザーなど色々な活動をしていただいています。本当に有り難いことです。

心を潤す言葉

―― 指導に際して、先生方が心がけていらっしゃることはありますか。

丸山校長先生:職員には「すべてはこどものために」という理念で取り組むようにと伝えています。職員一同、何かに取り組む時に、それが子どもたちのためになっているのか、という尺度で指導するようにしています。子どもたちのために何ができるのか、職員全員が考え、一人ひとりの子どもに温かい指導ができるように心がけています。子どもが中心にいるような学校づくりが目標です。

日本一、子どもの表情が良い、夢の持てる学校にしたい

卒業記念「夢」

―― 今後力を入れていきたい事柄について教えてください。

丸山校長先生:「日本一、子どもの表情が良い、子どもたちが夢の持てる学校にしたい。」と考えています。さいたま市は「ゆめをもち、未来を切り開く、さいたま市の子ども」という学校教育ビジョンを打ち出しています。「知・徳・体・コミュニケーション」のバランスの取れた子どもたちを育みたいというのが、さいたま市の目指す子ども達の「像」です。さいたま市の学校の一つでもありますし、子どもたちがいい表情で夢を持てるような学校になればいいなと思っています。「夢面談」と呼んでいる子どもとの面談を行い、2015(平成27)年の卒業生全員と一人ひとり面談をしました。一対一で話すと本心で話してくれて、「こういうことを考えていたのか」とようやく分かったこともあります。面談した後子ども達に「夢」と書いてもらってそのパネルを校長室に飾ってます。2016(平成28)年も引き続き実施しようと考えています。

子どもたちの作品

―― 最後に、子育て環境としての七里エリアの魅力について教えてください。

丸山校長先生:この街は緑が多く、自然と住宅が調和した地域です。カブトムシがよく採れるような広い公園が近くにあり、また岩槻ICや大きな幹線道路、「七里」駅も近くにあり、交通も便利です。子育てするには大変素晴らしい環境と言えます。

さいたま市立七里小学校

今回お話を聞いた人

さいたま市立七里小学校
校長 丸山 雅夫先生
住所:さいたま市見沼区大字東宮下312
TEL : 048-683-3513

※この情報は2016(平成28)年1月時点のものです。

「あ・そ・び・だいすき七里っ子」。児童一人ひとりの可能性を伸ばす取り組みとは
所在地:埼玉県さいたま市見沼区東宮下312 
電話番号:048-683-3513
http://nanasato-e.saitama-city.ed.jp/

スペシャルインタビュー

街と共に歩み、成長する「八王子市立みなみ野小中学校」/八王子市立みなみ野小中学校 校長 石代俊則先生


20年前の開発で生まれたニュータウン、八王子みなみ野エリアは住民たちの愛情を受け、落ち着いた雰囲気の便利で美しい街へと成長した。駅から住宅街を抜けると、静かに姿を現す「八王子市立みなみ野小中学校」。2009(平成21)年に小中一貫校として新たに生まれ変わった学校は、全校舎2階建ての広々とした校舎で、小中併せて1,000名以上の子どもたちが毎日元気に通学している。今回は学校長の校長 石代(こくだい)俊則先生に、街とともに歩む学校の特徴や、ニュータウンの魅力を伺った。

ニュータウンの誕生と良好な学習環境

モダンな校舎外観。窓も大きくたっぷりと光が差し込む

―まずは学校の沿革からお聞かせください。

石代校長:本校は小学校・中学校とも1997(平成9)年4月に開校し、来年で20周年を迎えます。当時は「八王子みなみ野」駅もなく、周囲は畑や緑地に囲まれた自然豊かな地区だったようです。もともと八王子ニュータウンの開発と共に「八王子みなみ野」駅も開業し、学校も開校したという、まさに街の発展と共に歩んできた学校です。開校当時は小中学校は隣り合ってはいるものの、それぞれ独立した学校でしたが、2009(平成21)年4月から小中一貫校として新たな歩みを踏み出しました。

現在、小学生が6学年合計631名。中学生が合計498名、小中学校併せると全校生徒1,129名が在校しています。

小学校の廊下。外観からは想像もつかないほどふんだんに木材が使われている

―建物も非常にモダンな造りになっていますね?

石代校長:ご覧の通り小中学校ともども全校舎が2階建てで、コンクリート打ちっぱなしのモダンな造りになっています。20年経った今でも印象は変わらず、建設当時はかなり先駆的なデザインだったろうと想像します。駅から歩いて来ても、いわゆる学校らしい建物が現れないので、近くに来るまでどこに学校があるのかが分からないと言われたこともあります。新しい街の雰囲気に合った、景観にそぐわしい建物だと思います。

特に小学校は、低学年の校舎は木をふんだんに使った造りになっていたり、図書室はとんがり屋根で独立した建物になっていたりと、校舎の造り自体が楽しいんです。校庭は広々としていますし、晴れていればベランダから富士山も見えますし、非常に良い環境です。

小中一貫の特徴を生かした教育活動

景色もいい広々とした校庭。部活動をする生徒にとっては非常にうれしい環境だ

―小中一貫ということで、小中学生の交流はどのように行われているのでしょうか?

石代校長:中学3年生が小学校低学年の子どもたちと校内の草取り活動をしたり、小学6年生の子どもたちが“オープンクラブ”と称して中学校の部活動の体験に行ったり、中学の図書委員たちが小学生に本の読み聞かせに来てくれたりと、交流の機会は頻繁にあります。また小学生が「中学校の図書室を探検してみよう」と訪れたり、あえて交流と言うまでもなく自然にお互い行き来をしている、という感じでしょうか。職員室は小中合同ですし、校舎も玄関も中庭もつながっていますので(校庭だけは怪我の無いようにネットを張っていますが)、日常的に一緒にいるという雰囲気です。

また交流とは少し違うかもしれませんが、体育館や校庭など、小学生が放課後に使用しないときは、中学校の部活動で使用しています。普通はバレーボールやバドミントンなどの室内競技は狭い場所で活動したり、曜日交代にすることも多いのですが、本校では施設は目一杯利用できるので、それも大きなメリットです。

小学校の教室の様子

―小中学校の先生方の交流もあるのでしょうか?

石代校長:はい。小中の先生方が一緒に研修や研究授業を行い、それぞれの内容を確認したり意見を言い合ったりしています。昨年は「道徳」の授業で研究授業を行いました。小学校の授業内容を中学の先生が聞くことで、内容や進度を確認し、「どんなところでつまずくのか」「中学で勉強が分からなくなってしまうポイントはないか」などを考え、改善することもできます。また中学での内容を小学校の先生が理解することで、「どう中学の勉強につなげて行ったらよいか」が分かり、授業の組立ての参考にすることもできます。今後は連携する部分をもっと増やしていこうと考えているところです。

壁がなくオープンになっている教室もある

―小学校の子どもたちも中学の先生の顔が分かっていれば、安心ですね。

石代校長:そうですね。ただ私は中学入学時のリセットできるよさもあると思っています。というのは、小学校と中学校では先生の対応から授業の形態までかなりガラリと変化します。それまでは色々と面倒を見てもらえた小学生が、中学に入れば自分で考え判断する機会が増える。生徒会もあって、自治力も試される。つまり大人への一歩を踏み出すわけです。

小中一貫校ということで、小学校と中学校の垣根は低いのですが、その中学への一歩が少しステップが大きいという心構えと、背筋が伸びるような新たな気持ちは持ってほしいと考えています。

とはいえ、例えば中学に入ってから少し学校に来づらくなっている子どもや、小学校の時と様子が変わったなど、子どもに心配な様子があれば、小学校時代を知っている先生が同じ職員室にいる安心感はあります。小学校教諭も中学校教諭も、等しく子どもの健やかな成長を願っているわけですから、強い信頼関係のもと一緒に問題解決にあたりたいですね。

この地区独自の学校への協力体勢

木々や花々が多い学校内。保護者の協力もあってこそ、美しい状態で保たれている

―PTA組織がないというのも大きな特徴ですね?

石代校長:開校当初からPTAという組織ではなく、小学校には「みなみ野会」、中学校には「かたくりの会」という保護者たちのボランティアの会があります。毎年各クラスから選出されたメンバーで構成され、花壇の管理や防犯パトロール、掃除などを行っています。メンバー以外の人数が必要なときは、その都度ボランティアを募い、多くの保護者の方たちが手を挙げてくださり活動してくださっているようです。内容的にはPTAで担う役割を全てカバーしているので、学校としては大変助かっています。当時のことは詳しくは分からないのですが、みなみ野地区が新しい街として誕生したときに学校も開校し、みなみ野独自の新しいやり方で学校に協力しようという気運が高まったのではないかと思います。皆さんの協力的な姿勢や熱心な活動に触れるにつけ、保護者の方々のそういった思いは、今なおしっかり引き継がれていると感じます。

吹き抜けの昇降口

―地域コーディネーターの方はどのような役割を担っていらっしゃるのでしょうか?

石代校長:本校の地域コーディネーターは卒業生の保護者で、長年継続して担当してくださっているので、色々な行事や保護者ボランティアの役割などについて熟知した生き字引的存在です。保護者ボランティアは毎年メンバーが変わるので、コーディネーターの指導やアドバイスがあってこそ円滑に回っているのだと思いますよ。

また私も昨年から赴任したばかりなので、この地域の方々の考え方や感じ方など肌感覚の部分をずいぶんと教えていただきました。実は昨年、子どもたちの多くが感染症にかかったことがありまして、その時に私はコーディネーターに学校の取るべき対応を相談したことがあります。その時は「憶測や噂が飛ぶ前に、学校として公的な文章を出そう」「緊急保護者会を開こう」ということになったのですが、そのときも非常に的確なアドバイスをもらうことができて助かりました。

私自身、学校で起きたことは良いことも悪いこともオープンにしていきたいので、コーディネーターにも保護者ボランティアにも色々相談しながら学校運営をしていきたいと思います。そういう意味でも、コーディネーターは実に頼りになる存在です。

地域の協力を得て江戸東京野菜を育てる体験をしている

―地域の方々と子どもたちの交流はあるのでしょうか?

石代校長:この地域には「みなみ野自然塾」という里山環境の整備や畑作・稲作の活動をする市民団体がありまして、この方々と一緒に田植えをさせてもらっています。また学校のすぐ裏にある小比企町という街に農園をされている方があり、そこに農地を借りて子どもたちが江戸東京野菜を育てています。

「みなみ野サマーブリーズコンサート」に参加した際の様子。写真はみなみ野小の音楽クラブ

また地域の夏祭りに中学校の生徒会の子どもたちが出店を出したり、地域のイベントに吹奏楽部やダンス部の生徒が出演したりもしています。今後は地域の方々との交流をもっと深めたいので、地域の教育資源の発掘にも力を入れていきたいと考えています。

愛される子ども、愛される街

教室風景

―学校での子どもたちの様子はいかがですか?

石代校長:この街の成り立ち自体が、大きめの戸建ての住宅を中心に街づくりをしてきたこともあり、全体的に落ち着いた鷹揚な雰囲気があります。ですから子どもたちの性格や普段の生活態度においても、非常に落ち着いていて、アカデミックな雰囲気があると感じますね。保護者の方々にお会いしても、お父さん・お母さん・子どもがそれぞれの家庭の中で担う役割をしっかりと果たしているのが伝わってくる。学校としては非常によい環境だと思います。保護者会ひとつを取っても、参加率は7~8割とほとんどの保護者の方々が学校に足を運んでくださっています。教育にも熱心ですし、子どものことをよく見ているなぁという印象です。

実は八王子市の中学校は選択制で選べるようになっているのですが、このみなみ野小中学校周辺は治安もよく、子どもの非行率や犯罪率が非常に低いこともあり、毎年多くの希望者が集まります。

放課後の校庭の様子

―この街の魅力を教えてください。

石代校長:先ほども言いましたが、整然と並んだ街並や落ち着いた街の雰囲気を見ていると「ここに住みたい」と思っている人たちが住んでいる「愛されている街」だと感じます。駅前には大型のショッピングモールも建ち並び、かといって高層のビルが建っているわけではなく、少し歩けば自然も緑もたくさん残っている。実に暮らしやすい、住みやすい街だと思いますよ。

また古くから住んでいる人と言っても街の歴史自体が20年ですから、いわば全員がどこか別の土地から引っ越してきた人たち。新しく転入してくる人への目も優しく、温かいと思います。

石代 俊則 先生

今回、話を聞いた人

八王子市立みなみ野小中学校
校長 石代(こくだい)俊則先生

所在地:東京都八王子市みなみ野6-14-2
TEL:042-636-0061
小学校HP:http://hachioji-school.ed.jp/mnmne/
中学校HP:http://hachioji-school.ed.jp/mnmnj/
※この情報は2016(平成28)年7月時点のものです。

街と共に歩み、成長する「八王子市立みなみ野小中学校」/八王子市立みなみ野小中学校 校長 石代俊則先生
所在地:東京都八王子市みなみ野6-14-1(小学校)
電話番号:042-637-1151
https://hachioji-school.ed.jp/mnmne/
所在地:東京都八王子市みなみ野6-14-2(中学校)
電話番号:042-636-0061
https://hachioji-school.ed.jp/mnmnj/

wagashi asobi インタビュー

伝統的な“和菓子”の文化を次世代へと繋ぐ2人の和菓子職人/wagashi asobi 和菓子職人 稲葉基大さん


2011(平成23)年4月のオープンより、大田区上池台のアトリエを拠点に、国内外のイベントや茶会など、海外にも活動の場を広げている「wagashi asobi」。稲葉基大さんと浅野理生さんの2人の和菓子職人によるお店で、「ハーブのらくがん」と「ドライフルーツの羊羹」の2品しか提供しないこだわりも光り、和菓子の未来を切り拓く可能性に満ちた注目のお店です。今回は「ハーブのらくがん」を考案した稲葉基大さんに開店の経緯や和菓子への想い、また地域の魅力についてもお話を伺いました。

こだわりの和菓子が人気の「wagashi asobi」のお二人

地元の方にとって“自慢のできるお菓子”を提供したい

そもそも私は、老舗和菓子店で職人として働くかたわらで、アーティストや陶芸作家、ミュージシャンなどさまざまな業界の人とコラボしながら和菓子の可能性を探求していく「wagashi asobi」の活動を行っていました。ある時、プライベートで通っていたカフェが閉店するのを知り、「この場所を失いたくない」という思いでそのまま借り受けてアトリエ兼店舗としてオープンしたのがこのお店のはじまりです。

もともと石川台から洗足池のあたりに住んでいたため、この長原商店街も地元のような感覚で土地勘はありましたし、地域のみなさまに長年親しんでいただける商店街の小さな和菓子店を目指していた私たちにとってもちょうど良い場所でした。

「wagashi asobi」

地元にお店を開くにあたって大切にしたことは、“地元の方にとって自慢のできるお菓子を提供したい”という思いです。この地域の方々は、手土産を買うのにもわざわざ渋谷や二子玉川まで足を運ぶことが多いですが、この街に“自慢できるもの”を提供することで、この街の方に手土産としても選んでいただけるような、末永く愛されるお店であり続けたいと考えています。

“和菓子”の文化を次世代へと受け継ぐ2人の職人の挑戦

この店で「ハーブのらくがん」と「ドライフルーツの羊羹」の2つの商品に限定したのは、せっかくお店を開いてやるんだったら2人にとって、もっとも得意とする和菓子で挑戦したいという思いがあったからです。上手くいかなかったらそれはそのときで考えようと、今日まで2人で歩んで来られたような状況です。

おしゃれな内装にもこだわりがうかがえる

和菓子業界に目を向けると、店舗の大型化また多店舗拡大により、和菓子やお団子と並んでどら焼きやケーキ、クッキーなど何でも取り扱うお店の業態が主流となり、“おもてなし”にも通じる“和菓子”の文化がいつしか忘れ去られ、“売れるお菓子”を志向している今の状況に疑問を感じていました。

また、“老舗”を良しとする、和菓子に対する世の中の風潮は、若手の独立や開業を難しくしていると感じています。これまで先人たちが培ってきた“和菓子”の文化を次世代へと受け継ぐべく、「wagashi asobi」が小さな支流としてその役割を担っていると考えています。

見た目も美しい2種類の和菓子

和菓子づくりへのこだわりという点では、浅野が「ドライフルーツの羊羹」を、私が「ハーブのらくがん」を考案し共同で作業しています。得意なことに特化しているため、質とクオリティには自信があります。

とは言え、オープンした当初は「何のお店をやっているのか分からない」と地元の方にもなかなかお立ち寄りいただくのが難しく、テレビやメディアを通じてようやく「テレビで見たわよ♪」と徐々に知れ渡り、口コミでお客さんの層を広げてきたような状況です。今ではお客さんの約7割がリピーターの方で、地域の方にも浸透してきたような印象です。

明るいアトリエ兼店舗

「おおたの逸品」にも選ばれた大田区上池台発の和菓子

じつは、浅野のつくる「ドライフルーツの羊羹」は、もともと「wagashi asobi」の活動を通じて、アーティストから「パンのイベントを行うので、パンと一緒に食べる和菓子をつくってほしい」というオーダーをいただいたことから誕生したもので、沖縄県西表島の黒糖とラム酒で炊きあげた羊羹に、ドライフルーツの苺と無花果、胡桃をたっぷり使用しています。

「ドライフルーツの羊羹」

パンに合う和の素材や、和菓子の起源でもある木の実や果物などの食材を照らし合わせ、最良の味や食感の調和を導き出しています。1cmほどの厚さにスライスしてぜひパンと一緒に召し上がってみてください。

思わず手に取ってしまうきれいな外装

切った断面が常に違う“一期一会”の感覚も、まるで抽象画のような視覚的な美しさも楽しめる逸品で、2013(平成25)年度に大田区が認定する「おおたの逸品」に選ばれたのをはじめ、2015(平成27)年度には経済産業省の「TheWonder500™」にも認定され、日本が誇るべき優れた地方産品「ふるさと名物」として大田区上池台発の和菓子が認められました。

「TheWonder500™」の賞状

伝統的な“和菓子”にあらたな息吹きをもたらす職人の技

また、私のつくる「ハーブのらくがん」は、菊や蓮の花をかたどったお供え物としてのらくがんとは異なり、ローズマリーやハイビスカスといったハーブをはじめ、抹茶や果物など香料や着色料を一切使用せず、素材そのものを練り込んだお菓子で、らくがんの新たな楽しみ方を提案しています。

「ハーブのらくがん」

一般的に用いるものよりもきめの細かい砂糖と寒梅粉を使用しているため、口溶けがなめらかですし、素材の美味しさも引き立ちます。ラインナップは「ローズマリー」「ハイビスカス」「カモミール」「抹茶」「いちご」「ゆず」の6種類で、季節によって「南高梅」や今提供している「ほうじ茶」も限定商品として扱っています。

季節の味も楽しめる

「wagashi asobi」では今後も、“和菓子”という文化を次世代へと受け継いでゆくため、「一瞬一粒(ひとつひとつ)に想いを込めてつくる。」を理念に、地域に根ざしたお店として活動していきます。

店内に並べられた和菓子

将来的な可能性を秘めた水辺のある街

古くから水のあるところには文化が育まれてきていますが、吉祥寺にとっての「井の頭公園」のような、「洗足池公園」や「小池公園」といった水辺が近くにあるこの環境には、将来的な可能性を秘めた魅力ある土地として期待をしています。

「洗足流れ」沿いの落ち着いた街並み

代々続くお店が多いなかで、パン屋さんやケーキ屋さんなどあらたに出店するお店もあり、今後ますます感度の高い個人経営のお店が増えていって欲しいなと思います。

街の賑わいという点でも、個々のお店がそれぞれ専門店としてその魅力に磨きをかけることこそが大切で、個々の魅力アップが結果的に人の流れとなって街に活力をもたらすと考えています。個人的にはギャラリーを併設したカフェや本屋さんがあるといいなと常々感じています。

またこの地域のおすすめスポットとしては、「洗足池公園」や「小池公園」については先ほども触れましたが、「洗足池公園」から住宅地へと流れる“洗足流れ”も大好きな街並みです。

春は桜、秋は紅葉と、季節の移り変わりを楽しみながら散策できたり、地元の有志によるホタルを自生させようといった活動もあり、この地域ならではの魅力を感じます。

町の中にある立札

こだわりの和菓子が人気の「wagashi asobi」のお二人

wagashi asobi

(写真左)稲葉基大さん(写真右)浅野理生さん
所在地:東京都大田区上池台1-31-1
電話:03-3748-3539
URL:http://wagashi-asobi.com
※この情報は2015(平成27)年11月時点のものです。

伝統的な“和菓子”の文化を次世代へと繋ぐ2人の和菓子職人/wagashi asobi 和菓子職人 稲葉基大さん
所在地:東京都大田区上池台1-31-1-101 
電話番号:03-3748-3539
営業時間:10:00~17:00
定休日:不定休
http://wagashi-asobi.com/index.html

大田区立貝塚中学校インタビュー

生徒の“自己肯定感”を高める「東京都オリンピック・パラリンピック教育推進校」としての取り組み/大田区立貝塚中学校 校長 岩崎数弘先生


1961(昭和36)年の開校より54年目を迎える、おだやかな住宅地に囲まれた「大田区立貝塚中学校」。生徒の“自己肯定感”を高める取り組みのひとつとして2015(平成27)年度に「東京都オリンピック・パラリンピック教育推進校」の指定を受け、生徒同士で学びあい、鍛えあい、お互いを支えあい、高めあう学校づくりを実践しています。今回は校長の岩崎数弘先生に「大田区立貝塚中学校」の特色と地域の魅力についてお話を伺いました。

古代の人々の営みが息づく「貝塚中学校」

「大田区立貝塚中学校(以下、貝塚中学校)」は、1961(昭和36)年の開校より54年目を迎えます。学級数は各学年5クラスの計15学級506名で、区内では中規模から大規模の学校です。

大田区立貝塚中学校

生徒数の推移としては、ここ2、3年で急激に増え、もっとも多い「馬込第三小学校」をはじめ、「馬込小学校」「池雪小学校」「小池小学校」の地元4校から進学してくる生徒が全体の9割を占めています。
「貝塚」という校名はかつてこの土地が馬込村字貝塚と呼ばれていた頃の地名に由来するもので、古代の人々の営みを現代に伝える貝塚が多数発見されたようです。
また長原方面へと向かう途中にある「貝塚坂」も、周辺に貝塚を伴う集落遺跡が見つかったことから名づけられたようで、この土地の歴史を知る貴重な手がかりです。

貝塚坂

生徒同士で学びあい、鍛えあい、お互いを支えあい、高めあう

2015(平成27)年度の教育目標には「進んで学び、広い視野をもった人間を育てる」、「思いやりがあり、責任を重んじる人間を育てる」、「健康で明るく、たくましい人間を育てる」の3つを掲げ、“笑顔と歌声と活気のある学校”をスローガンに学校づくりを行っています。

校舎入口

詳細については当校のホームページからもご覧いただけますが、生徒同士で学びあい、鍛えあい、お互いを支えあい、高めあうなかで豊かな人間性が育まれることを期待しています。また「挨拶が絶えない学校にしよう」というのも目指す学校像に掲げ、居心地の良い学校の雰囲気をみんなでつくりあげています。

生徒が書いたおすすめの図書

“自己肯定感”を育む「東京都オリンピック・パラリンピック教育推進校」としての取り組み

また学校の特色としては、2015(平成27)年度に「東京都オリンピック・パラリンピック教育推進校」としての取り組みをはじめたことと、同時に「大田区体力向上モデル校」にも指定されています。

校庭からみた校舎

「東京都オリンピック・パラリンピック教育推進校」とは、オリンピック・パラリンピックの歴史・理念の学習、国際的な文化理解、運動・スポーツへの興味・関心を高める取り組みなどを推進するものです。当校としては生徒たちの“自己肯定感”を高めるためのひとつのきっかけとして、この取り組みをはじめました。
また、「貝塚中学校」ではこれまでバレーボール部が全国大会に出場したり、バスケットボール部は区の大会で優勝したり、剣道部やバドミントン部、女子のソフトテニス部なども例年素晴らしい成績をおさめており、生徒たちの良いところを伸ばす取り組みとしても最適でした。

表彰状

“自己肯定感”を高めるためには、勉強に限らず運動でも文化・芸術の分野においても、生徒たちがチャレンジできる機会を増やすことが何より大切だと考えています。
校内をご覧いただくとお気づきになると思いますが、玄関や廊下など多くの人が行き交う場所に生徒たちの美術作品を数多く展示しています。これも“自己肯定感”を高めるためのひとつの取り組みで、自分の作品が校内に掲示されることで達成感や成就感も得られると思います。

受賞したポスター

また基礎的な体力を養うことは、集中力や持続力につながり、運動を通じて規則正しい生活を送ることで時間の使い方も上手になり、結果的に学力向上へと結びつくことも期待しています。

精神的な豊かさを感じられる地域の“人”の魅力

学校周辺の地域の魅力としては、古代の人々がこの土地を選んだことからも分かる通り、山も緑もあって自然に恵まれていた頃の面影は今も住宅地のなかにある農地として残っています。
起伏の多い地形は高齢者にとっては生活のしづらい不便な環境と捉える人もいるようですが、この地域に息づくゆったりとおだやかな雰囲気は実際に訪れてみてはじめて分かる心地良さです。

周辺は落ち着いた静かな環境

地域の魅力を具体的な例として挙げるのは難しいのですが、学校とのつながりという点では町会の方々がフレンドリーで、地域の防災拠点でもある学校の壁塗りを率先して行ってくださったり、ちょっとしたことがあってもギスギスしない物事に対する寛容さにいつも助けられています。

備蓄倉庫の壁塗りも地域と協力して行った

10月に行われた文化祭の「若木祭(わかぎさい)」にも、のべ1,000人もの保護者や地域の方々がご来校くださったようで、地域とのつながりを実感できる貴重な機会でした。

昨今、生活環境の魅力について語る際、駅から近いことや商業施設があることなど街の機能にばかり関心が向けられることが多い気がしますが、感覚的に肌で感じる落ち着いた雰囲気や街の静けさ、また地域に住む方々の精神的な豊かさも“住みやすさ”の大切な要素かと思います。

学園祭の看板

大田区立貝塚中学校

校長 岩崎数弘先生
所在地:東京都大田区中馬込3-13-1
電 話:03-3773-3991
URL:http://kaizuka-js.ota-school.ed.jp/
※この情報は2015(平成27)年11月時点のものです。

生徒の“自己肯定感”を高める「東京都オリンピック・パラリンピック教育推進校」としての取り組み/大田区立貝塚中学校 校長 岩崎数弘先生
所在地:東京都大田区中馬込3-13-1 
電話番号:03-3773-3991
https://www.ota-school.ed.jp/kaizuka-js/

横浜市立川上北小学校 校長 武山朋子先生インタビュー

上級生に学ぶ校風を受け継ぎ 地域ぐるみで輝く子どもたちを育む/横浜市立川上北小学校 校長 武山朋子先生


都心や横浜へのアクセス至便、商業施設や子育て施設が充実していながら、豊かな自然環境にも恵まれている東戸塚。再開発が盛んなこの地域で、「東戸塚」駅が開業する10年以上前に開校したのが「横浜市立川上北小学校」だ。駅前の商業地と住宅地に隣接し、年々児童数が増加している。今回は、武山朋子校長先生に学校の特色や地域とのつながりについてお話を伺った。

地域の方々にとって想い入れある学校

横浜市立川上北小学校

本校は、1969(昭和44)年開校で、平成27年度で創立47年になります。今でこそ「東戸塚」駅から徒歩ですぐそばという場所にありますが、創立当時はこの地域に駅はなく、とてものどかな田園地帯で、子どもたちはずっと平戸の方にある小学校へ歩いて通っていたそうです。それを、地域の方たちが少しずつ土地を出し合って用地を確保し、横浜市にお願いして本校を建ててもらいました。ですから、地域の方たちにとってもすごく思い入れのある小学校なんです。

児童数増加に伴い建替えた新校舎

川上北小学校 廊下

駅前に大きなマンションができたことなどから、児童数はこの10年で3倍に増え、現在30学級の約940人です。戸塚では3番目ですが、横浜市の中でもかなり大規模な学校になります。学区内のマンションから通っているお子さんがかなりの割合を占めていて、今後も学区に新しいマンションが建てば、1,000人ぐらいまで児童数が増えるかもしれません。
児童数の増加にともなって、数年前、校舎も増改築しました。東側にあったプレハブ校舎を鉄筋の新校舎に建て替え、同時に西側の校舎を改修して東西をつなぎ、L字型のとてもきれいな校舎になりました。

元気なあいさつは子どもたちの自慢

横浜市立川上北小学校 絵画

本校の教育目標として挙げられる一つ目は、きちんとあいさつができる子。そして、人の話をきちんと聞いて一緒に考え、活動できる子です。あいさつについては日ごろから教員が積極的に声を掛けていますし、子どもたちも朝校門に立ってあいさつ運動をしています。実際、本校の児童はあいさつがとても上手で、保護者や来校者などからよくお褒めの言葉をいただいています。高学年の子どもたちが積極的にあいさつをするので、それが自然と下の子どもたちにも伝わり、元気なあいさつが自分たちの自慢になっているようです。

国際理解教室を通して各国の文化を学ぶ

川上北小学校 図書室

学習面では、これまで読書活動に積極的に取り組んできました。お母さんたちの朝の読み聞かせはもちろん、保護者や地域ボランティアの方々の協力で、ペープサート(紙人形劇)やブックトーク、おはなしミニコンサートなどを実施しています。
明るく広々とした図書室もあり、2013(平成25)年から司書の方に常駐していただき、子どもたちの読書相談やニーズに応じて本を揃えてもらうなどして、蔵書がすごく充実してきました。子どもたちもよく利用しています。

川上北小学校 図書室

また、横浜市が力を入れている英語学習についても積極的に取り組んでいます。本校では、英語活動と国際理解教室のふたつの授業を行っていて、どちらも英語で話す外国人の先生がいらしています。英語活動では、各クラスとも英語専任の教員がメインで担任がサブティーチャーとなり、アクティビティを中心に楽しく英語活動をしています。また、国際理解教室は横浜市が昔から行っている取り組みで、言葉を学ぶというよりは、いろいろな国の文化に触れることを目的としています。2014(平成25)年はガーナの先生に来ていただいていますが、子どもたちは全く屈託なく英語を楽しんでいます。

いきいきと活動する!『わくわく三大行事』

川上北小学校 掲示

行事については、子どもたちがいきいき活動し、輝けるようにと「わくわく運動会」、「オータムコンサート」、「わくわくランド」という“わくわく三大行事”を開いています。
4色対抗の「わくわく運動会」では、オープニングやファイナルセレモニーの企画運営をする「セレモニーSP(SPはスーパープロジェクトの略)」、各色の応援を担当する「応援SP」など、計9つのプロジェクトチームに分かれて自分たちで運動会を作り上げます。毎年大々的に開催していて、2014(平成27)年は保護者や地域の方たちを合わせ、3,500人で校庭がいっぱいになりました。
また、毎秋、2日間にわたって開催している「オータムコンサート」は、各学年による歌や合奏の発表会で、学年ごとに子どもたちが成長している姿が見られます。

川上北小学校 栽培

2月に開催する「わくわくランド」はいわば、学習発表会です。それまで各学級や学年が生活科や総合的な学習の時間で取り組んできた学習を、ほかのクラスの子や保護者に見てもらう場となっています。例えば、5年生は今、東戸塚にある牧場の牛乳を使ったアイスクリームなど地域の特産品について調べていますし、6年生は備蓄品の調査や起震車の体験をするなど防災について調べているので、そういった発表が見られるのではと思います。

「川北体操」で体力づくり

川上北小学校 校庭

また、体力づくりについては、各クラス対抗のなわとび集会を設けていて、それに向けた縄跳び週間では休み時間もクラスで一生懸命練習しています。また、運動会で音楽に合わせて簡単なストレッチと体操をする「川北体操」を作ったので、毎週月曜日の朝は全校生徒でこの体操をしてから朝会を開いています。

部活や校庭のシェアで交流を深める

川上北小学校 廊下

周辺の小・中学校、保育園との交流も行っています。本校と「横浜市立名瀬小学校」は「横浜市立名瀬中学校」の学区にあたり、3校は教師間でも交流があります。特に「横浜市立名瀬中学校」とは、同校のブラスバンド部を招いて地域音楽祭を開き、中学生と6年生の演奏を地域の方に聴いていただくという活動をしています。また、すぐ隣の「横浜市川上保育園」からは、園児たちがよく校庭に遊びに来ています。自由に来てもらえるようにしているので、授業中などで空いている時間帯に校庭の遊具で遊んでいますね。

上級生への憧れが学校全体の成長へと繋がる

川上北小学校 花壇

本校の子どもたちの特長は、素直さ、明るさ、優しさ、前向きさです。特に、上の学年の子どもたちに下の学年の子どもたちが憧れを持っているところが素敵だなと思います。運動会では各色の応援団長が全学年の子どもたちを集めて一緒に応援練習をしたりするんですが、そうやって先頭を切っている6年生の姿を見て、下の子たちが「カッコいいな」と憧れる。6年生の姿を見て学ぶというのが、本校の伝統になっています。

保護者・地域が一緒に子どもたちを見守る

川上北小学校 校庭

地域の方々との連携については、読書活動だけでなく、クラブ活動でも保護者ボランティアの方にサポートや見守りなどで協力していただいています。PTA役員のみなさんもとても協力的で、運動会前の校庭の草むしりや夏休み中のラジオ体操など、積極的に参加してくださっています。

川上北小学校 かわきたっこ

近年始まったのが、“見守りPちゃん隊”です。朝の通学時、交差点などで保護者の方たちに黄色い旗を持って子どもたちの登校を見守ってもらうという活動で、校外委員さんの協力で全家庭に1本ずつ旗を配り、持ち回りで参加をしていただています。保護者の方たちに登校の様子を実際に見てもらうことで、危険な場所やよくない歩き方に気付いていただけますし、地域の方からもお母さんたちが一生懸命やってくれていると好評です。
このほか、地域の老人会の方たちが毎朝、グリーンのベストを着て1年生の子どもたちを送り出し、下校時に学校まで迎えに来てくださっています。保護者・地域が一緒に子どもたちを見守っていこうというのが、本当にありがたいですね。

今後は横浜市の研修を受けた「学校・地域コーディネーター」をつなぎ役に、これまで個別に活動してきた地域・PTA・支援団体・有識者の各代表などを“川北っ子支援隊”としてまとめていくことで、子どもたちの育ちを支えていく人や組織のネットワークを作っていきます。

自然や人とのつながりといった温かさが残る街

横浜市立川上北小学校

東戸塚という街は、買い物施設が充実しているなど、大人の生活にとっても便利ですが、ちょっと駅から離れるとのどかな畑があり、地域のお年寄りが子どもたちに気軽に声をかけて見守ってくれる街です。学校近くの団地にはすごく立派な桜並木があって、その近くの公園でクワガタが見つかるとか、豊かな自然がたくさん残っています。学習活動でも、子どもたちが近くのお店で社会科の学習をしたり、畑で農家の方からお話を聴き、芋ほりをさせていただいたりしています。便利さもあるけれど、自然や人とのつながりといった温かさが残っているところが東戸塚の魅力ではないでしょうか。

横浜市立川上北小学校 校長 武山朋子 先生

今回お話を聞いた人

横浜市立川上北小学校
所在地:横浜市戸塚区川上町 63-1
電話番号:045-822-0845
http://www.edu.city.yokohama.jp/sch/es/kawakamikita/
※この情報は2014(平成26)年12月の取材を基に作成した記事です。

上級生に学ぶ校風を受け継ぎ 地域ぐるみで輝く子どもたちを育む/横浜市立川上北小学校 校長 武山朋子先生
所在地:神奈川県横浜市戸塚区川上町63-1 
電話番号:045-822-0845
http://www.edu.city.yokohama.jp/sch/es/k..

新一グループ株式会社 代表取締役 福原稔さんインタビュー

「東戸塚に住んでいて良かった」 そう思えるような街にしていきたい。新一グループ株式会社の取り組みとは/新一グループ株式会社 代表取締役 福原稔さん


1980(昭和55)年に開業したJR横須賀線の「東戸塚」駅周辺は、かつては「線路沿いの農地」だった地域だが、開発により現在では横浜市内でも屈指の人気を誇る住宅地に成長した。その開発はしばしば、「民間活力によって生まれた街」とも形容されるが、実際に、故・福原政二郎という一人の実業家の情熱によって、街の礎が作られてきた。今回は父である福原政二郎氏の理念を引き継いで精力的に活躍しておられる、新一グループ株式会社代表取締役、福原稔氏にお話を伺った。

福原政二郎氏が指揮を執った開発への道

開発の指揮を執る福原氏(中央)

はじまりは昭和30年代ごろです。私の父が、東戸塚の開発をするということでこの街に来まして、「東戸塚に新しい駅を作る」ということをまず第一の目的にして、開発に着手しました。最初は信濃中央(地区)から区画整備を始めようとしたんですが、反対もあったそうで、先に秋葉や名瀬など、周りから開発が進められることになったそうです。

開業当時の「東戸塚」駅

地元で農業を昔からやっていた人は、駅はできてほしいけれど、開発ということに対してはやっぱり不安だったんでしょうね。だから当時は反対に回る人が多かったようです。でも、しっかりと説明をして納得して頂き、今はそういう方もビルのオーナーさんになっていて、開発をして良かったと言ってくれています。

「陸の孤島」と呼ばれていた東戸塚

緑あふれる開発地域

開発前、この周辺エリアはほとんどが農地と山でした。農地があって、その間に谷戸があって、周りは山。バスも1日に何本かしか無く、地主さん以外は住んでいないような場所で、横浜市でありながら、「陸の孤島」とも言われていました。私はその頃小学生で、六角橋に住んでいたのですが、この辺りには夏休みに来て、カブトムシを捕ったりして、よく山で遊んでいましたね。そんな場所でしたよ。

バブル崩壊の影響で難航したまちづくり

「オーロラシティ」

現在、東戸塚のシンボルとなっている「オーロラシティ」は1999(平成11)年の開業で、この街の中では新しいほうの施設ですね。もともとは、もっと早いスピードで開発が進む予定だったのですが、ちょうどバブルの時期とぶつかってしまったので、開発がかなり遅れました。これに拍車をかけたのが、環状2号線の開通の遅れですね。オーロラシティには西武百貨店が入る予定があり、百貨店というのはかなり広範囲からお客さんを呼ばないと成り立たないですから、車で来るお客さんが重要で、結局環状2号線の開通に合わせて、予定よりもだいぶ遅れてのオープンになりました。

開発計画

上品濃地区などは、もともと企業の研究所用地としての開発をしていました。企業の研究所を作るという話もありましたが、バブルが弾けてしまって研究所どころではなくなってしまったので、研究所用地を住宅用に変更できるように地区計画の変更なども行って、そこから新しい住宅の開発を始めて、ようやく、上品濃の開発が完成しました。

“民間活力による開発”が街の発展へと繋がる

西口のビル

開発の内容については、住宅地を中心とした地区計画へとシフトしていきました。駅西口側のビルも、もともとはオフィスだけが入る予定だったのですが、時代のニーズに合わせて地区計画から根本的に変更し、10階以上をマンションにできるように変えました。時代の変化に応じて、そういう風に地区計画を変えていくことで、ニーズに合った環境が提供できるんですね。

「東戸塚」駅 東口

将来的にはさらに人口が増えていくと思われますので、次の開発をやる時には、50年後100年後を見据えた開発が必要になってくると思います。今までもそうだったように、民間で協力をしながら進めてきた”民間活力による開発”を今後も続けていきたいと思っています。

2つの街づくり推進協議会で常に客観的な視点を

「東戸塚」駅 東口ロータリー

東戸塚には、街づくり推進協議会が2つありますが、もちろんそれぞれに役割があります。ひとつが「東戸塚駅周辺街づくり開発委員会」というものですが、これは東口のことです。東口にはもともと地区計画や細かい規定が無いもので、それに代わる街づくりの決まりごと、たとえば壁面後退などについて、決まりを守って建築をしてもらおうということで、この委員会ができています。建築確認を取る前に一度申請を出してもらって、認可を出しているというのがこちらです。

「東戸塚」駅西口

一方、西口側のエリアにはもともと地区計画があるんですが、それによって縛りがある地域なんです。ですので、もうひとつの「東戸塚西地区街づくり協議会」では、そこの地権者さんに集まっていただいて、先ほど言ったように、時代が変わった時にこの用途だと良くないね、といったことがあれば再検討をしていく、そういった団体になっています。

※「ヤマダ電機テックランド東戸塚店」は2016年2月に閉店いたしました

コミュニティFMラジオもインフラのひとつ

「エフエム戸塚」

実は、コミュニティFMラジオ局の「エフエム戸塚」もこの街のインフラのひとつなんです。本来は、災害時に緊急放送をするための放送局です。私が代表をしていますが、協議会の人たちが発起人となり、戸塚区の方々に株をもってもらって、戸塚区の放送局として、ずっと残っていってくれればと思います。

目標は新陳代謝が進む街

「東戸塚開発記念碑」

将来的には「コンパクトシティ」を作ろうという話はしています。開発が一段落した段階で、何が足りないのかということを考えて、それを今後の開発の中で取り入れていく、ということが進んでいくと思います。

東戸塚周辺を俯瞰する

一例ですが、例えば東戸塚には映画館が無いので、今後そういった話も進むかと思いますが、こういった施設は早くに作りすぎてもいけないんですよ。経営が成り立たないんです。これくらい街が成熟してきたら経営が成り立つ、というタイミングがあります。だからそういった施設を、今後は造っていくことになると思います。
この街も年数で言えば30歳代になって、ようやく落ち着いてきましたから、これから50歳100歳になった時に若々しくいられるためには何が必要か、ということを考えていきたいですね。

あとは、この街の中で新陳代謝が進む仕組みも作っていきたいですね。駅近くの便利な場所には、団塊の世代の方が30年ぐらい前に購入したマンションが多いわけですけれど、今はそういった方々も現役を引退して、今後は介護付き住宅のようなものも必要になってくるでしょう。駅前に暮らしてきた方が新しいタイプの住宅に移動して、若い世代の方は駅前中古物件を買うことができる、そういった風に街の中でうまく循環するような街づくりをしていかないといけないと思っています。そのためにも「東戸塚に住んでいて良かった」と思える街にして、また同じ街に住んでくれるようにしないといけないですね。

バランスの良い街で充実した暮らしを

東戸塚再開発地域の駅前広場

やっぱり、子育て世代の人たちには非常にいい街だと思いますよ。緑は多いですし、横浜市全体では子どもの数が減っていますけれど、東戸塚だけは子どもが増えているという状態です。街に住む人の世代バランスも良いですね。開発が遅れたということが、逆に非常にいい傾向に結びついているんです。一度に開発が進んでしまうと、みんな一斉に年をとってしまいますけれど、東戸塚は開発が遅れたことで、いろんな世代がじわじわと増えてきました。

そういった意味では、若い方からお年寄りまでいろいろな世代が暮らしていて、生まれた時から老後まで、過ごしやすい街にできているのかと思います。これからは「コンパクトシティ」の完成を目指して、わざわざほかの街に行く必要が無いくらい「東戸塚は何でもあるよね」という街にしたいですね。みんなで一緒になって東戸塚をもっといい街にしていきたいです。

 

今回お話を聞いた人

新一グループ株式会社
代表取締役 福原稔氏
http://www.shin1.co.jp/
※この情報は2014(平成26)年12月の取材を基に作成した記事です。

自ら考え表現する力の育成に力をいれる学校/練馬区立光が丘四季の香小学校 校長 高野博文先生


都営大江戸線「光が丘」駅周辺には、「都立光が丘公園」のほかに、「四季の香公園」、「春の風公園」、「夏の雲公園」、「秋の陽公園」と4つの大きな公園があり、それぞれの公園近くには、公園と同じ名を持つ小学校がある。今回は「四季の香公園」に隣接した「練馬区立光が丘四季の香小学校」の教育方針や活動、さらには地域の魅力について、校長の高野博文先生にお話を伺った。

2010年に開校した新しい学校

高野博文校長先生

――2010(平成12)年開校と新しい学校ですが、開校までの経緯を教えてください

高野先生:2008(平成20)年に「光が丘第一小学校」と「光が丘第二小学校」の統合準備委員会を発足し、2009(平成21)年に「光が丘四季の香小学校」という校名に決定しました。2年間の統合準備期間を経て、2010(平成22)年4月に正式に開校しました。2つの小学校が統合してできた学校ですが、教職員、保護者の方々も1つに結束しており、とくに保護者の方々の「地域全体で子どもたちを育てよう」という積極的な姿勢には助けられています。

普通学級と通級指導学級や各種専門教室のほか、特別なものではランチルームがあります。ランチルームでは、月に1回お誕生給食を開いたり、音楽会の練習、放課後の学童保育で使用するなど、多目的ルームとなっています。放課後のサポートも、在学中のお子さんを持つ保護者の方や一般の地域住民の方が「学校応援団」として、子どもたちを見守ってくれています。

ランチルーム

――教育目標と、それを目指すにあたって特に力を入れていることを教えてください

高野先生:教育目標は「自ら考える子」「思いやりのある子」「たくましい子」の三本柱で、現在は「自ら考え表現する力」の育成に力を注いでいます。たとえば、3年生以上の算数の少人数指導や、国語科を中心とした研究を進めることで、児童の表現力を伸ばす教育に力を注いでいます。また、遠足・社会科見学などの行事では、社会マナーや協調性などを養えるよう、バランスを考えた教育を目指しています。

学校としては、「楽しい学校」「安心できる学校」「きれいな学校」でありたいと考えています。「楽しさ」は友だちと遊んだりする楽しさだけでなく、“学ぶ楽しさ”、“発見する楽しさ”、“知らなかったことを知る楽しさ”、“できなかったことができるようになる達成感”なども感じられるようにしたいですね。「きれいさ」についても、外観や施設の清潔感だけでなく、教職員同士の情報共有や、学内の情報を包み隠さない、正確な情報を正しい経路で保護者の方たちに伝える“開かれた学校”としての「きれいさ」も表しています。

自ら考え表現する力を育てる

校門

――国語科での具体的な活動を教えてください

高野先生:国語科では、全学年それぞれのレベルに合った研究授業の中で「自ら考え表現する力」を育成しようというもので、2015(平成27)年からスタートしました。一時間の授業ごとに課題を設けるのですが、まず「自分で学びタイム」で児童一人ひとりが課題について考え、その後、グループでそれらを意見交換する「学び合いタイム」を行うことで、お互いの意見を交換します。他人の価値観を知った上で、「振り返りタイム」でさらに考えを深めていくという流れです。実は、以前から理科でもそうした授業体系を構築していたので、それを「国語科」に応用した形になります。「自ら考え表現する力」の育成については、「国語科」が中心にはなっていますが、全科目を通じて、子どもたちが自ら考えたり、他人の意見や主張を聞いたりする姿勢を養っていけるような授業を行っています。

すでに学習の流れがしっかりと出来上がっているため、「学び合いタイム」では子どもたちから活発に意見が出ますが、中には自分の価値観を積極的に表現できない子どもいます。そうした子どもたちにはワークシートなどを書いてもらうことで、できる限り、自らの考えを表現できるようなサポートを行っています。

校内の掲示物

――そのほか、特徴的な取り組みがあれば教えてください

高野先生:異学年交流やなかよし班活動などを通して、児童相互の交流を図ることで自己肯定感を育み、いじめや差別のない学校づくりを推進しています。いじめに成長してしまいそうな芽を発見したら、それが芽の内に解決するように、教職員がいじめとなる初期段階で察知するアンテナを高くするよう全校で共有しています。教職員に対しても、担任ひとりが悩まずに、教職員全員で考える風土が醸成されています。

さらに、本校は特別支援学級の拠点校となっており、「こぶし学級」というものがあります。「こぶし学級」は、在籍している通常学級に通学しながら、週に1日「こぶしルーム(特別支援教室)」に通い、自分の課題に合った学習に取り組んだり、支援を受けるスタイルとなっています。「こぶし学級」には担任が5名と、特別支援教室専門員が1名在籍しています。「こぶし学級」を通して、子どもたちに思いやりの心を育んでいけることを願っています。

こぶし学級

小中が連携して道徳心を育む

――周辺の学校との連携についてはいかがでしょうか?

高野先生:「光が丘第一中学校」との一貫教育を行っています。“児童・生徒・教師間の豊かなコミュニケーションを育む小中の連携”をテーマに、年4回の合同研修会や、授業・行事・生活指導などで連携を深めています。また、本校の児童がスムーズに中学校に移行できるよう、6年生になると中学校の授業や部活の見学も行っています。

教員同士も各教科の情報共有を行っており、「道徳」の授業では、教職員研修センターとも連携しつつ、小学校の授業内容を中学校に検証してもらい、中学校からフィードバックするなど、積極的な取り組みを推進しています。「道徳」の授業だけでなく、たとえば、家庭科であれば「家族の一員としての生活」、図工であれば「情操教育を通じての道徳観」、社会科であれば「社会形成者の自覚」といったように、全科目に道徳的な要素を盛り込んでいます。さらに、生活指導においても、より道徳的な考え方に配慮した指導を行っています。

図工室

――校長先生から見た「光が丘四季の香小学校」の印象を教えてください

高野先生:本校に着任して驚いたのが、8時半から開始する児童朝会でのことです。教職員・児童が8時半前に全員きちんと並び終わっていたのです。あたり前のようで、400~500人の児童がいる小学校では、意外と完璧にできることではありません。児童はもちろん、本校の規律の良さ、時間を守る意識など、教職員の意識が高いことも実感しました。

また、個人的な感想ですが、子どもたちが明るく元気であること、人懐っこいかわいらしさがあります。まさに“子どもらしい子どもたち”と言えると思います。保護者の方たちの協力体制も素晴らしいです。先日も、PTA主催のイベントを行ったのですが、教員や保護者だけでも約40人集まって、イベントを盛り上げてくれました。そんな地域との連携やPTAとの円滑なコミュニケーションは、副校長の力も大きいと思います。

地域連携により、地域全体で子どもたちを育む

地域や保護者の協力も手厚い

――それでは、地域連携について副校長先生からも教えてください

関根先生:本校は有志による「学校応援団」があり、在校中の生徒の保護者だけでなく、卒業生の保護者も参加して、児童を見守ってくれています。PTAも意欲的かつ協力的な方たちが多く、PTA主催のイベントでは「子どもたちが楽しめる環境を作ろう」という想いが実感できます。また、年に1回開催される「応援団まつり」では団長を中心に部会が設けられ、多くの模擬店などで参加してくださいます。児童と保護者で500人くらい集まり、私も驚いたほどです。さらに、本校が所属する青少年育成委員会の第五地区主催で、潮干狩りやミカン狩りといった行事も開催しました.

地域イベントとしては、光が丘の地区祭が行われた際、本校の図工作品展示を行ったり、金管バンドの演奏も行いました。どのイベントも、児童やその保護者の方々の参加率が高いのも特長と言えます。「光が丘公園」という自然環境面だけでなく、近隣住民の人たちに見守られている点でも、このエリアの子どもたちは恵まれていると思います。

――子育て環境としても恵まれた街だということですね

関根先生:先ほど挙げた「安心できる学校」という点においても、近くに防災公園でもある光が丘公園があるのも心強いですね。避難訓練も実態に即した実践的なスタイルで行っており、訓練のための訓練はしていません。また、「光が丘公園」の敷地内でも400~500名の児童を避難させるにはどの場所が安全かも検討しています。

光が丘公園

――光が丘エリアの街の魅力を教えてください

高野先生:光が丘という街は、新しく整備されて作られた街で、「光が丘公園」をはじめとするいくつもの公園もあるので、街並みとして圧迫感がないところでしょうか。また、警察、消防署、郵便局、図書館といった公共施設も多く、全てを近隣で済ませられる点でも便利だと思います。何より、「地域全体で子どもたちを育てよう」という姿勢を持った方たちが多いのが、最大の魅力ではないでしょうか。

光が丘のメインストリート

練馬区立光が丘四季の香小学校

光が丘四季の香小学校

校長 高野博文先生、副校長 関根幸男先生
所在地:練馬区高松5-24-1
TEL:03-3977-2712(事務室)
URL:http://www.shikinokaori-e.nerima-tky.ed.jp/
※この情報は2016(平成28)年11月時点のものです。

自ら考え表現する力の育成に力をいれる学校/練馬区立光が丘四季の香小学校 校長 高野博文先生
所在地:東京都練馬区高松5-24-1 
電話番号:03-3977-2712
http://www.shikinokaori-e.nerima-tky.ed…

草加市高砂スペシャルインタビュー

この街をもっと魅力的に!草加に新たな流れを生むカフェ/cafe gallery CONVERSION 店主 今井慶子さん


2006(平成18)年のオープンより、市内でも数少ない個人経営のカフェとして親しまれている「cafe gallery CONVERSION(カフェギャラリーコンバーション)。築50余年の空き家を活用した趣のある佇まいは、小さな子どもを連れたお母さんからご年配の方まで幅広い層のファンが訪れる地域の憩いの場のような空間です。今回はこちらの店主であり2歳のお子さんのママでもある今井慶子さんに、お店へのこだわりや、草加の街の魅力についてお話を伺いました。

地元にあった築50年の空き家を活用して念願のカフェをオープン

cafe gallery CONVERSION(コンバージョン)

――まず、お店をオープンしたきっかけについて教えてください。この場所を選んだ特別な理由がったのでしょうか。

今井:この場所にお店を開いたのは、私自身が草加で生まれ育ったというのがもっとも大きな理由のひとつで、「いつか自分のお店を開くんだったら、地元でやってみたい」という想いは常にありました。市役所から近いこの物件にしたのは地元の知人からのすすめがあったこと、そして築50年の空き家で安く借り受けることができたという決め手があったからです。

お仕事中の今井さん

今井:お店をオープンした当時は、まだ“リノベーション”とか“古民家カフェ”といった言葉がまだ広く知られていない時期で、業者に頼らず内装から家具、インテリアもすべて地元の同級生や前の職場の仲間にも手伝ってもらって手づくりで仕上げました。

歴史や作り手の想いが伝わるような居心地の良い空間づくり

落ち着いた雰囲気の店内

――お店の特色、コンセプトについても教えてください。

今井:私自身が新しいものよりも歴史の感じられる古いものが好きなため、店内にある家具やインテリア、食器、雑貨類などもすべてアンティークや手づくりのものを中心に使っています。オープン当初は私が陶芸作家として制作していた頃の食器ですべてを揃えていたのですが、今は知り合いの作家さんやいろいろな作品を料理や季節に合わせながら使っています。

店主作成のタイルを使用した机

今井:ちなみにこのテーブルにタイルを貼ったのは私ですし、隣の木製のテーブルも仲間が作ってくれたものです。店内にある一つひとつのものに作り手の想いが込められている、私自身も大好きな居心地の良い空間です。店名の「CONVERSION(コンバーション)」とは、今でこそ耳にするようになりましたが建築分野の専門用語で、「改装、改築」「改変」を意味する言葉で、「このお店を通じて草加の街の流れを変えてやろう!」という意気込みでつけました。今となってはちょっと恥ずかしい気持ちもあり、当時よりもう少し気楽に構えて気負わずにやっています。

地元の野菜を積極的に取り入れた食事メニュー

ボリューム感のある「ほっとけーき」

――おすすめのメニューや、こだわりのポイントはありますか。

今井:ボリューム感のある「ほっとけーき」と16時までゆっくりお楽しみただけるランチがおすすめです。ランチは日替わりの定食をはじめ、パスタ、カレー、「ほっとけーきランチプレート」(950円)など季節や仕入れによって内容が変わります。

日替わり定食も人気

今井:小さな子どもを連れたお母さんからカフェめぐりをしている若い女性の方、年配のご夫婦まで幅広い層のお客さまがいらっしゃるため、扱う食材についても化学肥料をなるべく使わないで栽培された野菜をはじめ、安心・安全なものに配慮して仕入れるようにしていますし、また地元で採れた野菜も積極的に取り入れるようにしています。なかでも小松菜、えだまめ、くわいは草加の特産品としても有名で、こうした地元の食材を活かしたメニューもぜひお楽しみください。

小さな子どものいるお母さんも参加しやすいイベントも開催

――お店ではカフェだけでけでなく、イベントも主催されているそうですね。

今井:はい。飲食だけでなく、音楽イベントや手づくり市、絵本の読み聞かせなど小さなお子さんのいるお母さんも参加しやすいさまざまなイベントを開催しています。また、店内には作家さんによる展示や物販コーナーも用意して、展示している絵本や雑貨など実際に手にとって感じることができるギャラリーとしての役割も担っています。

絵本や雑貨などの展示コーナー

今井:イベントや展示は私が企画することもありますし、持ち込みのイベントもあるので、「やってみたい」とか「興味がある」といった方はぜひ一度ご来店ください。開催スケジュールやイベントの詳細についてはホームページやブログ、フェイスブックでも紹介しているのでそちらも合わせて覗いてみてください。

草加に生まれ育ったからこそ言える“もっと素敵な街にしたい”

お店の雰囲気が伝わる看板

――地元、地域の魅力について教えてください。おすすめのスポットはありますか?

今井:「草加の魅力は?」と聞かれて、ぱっとは思いつかないのが草加に生まれ育った私にとっての率直な感想です。もちろん地場産業として有名な「草加せんべい」や観光名所としても知られる「草加松原」の松並木もありますけれどね。当時、「CONVERSION」という名前でお店を開いたのも「草加の街の流れを変えたい! 人の流れを変えたい!」と思ったからですし、お店について言えば、草加市内には全国チェーンのお店こそ数多くあるものの、個人のお店はまだまだ少なくもっと魅力的なお店が増えることを願っています。

笑顔が素敵な今井さん

今井:このお店で飲食だけではなくイベントやギャラリーなど幅広くチャレンジしてきたのも、地元にお店を開いて子どもも産まれ、このままこの街に住み続けていくのであれば、これからこの街で成長していく子どものためにも“もっと素敵な街にしたい”という想いがあるからこそで、お店を通じて草加の魅力を発信していきたいと思います。

今井:また2015(平成27)年度から縁あって草加市の産業振興課による「そうかリノベーションまちづくり構想検討委員会」にも参加させていただいています。遊休不動産をリノベーションしてあたらしいまちづくりへと挑戦する試みが今ちょうど動きはじめたところなので、行政と民間、大学などの外部有識者による取り組みにも注目してほしいですね。

草加市在住フルーティスト宮川悦子による草加市への提供楽曲、【草加松原】

今井:参加者のなかには小さな子どもを連れたお母さんや、まちおこしに関心のあるOLの方もいらっしゃったりとさまざまで、「そうかリノベーションまちづくり」の活動を通じて子どもも一緒に楽しめるイベントなども企画してきたいと思います。

身近な場所に生活施設も揃う、自転車でも生活しやすい子育て環境

礼場川岸公園

――子育ての環境としてはいかがですか?

今井:子育て環境という点では、市内には子どもと遊べる公園が身近な場所にありますし、買い物も身近な場所ですませられるため子育て世帯にとっては生活しやすい環境だと思います。

通称SL公園

今井:以前、子どもを自転車に乗せて市内4ヵ所の公園を巡ったこともあるのですが、「草加」駅の西口にある「草加神社」に隣接した通称SL公園をはじめ、「日枝神社」の境内にもちょっとした遊具があり、車よりも自転車のほうが散策しやすく、近所の小学校にある藤棚など季節の変化を子どもと楽しむこともできておすすめです。

また「草加松原」の遊歩道は散歩やジョギング、朝はラジオ体操なども行われているようで、草加市民にとっての憩いの場になっています。それと草加では“よさこい”への取り組みも盛んで、11月3日(祝)に開催される「草加ふささら祭り」で披露されるよさこいは、お子さんと一緒に足を運んで見ていただきたい草加ならではのイベントです。

cafe gallery CONVERSION(コンバーション)

cafe gallery CONVERSION(カフェギャラリーコンバーション)

店主 今井慶子さん
所在地 :埼玉県草加市高砂1-10-3
URL:http://www.cafegalleryconversion.com
※この情報は2016(平成28)年2月時点のものです。

この街をもっと魅力的に!草加に新たな流れを生むカフェ/cafe gallery CONVERSION 店主 今井慶子さん
所在地:埼玉県草加市高砂1-10-3 
電話番号:048-928-0188
営業時間:11:00~19:00(L.O.18:00)※ランチは11:00~16:00
定休日:日曜日
http://www.cafegalleryconversion.com/

みよしまつり実行委員会 山田さん(三芳町商工会会長)・三芳町自治安心課 小川さん

住民の想いがこもった夏の催し。“良きふるさと”を多くの人に伝える「みよしまつり」/みよしまつり実行委員会 山田政弘さん・小川智東さん


ベッドタウンとして開発が進められている三芳町は、東京都に最も近い町。都心部へのアクセスに優れている一方で穏やかな住環境が整っている。その三芳町で、毎年夏の終わりの風物詩として開催されている「みよしまつり」。“ふるさとのお祭り”とも言うべき「みよしまつり」を主催・運営する、実行委員会の山田さん(三芳町商工会会長)と三芳町自治安心課の小川さんに、祭りの概要や三芳町の魅力について伺った。

楽しさいっぱいの「みよしまつり」

三芳町商工会 会長 山田政弘さん(左)と三芳町自治安心課 副課長 小川智東さん(右)

―2015(平成27)年9月5日(土)に開催される「みよしまつり」。まずは、概要から聞かせてください。

小川:「みよしまつり」は、今年で25回目の開催となります。「三芳町立運動公園」をメイン会場に、子どもたちが生涯忘れ得ぬ故郷での楽しい思い出になるように、町民と力をあわせて築いていく“住民手づくり”のお祭りです。

―どれくらいの方が来場されるのですか?

山田:昨年は45,000人が来場されました。しかし会場内だけでなく、遠くから花火を楽しんでいる方も多いので、間接的な参加者を含めると相当な数になると思います。来場されなくても、例えばそれぞれご自宅の玄関先などからも花火を眺めて楽しめるお祭りになっています。

フィナーレの花火(※写真提供三芳町)

―やはり花火がイチオシですか?

小川:花火も魅力のひとつですが、“花火大会”というわけではないので、それ以外のイベントにも注目してもらえたら嬉しいですね。「みよしまつり」を担当している部署は、観光を担当する課ではなく自治安心課。つまり、もともと外部から人を集めようというよりも、地域のコミュニティづくりや活性化を図り、子どもたちに“良きふるさと”を感じてもらいたいというのが大きなテーマです。地元を離れても“みよしまつりがあるから久しぶりに行ってみよう”と思ってもらえることが理想ですね。

祭りを彩るイベントも多数

御輿練り歩き(※写真提供三芳町)

―「みよしまつり」の催し物について聞かせてください。

山田:子どもロックソーラン節、流し踊り、鳴子踊り、組太鼓、御輿練り歩き、阿波踊り、輪踊り、組太鼓、そして最後の花火と続きます。また、ロビーコンサートとして「三芳中学校吹奏楽部」の演奏や、「ぱふぉーまんす広場」でヒーローショー、ダンスなども予定されています。また地域の伝統芸能として、祭囃子の演奏もあります。各地区から4団体が参加するのですが、地区によって形態が異なるので、それぞれの音色が重ならないように会場の四隅で場所を離してあります。三芳町に受け継がれてきた伝統芸能を、次世代に繋げていきたいですね。

お囃子獅子舞(※写真提供三芳町)

―当日は、模擬店は出るのですか?

山田:そうですね。町内で活動しているサークルや各県人会も出店します。模擬店を出すことで生まれる繋がりや交流もあると思います。今回から、“お世話になっているこの町で汗をかきたい“という企業も参加しますよ。

模擬店を楽しむ子ども達(※写真提供三芳町)

―三芳町に限らず地域根ざしたお祭りは、各市・各区でも開かれています。そのなかで「みよしまつり」ならではの特徴はありますか?

山田:少し変わった取り組みとしては、ほんの5分間程度ですが参加者全員でゴミ拾いタイムを設けていることですね。短い時間とはいえ、ゴミを拾うお祭りというのはないでしょう(笑)。イベントとしてゴミを拾うことで、子どもたちも張り切って拾ってくれますよ。「みよしまつり」は作り上げるのも、片付けるのも住民の手でやっていますから、文字通り“住民手づくり”のお祭りなんです。

多くの来場者でにぎわう祭り会場(※写真提供三芳町)

祭りだけではない、三芳町に感じる魅力とは

―三芳町の魅力について聞かせてください。

小川:都心部から30キロ圏内でありながら、“町”としての穏やかな雰囲気が残っていることが三芳町の大きな魅力ではないかと思います。それと、町立図書館の人口一人あたりの貸出冊数が県内1位ということも小さな自慢です(笑)。貸出冊数の上限が多めに設定されていることもありますが、住民の方に図書館などの公共施設を普段からよく使っていただけている証拠ではないでしょうか。

三芳町産の夏野菜(※写真提供三芳町)

山田:生まれも育ちも三芳町の私ですが、自然災害の少ない街だなという印象ですね。大きな河もなく、周囲エリアよりも僅かに高台になっているので水害もありません。また、住宅街でありながら農地が残されており、そこで若い就農者が美味しい小松菜や白菜、ほうれん草などを育てています。スーパーマーケットにも新鮮な地元野菜が並べられ、飲食店でも地元野菜を使ったメニューがあったりと、地産地消が楽しめる街です。

みよしまつり

(左)三芳町商工会
会長 山田政弘さん

(右)三芳町自治安心課
副課長 小川智東さん

※この情報は2015(平成27)年9月時点のものです。

住民の想いがこもった夏の催し。“良きふるさと”を多くの人に伝える「みよしまつり」/みよしまつり実行委員会 山田政弘さん・小川智東さん
所在地:埼玉県入間郡三芳町藤久保1100-1 
電話番号:049-258-0019
開庁時間:8:30~17:15(第1土曜日 ~12:00)
閉所日:土・日曜日、祝日、年末年始
https://www.town.saitama-miyoshi.lg.jp/

Cafe de KOTO インタビュー

“お母さんたちがゆっくりできるお店”を目指して/Cafe de KOTO 店主 桑原さん


2012(平成24)年5月のオープンより子ども連れでも気軽に利用できる個人経営のカフェとして親しまれている「Cafe de KOTO(カフェ デ コト)」。この店の店主、桑原さんは子育て真っ最中のママで、日々育児や家事に奔走する近隣のママたちが多く訪れるオアシスのような空間です。今回は「Cafe de KOTO」の店主として、また子育て中だからこそ気がつくママの目線から、「鶴瀬」駅周辺エリアの魅力についてお話を伺いました。

会社員時代からの夢を、形に

Cafe de KOTO

Q.まず、お店を開いたきっかけについてお聞かせください。

“いつか自分のお店をやりたい”という思いは、都内に通勤するOLの頃から常に思い描いていた夢なのですが、より具体的に考えるようになったのは結婚して子どもができて実際に子育てをするようになってからのことです。子育てや家事に追われる毎日のなかで、身近な場所に子どもを連れて行けるお店がなかなか無く、ほんの5分、10分でも落ち着いて過ごせる場所があったら良いなという思いから、“だったら自分でつくってしまおう♪”と思い至ったのがはじまりです。

店外にはテラス席も

当時はまだ何のお店をやるかという具体的なイメージまではなく、子育てや家事で奔走する“お母さんたちがゆっくりできるお店”を第一に考えたとき、“カフェ”という業態にたどりつきました。

壁には手作りのメニュー表が

Q.金・土・日曜日のみの営業ということですが、どのようなお客さんが多くいらっしゃいますか?

育児・家事をしながらの営業のうえ、調理からサービスまですべてをひとりでこなしてきたため、オープンから丸3年は金・土・日曜日のみの営業で手一杯でしたが、信頼できるスタッフとの出会いや来年の4月には一番下の娘が小学校に入学するのを見越して、2015(平成27)年10月からは平日の営業に切り替える予定です。

店内の様子

自宅の一部を店舗にしたわずか12席の店内のため、あっという間に満席になってしまいますが、およそ8割はリピーターのお客さまで、平日昼間は近隣のママ友を中心に、土日はお子さまを連れていらっしゃるご家族や“カフェ”好きのカップルにもお越しいただいています。

店内に散りばめられた雑貨

それと女性ひとりでいらっしゃる方も多く、コーヒー一杯のわずかな時間を静かにゆっくり過ごして“リセット”してからまた日常へと戻られる姿もよく見かけます。

特に子育て中のお母さんは自分の状況とも重なってしまい、お店を開くときの原動力ともなった“お母さんたちがゆっくりできるお店をつくりたい”という思いが今こうやって現実のものとなっていることに喜びを感じます。

自慢のメニューもバラエティ豊か

シフォンケーキセット

Q.おすすめのメニュー、料理へのこだわりについても教えてください。

看板メニューとして謳っている“シフォンケーキ”も、1日10食限定の「今月のオープンサンドセット」などの食事メニューも、全て独学で研究を重ね提供しているものです。お母さんたちに食べていただくものとして、カロリー控えめで健康志向のメニューをまず考えたのですが、バター不使用の「シフォンケーキ」をはじめて作ったときに、使ったサラダ油の量に驚いたんです。その時から日本全国のからだに良い食材を研究する日々がはじまりました。

白ごま油

シフォンケーキに使用している「白胡麻油」は、抗酸化作用のあるセサミンを豊富に含んでいるので、美容やダイエットにも効果があり、ごま油特有の香りもしないためシフォンケーキにはぴったりの食材でした。それと、食事メニューにもかならずと言って良いほど使用している卵も、美味しいシフォンケーキを作るには欠かせない食材で、やはり全国から取り寄せてひとつひとつ試してみたのですが、九州から仕入れる新鮮なたまごは白身の部分も弾力があり、たまごかけご飯としてそのまま召し上がっていただいても、その美味しさがよく分かるお気に入りの食材です。

オープンサンドセット

実は営業スタイルを10月以降に切り替えるのですが、これまで提供してきたメニューのなかでも特に好評だったメニューを一部復活させて、これまで以上に美味しく、からだに良い料理を提供していく予定です。ぜひ、多くの方にお越しいただければと思います。

コーヒーサーバー

Q.ホームページの「photo」ギャラリーにあった“パン教室”はいつ開催しているのでしょうか?

週末の金・土・日曜日は営業のため、平日にお子さんが参加できる春休みなどを利用して不定期で開催してきたイベントなのですが、“親子参加”を前提にひと家族3,000円プラスワンドリンクで実施しています。作りはじめてから焼き上がりまでおよそ2時間30分から3時間ほどをかけてパンづくりを楽しむのですが、“いつも食べるパンより100倍美味しい”と子どもたちにも好評のイベントです。

“パン教室”を通じて食べることの“楽しさ”や“感動”を味わっていただければと思い、今後も続けていきたい取り組みのひとつです。

桑原さんが感じる、鶴瀬エリアの魅力

Q.「ららぽーと富士見」ができたことで、親子で楽しめるお店やおしゃれなスポットなども増えてきているかと思いますが、近隣のおすすめのお店を教えていただけますか?

「ららぽーと富士見」ができて、すごく便利になったと思います。日常生活に必要なものはほとんど揃いますし、東上線で都内へ買い物やお出かけやすいのもエリアの魅力です。

お店の表札

近隣に飲食店や雑貨店などのお店がもっと増えてくれたらいいなと思いますが、私自身がよく行くお店としては、「ららぽーと富士見」の近くにある「chapot cafe(チャポットカフェ)」さんや、ふじみ野市の「PARTS-C CAFE(パーツシーカフェ)」さんなどは、ちょっとした時間を利用して行ける貴重なお店です。

それとふじみ野の郊外にある「Smile Bakery 9603」さんもこのあたりでは人気のお店で、手作りの美味しいパンがいただけます。

Q.子育てをする方にとっての生活環境という点ではいかがでしょうか?

お店のある関沢地区は富士見市と三芳町がつながる市境にあり、「鶴瀬」という駅を中心とした生活エリアよりももっと広範な意識で生活圏を捉えているように思えます。

店舗外観

お店で提供している野菜は三芳町から仕入れることもよくありますし、「ららぽーと富士見」も身近で仕入れることのできるお店のひとつです。東上線を利用すれば「志木」の駅前で買い物もできますし、「大宮」まで車で出かけることもあります。

近隣のご家族は車を利用する世帯が多いので、「ダイエー三芳店」をはじめ、スーパーやコンビニ、ホームセンターなど、ひろびろとした駐車スペースを備えたお店が揃っていて、車で移動する機会の多い子育て世帯には特に便利な生活エリアだと思います。

Q.最後に、今後の展望や目標についてお聞かせください。

これまでは育児、家事、お店とそれこそ目の前のことだけで精一杯でしたが、営業スタイルを変える10月以降は少しずつ外に目を向けていろいろな活動にも取り組んでいきたいなと今ようやく思えるようになったところです。具体的にはまだこれからですが、“パン教室”を通じて子どもたちの食育のきっかけづくりをしたり、生まれ故郷の“京都”にちなんだメニューや“鶴瀬”にちなんだ商品の開発をあらためて考えてみるのも面白いかも知れませんね。10月1日からあらたな一歩を踏み出す「Cafe de KOTO(カフェ デ コト)」に、ぜひご期待ください!

Cafe de KOTO(カフェ デ コト)

Cafe de KOTO(カフェ デ コト)

店主 桑原さん
住所:埼玉県富士見市関沢2-25-3
TEL : 049-203-0056
URL:https://www.facebook.com/cafedekoto
※この情報は2015(平成27)年9月時点のものです。

“お母さんたちがゆっくりできるお店”を目指して/Cafe de KOTO 店主 桑原さん
所在地:埼玉県富士見市関沢2-25-3 
電話番号:049-203-0056
営業時間:12:00~18:00
営業日:木・金・土曜日(祝日問わず)
https://www.facebook.com/cafedekoto

2駅をつなぐ、賑わいの絶えない商店街

買い物客や通勤客で賑わう、下町の風情が残る商店街/ぷらむろーど杉田商店街 商店会長 芝正治さん


JR「新杉田」駅から京急本線「杉田」駅間、およそ500mに87店が軒を連ねる「ぷらむろーど杉田商店街」。八百屋、肉屋、魚屋などの食料品や、衣類、雑貨など多種多様なお店が並び、生活に必要な物はなんでもそろう。毎年7月には「ぷらむろーど杉田フェスティバル」、12月には「餅つき大会」などのイベントも行っている。商店街の魅力やイベントなどを商店会長の芝正治さんにお話を伺った。

買い物客や通勤客で賑わう、「ちょうどいい」商店街

お話を伺った商店会長の芝正治さん

――「ぷらむろーど杉田商店街」の概要について教えてください

芝さん:このあたりは昔「杉田梅林」があって梅を栽培していたところなんで、「ぷらむろーど杉田」はその梅からつけた名前なんです。江戸時代、杉田の梅といったらけっこう名前がとおっていたみたいなんですが、現在は「梅林団地」とか「横浜市立梅林小学校」くらいにしか名前は残っていません。杉田梅という梅の種類なんですが、小田原の曽我梅林にはその原木が残っています。クエン酸が非常に多くて、加工が難しい品種だそうです。

この商店街は、1948(昭和23)年に商店が集まって「杉田商友会」をつくったのが一番最初なんですね。その後、法人化をして、1992(平成4)年には「ぷらむろーど杉田」に名前が変わりました。

戦後間もなく始まった商店街の歴史

「ぷらむろーど杉田商店街」は京急本線「杉田」駅とJR根岸線「新杉田」駅のちょうど間にあるので、商店街を抜けるとストレートで行き来ができるんですね。しかも、JRと京急が乗り換えできるのは「横浜」駅と「杉田」駅だけなんです。JRは「大船」駅や隣の「磯子」駅始発の電車もあって座れることも多いし、乗り降りする人が多いんですよね。だから通勤時間帯には5,000人から8,000人くらいが商店街を通るのでとても賑わいますよ。
現在、お店は全部で87店舗あって、お肉屋さんとか八百屋さんとかお惣菜のお店も何軒か、ある程度業種が揃っていると思います。最近は飲食店、特に飲み屋さんも多いですかね。この商店街の道路の幅がいいみたいで、これより広くなると車が通るようになるし、お買い物をするにはちょうどいいみたいですね。

様々な業種のお店が立ち並ぶ

地域一体となって開催される季節のイベント

――「ぷらむろーど杉田」としての取り組みにはどのようなものがありますか?

芝さん:毎年7月には「ぷらむろーど杉田フェスティバル」というイベントをやっています。商店の人が出店を出して、生ビールとかおでん、焼き鳥、かき氷なんかを販売して、商店街の事務所の前にはステージをつくって、プロのバンドも呼んで演奏してもらいます。去年はジャズバンドが来ましたね。毎年恒例で、もう相当の年月やっているから、お客さんもまたこの時期が来たねって言ってくれます。来場者も多くて去年は焼き鳥が2,000本売れたって言っていましたね。

便利さが一目でわかる地図

12月には歳末の売り出しにあわせて「餅つき大会」をやっています。あんこはお菓子屋さんがお店で使っているのを用意してくれて、ついた餅は職人さんが上手に切ってあんこにからめます。餅をつくのは中学校にお願いして、運動部の元気のいい子どもたちに参加してもらっています。商店街の人は若くて60代だから、次の日、体がどうなっちゃうかわかんないから(笑)。売り上げは赤十字や福祉施設に寄付していますよ。

――「ふれあい杉田まつり」などのイベントや地域とのかかわりを教えてください。

芝さん:毎年8月の第4土曜日と日曜日には「ふれあい杉田まつり」が行われます。これは「ぷらむろーど杉田」だけでなく、「杉田駅前商店街」さんや「らびすた新杉田」さん、「プララ杉田」さんといった各商店街が集まってお祭りをするんです。

2015年の「ふれあい杉田まつり」のチラシ

内容は「杉田八幡宮」の祭礼が中心なので、神輿や山車が出て町内を練り歩きます。ステージでは、昼は近所の小学校や中学校の音楽の演奏してもらったり、夜は演歌歌手を呼んで歌ってもらったりしていますね。

また、今年8月に開催されるリオオリンピックに、競歩の日本代表として地元の中学校出身の松永大介選手が出場することになりましたので、地域の商店街で一丸となって応援しようと、計画を立てています。

下町風情あふれる新杉田の魅力

――新杉田のどんなところが気に入っていますか?

芝さん:意外と下町な感覚があるところですかね。それに交通の便もいいし、物価もそんなに高くない。この街出身の芸能人もけっこう多くて、井上真央さんは小さい時にこの街で遊んでいましたし、EXILEのHIROさんは近くの中学校の出身です。昔でいうと、美空ひばりさんも磯子生まれなんです。この近くに「杉田劇場」があって、そこで小さい時から歌っていたそうで、小さいけどすごく上手かったって、うちのおばあちゃんが言っていました。

下町の雰囲気が今も残る

――新杉田でお気に入りのお店やスポットはありますか?

芝さん:三崎漁港で揚がったマグロを扱っている「田中商店」さんは三崎にお店を持っていらして、店頭で売っているのはマグロの土手(※マグロの背側の身)だけ。それ以外のお魚は売ってないんです。土手だけというのが面白いですよね。
うち(芝時計店)のお隣の「菓子一」さんは昔からやっていて、もう何代も続いている古いお店です。そこのおじいちゃんが昔の杉田のことをよく知っているので、この街の歴史はなんでも話してくれますね。

マグロ一筋の田中商店

――普段よくでかけるところはありますか?

芝さん:この辺で遊ぶなら八景島がありますね。水族館に入るにはお金がかかりますが、島の入場料はタダですもんね。ぼくが何かの用事の帰りにちょこっと寄るのはバーですね。昔は磯子にプリンスホテルがあったのでそこのバーによく飲みに行っていたんですが、ホテルがなくなって、そこでバーテンをしていた人が何人か杉田でお店を出しているんです。杉田はそれだけ人がいて、商売になる街ということなんでしょうね。

地域の人から長く愛されている

――この街にこれから住もうとしている方にメッセージをお願いいたします。

芝さん:この辺は住みやすいってお客さんからもよく聞きます。物価が安くて生活しやすいし、交通の便がよくて終電が深夜1時くらいまであるのかな、ずいぶん遅く帰ってきても大丈夫みたい。通勤通学にも便利な街ですよね。

商店街にはコミュニティホールも

会長 芝正治さん

ぷらむろーど杉田商店街

会長 芝正治さん
ぷらむろーど杉田商店街事務局
所在地:神奈川県横浜市磯子区杉田1-15-30
TEL:045-773-0139
URL:http://www.sugita-shotengai.com/index.asp
※この情報は2016(平成28)年4月時点のものです。

買い物客や通勤客で賑わう、下町の風情が残る商店街/ぷらむろーど杉田商店街 商店会長 芝正治さん
所在地:神奈川県横浜市磯子区杉田1-15 ほか 
電話番号:045-773-0139(ぷらむろーど杉田商店街事務局)
http://www.sugita-shotengai.com/

「横浜市立梅林小学校」 校長 黒木英晴先生 インタビュー

街が一体となって取り組む、地域の資源と歴史を生かした学習/横浜市立梅林小学校 校長 黒木英晴先生


横浜市磯子区杉田はかつては梅林で、杉田梅が有名だった地域。現在、その面影はなく「横浜市立梅林小学校」は名を残したいという地域の思いから名付けられた。校舎のまわりには50本の梅の木が植えられ、あらゆる学習に梅が用いられている。そんな梅一色の「横浜市立梅林小学校」について、学習の取組みや地域との関わりなどを黒木英晴校長先生に伺った。

杉田梅が有名な街としての面影が残る学校

お話を伺った黒木校長先生

――学校の概要と歴史について教えてください

黒木校長:「横浜市立梅林小学校」は1960(昭和35)年に開校して、今年で57年目を迎えました。隣の「横浜市立杉田小学校」は1873(明治6)年開校で、140年以上の歴史がありますが、高度成長期の人口増加にともない、そこから分かれてできた学校です。当時は緑豊かなところだったそうですが、開発が進むにつれて人口が増え、学校が建てられました。同じく杉田小学校より独立・開校した「横浜市立屏風浦小学校」は昨年度60周年を迎えましたので本校とは兄弟関係みたいなものです。

授業の様子

この辺りは400年くらい前から杉田梅林として有名でした。米作りに適さない土地のため、当時の領主・間宮信繁が梅を植え始め、多い時には36,000本の梅の木があったそうです。花が咲くと船の上からでも香りがしたと言われています。“杉田梅”という種類で、実が大きく武士に好まれた梅でした。しかし今では梅林という地名はほとんど残っていません。そこで、学校を建てるときに歴史のある名前を残そうと「横浜市立梅林小学校」と名付けました。地域の中に歴史を残したいという強い思いや願いが感じられます。

歴史を受け継ぐ「梅」

学校教育目標は「・自分を大切にします(知・体)・仲間を大切にします(公・開)・心を大切にします(徳)」。横浜市で言う「知徳体公開」とは、「知」は確かな学力、「徳」は豊かな心、「体」は健やかな体、「公」は公共心と社会参画意識、「開」は国際社会に寄与する開かれた心を指します。横浜という土地柄、世界に目を向けて開いていく、そして自分も社会の一員だと意識するということを分かりやすくした、本校の教育目標はたいへん親しみやすいと言えるでしょう。

梅を通じて学ぶさまざまな取り組み

学校には多くの梅が植えられている

――この学校ならではの特色について伺えますか?

黒木校長:この地域で杉田梅を守り増やそうという杉田梅愛好会の方から、去年、杉田梅を2本いただきました。杉田梅は白い花で実が大きいのが特徴ですが、ほかにも白加賀や野梅、紅梅、緋梅とかいろいろな種類があります。花の時期も違いますので、だいたい1月初旬から2月中旬くらいまで楽しめます。現在、学校の敷地には梅の木が50本植えられています。

梅をモチーフにした子どもたちの作品

本校では「梅単元」と言っていますが、各学年で梅をからめた内容の授業をしていて、例えば、国語では梅を題材にした詩とか俳句、短歌を作ったり、図工で梅の絵を描いたりしています。3年生の社会では地域の事を学びますので、昔の梅林のことを調べたり地域の人から話を聞いたりもします。梅の実は高学年が収穫して、梅ジュースを作り、全校生徒で飲む「梅の実交歓給食」という行事もあります。また、「梅林音頭」は創立20周年の時に作られた踊りで、運動会や地域のお祭りなどで踊っています。「うめりんこ」と「うめざえもん」というかわいいキャラクターも大切にしています。梅を通じて地域の人と交流したり、季節を感じたりできるよう、学習につなげています。

――「小中一貫教育」について、具体的にどのような連携をされていますか?

黒木校長:浜中学校ブロックは「横浜市立浜中学校」、「横浜市立梅林小学校」、「横浜市立杉田小学校」、「横浜市立さわの里小学校」の4校から成り立ちます。本校は学区が磯子区だけでなく、金沢区富岡東も入りますので、その学区に住んでいる子は「横浜市立小田中学校」に行くことになります。

6年生のキャッチフレーズ「飛翔戦隊 バイリンジャー」

主な活動は4校の実務担当者の定期的な情報交換ですが、昨年度は中学校の先生が1年生から6年生まで算数の授業をしてくれました。中学校の先生が普段、九九を教えることはないので、すごく勉強になったと言っていました。また、中学生が中心となって、4校を中心とした子どもたちや地域の人と交流をする「四校のつどい筋肉番付」ではいろいろなブースを設けて、イライラ棒やストラックアウト、下駄投げ飛ばしといった遊びで点数を競います。2年前にはつい本気を出してしまい、私も一位となり金メダルをいただきました。

元気いっぱいに運動をする体育の授業

小学校と中学校の先生が交流し、児童の情報を共有することで、より丁寧な指導ができるようになります。中学校でつまずきやすいポイントをフィードバックしてもらうことで、小学校で重点的に指導できます。特に算数、数学は積み重ねなので、小学校での基礎が重要になります。また、中学校の先生が教えてくれることで、“なんとなく中学は怖い”というイメージがなくなり、中1ギャップの解消にもつながると思います。

ロッカーに並ぶランドセル

――学習で取り組んでいることを紹介していただけますでしょうか?

黒木校長:個に応じた学習に取り組むために「プラムルーム」という特別支援教室を今年の1月から始めました。まだ始めたばかりなのでこれから工夫し、充実させていきたいと考えています。

今年度、学校司書が本校に配置されましたので、図書室とのコラボを充実させていきたいとも考えています。子どもたちは本がとても大好きで、読み聞かせの時も聴き方がとても上手です。そういう本との出会いをさらに充実させていけたらいいなと思います。

本校は市民図書の第1号でもあって、学校の図書室を地域の人に開放し、水曜日と日曜日には貸し出しもしています。大人向けの本や新しい本もあって大人気で、大人が子どもに頼んで借りていくということもあると聞いています。小さなお子さん向けのお話会も年3回やっています。こうした地域の繋がりも大切にしたいですね。

地域の人に開放されている図書室

――先生方のレベルアップ等について何か取り組んでいらっしゃいますか?

黒木校長:横浜市は若い先生が増えていて在職10年以下の人が半数を超えようとしています。そのため、授業力については研究をしていく必要があります。人材育成には力を入れていて、教職員の研修を「梅林塾」と呼んで取り組んでいます。知識・理解だけではなくて思考力をどう身につけさせるかは課題です。そのための教材としてやはり「梅」を題材にして、先生たちにも子どもたちに身近で体験的な学びを意識してほしいと思っています。

「梅っ子応援隊」に支えられた、地域と一体の学校づくり

季節の花を使ったフラワアレンジメント

――地域の人との関わりについては何か取り組んでいらっしゃいますか?

黒木校長:ボランティアの「梅っ子応援隊」「うめりんこクラブ」には、学校のいろいろな場面で手伝っていただいています。保護者だけでなく地域の方もいらっしゃって、昨年度は延べ537人の方が活動に協力してくれました。“子どもたちの応援”では、朝読書の時間に本の読み聞かせや、図書室の本の整理を、“先生の応援”では新1年生の給食準備や、家庭科の授業などを手伝っていただいていますし、「梅の実交歓給食」の準備も応援隊に頼んでいます。校内に季節の花をアレンジメントしてくれたり、学校の花壇を整備してくれたり、学校の環境づくりも応援してくれています。昨年度はフウセンカズラやゴーヤで作った緑のカーテンで区長賞をいただきました。

授業の様子

基本的に学校はもっと、開いていくべきだと思っています。活動を通じて保護者と担任との交流もできますし、保護者同士の交流の場にもしてほしいと考えています。例えば、1年生の保護者の不安に対して、高学年の保護者が相談に乗ってくれる場があるといいなと思います。

給食の時間

あと「おやじの会」という組織では、磯子区の自然環境を生かして、春にはふれあいハイキングを行っています。たけのこ掘りや昔遊びをしたり、豚汁を作ったり、去年はもちつきもやりました。この運営を担当してくれています。

――校長先生からみた、この街の良さを教えてください。

黒木校長:街の良さはなんといっても“人”ですね。子どもたちに対しても我々に対しても皆さんとても温かいです。この地域に今も住んでいる卒業生も多く、保護者も卒業生だという方も多くいらっしゃいます。校名の由来のように“おらが学校”じゃないですけど、学校を支えようという思いを強く感じます。気さくに声をかけて下さるし、とてもいい人ばかりです。

「梅の林は花ざかり・・・」で始まる校歌樺太に行った間宮林蔵は間宮信繁と繋がっていたり、解体新書の杉田玄白は、先祖が杉田出身なので杉田姓を名乗ったということもあります。地域には世界で活躍する企業もありますし、最初の国産飛行機のYS11のYは横浜、Sは杉田、完成披露日が1958(昭和33)年12月11日。これらを繋げるとYS-11、「横浜、杉田で11日に会いましょう」という思いを込めたとも聞きました。そう考えていくと歴史的に杉田の土地ってすごいなって思います。ですから、ここで学ぶ子どもたちは、世界に目を向けた子どもたちであってほしいと願っています。そのためにも自分の住んでいるこの土地の歴史をしっかり学んでほしいと思います。

――このエリアに住むことを検討していらっしゃる方へメッセージをお願いします

黒木校長:環境が良くて、横浜らしい雰囲気のあるところだと思います。京急とJRの両方の駅が使えて、その間に商店街もありますし、緑がいっぱいあって海や富士山、スカイツリーまで見えます。しかも、世界に向けて誇れる歴史を持っている地域です。買い物にも交通も便利で住みやすいところだと思います。

横浜市立梅林小学校  校長 黒木英晴先生

横浜市立梅林小学校

校長 黒木英晴先生
所在地:神奈川県横浜市磯子区杉田5-13-1
TEL:045-773-0341
URL:http://www.edu.city.yokohama.lg.jp/school/es/bairin/
※この情報は2016(平成28)年4月時点のものです。

街が一体となって取り組む、地域の資源と歴史を生かした学習/横浜市立梅林小学校 校長 黒木英晴先生
所在地:神奈川県横浜市磯子区杉田5-13-1 
電話番号:045-773-0341
http://www.edu.city.yokohama.lg.jp/schoo..

スペシャルインタビュー

スポーツを通じて人々の健康と子どもの成長を支える/フェアリーテニスフォーラム 徳丸豊さん


試合が始まれば、コート上では誰からも指示を受けることができないテニス。自分で判断しながら行動し、最終的な勝利を目指さなくてはならない。それにより自立心が育まれることになるが、テニスをすることで得られるメリットとして、「マナーが身につく」こともあげられる。日本人選手の活躍もあり、これまで以上に注目を集めているテニス。閑静な住宅街にたたずむ「フェアリーテニスフォーラム」を訪ね、支配人の徳丸さんにお話をうかがってきた。

30年の歴史を持つ、地域に根差したテニスの学び舎

30年の歴史を持つ「フェアリーテニスフォーラム」

――「フェアリーテニスフォーラム」の沿革を聞かせてください。

徳丸さん:「フェアリーテニスフォーラム」は、1985(昭和60)年創業と、30年の歴史があるテニススクールです。当時は地価の高騰から、次々とテニススクールが閉鎖するなかでのオープンでした。そんななかでも地域の人々に支えられ、30年続けていくことができました。2002(平成14)年5月にはインドアコートを設置し、より良い環境でテニスを楽しんでいただけるようになりました。周辺は住宅街なので、地域に受け入れられる施設であることを第一としています。

子どもの発育を考えた様々なレッスンを実施

インドアコートでのレッスンの様子

――どのようなクラスを開設しているのでしょうか。

徳丸さん:キッズクラス、ジュニアクラス、プレイヤーズクラス、一般クラスがあります。まずキッズクラスについてですが、満4歳~小学校1年生を対象とし、テニスだけでなくテニスに必要な基礎運動能力を高めることも目的のひとつとしています。空間認識が不得手な年齢ですから、左右の認識から始めて、奥行の認識へと段階的にステップアップしていきます。

ジュニアクラスについては小学校1年生~6年生が対象です。対象年齢には、運動神経が飛躍的に発達すると言われる5歳~8歳も含まれていますから、それを踏まえてテニスだけでなく、キャッチボールといったテニス以外の要素を織り交ぜながら、それぞれの技術レベルに合ったレッスンをしています。

思いっきり体を動かす子どもたち

プレイヤーズクラスは中学生と高校生が対象で、キッズクラスとジュニアクラスよりも試合結果を重視します。一般クラスについてですが、月謝制ではなく8週1期のターム制を採用しています。年齢別に年間約20本ものトーナメントを開催しているので、ぜひ積極的に参加してもらえると嬉しいですね。

配慮の行き届いた指導も魅力

――生徒さんと接する上で、特に心がけていることはありますか?

徳丸さん:子どもさんには、それぞれ個性があるわけですから、当然コミュニケーションを取ることが苦手というケースも出てきます。それをしっかりと認識した上で、技術的なアドバイスだけでなく、礼儀や挨拶についても指導しています。また、親御さんの前で同じ言葉遣いでコミュニケーションをとれるかどうかを常に心がけています。その場に親御さんがいるかいないかで発言が異なってはいけません。そういったコミュニケーションの中から、「フェアリーテニスフォーラム」に通うことが楽しいと思ってもらえるようにしたいですね。テニスが上達するには、それが一番の近道ですから。

人と人とが自然に繋がれる街

テニスコートも併設の「小金井公園」

――“スポーツを楽しむ”という観点では、周辺環境はいかがでしょうか?

徳丸さん:この近くでは、やはり「小金井公園」は外せませんね。自転車を借りることのできるサイクリングコースをはじめ、テニスコート、野球場、多目的運動広場のほかに、バスケットゴールが設けられている一角もあります。各所に遊具が設置されているので、小さな子どもさんでも楽しめる公園です 。植栽も豊かなので、四季の変化を感じながらウォーキングやジョギングを楽しめます。それとスポーツとは関係ありませんが、バーベキューができる広場もありますから、世代に関係なく充実した時間を過ごせる公園だと思います。

「小平市立小平第八小学校」

――周辺に学校が点在していますが、そちらの生徒さんも多く通われていらっしゃるのでしょうか?

徳丸さん:小学校に関して言えば、「鈴木小学校」、「小平市立小平第八小学校」が近くにありますから、そちらに通われている生徒さんも多く通ってきてくれています。また、「小平市立花小金井南中学校」の生徒さんが通っている縁で、「フェアリーテニスフォーラム」で2ヶ月ほど使用したボールを同中学校のテニス部に提供しています。古くなったボールを有効利用していただいているので、我々としても大変ありがたいですね。

「フェアリーテニスフォーラム」支配人 徳丸豊さん

――小平市回田町・鈴木町周辺の魅力を教えてください。

徳丸さん:周辺は今でこそ住宅に囲まれていますが、創業当時は雑木林が広がっているような場所でした。「フェアリーテニスフォーラム」も、それこそ“知る人ぞ知る”存在でしたが、時代とともに周辺の様子も変化していきました。それでも周辺には緑がまだまだ沢山ありますし、落ち着いた環境が残っています。戸建てが広がっているせいか、公園がコミュニティの場としての役割を担っているようで、公園で子どもを遊ばせている内に、同世代の方と親しくなったというケースを耳にします。子育てに関する情報交換だけでなく、悩みごとを相談しあえる友だちができやすいという意味では、新しく移って来られた方に はありがたい環境だと思います。人と人とが自然に繋がれる街であること、そしてやはり、落ち着いた住環境が整っているということがこの街の魅力ではないでしょうか。

フェアリーテニスフォーラム 支配人 徳丸さん

フェアリーテニスフォーラム

支配人 徳丸豊さん
所在地:東京都小平市鈴木町1-400-1
TEL:042-325-9282
URL:http://fairy-tennis.co.jp/
※この情報は2016(平成28)年9月時点のものです。

スポーツを通じて人々の健康と子どもの成長を支える/フェアリーテニスフォーラム 徳丸豊さん
所在地:東京都小平市鈴木町1-400-1 
電話番号:042-325-9282
http://www.fairy-tennis.co.jp/

スペシャルインタビュー

地域と共に歩む、小平市内でいちばん小さな小学校/小平市立鈴木小学校 永井義明校長先生


新小金井街道の東側にある窪地にひっそりと佇む「小平市立鈴木小学校」は、小平市内で最も児童数が少ないという小学校。各学年1クラスから2クラスという小規模校ながら、きめ細かな教育指導と落ち着いた学習環境が自慢で、学業の成績については小平市内でもトップクラスだという。少人数だからこそできる、「小平市立鈴木小学校」ならではの教育活動とは何だろうか。地域の魅力とともに、校長の永井義明先生にお話を聞いた。

小規模校の良さを活かした、ひとりひとりを大切にする教育

小平市立鈴木小学校 永井義明校長先生

――まず、鈴木小学校の概要について教えてください。

永井校長先生:本校は1976(昭和51)年に、小平市内で18番目の小学校として誕生しました。2016(平成28)年度は児童数が190名、学級数が7学級という、小平市内で最も小規模な小学校になっております。学区につきましては、「鈴木小」という名前ではあるんですが、実は鈴木町から通うお子さんは少なく、ほとんどは新小金井街道をはさんだ向かい側の、回田町のお子さんです。ここ数年は「スモール イズ ダイナミック」という言葉を合言葉にしていまして、「少人数だからこそ、小回りが利いて、思い切ったことができるんじゃないか」「小規模だからこそ、一丸となってダイナミックに動こう」という思いのもとで、教育活動の工夫、改善に努めているところです。

児童ひとりひとりに目が行き届く環境

――「小規模校の特色を生かした取り組み」を行われているということですが、具体的にはどのようなことを行われているのでしょうか。

永井校長先生:本校は単学級の学年が多いので、2学年にひとりずつ専科の教員を配置し、低学年・中学年・高学年のブロック制をとっています。担任ひとりに任せることなく、複数の教員で子どもたちを見守ることで、きめ細かな指導を目指しています。 このほか「たてわり班」の活動も盛んでして、全校を9グループに分けて、1年生から6年生までの混合の班を作っていろいろな活動をしています。具体的には、毎月一回行われる「たてわり遊び」や、全校で「小金井公園」に出掛けていき、たてわり班でいろいろなゲームをして1日楽しむ「たてわり全校遠足」があります。

壁に掲げられた教育目標

永井校長先生:人数が多い場合、たてわり班を作ったとしても同じ学年の子で固まってしまうということがけっこうあるんですが、うちの場合は人数が少ないですから、1年生から6年生まで本当に仲がいいんですね。高学年の子は特に、「自分が低学年の子の面倒を見ないといけない」という意識が強くなって、主体性やリーダーシップがよく育っています。これも小規模校ならではでしょうね。子どもは重要な役割が回ってくると、そこで初めて、何とか踏ん張って頑張ろうとするわけです。子どもたちの精神的な成長に大きく寄与しているのかなと思っています。

また、本校は係活動もさかんでして、人数が少ない分みんなが何かしらの係を持っているので、責任感の高い子が育っていると思います。進学先の「小平市立小平第三中学校」は大きな学校になるんですが、本校の卒業生は「何かをしなきゃ」という意識が高い子たちなので、みんな、役員をよく引き受けているということです。

学力向上のための様々な取り組みを実施

習熟度に合わせた練習プリントを用意

――「鈴木タイム」や「グリーンスクール」など、ユニークなカリキュラムも組み込みながら、学力向上に取り組んでいらっしゃるそうですね。

永井校長先生:「鈴木タイム」というのは、週に2回15分間、始業前に行っているもので、言語能力の向上を目指した学習を進めています。具体的には、漢字の練習や音読をすることが多いですね。「グリーンスクール」については、金曜日の放課後に時間を設定して行っているもので、各学年ごとに、40分から45分程度、算数の計算力の向上を目指した取り組みをしています。こちらは希望者と、教員から参加を勧められた子どもがやっているもので、補習的な位置づけですが、ここ数年子どもたちの成績も徐々に良くなっていまして、国や都の学力調査で、2016(平成28)年度は小平市でトップクラスに入ることができました。

緑も鮮やかな「小平市立鈴木小学校」

永井校長先生:こういった独自の取り組みも、もちろん学力向上に役立っているとは思うのですが、学業に専念するうえで一番大事なのは「落ち着いて勉強できる環境」だと思っていますので、そこはとても重要視しています。それぞれの学級がまずは落ち着いている、子どもたちの生活が安定している、というのが、本校の大きな特徴の一つなのかと思います。先生方がよく頑張ってくれている、という部分が大きいでしょうね。

古来よりの人の営みが残る街

「鈴木遺跡」の再現模型

――学校の敷地は遺跡が出た場所だと伺いました。

永井校長先生:そうなんです。小学校を造る時に旧石器時代の遺跡が見つかりまして、礫群(れきぐん)やナイ フ型石器など、最古のものは今から3万年以上前のものも見つかったんですね。全国的に見ても非常に古い遺跡ということで、考古学の世界では有名なものです。今でも校庭の一角に湧き水が出ているんですが、昔はこういった湧き水の周りに動物が集まってきて、それを狙って人が集まってきたんですね。ここには江戸時代の遺構も出ていますが、非常に長い時代にわたって、人が住み続けてきた、豊かな土地だと言えるのかと思います。

出土した石器の数々

永井校長先生:近年になって、出土品の中で最も古いものが、およそ3万7千年前のものだとわかりまして、これは日本の歴史を塗り替えるような、考古学的に非常に価値のある発見だということなんですね。それもありまして、現在は東京都の指定を受けている遺跡ですが、数年以内には国の指定を受けられるように、取り組んでいる最中です。校舎の下がまさに、その「鈴木遺跡」なんです。

地域の人々と関りを持ち、共に育む

地域の人々の後押しで作られたトンネル

――「小平市立鈴木小学校」と、地域や保護者との関わりについて教えてください

永井校長先生:地域の方の声が形になったものの一つが、校庭の一角にある新小金井街道の下を通るトンネルなんです。本校は窪地にある学校ですが、開校当時には学校のすぐ横に幹線道路、今の新小金井街道ができるということがすでに決まっていたんですね。子どもたちはそこを横切って登校していたので、交通量も多い道路になっていくということを聞いて、地域の方や保護者は「危ないのではないか」と心配してくださり、最終的には、このトンネルが作られたということです。今でも本校の児童の9割は、そのトンネルを通って通学していますが、これが実は、地域の方の声で作られた本校のシンボルの一つなんですね。壁には卒業生が描いた絵もあって、明るく楽しい雰囲気のトンネルになっています。

校舎内の様子

永井校長先生:現在行っている活動としては、「放課後子ども教室」があります。これは地域の方が、放課後の子どもの居場所づくりのために、校内で年間100ぐらいの教室を開いてくださっているもので、例えばパソコン教室だったり、紙芝居教室だったり、お琴の教室だったり。ほかにも手芸やよさこい、コーフボールなど、いろんな教室を開いていただいています。昨年度はのべ2千人以上の児童が参加しました。

また、「よさこい」の鈴木小チームを作って地域のお祭りなどで踊りを披露しています。先日も、「小平市民まつり」に参加して、私も旗を振って応援してきました。ほかにも、学校の隣の「あおぞら福祉センター」の行事に、よさこいチームや、3年生の子どもたちが、お呼ばれして発表をしています。地域の方にもとても愛されている学校なんだなと実感しています。

豊かな自然が残る、のびのびと過ごせる環境

学校敷地内から出る湧き水

――小平市回田町、鈴木町の魅力はどのような点だとお考えですか?また、おすすめの場所があればお教えください。

永井校長先生:魅力はやはり、自然がよく残っているという点でしょうか。校内に湧き水もありますし、近くには「玉川上水」や、「小金井公園」などもありますので、子どもたちが安心して遊べる場所は多いかと思います。生活環境としても、スーパーなどのお店は沢山ありますし、学校の周りには畑が多いですから、地場野菜の直売所も幾つかあります。美味しい地場野菜を楽しむのもおすすめですね。自転車でも動きやすい地域で、玉川上水沿いやグリーンロードなど、サイクリング向きの道もありますから、そこを走るととても気持ちいいですよ。太古の昔からずっと人々が住んでいた地域ですから、生活をする環境としては、非常に恵まれた地域なのだと思います。

豊かな自然が残る「玉川上水緑道」

永井校長先生:「住民の意識が高い」というのも、地域の魅力だと思います。先日も地域の方々が主催のごみ拾いのイベントに参加したんですが、この辺りは落ちているゴミが非常に少ないんです。地域の方が日頃から、街をきれいにしようという意識を持っていらっしゃるんでしょうね。もちろん子どもを見守る目も温かい地域ですし、治安も良いと思います。町会と老人会が、とてもしっかりしている地域です。

――最後に、小平市回田町、鈴木町に転居を考えている方にメッセージをお願い致します。

永井校長先生:回田町や鈴木町は、とても落ち着いた雰囲気の街ですし、地域の方も街をとても大事に思ってくださっています。気さくな方が多く、転居されてもすぐに街に溶け込むことができると思いますので、ぜひ、沢山の方にお住まいいただき、お子様を「小平市立鈴木小学校」に通わせていただきたいと思います。お待ちしています。

小平市立鈴木小学校校長 永井 義明 先生

小平市立鈴木小学校

校長 永井義明 先生
所在地:東京都小平市鈴木町1-450
TEL:042-324-3661
URL:http://www.kodaira.ed.jp/18kodaira/
※この情報は2016(平成28)年10月時点のものです。

地域と共に歩む、小平市内でいちばん小さな小学校/小平市立鈴木小学校 永井義明校長先生
所在地:東京都小平市鈴木町1-450 
電話番号:042-324-3661
http://cms.kodaira.ed.jp/18kodaira/

盧山寺 管長 町田泰宣さん インタビュー

静かな寺町にたたずむ「盧山寺」は文学ファンが後を絶たない憧憬の地/盧山寺 管長 町田泰宣さん


歴代の天皇が居住した「京都御所」。周囲の広い公園は「京都御苑」の名で知られる。付近は名所が多く観光地として人気の高いエリアだが、実は住む場所としての魅力も備えている。御所の東側、寺町通りに面した「盧山寺(ろざんじ)」は、源氏物語の作者・紫式部ゆかりの地として有名だ。そんな「蘆山寺」の管長を務めている町田泰宣さんに、寺や周辺の街について話をうかがった。

世界に名立たる「源氏物語」はここで誕生

紫式部ゆかりの地として知られる

――「盧山寺」の沿革や概要を教えてください

町田さん:開祖は「比叡山延暦寺」第18世座主の元三大師良源です。938(天慶年間)年に、元三大師が船岡山の南に、宮中に通うときの宿坊として「与願金剛院」を開いたのが始まりです。また、1245(寛元3)年には法然上人の弟子である住心覚瑜上人が、出雲路に「盧山寺」を開きました。そして、南北朝時代に第3世の明導照源上人が、「盧山寺」と「与願金剛院」が離れていると法務に支障をきたすため、「盧山寺」を「与願金剛院」に統合しました。その後、1573(天正元)年に豊臣秀吉の寺町区画整理により今の場所に移ることになり、偶然、紫式部の邸宅跡だったのです。現在は源氏物語に関連した「源氏庭」や、史跡などを見に来られる方が多いですね。節分には厄除け祈願の行事「鬼おどり」も行っています。

「紫式部邸宅址」と刻まれている

――紫式部はどのように過ごしていたのでしょうか

町田さん:紫式部の曾祖父にあたる堤中納言が、現在の「盧山寺」の場所に邸宅を建て、紫式部もそこで成長し、結婚生活を送りました。そして夫の死後、藤原道長の娘である彰子に仕えることになり、宮中で目にした男女のやりとりなどをもとに、源氏物語を書き上げました。当時は貧富の差が今よりもずっと激しい時代でしたが、紫式部は恵まれた境遇に生まれました。だからこそ源氏物語を書けたと言われています。当山では、「源氏庭」などを通して一年中、源氏物語の世界に触れていただける他、春や秋には「源氏物語絵巻」の展示も行っています。

世界文学発祥の地

――「源氏庭」について詳しく教えてください

町田さん:1964(昭和39)年に完成し、翌年には顕彰碑の除幕式が行われました。源氏物語の世界をイメージした庭で、平安時代の「感」、つまり人の想いを表現しています。白川砂と苔の緑色が調和して、さらにそこに四季の風情が加わります。特に好評なのが、6月から9月にかけて咲き誇る約2000株の桔梗の花です。桔梗は源氏物語絵巻にも描かれている花です。桔梗の花、白川砂、苔のコントラストが美しく、その時期はたくさんの人が見に来られます。また、秋は紅葉を楽しんでいただけます。世界文学発祥の地として、外国人の方にも人気が高いです。

源氏庭

――「源氏物語絵巻」とはどのようなものですか?

町田さん:五十四帖の絵巻で、昔、所有していた徳川家が保存のために一度切り離しましたが、「五島美術館」と協力し、再び巻物として復元しました。50本が製作され、そのうち一本を「盧山寺」が所有しています。毎年、春や秋に期間を決めて展示を行っています。

数々の歴史的エピソードに彩られた寺

慶光天皇陵

――他にも「お土居」や「慶光天皇陵」など貴重な史跡もありますね

町田さん:天下統一を成し遂げた豊臣秀吉が築いた「お土居」は、京都の街を囲むように作られた土塁です。内側が洛中、外側が洛外にあたります。「盧山寺」がこの場所に移されたのが1573(天正元)年で、お土居が完成したのが1591(天正19)年のことです。万里の長城に倣ったと言われ、外敵の来襲に備える他、鴨川の氾濫から街を守る役目も果たしたようです。京都の東側の地域でお土居が残っているのは、当山だけなので、歴史、特に近世の歴史を学んでいる方などがよく見に来られます。慶光天皇は子どもにあたる光格天皇が生前に追尊されることを希望していましたが叶わず、明治時代になって、ようやく明治天皇により追尊されました。天皇陵をご覧になっていただけます。

お土居跡

――「盧山寺」自体が、何か歴史的な出来事の舞台になったことはありますか?

町田さん:応仁の乱の時には細川氏に境内を馬の置き場として貸していたようです。それで織田信長の怒りを買い、寺を現在の場所に移すことになったという話が伝わっていますが、私は秀吉が最初から移転するつもりだったと考えています。そして、明智光秀は「盧山寺」を好きだったようです。

若い家族だけでなく、年配の方にも暮らしやすい

お話を伺った町田泰宣さん

――歴史の舞台となってきた「盧山寺」周辺、上京区や御所エリアの現在の環境についてはどう思われますか?

町田さん:上京区、特に御所の近辺は住みやすい街だと思いますよ。なんでもありますから。買い物は出町柳付近であれば出町商店街があるし、河原町方面にも行きやすい。飲食店も最近、随分増えた気がします。駅前まで行かなくても、いろいろなお店を利用できます。 交通の面に関しては、バスも利用しやすいですね。地下鉄の駅のように階段を昇り降りする必要がないので、お年寄りにも暮らしやすい街だと思います。

京都御所

――利便性だけでなく、街並みにも魅力がありそうですね

町田さん:街並みとして一番いいのは、やはり近くに「京都御所」があることですね。御所を中心として東西南北の場所があり、北は今出川通り、西は地下鉄、南は丸太町通りがあります。その付近はにぎやかです。逆に盧山寺がある東側は寺町で、鴨川も近く静かな環境となっています。便利な市内でありながら、豊かな自然に触れられるのは京都らしい魅力です。

盧山寺 町田さん

大本山 盧山寺

管長 町田泰宣さん
所在地 :京都市上京区寺町広小路上ル
TEL :075-231-0355
URL:http://www7a.biglobe.ne.jp/~rozanji/
※この情報は2016(平成28)年9月時点のものです。

静かな寺町にたたずむ「盧山寺」は文学ファンが後を絶たない憧憬の地/盧山寺 管長 町田泰宣さん
所在地:京都府京都市上京区寺町通広小路上ル北之辺町397 
電話番号:075-231-0355
参拝時間:9:00~16:00
拝観休み:1月1日、2月1日~2月9日、12月31日
http://www7a.biglobe.ne.jp/~rozanji/

家族ぐるみで協力しながら子どもを育てる/自由ヶ丘幼稚園 吉田宏道園長先生


自由ヶ丘幼稚園
園長 吉田 宏道さん

家族ぐるみで協力しながら子どもを育てる

自由ヶ丘幼稚園 園長 吉田 宏道さん インタビュー

「茶屋ヶ坂公園」をはじめとして、多くの公園が点在し子育て環境が整った茶屋ヶ坂エリア。「自由ヶ丘幼稚園」はそんな茶屋ヶ坂エリアの富士見台学区に1957(昭和32)年に開園した歴史ある幼稚園だ。今回は「自由ヶ丘幼稚園」の吉田園長先生に園独自の取り組みや、周辺の子育て環境や、住み心地について、お話を伺った。

「自由ヶ丘幼稚園」の沿革と概要を教えてください。

自由ヶ丘幼稚園 園長 吉田 宏道さん インタビュー

この幼稚園は1957(昭和32)年に、今の千種消防署のあたりに開園したのが始まりで、この場所に移ってきたのは1996(平成8)年のことです。その間に、自由ヶ丘学園として「第二自由ヶ丘幼稚園」「第三自由ヶ丘幼稚園」も開園し、現在、千種区内に3つの幼稚園があります。「自由ヶ丘幼稚園」では、4人の男性教員を含め20人のスタッフが一丸となって、バランス良く子ども達を見守っています。

「あそびの保育」を特徴としているとお聞きしましたが。

自由ヶ丘幼稚園 園長 吉田 宏道さん インタビュー

自分がやりたいと思うところからすべての遊びが始まり、遊びの中でこそ学びがあると考えます。そのために、もし担任が一斉活動をしたいと考えたときは、活動につながる遊びを考え、その仕掛けを環境設定することになります。その中で、大人が完成形を決めてしまうことは、できるだけ避けるようにして子どもが自ら考えられるようにしています。

子ども達を見守る上でこだわっていることはありますか。

自由ヶ丘幼稚園 園長 吉田 宏道さん インタビュー

幼児期は身体作りの時期と考えています。自由に遊べる時間を多く取っていますし、基本的に小学校区ぐらいの距離は徒歩通園をしていただいています。近隣には公園が多くありますので、春や秋には頻繁に散歩に出かけます。

自由ヶ丘幼稚園 園長 吉田 宏道さん インタビュー

あわせて、私たちの園では、今でもお弁当を持ってきてもらっています。幼稚園に通う子にとっては、幼稚園が親と離れる最初の社会の場です。その中で、親が作ってくれたものが身近に多くあることが安心感を深め、安心できる場所があることが自立に結びついていくと考えます。また、弁当であることで、時間に縛られず、場所に縛られず、子どもたちに合わせて活動の時間を決められる利点もあります。

親や地域との連携も、いろいろな工夫をされているとお聞きしました。

自由ヶ丘幼稚園 園長 吉田 宏道さん インタビュー

私たちの園は、親と教師と地域がチームになって子どもをみます。その中で、特に社宅が多く転勤の多い地域であったこともあり、親の支援も必要だということで、早い時期からあずかり保育や未就園児教室をはじめています。今でこそ全国で推進されていますが、始めた当時は行政に必要の無い事業をするのは辞めろと言われたと聞いています。

学校週休2日制が始まったころには、親の仕事や兄弟の学校と休みが合わないと出かけられない、なかなか近所に遊ぶところがないことから、「エンジョイサタデー」という取り組みを始めました。

「エンジョイサタデー」について詳しく教えて頂けますか。

自由ヶ丘幼稚園 園長 吉田 宏道さん インタビュー

第2土曜日を除く毎週土曜日の午前中に行っていて、園児の他に、園児の親、兄弟姉妹、祖父母の方も参加して皆で遊んでいただけます。親や兄弟と遊ぶことで同じ園での遊びでも大きいスケールで遊べますし、お友達の親兄弟と知り合うこともできます。イベントデーとして、親の協力がないとできなそうな遊びや料理をすることもあります。沢山の大人が協力して子どもを見る、そういう場の一つになってほしいと思っています。

年中行事にはどのようなものがありますか。

主に、こどもの日、七夕、ひなまつり、サンタさんと一緒の会、もちつきで、子どもの身近にあるイベントなどとともに、昔ながらの伝統になっている行事を伝えています。 あわせて、敬老の日、父の日の会として祖父母やおとうさんと遊ぶ日を作っています。 お店ごっこや生活発表会は、園でのごっこ遊びの中で楽しんで行っています。年長組は、お泊り会として、園に1泊する日もあります。

お父様が参加される場も多いとお聞きしました。

自由ヶ丘幼稚園 園長 吉田 宏道さん インタビュー

6月の日曜日は父の日の会を実施し、お父さんと子どもが一緒に遊ぶ日としています。エンジョイサタデーとは別に、お父さんには子どもの普段の遊びの姿を、子どもにはお父さんの全力で遊ぶ姿を見て楽しんでもらいたいと思っています。あわせて、普段幼稚園との窓口になるのはお母さんが多いので、お父さんに知ってほしいことを学園長が直接伝える場にもなっています。

自由ヶ丘幼稚園 園長 吉田 宏道さん インタビュー

それとは別に、10月末の日曜日には、お父さんが子ども達の遊びを見る日として父親参観日を設けています。通常幼稚園の参観は平日に行いますが、平日に休みを取れないお父さんも多いためです。

最後に、茶屋ヶ坂エリアはどのようなところでしょうか?

自由ヶ丘幼稚園 園長 吉田 宏道さん インタビュー

尾張旭市への街道として戦後に開け、基幹バスが通る交通の要所でしたが、10年ほど前に地下鉄が通ったため、さらにマンションが増えており、現在、子育てしている世代が多くなっています。

私たちの園がよく散歩に行く「茶屋ヶ坂公園」をはじめとして公園も多いですし、買い物をする場所や病院も近くに多く、子育て環境として利便性の高いエリアです。

自由ヶ丘幼稚園 園長 吉田 宏道さん インタビュー学園長 吉田敬岳 さん

取材施設基本情報

自由ヶ丘幼稚園
園長 吉田 宏道さん

所在地:名古屋市千種区富士見台3-9-2
電話番号:052-721-0171
URL:http://www.jiyugaokagakuen.ed.jp/kindergarten/jiyugaoka.html
※左写真は学園長

※記事内容は2015(平成27)年6月時点の情報です。

家族ぐるみで協力しながら子どもを育てる/自由ヶ丘幼稚園 吉田宏道園長先生
所在地:愛知県名古屋市千種区富士見台3-9-2 
電話番号:052-721-0171
教育時間:9:00~14:00(水曜日は午前のみ)
休園日:土・日曜日、祝日、他
預かり保育:あり(14:00~)
http://www.jiyugaokagakuen.ed.jp/kinderg..

政令指定都市・静岡市の中心的存在

産学官民が連携し、みんなの想いを込めた街づくりを/草薙駅周辺まちづくり検討会議 春田光三郎さん 山本洋平さん


静岡の中心部である静岡エリアと清水エリアの間に位置する草薙の街。緑にあふれ、文教エリアとしても知られるこの街では、今再開発事業が進められています。それをきっかけに、産学官民が一体となって草薙の将来像を考える議論の場として発足した組織が「草薙駅周辺まちづくり検討会議」です。今回は検討会議の場にお邪魔して、検討会議の委員を務める有度地区連合自治会相談役の春田光三郎さんと、地元の「草薙商店会」会長で同じく会議委員を務める山本洋平さんに検討会議の概要と草薙のまちづくりについてお話を伺いました。

将来の草薙をみんなで考えるために発足

草薙駅周辺まちづくり検討会議

――『草薙駅周辺まちづくり検討会議』について教えてください

春田さん:JR「草薙」駅の南側は土地区画整理事業が行われてから20年近く経ち、今再開発ビルの建設や駅舎の改築など、再開発事業が進んでいます。そうした中で将来の草薙を考える場として2014(平成26)年に『草薙駅周辺まちづくり検討会議』が発足しました。再開発事業というと行政が勝手に進めてしまうイメージがありますが、同会議は「産・学・官・民の連携」がテーマの一つにあります。開かれた会議で誰が参加しても構いません。

――「草薙商店会」はどのように関わっていますか?

山本さん:会議には行政(静岡市都市局都市計画部清水駅周辺整備課)をはじめ、大学や自治会、企業、金融機関など、草薙に縁のある各方面の有識者が一堂に集まっています。今でこそ慣れましたが、錚々たるメンバーに当初は「私が入っていいのか」と思ってしまうほど緊張しました。その中で私たちはボトム側のプレイヤーとしての立ち位置で参加しています。地域により近い私が入ることでトップダウンではなく、ボトムアップ式で身のある会議をやっていこうということです。また行政や自治会など各方面との接点が多いことから、つなぎ役みたいな役割をすることも多いですね。

草薙商店会会長の山本洋平さん

みんなで作り上げたビジョンと理念

草薙駅周辺まちづくり検討会議の様子①

――『草薙駅周辺まちづくりビジョン』について教えてください

春田さん:「まちづくりビジョン」とは、居住者・来街者・商業者・事業者・学校・行政など、「草薙」駅周辺に係わるすべての人が“将来の草薙駅周辺に対する目標と想い”を共有しながら、「草薙」駅周辺のまちづくりを進めていくための手引きとして取りまとめたものです。

山本さん:親世代から孫世代まで、草薙の思いや姿を代々継承していくことが重要だと考え、目標期間はまちづくり活動のスタートとして短期5年間、発展期間として中期10年間、維持・継続期間として長期40年間と3つのステップを設定し、JR「草薙」駅を中心として概ね1キロメートル範囲(徒歩圏)を対象範囲としました。

春田さん:ビジョン策定後は、「あるべき姿」の実現に向け、従来の行政サービスや個人活動、ボランティアでは限界があるため、各種取組みを一体的に運営管理する、産学民官が連携した体制づくりを進めています。また、エリアごとの地域の特性に合わせた具体的な取り組みを実行していくため、サブエリアを設定して、エリアごとに「グランドデザイン」の検討を進めています。

「草薙まちづくりニュース第2号」より引用

――まちづくりの理念について教えてください

山本さん:ビジョンやイメージを検討した後に、アンケートやオープンハウスでのヒアリングも行いました。その結果、「安心・快適」「まちのにぎわい」「健康」「文教イメージの醸成」「まちの魅力の向上」といった、多くの街の声も集まりました。

春田さん:そうした中から導き出されたのがまちづくりの理念「次代につながる選ばれる街~草薙駅周辺に住む人、来る人、みんなが主役~」です。それがどんな街なのかを具体化したのが「緑につつまれながら~「緑」と暮らす街~」、「知を創造する~「文教」の街~」、「ほっとする~「安全・安心」な街~」、「コミュニティを、未来へ~「にぎわい」のある街~」の“草薙らしさ”を取り入れた4つのあるべき姿です。

地域全体がつながり、盛り上げる草薙の街へ

草薙駅周辺まちづくり検討会議の様子③

――アンケートやオープンハウスヒアリングを実施されたときの感想を教えてください

山本さん:アンケートは「草薙」駅周辺の地域住民へ全戸配布しました。オープンハウスヒアリングは「くさなぎフェス&草薙マルシェ」という産学官民一体のイベントがあり、その中のブースで行いました。その際に行政の人たちと県立大学の教授、研究生が協力して作った模型を置いたんですね。たくさんの人がその模型に興味を持ってブースに立ち寄ってくれました。そこですかさず「草薙のまちづくりをどう思いますか」とヒアリングをしてたくさんの声が集まりました。思ったのは、みんな自分の街に関心があるんだということ。学区でいうと有度(うど)地区になりますが、そこには約36,000の人たちがいます。その人たちが興味を持っていることが如実に結果として現れたんですね。これにはすごく勇気づけられました。検討会議が続けられるのもこのような地域の方々の後押しがあるからだと思いますね。

静岡市清水駅周辺整備課「草薙駅周辺整備事業」より引用 ※イメージパースは現時点のイメージです。

――今後の目標を教えてください

山本さん:商店会の会長としては、商店会独自の努力ももちろん必要だと思います。ただ今草薙は地域全体で「つながるね、草薙」というひとつのキーワードで動いているような感じです。まず行政の方たちがとても熱い思いを持って街づくりに取り組んでいます。それに続いて民間企業や大学、自治会、商店会、そして地域住民も、みんなが同じ方向を向いている。「全国から視察がくる再開発モデル」を合言葉に、草薙は全員参加型の街づくりを進めています。つながりのある街ならはぐれる人もきっといない。お年寄りも、子どもも、子育てをするお母さんも、安心して楽しく暮らせるそんな街になっていけたらと思っています。

春田さん:昨年「JR草薙駅北口グランドデザイン研究会」を開催し、JR草薙駅北地区のまちづくりの構想を、周辺で暮らす方々と一緒に考えました。今後は研究会でまとめた「まちづくり計画」実現に向けて、産学官民の役割分担とその実施に向けた検討を進めていきたいと思っています。

環境に恵まれた静岡のビバリーヒルズ

草薙駅周辺まちづくり検討会議の様子④

――草薙エリアの魅力を教えてください

山本さん:まずアクセスが便利ということ。JRと静岡鉄道が通り、「静岡」駅や「清水」駅には10分足らずで到着します。また、緑にあふれた街でもあり、有度山、竜爪山などの山々や日本平など、自然にも恵まれています。近くには「静岡県立大学」や「県立美術館」のある文教エリアとしても知られ、2018(平成30)年には「常葉大学」が新キャンパスを構えることも決まっています。暮らしやすい環境で「静岡のビバリーヒルズ」と呼ぶ人もいます。街づくりが進むことで、もっともっと面白い街になれると思っています。

静岡県静岡市清水区インタビュー

草薙駅周辺まちづくり検討会議

有度地区連合自治会相談役 春田光三郎さん
草薙商店会会長 山本洋平さん
※写真は山本洋平さん
事務局: 静岡市 都市局 都市計画部 清水駅周辺整備課
TEL : 054-354-2017
URL: https://sites.google.com/site/kusanagikentou/home
※この情報は2016(平成28)年4月時点のものです。

産学官民が連携し、みんなの想いを込めた街づくりを/草薙駅周辺まちづくり検討会議 春田光三郎さん 山本洋平さん
所在地:静岡県静岡市葵区追手町5-1 
電話番号:054-254-2111
開庁時間:8:30~17:15
閉庁日:土・日曜日、祝日、年末年始(12/29~1/3)
https://www.city.shizuoka.lg.jp/

「千里山アゼリア保育園」 園長 インタビュー

スクスク伸び伸び子どもの個性を伸ばす/千里山アゼリア保育園 田部園長先生 坂元園長先生


北摂エリアの住み良い街として、人口も増加している吹田市。家族で暮らすにはうれしいポイントも多く、人気を集めている。「千里山アゼリア保育園」は千里線「千里山」駅から徒歩で1分程しかかからない非常に利便性の高い立地にある。駅近で明るく開放感のある保育施設という評判を聞いて、今回は、「千里山アゼリア保育園」の園長先生である田部先生と、今年開園した「駅前アゼリア保育園」の園長である坂元先生にお話を伺った。

駅近で環境のいい保育園

園内の様子

――まず、「千里山アゼリア保育園」の沿革からお聞かせください。

田部先生:保育園は2014(平成26)年の12月から運営をしておりましたが、今年10月から小規模保育園に移行しました。そのタイミングで、駅前の「BiVi千里山」にも新たに「駅前アゼリア保育園」を新設致しました。

「駅前アゼリア保育園」が入る駅前商業ビル「BiVi千里山」

――「千里山アゼリア保育園」も「千里山」駅から徒歩で1分ほどしかかからない立地ですが、駅近ということにこだわりを持たれたのでしょうか。

田部先生:駅近というポイントはやはり大切にしています。保育園というのは基本、働いている保護者さんが子どもを預けるという前提がありますので、駅から離れている場所だと、何かと大変だと思います。預かっているお子様達を大切に考えるのはもちろんなのですが、お母さん達の負担を少しでも軽減してあげたいなという気持ちも強くありましたので、当園としては重要視した部分でした。

子ども・保護者・先生みんなが明るく前を向いて!

「千里山アゼリア保育園」園長の田部先生(左)、「駅前アゼリア保育園」園長の坂元先生(右)

――現在、園児が19名という家庭的な保育園のようですが、どのような保育園を目指していらっしゃいますか。

田部先生:「愛と夢のある保育園」を方針としています。子ども達にも、保護者の方にも、また、先生達にも皆が愛を持って接することができるように努力しています。そういう愛を持った心を以心伝心して広がっていくといいなと考えています。小規模保育園に移行してから、まだ2ヶ月足らずということと、現在の場所では建物の制約等があるので、まだ実行には移せていないのですが、今後は病児保育などにも取り組んで、より幅広い地域貢献をしていきたいと考えています。

――普段はどういったところに遊びに行くのですか。

田部先生:吹田市はほんとうに公園がたくさんあるので、公園にお散歩に行くことが多いですね。

坂元先生:このあたりだと「千里山東公園」とか「千里山公園」、「中央公園」に行くことが多いです。都心に近いベッドタウンでありながら、子ども達が草木や土に身近に触れられる場所が多いのは本当に吹田市の魅力かなと感じています。

公園の多い周辺環境

――特徴のある行事などがありましたら紹介していただけますでしょうか。

田部先生:本園でお預かりしておる子ども達は0~2歳なのですが、その年齢でも運動会や発表会、保護者参観などを行なっています。 この年齢層でそこまでやっている保育園はあまりないと思います。当然0歳や1歳では出来ることも限られますし、本人の出来るレベルに合わせてということになりますが、保護者の皆様は楽しみにしておられます。名前を呼んで「ハイッ!」と返事をするだけで目がウルウルとしているお母さん方もおられます。

一人ではできないような経験を

――運動会だと具体的にどんなことをするのですか。

田部先生:入場から準備体操をして、ダンス、かけっこ、保護者と一緒に障害物競走とかです。本当に子どもたち個人のできる範囲でということになりますが、保護者の方も普段のお家ではできない、見られない姿を一緒に体験できるということで、むしろこの機会をとても楽しみにしておられる保護者様も多いです。保護者様からの喜びがこちらに伝わってくると「やってよかったな!」と思えますし、そういう気持ちの共感が大切だと思います。

坂元先生:あと、月に一回のペースで壁に張っているような作品作りを行なっています。 0歳、1歳、2歳と年齢別に飾っているのですが、0歳でも立派な作品を作れるのです。木とキノコの形は先生が作っておいて、子ども達がその上にモチーフを貼っていくという具合になります。やっぱりそれなりに子どもの個性が出ますよ。

0歳児の園児達が作った作品

――どのような子ども達に育ってほしいと願っていますか。

田部先生:スクスクと個性を伸ばしてあげたいなと思います。子ども達にとって大切な時期を預からせていただくことになるので、想いはたくさんありますけど、スクスク伸び伸び、というのが一番ですね。

――日々の生活のなかで心がけていることはなんでしょうか?

田部先生:お家で一人ではできないようなことを園内で体験させてあげるというのが大切かなと考えています。例えば、みんなで公園に遊びに行くこともそうですし、みんなと一緒にごはんや、おやつを食べるということもそうです。園内にいる時間で無駄なことが無いようにしてあげることが、子ども達にとって有意義な日常生活になっていくのではないかと考えています。

人との暖かみに触れられる街

桃山公園

――桃山台エリアでの子育て環境はいかがでしょうか?

田部先生:吹田市は家族世帯に人気のエリアで、子育てには本当にいい環境だと思います。公園や緑が多いのも理想的です。特にこの周辺は3人兄弟という世帯も多く、近くの小学校の生徒数も1000人を超えています。中学校は比較的学力が高いと言われていますし、そういう環境が育まれているせいか、保育園の園児や施設に対しても、近隣の住民の方たちに暖かく接してもらっています。よくお声掛けしてくださりますし、いろいろ気に掛けて貰ってありがたいなと思っています。

千里山アゼリア保育園

千里山アゼリア保育園

「千里山アゼリア保育園」田部園長先生(右)
「駅前アゼリア保育園」坂元園長先生(左)
所在地 :千里山東2-22-14 ラポール千里山B1F
TEL : 06-6339-3023
URL:http://www.city.suita.osaka.jp/home/soshiki/div-fukushi/fukushido/_72564/_72565/_72590.html
※この情報は2016(平成28)年12月時点のものです。

スクスク伸び伸び子どもの個性を伸ばす/千里山アゼリア保育園 田部園長先生 坂元園長先生
所在地:大阪府吹田市千里山東2丁目22番14号 ラポール千里山B1F
電話番号:06-6339-3023
開所時間:7:00~19:00
定休日:日曜・祝日
http://www.city.suita.osaka.jp/home/sosh..

桃山台インタビュー01

園・家庭・地域の連携を密にしてより良い環境を作る/吹田市立千里新田幼稚園 中村園長先生


大阪の市町村の中でも外部からの流入人口が増えている吹田市。大阪の都心部からも近く、特に緑や大きな公園も多い閑静な街並みの桃山台周辺は、子育て世代に人気のスポットになっている。吹田市では2015(平成27)年度から公立幼稚園の園区が無くなる制度が導入された。そのような中で公立幼稚園として異年齢学級保育など、独自の取り組みを行っている「吹田市立千里新田幼稚園」の中村園長に園の取り組みや特色についてお話をうかがった。

思いやりの心を育む保育

広い園舎

――まずは園の沿革と特色について教えていただけますか

中村園長:「吹田市立千里新田幼稚園」は1979(昭和54)年に開園して今年で38年目を迎えます。園・家庭・地域との連携を密にし、子どもを生き生きと育てるということを教育のモットーとしてきました。現在、園児は70名です。昨年度から吹田市では公立幼稚園の園区がなくなり、公立幼稚園の環境が少し変わりましたが、当園の基本理念は変わりません。保護者の方からの活動を積極的に受け入れていることです。最近では、日頃の園内での活動の様子をブログで紹介して、保護者の方に園での保育をお伝えしています。

――異年齢学級保育では、子どもたちの様子はどうでしょうか

子どもたちがのびのび過ごす園舎

中村園長:異年齢児学級のいいところは4歳と5歳の子どもが一緒に過ごすことで、入園したばかりの年中の4歳の子ども達に安心感が生まれているように思います。入園当初、慣れない環境で泣いている子どもも多いのですが、年長の5歳の子どもが一緒なので、お兄ちゃんお姉ちゃんがいるような雰囲気になり緊張感が和らぎます。また年長の子ども達は自分達が入園当時に年長の子ども達にお世話してもらったことを覚えているので、今度は自分達が年中の子ども達をお世話する番だという気持ちが芽生えます。こういう環境が歳の違った子どもどうしで、兄弟のように接することができるきっかけにもなり、思いやりの心を育むことができます。

総合信頼に基づいた「絆」の教育

「吹田市立千里新田小学校」の敷地内に位置する

――保護者の方々との連携について教えて頂けますか

中村園長:当園では年間を通して、保護者の方達が園内の行事に参加できる機会が多いです。こちら側から企画することだけでなく、保護者の方からの提案で行われる行事もあり、今日も保護者の方からの発案で開かれている古着の無料提供会が行われています。園内でも家庭の延長として親と子の絆や触れ合いができ、また先生と保護者、保護者と保護者のコミュニケーションも生まれます。

クリスマスイベントの様子

――年間行事を見ると食事を通じての交流を積極的に取り入れているようですね。

中村園長:食育に関しては近年において、重要視する施設が増えていますが、当園では作るプロセスから子どもたちに参加させる取り組みを行っています。小さな園庭があって、そこで採れた野菜を使い、調理も年長の子どもに包丁を使って食材を切る作業や、だんごを混ぜる作業も体験させています。ここでも年長の子どもが年少の子どものために作ってあげるというプロセスが入っていますし、まだ小さい園児に包丁を持たせる、というようなことも、普段から保護者の方と緊密な関係を築いて安心してくださっているからできることだと思います。

園庭で採れた野菜を使って子どもたちが料理する

――親子で一緒に参加するイベントも多いようですね。

中村園長:「どろんこ参観」や「どろだんごづくり参観」では親と子で一緒になって遊ぶことを目的としています。土や水や砂という自然にある、形を自由に変えられるものを使って子ども達と一緒になって遊ぶ機会を作り、情操教育にも役立てることが目的です。どろだんごを作るのは簡単なようですが、実は奥が深く、大学教授が丈夫などろだんごの作り方を研究されているくらいなのです。意外と大人がハマることが多いですよ。「親子歯科検診」は歯科医の先生から教わったことを親子で考え、役立てるためのもの、「親子防犯教室」は警察の方に協力して頂いて、防犯について教えてもらっています。

――未就学児の子育て支援や、子育て相談について伺わせてください

広々とした園庭

中村園長:未就園児の子育て支援では「たまごクラブ」というものを、下の年齢制限なしの未就園児を対象に開いています。園の職員で遊びを考えて、ボランティアの方に協力していただきながら過ごしてもらうというものです。運動会や動物との触れ合い企画など、園の年間のいろいろな行事にも一緒に参加してもらっています。子育て相談は堅苦しく構えなくても、育児について不安に思うことや分らないことを、送り迎えの時でもいいので、職員と気軽に話してもらうという、ざっくばらんなコミュニケーションの一環という感じて行っています。

伸び伸びを育む緑多き地。桃山台

電車を眺める園児達

――園外活動では公園にも出掛けると思いますが、この辺りだと、どこの公園などに行かれていますか

中村園長:「千里中央公園」や「千里南公園」、「服部緑地」の北東端にある「ガリバー公園(いなり山児童遊戯場)」などですね。「ガリバー公園」は長いすべり台があって子ども達には人気があります。

※いなり山は「21世紀に残したい日本の自然100選」にも選ばれている「千里丘陵の竹林」の一部。

「服部緑地公園」

――桃山台エリアの子育て環境や、街の魅力について感じられていることがありましたら教えてください。

中村園長:御堂筋線と接続する道路(府道135号線)が拡幅されてから周辺が、それまでよりも、また綺麗になったと思います。緑や公園も多く、子どもを育てるのにはいい環境だと思います。地域住人の方は新旧混在のエリアもありますが連携もよく、地域の方の見守りなども行われていて、安心できる地域でもあると思います。不動産会社さんからも吹田周辺で、ということで探されている方にはよくおすすめされるとも聞いています。

園・家庭・地域の連携を密にしてより良い環境を作る「吹田市立千里新田幼稚園」

千里新田幼稚園

園長 中村園長先生
所在地 :大阪府吹田市春日4-10-1
TEL :06-6386-9262
URL:http://www.suita.ed.jp/gak/kin/05-sinden/
※この情報は2016(平成28)年11月時点のものです。

園・家庭・地域の連携を密にしてより良い環境を作る/吹田市立千里新田幼稚園 中村園長先生
所在地:大阪府吹田市春日4丁目10番 1号  
電話番号:06-6386-9262
http://www.suita.ed.jp/gak/kin/05-sinden..

お母さん、そしてこれから誕生する赤ちゃんのために 出産から子育てを全面的にサポートする/じきはらこどもクリニック 直原先生


医療法人 廣仁会 直原ウィメンズクリニック・じきはらこどもクリニック
理事長 医学博士 直原廣明さん

お母さん、そしてこれから誕生する赤ちゃんのために
出産から子育てを全面的にサポートする
「直原ウィメンズクリニック・じきはらこどもクリニック」

豊中市新千里南町の住宅街に「直原ウィメンズクリニック」と「じきはらこどもクリニック」 がある。出産のサポートだけでなく、子育ても全面的にサポートしているクリニックだ。現代では帝王切開での出産が多いなか、「自然の本能を信じて出産すること」を追求しているのは、「直原ウィメンズクリニック」と「じきはらこどもクリニック」の理事長 医学博士 直原廣明さん。 お母さん、そしてこれから誕生する赤ちゃんのために、何ができるのか。クリニック内の空間づくりから、保育園、子どもたちの発達障害にも取り組む直原さんに、お話を伺った。

「直原ウィメンズクリニック」の概要について教えてください。

じきはらこどもクリニック 直原先生 インタビュー

もともとは、父がこの土地で産婦人科の診療所をやっていました。「日本万国博覧会」が開催された1970(昭和45)年から父が始めて、代替わりということで私が引き継いだ形になります。私自身は当初、開業するつもりはなかったんですね。ただ、病院の産科ではできないことをやりたいという気持ちも芽生えてきて、ここを新しく建て直し、スタッフなども一新してスタートしました。コンセプトとしては、一人ひとりを大切にして、その人に合ったオーダーメイドの診療をするということです。いま病院で出産するとなると、帝王切開率も高いですし、すごく不安なお産になってしまっているのが現状です。そこをもう少し、「お産して良かった」「産んで良かった」と思えるお産になってもらえるようにスタッフ一同でやっています。

「じきはらこどもクリニック」も併設されているようですね。

じきはらこどもクリニック 直原先生 インタビュー

お産にはいろいろなスタイルがありますが、そもそもは性の根本、人間の根本です。子どもが成長して行く過程の基礎になっていると思いますし、それは胎内から始まっていると思います。「産んで良かった」とお母さんに思ってもらえると赤ちゃんとの関係もうまく行きます。そうして生まれた赤ちゃんが育っていく過程で、今度は小児科が欲しくなったんです(笑)。小児科があれば、『直原ウィメンズクリニック』で出産したお子さんを入院中から見ることができますし、お母さんには1カ月健診くらいまでもいろいろな不安があるものです。小児科で子どもを診られるようにしていきたいということで『じきはらこどもクリニック』を始めました。

保育園も併設されていますね。その趣旨を教えてもらえますか。

じきはらこどもクリニック 直原先生 インタビュー

『こどもクリニック』を始めると、子どもが育つうえでの支援というのか、お母さんとの関係を作って行くための子育てサポートという必要性が出てきました。それで『こどもクリニック』の2階を保育園にしています。保育園ではうちのスタッフのお子さんを預かる事業所内保育園としてスタートしています。それプラス、地域のお子さんをお預かりして、お子さんの誕生から子育てをサポートしていく。すべてつながりがありますからね。これは、深く考えてということではなく、自然の流れでこういう風になってきました。

課題や必要性を感じながらさまざまなことに取り組んで来られたのですね。

じきはらこどもクリニック 診察室

「自然の成り行きなんだな」とつくづく思いますね。私が「こうしようああしよう」と思ってやってきたわけではなかったんです。その意味では、私自身が「生かされている」と思います。性に携わっているからこそそう思うのかもしれませんが、これも自然の力なのかなと思ったりしますね。

「子育てサポート」に特化した親子サロンも開設されていますね。

『ココロ』というも子育てサポートも行っています。これは保育園の一部門になりますが、地域のお子さん、お母さん方も含めて、いろいろな不安があるものです。そこでコミュニティーのようなものを作って意見交換やアドバイスなどを行っています。当院の看護師、スタッフ、保育士がサポートする形になりますね。

出産された母親から子育てなどに関して、不安の声が出ることも少なくないのでしょうか。

直原ウィメンズクリニック 待合室

現代人はとくに不安は強いと思っています。パソコン、インターネット、スマートフォンなど、情報がいろんなところで錯綜していて頭を使い過ぎています。それは論理的に考える大脳皮質を使い過ぎているということなんです。出産というのは、動物が本来持っている本能です。それを難しく考え過ぎることは良くないことなんですね。ですので、いまお母さん方に伝えているのは、「自分の本能を信じて出産しよう」ということです。それを「自然に」と言うと誤解されることもあるのですが、自然を基本にしながら、今の現代医療で出来る限りの安全な出産をしようというスタイルでやっています。世間的には医療一本になりつつあるのが実情です。大病院では、お産を病気として見てしまっていますから。病気として見てしまうと、お母さんも病気だと思ってしまいます。出産する力がなくなってしまうんです。

じきはらこどもクリニック 診察室

世界的に帝王切開率が当たり前のように高くなってきています。本当にそれでいいのかという不安、危機感があります。ですので、出産する力をもう1回見直してもらうことを大切にしています。でも、まだまだ手探りですね。人それぞれ違うものですから。とにかく「産んで良かった」と思ってもらえるようにしたい。もうひとり産みたいという気持ちになってもらいたい。当院としては、地域の人にハッピーな出産をしてもらって、子育てにつながり、子どもさんの成長につながることができればと思っています。

『じきはらこどもクリニック』で実施している「アートプロジェクト」について教えてください。

じきはらこどもクリニック 待合室

縁があり京都の美術学校の生徒さんがボランティアで手伝いをしてくれました。小児科のクリニックですから、お子さんが安心して来られるような空間を作りたいという気持ちがありました。無機質的なものではなく、楽しんで、暖かみのあるクリニックにしたいという思いから内装を変えています。

これからのビジョンを教えてもらえますか。

じきはらこどもクリニック 診察室 壁

最終目標としては、人間が出産して、子どもが元気に育ってくれて、そのなかで自分ができることは何か、と考えると、今の形なんだと思います。こういう考え方で続けられるようにしていきたいというだけですね。細かいビジョンというものはありませんが、この先にも自然と生まれてくるものがあると思いますから。実は今度、新しい小児科の院長がやって来るのですが、その方は、子どもさんの精神的な発達障害とかにも手を掛けていきたいという考えを持っています。それは私の考えとも合っているんですね。いまアスペルガー症候群などの発達障害は増加傾向にあります。それは、もしかしたら妊娠期から関わっているんじゃないかと私は考えているんです。だからこそ、産婦人科と小児科が一緒になって取り組むことが重要なんだと思っています。二つで協力しながら自閉症や多動性障害にも取り組めたらと思いますね。

最後に、新千里南町の魅力を教えてください。

直原ウィメンズクリニック 待合室

豊中市と吹田市の境界で、千里という新しい地域が出来ている感じですね。吹田市のなかに含まれているのが千里で、ここは豊中市寄りのエリアになります。新しい街だけではなく、昔からの街と一緒に育ってきていますから、いろんな住人の接点になっている街だと思いますね。「千里は高齢化してきた」と言われて来ましたが、いまは若者も増えています。いろんな人が集まって出来ている街ですし、その辺がひとつの魅力になっていると思いますね。静かさはありますし、住みやすさも魅力だと思います。

じきはらこどもクリニック 直原先生 

今回、話を聞いた人

医療法人 廣仁会

理事長 直原廣明(じきはら ひろあき)さん

所在地:豊中市新千里南町2-11-1
電話番号:06-6871-0314
http://www.jikihara.net/index.html

※記事内容は2014(平成26)年12月時点の情報です。

お母さん、そしてこれから誕生する赤ちゃんのために 出産から子育てを全面的にサポートする/じきはらこどもクリニック 直原先生
所在地:大阪府豊中市新千里南町2-11-7 
電話番号:06-6871-1250
診療時間:9:00~12:00、16:00~18:00 ※平日13:30~15:00は予約外来
休診日:木・土曜日午後、日曜日、祝日
http://www.jikihara-child-clinic.net/

“本気で子どもたちに寄り添う教育”を 卒業生も在校生も温かく見守る/豊中市立第九中学校 高橋孝子校長先生


豊中市立第九中学校
高橋孝子校長先生

“本気で子どもたちに寄り添う教育”を
卒業生も在校生も温かく見守る「豊中市立第九中学校」

「日本万博博覧会」が開催された年に開校した「豊中市立第九中学校」は、豊中市のなかでも3番目に大きい学校だ。四季折々の変化を楽しむことができる自然豊かな環境で育まれる子どもたち。「子どもたちに寄り添うことが、保護者の方にも寄り添うこと」そう話してくれたのは、「第九中学校」に就任して5年目の高橋孝子校長先生。学校での取り組み、また学校と連携している周辺地域の魅力についても伺った。

中学校の沿革・概要を教えてください。

豊中市立第九中学校 校門

「日本万国博覧会」が開催された1970(昭和45)年に、千里ニュータウンの中の学校として開校しました。校区は「新千里南町」、「新千里西町」、「千里ニュータウン」には属さなかったのですが、その町内にある4校の小学校卒業生が全員、本校にまいります。1年生7クラス、2年生7クラス、3年生が8クラス、それに支援学級が7クラスの29学級、870名が在籍し、学校運営に関わるものは約70名です。豊中市では3番目に大きな学校で、敷地面積でいうと豊中市内で2番目に大きい中学校になります。校内には竹林もある非常に緑豊かな学校です。

生徒数は増加しているのでしょうか。

豊中市立第九中学校 教室

この周辺地域は、もともとは公団住宅でした。校区の上新田に残っていた竹林が売却され、マンションが建ちましたし、新千里西町の方でも団地が建て替えられてマンションが建つなど、マンションが建つことで生徒数が増えていきます。また、転入生が多いという特徴もあります。

中学校の教育目標を教えてもらえますか。

豊中市立第九中学校 教育目標

人間として人権を尊重することがすべての基本になります。自ら考え、判断し、行動できる、表現できる生徒の育成ですね。心豊かにたくましく生きる生徒の育成、この目標はずっと変わることなく全ての考え方の基本になっています。やはり心が豊かでなければいけません。「第九中学校」は街中の学校ですので、“たくましさ”という面も強く育てたい部分だと思っています。

学校行事ではさまざまな取組みをされているようですね。

豊中市立第九中学校 看板

豊中市の事業のなかに「オンリーワンを誇れる生徒の育成支援事業」というものがあります。3年計画で行われるものですが、本校として目指しているのは体験を柱としたものです。それは、体験がなかなか出来ていないのが実情としてあるからです。農村にある学校ですと、外で働く姿を見て、お手伝いをするということはあるのでしょうが、この地域の生徒はなかなかそういった体験をする機会がありませんので、体験することを柱とし、心を育て、生きる力を培うキャリア教育を掲げています。キャリア教育というのは、職業だけの教育ではなく、社会人になるための教育です。キャンプや校外学習、国際交流などを通じ、生きる力を養っていくものになります。

国際交流について詳しく教えてください。

豊中市立第九中学校 サンマテオからの贈り物

豊中市がアメリカのサンマテオ市と姉妹都市提携を結んでおります。その関係からサンマテオ市にある「Borel Middle School」という中学校と姉妹校になっています。昨年私はBorel校にうかがいましたが、この4月にはBorel校の校長先生や教育長さんが来られました。先日からはライブでテレビ会議を始めています。1回目は試運転ということでBorel校の校長先生と私が話をして、2回目は本校の英語の先生と、Borel校の外国語の先生がお話をしました。

豊中市立第九中学校 高橋校長先生インタビュー

次に、音楽交流をしようと考えています。こちらのブラスバンド部は大阪府大会にも出場していますので、Borel校の吹奏楽部と交流をしようという取組みです。さらに、互いの生徒会で環境問題について話をしようなど、1週間から10日に1回ずつくらいの割合で定期的にライブ会議をしていくつもりです。国際交流を実体験することは、国際的な感覚を養うことにつながると思います。

職場体験とはどのようなものでしょうか。

豊中市立第九中学校 高橋校長先生インタビュー

職場体験はどこの学校もしているとは思いますが、実際の体験の前には、「職業とはどういうものか」「社会で生きるとはどういうことか」をしっかりと学習したうえで体験に臨みます。体験が終わってからも、御礼状も書きますし、「自分たちはこんな体験をしてきました」という校内の発表会を開きプレゼンを行います。キャリア教育とは、心を育て、生きる力を培うためのものです。なので、ひとつの行事に合わせて、前置きやまとめが必ずあるんですね。

周辺の学校と共同で行っている取組みはありますか。

豊中市立第九中学校 掲示板

高校に行って授業を受けるとか、高校の先生に来ていただき中学生が授業を受けるとか、さまざまな取組みがあります。小学校と中学校が連携し、中学校と高校が連携する。中学の3年間だけで子どもは育つものではありません。長いスパンで考えることがとても大切だと考えています。

豊中市立第九中学校 クリーンアップ作戦

それと、クリーンアップ大作戦というものを年に1回実施しています。本校に入学する4つの校区の小学校、そして本校の生徒、地域の方々、幼稚園や保育所の子どもたちとみんなで町を掃除する活動です。また、保育所、幼稚園、小学校、中学校の先生で、夏休みに合同で1日研修会を行っています。全員で120名くらいになるのですが、「地域の子どもは地域でずっと育ててゆく」という考えを共通理解しています。研修会の議題は毎回変わるのですが、今年の場合は、「切れ目のない支援」をテーマに行いました。支援学級に在籍していなくても、いろんな意味で支援が必要な子どもさんもいらっしゃいます。その子たちに対して切れ目なく支援するにはどうすれば良いのかを皆で考えました。そして、いまは登校支援を必要とする子どもたちが増えています。それに対してどういうことが出来るのか、そういったことを専門家の先生にお聞きしました。
こういう研修会をしているのは豊中市の中学校でもそう多くはありません。先生同士が顔見知りになることは、保護者の方や地域との関わりにおいて、とても意味のあることだと思います。ここには、4つの校区が分割せずすべて本校に来るという特徴がありますから、そういうことがやりやすい環境があるとも言えますね。

地域との関わり合いについて教えてください。

豊中市立第九中学校 高橋校長先生インタビュー

クリーンアップ大作戦などもそうなのですが、昨年からは地域の方々が「千里新成人の集い」を開催してくださいました。いま豊中市には成人する子どもたちを一度に全員収容するための施設がありません。ですから行きたい人だけが参加する申し込み制になっているんですね。そういう背景もあって、地域で「千里新成人の集い」を開催してくれたのです。千里に住む人すべてが対象になるのですが、出席したのは全て本校の出身者で、その年成人を迎えた卒業生の75%、約4分の3が母校へ戻ってきてくれました(笑)。

同窓会の活動にも力を入れておられるようですね。

豊中市立第九中学校 同窓会 サイン

同窓会活動が停滞している学校は多いと思います。当校でも長く総会が開かれていない状況がありました。ただ、同窓会長さんは必ず中学校の卒業式に参加し、同窓会からの花束を渡してくださっていました。そこで4年ほど前に同窓会を活発にしようという動きがありました。幸いなことに、当校の同窓会には、卒業生の全員が入っています。ですから同窓生が1万3312人いることになります。これも珍しいことですね。卒業生が校舎を見学したいと言えば、セキュリティー面をしっかり確認し、迎え入れています。歌手の矢井田瞳さんも当校の卒業生なんですが、テレビ番組の収録で来られたこともあります。働いている卒業生たちは、「帰れるところがある」と思って活動ができるのではないでしょうか。同窓会を続ける目的というのは、いつ来ても温かく迎えられる学校でありたいということなんです。「第九中学校の同窓生です」と堂々と言えるということは、母校に誇りを持ってくれているということです。

豊中市立第九中学校 ひこうき雲

私たちは、生徒たちがその気持ちを抱いた状態で卒業させることもひとつの使命だと思っています。支援学級の活動のひとつに『サークルひこうきぐも』があります。支援学級の考え方は、今は法律が変わり「みんな一緒にやろう」となりましたが、豊中市は30年以上前から、支援学級の生徒もみんなと同じ授業を受けているのです。そのなかで、『サークルひこうきぐも』が生まれました。今年で22年目になりますが、それだけ繋がっている学校は珍しいと思います。年末に、保護者の方や現役の生徒、先生が集まってたこ焼きパーティーを開催するのですが、その業務用のたこ焼き器はずっと借りていました。それは、もったいないと同窓会がたこ焼き器を買ってくれました。いろいろな方々がいろいろな想いを持ち、つながっていることが、同窓会を長く続けられる大きな理由だと思いますね。

ユニークなホームページを開設されていますが、どのような趣旨を込められているのでしょうか

ホームページ委員会を設けて、先生方それぞれが原稿を集めて写真も撮影しています。その中心になっているのが教頭先生になります。
(ここで栗林聡明教頭を交えてお話を伺った)

豊中市立第九中学校 教頭

栗林教頭
情報発信の媒体として、「学校は今、こういうことを行っている」と最新の情報を伝えることができます。プリントで学校便りや学年便りでも伝えていますが、写真も白黒で見にくかったり、子どもたちが机の引き出しにしまったままということもあります。ホームページは保護者の方が見たいと思ったときにいつでも見ることができ、地域の方にも見て頂けるメリットがあります。ホームページに特色ある取り組みを載せると、アクセス件数もグッと伸び、アクセス数が1000を越えることもありますね。先生方には「面白い授業するなら教えて」と伝えています。そして、授業や行事を見に行って、その日のうちにエッセンスを吸いあげて情報発信するようにしています。

豊中市立第九中学校 HP

高橋校長
見えることは大事なこと。参観やオープンスクールなどで保護者の方に学校へ来てくださる機会は作ってはいますが、なかなか中学生になると「来なくて良い」と親に言うことがありますから…(笑)。ホームページだと取り組んでいることの細部を紹介できますし、先生方も記事を書くことで自分が取り組んだことを振り返ることもできます。学習面を細かくきちんと伝える機会は、少ないですし、授業の深い部分、意図などは発信しにくいこともありました。先生方は生徒の学力が向上できるように工夫してくださっています。

第九中学校に通われている生徒の雰囲気はいかがですか。

豊中市立第九中学校 表彰

とても落ち着いていると思います。生徒870人と先生方を入れると、体育館では900人以上になりますが、私が壇上に立ったとき、みんな顔を上げて話を聞き、私語をする生徒は一人もいないんです。それを50分間続けることができる。これはすごい集中力かなと思いますね。全校朝礼の場合、私は10分を限度に話をしますが、結構な数の表彰もありますし、各委員会からの連絡、生徒指導の先生からの諸注意などがあっても、誰も騒ぐことがない(笑)。授業規律も守られていますね。学習に対する意識もすごく高い。私が本校に来て5年目になるのですが、その状態が続いていますね。

先生方の姿勢について教えてください。

豊中市立第九中学校 教員バレーボール

先生方と一緒に決めた方針に「本気で子供に寄り添う」というものがあります。どれだけ子どもに寄り添えるかが教師力だと思っています。子どもが理解できる授業をすることもそうですし、子どもたちの毎日の変化をいち早く察知する感性も必要です。子どもに寄り添うことは、保護者に寄り添うことでもあります。いろんな家庭から子どもは通って来ていますから、ときには寄り添いきれないことも出てまいります。そういうときは、例えばほかに連携できるところにしっかりと繋いでいきます。なので、先生方はすごく仲が良い。体育大会は全員そろいのTシャツで生徒たちを支え、先日にはバレーボールの「高橋カップ」を開催しました(笑)。自分ひとりで抱えず、みんなでやっていくことがひとつの姿勢になっていますね。

最後に、新千里南町の魅力を教えてください。

豊中市立第九中学校

やっぱり環境が抜群ですね。今の季節は学校の窓からでも紅葉した木々を見ることができます。春には桜も綺麗に咲きますから。その風景は切り取った絵のようです。その一方で都心に近いという便利さもあります。千里ニュータウンを作ったころの木々が生長して、「西町公園」や「千里南町公園」に緑が多く残っていて、とても豊かな環境です。

豊中市立第九中学校 高橋校長先生インタビュー

今回、話を聞いた人

豊中市立第九中学校

校長 高橋孝子先生

豊中市立第九中学校
所在地:豊中市新千里南町1-4-1
電話番号:06-6831-0751
http://www.toyonaka-osa.ed.jp/cms/jh09/index.cfm/1,html

※記事内容は2014(平成26)年12月時点の情報です。

“本気で子どもたちに寄り添う教育”を 卒業生も在校生も温かく見守る/豊中市立第九中学校 高橋孝子校長先生
所在地:大阪府豊中市新千里南町1-4-1 
電話番号:06-6831-0751
http://www.toyonaka-osa.ed.jp/cms/jh09/

「菓子工房ガトーマスダ」 増田嘉嗣さん インタビュー

本物の素材と確かな技術が生む絶品洋菓子「菓子工房ガトーマスダ」/菓子工房ガトーマスダ 増田嘉嗣さん


「菓子工房ガトーマスダ」は、2000(平成12)年9月20日にオープン。本店(高島平)をはじめ、志村坂上店、成増ダイエー店、カスミ前野町店、横須賀店の全5店舗を構える名店だ。代表の増田嘉嗣(ますだよしつぐ)さんは、フルーツの加工会社「三啓商事」を経営し50年以上に渡りフルーツの加工及び製造・販売を行ってきた。そこで培ってきた技術を生かし開発してきたお菓子の数々を、直接お客様に届けたいとの思いで始めたのが同店の始まりである。増田さんに話を伺い、店の特色やこだわり、今後の展望について語っていただいた。

素材へのこだわりがおいしさへ繋がる

笑顔で取材に答える増田さん

――お店の特色、ケーキ作りで一番大切にしていることついて教えてください。

増田さん:ガトーマスダの製品には、食品添加物を使用することはありません。また、マーガリンやホイップクリームは当社製品には使用しておりません。お客様の健康を考えて、体に良くないものは一切使用しないことが当社の一番大切にしているポリシーです。一般的にケーキ類や焼菓子類に合成着色料、合成香料、合成保存料などの食品添加物が使われていることは、よくご存じだと思います。また、洋菓子作りに欠かせないもので重要な食材に、マーガリン(コンパウンドバター含む)、ホイップクリーム、ショートニングがあります。実はこれらはフレッシュバター及び純生クリームの代用品なのです。そしてこれらの製造に用いられる添加物が乳化剤です。この乳化剤こそが時として、小さなお子様(乳幼児)や胃腸の弱い方には大変な負担をかける原因になっています。

ケーキから焼き菓子まで豊富な洋菓子が並ぶ店内

お菓子屋として、食を提供する側として安心安全なものを召し上がって頂くことは当たり前です。食品添加物は、摂取しなくても良いのであればしないほうが良いのですし、使用しない方が3倍美味しいお菓子になります。おかげさまで多くのお客様から「ガトーマスダのケーキやお菓子はどれを食べても美味しいね!」と言って頂いております。当店が食材の全てに天然のもの、自然のものにこだわってきた結果が、お客様の評価につながっていると思います。

おすすめ商品の「完熟アップルパイ」

――おすすめの商品について教えてください。

増田さん:「完熟アップルパイ」がオススメです。山形・寒河江産の完熟リンゴを使用し、レモン果汁だけでソテーして濃縮した白いリンゴと赤ワインに漬け込んだ赤いリンゴの2種類のリンゴの良さを組み合わせたもので、アップルパイのイメージを一変させる逸品ですよ。また、「純生ロールケーキ」「レモンパイ」「熟成ショコラケーキ」「フルーツケーキ」などもオススメですね。

人の10倍の努力と100倍の実験

食品添加物は一切使わない安心安全なケーキ

――お店を始めた経緯について教えていただけますか。

増田さん:戦後間もない昭和30年代に、元々は東京の大学の工学部に進学しようと思い九州から東京に出てきたのですが、食べていくだけでも大変な毎日を送っていました。そこで、将来設計を見直し、就職することにしたのですが、私は子どものころから“ものづくり”が好きでしたので、“ものづくり”に携わることができる仕事はないのか、と探し始めました。

そこでたまたま就職したのが合羽橋の菓子問屋でした。ある日取引先を周っているとフルーツケーキを目にする機会がありまして、それに私は刺激的なひらめきを感じたのです。フルーツの洋酒漬けはまだ一般的ではないし、今後大きなマーケットになる予感がしました。洋酒漬けの技術を磨くには年数がかかるものなので、若いうちに独立して腕を磨いていこうと決めました。

分子レベルでケーキを研究して日々新たな商品を生み出していく

そして、人の10倍の努力と人の100倍の実験をすればなんとかなる、と腹を決めて弟子入りをせずに独立しました。こうして始まったフルーツ加工、製造・販売を行う「三啓商事」は、後にガトーマスダの母体となったのです。ここ高島平を選んだ理由は、フルーツ等の全国発送をするための運送業社が近くにあり利便性に優れていたこと、一緒に働いてくださるパートさんが多く集まる地域だったことも大きいですね。そして1977(昭和52)年には新工場を構えて、フルーツの洋酒漬け、糖漬け、りんごの加工品、マロンペースト等の菓子材料をここ高島平から製造し、2001(平成13)年に洋菓子店のモデル店として「ガトーマスダ本店」をオープンしました。「三啓商事」で培われたフルーツ加工のノウハウは、ガトーマスダの洋菓子には欠かせないものになりました。

フルーツ加工から始まったガトーマスダ

――「いたばしのいっぴん」に選ばれた「完熟アップルパイ」について商品開発のコンセプトや苦労などについて聞かせてください。

増田さん:40年ほど前取引先を訪問していた時に、山形のりんご農家でりんごの「ふじ」に出会いまして、その時に「こんな美味しいりんごがあるんだ!」と衝撃を受けました。それまでのリンゴにはない甘さとジューシーさに大変驚きました。私自身アップルパイは甘くて好きではなかったこともありまして、このリンゴを使って日本一のアップルパイを作ろう、と闘争心に火がつきました。リンゴ農家に土作りから依頼して納得のいくリンゴに辿り着くまで10年、それからリンゴの水分を抜き糖度を高める製法を編み出すのに15年の歳月を要しました。リンゴの漬け込みに使用するにも一流の酒を使用し、良い材料、良い食材と味のバランスを徹底して研究し開発しました。その結果、他にはないリンゴは甘さがすっきりとしてサクサクの食感、パイはパリパリ香ばしい、リンゴの自然な美味しさが生きる「完熟アップルパイ」が生まれました。

「完熟アップルパイ」は「いたばしのいっぴん」にも選ばれた

落ち着きがあり暮らしやすい街、高島平に根付いた本店

――本店ならではの特徴がありましたら教えてください。

増田さん:本店では、以前ランチ営業をしていた名残もありましてイートインスペースがあります。お客様にゆっくりと寛いで本物のケーキを味わっていただきたく、ちょっと贅沢なイタリー家具やステンドグラス等が楽しめる空間をご用意しています。ぜひご利用ください。

店内にはイートインスペースもある

――このあたりの方は、どういう目的でケーキを買いに来られる方が多いですか?

増田さん:お客様には高島平近辺の方はもちろん、埼玉や神奈川からも来ていただいています。ちょっと贅沢したい時や大事な方へのワンランク上のギフト商品として買い求められる方が多いですね。

――高島平の街の魅力、住みやすさについて教えて下さい。

増田さん:「赤塚公園」や「高島平緑地」など緑や公園が多いところが良いと思います。また、治安が保たれていて街に落ち着きがありとても暮らしやすいですね。「高島平中央病院」をはじめ医療機関が多くあるところも安心です。都心からのアクセスも良いですし、買い物も楽しめる。自然にもたくさん触れ合うことができる、そんな街だと思います。私は、高島平が好きですし、この街の人との関わりはとても大事だと考えていまして、店では年に3,4回中小企業診断士音楽隊とのコラボレーションでミニコンサートを開催しています。前回はのばら、オンブラマイフ、ヴァイオリンとオーボエのためのコンチェルトなど盛りだくさんの演奏をしたり、「おかしなはなし」と題しケーキのこだわりについてお伝えしたりしました。今後も続けていきたい活動のひとつです。

ガトーマスダはまちのつながりも大切にしている

――「ガトーマスダ」のほかに、高島平エリアでおすすめのお店がありましたら、教えてください。

増田さん:「中国四川料理 剣閣」がオススメですね。あらゆる面でレベルが高く美味しいです。お店の息子さんが修行から戻ってきてから更に良くなったと思いますよ。同じものづくりをする人、食を扱う人として共感します。

――何か、次に挑戦、研究したいことなどありましたらお願いします。

増田さん:現在もガトーマスダのホームページ上で「おかしなはなし」を連載しています。私の中では既に100話分ほどありまして、随時記事にして公開していきたいと思っています。お菓子に興味がある人や現在業界で働いている人に、私が積み上げてきた考え方、経験、哲学をどんどん知らせていきたいと思っています。そして刺激を受けた人たちが、ガトーマスダは面白い、働いてみたい、と思っていただき最終的には技術を身につけて、お菓子業界全体が活性化されたり雇用に繋がったりすることができれば良いと思っています。

菓子工房ガトーマスダ増田嘉嗣さん

菓子工房ガトーマスダ

代表 増田嘉嗣さん
所在地 :東京都板橋区高島平7-14-21
TEL :03-3939-2992
URL:http://www.gato-masuda.co.jp/
※この情報は2016(平成28)年11月時点のものです。

本物の素材と確かな技術が生む絶品洋菓子「菓子工房ガトーマスダ」/菓子工房ガトーマスダ 増田嘉嗣さん
所在地:東京都板橋区高島平7-14-21 
電話番号:03-3939-2992
営業時間:10:00~20:00
定休日:1月1日
http://www.gato-masuda.co.jp/

「生涯ずっと本を読み続けてほしい。」 図書館の枠を超えた取り組みで想いを伝える図書館/鎌ケ谷市立図書館 館長 髙橋さん、主査 米井さん、株式会社すばる 図書館事業室 椎名さん


鎌ケ谷市立図書館
館長 髙橋さん
主査 米井さん
株式会社すばる 図書館事業室 椎名さん

「生涯ずっと本を読み続けてほしい。」
図書館の枠を超えた取り組みで想いを伝える「鎌ケ谷市立図書館」

新京成線「初富」駅を降りた先にある「鎌ケ谷市立図書館」。30万冊を超える蔵書があり、児童書にも力を入れ、充実した図書館として利用者も増加している。民間の「すばる書店」が運営に携わっており、選書やディスプレイなど様々な所に趣向を凝らす「鎌ケ谷市立図書館」。近くには「鎌ケ谷市郷土資料館」もあり地域の事を学ぶには最適なエリアだ。そんな「鎌ケ谷市立図書館」について館長の髙橋さん、主査の米井さん、株式会社すばる 図書館事業室の椎名さんにお話を伺った。

まず始めに、「鎌ケ谷市立図書館」の概要について教えてください。

施設内

髙橋館長:「鎌ケ谷市立図書館」は、1987(昭和62)年にオープンしました。当時は、1・2階が図書館、3階が公民館としてスタートしました。その後公民館が移転しましたので、全ての階を図書館が管理するようになり、現在3階は学習室と集会室として使用しています。1階が主に一般書、2階には児童書や参考資料室、読み聞かせなどをする部屋を完備しています。開館時間は、午前9時から午後8時までで、日曜・祝日は午後5時に閉館です。蔵書数は2015(平成27)年の4月1日現在で30万1319冊あり、その中で児童書は9万815冊あります。

椎名さん:公共図書館では限られたジャンルではなく、幅広いジャンルの本を手に取って頂けるように、全ての分野において万遍無く揃えることを意識しています。

自習室

髙橋館長:選定の基準はずっと読み継がれてきたものや、話題性のある本は必ず内容を理解し、スタッフと検討してから購入しています。児童書は特に、長く親しまれているものを買い揃えていますね。リクエストも受付けているので、なるべく要望に応えていきたいと思っています。

ジャンル別本

利用者に関しては幅広い世代の方々に、お使い頂いています。2階が児童書中心になっているので、両親やおじいちゃんおばあちゃんと来館されるお子さんが多く、ご家族でご利用して頂いていると思いますね。1階の新聞等を見られている方はご高齢の方が多いですが、昼頃になると主婦の方々が買い物のついでに寄られたり、5時以降になるとお仕事帰りの方や、お子さんを保育園や学童に迎えに行った帰りに寄られる方もいます。

利用方法は利用者カードがあり、登録が必要になります。登録するにあたり、鎌ケ谷市に在住、在勤、在学の方、もしくは隣接している柏市、松戸市、船橋市、白井市、市川市の方も登録が可能です。

「鎌ケ谷市立図書館」の特徴について教えてください。

児童書

髙橋館長:数年来、児童書に力を入れています。また選書はじっくりと考えていいものを提供したいと考えており、何かに突出してもいないので、割と手軽にいろんなものが読めるという点も特色だと思います。

平成生まれの作家

米井主査:図書館によっては複本を揃えているところもあるかと思いますが、鎌ケ谷市は全体的に、柔軟に幅広い選書にしています。分館があり、取り寄せも可能ですので、同じものを5冊置くよりはいろんな分野のものを置くという配本の仕方を取り入れています。一館にまとめてというよりも、市内全部に行き渡るように配置しています。

ホームページには、こども向け、ヤングアダルト向け、ベイビーアンドママ向けのページがあり、展示やイベントなども、それぞれの世代に向けて行なっているようですね。

バーバパパ

髙橋館長:ホームページではなるべく詳しくイベント等を紹介させて頂いています。展示にも力を入れており、話題性のある物や、作者を限定して本を展示したり、その年の干支の作家さんを選定して特集を組んだり、亡くなった方の遺作を展示することもあります。

お知らせボード

児童書はクリスマスやハロウィンなど季節に合ったものをボードで特集して、「こんな本があるから読んでね」と紹介しています。スタッフさんがとても頑張ってくれているので掲示板も見応えのあるものになっています。選書も本を紹介するのも、お子さんが読みたいと思えるような展示をしたり、スペースがない所でも壁に絵を描いたりと工夫しています。先月はバーバパパのぬいぐるみを置いたりと、バリエーションも豊かです。

米井主査:このような工夫は、民間の力だと思いますね。ホームページの華やかさや展示のレイアウトの工夫など、選書に一般企業ならではのエッセンスを盛り込んで頂く中で、特色がよく出ていると思います。

イベントは、おはなし会をはじめ、クリスマス会のような季節のもの、創作教室、図書館で映画を見ようなど、幅広く行われているようですね。

年賀状関連の本

髙橋館長:2016(平成28)年に初めてお正月に向けて福袋を用意する予定です。中に3冊入れて何が入っているかお見せしないで貸出しをします。みなさんに楽しんで頂けるといいですね。

椎名:イベントのおはなし会については4種類あり、小学生向けが第1日曜日、乳幼児向けが第2第4水曜日、東部分館で第2日曜日開催しているイベントが図書館主催のもので、第3土曜日にボランティアの方々が開催しているものもあります。

クリスマスの飾りもの

髙橋館長:第3土曜日に「ザ・チャレンジ」という創作教室を開催しています。対象は小学生ですが、保護者同伴であれば幼児も参加可能です。日本レクリエーション協会の方が講師をして下さっています。2015(平成27)年はハロウィンでかぼちゃの大きな被り物やクリスマスの飾り物、万華鏡やコマ、絵ローソクなどを作りました。最初から全部作るものもありますし、基本の物を作っておいてそこに手を加えるというものもあります。毎月開催しているので、継続的に参加している子どもがお友達を連れてきたり、イベントを通して仲良くなったりと、みんな楽しく取り組んでいます。

マンガ

映画は東部学習センターで年に10回ほど上映しています。DVD資料も東部分館に所蔵しており、映画にまつわるお話や本の紹介をしてから上映しています。2015(平成27)年に上映した「ローマの休日」は特に好評だったので、初めて2回目を上映します。子ども向けのものでは「おさるのジョージ」などを上映しています。

おはなしひろば

1つのテーマに沿って何冊かの本を順に紹介し、子どもたちに本絵への興味を持ってもらい、読書の楽しさを知って、もっといろいろな本を読んでみようと思ってもらう「ブックトーク」を学校を訪れ行っています。私たちは生涯本を読み続けてほしいという思いがあり、健康増進課と一緒に「ブックスタート」という事業も行っています。4か月健診の時にボランティアさんが読み聞かせを行ってくださり、そこで本も2冊プレゼントしています。

この街の魅力やおすすめスポットについて教えてください。

親子

鎌ケ谷市は駅が多く、その周辺を中心に発達した住宅都市なのでとても静かですね。緑が多く畑や梨畑やあってのどかな環境が住むにはピッタリの場所だと思います。ゆったりと住むということに特化した街だと思います。市役所の上の階からは富士山やスカイツリーが見られるんです!よく写真を撮っている方もいらっしゃいますよ。

貝柄山公園

大きな公園では「貝柄山公園」や「鎌ケ谷市市制記念公園」があり、そこにはテニスコートがあったり野球場があったりするので、小さなお子さんから大人までのびのび遊べると思いますね。

これから街に住まわれる方にメッセージをお願いします。

レファレンスサービス

鎌ケ谷市は治安の面でも良く、子育て支援にも力を入れている市なので安心してお住まい頂けると思います。「鎌ケ谷市立図書館」も本の相談窓口、コンシェルジュが充実してきています。隣接して、「鎌ケ谷市郷土資料館」もあるので図書館に立ち寄って頂けたらと思います。ぜひ一度住んでほしい街ですね。

職員

今回、話を聞いた人

鎌ケ谷市立図書館

館長 髙橋さん(写真:真ん中)
主査 米井さん(写真:右)
株式会社すばる 図書館事業室 椎名さん(写真:左)

※記事の内容は2015(平成27)年12月に実施した取材をもとに作成しており、今後変わる場合がございます。

「生涯ずっと本を読み続けてほしい。」 図書館の枠を超えた取り組みで想いを伝える図書館/鎌ケ谷市立図書館 館長 髙橋さん、主査 米井さん、株式会社すばる 図書館事業室 椎名さん
所在地:千葉県鎌ケ谷市中央1-8-35 
電話番号:047-443-4946
開館時間:本館・東部分館 平日(火曜~土曜)9時~20時/日曜日、祝日9時~17時
分館(北部・南部・西部・東初富)9時~16時45分

休館日:月曜日(月曜が祝日の場合は、翌日)、年末年始、館内整理日(月末、月末が土・日・月の場合はその前の金曜日)、特別整理期間
https://www.library-kamagaya-chiba.jp/

地域に愛され60年!自転車の魅力を伝え続ける店/サイクルセンター永瀬 店主 永瀬勇介さん


サイクルセンター永瀬
4代目店主 永瀬勇介さん

地域に愛され60年!自転車の魅力を伝え続ける
「サイクルセンター永瀬」

「サイクルセンター永瀬」は60年も前から続く自転車・バイク・スクーターの販売を中心とした老舗。出張修理も行っており、自転車・バイク・スクーターだけでなく車イスの修理も受け付けている。近年、アウトドアで人気のロードバイクにも力を入れており、どういう自転車が自分に合っているかなどアドバイスをしてくれるので、初めての方でも安心して購入することができる。そんな「サイクルセンター永瀬」について4代目の永瀬勇介さんにお店での取り組みや、街の魅力についてお話を伺った。

まず始めに、「サイクルセンター永瀬」の概要・沿革について教えてください。

サイクルセンター永瀬

およそ60年前に僕の曽祖父がお店をオープンしました。僕の代で4代目になります。昔は大通り沿いに、お店を構えていたのですが、排気ガスなどの影響もあり、もう少し落ち着いた静かな環境で自転車等を選んでもらいたいと、35年前にこの地域に移転しました。

お店をリニューアルし、外観などおしゃれになっていますが、リニューアルによる変化などはありましたか。

サイクルセンター永瀬 永瀬勇介さん インタビュー

3年前にリニューアルしたのですが、外観もがらりとイメージが変わったので、気付かず通り過ぎてしまった方が結構います(笑)。店先に沢山自転車を出しているのですが、前のお店の印象が強かったみたいですね。まだリニューアルして3年なので、徐々に慣れてくれると嬉しいです。来店された方は「きれいになってよかったね」、「おしゃれだね」と言ってくれますね。

周辺には、小学校や中学校がありますが、兄弟揃って自転車を購入されるなど、 家族ぐるみの交流もあるのでしょうか。

サイクルセンター永瀬

お店には、中学校への進学を機に、大人用に買い替えに来られる方や、小学生未満の子ども用の自転車はカタログ販売で取り扱っているので、そのカタログを見て子どもの自転車を注文しに来てくれる方もいらっしゃいますね。お店に昔から来てくれている方の息子さんや、僕の同級生で地元にいる方はたまに顔を出してくれます。

出張修理についても教えてください。

サイクルセンター永瀬 永瀬勇介さん インタビュー

出張は鎌ケ谷全域とその周辺で行っています。中には、前からずっと買ってくれている方で、「サイクルセンター永瀬にお願いしたい」と野田市まで修理に行ったこともあります。他にも、中学校から「常備している自転車の修理で来てほしい」との依頼もあるので、その都度対応しています。

サイクルセンター永瀬

車イスや手押し車の修理や販売もできます。車イスの修理を車で持ってくる方もいますし、高齢になるとご自身で持ってくるのが難しい方もいるので、出張して修理を行ったりしています。車イスは普通は黒いタイヤですが、室内用で跡がつかないように白いタイヤに変更したりなど、対応する内容もさまざまですね。

出張修理などもされていますが、長く使って頂くために、どのような工夫をされていますか。

サイクルセンター永瀬

お客さんには空気をこまめに入れるようにお願いしています。空気を減らして乗るのが自転車には一番負担がかかるんです。パンクの原因やタイヤがダメになったり、地面と接する唯一の部分で空気がクッションの役目をしているので、振動がそのまま車体に伝わります。最低1か月に1回は空気を入れてあげた方がいいです。指で押してほとんど凹まないぐらいが丁度良いですね。

この街での自転車の利便性について教えてください。駅前にはショッピングセンター、また公園などの自然環境も揃っていますが、周辺の方々は、自転車をどのように活用されていますか。

サイクルセンター永瀬

車を出すほどじゃない距離にスーパーマーケットや公園がありますし、徐々に道が細くなっている通りもあるので、そのような場所や距離を考えると自転車の方がいいと思います。周辺では、ほとんどの方が自転車で買い物に出かける姿がよく見られます。「印旛沼」にサイクリングロードがあるので、そこまでいけばサイクリングもできますよ。僕は趣味でロードバイクに乗っていますが、「印旛沼」のサイクリングロードまでは距離にして10kmくらいです。佐倉にある風車とチューリップ畑までは往復で48kmくらいなので、2時間で行って帰って来れる距離です。このように楽しめる施設が沢山あるので、風の気持ち良い季節に自転車で訪れてみるのも良いと思います。

この街で長年お店を営まれてきたからこその”街の魅力”について教えてください。

新鎌ヶ谷駅

都内のように大きなビルがないので、空が大きく自然豊かでそれに加えて周辺は閑静な住宅街です。「新鎌ケ谷駅」は北総線と新京成線と東武野田線の3線が乗り入れているので東京に出るのも便利です。近隣に行くなら東武野田線、「東京」駅に行くなら北総線といったように、時と場合に応じて選べる環境なのが嬉しいですね。アクセス特急が止まり、成田空港に行きやすいのも魅力だと思います。成田から来て新鎌ケ谷で一泊してから東京に行く人もいるみたいです。

サイクルセンター永瀬

また、周辺には魅力的なお店も沢山あり、僕も頻繁に利用しています。「リーヴルディマージュ」のロールケーキや、「茂野製麺鎌ヶ谷工場直売所」の麺を贈り物としてよく買いますね。あとは梨。この辺りは梨の産地なので、知り合いの農家からいつも購入しています。スーパーマーケットで買うより直売所で買う方がオススメですね。また、僕の同級生がいちごを栽培していて、旬の時期にはいちご狩りも行っています。たまに頂くのですが、とてもおいしいいちごなんですよ。

昔と今とでは、街の光景はどのように変化しましたか。

イオン鎌ヶ谷ショッピングセンター

「新鎌ケ谷」駅の辺りが一番変わりました。以前は、全て農地で梨畑だったんです。目立った施設は特になかったのですが、2004(平成16)年に「イオン鎌ヶ谷ショッピングセンター」ができてから周りに色々な施設が出来てきました。 「新鎌ケ谷」駅の辺りは開発されて新しい人が増えてきていますね。恐らく今後平均年齢が若くなると思います。年配の方は昔から住んでいる方が多いので、新しく住まわれる方と、昔から住んでいる方が混同している面白い街ですよ。

お店では、修理以外にも、個人的に言葉を交わす機会が多い店だと思います。自然とお客さんの様子もよくわかると思いますが、この街の方はどのような方が多いでしょうか?

サイクルセンター永瀬

親切な方が多いですね。「畑で採れたから」と野菜を持って来てくれる方もいます。勤め先は、東京などの都心部に出られている方が多いようです。主婦の方以外にも、通勤で使用したいと自転車を購入されるサラリーマンの方もいますね。最近では、通勤用にロードバイクを検討される方もいます。

住まいの場として、「サイクルセンター永瀬」周辺の環境はいかがでしょうか。

サイクルセンター永瀬

都会よりも自然に囲まれたのどかな環境を好まれる方は、この辺りに住むことをオススメします。この辺りは東京にも行きやすいので通勤も便利ですし、仕事とプライベートなどオンオフも付けやすいと思います。

今後どんなお店を目指していきたいとお考えですか。

サイクルセンター永瀬

自転車で困ったことがあれば何でも気軽に相談してほしいです。どんな風に乗ったらいいのか教えることもできますし、自転車のメンテナンスも含めて、お客さんがずっと健康で自転車に乗って頂ければいいなと思います。自転車は自分のペースで何kmも走っていけるので、サイクリングを楽しみ、行った先で写真を撮るなど、楽しみも広がると思います。

サイクルセンター永瀬

今回、話を聞いた人

サイクルセンター永瀬

4代目店主 永瀬勇介さん

※記事の内容は2015(平成26)年8月に実施した取材をもとに作成しており、今後変わる場合がございます。

地域に愛され60年!自転車の魅力を伝え続ける店/サイクルセンター永瀬 店主 永瀬勇介さん
所在地:千葉県鎌ケ谷市中央1-19-27 
電話番号:047-443-4551
営業時間:9:00~18:30
定休日:水曜日
http://www7b.biglobe.ne.jp/saikurunagase..

問題解決学習を通じて“わかる楽しさ”を 算数科の研究にまい進する地域の伝統校/鎌ケ谷市立鎌ケ谷小学校 校長 松岡康太郎先生


鎌ケ谷市立鎌ケ谷小学校
松岡康太郎 校長先生

問題解決学習を通じて“わかる楽しさ”を
算数科の研究にまい進する地域の伝統校

開発著しい新鎌ケ谷エリアで、1874(明治7)年創立の伝統校として長らく地域で親しまれてきた「鎌ケ谷市立鎌ケ谷小学校」。「生きる力を身につける児童の育成」を学校教育目標に掲げ、心身ともに健やかな子どもの育成に力を注いできた。とりわけ、2012(平成24)年度から始まった算数科の研究で、子どもたちが「算数の楽しさ」を実感できるような授業づくりを追求していることに注目したい。1年生を迎える会でにぎわう同校を訪ね、鎌ケ谷市教育委員会時代から算数科の研究に携わってこられた松岡校長先生に、研究成果を交えて学校の特色を伺った。

伝統校として、地域とのつながりをどのように感じていらっしゃいますか?

鎌ケ谷市立鎌ケ谷小学校

本校は1874(明治7)年に鎌ケ谷市で最初に開校した小学校です。その後しばらく鎌ケ谷の小学校は本校だけでしたから、保護者をはじめ、この地域には「祖父母も鎌ケ谷小出身」という方がとても多いです。母校を大事に思ってくださる方が多く、非常に伝統のある学校だなと感じています。登校時には通学路に立って見守ってくださる地域の方もいらっしゃいます。 PTAも熱心で、大規模校ということもありますが、昨年末に集めたベルマークが500万点になり、ベルマーク教育育成財団から表彰されました。

現在の児童数や今後の見込みを教えてください。

鎌ケ谷市立鎌ケ谷小学校

現在(2015年4月時点)の児童数は1,042人で、特別支援学級を含めて全34クラスあります。2008(平成20)年度からずっと1,000人を超えていて、ここ数年は毎年、新入生が170人ぐらい入ってくるという状況が続いています。本校の学区は新鎌ケ谷から初富にかけてとても広く、北初富から電車通学している子どもが20数名ほどいます。また、新鎌ケ谷地区は宅地開発がとても盛んな地域で、開発が進むにつれてそちらの方面から通ってくる子どもがかなり増えてきました。今も周辺に100戸近い新築の戸建てが分譲中のようですから、今後も児童数が増えると見込んでいます。

子どもたちをどのように指導していらっしゃいますか?

鎌ケ谷市立鎌ケ谷小学校

入学式や全校集会でいつも話すのは、“元気なあいさつ”と“友達と仲良くすること”、“交通ルールを守る”ということ。本校の児童は遊ぶときは遊ぶ、話を聞くときは真剣に聞くというメリハリがしっかりとできています。校内に掲げているように、「元気なあいさつ・輝け鎌小っ子」を目指し、わたしも毎朝校門に立って元気なあいさつを子どもたちと交わしています。

2012~2014(平成24~26)年度の3カ年、鎌ケ谷市教育委員会から算数科の研究指定を受けていらっしゃいましたね。研究の内容や成果、今後の目標についてお聞かせください。

鎌ケ谷市立鎌ケ谷小学校

研究主題は「算数の楽しさを実感できる授業」で、副主題が「子どもの『なぜ』『どうして』を引き出す授業づくり」です。2年目からは「筑波大学」の清水美憲教授にご指導をいただいています。昨年は、北は岩手県から南は岡山県といった、県内外から約150名もの先生方に授業を参観していただきました。

鎌ケ谷市立鎌ケ谷小学校

「算数の楽しさ」とは、計算ができるといった“できる楽しさ”と、課題に関心を持ち自分で問題を解決していける“わかる楽しさ”があります。本校では“わかる楽しさ”に重点を置き、主に思考力・表現力の向上を目指しました。そして、「思考が動き出す問題解決学習を重ねていけば、算数の楽しさを実感できるだろう」という研究仮説を立て、「思考を動かすための導入や発問の工夫」「子どもが主体的に問題解決できる場の工夫」「『算数の楽しさ』を評価する『振り返りカード』の活用」という3つの手立で取り組んできました。

鎌ケ谷市立鎌ケ谷小学校

問題解決学習では、ある問題に対して単に答えを出すだけでなく、どう解くのか自分の考えを書いて明らかにしていきます。また、振り返りカードとは授業後に子どもたちに満足度を表してもらうカードで、1~3年はマークから選んでもらい、4~6年は満足度のパーセンテージと感想を書いてもらいます。「算数の楽しさ」という気持ちを評価するのはとても難しいことです。そこで、子どもたちに自己判断してもらい、評価の基準を探っていくためにこのカードを設けました。カードの感想は、教師が自分の授業を見直す反省材料としても活用できます。そのほか、学習の流れの作成、ノート作り、朝15分のモジュールの時間の活用などでも工夫しました。また、長さや大きさが実感できるように壁に動物の絵を描いたり、階段やフロアに単位換算や図形を描くなどして、発見や気づきが生まれる環境を整えました。

鎌ケ谷市立鎌ケ谷小学校

こうした研究を進めるにつれ、子どもたちの算数への意欲が全体的に高まってきました。教師からみても、「意欲的に学習に取り組むようになった」「問題解決力が身についてきた」など、子どもたちの変化が感じられるようになりました。私も1年生の授業を見せてもらった際に、4月に入学したばかりの子どもたちが自分の考えを文章で書いていたことにたいへん驚きました。一方、教員の側にも、学習の流れが統一され、学習素材を工夫するようになるなど、よい変化が生まれました。

鎌ケ谷市立鎌ケ谷小学校

指定校は昨年度で終了しましたが、研究は継続し、今後は話し合い活動の充実や、より意欲を高める導入の工夫などに力を入れていきます。本校では6年生の全国学力・学習状況調査に加え、5年生は鎌ケ谷市の学力調査、2~4年生は保護者にご協力いただき学校独自で調査を実施しています。これらの結果もふまえながら子どもたちがさらに力をつけられるよう取り組んでいきたいと思います。

2011(平成23)年度より千葉県の『ちばっ子「学力向上」総合プラン(※)』がスタートしましたが、さまざまなプランがある中で、特に力を入れている項目などはありますか?

鎌ケ谷市立鎌ケ谷小学校

今年度は若手教員育成推進活用授業として、2年目の教員が11月に本校で公開授業を行います。本校は毎年新しく採用した教員が2名以上いて、今年度は5年目以下の教員が14人おりますが、こうした若手育成というのも大規模校で教員数も多い本校の役割かと思っています。もちろん、そうした役目も担いつつ、責任を持ってお子さんをお預かりしています。若い先生方はベテランの先生方と一緒に前向きに頑張ってくれていて、チームワークもとてもいいです。

ちばっ子「学力向上」総合プランについて

行事の特色について教えてください。

鎌ケ谷市立鎌ケ谷小学校

5、6年生で組織する児童会が中心となって、いろいろな行事を行っています。毎週火曜は掃除を短時間にして昼休みを長くしていますが、そうした時間をうまく利用してドッジボール大会やハロウィンパーティー、カラオケ大会などを開いています。自由参加の行事が多いですが、例えば、ドッジボール大会はほとんどの児童が参加してすごく盛り上がります。ハロウィンパーティーでは、凝った衣装を着てくる子が結構います。

鎌ケ谷市立鎌ケ谷小学校

昨年は仮装をしたまま妖怪ウォッチの体操をし、鎌ケ谷のキャラクター“かまたん”も来て一緒に踊りました。本日の「1年生を迎える会」をはじめ、どの行事も子どもたちが企画・運営をしていますが、一生懸命に取り組む姿が本当にいいなと思います。

部活動について、活動内容や参加状況について教えてください。

鎌ケ谷市立鎌ケ谷小学校

部活動は5、6年生主体で、3学期近くになると4年生が加わります。陸上部、サッカー部、ミニバスケット部、音楽部、美術部があり、陸上部は6月開催の市内陸上大会に向けて4~6月の期間限定です。体力アップも目的に、6年生は全員参加という形で、5年生は30人ぐらい。ほかの部では、サッカー約70人、ミニバス部50人、音楽約40人、美術約100人が参加しています。朝7時半から朝練習をするなどどの部もとても一生懸命で、陸上部は昨年の陸上大会で総合優勝しました。音楽部は例年マーチング大会へ出場していて、昨年金賞を受賞しました。

「きらり先生」「ほほえみ先生」というのはどういった方々なのですか?

鎌ケ谷市立鎌ケ谷小学校

どちらも鎌ケ谷市から派遣される非常勤講師のことです。「きらり先生」は少人数教育指導教員で、林間学校の引率もします。本校には1名派遣されていて、ふだんは5、6年の算数にTTでついていただいています。 「ほほえみ先生」は特別な支援を必要とする児童に対応する教員です。「ほほえみ先生」は教室でそうしたお子さんに付き添い、場合によっては別室で個別に対応します。1校につき1人のところ、大規模校の本校には2人配置していただいています。担任の先生は安心してクラス経営ができますし、児童本人の困り感も減っているようです。 「ほほえみ先生」は他市の先生方から感心されるような先進的な制度です。鎌ケ谷市では「きらり先生」「ほほえみ先生」だけでなく、先進的に図書館司書も全校に配置しています。

最後に、学校周辺の魅力について教えてください

駅や市役所、ショッピングモールなどが近く、生活するにも子育てするにも良い環境だと思います。住宅街としては緑も多いのではないでしょうか。校庭にやぐらを建てて盆踊り大会が開かれるなど、地域の行事も盛んです。 見学先になるような施設も周辺にたくさんあり、1年生は市川動植物園まで電車で出かけていきます。徒歩圏内には「きらりホール(鎌ケ谷市民会館)」や「郷土資料館」があり、きらりホールでは音楽部が「鎌ケ谷中学校」の吹奏楽部や鎌ケ谷吹奏楽団と連携して毎年秋に演奏会を開いています。

鎌ケ谷市立鎌ケ谷小学校

今回、話を聞いた人

松岡康太郎 校長先生

※記事の内容は2015(平成26)年4月末に実施した取材をもとに作成しており、今後変わる場合がございます。

問題解決学習を通じて“わかる楽しさ”を 算数科の研究にまい進する地域の伝統校/鎌ケ谷市立鎌ケ谷小学校 校長 松岡康太郎先生
所在地:千葉県鎌ケ谷市中央2-1-1 
電話番号:047-442-1105
http://kamagaya.ed.jp/kamasyo/

川越市都市計画部都市計画課インタビュー

地域と行政が協働でまちづくりを進めてきた川越市/川越市都市計画部都市計画課 副課長 小林武さん 都市計画担当 関河将也さん


蔵の街として有名な川越市。この街には歴史的な街並み以外にも買い物や交通アクセスの利便性が高いなど多くの魅力があり、住まいの場としても人気だ。川越市都市計画部都市計画課副課長の小林武さんと都市計画担当の関河将也さんに川越市のまちづくりと街の魅力についてお話を伺った。

川越の街並み

 地域と行政が協働でまちづくりを進めてきた川越市

川越市の都市計画図

――都市計画課ではどのような仕事をされているのでしょうか。

小林さん:その名の通り、都市計画=まちづくりの将来ビジョンを作成し、川越のまちの魅力を高め、安全で快適なまちづくりを進めることが一番の業務です。具体的には、まちの課題を抽出し、それに対するまちづくりの方向性や目標を定めるとともに地区ごとに土地利用の方針や道路、公園等の整備方針などを定めていきます。その作成過程では、住民の方々との意見交換も十分に行います。また、市民の皆様や民間事業者の開発計画、建築計画の際にその地区のまちづくりビジョンや都市計画として位置付けられた道路計画、用途地域などの土地利用の制限を情報提供することも課の業務です。

住民と行政が協働で蔵の街を保全

小林さん:川越市には有名な蔵の街があります。ここは明治時代の蔵造りの建物が並んでいますが、この建物を解体し、道路を拡張する計画がありました。しかし、地元の方々から「貴重な街並みを残したい」という意向があり、都市計画を見直して道路拡張計画を廃止しました。それと同時に、「重要伝統的建造物群保存地区」に指定し、蔵造りの建物を保全することになったのです。

蔵の街の方々のまちづくりに対する熱意は、市へのさまざまな提案の原動力となったようです。例えば、蔵の街では電線の地中化をしています。通常は変圧器を歩道に設置します。ところが、蔵の街では歩道にスペースを確保できなかったため、対策として民地に変圧器を置くことまで提案されました。 こうした蔵の街での取り組みが、川越市で住民と行政が協働でまちづくりを行った先行事例となりました。

地区まちづくり推進条例の概要

――蔵の街での事例は川越市のまちづくりにどのような影響が与えたのでしょうか。

小林さん:川越市では2012(平成24)年に地区まちづくり推進条例が制定され、地区の特性を活かしたまちづくりを推進しています。これは地域の方々が主体となって、商店街の活性化や住環境の保全といった地域のまちづくりの方針を考えていただき、市と一緒にルールとして決めていくという取り組みです。 また、川越市では都市計画法による地区計画が14地区で指定され、建物の高さ制限や壁面後退などのルールを定めています。これも市民と行政が協働でまちづくりのルールを作る手法の一つです。

――「都市計画マスタープラン」も市民との協働で作られたそうですね。

小林さん:現在の川越市の「都市計画マスタープラン」は2004(平成12)年に策定され、計画完了を市制100周年を迎える2022(平成34)年を目標としています。 この「都市計画マスタープラン」も市民の皆さんとワークショップを何回も行い、地域の魅力や課題を一緒に研究し、作り上げました。ですから、「都市計画マスタープラン」は「こんな街にしたい!」という市民の声そのものであるのです。

 

2020年東京オリンピック開催を目指して、より魅力的な街へ

――川越市では現在どのようなまちづくりが行われているのでしょうか。

小林さん:川越市は市域の約3割が都市計画法上の市街化区域、残りが市街化調整区域です。は郊外に大型の商業施設が立地した影響で中心市街地が衰退してしまったというような問題がありますが、川越市ではそのような商業施設の進出はなく、今も中心市街地には賑わいがあります。川越市では、こうした中心市街地の機能を維持することが市民の暮らしやすさにつながると考えています。

2016(平成28)年2月に「本川越」駅の西口が誕生

小林さん:中心市街地整備は積極的に進めており、「川越」駅西口のベデストリアンデッキや再開発ビル「ウエスタ」が完成しています。「本川越」駅の西口も誕生し、「川越市」駅との乗り換え時間が短縮されるなどの効果ができました。 また、中心市街地を保管する拠点として、「新河岸」駅、「南古谷」駅、「霞が関」駅、「南大塚」駅の4駅周辺を拠点核に位置付け、商業施設や医療機関、公共施設などの立地を維持または誘導したいと考えています。

――具体的に進んでいる事業はありますか。

小林さん:「新河岸」駅では駅舎の橋上化を進めており、2018(平成30)年度完成予定です。駅前広場の整備も行っていますし、地区計画のルールができましたから、今後はさらに便利で快適なまちになると期待しています。

「本川越」駅北側の道路拡張工事

中心市街地の交通集中の緩和という点では、北環状線の今成二丁目交差点から今成交差点の区間が2018(平成30)年度に完成する予定です。「本川越」駅から連雀町交差点の拡幅と電線地中化も2018(平成30)年度に完成することになっています。 2020(平成32)年「東京オリンピック」では川越市でゴルフ競技が行われることになりました。これに合わせて川越をより魅力的な街にしようと市役所全体で努力しています。

蔵の街周辺では小道を石畳に整備

――観光の魅力をアップさせる取り組みはされているのでしょうか。

小林さん:かつて、蔵の街は閑散としていたのですが、おかげさまで、今では多くの観光客に来ていただけるようになりました。 この蔵の街では大通りから周辺に伸びる道路を「歴史的地区環境整備街路事業」として街並みに調和した石畳にしました。その結果、こうした道路のある場所にも観光客が訪れるようになり、カフェや雑貨のお店が新たに開店するなど、観光の幅が広がりました。

大正時代の街並みを再現した「大正浪漫夢通り」

――大正をテーマとした街も誕生したそうですね。

小林さん:蔵の街の南側にある「銀座通り商店街」では町屋造りや看板建築の建物が見られるようにアーケードを撤去し、電線を地中化しました。ここも今では多くの観光客が行き来するようになり、商店街の名前も「大正浪漫夢通り」と変わりました。

まもなく昭和の街も誕生する

小林さん:さらに連雀町交差点の北側から蔵の街の間は、商店会の方を中心に「昭和の街」としてまちづくりを進めていくことになっています。ここは「本川越」駅の開通に合わせて新しく開通した道路で、昭和初期の建物が多く残っています。こうした建物を残し、無電柱化を推進して魅力を高め、地中化することで、川越は蔵の街の”明治”、「大正浪漫夢通り」の”大正”、そして「昭和の街」の”昭和”と3つの時代を体験できることになります。

 

都市から田園まであらゆる魅力を併せ持つ川越市

中心市街地の商店街

――川越の街の魅力を教えてください。

小林さん:川越にはいろいろな顔があります。歴史的な街並みはもちろん、中心市街地には賑やかな商店街があり都会的な雰囲気が漂います。周辺には田んぼや畑などののどかな風景が広がっていますし、雑木林も残っています。 これは暮らしの魅力となりますし、子育てファミリーの方にはさまざまな体験ができるという魅力にもなるでしょう。子育てという点では、川越市内には人気の高い学校がありますし、交通が便利で東京都心方面の学校にも簡単に通えます。 川越市にはあらゆる世代の方が快適に暮らせる街という魅力があります。

地域と行政が協働でまちづくりを進めてきた川越市

川越市都市計画部都市計画課

副課長 小林 武 さん 都市計画担当 関河 将也 さん
所在地 :埼玉県川越市元町1-3-1
TEL :049-224-8811
URL:https://www.city.kawagoe.saitama.jp
※この情報は2016(平成28)年11月時点のものです。

地域と行政が協働でまちづくりを進めてきた川越市/川越市都市計画部都市計画課 副課長 小林武さん 都市計画担当 関河将也さん
所在地:埼玉県川越市元町1-3-1 
電話番号:049-224-8811
開庁時間:8:30~17:15
閉館日:土・日曜日、祝日、年末年始(12/29~1/3)
https://www.city.kawagoe.saitama.jp/

読書活動が盛ん

インタビュー/市川市立鬼高小学校 校長 石原孝幸先生


JR総武線の「下総中山」駅近く。真間川のほとりに建つ「市川市立鬼高小学校」は、2015(平成27)年度の児童数が968名という、市川市内でも指折りの大規模校のひとつ。それだけに運動、部活、音楽、勉強など、さまざまな活動が非常に活発に行われており、話題を集めることも多いそうだ。今回は12月の初旬、長縄跳びの大会が行われていた日に学校にお邪魔し、校長の石原孝幸先生にお話を伺った。

来年度で創立60周年を迎えます

石原孝幸校長先生

ーーまず、小学校の歴史についてお聞かせください。

石原校長先生:本校は、来年(2017年度)で創立60年を迎える学校になります。駅の北側に「市川市立中山小学校」があり、そこから分離して出来たというのが、本校の始まりです。昔はこの辺りも田んぼが広がっていたそうですが、それがどんどん宅地開発されまして、人口も増えたものですから、そこに新しい小学校を作ることになって、開校しました。

「鬼高」という名前については、「鬼越」という地区と、「高石神」という地名がもともとあり、その二つを合わせて「鬼高」という名前が付いたそうです。ですから今も鬼越と高石神という地域名は残っています。

市川市立鬼高小学校

もっと広い地域を見れば、「ニッケコルトンプラザ」が近くにありますが、これは「ニッケ」つまり「日本毛織」という大きな毛織会社の工場があった場所ですので、日本の産業を支えた地域の一つであった、ということも地域の特徴です。JR総武線の北側には「法華経寺」があり、こちらは南側の地域よりもずっと歴史が古く、門前町として鎌倉時代から栄えたということです。修行のお寺ということで、今でも荒行をする姿などが見られますので、機会があれば是非行ってみていただきたいですね。

学習だけでなく、文化スポーツ活動も盛んです

沢山の賞が並ぶ

ーー学校の教育方針などについてお聞かせください。

石原校長先生:本校独自の特徴ということですと、伝統的に「読書教育」に力を入れている学校であるということが一つですね。また、管弦楽部があるのも珍しく、過去には日本一になったこともあるなど、音楽活動も盛んな学校です。

スローガンとしては「花いっぱい、歌いっぱい、読書いっぱい、スポーツいっぱい」という言葉を掲げていまして、学校の特色となっています。実は私はこの学校が初任地だったんですが、当時も同じ言葉を掲げていましたので、30年以上も前から続いているものですね。

ですから、本当にこの学校の子は歌が好きですし、上手です。「朝会で校長先生のお話を聞く」というのが他校では普通かと思いますが、本校では基本的にやっていません。代わりに「歌おう集会」というのをかなり頻繁に行っています。これは学年で歌の発表をしたり、全校で歌を歌ったり、という集会なんですが、それはすごいですよ。私の話はもう、全校が体育館に集まる必要も無いと思いますから、放送にしてしまっています。子どもが集まって、一緒に歌うということのほうが大切ですからね。

読書教育が盛んに行われている

歌に関しては、このほかにも色々な取り組みがあって、例えば、先日はソプラノ歌手の岡本知高さんにご来校いただいて、体育館でマイク無しで歌っていただいたんですが、それは子どもたちにとってもすごく刺激になったようです。それ以来、子どもたちの歌う声も変わりましたね。

その時には校歌も歌ってくださったんですが、私はおもわず涙が出てきましたし、児童に聞いてみても感動したと言っていましたので、とても良い経験になったと思います。こうして一緒に歌うということを通じて、学校の一体感が出てきていると思いますし、一人ひとりの感性を育てるということにもつながっているかと思います。

ーー「花いっぱい」「読書いっぱい」についてはいかがでしょうか?

石原校長先生:「花いっぱい」というのは、学年ごとの一鉢栽培的なものもあるのですが、主には栽培委員会を中心に、種から育てて花を咲かせるという活動をしています。今の用務員の方が植物にとても堪能ですので、子どもと一緒になって、学校の中を植物で一杯にしていこう、という活動をしてくださっていますね。

学校を植物でいっぱいに

読書については、本校では毎年、作家の方に来ていただく「作家講演会」というものを、30年以上やっているんです。図書室には歴代来ていただいた方の色紙が飾ってありますが、絵本作家さんと、児童文学の作家さんが多いです。

もちろん、読書教育についても熱心に行っておりまして、これはどこの学校でもやっている事かもしれませんが、図書館の本を沢山読もうということで「読書週間」を設けたり、地域の方に来ていただいて、読み聞かせの機会も毎週持つようにしています。実は私も、この時には毎回どこかの教室を担当して、読み聞かせをしているんですよ。毎年全校を必ず1回は回る感じですね。29クラスありますが、29週あれば回れますので。

学校を訪れた作家の色紙が並ぶ

ーー今日も長縄跳びの記録会がありましたが、「スポーツいっぱい」の取り組みについてはいかがですか?

石原校長先生:これもまずは、体育の授業の充実が一番です。それに加えて、体育的な行事や運動会、長縄跳び、短縄跳びなどに、全校で取り組んでいます。今日は長縄跳びでしたけれど、もうちょっと寒い時期になると、短縄跳びもやっています。

運動系の部活も伝統的に盛んで、たとえば市川市には小学校対抗のスポーツの大会が、陸上大会と水泳大会と相撲大会があるんですが、陸上は去年・今年と2連覇していますし、水泳も市川市の西部地区で2連覇しています。水泳部にはすごく多くの子が入っていまして、だいたい100人ぐらいいるんですよ。相撲についても、今年は惜しくも準優勝でしたが、昨年までは2連覇していました。

全校で取り組む縄跳び

子どもの自信を育てることを大切にしています

ーー続いて、学習面についてお聞きします。どのような部分に力を入れて取り組んでいらっしゃるのでしょうか?

石原校長先生:学力という点では、やはり「授業が第一」だと考えています。もちろん基礎基本は大事で、日々計算ドリルをこなすことなども大事なんですが、やっぱり一番の基本は、「授業」なんです。そのためには、学校の先生が授業の研修を積んで、授業の質を上げていく。そこが一番大事だと思っていますので、教員の授業研究には力を入れています。

具体的な方向性としては、教える技術云々よりも、もうちょっと上の概念ということで、「子どもの自信を育てること」を大切にしています。これは学習に限らずスポーツでも、読書でも、歌でも同じなんですが、子どもたちに「できた」「歌えた」という気持ちを持ってもらうこと、そこを一番大事にしていきたいと考えています。その気持ちをもってもらった上に、技術や方法が何かしらついてくる、と考えています。

授業第一の精神

また、「自己実現に取り組む鬼高っ子の育成」ということも目標に掲げていますが、これについては、「他者とともに」ということを加えたいと思っています。学力というのは、自分だけの力で付くもの、付けられるものではないんです。ですから自分の考えを人にちゃんと説明できる、ということも、授業の中で非常に大事にしています。自分の考えを説明できて、初めて分かったといえるというわけです。

たとえば算数の授業の中で「こうやったら解ける」というのを見つけたら、2~3人のグループの中で、その人にちゃんと説明をして、理解してもらえる、そういったことを非常に大事にしています。そこで初めて、「学力が付いた」と言えるのではないでしょうか。

もちろん、これには「自信をつける」という考えも根底にあります。人に話すことは自信につながるし、テストができれば自信につながります。歌がうまいというのも、自信につながりますよね。そういう、「自信で一杯の子」に育てたいんです。これが自己実現にもつながっていくものと、考えています。

真剣に学ぶ子ども達

それから、勉強には「基礎・習得」の部分と、それを「活用」するという部分があるかと思いますが、本校ではその「活用」についても意識していまして、授業ごとに、「活用部分を考えた授業づくり」に取り組んでいます。

たとえば5年生の授業で「意見文を書く」というものがありますが、その意見文はどこかに活用されて、初めて意見文になりうるわけですね。ということで、子どもたちに「いま考えている意見文は、何の目的で、誰に読んでもらうのか」という相手意識、目的意識を持ってもらうように、授業をしてもらっています。意見文を書いて、実際にそれを読んでもらって、そこでまたリアクションをもらう。そういうところまで考えながら、「表現する」ということの学習をしています。

ーー「表現する」という部分について、他に実践例などはあるでしょうか?

子どもたちが発行する新聞

石原校長先生:読書の話題に戻りますが、読み聞かせは大人だけではなくて、子ども同士での読み聞かせもかなりやっていまして、これも表現のトレーニングになっているのではないかと思います。6年生が1年生に読み聞かせる、という感じなんですが、時には廊下に1年生を集めて読み聞かせたりしていますね。

あとは、日々の授業の中ですね。自分の考えを文字に書いて表現するということは、授業のどこかで必ず入れていくようにしていますし、宿題でも同様です。たとえば6年生は、毎日宿題のプリントを出していますが、そこには必ず毎日、100字か200字くらいで1日のことを書こう、ということをやっていますし、5年生は月に1回、新聞を発行するということにも取り組んでいます。そこで書く力、表現する力を養っていこう、という試みですね。

市川市独自の施策も行われています

放課後も学習ができる

ーー昨年度から「校内学びクラブ」というものがスタートしたそうですが、これは何でしょうか?

石原校長先生:これは市川市独特の施策で、2014(平成26)年度から「校内学びクラブ」と称して、放課後に学習の時間を設けています。授業が終わった後の時間にも、子どもたちが自分で勉強をするための時間と場所を提供する、というものですね。全員参加というわけではなく、これから内容が難しくなっていく学年ということで、今は3年生に限定して、参加希望者を募って、毎週月曜日の放課後に学習をしています。

これは昨年から市内の全部の小中学校でやっているもので、非常にいい施策だと思うので、現状では今後どうなるかは決まっていませんが、さらに広がっていけば良いですね。

ーー私立の学校に進む子どもたちは、例年どのぐらいの割合でしょうか?

子どもたちと校長先生

石原校長先生:年ごとに異なりますが、本校の場合はわりと低い割合でして、昨年、6年生は180人ぐらいいましたが、私立進学者は十数人程度でした。それだけ、公立の環境も良いということだと思いますし、部活に一生懸命取り組めるのも、そういった背景があるのかな、と思います。

ーー学校内に充実した学童クラブがあるそうですが、詳しくお聞かせください。

石原校長先生:これは市川市の管轄なのですが、簡単に言いますと、校内に保育クラブ(=学童クラブ)専用の建物が、2階建てで2棟建っていまして、低学年の児童を中心に、200人ぐらいが放課後、ここに通っています。これは本校の保護者の方にも評判が良く、本校の大きな特徴にはなっているかと思います。学校内に保育クラブがあるというのは、保護者の方にとっては安心なのだと思います。

学童クラブ専用の施設

地域の皆さんにも様々な形で関わって頂いています

ーー地域との関わりも多い学校ということですが、具体的にどのような取り組みがあるのでしょうか?

石原校長先生:一つは、運動会で毎年披露しているヨサコイの踊りを、地域の、「神明社」の夏祭りでも披露するのが恒例になっています。また、2月の節分には、そこで子どもたちが豆まきにも参加したりと、いろいろなお祭りに参加させていただいています。

地域の方の協力については、自治会さんが通学路を見守り隊ということで毎朝立ってくださっていますし、読み聞かせについても、学校の保護者のOBの方が中心になって、毎回沢山の方にご協力を頂いています。29クラス、全部に毎週来て下さるというのは、大変に有難いことだと感じています。

地域と繋がる鬼高小学校

それから、地元自治会のお年寄りの方々には、今度、1年生の授業の中でもお越しいただいて、「昔あそび」ということで、お手玉、おはじき、こま回しなどを教えて教えてくださる予定がありますし、ほかにもいろいろなご協力をいただいています。

子どもたちが参加していく、というタイプのものですと、中学校の学区単位で「コミュニティクラブ」というものが開かれていますので、こちらにも沢山の子どもたちが参加しているかと思います。これは土日の開催になりますが、ちょっとした科学実験の教室だったり、サバイバル体験ということで、外で火をおこして、牛乳パックでお米を炊く体験をしたり、お琴教室だったり、色々なユニークな内容があるので、子どもたちも喜んでいるようですね。

毎年7月には「おにだかっ子まつり」ということで地域のお祭も開催していまして、学校開放団体、自治会、商工会議所など、地域の団体が全部集まって、いろんな出し物や、お店が出たりします。例年、2千人ぐらいの来場者がある大きなお祭りですが、その会場が本校になっています。

素直で元気な子ども達

ーー校長先生は今年度からこの学校に赴任されたそうですが、この学校の良さを感じたエピソードなどがあれば、お聞かせください。

石原校長先生:まず感じたのは、この学校の子は本当に素直だな、ということですね。高学年の子にも、いわゆる斜(はす)に構えるような子はいないんですよ。

ただ、ここに来た時、「ちょっと声が小さいな」って思っていたので、挨拶運動をするという時に、私の方から「先に挨拶をしたほうが勝ち」という感じで、ゲームのようなことをしようと提案したんですね。そうしたらすぐに、私が教室を回っていけば「おはようございます!」「校長先生おはよう!」って大きな声が飛び交うようになって。低学年だけじゃなくて、高学年でもそうなんです。そういうところでも、本当にここの子は素直だな、って思いますね。ちょっと火をつけてあげると燃え上がる、という子が多いんでしょうね。今日の縄跳びなんかもそうですが、運動会や歌も、同じように一生懸命にやっています。

落ち着いた地域でのびのびと

ーーその素直さの背景には、何があるとお考えでしょうか?

石原校長先生:やっぱり、地域が落ち着いているんでしょうね。家庭がしっかりしていて、子どもたちがちゃんと愛されている。そういう家庭が多いんだと思います。もちろん、各担任の先生方が、「子どもの自信を育てる」ということについて真摯に受け止めて、日々頑張ってくれている、その成果もあるのかと思います。

落ち着きがあり、人が温かい街です

穏やかで暮らしやすい町

ーー最後に、街の印象についてお聞かせください。

石原校長先生:隣の本八幡や船橋は繁華街的な要素があるんですけれど、下総中山は門前町として発達したところで、昔から人は住んでいるんだけども、土地の値段はそれほど高くないから、物価が安いんでしょうね。「法華経寺」をはじめ、昔ながらのものも沢山あって、便利な場所なのにちょっと田舎っぽいと言うか、穏やかで暮らしやすい地域です。「ほっとする地域」と言えば分かりやすいでしょうか。

あと、地域の皆さんの学校に対する目が温かいですね。本校の学区は朝夕など、けっこう交通量がある地域なんですが、事故はほとんど無いんです。それはなぜかと言いますと、一つは、子どもたちが落ち着いた生活をしているということがあると思います。規則正しく生活をして、ルールを守って登下校しているということですね。

あともう一つはやはり、地域の方の協力だと思います。自治会で毎朝交差点に立ってくださったり、地域のお店の方なども、店の前の交差点で子どもたちの様子をいつも気にしてくださったり。本当に皆さんによく見守っていただける、温かい地域だと感じています。

市川市立鬼高小学校 石原孝幸校長先生 インタビュー

市川市立鬼高小学校

校長 石原孝幸先生
所在地 :千葉県市川市鬼高2-13-5
TEL :047-335-0304
URL:http://www.onitaka-syo.ichikawa-school.ed.jp/index.htm
※この情報は2015(平成27)年12月時点のものです。

インタビュー/市川市立鬼高小学校 校長 石原孝幸先生
所在地:千葉県市川市鬼高2-13-5 
電話番号:047-335-0304
http://www.onitaka-syo.ichikawa-school.e..

地域に開けた保育園で、共に育ちあい生きる力を育てる/東池袋第一保育園 園長 井島千恵美先生


豊島区立東池袋第一保育園
園長 井島千恵美先生

地域に開けた保育園で、共に育ちあい生きる力を育てる
「豊島区立東池袋第一保育園」

都心にあるとは思えない比較的広々とした園で活動しているのが「豊島区立東池袋第一保育園」。食育をテーマに保護者会を開いたり、子どもたちがおばあちゃんやおじいちゃんと触れ合う機会をつくったりと、地域に開けた取り組みを行っている。今回は「東池袋第一保育園」の園長 井島千恵美先生に、園でのさまざまな取り組みや今後の展望についてお話を伺った。

「東池袋第一保育園」の沿革・概要について教えてください。

東池袋第一保育園インタビュー

1975(昭和50)年に開園しました。敷地面積は900平方メートルを超え、「池袋」駅に近く、都心にある保育園としては、比較的広々とした園です。築30年近く経ち、園舎が古くなったので、待機児童対策もあり現在増築と改修工事を行っています。2015(平成27)年の1月には工事が終わる予定です。新年度から新しい園舎での生活が始まります。

保育方針や特徴について教えてください。

東池袋第一保育園インタビュー

生活に必要な基本的生活習慣や態度を養い心身ともに健やかに育つようにすること、集団保育をとおして、子どもたちがともに育ちあい生きる力の基礎を育てることを大切にしています。また、安全、安心できる保育環境の中で人との関わりを大切にし、豊かな感性を養うことや、さまざまな表現活動を通して、自分で考えたり工夫して表現する喜びを知らせることにも重点を置いていますね。「元気に遊べる」「挨拶ができる」「豊かな表現ができる」「自分で考え行動できる」そんな子どもたちを目指しています。

大切なお子様たちを預かるうえで、心がけている事は何でしょうか。

東池袋第一保育園インタビュー

子どもの安全・安心を大切に子どもたちの健やかな成長を保護者と共感できる環境を創っています。
豊島区が推奨している「あしたスキップ」の体操を取り入れたり健康で怪我をしない身体づくりを行っていますね。幼児クラスでは、健康・食育・たて割り保育をとおして看護師・栄養士・調理師の専門性を活かし、保育指導に関わってもらっていますし、地域の方との交流をとおして社会性を学ぶ機会もたくさん企画しております。
危機管理についても十分に配慮し、プロジェクトを組んでいつも子どもたちの安全を一番に考え、職員全員が危機管理の意識を高める事ができるように努めています。

どのような場面で子どもたちの成長を実感しますか?

東池袋第一保育園インタビュー

さまざまな行事をとおして、子どもたちの成長を確認する事ができます。2014(平成26)年11月に祖父母の方との 「ふれあい会」を行いました。0歳児から5歳児までの子どもたちが祖父母の方に得意なダンス・歌・合奏・跳び箱を披露し交流をしました。10月の運動会で行った競技などが刺激となって各クラス成長に繋がっていました。また5歳児の跳び箱では、「すごい」の歓声とともに、子どもたちは年長児への憧れの気持ちが芽生えていました。このような場面を通して子どもたちの成長を感じることが何よりうれしいです。
子どもたちの成長は日々個々によって違います。できるだけ子どもたちの成長の様子を保護者と共有する事を大切に、連絡ノートやクラス便り、壁新聞でお知らせしています。

年間行事についても教えてください。

東池袋第一保育園インタビュー

入園説明会、運動会、ふれ合い会、お楽しみ会、新年子ども会、卒園式等、さまざまな行事があります。
中でも、5月、10月、11月、3月にある遠足については、自然に親しんで活動できるように計画していますね。
保護者会、個人面談、全体保護者会、父親保護者会、各クラス保護者会、個人面談のほかに、全体保護者会は「食育を専門職から学ぶ」をテーマに栄養士、看護師、調理師、保育士との懇談のあと子どもたちの給食試食会も行いました。

東池袋第一保育園インタビュー

また、我が園が一番力を入れているのが父親保護者会です。お父さんが育児に参加する事で子どもも母親も笑顔になり、家族が幸せになれます。ちなみに6月には明治大学サッカー部神川監督の講話の後ミニサッカーゲームを楽しみました。

地域支援プログラム「DONDON」とはどのような取り組みなのでしょうか。

「どんどん保育園に遊びに来ていただけるように」とDONDONの名前を付けました。保育園では保育の専門性を活かした地域支援も企画しております。
ベビーマッサージ・すくすくルーム・公園での青空保育・離乳食講習会等保育の専門性を活かして保育士、看護師、栄養士、調理師が企画運営しています。そのほかに、地域の区民ひろば朋有の親子向けに看護師が出張講演会や離乳食講習会も企画しております。豊島区では、待機児対策で認可保育園・すくすくルーム・小規模保育所・保育ママなどをたくさん開設しています。園としても、公立保育園が地域の保育施設の核となり様々な支援をして行くことで、子どもの健やかな成長を一緒に育んで行きたいと思います。

最後に、周辺の子育て環境の魅力について教えてください。

教育の森公園

「池袋」駅から徒歩7分程で何より交通の便が良い所です。 「サンシャインシティ」にも近く、また冬の季節は近くの公園に散歩へよく出かけます。散歩に行く事で足腰がしっかりし、健康的な身体が作れています。特に乳児には電車が見られる歩道橋と道路が大人気です。地域に区民ひろば、豊寿園、小学校、大学等があり世代を超えた交流ができる環境です。

東池袋第一保育園インタビュー

今回、話を聞いた人

豊島区立東池袋第一保育園

園長 井島千恵美先生

所在地:東京都豊島区東池袋2-60-19
電話番号:03-3987-4621
http://www.city.toshima.lg.jp/277/kosodate/kosodate/hoikuen/kuritsu/006115.html
※2014(平成26)年12月時点の情報です。今後変更になる場合がございます。

地域に開けた保育園で、共に育ちあい生きる力を育てる/東池袋第一保育園 園長 井島千恵美先生
所在地:東京都豊島区東池袋2-60-19 
電話番号:03-3987-4621
保育時間:7:15~18:15
休園日:日曜・祝日、年末年始
延長保育:あり(18:15~20:00)
http://www.city.toshima.lg.jp/shisetsu/s..

駅直結、老若男女が読書を楽しめる空間

老若男女が楽しめる図書館を目指して/豊島区立中央図書館 館長 山根 斎さん


豊島区立中央図書館
館長 山根 斎さん

老若男女が楽しめる図書館を目指して
「豊島区立中央図書館」の取り組みとは

「豊島区立中央図書館」は東京メトロ有楽町線「東池袋」駅と直結し、平日は夜10時まで開館している都内屈指の便利な図書館。蔵書は25万冊あり児童書も4万冊と充実した環境が整っている。さまざまなイベントも企画され、小さな子どもから高齢者までみんなが楽しめる図書館だ。そんな 「豊島区立中央図書館」について今回、館長の山根 斎さんにお話を伺った。

まず始めに、豊島区立中央図書館の概要・コンセプトについて教えてください。

豊島区立中央図書館

中央図書館は、図書館だけの独立した建物ではなく、東池袋の再開発の際に建てられた15階建ての民間ビルの中にあります。15階建ての建物の4階と5階を占める中央図書館の面積は3,065平方メートルあり、メインカウンターは4階になります。中心が吹き抜けになっており、開放感のあるつくりなので、利用者の方からは、ゆったりと読書にひたることができると好評です。蔵書数は約25万冊。視聴覚資料も一定程度所蔵しています。点字図書館も併設しているので、点字図書、音訳の図書等の制作と貸出し、朗読ボランティア等も行っております。

豊島区立中央図書館

地下鉄有楽町線「東池袋」駅に直結しているので、利用者は非常に多いですね。開館当初は1日に3千人、年間百万人もの方が来られていたそうです。現在は、ピークの頃に比べると利用者は少なくなりましたが、それでも1日に約2,800人、年間で約85万人の方が利用しています。平日は夜10時まで開館しているので、会社帰りの方の利用も多いですね。

コンセプトとしては「ビジネス支援」を打ち出しています。4階のビジネスコーナーにはパソコン席が10席、パソコン持ち込み席が16席ありますし、そこにビジネス書、法律や経済や就労支援の書籍、新聞雑誌を揃えています。土曜日にはNPO法人「豊島創業ネットワーク」の方がそこでビジネス相談も行っています。

同じビルに入っている「あうるすぽっと(豊島区立舞台芸術交流センター)」との複合施設であるメリットについて教えてください。

豊島区立中央図書館

ビル2階、3階をしめる「あうるすぽっと」と中央図書館が豊島区の文化芸術の拠点になっています。 図書館の入口に展示コーナーがありますので、「あうるすぽっと」で行われる演劇に関連する図書の特別展示を開催したり、演目の紹介をしたりといった連携を取っています。

中央図書館では、どのようなイベントを開催しているのでしょうか。

乳児から高齢者までみんなが楽しめる 「豊島区立中央図書館」

先述で、蔵書が25万冊とお伝えしましたが、そのうち4万冊が児童書です。4階の児童書と一般書コーナーは、新聞や雑誌のコーナーを挟んで分かれているので、気兼ねなく親子で来ていただけます。

また、イベントについては、幼児と小学生向けのお話会が毎週日曜日の午後2時から、児童コーナーで行っています。赤ちゃん向けのお話会は毎月最終日曜日の午前11時からです。

夏休みに入ったときに10日館くらい「図書館タンテイ」という子ども向けのイベントを開催しています。出題された問題の答えを図書館の資料で調べ、正解を導き出すという内容で、最後には表彰状も授与される人気のイベントです。これは区内の図書館すべてで開催しています。小学生向けで何回も来るお子さんもいますね。また夏には小学生向けに怪談話のお話会や、冬はクリスマス会で、その時期にぴったりのスペシャルなお話会を開催しています。

点字図書館もありますので、夏には子ども向けの点字教室も開催します。こちらも人気の教室で、自分で名前を打って点字に触れるなど、学校でもなかなか体験できない内容も盛り込んでいます。このような活動を通して、視覚障がい者の方の生活に関心を持ち、今後ボランティア活動などで活躍してくれると嬉しいなと期待しています。

豊島区立中央図書館

一般向けのイベントでは、古典文学読書会や現代文学読書会を月に1度開催しています。図書館の専門研究員で、郷土史の先生が講師をしてくださり、一緒に本を読んでみんなで意見を交わすという会です。 また、年に1度、地域研究ゼミナールという豊島区のソメイヨシノや、昔の川、鉄道など地域研究のテーマを決めて取り組む講座を、セミナー形式で開催しています。

また、豊島区は椎名町に手塚治虫先生などが活躍されていたトキワ荘があったので、トキワ荘のコーナーを設けています。そこで活躍されていた赤塚不二夫さんや藤子不二雄さんなどの作品を集めるとともに、関連する本も充実しています。このコーナーは、一般の方から年配の方に向けて人気ですね。

子どもたちも一般の方も、このような機会を通して、本を身近に感じ、読書習慣のきっかけになればと思います。

近隣の児童館や保育施設、学校、公共施設などとの連携はありますか。

豊島区立中央図書館

学校とは緊密に連携しています。学校用の図書もこちらで用意してまとめて送ったりしています。児童・生徒の移動教室等の事前学習のために、団体貸し出し用のセットを用意しています。それを貸し出したり、「としょねっと便」という交換便で、区立図書館の本の貸し出しや返却を定期的にできるようにしています。

そのほかにも、区民が集う区民ひろばや保育園、小学生の放課後の施設「子どもスキップ」に読み聞かせのボランティアを派遣しています。今は約40人のボランティアさんに年間200回ほど、子ども施設に行っていただいています。ボランティアさんは、図書館で養成して読み方や本のもち方、本の選び方などの講習会を行い、講習会を卒業された方をボランティア登録させていただき、活動していただいています。

利用者やイベントに参加される方は周辺エリアの方が多いのでしょうか。

豊島区立中央図書館

利用者は乳児、幼児から高齢者までと幅広いですね。午前中は、 保育園の園児や親子連れ、高齢者の方が多く、午後は小学生や中学生、高校生が多くなりますし、夜はやはり会社員の方が多くなるようです。利用される方の住所は、豊島区のほか、文京区、板橋区、練馬区など近隣の区から来られる方も多いのですが、埼玉県や千葉県、神奈川県の方もいらっしゃいます。

東池袋エリアの子育て環境として魅力について教えてください。

教育の森公園

充実した教育機関はもちろんですが、駅前にある「サンシャインシティ」には、水族館や博物館、劇場、プラネタリウム、ナンジャタウンなど子どもたちが楽しめる施設が多くあります。

南池袋に隣接する雑司が谷も江戸時代からの流れを組む賑わいの場所で、桜が見事な法明寺や大イチョウが有名な鬼子母神など、歴史のある土地でもあるので、散策にもぴったりだと思います。

また、「豊島区立南池袋小学校」の校内に「豊島ふくろう・みみずく資料館」という施設があります。池袋は「いけぶくろう」ということで庁舎の中にもたくさん「ふくろう」を飾ってあるんですね。土日開館しているので、散策の穴場としておすすめです。また造幣局の中には「東京造幣博物館」があり、コインなどを展示しています。

※2016年10月、造幣局東京支局がさいたま市大宮区に移転。これに伴い「東京造幣博物館」も閉館いたしました

再開発の進む東池袋エリアで、今後さらに期待する点について教えてください。

豊島区役所 新庁舎(建設中)

住所は南池袋ですが、区役所の新庁舎がすぐ近くに建ちました。区役所に来られて、そのついでに図書館に寄っていかれるということもあると思います。また、区役所の屋上には「豊島の森」という周辺の自然環境をそのまま再現した屋上庭園があり人気のスポットになっています。ビオトープもありますので、子どもの環境教育にもなります。造幣局の跡地が公園になるので、緑豊かな環境が広がると期待してます。

最後に、今後新たに東池袋エリアに引っ越してくる方に向けてのメッセージをお願いします。

西武池袋本店

東池袋はファッションや食事、量販店、デパートなどがある「池袋」に近接していますので、とても便利なエリアです。池袋駅からは、交通網が発達していますし、近くに雑司が谷のような歴史的、文化的な資源もあります。子育てにも良い住みやすい街です。

豊島区立中央図書館 山根さん

今回、話を聞いた人

豊島区立中央図書館

館長 山根 斎さん

豊島区立中央図書館
所在地:豊島区東池袋4-5-2 ライズアリーナビル4F・5F
電話番号:03-3983-7861
http://www.library.toshima.tokyo.jp/contents?3&pid=40
※記事内容は2015(平成27)年10月時点の情報です。

老若男女が楽しめる図書館を目指して/豊島区立中央図書館 館長 山根 斎さん
所在地:東京都豊島区東池袋4-5-2 ライズアリーナビル4F・5F
電話番号:03-3983-7861
開館時間:10:00~22:00(土・日曜日、祝日は18:00まで)
休館日:第2月曜日、第4金曜日(祝日を除く)、特別整理期間、年末年始(12/29~1/4)
https://www.library.toshima.tokyo.jp/con..

インタビュー/高槻市立第一中学校 北山茂治校長先生


地域に見守られる安心と安全の中で
人懐っこくも目標を持つ子どもたち

高槻市の中心部という利便性に恵まれながら、その敷地は「高槻城跡」という歴史を感じさせる贅沢なロケーションにある「高槻市立第一中学校」。同校はその名が表わす通り、高槻市(現市制)で一番目となる1947年(昭和22年)に創設された中学校です。地域に温かく見守られる安心で安全な環境の中、生徒たちは自身の目標を持って勉強にスポーツに励んでいるという評判を聞き、校長の北山茂治先生に「高槻市立第一中学校」の特長や地域の魅力についてお話を伺いました。

生徒を伸び伸びと育てる地域の深い連携

北山茂治校長先生

――貴校の特色や特長について教えてください

北山校長: まず本校を説明するには、「連携」というキーワードが挙げられます。小学校との連携を深めて、いわゆる「中一ギャップ」を解消するという取り組みを積極的に行っています。現在、出前授業や出前クラブといった活動を行うなど、小学校と中学校の密な行き来がありますので、中学校の先生の顔を小学生が知っているということも、成果を感じているところでもあります。私自身も小学校へ行く機会が多くありますので、「あ、中学の校長先生や」とよく言われます。また地域と学校が連携を密に行っている地域で、地域の大人の教育力が高く、生徒を温かく見守っていただいている、そんな町で子どもたちは伸び伸びと育っていると感じます。

出前授業の様子

――連携は安心に直結しているようですね。環境についてはいかがでしょう?

北山校長:本校は城跡という歴史と風情のある環境に位置していて、これは教育にも良い影響を与えていると思います。外観も他の中学校では見かけないような伝統を感じさせるものとなっていて、中庭の円形の花壇なども立派です。また校庭も広いので、体育の授業やクラブ活動にとってもありがたい環境となっています。地域行事にも積極的に会場として場所を提供しており、「高槻ジャズストリート」などにも使われています。新年に行われる消防署の出初式にも使われますが、こちらも非常に本格的な行事で一見の価値があります。先日も校庭で自転車安全教室が開かれましたが、本職のスタントマンが登場して事故を再現するなど、安全に対する意識をしっかり高めてくれる内容でした。このように学校単体では実現できないことを行えるのも、高槻市が「地域と連携した特色ある学校づくり推進事業」の予算を立てていただいているおかげで、生徒たちの良い環境づくりに活かされています。

予算が教育現場に有効活用される高槻市

広々とした中庭にある円形の花壇

――地域と連携した特色ある学校づくりが良い環境を作っているのですね

北山校長:今お話した以外にも様々なところで活用されています。授業力を高めるための研修会を開催し、大学の先生や著名な専門家を招き指導助言していただくのもこうした予算からで、教員のスキルは確実に上がって成果を出していると感じます。また、立派な花壇を維持するためには、花の苗を植えるための費用が必要で、これもその予算から捻出しています。

校内の様子

――学校独自にスマホ講演会を行っておられると聞きました

北山校長:これは最近、ラインやフェイスブックといったSNSなど、携帯電話にまつわる問題が話題となるなかで、大きなトラブルにつながる前に必要な知識を身につけて、生徒が被害に合わないよう開いたものです。初回は2015(平成27)年2月に保護者向けに、その後に4月には生徒向けの講演会を開きました。保護者の方からも生徒からも専門家の話はためになったという声を聞いています。

職業体験は将来を考えるきっかけに

生徒が作成したポスター

――職業体験を実施されているそうですが、詳細を教えて下さい

北山校長:2年生が2日間という限られた時間ですが、地域内の飲食店やスーパー銭湯、図書館やデイケアセンターなどで、生徒が仕事を体験させてもらいます。ここでは仕事の楽しさやしんどさを体験することができ、良い経験になっています。実際に職業体験を通じて進路を考える生徒もいて、希望する職種に就くためには、どんな学校を選びどんな資格を取るべきかと、考えるきっかけにする生徒もいます。

高槻ジャズストリートの様子

――第一中学ならではの行事などを教えてください

北山校長:「高槻ジャズストリート」は会場になりますから、より身近なイベントとして生徒たちも感じているようです。吹奏楽部は演奏で参加しています。また「つばさネットワーク」という地域連携のつながりがあり、校区で大きなイベントとして「子ども夢企画」という行事が12月に開かれまして、本校からも模擬店を出すなどして参加しています。こちらは地域を挙げて参加する学園祭のような充実したイベントです。

夢企画の様子

――生徒さんは実際にどのような雰囲気ですか?

北山校長:先ほどお話ししたように学校、家庭、地域が深い連携を持つ地域ですので、生徒も素直で人懐っこい性格の子が多いと感じます。これは小学校時代の環境が影響しているのではないかと思いますね。また、本校の生徒はしっかりと目標を持って自分のすべき事に前向きに取り組むという、そんな素晴らしい傾向にあります。これも地域が総出で見守って下さるという環境が、そのような方向へ導いているのではないでしょうか。クラブ活動も熱心に取り組んでいると感じます。多くのクラブが朝の7時半から練習をしている中学校というのは珍しいのではないでしょうか?そして体育の授業などで生徒同士が励まし合う場面をよく見かけます。応援し合う空気があることは、一中の特長であり自慢と言えるところですね。

人の温かみと利便性を備える町

学校の校門

――最後にこのエリアの魅力について一言お願いします

北山校長:文化も豊かで、とりわけ町の人とのふれ合いに温かみのある町です。そして子どもたちにはあまり関係のないことかもしれませんが、JRと阪急の駅が近くにあり、その間の地域の繁栄ぶりも目を見張るものがあります。さらにどちらの駅からも、大阪へも京都へも20分程度で行けるということは、至極便利な立地であることに間違いありません。

校長 北山茂治先生

高槻市立第一中学校

校長 北山茂治先生
所在地 : 高槻市城内町1-35
TEL : 072-675-1426
URL: http://www.takatsuki-osk.ed.jp/icchu/
※この情報は2016(平成28)年3月時点のものです。

インタビュー/高槻市立第一中学校 北山茂治校長先生
所在地:大阪府高槻市城内町1-35 
電話番号:072-675-1426
http://www.takatsuki-osk.ed.jp/icchu/

インタビュー/高槻市立桃園小学校 檜垣由里校長先生


1953(昭和28)年に高槻市で11番目の小学校として開校した「高槻市立桃園小学校」。ここはJR、阪急のいずれの駅からも徒歩10分という利便性に加え、周辺には市の公共機関・施設が密集する市の中心的役割を担う立地にあります。同校は開校当初より地域に支えられ発展してきた経緯があり、同校が1956(昭和31)年に市内の小学校で初となるプールを設けたのも、地元の多大な支援で実現したそうです。今なお地域と学校の、また学校間においても好連携が続くという同校を訪ねて、檜垣由里校長先生に学校の取り組みや地域の魅力についてお話を伺いました。

地域に見守られ支えられて六十余年
活動幅広く実りの多い小学校

檜垣由里校長先生

――最初に「高槻市立桃園小学校」の概要・歴史について教えてください

檜垣校長:本校は「高槻市立高槻小学校」から分離する形で1953年(昭和28年)に開校いたしました。校名にはいくつかの由来があるとされ、創立の記念に桃の木が植樹されたことや、桃太郎のようにたくましく育って欲しい、桃の花園で学んで立派な実がなるようにといった願いが込められていたとも聞いています。校章も市章と桃の花を合わせたものとなっています。

平屋の西洋風建築にステンドグラスも備える校舎は、建築モデルスクールであったとされ、視察に訪れる方も多かったと聞いています。開校時は高槻市で11番目の小学校であったそうですが、現在は41校になっていますので、これは高槻市という地域が発展を続けていたことを示していると言えるでしょう。

赤レンガが印象的な入口

――高槻市は教育に熱心なところだそうですね?

檜垣校長:高槻市は現市長の方針もあり、非常に教育に力を入れている市として知られています。「地域と連携した特色ある学校づくり推進事業」では、各学校ごとに計画書を出して、認められると最高で年間100万円の助成を受けることができます。

現在の本校は16学級と支援学級が7クラスあります。支援学級に関しては、大阪府が先進県として知られるところです。そして市内全校共通になりますが、全6学年において35人学級が実施されています。1年生は国が、2年生は府がこのように定め、3年生から6年生までは市の施策としてこのようになっています。

中学校や地域との連携を密にして
地域全体で子どもを育てる

校庭の様子

――中学校との連携も強いと聞いています

檜垣校長:その通りです。これも市の方針に沿ったもので、「高槻市立第一中学校」との連携もそうですし、同じ中学校へ進む「高槻市立高槻小学校」も含む3校での連携体勢が整えられています。中学校との具体的な連携としましては、中学校から「出前授業」や「出前クラブ」を行っていただいて、子どもたちは小学校にいながら、中学校の授業やクラブ活動を体験することができます。また「スマイル体験」というプログラムもあり、こちらは中学校へ行って授業を受けたりクラブ活動を体験することができます。また私たち教員もそれぞれの立場や携わる部門ごとに会合が開かれていますので、頻繁に集まり顔を合わせている方だと思いますし、情報の共有も密になっています。また昨年からは中学校入学前の春休みに中学校から宿題が出るようになりました。小学校で学んだことの復習をするという目的のものですが、昨年の提出率が100%であったと聞いています。こうした取り組みは不安も払拭できますし、よく言われる「中一ギャップ」を回避する効果も感じられています。

出前クラブ

――地域と触れ合う具体的なプログラムはどのようなものでしょう?

檜垣校長:簡単にご説明をさせていただきますと、まず1年生は地域高齢者の方から昔の遊びを教わって触れ合うということを行っています。2年生は消防署や郵便局を訪れたり、地域のコミュニティセンターで独居老人の方と一緒に歌ったり、手遊びをしたりという交流をしています。3年生になると駅前の商店街でお話を伺ったり、地元名産のひとつである寒天のメーカーにお邪魔して寒天を使ったお菓子や料理の知識を教わったりもしました。また本校は高槻市内でもっとも樹木が多いと言われていて、専門家を招いて木について教わることもあります。そして4年生は福祉について学ぶことをテーマにしているので、障害者福祉センターで点字や手話を習ったりします。また校区内にある医師会の看護学校の中を案内していただくこともありますし、熱中症に関するレクチャーを保護者と生徒向けにしてもらったりもしています。

体育館の外観

――本当に地域と密な連携を取られているのですね。

檜垣校長:その通りなんです。これは学区やその近くのエリアに商店や施設、会社などが多くあることも教育の面で恩恵を授かっていると感じます。5年では各種産業を学ぶ際に、学習田を持っています。これは学校から少し離れた場所になるのですが、そこで田植えから稲刈り、そして餅つきまで実施しますが、これも地域のバックアップがなければ、学校だけで実現させることは不可能だと思います。また5年生は地元企業さんにお願いして出前授業をしていただくなど、キャリア教育も実現しています。6年生も同様にキャリア教育もしかりですし、過去には保護者の方で地雷除去の活動をなさっていた方に出前授業をしていただいたこともありました。そして教員の初任者研修として地域の企業さんに受け入れていただいたりもしています。

理解して納得できる子どもになってほしい

中庭にはバスケットゴール完備

――指導に際して先生方が心がけていらっしゃることは何でしょうか?

檜垣校長:子どもたちが理解して納得ができる指導を行うということでしょうか。私たちには今、説明力が求められていると感じています。例えば間違った行動や言動については注意をしますが、大切なのは「今後どうすべきか?」という点です。行動や言動に間違いがあった場合は、それがなぜダメなのかを本人が理解して、あらためることが成長であり前進につながります。それを頭ごなしに叱ってしまうと、何が悪かったのかを本人が理解できないケースもあり、それでは指導の意味も効果もありません。行為や行動、発言がダメであれば、それを伝えるのが指導であって、人物を否定するわけでない。これをしっかり伝えるよう努めています。と同時に、指導方法の統一を計ることで、子どもたちが混乱しないよう注意を払っています。

校内の掲示版

――桃園小学校ならではの行事や学校施設について教えてください

檜垣校長:これは学校の立地も影響していることですが、本校は地元のイベントに場所を提供する機会が多いため、その分、地域の行事を身近に感じて参加する機会にも恵まれています。例えば「高槻ジャズストリート」もそうですし、夏の「高槻祭り」も校庭が使われています。もちろん防災という観点での拠点でもあり、避難所でもあります。つまり「何かあれば学校へ行く」という場所として機能している小学校です。プールがいち早く建設できたのも地元が費用を用意して下さったからで、現在でも体育館のスケールが他所より大きいのも、やはり地元のお力添えがあってのことです。これほどに地域と家庭、そして学校とが強く結びついて機能しているエリアは珍しいかもしれないですね。

地域の方が子どもたちの安全を力強くサポート

正門前の様子

――最後にこのエリアの魅力について一言お願いします

檜垣校長:まず地域としては交通の便のよさをはじめ、利便性の高さが特長だと思います。また公共の各機関や民間の企業や商店も集中している便利な土地であることも間違いありません。大きな国道は子どもたちにとっては危険な要素でもありますが、正門前には陸橋も備えていますし、登下校時には「セーフティーボランティア」という活動で、地域の方が子どもたちの安全を力強くサポートしてくださっています。さらに高槻市では各小学区ごとに「地域安全センター」が設置され、地域・学校・警察が連携して包括的に安全・安心を確保するようにしていますので、より安全で住みよい環境になっています。

校長 檜垣由里先生

高槻市立桃園小学校

校長 檜垣由里先生
所在地 : 高槻市桃園町3-27
TEL : 072-671-1421
URL: http://www.takatsuki-osk.ed.jp/touen/
※この情報は2016(平成28)年3月時点のものです。

インタビュー/高槻市立桃園小学校 檜垣由里校長先生
所在地:大阪府高槻市桃園町3-27 
電話番号:072-671-1421
http://www.takatsuki-osk.ed.jp/touen/

学校法人SEiRYO学園 習志野台幼稚園 インタビュー

世界へ羽ばたけ!五感を刺激する多彩な教育スタイル/学校法人SEiRYO学園 習志野台幼稚園 理事長代行 いぬかい良成先生


北習志野の静かな住宅街にある「学校法人SEiRYO学園 習志野台幼稚園」は、円形のカラフルな園舎が目を引く私立幼稚園。1966(昭和41)年からおよそ50年の歴史を歩んできた一方で、ネイティブ講師による英語レッスンやイタリア発祥のアート教育などを柔軟に取り入れ、子どもたちの好奇心や創造力を育む教育を実践している。理事長代行を務める、いぬかい良成先生は「子どもは子どもの世界で生きている」という持論で教育を考えている。自らの視点で幼児教育を紐解き、著書の出版もしている。世界中の教育を視察してきたいぬかい先生に、「習志野台幼稚園」ならではの活動や北習志野の子育て環境について語ってもらった。

 

キッズデザイン賞受賞の園舎

英語やアートに日常的に触れられる環境を

――まずは、「習志野台幼稚園」の沿革・概要をお聞かせください。

当園は1966(昭和41)年に私の祖父が設立し、今年で50周年を迎えました。園児数は、3~5歳児クラスが計400名で、このほか、2歳児と1歳児親子が通う未就園児コースがあります。教育の特色は大きく3つあり、1つ目はイタリアの「レッジョエミリア・アプローチ」を取り入れていることです。乳幼児にアートを通して自発的活動を促すという教育で、世界各国の優れた教育方法を視察した結果、導入を決めました。2つ目は、世界に羽ばたく日本人を育てる「バイリンガル教育」です。姉妹園の2つの保育所を含めて、2歳児から常勤のネイティブ講師4名による英語のレッスンを週に複数回行い、日常的に外国人と触れ合える環境を作っています。3つ目は、しつけのプログラムである「態度教育」です。英語教育ももちろん大事ですが、「あいさつがきちんとできる」「履物を揃える」など、日本人らしさを大切にした教育を普段の生活の中で指導しています。

楽しく体で覚える英語

――正課活動では多彩なプログラムを展開されていますね。

“五感を刺激する7つの活動”として、先ほどの英語・しつけのほか、専門講師の指導による体操・音楽・知能あそび・アート・リトミックを取り入れています。体操は体力作りを基本に、危険を回避できる能力を養うことが目的です。園での運動のほか、近隣のスイミングクラブに通ってプロのインストラクターの指導を受けています。音楽では鼓隊に取り組み、その成果を運動会で発表します。鼓隊をお子さんに学ばせたくて当園を選んだ、そんなお母さんもいるぐらい、本格的なんです。知能あそびは、数や図形、文字などを使って、遊びの要素を取り入れながら、右脳を刺激する学習方法です。当園の仲里園長は、全国の幼稚園で知能あそびを指導している専門家でもあります。アートは、アート専門講師である「アトリエリスタ」による「レッジョエミリア・アプローチ」を実践しています。絵や工作のテーマを講師が提供するのではなく、子どもたちに決めてもらい創造力を引き出していきます。リトミックは音感教育です。音の強弱に合わせて体をリズミカルに動かすことで、リズム感や音感を鍛え、小学校で必修となったダンスも学びやすくなります。

さまざまなプログラムで学ぶ子どもたち

――アフターキンダー(課外教室)、フリッパークラブ(預かり保育)についても教えてください。

アフターキンダーは、当園のネイティブ講師が行う英語のバイリンガルクラブのほか、イングランドのプレミアムリーグでもある「アーセナル・サッカークラブ」に来てもらっています。ほかにも体操クラブ、読み書き・計算を学ぶエンピツランド、ヤマハのピアノ教室、学研プレイルームがあり、園児の約三分の一が参加しています。ほとんどのレッスンで卒園児も受け入れているので、小学生も参加していますよ。子どもたちが好きなことを発見できるようにたくさんの教室を設けているのが特徴で、英語と併せて運動系のサッカーや体操をする子など、複数の教室に参加する子も多いです。 来年、「北習志野」駅の近くに新しく学童保育を開設するので、在園児と卒園児以外の子どもたちも受け入れられる体制も作っていく予定です。

地域で一番預かり時間が長い「習志野台幼稚園」

フリッパークラブの受け入れは、7時半から19時まで。おそらく、北習志野地域で一番長い時間受け入れていると思います。お子さんが系列保育園だった方、仕事に復帰された方などに利用していただいています。

新園舎には生きる力や好奇心を育む仕掛けが満載

――園舎が「2015年キッズデザイン賞」を受賞されています。施設や設備面の特色はどんな点ですか?

現在の園舎は4年前に建て替えられたんです。先生たちの意見を取り入れながら、元Architect Designerでもある私が自らデザインしました。設計において一番影響を受けたのは、東日本大震災です。当時、園は謝恩会を行っており、年長の児童とその親御さんのみ登園していましたが、親子が一緒にてい本当に良かったと思います。この時の経験を教訓にし、通常は裏手などの施錠されて、子ども達に認識されない場所に設置される避難階段・滑り台を、あえて園庭に向けて設置。普段は遊具として使い、いざという時には子どもたち自身で園庭に抜けるルートを降りられるようにしました。 このほか、吹き抜けのエントランスやフリースペースのホール活用、英語専門教室、屋上の庭園の芝生広場、雨の日でも活動できる体育館などが設置してあります

園庭にある大型木製遊具

園庭には、教室兼フリースペースとして使えるキャンピングカー、アスレチックやボルダリングの要素を取り入れた3階建ての大型木製遊具があります。今、子どもたちが怪我をしないようにと、街中の公園では遊具を撤去する動きがありますが、それでは子どもの身体は育たない。そうした想いからこの大型遊具を積極的に設置しました。入園説明会でも、あえて「子どもは怪我するものです」と保護者の方にお話します。もちろん、先生が見守っていますが、年長さんはどんどんトライしますね。その中で危険も憶えていくんです。

好奇心旺盛、活発に遊ぶ子ども

先生と保護者にもよりよい環境を

――ホームページでは、先生にもスポットがあてられていますね。

ホームページの情報は経営・運営側からの発信がほとんどですが、受け取る側が同じ目線で見られるような情報が大事なのではと考えました。保護者にしてみたら、子どもを育てる同じ立場として、働いている先生が思っていることがわかるとすごく共感できるし、安心してお子さんを預けられるのではないでしょうか。先生方にとっても、自分の気持ちを文字化することで、日頃の実践を自身で再認識できます。実は現在のホームページは、昨年のクリスマスに先生方へのプレゼントの意味を込めて、リニューアルオープンしたものです。保護者の方には、「子どもたちの元気な様子が伝わる」とすごく喜んでもらいました。

先生と保護者の連携を大事にする環境づくり

――「北習志野」駅の駅ビルに系列の保育所「ハミングバード」がありますが、連携はいかがですか。

「ハミングバード」は4年前、当園のサテライトとして開園しました。朝、保護者が駅でお子さんを預けたら、「ハミングバード」から「習志野台幼稚園」までバスで送り届け、お子さんをお預かりするんです。ハミングバードは20時まで開園しているので、19時までにお迎えに来れない方は当園から子どもたちを送り届け、「ハミングバード」で保護者がピックアップするというシステムとしました。保護者が当園の方針や活動をよく理解してくれるので、「ハミングバード」の卒園児の9割近くはそのまま当園に上がってきますね。職員同士の連携もよく、園長会議などを通して保護者と園児の情報を共有し合い、対応しています。もちろん、当園のネイティブ講師による英語レッスンも行っています。

生活しやすく子育て世帯が安心の街

「こどもアートフェスタ2016」で制作されたオブジェ

――地域や保護者との関わりを聞かせてください。

今年の8月、「ニューヨークのこども美術館」とコラボし、船橋市内の子どもたちを対象に「こどもアートフェスタ2016」を開催しました。同美術館のデザイナーとコロンビア大学の学生たちが、子どもたちが触って遊べるオブジェを制作したほか、親子で参加できるワークショップなどを開催し、数社のTVや紙面媒体など多数の取材を受け、4日間で約1,000人が来場しました。

イベントのほか、私が主宰する「日本ペアレンティング」では地域のお母さんたちを対象にした子育てセミナーを、当園だけでなく都内でも開催しています。実は子どもは昔も今もそれほど変わっていません。しかし、子どもたちを取り巻く環境は大きく変化しました。親は本来、子どもたちを守るはずの存在なのに、親自身の心が満たされず、整っていない方が増えてきています。まずはお母さんたちの心が整うようにと、こうしたセミナーを開催しています。

保護者向けには、お子さんと一緒に参加できるイベントがたくさんあります。母の日・父の日に花を贈るためのフラワーアレンジメント教室、世界でたったひとつの本作り、味噌作り体験など。土曜日開催なので、大勢の保護者が参加します。なかでも、一番人気なのが親子塾です。ダチョウの卵焼き作りやダンゴ虫レースなど、動植物をメインにいろいろな企画で実施しています。

多彩な教育スタイルの「習志野台幼稚園」

――最後に、北習志野の魅力や子育て環境のよさを教えてください。

「北習志野」駅は東葉高速線と新京成線が交差しているので、東京方面へも千葉方面へも一本でアクセスでき、通勤しやすい環境です。24時間営業のスーパーがあり、商店街には専門店がたくさんある。郵便局や市役所の支所もあるし、大きな街ではありませんが、ここで完結できるぐらい子育て環境には適したエリアだと思いますよ。 また各学校が多く、当学園の運営する学童保育「KOSO Living Lab.」や公園もたくさんあって、自然も残っていますし、ちょっと足を延ばせば、人気の「アンデルセン公園」もありますよ。近くの「船橋アリーナ」では、保護者が何千人も集まる当園の運動会を開催しています。北習志野は船橋の中では新興の街といえ、子育て世帯が多いので、公園で同じママ世代から話しかけられるような場面も多いのではないでしょうか。

習志野台幼稚園

学校法人SEiRYO学園 習志野台幼稚園

理事長代行 いぬかい良成 先生
所在地 :千葉県船橋市習志野台2-59-22
TEL :047-466-2151
URL:http://www.narashinodai.ed.jp/
※この情報は2016(平成28)年9月時点のものです。

世界へ羽ばたけ!五感を刺激する多彩な教育スタイル/学校法人SEiRYO学園 習志野台幼稚園 理事長代行 いぬかい良成先生
所在地:千葉県船橋市習志野台2-59-22 
電話番号:047-466-2151
教育時間:8:30~14:00
預かり保育:あり(7:30~8:30、14:00~19:00)
https://www.narashinodai.ed.jp/

中野中央スペシャルインタビュー

地元住民に愛されるハンバーガー店/ISLET(アイレット) オーナー 小島洋嗣さん


オーナーの小島洋嗣さんは、中野レンガ坂で10年間ハンバーガー店を経営。2014(平成26)年3月に一度閉店したが、ハンバーガーファンから寄せられた数多くの“再開”を望む声に応え、同年11月、店名を「ISLET(アイレット)」として中野中央にリニューアルオープンさせた。「ISLET」は自身の名字である「小さい島」から命名、ロゴも「ハンバーガー」と「小さい島」で新たに作成したそうだ。席数は、カウンター3席とテーブル席合わせて15席のアットホームで異国情緒溢れるつくり。そんな「ISLET」の魅力と、中野中央エリアの魅力について、小島さんにお話を伺った。

異国情緒溢れる店で過ごす、くつろぎのひととき

「ISLET(アイレット)」

――お店の特色、コンセプトを教えてください。

小島さん:私自身がニューヨークの街に強い憧れがありまして…、イメージは、ブルックリン郊外の街でおじいちゃんくらいの世代からずっと現地でやっている店です。そしてそれを今、私が継いでいるシチュエーションです。歴史があるが新しいものもそこにある、という感じで店全体をデザインしました。

内装の細部にこだわりが光る

小島さん:店内ではブルースやソウルミュージックを流しています。異国の雰囲気たっぷりの空間を楽しんでもらえたら嬉しいですね。メニューは可能な限り「手づくり」にこだわって提供しています。さらに、アボカドなど外国産でしか手に入らない材料以外は、全て国産のものを使い、美味しいものを安くお出しするように心がけています。子どもからご年配の方、外国の方まで気の合う人達が集う街の一部のような店になればいいなと思っています。

絶妙な焼き加減で提供される、ここでしか食べられないハンバーガー

一番人気の「佐世保バーガー」

――おすすめメニューやこだわりは何ですか?

小島さん:一番人気は「佐世保バーガー」です。国産牛を使用したジューシーなパティ・ふわとろのエッグ・チェダーチーズ・ベーコンを使用したハンバーガーになります。ご覧の通り卵を使用しているバーガーですが、作る時は半熟過ぎず固まり過ぎずという、卵の絶妙な食感を出すのがとても難しいです。この見極めが一番神経を使うところですね。「佐世保バーガー」は、一つ一つの具材や焼き加減の細かなバランスが重要でして、それがこの店にしか出せない味、安心する味になっていると思います。

その他の人気メニューであれば、特に常連さんに好評なのが「テキサスサンド」です。パティ・チーズ・ハラペーニョ・レタス・トマトが入ったサンドイッチになります。一度食べると次に来店した時もこれしか頼まなくなってしまう人もいるほど美味しいですよ。あと当店の「タコライス」は女性に大人気ですね。メニューはテイクアウトもできるので、たくさんの人に食べてもらいたいです。

地元に根を下ろし、地域の人々に愛されるお店に

カントリーな雰囲気が目を引く外観

――中野中央エリアで店を開いたきっかけは何だったのでしょうか?

小島さん:以前はレンガ坂で店を営業していましたので、特にここ「中野」駅南口近辺には強い思い入れがありました。また、この店のこのハンバーガーを食べたい、この店だから来たい、というお客様を大事にしようと思いまして、お世話になった同じ中野に店をオープンさせました。妻の地元が中野中央エリアですので、それもここを選んだきっかけですね。もちろん私達もこの地区に住んでいますし、娘も近くの保育園に毎日楽しそうに通っていますよ。

中野中央エリアは都心に近いですが、どこかのんびりとした雰囲気を持つ街なのが魅力です。「中野」駅北口は商業施設が多くあり人で賑わうイメージ、ここ南口は落ち着いた下町情緒が溢れる温かい街のイメージですね。近所のお祭りのお誘いがあったり、ベビーカーをひいたママを気遣ってくれるご年配の方が多かったりと、どこか田舎の雰囲気が垣間見える優しく住みやすい場所だと思います。またJRや東京メトロ丸ノ内線があり、アクセスがとても良く通勤・通学・ショッピング等、どこへ行くにも便利なのも魅力ですね。

オーナーの小島さん夫婦

――地元の方々にも多く利用されているとお聞きしました。

小島さん:店の前の大久保通りを使って保育園や幼稚園、学校に通園・通学する人も多いですし、目の前がバス停で便利ですから子どもからご年配の方までたくさんの地元の方に来店いただいています。店の前を通りがかった子どもさんに「お仕事頑張ってね!」と声をかけられることもありましたね。最近では外国人向けのフリーマガジンで紹介されたこともあってアメリカなどの外国のお客様も数多くいらっしゃいます。

人と人との繋がりが温かい街「中野中央」

――周辺のおすすめのスポットについて教えてください。 

小島さん:中野中央エリアのお店であれば和菓子の「虎月堂」です。蜜漬けの大きな栗が丸ごと入った「黄玉満」は美味しいですよ。タレがたっぷり絡んだみたらし団子が美味しい和菓子の「いさわ」もオススメです。

「中野セントラルパーク」は、ショップやレストラン、コンベンションホール、クリニック等があって休日は家族連れで賑わっていて楽しいです。「中野ブロードウェイ」は、サブカルチャーのお店で有名ですが、レトロな雰囲気が素晴らしいですし食べ物が美味しいお店が多いので1日いても飽きないスポットですね。

「中野セントラルパーク」

――最後に、この街でお店をやっていてよかったと感じた瞬間を教えてください。

小島さん:前の店の時に来て頂いていたお客様が店を訪ねて来てくださって再会できたり、いつも応援してくれたりと、人と人の繋がりを感じてお客様と仲良くなれるのがとても嬉しいですし心強いです。そうやってお客様がどんどん増えていって、みんなで店を盛り上げている感じが私達の原動力になっています。それがここ中野中央で店を始めて良かったと感じる瞬間ですね。これからも美味しいハンバーガーを作ってみなさんに喜んで頂けるように頑張ります。アツアツのハンバーガーが食べられる店「ISLET」に是非お越しください。“食べればわかる、食べなきゃ損する”ハンバーガーです!

「ISLET(アイレット)」

オーナー 小島洋嗣さん
所在地:東京都中野区中央5-48-5-103
電話番号:03-5340-7994
営業時間:11:30~20:00 ※売り切れ次第閉店
定休日:月曜日
※この情報は2016(平成28)年5月時点のものです。

地元住民に愛されるハンバーガー店/ISLET(アイレット) オーナー 小島洋嗣さん
所在地:東京都中野区中央5-48-5-103 
電話番号:03-5340-7994
営業時間:11:30~20:00 ※売り切れ次第閉店
定休日:月曜日

脳科学を取り入れたスパイラル学習で効率的な勉強方法を実践/杉並区立松ノ木中学校 校長 萩原 正己先生


杉並区立松ノ木中学校
萩原 正己 校長先生

脳科学を取り入れたスパイラル学習で
効率的な勉強方法を実践

2013(平成25)年度より“地域運営学校(コミュニティスクール)”としての役割を担い、地域に根ざした学校運営をますます充実させている「杉並区立松ノ木中学校」。地域の方々により運営される“学校支援本部”の活動も多岐にわたり、試験勉強のサポートや部活指導、体育祭の準備のお手伝いなど、地域と一体となった学校運営が特徴的です。今回は、地域と連携しながら学校づくりを進める萩原校長先生に「松ノ木中学校」の特色と、“スパイラル学習”という効率的な勉強方法についてお話を伺いました。

まず、学校の沿革と特徴について教えてください。

杉並区立松ノ木中学校

「杉並区立松ノ木(まつのき)中学校」は、1947(昭和22)年に設立された「杉並区立西田中学校」を前身とした創立68年を迎える歴史ある学校です。2013(平成25)年度には“地域運営学校”いわゆる“コミュニティスクール”としての指定を受けたのですが、学校のある松ノ木地区はもともと町会へ加入する方の組織率が高く、学校と地域との結びつきは確かなものがありました。

杉並区立松ノ木中学校 校庭

23区内のなかでも松ノ木地区は豊かな自然環境に恵まれているのが特徴で、本校の校庭にも39本の立派な桜が植えられていますが、毎年4月になると恒例となった「桜を愛でる会」が催されます。学校支援本部と町会の協力のもと地域の方々に校庭を一般開放して“お花見”を楽しんでいただくイベントで、学校と地域との関係性がよくわかる良い例だと思います。

2014(平成26)年7月現在6クラス182名の生徒が在籍していますが、松ノ木地区には2世帯住宅が多くご両親が卒業生ということも少なくありません。祖父母の世代から長年にわたってお付き合いさせていただいているというご家庭もあります。

地域の方々により運営される“学校支援本部”では、具体的にどのような活動が行われていますか?

杉並区立松ノ木中学校 校長先生

“学校支援本部”の活躍は多岐にわたり、「図書館ボランティア」や先ほどの「桜を愛でる会」の運営、また「英検、漢検、数検」のサポート、「部活動指導」においてはダンス部の講師を務めてくれたり、2年前に発足した“おやじの会”では体育祭の準備をしてくれたりと実にさまざまです。

また当校の「ホームページ」も“学校支援本部”の協力を得て管理、運営されています。

ホームページには進路先や進路分析などについて多く触れられていたように感じましたが、「松ノ木中学校」はいわゆる進学校としての認識でよろしいのでしょうか?

勉強image photo

本校は受験を最大の目標とした進学校というわけではないのですが、生徒ひとりひとりに“学習習慣”が身に付く指導を実践することで結果として希望する進路を選択しているといった状況だと思います。脳科学にもとづく“スパイラル学習”というものがあるのですが、授業で習ったことを翌日、1週間後、4週間後…と理想的には4回同じ学習を繰り返し、知識として身につけるための学習方法です。

まずは数学で導入しているこの学習方法も、今後は他教科へと展開することも考えており、そのための綿密な学習計画と教師ひとりひとりの指導法の確立に努めているところです。
数学と英語においては少人数授業を取り入れているのも特徴で、3年生の数学の授業は15名ずつ2クラスに分かれて学習指導にあたっています。

また当校の特色ある試みとして、日本大学文理学部の協力を得て教員志望の学生さんと本校の教師による“チームティーチング”を実践しています。各曜日2名・のべ10名の学生さんが年間を通じて指導にあたってくれているのですが、生徒と年齢が近いこともあり親しみやすく“わかった”“できた”という勉強の楽しさをうまく伝えてくれていると思います。

「クラブ活動」についても取り組みの状況を教えてください。「中学生レスキュー」とは? 

杉並区立松ノ木中学校 部活

生徒数182名に対してスポーツ系6、文科系4、ボランティア系2のクラブ活動があるのですが、少人数の活動ではあるもののそれぞれ優秀な成績をおさめています。スポーツ系では特にサッカーとバドミントンの活動が盛んで、サッカーにおいては杉並区内の公立中学校でもっとも強いチームのひとつとなっているようです。

また現在4人で活動している「演劇部」は文化祭や校内発表会での活動のほか、都大会や関東大会にも出場するほどの実力派です。
ボランティア系のひとつとしてある「中学生レスキュー」については、杉並区の区の施策として実施しているもので、学期ごとに1~3日間の活動といった状況です。防災訓練のときに放水のお手伝いをしたり、生徒の誘導をしたりと部員14名で熱心に取り組んでいます。

学年ごとに特色のあるテーマを設定し「土曜授業」への取り組みも盛んなようですが、具体的にはどのような内容ですか?

松ノ木遺跡

まず1年生は松ノ木地区の歴史を知るひとつの手がかりとして「縄文文化」について学びます。実は「松ノ木中学校」は古墳時代の歴史を今に伝える遺跡が見つかった場所でもあり、校庭のすぐ隣には復元した住居があります。
「松ノ木遺跡」はいわばこの土地のアイデンティティのようなもので、地域の方を招いて歴史についてのお話をいただいています。

松ノ木遺跡 看板

2年生になると「環境教育」と「生活数学」という2つのテーマを掲げて、健康や食事について学んだり、日大工学部の先生をお招きして生活の中の数学を楽しみながら学んだりと、身近なテーマで取り組んでいます。
3年生になると数学と英会話を用いて「課題解決学習」に取り組んでいます。1つのクラスを6つのグループに分けて行う英会話もあり、授業で習った英語が“通じた”“わかった”という実感が勉強の動機づけにもなっているようです。

学校周辺の生活環境や子育て環境としての魅力は?

善福寺川

学校周辺には「和田堀公園」や「善福寺川」といった豊かな自然環境がありますし、「大宮八幡宮」や学校のすぐ隣には「松ノ木運動場」もあります。自然に恵まれたおだやかな環境は子育てにも最適な街だと思います。

大宮八幡宮

地域の方々もお互いに見知った方が多く、気持ちの良いあいさつが行き交うのもこの地域ならではだと思います。また1年ほど前に商店街にコンビニができたのですが、いざというときに助かる便利なお店ですね。

杉並区立松ノ木中学校

今回、話を聞いた人

杉並区立松ノ木中学校

萩原 正己 校長先生

所在地:東京都杉並区松ノ木1-4-1
電話番号:03-3313-1561
URL:http://www.suginami-school.ed.jp/matunokichu/

※2015(平成27)年2月実施の取材にもとづいた内容です。 記載している情報については、今後変わる場合がございます。

脳科学を取り入れたスパイラル学習で効率的な勉強方法を実践/杉並区立松ノ木中学校 校長 萩原 正己先生
所在地:東京都杉並区松ノ木1-4-1 
電話番号:03-3313-1561
http://www.suginami-school.ed.jp/matunok..

日常的に“使える英語”を目指した外国語活動を実践/杉並区立松ノ木小学校 校長 森 孝先生


杉並区立松ノ木小学校
森 孝 校長先生

日常的に“使える英語”を目指した
外国語活動を実践

「和田堀公園」や「善福寺川」など四季折々の移ろいが感じられる豊かな自然環境に恵まれた「杉並区立松ノ木小学校」。1958(昭和33)年の開校より57周年を迎えたコミュニティスクールです。ネイティブによる外国語活動や、隣接する「松ノ木中学校」と小中一貫教育で連携するなど、特色ある学校づくりに注目が集まっています。今回は、赴任して1年目となる森校長先生に「松ノ木小学校」の特色と魅力についてお話を伺いました。

まず、学校の沿革と特徴について教えてください。

杉並区立松ノ木小学校インタビュー

「杉並区立松ノ木(まつのき)小学校」は、1958(昭和33)年の開校より今年で57年目を迎えました。2012(平成24)年4月には“杉並区地域運営学校”いわゆる“コミュニティスクール”に指定され、保護者はもちろん地域の方々とも連携をとりながら学校を運営しています。

杉並区立松ノ木小学校インタビュー

2014(平成26)年6月1日現在8クラス222名が在籍し、1年生と4年生以外は各学年1クラスの小規模校です。 学校の特色としては“外国語活動”が盛んで、通常よりも多く授業数を設けています。また外国語活動の授業以外でも授業や日々の生活のなかで英語を用いることで、日常的に“使える英語”の取得を目指しています。

杉並区立松ノ木小学校インタビュー

校内の掲示物に英語が使われているほか、階段の1段1段に英単語のカードが貼ってあったり、校内放送でディズニーの曲を用いたりと、普段から英語に触れられる機会を多く提供しています。

「サマーイングリッシュスクール」という取り組みもあるようですが?

一学期の最後に実施される「サマーイングリッシュスクール」では、ネイティブの先生と1週間を英語で過ごすもので、英語によるコミュニケーション能力を育みます。もちろんオールイングリッシュでは難しいため、日本語を織り交ぜての取り組みにはなりますが、外国人講師と対面しても子どもたちはまったく動じることはありません。

杉並区立松ノ木小学校 英語ルーム

2020(平成32)年の東京オリンピックもありますし、子どもたちには世界を見据えてこうした活動をぜひ今後に役立てて欲しいと思います。

「松ノ木中学校」との9年間を見通した小中一貫教育にも取り組んでいるようですが、具体的にはどのようなことをしていらっしゃいますか?

杉並区立松ノ木小学校インタビュー

例えば先ほどの外国語活動においては、小学校では“慣れ親しむ”ことを第一にしています。しかし、中学校では文法を学んだり、スペルを覚えたりの本格的な英語学習が始まります。

杉並区立松ノ木小学校インタビュー

そこで、中学校に入った途端に“英語がつまらなくなっちゃった”ということがないように、連携して取り組むことが小中一貫教育の狙いです。 松ノ木という地区はそもそも地域行事において小学校と中学校が結びついて行われていたという経緯もあり、小学校の運動会に中学生が参加したり、その逆もあったりと、こうした交流はこの地域の特色だと思います。

6学年8クラスの小規模校にはどんな特徴がありますか?

子どもたちの特徴で言えば、素朴で人懐っこい。子どもらしさがあるように感じました。また学校側の体制から見れば、子どもの数が少ないためきめ細やかな指導ができるという特徴があります。

杉並区立松ノ木小学校インタビュー

教職員全員が全校の子どもの顔と名前を知っています。「○○ちゃんまだ見かけないけど、お休みかな?」という会話が自然とできる、小規模校でよく言われるアットホームな雰囲気というのがあると思います。

学校周辺の生活環境や子育て環境としての魅力は?

杉並区立松ノ木小学校インタビュー

地図を見ても分かるとおり、学校の周辺には「和田堀公園」や「善福寺川」があり、豊かな自然環境に恵まれています。また近くには千年の歴史がある「大宮八幡宮」や杉並区の歴史を知る「杉並区立郷土博物館」など、文化・歴史・自然が残る恵まれた地域だと思います。

杉並区立松ノ木小学校インタビュー

また近くには「松ノ木八幡通り商店会」もあり、町会の方々によるパトロール支援や、職場体験では「商店街盛り上げ隊」として見習い店員をやらせてもらうなど、地域と一体となって子どもたちを育てています。

杉並区立松ノ木小学校インタビュー

5年生を対象に年5回行われる「赤ちゃんとのふれあい授業」も地域の協力あっての取り組みで、赤ちゃんを通じて〈生〉を知る体験型の授業です。

学校に訪れるお母さんとその赤ちゃんは、学校支援本部を通じて紹介される地域の方で、10年以上前から続いている本校ならではの取り組みです。一緒に遊んだり、抱っこをさせてもらったり、お母さんに質問をしたりして、一年を通じて赤ちゃんの生長に触れていきます。

杉並区立松ノ木小学校インタビュー

そうすると、「自分もこうやってお母さんからたくさん愛情をもらってたんだなぁ」と気がつき、自他ともに尊び“いのちの大切さ”を知るきっかけになってくれればと思います。

杉並区立松ノ木小学校インタビュー

今回、話を聞いた人

杉並区立松ノ木小学校

森 孝 校長先生

杉並区立松ノ木小学校
所在地:東京都杉並区松ノ木1-2-26
電話番号:03-3313-2464
URL:http://www.suginami-school.ed.jp/matsunokishou/

※2015(平成27)年2月実施の取材にもとづいた内容です。 記載している情報については、今後変わる場合がございます。

日常的に“使える英語”を目指した外国語活動を実践/杉並区立松ノ木小学校 校長 森 孝先生
所在地:東京都杉並区松ノ木1-2-26 
電話番号:03-3313-2464
http://www.suginami-school.ed.jp/matsuno..

有限会社月刊日本橋 堺 美貴さん インタビュー

「月刊日本橋」の編集長に聞く!日本橋エリアの魅力とは/月刊日本橋 編集長 堺美貴さん


日本橋エリアで老舗の店を訪れると、時折見かける、浮世絵が表紙に描かれたB6サイズの小冊子。自由に手にとって帰ることができるこの冊子は、実は雑誌コードも定価も定められた、れっきとした「雑誌」である。
この雑誌「月刊日本橋」が創刊されたのは1979(昭和54)年4月のこと。以来変わらぬ判型とポリシーを守りながら、毎月約43,000部という部数で、連綿と版を重ね続けている。今回は有限会社月刊日本橋の代表であり、編集長としても活躍中の堺 美貴さんを訪ね、雑誌のこと、日本橋エリアの変遷などについて、お話を伺った。

月刊日本橋

――「月刊日本橋」とは、どのような媒体なのでしょうか?

堺さん:創刊したのは1979(昭和54)年の4月。2016(平成28)年で36年目になる月刊雑誌です。内容は、「日本橋の街に特化した話題」として、「江戸」や「東京」という切り口を中心に連載や街のネタをご紹介しています。「フリーペーパー」とは少し異なり、週刊誌や雑誌に近いような「タウン誌」という形で出版しています。

日本橋エリアの街並み

――「月刊日本橋」はどこで入手することができるのでしょうか?

堺さん:日本橋エリアにある約200軒のお店にご協賛をいただき、各店舗ごとに、毎月まとめて100~200冊購入して頂いておりまして、それをお客様に無料でお渡ししていただくという形で成り立っています。「月刊日本橋」の巻末にもご協賛いただいたお店の一覧を掲載しています。

一般の方から見れば「無料でもらえる雑誌」という認識だと思います。無料と言うとフリーペーパーのような薄手のものをイメージされる方が多いので、「月刊日本橋」をお渡しすると「あらこんなに立派なの!」と驚かれる方がとても多いですね。

有限会社月刊日本橋 代表 堺さん

――読者として想定している年代について教えてください。

堺さん:ファッション誌などは、明確にターゲットを想定していると思いますが、「月刊日本橋」は「タウン誌」なので、老若男女かかわらず、すべての年代の方々をターゲットにしています。というのも、内容が「温故知新」的なものも多いので、そのような話題を「面白いな」と思って下さる方は、年齢関係なく手に取ってくださいます。若くても、そのような話にインスピレーションを受けて下さる方もいるのが現状です。面白いものは、どの世代が読んでも面白い!なので敢えてターゲットを絞るならば、「全大人」でしょうか。その中でも、「街にいらっしゃる方」を特に意識していますね。お勤めの方や、遊びにいらっしゃる方が日本橋エリアのお店を利用されて、その時に受け取る、というイメージです。もちろん、内容は日本橋エリアに暮らしている方々にも喜んでいただけるようなものになっています。私たちとしても、「いろんな街の記録を遺す」ということを念頭に置いて作っています。これからもたくさんの方々に手に取っていただきたいですね。

毎月掲載される特集ページ

――内容は創刊初期と比べて変化しているのでしょうか?

堺さん:大まかな組み立て方については、創刊当初からほとんど変わっていません。巻頭には季節やその時の時事などに連動した「特集」のページがあり、次にエッセイなどの読み物があり、インタビューなどの取材記事も掲載しています。他にも、街のネタや季節のネタ、ギャラリーのスケジュールなども載せていますね。地元のネタばかりを集めた、1冊の雑誌として読んでもらえるものになっています。

昔ながらの店舗が並ぶ

――堺さんは長くこの雑誌に関わってこられていますが、特に印象に残っているエピソードについて教えてください。

堺さん:たくさんあるエピソードの中でも特に印象的だったのは、入社して間もない頃に、雑誌の協賛店でもあるお店に取材に伺うと、「いやいや、うちの店なんか後にして、あの店のほうが一生懸命やっているから、あっちを先に取材してよ」って言われたのは、とても驚きましたね。

日本橋エリアは、私が入社した30年前から、お店の直接的な宣伝というよりも、街全体のPRを大事に考えるような気運があります。「費用対効果」第一ではない街の姿は、入社当時から今も変わらず、「日本橋らしいところだな」と感じていますね。

今思うと、「自分のお店だけを良くしよう」と思うと、なかなか「月刊日本橋」に協賛して下さるのは、難しいと思います。そういう意味では、みなさんのご理解があってこそ、日本橋という地域だからこそ、この雑誌は今もなお出版し続けることができるのだと思います。

有限会社月刊日本橋 代表 堺さん

――堺さんご自身は、どういった思いを持って「月刊日本橋」に携われたのでしょうか?

堺さん:編集の仕事に携わるようになったのは、「編集の仕事をやりたいな」と思っていた大学4年生の就職活動の時期に、たまたま大学に来ていた弊社の求人募集を見つけたのがきっかけです。特に日本橋に思い入れがあったわけではないのですが、「編集の仕事ができるのであれば」と思い、採用試験を受けました。その後、日本橋エリアのネタを探したり、お店に取材するうちに、どんどん街の魅力に惹かれ、いつの間にかずっと「月刊日本橋」に携わっていました。

おしゃれなお店が並ぶ四之部エリア

――「日本橋四之部」(よんのぶ:馬喰町、横山町、東日本橋エリアの別称)は、堺さんから見てどのような街でしょうか?

堺さん:四之部については、私はとても先進的で、進取の精神に富んだ街だと思っています。

そもそも問屋街は歴史のある街なので、一般的なイメージは「古い街」という印象だと思います。けれど実は、新しいことにどんどんチャレンジされている街なんです。

たとえば、現在横山町一帯ではどこでもWi-Fiが繋がりますが、これも日本橋エリアの中で、横山町が“いの一番”に取り入れたものですし、ホームページなども、日本中どこの商店会も立ち上げていなかった頃から、いち早く立ち上げていらっしゃいました。そのようなことを先進的に取り組んでいらっしゃったからこそ、問屋街という古い形を残しながらも、今もなお生き残っていらっしゃるのかな、と思います。それは日本橋四之部連合町会長の岩田会長にお会いして、お話を伺うたびに、いつも感じますね。とてもエネルギッシュでパワフル。進取の精神に富んだ方ですから。

また、四之部エリアには、古い建物をリノベーションしたおしゃれな店舗やギャラリーといった専門店も増えてきています。こういった今までこの街に無かったようなお店が増えてくるというのも、日本橋エリアの新しい彩りになって、いい傾向だと思っています。古めかしい昭和の匂いがする問屋街と併せて、今風の新しくて楽しいお店も、両方味わえる。これも日本橋エリアならではですよね。

隅田川テラス(東日本橋周辺)

――四之部エリアの魅力とは何でしょうか?

隅田川も近くにあって穏やかな雰囲気がありますし、なんといっても都会の真ん中なので、とても便利だと思います。「東京」駅までは歩いていけるほどの距離ですし、箱崎の「東京シティエアターミナル」まで行けば、そこから空港行きのバスも出ています。都会のアクセスの良さは存分に享受できると思います。

ここに住んで子育てをしたいという方にとっても、日本橋エリアの公立小学校はどこも評判が良いので、安心してお子さんを預けられる環境があると思います。地域の方も学校にはとても思い入れを持っていて、子どもたちを大事にしてくれますし、子育て世代の方にもお薦めですよ。

横山町・馬喰町問屋街

――問屋街のイメージも強いエリアですが、一般の方にとってこの街の魅力は何でしょうか?

堺さん:確かに、問屋街は一般の人が入れない店も多いですが、何も買わずに、ただ散策をされても楽しい街だと思います。昭和の香りがするような古いビルも残っていますし、町の雰囲気も、問屋街の独特なものを感じていただけるかと思います。

コレド室町

――近年、四之部エリアではリノベーション店舗が増え、室町エリアでは大規模な再開発が進む中で「コレド室町」もオープンしました。街の様子もがらりと変わったのではないでしょうか?

堺さん:三越界隈では「コレド室町」ができてから、若い方々も増えましたし、特に休日の雰囲気は、がらりと変わりましたね。それまで土日の人通りは少なかったのですが、今は土日のほうがたくさんの人で賑わっています。東日本橋のエリアも、昔はそもそも「遊び」という要素は無かった街なので、そこに若い人の感覚で趣味的なお店ができたというのは大きな変化だと思いますし、年代にかかわらず、人を呼びこむきっかけになってきていると思います。

――今後、日本橋エリアはどう変わって行くと思いますか?

これからは2020(平成32)年の東京五輪に向けて、どんどん盛り上がっていくのではないでしょうか。

中央区は晴海に選手村ができるということもあり、特にオリンピックに近い感覚がある区です。「日本橋ルネッサンス委員会」という街づくりの会が、「2020年委員会」を立ち上げて活動を始めていますし、色々な場所で再開発が行われたり、新しいビルが造られていたりと、2020(平成32)年をひとつのランドマークにしながら、街が活気づいているというところです。

ただ、オリンピックで終わりというわけではなく、皆さんそれぞれ百年後を見通しての計画をしているので、将来に残っていく「未来の日本橋」のまちづくりが、まさに今、なされているということだと思います。

有限会社月刊日本橋

代表取締役 堺 美貴さん
URL:http://www.nihombashi.co.jp/
※この情報は2016(平成28)年2月時点のものです。

「月刊日本橋」の編集長に聞く!日本橋エリアの魅力とは/月刊日本橋 編集長 堺美貴さん
所在地:東京都中央区日本橋 
http://www.nihombashi.co.jp/

市川市生涯学習センター(メディアパーク市川) インタビュー

誰もが利用しやすい本当の意味で“バリアフリー化”された地域の居場所を目指して/中央図書館 館長 大里宗行さん


葛飾八幡宮境内にあった市立図書館本館の老朽化に伴い、1994(平成6)年11月に移転・新設された「市川市生涯学習センター(メディアパーク市川)」。80万冊の蔵書を扱う「中央図書館」をはじめ、「文学ミュージアム」「教育センター」「中央こども館」が揃う複合施設で、子どもからお年寄りまでみんなが過ごせる地域の居場所として親しまれています。今回は、「中央図書館」館長の大里宗行さんに「市川市生涯学習センター(メディアパーク市川)」の概要と特色、地域の魅力についてもお話を伺いました。

お話を伺った大里宗行館長

「中央図書館」「文学ミュージアム」「教育センター」「中央こども館」が揃う複合施設

市川市生涯学習センター外観

――まず、「市川市生涯学習センター」の施設の概要、特色について教えてください。

大里館長:「市川市生涯学習センター(以下、生涯学習センター)」は、「中央図書館」「文学ミュージアム」「教育センター」「中央こども館」の主に4つの施設からなる複合施設です。なかでもワンフロアで40万冊、書庫に40万冊の計80万冊を取り揃える「中央図書館」は、1994(平成6)年11月に開館した当時、全国的にも大規模かつ先進的な施設として注目を集めました。

80万冊を取り揃える「中央図書館
」

大規模商業施設の「ニッケルコルトンプラザ」や産業と科学技術に関する展示を行う「千葉県立現代産業科学館」とも隣接し、20数年経った今も全市域から利用者が訪れる市川市を代表する施設のひとつです。「生涯学習センター」の特色としては、その名称からもわかる通り、子どもからお年寄りまでみんなで過ごせる場所としての役割を担っています。

子育てファミリーにも嬉しい無料で利用できる充実した施設

――それぞれの施設の特色について簡単に教えてください。

大里館長:まず、「中央こども館」は18歳未満の児童とその保護者を対象としたいわゆる“児童館”です。1階はからだを動かして遊べる「プレイルーム」と中高生専用のフリースペース「come come coco(カムカムココ)」があり、「プレイルーム」では卓球が盛んに行われているようです。
また2階には「造形スタジオ」があり、粘土遊びや簡単な工作も楽しめます。部屋の中央にはひろびろとした「乳・幼児コーナー」もあり、ブロックや絵本、おままごとセットなども揃っていてすべて無料でご利用いただけます。

広々とした「乳・幼児コーナー」では子どもがのびのびと遊べる 「中央こども館」

「プレイルーム」には卓球台が備え付けられている 「中央こども館」

1階から2階へとつながる「アスレチックフォーリー」や2階奥にある「光のトンネル」も人気で、向かいの「ニッケルコルトンプラザ」で買い物した後に立ち寄る子育てファミリーも多くいらっしゃいます。また小さなお子さんのいらっしゃるご家族には「中央図書館」が運営する「こどもとしょかん」も身近な施設で、紙芝居や絵本を含め児童書およそ3万冊を揃えています。「えほんの会」や「おはなし会」などのイベントも定期的に開催しているため、気軽にご参加いただければと思います。

児童書もおよそ3万冊と、豊富に揃う 「こどもとしょかん」

一方、2階にある「文学ミュージアム」は、「文学」「映像」「地域活動」を柱とするあたらしいスタイルの文学館で、2013(平成25)年7月にオープンしました。市川市ゆかりの作家や作品を展示した見学無料の「通常展示フロア」をはじめ、「企画展示室」や「映像メディア編集室」、地下には「音楽スタジオ」も備えています。また最大260名まで収容可能な「グリーンスタジオ」は講演会や音楽会などで多目的に利用されるほか、46名まで利用できる「ベルホール」もあり、年代を問わずさまざまな用途でご利用いただいています。

あらゆる人が利用しやすい、みんなの“居場所”

――3階にある「教育センター」と「少年センター」とはどういった施設ですか?

大里館長:「生涯学習センター」には、「教育センター」と「少年センター」があるのも特色のひとつです。「教育センター」では、市内小・中・義務教育学校、特別支援学校の教職員の研修と、子どもや保護者さんからの教育相談を行っています。教育相談の内容は子育てに関することから不登校など学校生活に関することまで幅広く、教育に関する経験と見識を併せ持つ相談員や臨床心理士が常駐しています。

工作コーナー 「中央こども館」

一般的に教育相談というと人目につかない場所にあって、そこに行く保護者さんも少なからず心理的な負担を感じざるを得ない状況に置かれているといったイメージですが、「中央図書館」や「こども館」のような一般の公共施設と一緒にあることで、気持ちの負担も少なくより気軽に相談に訪れていただける場所になっています。子どもに対しても「教育相談に行こう」と言うよりも、「生涯学習センターに行こう」と言ったほうが、気持ちも楽ですよね。
もう一つの「少年センター」では、市内の少年が非行に走らず明るく正しく育つように、街頭補導や少年相談を行っています。

図書館の床には点字ブロックが整備されている 「中央図書館」

また今後は、子どもたちが「中央図書館」に来てみずから勉強をしたり「こども館」でスポーツや活動に参加したり、ひとつの“居場所”として機能することにも期待が集まっています。「中央図書館」も本を貸し出すだけの従来の図書館ではなく、高齢者や障がい者など社会的弱者と呼ばれる人をも含めたあらゆる人が利用しやすい“セーフティーネット”としての役割を担うことが求められています。
それは図書館の“バリアフリー化”とも呼べるもので、段差の解消や点字、音声などによる案内などこれまでのバリアフリーをより広義に捉えたもので、あらゆる人にとって訪れやすい環境づくり、雰囲気づくりに取り組んでいます。

利用者のニーズに応えられる複合施設ならではの充実したサービス

――複合施設としてのメリットは? また今後どのような施設として運営されていくのかお聞かせください。

大里館長:「生涯学習センター」はもともと“よむ” “きく” “まなぶ” “あそぶ”をひとつの施設で可能にしたあたらしいタイプの生涯学習センターとして誕生し、それぞれの施設が独自性を発揮すると同時に、複合施設としてのメリットを最大限生かすところに特色があります。

こどもとしょかん

たとえば、「文学ミュージアム」にある「企画展示室」の内容に応じて、「中央図書館」の特集展示コーナーに関連図書を並べたり、「こどもとしょかん」と関連づけることも可能です。また大型書店で無ければなかなか手に入らない専門的な書籍もあるため、「教育センター」で相談を受けた後にその場で調べることも可能です。
万が一「中央図書館」に蔵書が無い場合でも、5館1室ある市内の他の図書館のほか、県立図書館や国立国会図書館のデータベース検索もできるため、本を取り寄せたり、関連図書の情報を得られたりと利用する方のさまざまなニーズに応えられるのが複合施設ならではの魅力だと思います。

文学ミュージアム

2015(平成27)年度に実施した利用者アンケートでは、図書館を利用しての「総合的な満足度」は96.1%にのぼる高い満足度が示され、今後も利用者の方のニーズに応えられる充実したサービスを提供していきたいと思います。

また今後の取り組みとしては、先ほども触れたあらゆる人が訪れやすい“バリアフリー化”を進めていくことと、中高生をはじめ若い層の人たちも利用しやすいイベントや企画を実施していきます。具体的な取り組みとしては、「中央図書館」の奥に「Young Adult Room」という部屋があり、中学生、高校生専用のスペースを設けています。個人もしくはグループでPOPを作ったり、手づくり絵本を制作したり、写真を撮って掲示したり、さまざまな取り組みを展開しています。

あらゆる人が訪れやすい環境づくりに取り組んでいる 「Young Adult Room」

「Young Adult Room」の前には、十進分類法による図書分類ではない「Young Adult コーナー」や、別のコーナーには「暮らし」という分類で家庭の医学から手芸、料理など、利用者目線で配架を工夫することにも取り組んでいます。

公共施設と商業施設が一ヵ所に集まる地域ならではの楽しさ

――最後に、本八幡、下総中山エリアの地域の魅力についてお聞かせください。

大里館長:市川市は公立学校の数をはじめ、「千葉商科大学」や「和洋女子大学」、「東京医科歯科大学」など大学も多く、“文教都市”としての特徴を持っています。東京のベッドタウンとして発展した「本八幡」駅、「下総中山」駅周辺も都心部にアクセスの良い落ち着いた住宅地が広がっています。

下総中山駅

また公共施設が一ヵ所に集まる「生涯学習センター」があるのもこの地域ならではのポイントで、「ニッケルコルトンプラザ」での買い物と合わせて立ち寄れる気軽さが何よりの魅力だと思います。
毎年10月には「生涯学習センター」と「千葉県立現代産業科学館」、「ニッケコルトンプラザ」の“さんしゃ”が力を合わせて開催する「さんしゃ祭」というイベントもあり、からだを動かしたり、見て触れて学べるアトラクションがあったりと、この地域ならではの特色あるイベントも行われます。

ニッケコルトンプラザ

「中央図書館」では本を貸し出すだけの従来の図書館のあり方ではなく、実用的な本から専門的な本まで利用する方のニーズに応えた図書サービスを展開し、誰もが利用しやすいより開かれた図書館として地域に愛される居場所づくりを進めて参りますので、気軽にお立ち寄りください。

市川市生涯学習センター

今回、お話を伺った人

市川市教育委員会 生涯学習部 中央図書館 館長 大里宗行さん
所在地 :千葉県市川市鬼高1−1−4
TEL :047-320-3333(自動応答) 、047-320-3346(直通)
URL:http://www.city.ichikawa.lg.jp/edu13/1111000021.html
※この情報は2016(平成28)年5月時点のものです。

誰もが利用しやすい本当の意味で“バリアフリー化”された地域の居場所を目指して/中央図書館 館長 大里宗行さん
所在地:千葉県市川市鬼高1-1-4 
電話番号:047-320-3333(中央図書館)、047-320-3337(中央こども館)、047-320-3334(文学ミュージアム)、047-320-3336(教育センター)
開館時間:10:00~19:30(土・日曜日、祝日10:00~18:00)
休館日:月曜日(祝日の場合は翌日)、館内整理日(毎月最終平日)、年末年始
※施設により利用時間、休館日の設定あり
https://www.city.ichikawa.lg.jp/edu13/11..

富士山を眺められる小学校

緑豊かな環境で学力も心も豊かに/「川崎市立富士見台小学校」 井部良一校長先生


東急田園都市線「宮前平」駅近くの高台に建つ「川崎市立富士見台小学校」は、その名の通り、富士山が望める眺望のよい場所にあり、校内の緑が豊かで学習環境に恵まれている。この小学校は、子どもたちの学習態度がよいことでも知られ、実際に学力が高いという。校長を務める井部 良一先生に学校の特徴や教育についてお話を伺った。

大規模校ながら施設にゆとりがあり、校内の緑も豊富

「川崎市立富士見台小学校」

――学校の概要を教えてください。

本校は創立46周年目を迎えています。本校周辺では、「宮崎小学校」が140周年を迎えるなどいちばん古い小学校なのですが、1972(昭和47)年に「宮崎小学校」から分かれて本校が開校しました。昭和50年代にはこの地域の人口が急増したことから、本校からさらに「宮崎台小学校」や「平小学校」、「鷺沼小学校」、「宮前平小学校」が新設分離しています。その後しばらく児童数は落ち着いていたのですが、2001(平成13)年頃から再び増加しはじめたため、2006(平成18)年に「土橋小学校」が新設されています。

昭和60年代には約1500名の子どもが通う日本一の大規模校だったそうですが、2018(平成30)年1月1日現在の児童数は1003名で、33学級(普通級29、特別支援級4)あります。それでも川崎市内では大規模校といえます。

休憩時間には子どもたちの笑い声がひびく廊下

――大規模校ならではのメリットはどんなところでしょうか。

子どもたちが多いので学校にいつも活気がありますし、友達がたくさんできることは大規模校ならではのメリットだと思います。また、本校は1500人規模を想定して学校の設備が造られていますので、体育館も中学校並みの大きさがあり、グラウンドも大きくなっています。「土橋小学校」新設以降は新校舎の普通教室を使わずに済むようになりましたし、ある程度のゆとりがあることも魅力です。

インタビューに答えてくださった井部校長先生

――校内の緑が豊かですね。

西門の前にある池は「すいすいランド」と呼ばれていて、2012(平成24)年に40周年記念行事として造られました。この池の周囲は、本校の学区のひとつ、土橋が竹の里といわれていることにちなんで、竹林になっています。校庭の周囲にも木が植えられていますし、校内全体に緑が多く、心が落ち着くことが本校の特徴です。「すいすいランド」の池には鯉がいて、子どもたちが世話をしています。休み時間には子どもたちの遊び場にもなっており、豊かな自然が感じられます。

「すいすいランド」の竹林

過去に帰国子女受入推進地域センターだった経験が、転入生が溶け込みやすい雰囲気をつくった

――帰国子女を受け入れていたそうですね。

本校周辺は、海外赴任が多い企業の社宅が多いという土地柄があり、1985(昭和60)年から2000(平成12)年まで文部省の「帰国子女受入推進地域センター」になっていました。また、2002(平成14)年以降も文部科学省の国際化推進地域センター校に指定されるなど、国際化に関する取り組みを続けていました。

「たんぽぽ会」による世界の国々を知るための展示コーナー

近年は川崎市内の他の小学校でも帰国子女の受け入れ態勢が充実したため、現在は本校で特別な帰国子女向けの取り組みはしていません。それでも、本校には「たんぽぽ会」と呼ばれる帰国子女の保護者の会があり、ランドセルの貸し出しなどのサポートを行っています。海外の日本人のネットワークの中では、「富士見台小学校」の名がよく出ているようです。実際、2015(平成27)年度の実績で約150人とほかの学校に比べて多くの帰国子女が通学しています。

――帰国子女が多いことで、何かメリットがありますか。

4年生では世界の国について学びますが、「たんぽぽ会」の方が赴任していた国について解説してくださることがあり、子どもたちが海外を身近に感じられることは帰国子女が多い本校ならではのメリットでしょう。本校の子どもたちは、いろいろな国の文化に接する機会が多いことから、広い心をもち、転入生を特別視していないことも特徴です。海外に限らず、国内からの転入生でもすぐに受け入れられ、比較的早くクラスになじんでいるようです。

学力だけでなく、心豊かな子どもを目指す

子どもたちの学習態度もよいという

――日々の教育でどのようなことを意識していますか。

本校の学区は教育に対する意識が高い方々が多いです。私立中学に進学する児童も多くいます。本校では子どもたちひとりひとりに十分な学力を身に付けてもらえるように意識しています。先生方はICTを使ってわかりやすい授業を行うようにしています。学校はみんなで協力して学ぶことも重要な要素ですので、学力の定着だけでなく、子どもたち同士で教え合う経験をたくさん作ることを意識して指導しています。

――体験学習が多いと聞きました。

本校の教育では豊かな心を育てることも重視しています。そのために実際に体験して、心で感じる機会を増やしたいと思っています。 とくに本校の周辺は農地が残っているので、ブドウ園を見学したり、サツマイモ植えをしたり、田植えをしたり、地域の特徴を体感できる授業を積極的に行っています。

行事やクラブ活動も多彩

――どのようなクラブ活動があるのでしょうか。

クラブ活動は授業時間内に行われていますが、学校側が用意するクラブだけでなく、子どもたちがやりたい活動について提案できる仕組みを導入しています。子どもたちが、興味がある活動についてプレゼンテーションを行い、一定の人数の賛同が得られれば、クラブ活動として成立します。子どもたちからはやりたいことができると好評です。本校では、5年生の総合授業で、自主的に「すいすいランド」の横の斜面に花を植える活動を行うなど、子どもたちが提案して行われる活動が多いことも特徴です。

子どもたちが提案して成立したクラブ活動もあるという

――特徴的な行事はありますか。

毎年秋に、PTAが主催となって「ドキドキスタジアム」という行事が開かれます。これは、PTAの方々のご協力で石鹸作りなどワークショップができるコーナーを用意し、子どもたちは自由にコーナーを回っていきます。毎年、子どもたちが楽しみにしている行事です。運動会は「スポーツフェスティバル」という名前で開かれますが、保護者を入れれば3,000人もの人が参加しますので、毎年大いににぎわいます。

広い校庭は地域のスポーツ教室にも使われる

――学校施設を使った活動も多いそうですね。

川崎市で寺子屋という取り組みが各区で数校の小学校を会場に行われているのですが、宮前区では本校でも行われています。「寺子屋富士見っ子」と名付けられ、毎週水曜日に地域の方に来ていただいて、勉強を教えてもらったり、イベントをやったり、多彩な活動が行われています。また、学校の施設を開放して地域の野球やサッカーチームの練習が行われています。

穏やかな環境にあたたかな人が暮らす街

――どんな子どもが多いですか。

本校は素直で明るい子どもが多いのです。私は毎朝、校門に立って、子どもたちにあいさつしていますが、みんなフレンドリーでよく話しかけてくれるので、私の楽しみな時間になっています。

――地域の方々の学校に対する協力はいかがでしょうか。

川崎市では珍しいのですが、本校では伝統的に朝の集団登校が行われています。この時、グループ毎に校外委員の方がいっしょに通学してくれますし、道で見守りをしてくれる地域の方もいらっしゃいます。こうした皆様のご協力もあり、本校では交通事故がほとんどありません。昔遊びを体験する授業にも地域の老人会の方が来てくださいますし、地域の方々に見守られていることをいつも感じています。

校門周辺も緑が豊か

――宮前平エリアの魅力を教えてください。

地域の人々のつながりが強く、活気を感じますね。盆踊りが行われるとたくさんの人が集まり、中学生や高校生もやぐらで踊っています。また、本校周辺には多彩なご経験をお持ちの方が多く暮らしていて、文化的にも造詣が深い方が多いのです。地域の方々にお話を伺うと、その度に多くの学びがあります。「宮前区役所」の北側にはまだ畑もありますし、緑豊かで落ち着いた生活環境に恵まれています。教育に対する意識も高く、子どもが学ぶにはよい街でしょう。穏やかな環境で、温かな人が暮らしていることが魅力だと感じます。

川崎市立富士見台小学校

川崎市立富士見台小学校

校長 井部 良一先生
所在地 : 川崎市宮前区宮前平2-18-3
TEL : 044-888-0189
URL : http://www.keins.city.kawasaki.jp/2/ke207601/index.html

※2018年1月次点の情報です。記載している情報については、今後変わる場合がございます。

緑豊かな環境で学力も心も豊かに/「川崎市立富士見台小学校」 井部良一校長先生
所在地:神奈川県川崎市宮前区宮前平2-18-3 
電話番号:044-888-0189
http://www.keins.city.kawasaki.jp/school..

地区計画により、住みよい街へと変化する昭島市/昭島市都市計画課 担当者さま


昭島市と立川市の約5.6ヘクタールもの広大な面積を対象とする「西武立川駅南口地区地区計画」。該当地区の北側には西武鉄道拝島線があり、一方の南側には玉川上水がある。都心への優れたアクセス性と「国営昭和記念公園」などの豊かな自然環境を有するこの区域が、周辺地区との調和を図りながらさらに魅力をまとおうとしている。その変わりゆく街について昭島市都市計画課担当者に伺った。

昭島市役所

開発によって高められる「西武立川」駅前

2012(平成24)年9月に当初策定した「西武立川駅南口地区地区計画」だが、昭島市と立川市の優れた住環境の維持・形成を図りながら、2015(平成27)年12月に地区整備計画区域を拡張する都市計画変更をした運びである。。西武拝島線の「西武立川」駅周辺の商業機能を促進するだけでなく、駅前広場、また補助幹線道路などを整備することで、これまで以上の利便性と優れた住環境を追求した計画となっている。

この計画では地区を3つにわけており、それぞれの特色や方針がある。まず1つ目の「駅前商業地区」は、生活関連サービス施設や商業施設のほかに、駅前にあることで利便性の向上を図れる機能を持たせる。2つ目の「住宅地区」については、周辺の自然環境と調和することを前提として落ち着いた住環境の形成を図り、3つ目の「玉川上水北側地区」に関しては、玉川上水と調和する市街地の形成を目指す。

「西武立川」駅のロータリー

わかりやすい「道路」「公園・緑地」「公開空地」の整備方針

「道路の整備方針」は利便性を有する地区の形成を目的とし、駅前広場を整備することで公共交通を充実、さらには補助幹線道路の整備によって区域内外との円滑な交通ネットワークを築く。続いて「公園の整備方針」。“地域住民に親しまれる”をテーマに、街の中での緑に連続性を持たせながら公園を配置することとしている。最後に「公共空地の整備方針」は、先の連続性のある環境緑地を配置し、「西武立川」駅周辺には歩行者に配慮した歩道状空地を設ける。

土地利用の方針(西武立川駅南口地区に関する 都市計画素案説明会資料より)昭島市は東京都が策定した「玉川上水景観基本軸」に基づきルールを設けている。「玉川上水景観基本軸」とは玉川上水の中心から両側それぞれ100メートルの地域を対象に定めたものであり、玉川上水の歴史、周囲の自然環境、そして昔から続く武蔵野の面影を後世に伝えることを目的としている。他市町村でも取り入れられている、マンセル・カラー・システムを採用して色相・明度・彩度に関する一定のルールを設けること、建築物は原色を避け、周辺の景観と調和する落ち着きのある色調で景観を維持している。また、建物の高さは15メートル以内とし、原則として屋上への屋外広告物の設置は認められていない。

豊かな緑が魅力な街、昭島

開発によって変化していく昭島市

昭島市の開発は、「西武立川駅南口地区地区計画」だけでなく「立川基地跡地昭島地区土地区画整理事業」もある。JR青梅線の「東中神」駅北側に位置する米軍基地跡地において、国・都・市・民間が機能や業務・商業機能等の導入を図り、緑豊かなまちづくりを実現するための計画である。この両計画が完成すれば、昭島市全体の利便性が高まるだけでなく、街そのものの魅力もさらに大きくなるだろう。

昭島市役所 都市計画部都市計画課 都市計画係担当者
所在地 :東京都昭島市田中町1-17-1
TEL :042-544-5111
URL:http://www.city.akishima.lg.jp/
※この情報は2016(平成28)年9月時点のものです。

充実した設備と手厚い指導が都内で受けられる「昭和の森ゴルフアカデミー」/支配人 岡部実さん・マネージャー 大森學さん


東京都の西部多摩地域に位置する昭島市。西武拝島線、JR青梅線が走り通勤に便利なことから都内に勤める人も多い地域だが、奥多摩にも近く多摩の豊かな自然に触れることもできる都会と自然が共存する街である。西武拝島線「西武立川」駅南側にひろがる「昭和の森」内にある「昭和の森ゴルフアカデミー」は、本格的ゴルフコースでゴルフを気軽に学べるとあって、近隣住民をはじめ全国から多くの受講者が訪れる人気ゴルフスクールだ。同施設を訪れ、支配人の岡部実さんとマネージャーの大森學さんに話を伺い、同アカデミーの魅力や地域との関わりについて語っていただいた。

都内にあるパブリックコースとしての強み

都内とは思えない開放的なコース

――「昭和の森ゴルフアカデミー」について教えてください。

岡部支配人:「昭和の森ゴルフコース」は、元々米軍接収施設の飛行場が返還されたことにより、そこにパブリックゴルフ場を開設したのが始まりです。当ゴルフコースは、会員制ではなくどなたでも利用できるパブリックなゴルフ場ですが、18ホールを備えた本格的なコースです。コースはフラットで距離が短いので、初心者やシニアの方、女性にも喜ばれる作りになっています。また、9ホールで楽しむことができる「早朝ゴルフ」や「アフタヌーンゴルフ」もありまして、多くの人が気軽に楽しめるゴルフ場です。

支配人の岡部実さん

コースに併設されるスクール「昭和の森ゴルフアカデミー」は2002(平成14)年に設立しました。今でこそゴルフは国民的なスポーツとして多くの人に親しまれるようになってきましたが、まだまだ“格式が高いスポーツ”と思われている方も多く、ゴルフ業界全体としても問題です。「ゴルフには興味があるが、何から始めたら良いのかわからない」という人たちに対して、ゴルフをもっと気軽に、そして好きになっていただきたいと思っています。そこで私たちは練習場、教室、コースが一体となりレッスンが受けやすく、コースプレイが可能で、技術が身につきやすいスクールになるよう、スタッフ一丸となって運営しています。当アカデミーは、都内にあり各方面から、そして西武拝島線「西武立川」駅からアクセスが良いです。何より本格的なゴルフコースを気軽に経験できることもあり、昭島市、立川市などの近隣の方が多く、今では年間40万人の方にご利用頂いております。

広々とした練習場はプログラム以外でも使用可能

――初心者やジュニアにも優しいプログラムがあるとお聞きしました。

大森さん:アカデミー所属の講師は、全員「日本プロゴルフ協会」「日本女子プロゴルフ協会」の認定を受けたプロです。グループレッスンや個人レッスンなどお客様のレベルに合わせたレッスンを選ぶことができます。

「大人向けのスクール」は、コースデビューを目指す初心者の方からスコアメイクを目指す中上級者の方まで、どなたでも受講することができます。「スクールレッスン」は、打席レッスンを中心にバンカー、パターなど、さまざまなレッスンプログラムを行っているのが特長で全8回、1クラス14名定員、1回90分のグループレッスンとなります。

「パーソナルレッスン」は、ゴルフクラブを初めて使う方からシングルプレーヤーの方までを担当プロが皆様の技術向上のため、様々なレッスンを1回30分のマンツーマンレッスンです。希望で「PCスイング分析」「アプローチレッスン」なども受講可能です。

充実した環境で受ける丁寧な指導

「サークルレッスン」は、仲間同士で楽しく一緒にレッスンを受けたい方や集中してレッスンを受けたい方にお勧めの全4回、1クラス3名、1回60分の少人数制レッスンになります。

「コースレッスン」は、コースデビューを目指す初心者の方やコースでの実践練習を行いたい方に人気です。「昭和の森ゴルフコース」で実力に応じて3ホール、9ホール、18ホールのコースレッスンをしているので、気軽に受講できると思いますよ。

ゴルフクラブの無料貸し出しを行っていますので、ゴルフを全く知らない初心者の方でも大歓迎です!気軽に問い合わせていただきたいですね。当アカデミーの受講者は若い方からシニア世代の方まで様々です。また、半分近くの受講生が女性というのも特長です。どんな方でも楽しくゴルフを学べるように努めています。

マネージャーの大森學さん

また「ジュニアスクール」では、「お子さま一人ひとりの身体的特徴と個性を重視し、ゴルフにおけるルールやマナーを守り、人を頼らず楽しくプレーできること」を基本方針として指導させていただいています。指導目標は、年に一回開催される「昭和の森ジュニアカップ・ゴルフトーナメント」に参加することです。ジュニアのゴルフレッスンには、「ジュニアスクール」と「ジュニア上級クラス」の2クラスがあります。全8回で週1回60分のグループレッスンとなっています。

夜遅くまで営業しているので仕事帰りに立ち寄れる

「ジュニア上級クラス」は、当アカデミー独自の判定基準A級以上のジュニアを対象の選手育成クラスになります。大会出場でより良い成績をおさめることを目標に頑張っています。石川遼選手や宮里藍選手などスター選手が活躍するようになってから、当アカデミーへのジュニアの問い合わせも増えましたね。「昭和の森ジュニアカップ・ゴルフトーナメント」は、第一線で活躍しているプロ選手も多く経験している大会ですので、ここから一人でも多くのジュニア選手がプロの世界に巣立っていってくれれば嬉しいですね。

ジュニアからシニアまで、幅広い年代が通うスクール

――「昭和の森ゴルフアカデミー」はたくさんの施設が隣接していますね。

岡部支配人:昭島「昭和の森」は「豊かな自然環境との調和」「地域にやさしい快適な街づくり」をテーマに開発されたんです。当ゴルフコース、アカデミーの他、テニススクール、スイミングスクールなどのスポーツ施設、ショッピングセンター「モリタウン」、レストランやホテルなどがあり連日多くの人で賑わっています。例えば、お父さんとお子さんは家族でゴルフ、お母さんはショッピング、帰りは家族みんなで食事や温泉、など家族で一日中楽しめる豊富なお店や施設があるのが魅力ですよ。

西武立川の魅力を語ってくださるお二人

――地域の方との交流イベントも多いそうですね。

大森さん:年1回当ゴルフコースを貸し切って昭島市、立川市、東大和市、武蔵村山市の地域の子どもたちを対象にした「スナッグゴルフ大会」を開催しています。「スナッグゴルフ」とは、プラスチック製のクラブと柔らかいボールを使用するゴルフで、年齢や経験を問わず安全に楽しめるスポーツで大変人気なんです。昭島の自然に囲まれた広大な本格コースでプレイできることもあり、子ども達は楽しんでいますね。毎年夏休みに開催するのですが、暑い暑いと言いながら夢中でコースを駆け回っていますよ(笑)。その他、「昭島市民ゴルフ大会」という大会で当コースを使って頂いたり、企業や住民のコンペ等にも幅広く利用して頂いています。パブリックコースだからこそできる利用方法ですね。地域に開かれたゴルフコース、ゴルフアカデミーとして、今後も地域の方々と連携して運営をしていきたいと思います。

初心者でも上級者でも楽しめるゴルフコース

――最後に西武立川の魅力を教えてください。

岡部支配人:西武立川は奥多摩地域が近く自然が多い環境ですが、駅周辺は宅地化が進んでいたり「昭和の森」があったり、住む人が生活しやすい街にどんどん発展しているのが魅力です。都会の良さと田舎の良さがうまく融合した優しい街ではないでしょうか。ショッピングセンターやホテルもあり便利ですし、大変住みやすいですね。
駅からも歩いて来ることができる都内の本格ゴルフ場「昭和の森ゴルフコース」では、初心者の方からベテランの方まで気軽にゴルフを楽しむことができます。是非ご利用ください!よろしくお願いします。

大森さん:私もやはり生活環境が良いのが魅力だと思います。都心からのアクセスは良好ですし、ショッピングやスポーツなどが楽しめる便利な施設がどんどんできていて街の活気が感じられる場所ではないでしょうか。子育て世代には、スポーツ施設や保育園が充実していますし、シニア世代には遠くに行かなくてもショッピングなど様々なことが楽しめるなど、コンパクトな街づくりが住む人にとって便利なとても考えられた街だと思います。緑が多く住みやすい良いところですし、是非お越しください!お待ちしています。

昭和の森ゴルフアカデミー

昭和の森ゴルフアカデミー

(左)支配人 岡部実さん
(右)マネージャー 大森學さん
所在地 :東京都昭島市つつじが丘1-1-7
TEL :042-543-5530
URL: http://www.smgc.co.jp/academy/
※この情報は2016(平成28)年9月時点のものです。

充実した設備と手厚い指導が都内で受けられる「昭和の森ゴルフアカデミー」/支配人 岡部実さん・マネージャー 大森學さん
所在地:東京都昭島市つつじが丘1-1-7 
電話番号:042-543-5530
営業時間:平日・祝日 10:30~22:00 土曜日 8:00~21:00 日曜日 8:00~20:00
早朝営業時間:6:30~10:00(土・日曜日は~8:00)※月曜日は休み

http://www.smgc.co.jp/academy/

320余年続く老舗の味 正岡子規も愛した豆富料理の名店/根ぎし 笹乃雪 11代目店主 奥村喜一郎さん


根ぎし 笹乃雪
11代目店主 奥村喜一郎さん

320余年続く老舗の味
正岡子規も愛した豆富料理の名店

創業320余年を迎える老舗の豆富料理店「根ぎし 笹乃雪(ささのゆき)」。根岸の地で晩年を過ごした正岡子規をはじめ、文人や花柳界、政治家など、著名人にも親しまれてきた豆富の味は、当時と変わらぬ製法と数百年を経てたどり着いた武蔵野の地下水により、新しい世代へと受け継がれている。
今回は11代目店主として「笹乃雪」の伝統を守り続ける奥村喜一郎さんに、お店の歴史と、多くの人々を魅了し続ける豆富の味やお店の在り方へのこだわり、そして根岸の街の魅力についてもお話を伺った。

お店の歴史と根岸の地を選ばれた経緯を教えてください。

根ぎし 笹乃雪 インタビュー

今を遡ること320余年前、初代当主の玉屋忠兵衛(たまやちゅうべえ)が、生まれ育った京都で口当たり滑らかな“絹ごし豆富”を発明したといわれています。京都の一部で評判を集めて、その豆富を口にされた上野の宮様(第111代後西天皇の親王)が、京都から江戸に移る際に“何か新しいものを持っていきたい”ということで、忠兵衛をお供させ、1691(元禄4)年に根岸で豆富茶屋を開いたのが当店のはじまりとされています。それから今日まで、ずっとこの場所でお店を続けています。

笹乃雪

根岸を選んだ理由としては、豆富づくりにおいて欠かすことのできない“きれいな水”があったからです。当時根岸は別名「呉竹(くれたけ)の里」(豊富な水を必要とする竹も生えるような恵まれた環境だった)とも呼ばれ、水のきれいな場所として知られていました。

屋号の「笹乃雪」とは、当店の豆富をこよなく好まれた宮様が「笹の上に積もりし雪の如き美しさよ」と賞賛されたことから名付けられたといわれています。

当時は美味しい食べ物と言っても限りがあり、当店で江戸の生醤油と合わせた「あんかけ豆富」を出すと、またたく間に評判となったようです。また近くには寺社も多かったため、商売の機会にも恵まれていたようです。

店内には多くの書や絵画が飾ってありますが、どのような方が書いたものでしょうか。

根ぎし 笹乃雪

当店から徒歩2分の場所に正岡子規の執筆の拠点であり終焉の地となった「子規庵」があるのですが、正岡子規とは特にご縁が深く「笹乃雪」を題にした句がいくつも詠まれています。

 

たとえば、次のような句を書いています。
「叔父の欧羅巴へ赴かるるに笹乃雪を贈り 春惜むや日本の豆富汁」(明治35年)

これは、子規の叔父がヨーロッパに旅立つ際、手土産として「笹乃雪」の豆富を届けたことを詠んだ句です。子規にとっては日常的な豆富ではなく、高級だからこその逸品と言う認識が強く、大切な叔父への贈り物であったり、新聞社の社長に連れられてご馳走になったりと、とっておきの食事として捉えていたようです。店の外には正岡子規が当店を題にして詠んだ句の句碑が設けられているので、ご来店の際にはぜひご覧ください。

根ぎし 笹乃雪

その他にも店内には根岸ゆかりの文人や画家、書家の作品などを展示をはじめ、絵師や落語協会の集まりにも使って頂いていたようで、絵師の作品なども飾ってあります。また、有栖川宮熾仁親王の直筆の書や、昔使っていた豆富屋のラッパや5つ玉のそろばんなど、歴史を偲ぶ道具や古民具も残っています。

老舗の味と聞くと、それだけで身構えてしまいそうですが、実際にはどのような客層の方が多いのでしょうか。

根ぎし 笹乃雪

親から子、孫の代へと何世代にもわたってご来店いただいている常連のお客様ももちろんいらっしゃいますが、昨今の和食ブームや健康志向と相まって、ヘルシーな豆富料理を求める方が多くなっているようで、最近は20代や30代の女性のお客様や、外国人観光客の方も多くお出でになります。

根ぎし 笹乃雪

また、当店には個室もあるため小さなお子様を連れたご家族も多くいらっしゃいます。地下約80メートルから汲み、100~200年もの時を経て辿り着くピュアな武蔵野の水でつくる昔ながらの豆富の味は、赤ちゃんでも安心して食べさせられるとご好評をいただいております。

個室の利用に際しては事前のご予約をお願いしており、1・2階のテーブル席の相席もご来店の1時間ほど前にご連絡をいただければ、準備をしてお待ちいたしております。

本日ご用意いただいた「朝顔御前」についてご紹介いただけますでしょうか。

根ぎし 笹乃雪

「朝顔御前」は、生盛膾(いけもりなます)、冷奴、あんかけ豆富(2椀)、胡麻豆富、絹揚(揚げ豆富)、雲水(豆乳スープ)、うずみ豆富(豆富茶漬け)、デザートのコースとしてご提供しております。

根ぎし 笹乃雪

「生盛膾」は、まず、ツマだけを残してそれ以外の具材をすべて白酢あえにします。ツマは食べ終えた後にお皿をきれいにするための禅の作法として用いるもので、若い方はぜひ試してみてください。

根ぎし 笹乃雪

また「あんかけ豆富」が2碗ある理由をよく尋ねられることがありますが、これは上野の宮様があまりの美味しさに「これからはふたつ出すように」とおっしゃったため、それ以後2碗1組が習わしとなったことが由来とされています。食べ方としてはからしを餡にとき、豆富をタテヨコ十字に切り分けたうえで餡と一緒に豆富をすすります。

根ぎし 笹乃雪

「雲水」や「うずみ豆富(豆富茶漬け)」を召し上がっていただいてもお気づきになるかと思いますが、余計な味付けをしなくとも豆富そのものにしっかりとした味わいがあります。素直に「美味しい」と感じられる味こそが“庶民に愛される味”であり、「笹乃雪」が320余年もの間つないだ“老舗の味”でもあると思います。

最後に、地元根岸のまちの魅力について、また今後のお店の展望などについてお話をお聞かせください。

根岸の魅力と言えば、隠れた名店が多いということでしょうか。「笹乃雪」もそうですが、良心的で良質なお店が多くあると思います。
また、“根岸らしい”雰囲気の街並みが残っているのも魅力で、正岡子規の旧居跡の「子規庵」や初代・林家三平の功績や所縁ある品々を展示した資料館「ねぎし三平堂」、画家の中村不折(夏目漱石「吾輩は猫である」の挿絵画家として知られている)のコレクションを集めた「書道博物館」など、歴史や文化を感じることができる施設も点在しているので、のんびり散策してみてはいかがでしょうか。

当店と同じく根岸にあり、親交のある「子規庵」、「竹隆庵岡埜」、「花ふじ」のご主人たちとともに「根岸の里青年団」という集まりを結成したのですが、根岸にはお土産と呼べるものが無いという話になり、「子規の庵のぼうる」(税込500円)というお菓子を2012(平成24)年に共同で開発しました。当店でもお買い求めいただけるので、ぜひ一度ご賞味ください。

お店としての展望は、欲を出さずに“次の世代につないでいくこと”こそが使命だと感じています。食というのも“命”をつないでいくことでもありますし、当店のような老舗の役割としてはそれを守っていくことだと考えております。

根ぎし 笹乃雪

今回、話を聞いた人

根ぎし 笹乃雪

11代目店主 奥村喜一郎さん

住所:東京都台東区根岸2-15-10
電話番号:03-3873-1145
http://www.sasanoyuki.com/

※2015(平成27)年2月に実施した取材に基づいた記事です。
内容については今後変更される場合がございます。

320余年続く老舗の味 正岡子規も愛した豆富料理の名店/根ぎし 笹乃雪 11代目店主 奥村喜一郎さん
所在地:東京都台東区根岸2-15-10 
電話番号:03-3873-1145
営業時間:11:30~20:00(L.O.)
定休日:月曜日(祝日の場合は火曜日)
http://www.sasanoyuki.com/

楽しい遊びを通じて、子育ての不安も解消!地域の親子の輪が広がる「すくすく広場」/たいとうこども園「すくすく広場」 保育士 松山俊介先生


たいとうこども園「すくすく広場」
松山俊介先生

楽しい遊びを通じて、子育ての不安も解消!
地域の親子の輪が広がる「すくすく広場」

台東区内で3箇所ある「こども園」のひとつ、「たいとうこども園」で開催されている台東区の子育て支援サービス「すくすく広場」。“であう・つながる・ひろがる”の3つを合言葉に、子育てに関する情報交換や、不安・心配ごとなどの相談、親同士の交流なども気軽にできる場所として、近隣に住む家族には頼りになる存在だ。今回は、保育士として「すくすく広場」の企画・運営の中心的な役割を担っている松山先生に、詳しい活動の内容や周辺エリアの子育て環境について話を伺った。

「すくすく広場」とはどのような施設なのでしょうか。

たいとうこども園

「すくすく広場」とは、2014(平成26)年5月から「たいとうこども園」で開催されている、0歳~未就園児の子どもがいるファミリーを対象にした子育て支援サービスです。
運営は東京都内に9つの保育施設を運営している「社会福祉法人 東京児童協会」が台東区から委託を受け実施しています。私も含め保育施設で経験を積んできた頼りになるスタッフが揃っていますので、安心して遊びに来てください。

たいとうこども園「すくすく広場」インタビュー

ホームページにも年間スケジュールが掲載されていますが、月に一度およそ60分という時間のなかで、絵本の読み聞かせや四季の歌遊びなどを行っています。
近隣に住む親子や「こども園」に関心のある親御さんも含め、多いときは100名を超す皆さんに参加して頂くこともあります。

「すくすく広場」では具体的にどのようなことが行われますか。

たいとうこども園

まず、開始から30分は「フリータイム」として、園にあるおもちゃで遊んだり、園庭に出て身体を動かしたりと、家庭とは違う環境でめいっぱい遊んでもらえる時間を設けています。

たいとうこども園「すくすく広場」インタビュー

スタッフは全員が「たいとうこども園」の職員なので、園での過ごし方や入園後の生活などについても気軽に尋ねてください。「すくすく広場」は、雑談や遊びのなかで、子育てについての情報提供やちょっとした相談もできるという気軽さが特徴だと思います。

たいとうこども園

15時になると、私のギター演奏から「おたのしみタイム」がはじまります。日によって内容は様々ですが、例えば今日は段ボールで簡単に作れる太鼓を制作した後、鈴や簡単な楽器も使ってみんなで揃って歌いました。

たいとうこども園

その後には、好評の「パネルシアター」を行います。子どもの発達段階のなかで、「次はどうなるんだろう?」と期待するワクワク感、過去に見たことがある子どもにとっては「次はきっとこうなるだろう」と予測するワクワク感があり、家庭での遊びのなかでも生かせるヒントを織り交ぜながらプログラムを組んでいます。

たいとうこども園

そして最後はテレビでもおなじみの「みんなの体操」をして親子で楽しみます。ほかにも、親子でふれあい遊びしながら、身体を動かすこともあります。

「すくすく広場」に参加したい方はどのようにすればよろしいですか。

たいとうこども園「すくすく広場」インタビュー

参加を希望される方は事前にお電話で予約をして頂くことになっています。「たいとうこども園」のホームページに年間のスケジュールと合わせて問い合わせ先の電話番号も掲載していますので、興味のある方はぜひお電話ください。もし「たいとうこども園」についても知りたいと言う方には、「すくすく広場」のあとに園内の見学会も設けていますよ。

たいとうこども園

また、「根岸幼稚園」の「ひよこのかい」、「大正幼稚園」の「なかよしクラブ」など、周辺の園でも同様の未就園児向けの子育て支援の活動を行っています。それぞれの予定や内容を確認して、いろいろと参加してみてはいかがでしょうか。

これからこの地域で子育てをする方に向けて、おすすめのスポットがありましたら教えてください。

上野恩賜公園

「たいとうこども園」からも歩いて行けるのですが、「上野恩賜公園」がおすすめです。四季折々の木々の移ろいが感じられるところや、秋にはドングリ拾いができる場所もあり、子どもを連れてお出かけするには最適だと思います。また夏場は暑さをしのぐ避暑スポットでもありますし、年間を通じてお出かけできる場所だと思います。

「たいとうこども園」周辺の根岸、下谷、入谷といった地域には、2世代、3世代と長年この地域に根ざして生活をしている方が多く、そういった人と人とのあたたかな繋がりがあるという点も、子育てにとっては魅力的な環境だと思います。

参加者の方にもお話しをお伺いました!

たいとうこども園

根岸在住のK.Sさん

■「すくすく広場」に参加するのは何回目ですか?
現在産休を利用して子育てに専念していますが、今日がはじめての参加です。

■「すくすく広場」の魅力はどんなところだと思いますか?
同じ年代の子どもを持つ参加者の方も多いので、いろいろ相談にのってもらえそうです。

■子育てするのにおすすめのお店やスポットはありますか?
「台東区生涯学習センター」の近くにパスタ屋さんがあるのですが、バギータイプのベビーカーでも入れるので、子ども連れでも安心していくことができます。

たいとうこども園

今回、話を聞いた人

たいとうこども園「すくすく広場」

松山俊介先生

住所:東京都台東区下谷3-1-12
電話番号:03-3876-3401
http://taitokodomoen.com/index.html

※この情報は2015(平成27)年3月時点のものです。

楽しい遊びを通じて、子育ての不安も解消!地域の親子の輪が広がる「すくすく広場」/たいとうこども園「すくすく広場」 保育士 松山俊介先生
所在地:東京都台東区下谷3-1-12 
電話番号:03-3876-3401
保育時間:7:15~18:15
延長保育時間:18:15~19:15
休園日:日曜日、祝日、年末年始
http://taitokodomoen.com/

生の歌と本物の楽器に触れ、親子や友達とのふれあいを楽しむ場/うたりずむ 岩崎美代子さん・高橋美穂さん


歌とピアノを担当する岩﨑美代子さんと、パーカッションを担当する高橋美穂さんによるユニット「うたりずむ」。教室では、岩﨑さんの伸びやかで明るい歌声と、高橋さんによるリズミカルな太鼓の音が響く。音楽だけでなく、自宅でできないような大掛かりな遊びや、絵本の読み聞かせ、工作にお絵描きと、40分間のクラスは飽きることがなく子どもの笑顔が溢れている。子育て真っ最中という「うたりずむ」のおふたりに、活動や朝霞の子育て環境について伺った。

「うた」×「りずむ」で子どもの心を伸びやかに育てる、音楽教育「リトミック」

お母さんと一緒にリズムあそび

――「うたりずむ」のリトミッククラスについて概要を教えてください。

岩﨑:朝霞市内で未就園時向けの親子リトミッククラスを開催し、うたとリズムあそびで心と身体で感じる力を育て、お絵かきと工作で創造する力を育てることを目的としています。クラスは月に2回、市民センターなどで行っています。主に東上線沿線など近隣の方が多いですね。ねんね~よちよち歩き向けの「ひよこクラス」と、あんよ~未就園児の「こっこクラス」の2クラスがあり、今一番年上のお子さんは3歳ですね。音楽を聴いて身体を動かしたり、人と触れ合う中で協調性を養ったりですとか、音楽の基礎的なことを学んだり、自分を表現する場でもあります。

友達とのふれあいも生まれる

――「うたりずむ」はどのようにして生まれたのでしょうか?

岩﨑:同じマンションに住んでいて、お互い娘が幼稚園に入園したのをきっかけに、バス停で毎日顔を会わせるようになったのですが、話をしてみると実は同じ大学の同級生だということが分かったんです。音大の声楽と打楽器とで学科が違ったので、大学の時にはお互い知らなかったのですが、同級生だったということで意気投合したんです。卒業アルバムを見てみたら、確かにお互いが載っていました。行動力を発揮する性分と冷静に考える性分、性格は正反対なふたりなのですが、そこがよいんでしょうか。お互いのことをファミリーだと思っています。

岩﨑さんと高橋さん

岩﨑:元々、私が市内の子育て支援センターで仲良くなったママ友に「なにかやってほしい」と言われて、ひとりでリトミックのサークルをしていたのですが、高橋さんに出会ったことでふたりでやってみようということになりました。私ひとりでやっていたときには歌とピアノだけだったので、高橋さんの演奏する打楽器が加わることでクラスでできる内容も広がりますし、クラスに実際の楽器を持って来てくれるのですが、そういった本物の楽器に触れることで子どもたちの反応もそれまでとは違ってきました。

――活動するにあたり、どのようなことを大切にされていますか?

高橋:リトミックというものはとても幅広くて、やり方次第で色々できます。私たちは、専門的に音楽を勉強して来たので、それを活かしたいと思っています。そのために、生の音楽のよさを大切にしていて、生の歌で聞いてもらうとか、出来るだけ実際に楽器に触れてもらうということを活動の中心に据えています。CDを流せば音楽を聴くことはできますが、せっかくなのでライブ感を味わってもらいたいと思っています。

大人も子どもも、音楽を通じて触れ合うことで得るものがある

――クラスに通う中で、お子さんたちの変化を感じることはありますか?

たたくと音が出る楽しさを実感

高橋:去年の6月から、継続会員制のクラスの形をとるようになったので、毎回同じメンバーが集まって続けることで、成長が目覚ましく目に見えるようになりました。

岩﨑:クラスの始めにお子さんのお名前を呼んで、そのお返事としてタンバリンを「は・あ・い」と3回たたいてもらっているのですが、クラスに来始めたばかりの頃は手を後ろに隠してしまったり、身体ごと背けてしまう子も、しばらく通ううちに上手にできるようになります。たたくと音が出る楽しさとか、言葉に合わせてちゃんとたたくことができるようになる喜びとか、お子さんなりに見つけてくださってるみたいです。人と関わることも怖くなくなっていくようです。

高橋:去年の12月には、クラスでの姿や成長をご家族に見てもらいたいと思い、発表会を開催しました。お父さんやおじいちゃんおばあちゃん、お友達が来てくださいました。我が子の成長をおさめようと、ビデオで撮影している方がたくさんいましたよ。発表会はこれからも毎年やっていきたいと思っています。

リズムに合わせて体を動かす

――「うたりずむ」をやっていてよかったな、と感じることを教えてください。

岩﨑:やっぱり出会いですね。

高橋:私は活動していない間も、演奏したいという気持ちがあって、血が騒いでいました。だから、音楽を通じてお子さんともお母さんとも触れ合う機会があることが嬉しいです。

岩﨑:朝霞市は、保育園などに子育て支援センターが併設されているのですが、私も毎日のように子どもを連れて通っていました。そこが実家のように感じるくらい、先生や他の親子とおしゃべりすることで助けられたところがすごくあります。子育て中っておしゃべりできるだけで救われますよね。私自身のリフレッシュにもなっています。

「少子化が嘘のよう」に感じるこの街で、子育てしながら活動していくこと

カラフルなパラバルーンでリズムあそび

――朝霞の子育て環境はいかがでしょう?

高橋:都心に出やすいけれど、自然も多く住みやすくて子育てもしやすいですね。ほぼ東京都との境目ですが、同じ沿線でも埼玉に入っただけで雰囲気が変わります。少子化が嘘のように感じるくらい、子育て世代が多い街だと思います。

岩﨑:それに、子育て世代に対する周りの目がとってもあたたかいんです。道歩いているだけで、通りすがりのおばあちゃんが話しかけてくれたりします。「幸せな気持ちになれた。ありがとう」なんて言われたこともあるんです。

音楽だけでなく絵本の読み聞かせも

高橋:地方から出て来て構えていた部分があったんですが、田舎よりあたたかいくらいですよ。市自体がコンパクトなので、自転車があれば生活できるのも魅力です。坂は多いので、電動機付き自転車を使っている方が多いですね。

岩﨑:公園だとボール禁止の公園が多いと思うのですが、「朝霞の森」はボール遊びが禁止されていないのでおすすめです。森のようになってる所もあったり、木登りができる大きな木もあるんです。プレーパークをやっている期間は火を使って焼き芋したり、マシュマロ焼いている子どもも見かけますよ。普段出来ない遊びができます。

高橋:舗装された道路もあるので、自転車の練習にはみんな「朝霞の森」に行きますね。

お絵かきや工作で創造力も育てる

――最後に、これからの「うたりずむ」の活動について教えてください。

高橋:今生徒さんが増えてきていて、楽器の数も足りないですし、動きを取り入れるとなると広さが狭くなってきています。そんな背景もあって、朝霞市内にもうひとクラス作る予定でいます。今後は市外にも広がっていけたらいいですね。

岩﨑:また、リトミッククラスの他に、音楽ユニットの「うたりずむ」として演奏活動も行っています。これまで、「朝霞の森」で毎年開催されるお祭りで行われたコンサートに呼んでいただいて、野外ステージで演奏したり、中央公民館にプラネタリウムがあるのですが、夏祭りにはプラネタリウムに星空を投影しての星空コンサートにも参加しました。そういった演奏活動の時には、来てくれたお子さんや保護者の方が一緒に参加してもらえるようなステージにしていきたいと思っています。

楽しい音楽で朝霞を笑顔にする「うたりずむ」の活動

うたりずむ講師の岩﨑先生と高橋先生

うたりずむ

岩﨑美代子さん・高橋美穂さん
所在地 :埼玉県朝霞市
E-mail : utarhythm@hotmail.co.jp
URL:http://blog.livedoor.jp/utarhythm/
※この情報は2016(平成28)年1月時点のものです。

生の歌と本物の楽器に触れ、親子や友達とのふれあいを楽しむ場/うたりずむ 岩崎美代子さん・高橋美穂さん
所在地:埼玉県朝霞市 

スペシャルインタビュー

お鷹の道でくつろぐオーガニックカフェ、史跡の駅「おたカフェ」/運営 高浜洋平さん


街の魅力を再発見させてくれる機能を担う史跡の駅「おたカフェ」。「国分寺」駅周辺とは大きく異なる閑静な雰囲気は、駅から徒歩圏内であることに驚くほどだ。「おたカフェ」のオープンから7年経った2016(平成28)年、新たに「めぐるみ Labo&Café」も誕生している。積極的に活動する「おたカフェ」の運営にたずさわる高浜洋平さんに、国分寺エリアの歴史と魅力について伺ってきた。

街づくりへの関心がきっかけ

史跡の駅「おたカフェ」を運営する高浜さん

――「おたカフェ」とはどのようなカフェなのでしょうか?

2009(平成21)年10月にオープンしました。国分寺エリアに興味を持ってくださる方や、実際に生活されている方などが交流できる場として営業を開始したんです。喫茶をやりつつも、「おたかの道湧水園」のチケット販売、誰もが利用できる休憩スポットや周辺の観光案内としての役割も担っています。

――オープンさせるまでの経緯というのは?

東京経済大学で開催された「まちづくりフォーラム」に参加して、「国分寺」駅北口の街づくりに携わっている福士先生の話を聞いたことが大きかったですね。以前から“街づくり”に関心はあったものの、まさか興味が高じて今の状況になるとは、当時の私には想像できないことでした(笑)。

福士先生と街づくりや街の活性化について話したことを縁に、国分寺市役所に別の場所を対象とした街づくりの提案書を持っていくと、むしろ「お鷹の道」を盛り上げてほしい、となったんです。その後2年間、この場所で毎週日曜日に「おもてなし屋台」というのを福士ゼミと開き、エリアの活性化を図りました。そうした背景から、「お鷹の道」の空き家を活用して、東京経済大学・国分寺市地域連携協議会を母体とする「おたカフェ」はオープンしたのです。

「おたカフェ」の内装

新たな活動でも人と地域を繋ぐ

――「おたカフェ」の活動についても聞かせてください。

国分寺エリアには、300年近い歴史のある“国分寺野菜”があります。全国的な知名度は低いですが、とても美味しい野菜と、それを生産する農家を紹介したくて、2010(平成22)年に「隣人まつり」という食に関するイベントを開催しました。

国分寺野菜に力を入れるようになった理由としては、 お世話になっている地元の農家さんとの会話で興味や感謝の気持ちを覚えたり、一時的に野菜や果実が地域内で過剰になり、悩み相談をいただいたことから始まりました。 引き取り手がなくて困っていた野菜を「おたカフェ」でジャムとピクルスにしたところ、反響が大きく想像していた以上に人気が出ました。活動の甲斐あって2013(平成25)年には、国分寺市によって「国分寺ブランド」の認定もいただきました。2016(平成28)年には国分寺野菜をおいしく食べてびんづめ化していく工房カフェを新たに設けようということから、「国分寺」駅北口に「めぐるみ Labo&Café」をオープンしたんです。その後周辺の飲食店にも国分寺の野菜を促す活動を続けており、少しずつですが、国分寺野菜を使用してくれる飲食店が増えてきたのは、本当にありがたいですね。

人気の国分寺野菜を使ったピクルス

――2013(平成25)年から始まった「国分寺テーブルズ」について聞かせてください。

産直市場は全国どこにでもありますが、実際に生産者と会って話ができたり、お客さん同士が交流できる産直市場は少ないと感じていました。農作物を購入するだけでは消費者の滞在時間も10分程度。消費者と生産者がコミュニケーションを図るためには、市場での滞在時間を増やすことが必要と考え、産直市場に“食事ができる”イートインや何かワークショップや鑑賞できるカルチャー機能を持たせようと「国分寺テーブルズ」というマーケットを開いたんです。2016(平成28)年5月の開催時には、落語や音楽会なども企画しましたよ。

――「おたカフェ」を利用されるのは、どのような方が多いですか?

半数は地元の方、もう半数は国分寺に観光で来られている方ですね。じつは国分寺に住んでいても「お鷹の道」や「真姿の池湧水群」を知らない方は意外に多くて。雑誌やフリーペーパーを見て、自分たちが住んでいる街の一面を知り、このような場所があったのか!と驚かれる方も多いくらいです。新旧文化の融合という意味でも、まずは「おたカフェ」に気軽に来ていただけると嬉しいですね。

利用者の心休まる店内

変わる街と変わらない人々

――「国分寺」駅前の再開発で、さらに利便性は高まりそうです。

再開発が進められているのは「国分寺」駅北口が中心ですが、反対側の南口も新しい住宅の建設が進んでいます。住む方も増えますし、それに伴い新しいお店もオープンしていくと思いますから、これからの変化が楽しみですね。

新旧の国分寺を知れる「おたカフェ」

――最後に国分寺エリアの街としての魅力や、好きなところを聞かせてください。

生活していて感じるのは、長い長い歴史を背景にこの街の魅力が構成されているということです。それは、住めば住むほどに強く感じますね。代々受け継がれ、現在は13代目、14代目の当主といった方も多く住まわれています。先祖から伝え聞いた歴史を、自分のことのようにお話しする様子を見るたびに、地元・国分寺への想い入れが伝わってきます。そうした歴史がある街ならではの古くから続く人々の想いと、「国分寺」駅北口に代表される新しい発展という”コントラスト”が魅力ではないかと思います。

史跡の駅 おたカフェ

おたカフェ

運営 高浜洋平さん
所在地 :東京都国分寺市西元町1-13-6
TEL:042-312-2878
URL:http://www.ota-cafe.com/
※この情報は2016(平成28)年8月時点のものです。

お鷹の道でくつろぐオーガニックカフェ、史跡の駅「おたカフェ」/運営 高浜洋平さん
所在地:東京都国分寺市西元町1-13-6 
電話番号:042-312-2878
営業時間:9:00~17:00
定休日:月曜日(祝日の場合は翌日)
http://www.ota-cafe.com/

スペシャルインタビュー

一人ひとりが主役になれるのびのび保育の「明星幼稚園」/明星幼稚園 校長 渡邊智恵子先生


広大な「明星学苑キャンパス」の一角にあり、とんがり屋根の園舎と開放感あふれる園庭が目を引く「明星幼稚園」。四季が感じられる恵まれた環境に加え、伝統の「みなしずか」、多彩な体験教育など独自の幼児教育を実践するとともに、総合学園ならではの多世代交流、就学に向けた取り組みに力を入れている。一人ひとりの個性を大切に、これまで多くの園児を見守ってきた渡邊智恵子園長先生に、同園が目指す教育や日々の保育活動についてお話を伺った。

明星ならではの伝統教育「みなしずか」

広々とした「明星幼稚園」

――まずは沿革や教育目標についてお聞かせください。

「明星幼稚園」は1949(昭和24)年の開園で、2019(平成31)年度に70周年を迎えます。「明星学苑」は1923(大正12)年に設立された「明星実務学校」という中学校に始まり、同校の教職員の子どもたちを教育するために幼稚園がつくられたことがはじまりです。園児のおじい様に一期生がいらっしゃるのですが、開園当初は園児が少なく、4、5歳児が同じクラスだったそうです。現在は園児数が増え、2016(平成28)度は各学年96人、総園児数288人が在園しています。

人気の課外活動サッカー教室で元気よく

当園の教育目標は「元気なよい子の育成」です。具体的には、「自ら考え主体的に行動できる」「周りの人の気持ちがわかり、集団生活の中で、生きる力を身につける」のふたつを目指してカリキュラムを策定し、実践しています。普段のけんかや言い合いの場面でも、教員が子どもの気持ちを代弁してしまうのではなく、子どもの気持ちに丁寧に寄り添い、言いたいことを言えるまで待ち、言葉を補う。そうして意思表示の仕方や相手の気持ちに対する気づきを促していきます。 そのような教育目標のよい実践の場が、毎年クラスごとに行う劇あそび発表会です。題材を決めるところから子どもたちに参加してもらい、自分でやりたい役を決められるように支援していきます。同じ役を演じるのが5人ということもよくありますが、自分たちで決めた役なので責任感が出てきますし、子どもたち同士でセリフを教え合うなど、主体的に劇を作り上げていきます。

季節ごとの子どもたちの作品(お月見)

――特色ある教育活動や学力向上のための取り組みについて教えてください。

「明星幼稚園」では、「明星学苑」伝統の「凝念(ぎょうねん)教育」を、「みなしずか」と呼んで実践しています。凝念とは、おへその下に意識を集中して心を落ち着かせる、いわば黙想です。当園では、毎日、朝の集まりや食事の前などにみなしずかの歌を歌い、目を閉じて心を静かにします。子どもは、寝ている時以外、目を閉じてじっとしていることがないので、教えられたばかりの時はうまくできません。それでも、年長組になるとだいぶ上手になり、みなしずかの後に集中して担任の話を聞けるので、毎日続けることは有効だなと感じています。

毎日のみなしずか

月1回の「にこにこの日」では、園児がお隣の「明星小学校」で制作活動や探検をしたり、同校の児童が園に遊びに来たりします。いわゆる小1プロブレム(※入学したばかりの1年生が学校生活になじめない状態が続くこと)が問題になっている昨今ですが、当園は年少組からこうした機会を通じ、園児が日頃から小学校に親しめるようにしています。また、年長組の3学期からは就学を意識した取り組みを行います。例えば、小学校の先生が算数あそびや英語あそびをしてくださる時は、前を向いて先生の話を聞く姿勢が身につくように練習しています。 このほかにも、ネイティブの先生による英語あそびの時間を週1回実施し、立体パズルや図鑑などの知育玩具を各クラスで充実させています。英語あそびでは、歌やリズムなどで耳を慣らしていき、卒園の頃には簡単な単語や会話がしゃべれるようになっていて、成長に驚かされますね。

総合学園の強みを生かした多世代交流

預かり保育施設内

――施設・設備面での特徴はどんな点ですか?

園庭がとても広く、運動会はこちらで開催できます。あまりに広いので、園庭の端にあるブランコとりでかけっこして、足が速くなるぐらい(笑)。サクラ、ミカン、イチョウ、ドングリといった樹木がたくさん植えられていて、ミカンを採って食べたり、ドングリ拾いをすることもできます。園は広々とした府中キャンパスの中にあり、お散歩も安心。園庭やキャンパスで虫探しや落ち葉拾いができるので、自然への関心を養うのにとてもいい環境です。

預かり保育「どんぐりクラブ」

現在の園舎の特徴は保育室や通路、ホールなど、どこもスペースが広くとってあること。特にホールは全園児が入っても余裕があるほど広く、中には劇あそびができる舞台があります。 園舎の隣には預かり保育「どんぐりクラブ」の平屋があり、7時45分から18時30分まで、在園児をお預かりしています。利用者の大半はフルタイムでお仕事をしている保護者で、1日50人の定員が毎日埋まってしまうほど好評をいただいています。

――総合学園ならでは取り組みについて教えてください。

勤労感謝の日にお花をプレゼント

小学生と交流する「にこにこの日」のほか、中高生の有志が絵本の読み聞かせに来てくれたり、保育士や幼稚園教諭を目指している大学4年生が、授業の一環としてサポートに来てくれます。入園したての子どもたちは不安でいっぱいなので、このようなサポートに教員はとても助かりますし、子どもたちの心の拠り所にもなっているようです。インターンシップでは、大学2年生も数人受け入れています。 「明星学苑」を挙げて行う文化祭では、明星の小中学校に進学した生徒らが、園庭でPTAの方たちが出すお店へ気軽に遊びに来てくれます。学生側も、読み聞かせや魚釣りといった、小さい子を意識したブースを作ってくれ、とてもよい雰囲気です。 夏には「明星学苑」の八ヶ岳山荘を利用し、年長組が1泊2日のお泊り保育を実施しています。バスに乗る時は泣いている子もいますが、ひとりでよそに泊まるという体験はなかなかないので、お泊りを終えるとひと回り大きく成長したなと実感しますね。

地域の方と一緒に楽しむ餅つき

――地域や保護者とはどのように関わっていらっしゃいますか?

地域に向けては、月に1回、未就園児とその保護者を対象に、幼稚園体験や園庭開放を行うひよこクラスを実施しています。入園希望の有無にかかわらず、1回につき100組ぐらいの参加があって人気なんですよ。夏の星まつりへも、地域の方は自由に参加できます。園庭でヨーヨー釣りや輪投げをするなど、小さいお子さんが安心して遊べるお祭りにしているので、ご家族がたくさんいらっしゃいますね。
保護者に関しては、文化祭でPTAの方々に活躍してもらうだけでなく、星まつりや運動会、遠足といった文化祭以外のイベントでお手伝いをしてもらっています。お父さん方もとても協力的で、イベントの準備や後片付けをよく手伝ってくださいます。

保護者の協力で支えられている運動会

オープンな幼稚園を目指していることも、当園の特徴です。園と家庭でのお子さんの様子を記入するすくすくファイル、毎日のクラス便り、ホームページの保護者専用ページ、お電話などでお子さんの園での様子がわかるようにしています。それから、年少組は5月と12月、かくれんぼ参観と称して、マジックミラー越しに園児の様子を保護者の方にご覧いただく機会を設けています。集団でのわが子やクラスの雰囲気を包み隠さず知ってもらい、保護者が不安に感じられたことには親身に対応しています。

――保護者からの信頼が高いと伺っています。

この辺りは幼稚園がたくさんあり、ご自身の望む教育方針に合った幼稚園を選びたいという熱心な保護者が多いエリアです。説明会や園庭開放などに何度もいらしていただき、納得したうえでお子さんを通わせている保護者が多いためか、在園児の保護者アンケートでは毎年高い評価をいただいています。通常、幼稚園の満足度は70%あればよいといわれているそうですが、昨年度は85.9%もの満足度をいただきました。

様々なプログラムで満足度の高い幼稚園

利便性が高く医療機関も充実した安心に暮らせるエリア

――最後に、園周辺や国分寺市の魅力について教えてください。

国分寺は東京都のまんなかにあり、JR、京王線、西武線を使って、どこへ出るにも便利なエリアです。周辺は「お鷹の道」や「殿ヶ谷戸庭園」など史跡が多く、「府中の森公園」や「武蔵台公園」のような大小さまざまな公園がたくさんあります。武蔵野台地の端にあるため、湧き水が多く自然が豊かですし、農家も残っていて、秋になると園児が近所の畑でおいもほりをさせてもらっています。 近くに「都立多摩総合医療センター」、「都立小児総合医療センター」という大きな病院があり、医療機関も充実しています。自然、交通、生活環境と、とても子育てしやすい環境だと思いますよ。

明星幼稚園園長先生

学校法人明星学苑 明星幼稚園

園長:渡邊 智恵子 先生
住所:東京都府中市栄町1-1
TEL:042-368-5110
URL:http://www.meisei.ac.jp/kg.html
※この情報は2016(平成28)年9月時点のものです。

一人ひとりが主役になれるのびのび保育の「明星幼稚園」/明星幼稚園 校長 渡邊智恵子先生
所在地:東京都府中市栄町1-1 
電話番号:042-368-5110
http://www.meisei.ac.jp/kg.html

NO NAME CAFE インタビュー

自然と人が集まり、笑顔あふれる温かい場所/NO NAME CAFE 酒井 理さん・酒井 さつきさん


美しい自然に囲まれたフィオーレ喜連川のマンション一階にある「NO NAME CAFE」は、美しく広いウッドデッキと真っ白な壁が目印のおしゃれなカフェ。喜連川の自然と調和した温もりのあるデザインで、店内のテーブル・イス・カウンターも木の温もりに溢れている。「良いモノとは、名前ではなく自然と生活の一部になり溶け込んでいくモノ、この店もお客様の生活の一部になれれば」との思いでオーナーの酒井 理さんが「NO NAME CAFE」と名付けたそうだ。オーナーは建築家、奥様はデザイナーという異色の才能のコラボレーションから生まれたカフェで、気がつけば自然と人が集まり、笑顔があふれる温かい場所。今回はそんな唯一無二の存在で街を盛り上げている「NO NAME CAFE」を訪れ、お話を伺った。

リラックスできる場所を目指して

NO NAME CAFE 外観

――お二人がカフェをはじめようと思ったのはどのような経緯からでしょうか?

酒井 理さん:きっかけは、私は設計事務所で働いているのですが、設計事務所に直接訪れてお話する方は家を建てたい方の中でも相当熱心な方に限られているのが現状です。でも、家を建てるというのはすごく大事なことなので、もっと気軽に話せる場があればいいなと思っていました。そこで、私は以前カフェで働いていたこともありましたので、コーヒー一杯からリラックスして話ができる場所をつくろうと思いました。

中学校の同級生だった酒井さんご夫婦

私たち夫婦は、「さくら市立氏家中学校」の同級生だったのですが、卒業後に高校や大学に進学して首都圏でそれぞれが建築やデザインに関わる仕事をしていました。その後、私達は結婚して、さくら市に戻ってきましてお互いの経験を最大限に生かせるこのカフェをオープンしました。単に家を設計するというよりはライフスタイルをトータルでデザインする、その手助けになれたら良い思い、建築とデザインの両方からアプローチしています。

――気軽に頂けるランチが人気なんですね。

酒井 理さん:「今日はどんな美味しいものに出会えるのだろう。」、そんな楽しみから始まるランチメニューになればと思っています。私が美味しい、食べたいと思ったものをそのままメニューに反映させるようにしています。和洋中などの約50種類の日替わりメニューから1日2種類ずつお出ししています。デザートとドリンクが付いて1000円で、キッズは500円とお手頃な値段で楽しむことができます。

ガーリックピラフステーキのせ

日替わりのメニューを楽しみに通ってくださる常連の方も多いですね。コーヒーにもこだわっていまして、私が本当に美味しいと思った豆だけを厳選して淹れています。ちょっとランチを食べに、ちょっとコーヒーでも飲みに、と気軽な感じで来ていただきたいですね。

デザイン溢れる店づくり

奥はシャンデリアとソファ席

――インテリアにもこだわっていらっしゃいますね。

酒井 理さん:全体的には訪れた人がびっくりする、ここフィオーレの中に現れる異空間、そんな空間作りを意識しています。店内は基本的に自然素材でナチュラルにまとめていて、入り口付近の空間は、日差しが入ってきて明るく元気になるイメージ、奥に入るとシャンデリアやソファーがあり、落ち着いたイメージになっています。入り口付近と奥が別テーマになっていますが、それを壁で仕切るのではなく床の段差をつけるなどして目線でテーマが仕切れるように工夫をしています。お客様がここに来てびっくりする様子やくつろいでいる様子を見るのがとても嬉しいですね。

奥はシャンデリアとソファ席

――オリジナルグッズの販売も行っているんですね。

酒井 理さん:シンプルですがどこか他とは違う特徴のあるデザインを意識してつくっています。さくら市の地元愛が感じられるグッズも多数用意しています。

「SAKURA CITY」のTシャツ

中でも「SAKURA CITY」のTシャツは大変好評ですね。この商品ですが、実はどのくらい地元愛のある方がいるのか反応がみたくて製作しまして、特に宣伝することもなく私たちが着ていたのですが、それが口コミで広がりとても大きな反響を得ることができました。デザイン次第で商品はこんなに変わるし面白い、そういうところも私たちの店から発信できればと思っています。

喜連川の新しい魅力づくりをしていきたい

自然と人が集まり、笑顔あふれる温かい場所

――ノーネーム市について教えて下さい。

酒井 理さん:2ヶ月に1度、第3日曜にここで「ノーネーム市」というイベントを開催しています。パリのマルシェのような雰囲気でゆったりとした時間の中で、古着やハンドメイド雑貨・小物や農家直売の新鮮野菜を販売しています。バンドや地元の学生さんなどのライブイベントも盛りだくさんな楽しい一日です。ここでは農家の方が野菜を販売しながら調理方法をお客様とお話しするのも良いですし、ランチやコーヒーで友人・家族とゆっくりと語り合うのも良いです。

自然と人が集まり、笑顔あふれる温かい場所

地元のおじいちゃんおばあちゃん、お孫さんまで様々な世代が集えて楽しめる交流の場にしたいと思い始めました。ノーネーム市がこの土地の方々の生活の一部のようなイベントになってもらえれば良いですね。

――フィオーレ喜連川の魅力について教えて下さい。

酒井 理さん:ここは自然がたくさんあって四季の変化も美しく、優しい人たちが多い住みやすい場所ですね。蛇口をひねれば温泉が出ますし、野菜、お米、水がとても美味しいところです。心も体もリラックスできますよ。これからもこの街の新しい魅力づくりをしていきたいと思っています。

酒井さんご夫婦

お勧めの場所は、「穂積小学校」の廃校校舎を利用した「喜連川丘陵の里 杉インテリア木工館」です。杉・ヒノキを使った家具が販売されていたり、2階は教室が1面ウォールアートになっていて見応えがあるので、家族みんなで楽しめますよ。

――最後に、今後の目標について伺えますか。

酒井 理さん:これからも美味しくて楽しいランチメニューや、こだわりのコーヒー、オリジナルグッズでみなさんに楽しんでいただけて笑顔になってもらえる空間づくりをしていきたいと思います。コーヒー一杯からでも気軽に来てください。お待ちしています。「NO NAME CAFE」は、さくら市を盛り上げる為に今後もみなさんが楽しいことびっくりすることにどんどんチャレンジしていきたいと思います。ご期待ください。

酒井さんご夫妻

NO NAME CAFE

酒井 理さん(左)・酒井 さつきさん(右)
所在地:栃木県さくら市フィオーレ喜連川5-2-1フィオーレガーデン1号棟106
TEL:028-612-8132
URL:http://www.nonamecafesakura.com/
※この情報は2016(平成28)年3月時点のものです。

自然と人が集まり、笑顔あふれる温かい場所/NO NAME CAFE 酒井 理さん・酒井 さつきさん
所在地:栃木県さくら市 フィオーレ喜連川5-2-1 
電話番号:028-612-8132
営業時間:11:30~17:00
定休日:月・火曜日
http://www.nonamecafesakura.com/

A.T.Guitars インタビュー

ギタリストのパートナーとなる最高のギターを作りたい/A.T.Guitars 高野 篤さん 


さくら市喜連川出身・在住の高野篤さんは2005(平成17)年にギター工房「A.T.Guitars」を設立。アーチトップ・ギター、フラットトップ・ギター、ボサノヴァ・ギター、エレキ・ギター/ベース、ウクレレ等のオーダー製作・修理を行っている。株式会社TRと共同でTHE NUMBERTHREEブランドを運営。2012(平成24)年よりさくら市「さくら・ジャンゴ・ラインハルト・フェスティバル」を主催、ジプシーギターの普及活動にも力を入れている地元を愛するギタークラフトマンだ。「アコースティックギターマガジン」に紹介され、数々の一流ミュージシャンのギターも製作するなど、業界内での評価も高い高野さんの工房にお邪魔し、お話を伺った。

ギター製作を学びにカナダへ留学

地元の喜連川にオープンした工房

――ギターづくりを始めたきっかけは?

高野さん:学生時代にバンド活動をしていて音楽やギターに触れる環境にいたのですが、当時“ギター組立キット”というものが販売されていまして、それを何気なしに組み立ててみたら、面白くてそれからギター製作にはまり、この道を目指そうと思ったのです。

ギター作りへの熱い思いを語る高野篤さん

学生時代はアメリカにいきたいと思っていたのですが、アーチトップ・ギターの製作・修理を勉強できるところがカナダの「Summit School of Guitar and Repair」という学校だけだったのです。それを知って迷わずカナダ行きを決意し、留学しました。そして帰国後、地元に戻りこの工房をオープンさせました。

――ギター製作でのこだわりについて教えてください。

高野さん:私が製作するギターは、主にジャンゴ・ラインハルトが使用していたセルマー・マカフェリギターの形です。私はこの美しい形からギターの虜になったのですが、弾き方が特徴的でしてピッキングは分厚いピックを使い叩きつけるように弾くんですよ。アタックの強いギターサウンドが楽しめて魅力的です。

制作現場の様子

このギターを使って早弾きをするアーティストも多く、その姿はギター好きにはたまらないですね。ギター製作には大変なことが多いですが、気持ち良く弾いてもらいたい、それは美術品とか工芸品ではなく、パートナーみたいにつかってもらいたい一心で製作に携わっています。

心の琴線に触れる場所でありたい

旧喜連川郵便局の建物を利用したお店

―お店は歴史的建造物を改装しているとお聞きしましたが?

高野さん:歴史ある建物の価値を再発見して活用していくという考えのもとで1872(明治5)年に栃木県で10番目にできた喜連川の旧郵便局、通称「栃十」を改装して現在、工房とは別の店舗として使用しています。「郵便物」「建物」「歴史」はすべて、そこに何かを伝えたいという思いがあり、それに人が何かを感じることができることでもあります。

制作の様子

人にとって大事なそんな「心の琴線、深い感情」に触れることのできる場所でありたいとの思いでここにギターショップ・スクールの「Heartstrings」を作りました。現在は週2回のギター教室で使用していますが、将来的にはウクレレのワークショップも行っていきたいですね。

地域密着型のイベントを主催

さくらジャンゴ・ラインハルト・フェスティバル2015の野外コンサート

――さくらジャンゴ・ラインハルト・フェスティバルを毎年企画してるそうですね。

高野さん:まだ日本ではめずらしいフランスのギターを製作していますし、また私がジャンゴ・ラインハルトを敬愛していることから、フランスなどのヨーロッパやアメリカで行われている「ジャンゴ・ラインハルト・フェスティバル」を2011(平成23)年よりここさくら市喜連川で開催させていただいています。この年にさくら市文化振興事業の市民企画募集に応募して文化振興事業企画として選ばれました。2013(平成25)年からは2日間の開催になりましてフェスティバルの要素を多く取り入れました。

さくらジャンゴ・ラインハルト・フェスティバル2015の様子

歴史ある石蔵を会場にプロ・アマチュアを交え、県内外から多くの出演者があり、会場周辺では駄菓子屋、かき氷、コーヒー、パン、ケーキ等の出店もあり賑わいました。夜は焼肉、焼きそば、豚汁を囲んでの交流会やセッション、伝説のギタリストであるジャンゴ・ラインハルトについて語り合いをするなど本場のフェスに近い内容を行うことができました。「喜連川公民館」でのコンサートも開催し「東京ホット倶楽部バンド」がフィナーレを飾りました。

さくらジャンゴ・ラインハルト・フェスティバル2015の様子

回を重ねるごとに実行委員数、協力楽器店、アウトドアショップ等も増えてきていたり、参加したミュージシャン同士が後に一緒にライブをしたりツアーを回るなど和を広げる場所としても発展してきています。単なる音楽フェスティバルではなく、地元の歴史、文化、観光を取り入れた、地域密着型の祭りになるように意識して運営をしています。

豊かな自然に囲まれた街、喜連川

――最後に喜連川の魅力について教えて下さい。

高野さん:喜連川は、空気と水がきれいで、どこまでも美しい風景が広がる街です。私のように物づくりに携わる人にとっては創作意欲が湧いてくる最高の場所です。豊かな自然の中で自由に子どもを遊ばせたりすることもできますし、教育施設・環境も充実しているので子育てにもとても適している場所だと思います。世代を問わず何かあったら力を貸してくれるような優しい人達も多いですし、文化水準も高くみんなで魅力を作っていける街なので、これから何かを始めたいという人にも良い環境ではないでしょうか。今後がとても楽しみな街ですね。

高野篤さん

A.T.Guitars

高野 篤さん
所在地:栃木県さくら市喜連川4620-1
TEL :028-686-3530
URL:http://www.atguitars.com/
※この情報は2016(平成28)年3月時点のものです。

ギタリストのパートナーとなる最高のギターを作りたい/A.T.Guitars 高野 篤さん 
所在地:栃木県さくら市喜連川4620-1 
電話番号:028-686-3530
http://www.atguitars.com/

故郷を子どもたちの心の中につくる取り組み/姫路市立広畑小学校 校長 小林善一先生


姫路市立広畑小学校
校長 小林善一先生

1872(明治5)年の創立から140年以上の歴史を持つ「姫路市立広畑小学校」。小学校の周辺には閑静な住宅街が広がり、東側には夢前川が流れている。南側には「新日鐡株式会社 広畑製鐡所」があり、落ち着いた地域で人情豊かな街でもある。今回はそんな「姫路市立広畑小学校」の歴史や教育、地域とのかかわりについて、校長の小林善一先生に伺った。

はじめに、学校の歴史、概要を教えてください

姫路市立広畑小学校 インタビュー

広畑小学校の歴史は、1872(明治5)年の学制発布にまで遡ります。一番初めは、矢野松次郎さんという方の農舎を借りて始まったと聞いています。教育に対する情熱が地域にあったのではないかと思います。その後、学校制度が整うに従って、新しく校舎を建てたりさまざまな変化がありました。

この辺りはもともと人家も少なく、田園地帯だったのですが、1939(昭和14)年に「広畑製鉄所」ができて以降はどんどんと人口が増えていきました。最盛期には2,000名ほどの児童が通っていたようです。その頃には校舎を建て増ししたり、それでも校舎が足りないということで、少し離れた場所に「広畑第二小学校」も新たにできたりしました。その後は少子高齢化などの影響もあり児童数は減ってきて、現在の全校児童数は250名程度です。

学校の主な教育方針について聞かせていただけますか

姫路市立広畑小学校

最近の子どもたちを見ていますと、夢や希望というような、将来こうしたいんだというような気持ちが薄れているように思います。自分は凄い人間なんだとは思わないまでも、自分は大切な人間なんだと思い、そして将来に向けて頑張ってみようと、成功や失敗を繰り返しながら、成長して行って欲しいと思っています。そして、未来に向けて努力したいと思うようになって欲しいです。

指導に際して、先生方が心がけている事は何でしょうか

姫路市立広畑小学校 インタビュー

特別な取り組みをするわけではなく、どこの学校でもやっているような“普通の事”をしています。ただ、普通のことを着実にやり遂げるというのは大切なことだと考えています。これは、教師にもよく言うのですが、教師が子どもたちを見る時には、多様な尺度を持たなければいけないと思います。大人は学力だったり運動だったり、ひとつの尺度で見てしまいがちです。それは親の目線でもそうだと思います。そういうひとつの尺度で測られると、子どもは窮屈だろうと思いますし、達成感を味わわないまま終わってしまいます。普通の事を普通にやっているんだけれど、その時に教師が多様な目線で、一人ひとりを違った角度から見て評価してやる事が大切だと思っています。

英語の授業に早くから取り組まれていますが、どのような特徴がありますか

姫路市立広畑小学校 インタビュー

2007(平成19)年に「国際理解推進モデル校」の指定を受け英語の授業が始まりました。週に1回、5・6年生が英語の授業を受けています。普段は担任が教えていますが、年に何度かはALTや指導補助の先生に来てもらっています。

何か広畑小学校ならではの行事などありましたら教えてください

姫路市立広畑小学校 インタビュー

先ほども少し話しましたが、この辺りはかつて製鉄が盛んな地域でした。近くの新日鉄住金さんの広畑製鉄所が今も製鉄を続けていて、5年生が毎年見学と体験学習でお世話になっています。故郷を子どもの心の中に作っていくというのは大切なことだと思います。その中のひとつの取り組みとして、地域の産業を知るために、製鉄所の学習を取り入れています。工場見学もありますが、初期の製鉄法である、たたら製鉄の体験学習も行っています。

姫路市立広畑小学校 インタビュー

それと、この地域は高齢化が進んでいます。その中で高齢者の方たちにも大変な援助をいただいています。田んぼを貸していただいて、米作りの体験学習をやっていますが、よく助けていただいています。ほかにも本の読み聞かせや、昔遊びというイベントがあって、学校に来ていただいて、お手玉やコマ回しなど昔ながらの遊びを教えてもらっています。最近では、家庭の中でおじいちゃんおばあちゃんと一緒に暮らしているというような家庭は少ないので、貴重な機会だと思っています。

ほかにも、保護者や地域の方達との関わりは何かありますか

登下校時の子どもたちの見守りもやっていただいていますし、スクールヘルパーとして登録いただいている方たちもいます。子どもを学校に通わせている保護者の皆さんには、忙しくてなかなか学校のことをお願いしにくい面があります。やはり地域の高齢者の方達の援助が大変ありがたいです。

最後に学校周辺の地域の魅力を教えてください

姫路市立広畑小学校 インタビュー

昔から住んでいる方たちも多く、とても暖かい土地柄だと思います。そして、地域の人たちの手によって始まったこの学校の歴史からも想像できるように、子どもを育てることに熱心だと思います。1966(昭和41)年のことですが、当時は保育園が少なく、多くの方が困っていたようです。そこで、どうしたかというと、「自治会立」という全国的に見ても非常に珍しい形で保育園を作ったのだそうです。そうしたことを見ても、地域の子どもたちは地域で育てるんだという思い、そして皆さんこの地域を愛されているというのがよく伝わってきます。

姫路市立広畑小学校

今回、話を聞いた人

姫路市立広畑小学校

校長 小林善一先生

姫路市立広畑小学校
所在地:兵庫県姫路市広畑区清水町1-47
電話番号:079-236-5555
URL:http://www.himeji-hyg.ed.jp/hirohata-e/

※この情報は2015(平成27)年11月時点のものです。

故郷を子どもたちの心の中につくる取り組み/姫路市立広畑小学校 校長 小林善一先生
所在地:兵庫県姫路市広畑区清水町1-47 
電話番号:079-236-5555
http://www.himeji-hyg.ed.jp/hirohata-e/

青山学院の歴史と魅力とは


「渋谷」駅から宮益坂を上り、表参道駅とのほぼ中間地点にある「青山学院」。中でも「青山学院大学」は国内有数の人気私大として華やかなイメージを持たれているが、母体となる「青山学院」自体は、幼稚園から小・中・高等部、女子短大も持つ総合的学園で、明治の創始期からキリスト教信仰に基づいた、質実剛健を旨とする「実学」に重きを置いている。今回は大学の学長として2011(平成23)年から活躍されている仙波憲一先生を訪ね、学院の歴史と大学教育の特徴、地域の魅力などについて、お話を聞いた。

「青山学院」の歴史について教えてください。

学長・仙波憲一先生

青山学院のもともとの発祥は3つあり、麻布の「女子小学校」、築地の「耕教学舎」、横浜の「美會神学校」が最終的にここ、青山の地で集約したという形になっています。一番歴史がある1874(明治7年)年創立の「女子小学校」から数えると、昨年度は140周年ということで、学院全体を挙げて色々な式典や、イベントなども開催したところです。

青山学院の門

創始者の方々が、それぞれの分野で女子教育をしていたわけですが、語学学校を中心にしながら、実学を重視した形へと衣替えをしていく中で、「耕教学舎」と「美會神学校」が統合されました。統合をきっかけに青山に移転し、「東京英和学校」という学校が生まれて、それが1894(明治27)年に「青山学院」になりました。

一方、「女子小学校」は「救世学校」、「海岸女学校」と名前を変えていって、そこから「東京英和女学校」が分かれて、その後また一緒になり、「青山女学院」になって、最終的に1927(昭和2)年に「青山学院」に統合されました。

1号館

そして「青山学院」の中に、戦後の学制改革によって新しく大学が創設されまして、それが「青山学院大学」というわけです。大学の開学は1949(昭和24)年です。今は幼稚園、初等部、中等部、高等部、女子短大、大学、大学院と、幅広く網羅している総合学院になっていまして、時代に貢献できる真の人間形成を目指して、日々、教育に向き合っているところです。

「女子教育」を中心として「幅広く学ぶ」ことを重視している

昔から変わらないポリシーなどがありましたらお聞かせください。

法人本部(ベリーホール)

昔から変わらないものとしては、「女子教育」が中心であることと、もちろん、キリスト教の考えが全体的にあるという部分はありますが、ほかにも、「幅広く学ぶ」という意味での、欧米型の教養教育、私どもはそれを「英学」と言っていますが、そこも変わらない部分かと思います。

関東大震災や、戦時中の空襲でも大きな被害を受けたそうですね。

「時代に貢献できる真の人間形成を目指して、日々、教育に向き合う」

大きな被害を受けましたが、昔の建物も一部ではありますが残っています。1号館と2号館の壁などは元のままですし、位置も変わっていません。正面から入って左手に1号館、2号館があって、奥に間島記念館があって、ベリーホールがあって、という構図は昔から変わっていないです。むしろ、これはもう絶対に崩してはいけないというものなんですね。

間宮記念館と桜

「メソジスト」というプロテスタントの中のひとつの宗派の中から生まれたものでして、その宗派では、基本的に高い建物を建てない、教会も建てない、というのがあります。なので、本学では「礼拝堂」とは呼ばずに「講堂」と呼んでいたり、人が集まれる「スクエア」という場所があったりと、メソジスト独特の構図になっています。イチョウ並木の横にある広場、あれが「スクエア」にあたるわけですね。

生きる術、「メソッド」を考えていく「メソジスト」のポリシー

イチョウ並木も学院のシンボルになっていますけれど、これはやっぱり、学校ですから、緑は絶対に無くしちゃいけないと思っています。学生が憩う場所が必要なんです。都会型のキャンパスだと、憩うところなんて無くてもいいだろう、という考え方の大学も多いようですけれど、私どもは、やっぱり正門から入ったこの雰囲気は、絶対に大事にしなきゃいけないものだと思っています。

「メソジスト」ならではの特徴が、学院の運営にも反映されているわけでしょうか?

震災や戦火を潜り抜けてきた青山学院

この「メソジスト」っていうのは、「メソ」は「メソッド」が語源になっているくらいですから、本来は質実剛健というか、生きる術(すべ)、生き方を考えていく、ということなんですね。経済的なこと、人との付き合い方など、色々な術、「メソッド」を学ぶということが、このメソジストの根底にはあるんです。本学ももともとは、そういう流れなんですね。

学院のシンボルとなっているイチョウ並木

ですから、うちは今でも「質実剛健」を旨としていまして、多分皆さん方の外から見ているイメージと、実際に中でやっていることは、少し違うと思います。有名な方も沢山出ていて、渋谷という土地柄や女子教育ということもあって、どうしても華やかなイメージで見られているけど、「質実剛健」として真面目に勉強していますよ。

雪の日の青山学院

渋谷の街の魅力について教えてください。

1号館

線路を挟んで向こう側は若者の街ですが、こっち側はちょっとアカデミックな、文化的な要素をもった街になっていると思います。いま、このエリアと渋谷の駅の間が再開発されていますけれど、この開発でもっともっと、文化的な要素を持った街にできれば、すごく良いんじゃないかと思いますね。我々も渋谷の開発とともに、何かを一緒にできれば良いな、ということは常に思っています。

イチョウ並木は学生の憩いとなっている

今は本学の向かい側、2015(平成27)年3月に閉館した「子どもの城」が最終的にどうなるかということもありますし、国連大学ビルと、その裏の住宅展示場になっている部分、あの辺りが、大きな開発の目玉になっていくと思いますね。そこがどう変わるかによって、今までの渋谷のイメージも変わっていくんだと思います。

若者の街、高級感のある街、文教エリア、様々な特色のあるこのエリアは、都内でも特殊な地域だと思うんですね。だからこの辺りというのは面白いんだと思います。ですから、今もあるこういう流れを、東急さんがいい方向に流れを持って行って、ひとつの“川”を作ってくれたら、それはすごく面白いことですね。

「『質実剛健』を旨として真面目に勉強する」

私はこの再開発が、「渋谷」がさらに広がれるチャンスだと思っています。まだまだ時間はかかるかと思いますが、未来の渋谷が一体どうなっていくのか、楽しみですね。

青山学院の歴史と魅力とは
所在地:東京都渋谷区渋谷4-4-25 
http://www.aoyama.ac.jp/

「横浜市立本町小学校」インタビュー

数多くの本物・宝物と出会える小学校/横浜市立本町小学校 校長 小澤好一先生


「横浜市立本町小学校」は、1905(明治38)年に創立された伝統校だ。国内初とされるガス工場があった場所に建てられた三代目となる現校舎は、高い機能性を誇っている。積み重ねてきた歴史は知れば知るほどに奥深く、そこでは数え切れないくらいのエピソードと出会うことができる。今回は、そんな「横浜市立本町小学校」の校長、小澤好一先生に学校の概要や街の魅力についてお話を伺った。

街の発展とともに

三代目となる現校舎

――「横浜市立本町小学校」の沿革を聞かせていただけますか?

小澤校長: 本校の前身は、1905(明治38)年に創立した「旧・横浜市立第一高等小学校」です。県内有数の歴史を誇り、当時の校舎は、現在の「横浜市新市庁舎」建設予定地にありました。この場所に移転してきたのは関東大震災後、1927(昭和2)年のことです。国内初とされるガス工場のあった場所に校舎が建てられ、正門のすぐ近くに設置されているガス灯は、ここにガス工場があったという歴史を現在に伝えています。

小澤校長先生

――1984(昭和59)に“三代目”となる現校舎が完成したと聞いています。

小澤校長:当時は先進的な校舎としてメディアにも採り上げられ、全国から注目を集めました。教室と廊下との間に仕切りがなく、その代わりにオープンスペースになっていました。今でこそ珍しくなくなりましたが、当時としては斬新な校舎でした。多くの方が驚いたということは想像に難くありません。

本物にふれて育つもの

広々とした図書館

――子どもに接する上で、最も大切にしていることを教えてください。

小澤校長:“本物にふれる”ことに尽きると思います。子どもたちが本物にふれることで豊かな心が育ち、感性が磨かれていくと考えています。その実践として、たとえば農家の方に指導していただいての米づくり。また、収穫時に喜びを表現する手段として、山形から指導者を招き、花笠踊りの披露もしました。それ以外では「神奈川県立音楽堂」でのコンサートや、民話「スーホの白い馬」に出てくる馬頭琴の演奏を聴いたりもしました。他にも周辺には文化施設が多くあるということもあり、本校の子どもたちはたくさんの“本物”を経験しています。

音楽の授業

――アメリカとは人形を通じた交流があるそうですね。

小澤校長:その話については戦前まで遡ります。青い目の人形は、1927(昭和2)年、親日家の牧師ギューリック博士の提案で、日本の雛祭りに間に合うように送られた親善の人形使節です。その呼びかけに応じて集まった約12,000体もの人形が日本にやってきたのですが、その後徐々に日米関係が悪化し、そのまま太平洋戦争に突き進むこととなりました。敵性国家の人形としてその多くが処分されましたが、そうした時代を生き延びて伝えられた人形が本校の「ブロッソン」です。1987(昭和62)年には、ギューリックさんのお孫さんから「アマンダ」が贈られました。人形を通じた日米間の交流は、子どもたちが演じる「ブロッソンとアマンダの会」で次の世代に伝えています。

「ブロッソン」と「アマンダ」のレプリカ

――生徒指導の一環として「本町スタンダード」なるものを作成しているそうですね。

小澤校長:みんなが安全に、気持ちよく学校生活を送るために明文化した決まりごとです。保護者を含めた全員が、同じ方向を目指して進んでいくためには有効なものだと考えています。本校の朝会では、子どもたちが整然と体育座りをして、話を聴いている光景をご覧いただけます。「本町スタンダード」で“話を聴こうとする姿勢”について全教職員で共通理解していくことで、座り方や話の聴き方が子どもたちに身についていくのだと思います。

小澤校長先生

――「横浜市立横浜吉田中学校」との連携について聞かせていただけますか?

小澤校長:国際色豊かなエリアなので、子どもたちのルーツを尊重しながら、どのように教育していくかが求められます。そうした課題点を共有するために、「横浜市立横浜吉田中学校」から先生が来たり、反対に本校から訪ねていくこともあります。

世界に開かれた港

港街として発展した横浜

――みなとみらいをはじめ、幾つもの観光スポットが点在しています。子どもたちの学習環境としてはいかがでしょうか。

小澤校長:観光客が多いということを学習に活かしています。住んでいる街の魅力をどのように発信していくかという授業では、観光客が自由にみられるパンフレットを作成。観光客は身近な存在なので、目的意識を明確にして取り組むことができます。日常的に外国からの旅行客と接する機会が多くなっていますから、そこでも世界を身近に感じることができます。

授業風景

――この街に期待することはありますか?

小澤校長:絶えず変化している街ですが、“初めて”と付くものが多く、いたるところで様々な歴史に出会うことができます。新旧が調和しながら新しいものが生み出される街ですが、開港から始まる歴史にも目を向け、この街を原点から好きになってくれる方がより増えてほしいとな思います。

――小学校の新設も決定していますね。

小澤校長: 10年間限定の学校ですが、“仮設”というようなものではなく、耐震性を含め、施設面については申し分ないものです。校名は「みなとみらい本町小学校」で、子どもたちの思いから本校と同じ“本町”が付いています。「別れても心はつながっていたい」という思いから、6年生が総合的な学習の時間で歌を制作。色々な方から意見を聞きながらつくった歌詞に自分たちで曲をつけ、プロの方に編曲してもらいました。

1904(明治37)年に「横浜正金銀行本店」として建てられた「神奈川県立歴史博物館」

――周辺エリアの街の魅力を聞かせていただけますか?

小澤校長:以前、船から学区を眺めたことがあります。その光景は美しく、世界に誇れる街だなというのを改めて感じました。「横浜市立本町小学校」の旧校舎が建っていた場所には、新たなシンボルとして「横浜市新市庁舎」ができます。常に変化している一方で、語り始めると終わらないくらいの歴史があることも、この街の魅力ではないかなと思います。

横浜市立本町小学校

横浜市立本町小学校

校長小澤好一先生
所在地 :横浜市中区花咲町3-86
TEL :045-231-0141
URL:http://www.edu.city.yokohama.lg.jp/school/es/honcho/index.cfm/1,html
※この情報は2017(平成29)年2月時点のものです。

数多くの本物・宝物と出会える小学校/横浜市立本町小学校 校長 小澤好一先生
所在地:神奈川県横浜市中区花咲町3-86 
電話番号:045-231-0141
http://www.edu.city.yokohama.lg.jp/schoo..

登園・降園をサポートする市独自の施設

市内全ての保育所(園)をつなぐ。流山の子育て世代を支えるシステム/おおたかの森ナーサリースクール 園長 武田愛真先生


おおたかの森送迎保育ステーション 武田愛真さん
流山市役所子ども家庭部保育課保育係長

市内全ての保育所(園)をつなぐ。流山の子育て世代を
支える「おおたかの森送迎保育ステーション」

おおたかの森送迎保育ステーションインタビュー

流山市内にある26すべての保育所(園)と、拠点となるステーションをバスで結ぶシステムが流山市の「送迎保育ステーション」だ。「おおたかの森送迎保育ステーション」はつくばエクスプレス「流山おおたかの森」駅とデッキで直結した「ライフガーデン流山おおたかの森」ビルの4階、認可保育園「おおたかの森ナーサリースクール フォレストキッズガーデン」の一角にあり、電車で通勤する保護者が立ち寄りやすい場所となっている。

 

今回は、こちらの施設を企画・運営している流山市役所子ども家庭部保育課の保育係長と、現場で運営にあたっている、「おおたかの森ナーサリースクール」の園長、武田愛真さんにお話をうかがった。

全国的にも、自治体が主導してこのような送迎システムを構築している例は少ないかと思いますが、実現に至った経緯についてお聞かせください

おおたかの森送迎保育ステーションインタビュー

保育係長:つくばエクスプレスが開業したのは2005(平成17)年の8月のことですが、その前年度から、「まちづくり検討会」という組織が、行政と、もともと地元で保育園をされていた「フォレストキッズガーデン」の運営母体の高砂福祉会さんや、地元の方々で構成されました。その検討会の中で、駅前にできる予定があったビルの利用について検討したんです。

そのうち、一区画を使えるということになりましたので、この送迎保育ステーションをオープンすることになりました。ステーションがオープンしたのは、2007(平成19)年の7月、ビルが完成した翌月ごろのことです。

どのような方が利用できるのでしょうか?

おおたかの森送迎保育ステーションインタビュー

保育係長:市内には現在、保育所(園)が26か所ありますが、そのすべての園と送迎保育ステーションをバスで結んでいます。ステーションは保護者が自分で子どもを保育所(園)に送迎するのが難しい方のために作られたので、「市内の保育所(園)に入所している1歳以上の児童」で、「保育所(園)の開所時間が保護者の通勤時間帯等と調整が容易ではない理由がある」ということが、利用のひとつの基準となります。たとえば住所地と保育所(園)が離れていて、保護者の方の通勤時間の調整が難しい、という場合も対象になります。

おおたかの森送迎保育ステーションインタビュー

行政側の事情としてはもうひとつ、入園希望者が交通の便の良い園に集中し、交通アクセスがあまり良くない場所の保育所(園)には少なくなっておりまして、それを解消し、待機児童を減らすための方策という側面もございます。

送迎保育ステーションの利用法、利用時間について教えてください。

おおたかの森送迎保育ステーションインタビュー

保育係長:仕組みとしては、朝の7時から8時の間にお子さんをここに預けていただいて、夕方は16時から18時までの間に迎えに来られるということが基本となっております。19時までであれば、延長保育ということで、お子さんをお預かりすることもしております。

おおたかの森送迎保育ステーションインタビュー

武田:朝8時までに来た子どもたちは、バスに乗ってそれぞれの園に向かうわけですが、このバスは送迎ステーションが運行するバスになりますので、運転手のほかに、ステーションの職員が2名同乗します。この職員についても、保育士か幼稚園教諭の資格を持っている方か、過去に子育ての経験があるという方を採用しています。

 

ですから、バスの中も保育時間と考えておりまして、一緒に歌を歌ったり、手遊びをしたりしながら、各園に送り届ける間も楽しめる時間にしています。園についたら、それぞれの園の保育士さんに引き渡すという仕組みです。

おおたかの森送迎保育ステーションインタビュー

保育係長:これは当然のこととも言えますが、この事業が始まって以来、一度も事故を起こしていませんし、お子さんの安全面については最大限の配慮をしています。

武田:園から戻ってきて、保護者の方のお迎えを待っている間も、子どもたちはここでブロックで遊んだり、絵本を読んだり、かるたをやったりと、好きなことをしながら過ごしていますので、みんな楽しんでいると思いますよ。

利用するためには、どのような手続きが必要でしょうか?

おおたかの森送迎保育ステーションインタビュー

保育係長:市への書面での申し込みが必要になりますので、まずそれをご提出いただいてから、ステーションのスタッフと面接をします。最終的には市で決定をいたしまして、書面で利用の可否をお知らせします。年度初めに申し込まれる方が多いですが、年度途中からの利用も可能ですよ。

年齢については、お子さん自身が、自分の荷物を持って歩けるようになってから、というのが前提になります。だいたい1歳半ぐらいになるでしょうか。

現在の利用者数については、登録されている方の数ということで言いますと、南流山にある「南流山送迎保育ステーション」と合わせて170人ぐらいです。のべ利用者数については、2013(平成25)年度ですと、年間で約4万人の利用がありました。

なお、2月と3月に説明会も開催しておりますので、そちらにご参加いただければ、詳しい説明が受けられるかと思います。利用は1年単位の登録制ですので、継続利用の場合は、年度末までに翌年度の申込みをしていただきます。

送り迎えのどちらかだけをお願いしたり、時々、園に直接送ったり、迎えに行ったりという利用の仕方は可能でしょうか?

おおたかの森送迎保育ステーションインタビュー

武田:もちろん、送迎のどちらかだけの利用もできますし、当日になって急に送迎先を変えたい、という場合にも対応が可能です。基本的には事前に文書でいただく形が良いのですが、当日の急な変更については、メールで連絡をいただければ対応させていただきます。

このような送迎保育ステーションは全国的にも珍しく、各地の自治体から視察なども絶えないと聞きます。その成功の秘密はどんな点にあると思われますか?

ライフガーデン流山おおたかの森

保育係長:支持されている理由のひとつは、「市内の全ての保育所(園)をつないでいる」という点が大きいと思います。これは全国でも、流山市だけかと思います。

もうひとつは、駅前のビル内という立地条件の良さでしょうか。やはり通勤の途中に立ち寄るという方がほとんどですから、電車通勤の方には非常に便利な場所かと思います。雨でもまず濡れる心配は無いと思います。

最後に、流山エリアの魅力についてお聞かせください。

駒木ふるさとの森

保育係長:流山市は政策として、「お子様のいる共働き世代」の呼び込みを図っていまして、この送迎保育ステーションをはじめ、子育て世代に向けた施策は充実しているかと自負しております。「都心からいちばん近い森の街」というキャッチフレーズも掲げている通り、電車で都心から20分という近さにありながら、自然もたくさん残っています。

 

のびのびと子育てをしていただける街になっていますので、ぜひたくさんのファミリーに、お住まいになっていただきたいですね。

おおたかの森送迎保育ステーションインタビュー

今回、話を聞いた人

おおたかの森ナーサリースクール
園長 武田愛真さん
流山市役所子ども家庭部保育課
保育係長

住所:千葉県流山市東初石6-183-1 ライフガーデン流山おおたかの森4F
    フォレストキッズガーデン内
電話番号:04-7153-4123(フォレストキッズガーデン)、
       04-7150-6124(流山市役所子ども家庭部保育課)
利用時間:7:00~9:00、16:00~18:00
利用料金:月極2,000円、スポット100円

※この情報は2014(平成26)年6月時点のものです。

市内全ての保育所(園)をつなぐ。流山の子育て世代を支えるシステム/おおたかの森ナーサリースクール 園長 武田愛真先生
所在地:千葉県流山市東初石6-183-1 ライフガーデン4F
電話番号:04-7150-6124(流山市役所子ども家庭部保育課)
利用時間:朝7:00~9:00、夕方16:00~18:00

http://ons.tksg.ed.jp/station/

世田谷区立塚戸小学校 校長先生 インタビュー

地域と共に子ども達を育む創立141年目を迎える伝統校/世田谷区立塚戸小学校 校長 永山満義先生、学校運営委員 中島肖子さん


1875(明治8)年の創立より141年目を迎える歴史と伝統のある「世田谷区立塚戸小学校」。児童数 1,077名を数える世田谷区内でもっとも規模の大きい学校で、保護者・地域・学校が連携した“地域運営学校”としてさまざまな取り組みを実施しています。屋上の田んぼで行われる「稲作体験」をはじめ、「防災教育」にもつながる避難所体験「サバイバルキャンプ(1泊2日)」、炭火でパンを焼いて食べる「あそぼうパン」など、子ども達の興味関心を引く取り組みにも注目が集まっています。今回は「世田谷区立塚戸小学校」の校長として5年目を迎える永山満義先生と学校運営委員のひとりとして学校運営をサポートする中島肖子さんに、学校の歴史や特徴、地域運営学校としての取り組みなどについてお話を伺いました。

学校運営委員会と協力して進める地域に開かれた学校づくり

世田谷区立塚戸小学校

――まず、「塚戸小学校」の概要について教えてください。

永山校長:「世田谷区立塚戸小学校」は1875(明治8)年の創立より141年目を迎える歴史と伝統のある小学校です。2016(平成28)4月現在、児童数は30学級1,077名。世田谷区内でもっとも規模の大きい小学校となっています。

また、2009(平成21)年には“地域運営学校”としての指定を受け、校長を含む10名の学校運営委員を中心に、世田谷区の教育ビジョンとして掲げられている「地域と共に子どもを育む学校」を目指した取り組みも行っています。

――“地域運営学校”について教えて頂けますか。

永山校長

永山校長:世田谷区では1997年(平成9)年に区内の小・中学校すべてに“学校協議会”を設置し、“開かれた学校づくり”を目指して地域と共に子どもを育てる教育を推進してきました。2016年(平成28)年4月現在、小学校63校、中学校29校の計92校すべてが“地域運営学校”としての指定を受け、保護者・地域・学校がひとつになってさまざまな取り組みを行っています。

“地域運営学校”には“学校運営委員会”が設置され、校長を含む10名が学校運営委員として選任されています。今日のインタビューに同席いただいた中島肖子さんも学校運営委員のひとりで、「地域のことなら私よりも中島さんに話を聞いた方がよく分かる!」と思い、相談したらかけつけてくれました。

学校運営委員の中村さんと永山校長

学校運営委員会は学校の応援団と表現されることも多く、学校と地域、保護者とのあいだの情報交換を促してくれます。日々の学校の様子を地域や保護者の方にわかりやすく伝えるパイプ役です。月に1度の運営委員会は、年度ごとに校長が作成する学校経営方針の承認の場にもなっています。日々の学校の様子などを聞き、学校行事や授業等で何かお手伝いできることがあるかを考え、必要に応じて地域の方にお伝えして、力をお借りします。

校庭の様子

授業のお手伝いとしては、例えば5年生の社会の授業の稲作体験では、地域の上祖師谷郷土研究会の皆さんの協力をいただき、5月の田植えに始まり、11月には稲刈り、脱穀の体験授業をコーディネイトしています。日頃の田んぼの管理も学校運営員で行っています。PTA主催のサバイバルキャンプという5・6年生の希望者を募る防災宿泊体験のお手伝いもします。地元の自治会、消防署を始めとした地域のあらゆる団体の100名以上の大人の協力をいただきます。消火器体験、担架訓練はじめ、さまざまな防災訓練とお楽しみとして怖い話しや学校探検も行っています。

このように、学校運営委員の役割は、学校の教育活動の充実にはなくてはならないものであり、学校運営委員会は現場の教師にとって“応援団でありコーディネーター”としてとても頼りになる存在です。

日々の教育にうるおいをもたらす“塚戸チャレンジ”

「稲作体験」を行う屋上の田んぼ

――“塚戸チャレンジ”について詳しく教えてください。

中島さん:学校運営委員主催で年間を通して塚戸チャレンジという行事も5~6回くらい開催しています。前述の稲作体験での藁を利用した藁細工体験始め、運動会前の走り方教室、また塚戸版逃走中というおもしろい取り組みもあります。黒いサングラスに黒いスーツをまとった「おやじの会」のハンターたちが子どもたちを追いかけます。運動能力の低下が指摘される子どもたちが、思いっきり走ったり、追っかけたりと楽しみながら体力向上ができる機会を提供したいと考えています。子どもたち、学校、地域を楽しく豊かに繋げていくのが役割です。

永山校長:私もサングラスをかけ、スーツ姿で参加しました。大人も子ども達と一緒になって楽しめるこの企画に、たいへん魅力を感じました。こういった地域行事は、国語や算数のような教科教育とはまた異なり、日々の教育にうるおいをもたらす貴重な取り組みだと感じています。

子ども達が主体的に学習するための工夫が必要

地域とともに子ども達を育む創立より141年目を迎える伝統校

――授業への取り組み方について教えてください。

永山校長:2015(平成27)年度の校内研究として「意欲をもって主体的に学ぼうとする児童の育成~協働的な活動の指導の工夫~」をテーマに揚げました。これまで国語や社会など特定の教科に絞って研究に取り組んだこともあったのですが、子ども達が主体的に学習することの大切さをあらためて感じ、あえて特定の教科に絞らずにすべての教科に通じる研究課題としました。

廊下

教師は授業を通じて子ども達に指導します。しかし、勉強は学校だけでするものではありません。これだけ変化の激しい世の中では、つねに新しいことを学び続けなければなりません。いわゆる“生涯学習”です。そのためには、子ども達自身が自ら考えたり、進んで学んだりする力を身につけさせることや、児童の意欲関心を育てることが大切となってきます。その手立ての一つとして、地域教材を工夫したり、地域のゲストティーチャーに協力による“体験”を通じた学習の機会を設けたりすることが挙げられます。5年生の稲作体験もそのひとつです。

また、2年前には「自ら危険を予測し、回避する児童の育成」というテーマで“安全教育”にも取り組み、本校で全国安全教育研究大会を開催しました。北海道から沖縄まで、全国から約500名の方々が参加し、防災、防犯、交通安全等などについて研究を深めました。その時にも、地域の方々や後で述べるTAPの方々のご協力をいただきました。

“地域がしっかりしている”のが何よりの魅力

学校周辺の落ち着いた環境

――学校周辺の地域の魅力についてお聞かせください。

永山校長:私は「世田谷区立塚戸小学校」の校長と「塚戸幼稚園」の園長を兼任していますが、どちらの保護者の方も小学校や幼稚園にたいへん協力的です。地域の連携力も強く、ご近所同士のつながりも深く、ひと昔前の東京の良さを引き継いでいるような地域です。

学校の周りは大型マンションや住宅が多く、とても閑静です。また近くには「世田谷区立千歳中学校」「都立芦花高等学校」や保育園があり、“文教地区”と呼ぶのにも相応しい落ち着いた地域です。

学校運営委員 中島肖子さん

中島さん:学校の周りの住宅地には小さな公園がいくつもあり、放課後や休日などには子ども達のいこいの場所となっています。習い事や買い物など「千歳烏山」や、「千歳船橋」、「祖師ヶ谷大蔵」「成城学園前」方面を利用する場合もあり、生活圏は広範囲にわたっています。

また、世田谷区ではすべての区立小学校で「BOP(ボップ):Base Of Playing」という放課後の遊び場が設けられているため、校内で安全に過ごすこともできますので、親として安心です。さらに2007(平成19)年には塚戸安全パトロール隊(TAP)が発足し、現在20代から80代までの90名程の地域の方々が子どもたちの見守り活動をしてくれています。登下校や放課後の見守りを始め、学校授業のボランティアなど「できるときに・できるひとが・できる範囲で」をモットーに緩やかに関わってくれています。保護者でもない、先生でもない、そんな地域の大人の存在は子どもたちにとってとても大切です。揃いの青いジャンパーを来たTAPのメンバーが「おはよう」と声をかけます。自然な挨拶が生まれています。時には、悩み事を相談したりする場面も見られます。

コミュニケーション能力が育まれる大規模校ならではの良さ

校庭の桜

――最後に、これから「世田谷区立塚戸小学校」へ入学を検討しているご家族にメッセージをお願いします。

永山校長:本校は1,000人を超える大規模校です。だから何をやるにも迫力があります。特に秋に実施される運動会は、昭和時代を思わせるような熱気と興奮に包まれます。人数が多いので。子ども達はお互いに切磋琢磨しながら学び合ったり良さを認め合ったりしています。異学年の交流も盛んで、高学年は低学年を優しく見守り、低学年は高学年を頼っています。隣接する併設幼稚園との交流や、学期始めの集団登校など、年齢を超えたコミュニケーション能力の育成にも力を入れています。

子どもの人数が多いということは、教職員の数も多いということです。本校は「すべての教職員ですべての子どもたちを育てる」という経営方針のもとで、たくさんの目で子ども達の豊かな人間性を育てています。まさに、温かい保護者や地域に見守られながら子ども達一人一人が伸び伸びと育っていくことのできる「大規模だけどアットホーム」な学校です。

世田谷区立塚戸小学校

校長 永山満義先生
学校運営委員 中島肖子さん
所在地 :東京都世田谷区千歳台6−7−1
TEL :03-3300-5166
URL:http://www.setagaya.ed.jp/tsudo/
※この情報は2016(平成28)年4月時点のものです。

地域と共に子ども達を育む創立141年目を迎える伝統校/世田谷区立塚戸小学校 校長 永山満義先生、学校運営委員 中島肖子さん
所在地:東京都世田谷区千歳台6-7-1 
電話番号:03-3300-5166
http://school.setagaya.ed.jp/tsudo/

大田区立馬込小学校 田村浩一校長 インタビュー

道徳教育への取り組みを通して育まれる子どもたちの自己肯定感/大田区立馬込小学校 校長 田村浩一先生


1878(明治11)年の開校より137年を迎える歴史と伝統のある「大田区立馬込小学校」。「大田区教育委員会教育研究推進校」として特別活動・道徳教育に取り組み、“褒めて、伸ばす”子どもたちの自己肯定感を育む働きかけが、児童も保護者も地域も教職員もみんなが“大好きな学校”と呼べる校風を生み出しているようです。今回は2015(平成27)年4月に校長として着任した田村浩一先生に「大田区立馬込小学校」の特色と地域の魅力についてお話を伺いました。

歴史と伝統を受け継ぐ小学校

――貴校の概要、教育方針について教えてください。

田村校長:「大田区立馬込小学校」は、1878(明治11)年の開校より137年を迎える歴史と伝統のある学校です。児童数は2015(平成27)年4月に新入生98名を迎え、各学年2~3クラスの全17学級545名です。

「大田区立馬込小学校」

2015(平成27)年度の教育方針については当校のHPでもご覧いただけますが、「児童も保護者も地域も教職員もみんなが“大好きな学校”を目指す」ことを学校経営の基本テーマとして掲げ、「健康な子ども」、「心の豊かな子ども」、「考える子ども」の3つを教育目標とし、なかでも「心の豊かな子ども」を重点目標としています。

教育目標の掲示

子どもの自己肯定感を育む特別活動・道徳教育への取り組み

――大田区教育委員会教育研究推進校の指定を受けているそうですね。

田村校長:「大田区立馬込小学校」では「大田区教育委員会教育研究推進校」として平成26年、27年と2年間にわたり、「自信をはぐくむ あたたかな学校」を主題に掲げ、主に特別活動と道徳教育を通じた研究に取り組んでいます。

道徳教育に注力しています

つい先日、研究発表を終えたばかりですが、子どもたちに根付いた“思いやり”の心が普段の生活にも随所にあらわれているように感じられます。当校では“たてわり班”による特別活動も積極的に取り入れているのですが、高学年のお兄さん、お姉さんが低学年の子どもたちの面倒をみることは日常的に行われていることですし、男女が協力して物事に取り組む光景もよく見られ、2年間の取り組みが今まさに良い流れとなってあらわれているようです。

開校137年を超える伝統校

特別活動や道徳教育に取り組むようになった経緯としては、授業中に自信をもって発言できなかったり、モジモジして手を挙げられなかったりという光景がたびたび見受けられたため、子どもたちの自尊感情や自己肯定感、自己有用感を育むことの必要性を感じたということがあります。そこで、学級会などで皆が意見の言いやすい環境をつくり上げる特別活動を行うようになりました。

「大田区教育委員会教育研究推進校」の指定を受ける2年ほど前から“褒めて、育てよう”という自己肯定感を育む働きかけは行われていましたが、「自分がみんなの役に立っているんだ」とか「こういったことができるんだ」という実感を得られることで、結果的に普段の授業へも積極的に取り組むようになり、学力の向上にも結びついているようです。

廊下にある作品展示

体力作りや、基礎学力の向上を目指す取り組み

――特色ある取り組みについて教えてください。

田村校長:「大田区立馬込小学校」ならではの取り組みとしては、始業前の8時15分から行う「馬込小マラソンタイム」や、8時30分からの「読書タイム」、「国語タイム」、「算数タイム」と朝時間をフルに活用していることがあげられます。

当校では朝の集会がある日を除き、週3回8時15分から「馬込小マラソンタイム」を実施しています。ラジオ体操からはじまり、全学年の子どもたちが一緒になって3分間校庭を走るのですが、健康的な心身を養う体力づくりに役立っています。

「大田区立馬込小学校」校庭

また体力づくりという点では“5種目チャレンジ検定”も代々続く取り組みで、「竹馬(鉄馬)」、「一輪車」、「鉄棒」、「登り棒」、「うんてい」の5種目にそれぞれ合格基準を設け、5種目すべてをクリアすると賞状の授与が行われます。さらに検定の合格者にはより高い基準を設けた「特別表彰」検定もあり、子どもたちの意欲を高めながら体力づくりを推進しています。

――学習面で独自の取り組みはありますか。

田村校長:大田区のステップ学習ドリルに加え、東京都教育委員会が作成した「東京ベーシックドリル」も取り入れています。全問正解しないと次のステップへと進めない仕組みになっており、子どもたちも意欲をもって取り組んでいます。他にも、本校独自の取り組みとしては、算数が苦手な児童を対象に、放課後の時間を使って、教員がついて丁寧に補習を行う「算数パワーアップタイム」という取り組みもあります。

教育指導案

また、2013(平成25)年に整備された屋上の芝生広場では、ビオトープでの自然観察学習や、馬込特産の“半白キュウリ”を栽培、収穫し学習に生かすなど幅広く活用されています。常に開放されているため子どもたちにとっての憩いの場にもなっているようで、区内でも珍しい恵まれた環境だと思います。

屋上の芝生広場

歴史と伝統により培われてきた誇るべき学校の取り組みを生かしつつ、子どもの自己肯定感を育むあたらしい取り組みにチャレンジすることで、より良い学校づくりを進めていきたいと思います。

“人”の良さを感じられる街に支えられて

――馬込エリアの魅力について教えてください。

田村校長:これまで大田区内をはじめ江東区や八丈島の学校でも学校運営を通して多くの子どもたち、また保護者の方々と接してきましたが、この4月に着任して感じたのは「大田区立馬込小学校」にはおだやかな性格の子どもが多いなということでした。

地域に愛され137年

また保護者や地域の方々も教育に関心が高く学校運営にも協力的ですし、地域とともに歩んできた歴史と伝統のある学校ならではの気風に魅力を感じました。私自身も池上本門寺のあたりに20年ほど住んでいますが、“人”の良さを感じられる素晴らしい地域だと思います。

学校と地域とのつながりという点では、学校の西側にある「馬込八幡神社」で行われるお祭りはこの地域ならではのイベントです。当校の子どもたちも各町会の山車をひいたり、神輿を担いだりと多くの子どもたちが参加しています。

馬込八幡神社

また「大田区立馬込小学校」は同窓会の組織がしっかりとしていて、4月下旬に開催される同窓会主催の「くすのき祭」では、フリーマーケットや模擬店、売店などが揃い、多くの人で賑わいます。さらにPTA主催の「ともがき祭」といったイベントもあり、11月の秋空のもとふかしたお芋をいただきながらみんなで遊びます。

――これから入学を検討しているご家族や地域の方へのメッセージをお願いします。

田村校長:「大田区立馬込小学校」では引き続き「大田区教育委員会教育研究推進校」として取り組んできた道徳教育の成果を生かしていく予定です。

この取り組みに際して現場の先生方とも“叱るのではなく、できたときに褒める”ことを徹底して行ってきました。しかも、ただ褒めるのではなく、「やったね〜! よくできたね〜!!」などと子どもたちもややびっくりするくらいのリアクションを工夫することで、自己肯定感を育むきっかけをより分かりやすく伝えてこられたと思います。子どもを叱るのは簡単ですが、褒めるというのは案外むずかしいものです。ぜひご家庭においても“褒める”ことを積極的にしてみてください。

校長先生

大田区立馬込小学校

校長 田村浩一先生
東京都大田区南馬込1-34-1
TEL:03-3773-3965
http://magome-es.ota-school.ed.jp/
※この情報は2015(平成27)年11月時点のものです。

道徳教育への取り組みを通して育まれる子どもたちの自己肯定感/大田区立馬込小学校 校長 田村浩一先生
所在地:東京都大田区南馬込1-34-1 
電話番号:03-3773-3965
http://magome-es.ota-school.ed.jp/

川崎市立小倉小学校 校長 佐川昌広先生インタビュー

地域とのつながりを大切にし、一緒に子どもたちの成長を見守る/川崎市立小倉小学校 校長 佐川昌広先生


1954(昭和29)年に開校した「川崎市立小倉小学校」。2014(平成26)年に開校60周年を迎えた。今では、資源エネルギー庁から「エネルギー教育モデル校」に選定され、教科の枠を超えて、児童たちはエネルギー環境について学んでいる。また小倉小学校は、地域とのつながりを大切にしているという。そんな「川崎市立小倉小学校」の特色と地域の魅力について、校長の佐川昌広先生にお話を伺った。

エネルギー環境教育に力を入れる小倉小学校

小倉小学校 校長 佐川昌広先生

―まずは学校の沿革を教えてください。

佐川校長:今年で創立62年になります。2014(平成26)年に60周年記念式典をやったのですが、ちょうどゴジラと同じ歳ですね。高度経済成長期が始まった頃にできた学校です。「日吉小学校」が近くにあるんですが、そこから分かれる形で開校しました。

―小倉小学校ならではの取り組みはありますか?

佐川校長:2016(平成28)年から経済産業省の資源エネルギー庁から「エネルギー教育モデル校」に選定されました。理科や社会などの各授業の中で、エネルギー環境教育に関わる取り組みを行っています。矢上川や多摩川の探検、ビオトープの整備などの他、川崎市はエネルギーなどの環境技術に力を入れているので、そのような企業や省エネの活動をしている市民団体に出前授業をしていただいています。また、発電所や市内の工場地帯の見学にも行っています。2015(平成27)年には児童に学校で、どんな省エネやエコに取り組んでいるか調べてもらいました。

エネルギー教育モデル校 認定書

「基本的なこと」を大切にする教育方針

佐川校長:朝の集会の時間や中休みの時間を使った、縦割り活動に力を入れています。グループに分かれて縦割り班を作り、一緒に遊んでいます。縦割り活動を始めてから、高学年が低学年の面倒をみるということが増えてきたので、高学年がしっかりしてきたといいますか、自覚を持つようになったと思います。

学級討論会の様子

学習面では国語の研究を行っています。「お互いの良さを認め合いながら話せる子、聞ける子」をテーマにしており、これもコミュニケーション能力の育成にとても効果があると思っています。

こういったテーマで授業を進めていると、国語以外の他の教科でも、相手の話をよく聞くことができ、相手のことを認めながら話し合う力がついてきたかなと思います。

佐川校長:もう一つ特徴的なこととして、「おぐらほっこりブック」を創立60周年の際に作りました。簡単に言うと、小倉小学校のルールブックです。「挨拶しよう」や「話は最後まで聞こう」など、日頃の生活の中で大切なことを書いており、この「おぐらほっこりブック」を使って学級経営をしています。例えば、クラスの目標についても、「今週はどの目標にしようか?」とこの本から選んで実践するようにしています。

創立60周年時に制作した「おぐらほっこりブック」

このように他の学年の子と仲良くしよう、話し合いのときは相手の話をちゃんと聞こうといった、基本的なことを大切にしています。国語の研究にしても、このようなブックにしても、縦割り活動にしてもそうです。

また、「挨拶をしよう」というテーマで、1997(平成9)年から毎年、全校児童で挨拶のポスターを作っています。制作したポスターは、体育館側の塀の外に向かって全員分を掲示しています。

挨拶のポスター以外にも、校内には様々な絵が掲示されている

長年続く、地域とのお付き合い

―地域や保護者と協力して取り組んでいることはありますか?

佐川校長:保護者の方には旗当番を毎朝してもらっています。保護者の方に、自分の住んでいる地域の各ポイントに旗を持って立ってもらうんです。子どもたちを交通事故から守ろうということから始まりましたが、これはもう46年も続いています。

町内会の方々とも協力していろいろとやっています。学校の運動会とは別に、町内会の運動会があり、子どもたちが中心となって開催しています。秋の敬老会では、お年寄りのために子どもたちが踊ったり、太鼓の演奏をしたりします。逆に地域の方たちは、授業のために福祉体験や、火おこし体験などの支援をしてくださっています。そのほかにも、七夕シーズンには笹を農家の方にいただくなど、本校は地域の皆さんに支えられています。

教室の様子

また「地域ふれあいの会」という「川崎市立南加瀬中学校区地域教育会議」があります。「川崎市立南加瀬中学校」、「川崎市立小倉小学校」、「川崎市立南加瀬小学校」、「川崎市立夢見ヶ崎小学校」の4校と、地域の方々が「地域ふれあいの会」というものを開いて、子どもたちのためにいろいろな遊びのコーナーを作ってくれたり軽食を作ってくれたりします。2年ごとに交代制で各学校で開催されるのですが、2014(平成26)年と2015(平成27)年は本校が会場となりました。

昔遊びとして、地域の方に教えてもらいながらタコを作ったり、消防車に来てもらって、煙や非常食などの防災体験をしたりしました。

昔ながらの自然を残しながら発展する小倉地区

小倉小学校の廊下にて

―最後に、小倉エリアの魅力や子育て環境の魅力について教えてください。

佐川校長:小倉の町内会がまとまっているので、町内会の運動会や敬老会とか、小倉神社のお祭りも皆で仲良くやっています。小学生の女の子たちが、着飾って神社で舞を舞う、「舞姫」という出し物もやりますよ。

―住環境はいかがでしょうか。

佐川校長:新川崎に出れば東京も近いし、横浜も日吉からいけるので便利です。また、昔から自然が残っているんですよ。鶴見川や矢上川が近く、加瀬山という山には「夢見ヶ崎動物公園」があり、自然豊かな環境となっています。今でも多くの野鳥がおり、キツツキの仲間も飛んできます。一方で、新しい商業施設もできつつあるので、買い物の場所など、小倉周辺はこれから変わっていくと思います。だんだん新しくなってきていながらも、昔ながらの自然が残る、便利さと自然が共存する街になっていくと思います。

 小倉小学校

川崎市立小倉小学校

校長 佐川昌広先生
川崎市幸区小倉2-20-1
TEL :044-588-3331
URL:http://www.keins.city.kawasaki.jp/2/ke203301/
※この情報は2016(平成28)年7月時点のものです。

地域とのつながりを大切にし、一緒に子どもたちの成長を見守る/川崎市立小倉小学校 校長 佐川昌広先生
所在地:神奈川県川崎市幸区小倉2-20-1 
電話番号:044-588-3331
http://www.keins.city.kawasaki.jp/2/ke20..

「グローバルキッズ コトニア西船橋園」 園長 渡部葉子さん/「LispoGymコトニア西船橋店」 施設長 西川徹郎さん インタビュー

地域に根差した施設を目指して。多世代に向けた「コトニア西船橋」の取り組み/「グローバルキッズ コトニア西船橋園」 園長 渡部葉子さん


2016(平成28)年4月1日、JR総武線「下総中山」駅~「西船橋」駅間の高架下で「コトニア西船橋」が誕生した。JR東日本グループ・千葉支社管内では初となる子育て支援と高齢者福祉の複合施設だ。 「COTONIOR(コトニア)」とは、「子ども(codomo)+と(to)+シニア(senior)」からなる造語。双方の施設は扉一枚で行き来できるようになっており、今後は世代間交流を目的としたプログラムが予定されている。少子高齢化時代に誕生した「コトニア西船橋」の2施設を訪ね、お話を伺ってきた。

グローバルキッズ コトニア西船橋園

子ども達の声が元気と笑顔をつくる

まずは「グローバルキッズ コトニア西船橋園」の園長、笑顔が素敵な渡部先生にお話を伺った。

お話を伺った渡部園長

――「グローバルキッズ コトニア西船橋園」の概要を聞かせてください。

渡部先生: 当園は2016(平成28)年4月1日に開園し、0歳児から5歳児までの子どもをお預かりする定員90名の施設です。子ども達の主体性・自主性を尊重した上で、明るく伸び伸びと園生活を送ってもらえたらと考えています。さらに言えば、“ありがとう”という感謝の言葉が自然に出る子どもに育ってほしいですね。

コトニア西船橋園

――親御さんにとって、どのような食事が提供されるのかは気になるテーマだと思います。

渡部先生: 厚生労働省のガイドラインに沿い、お子さんが食べたことのない食材は提供しないようにしています。全て園の給食室で手作りしていますので、離乳食は子どもの成長に合わせた食事を提供することが可能になります。登園時に当日の献立が分かるようにし、降園時にもサンプルを置くなどして、子どもが食べたものがひと目で分かるようにしています。また、最近野菜を自分たちで育てたり、スイカを栽培して、夏にはスイカ割りをしたいね、と計画しています。育てている野菜は職員が好きなものばかりなんですけどね(笑)

独自に作られている園内の家具

――1日の大まかな園生活について伺えますか?

渡部先生: 午前中は、子ども達と近くの公園まで散歩します。園の周辺には公園が点在しているので、散歩コースもバリエーションに富んでいます。たとえ雨が降っても、園庭は高架下にあるので全く問題ありません。散歩、そして遊びの後は昼食です。クラスによって食べる時間は異なりますが、昼食を終えると昼寝の時間となります。

また、屋内に置かれている机や椅子、設置されている家具などの多くは独自に作られたもので、子どもはもちろん、親御さんなど利用する人みんなにもやさしい設計になっています。例えば、一人ひとりに充てられるロッカーは廊下側からも明けることが出来、送り迎えする際には親御さんが部屋に入ることなくロッカーから物を出し入れすることも可能です。

剥離剥落対策が実施された高架下

――利用されている方の感想はいかがでしょうか?

渡部先生: 高架下であるにも関わらず、想像していた以上にずっと静かで驚いたという感想は多くいただきますよ。騒音・振動を抑えるため二重サッシにされていることも大きいようですね。
木を基調とした明るい雰囲気も好評です。また、3駅を利用できるロケーション、そして天気に左右されることなく遊べる園庭があることも喜ばれています。

――年間で行われる行事について教えてください。

渡部先生: 季節の行事を中心として、これからであれば、夏祭り、10月には運動会も行います。運動会はすぐ近くの「小栗原小学校」の校庭をお借りして行います。他にもクリスマス会や新年を祝う会などの開催を予定しています。今後は、地域のお祭りなどにも参加してみたいですね。

明るく清潔な園内

――「コトニア」内にあることで、どのようなメリットを感じていますか?

渡部先生: いつでも簡単に世代間交流が図れるのは嬉しいですね。人生の大ベテランに見守ってもらえることの安心感もあります。今後は、夏祭りといった園の行事などにも「LispoGymコトニア西船橋店」の利用者さんを招待するなどして、色々な交流ができるようにしていきたいです。

コトニア西船橋園

――生活・子育てをテーマにした場合、周辺の環境はいかがでしょうか。

渡部先生: 「下総中山」駅、「西船橋」駅、「東中山」駅の3駅を利用できるアクセス性に優れた環境です。また、商業施設が点在しているので日々の買い物で困ることはありません。歴史のある街ですが、利便性を享受できるなど新旧が混在していることも魅力です。少し距離はありますが、「行田公園」も生活圏内ですので、自然を身近に感じられるというのも魅力ではないかと思います。

健康を維持して楽しい人生を

LispoGymコトニア西船橋店

次に、お隣の「LispoGymコトニア西船橋店」の施設長、西川さんに施設の概要と今後の展開についてもお話を伺った。

爽やかにこたえて下さった西川さん

――「LispoGymコトニア西船橋店」の概要を聞かせてください。

西川さん: 午前中はサーキットトレーニングのジムで、午後はデイサービスを提供しています。高齢者でも無理なく体力向上を図れるサーキットトレーニングのほかに、インナーマッスルを鍛えるなどして、体全体を整えるレッスンもあります。土曜日にはキッズ向けのダンスレッスンも行っており、こちらも人気のプログラムです。

デイサービスについてですが、最大のテーマは健康寿命をいかに伸ばすかということです。筋力をつけるということは、転倒予防にも効果があるということでもあります。人生を楽しむためには健康が大前提。その部分で、我々が力になれることはたくさんあると考えています。

地域に根ざしたトレーニング施設

――利用者さんの年齢層を教えていただけますか?

西川さん: 基本的には60代前後の方が多いですね。半径500メートル以内に住まれている方が大半なので、地域に根ざした施設と言えるでしょう。オープンから間もないですが、通りかかったときに見つけたという方など、問い合わせ件数も順調に増えています。

ストレッチポールを使ったプログラム

――他店にはない「LispoGymコトニア西船橋店」の特徴を教えてください。

西川さん: プログラムの種類では大手に敵いませんが、互いを理解し、より親密ということでは我々に軍配が上がります。パーソナルトレーナーの経験もあるスタッフもいますから、どのような運動が相応しいのかを含め、気軽に相談していただけると嬉しいですね。

様々なプログラムが用意されている

――提供しているプログラムについて聞かせてください。

西川さん: 歩行時のバランスを整えることで、転倒予防に効果がある「ヒップアブダクション」。そして膝関節を安定させることでスムーズな歩行にし、階段昇降時の膝関節負担を軽減させる「レッグエクステンション」。これらを中心として、正しい姿勢を保てるようにチェックしながらプログラムを行っています。また「グループ運動プログラム」では、「呼吸運動」、「飲み込み運動」、「筋力トレーニング」、「リズム運動」などもしています。

キッズ向けのダンスレッスンでは、専任の講師が、多彩なダンスプログラムをご用意しています。楽しく正しい運動習慣や、リズムに合わせたステップを段階的に身につけていきます。

キッズダンス(写真はイメージ)

――「コトニア西船橋」内にあることで得られるメリットはいかがでしょうか。

西川さん: 保育園が隣接していることで、子 どもたちの声が聞こえてきます。利用者さんからは、元気がもらえると言っていただけます。将来的にはイベントなどでこの場所を開放し、何か面白いことができたらと考えています。

 今後の展開について話す西川さん

――この街で暮らすことの魅力について、どのように感じていらっしゃいますか?

西川さん: 線路を挟んで、新しい方が住まれているエリアと、昔から住まれている方が多いエリアに分かれているといった印象を受けます。その両エリアの中間地点に「コトニア西船橋」があるので、とても良い場所だなと思っていますが(笑)。逆にいえば、色々な背景の方がいるからこそ、街に奥行きがもたらされるのではないかと思っています。そのような街で、多世代が集う施設として地域と相互に交流できるような活動を出来ないか模索しています。

プロフィール

グローバルキッズ コトニア西船橋園 園長 渡部葉子さん

所在地 :千葉県船橋市東中山1-19-13
TEL :047-336-6661
URL:http://www.gkids.co.jp/

 
プロフィール

LispoGym コトニア西船橋店 施設長 西川徹郎さん

所在地 :千葉県船橋市東中山1-19-13
TEL :047-334-2081
URL:http://リスポ.com/access.php
※この情報は2016(平成28)年7月時点のものです。

地域に根差した施設を目指して。多世代に向けた「コトニア西船橋」の取り組み/「グローバルキッズ コトニア西船橋園」 園長 渡部葉子さん
所在地:千葉県船橋市東中山1-19-13 
電話番号:047-336-6661
開所時間:平日7:30~20:30、土曜7:30~20:30
休業日:日曜祝日、年末年始(12/29~1/3)

「すすんで学ぶ子」「思いやりのある子」「元気な子」の3つの柱を掲げる小学校/おおさわ学園 三鷹市立羽沢小学校 校長 相楽敏栄先生


おおさわ学園 三鷹市立羽沢小学校
校長 相楽敏栄先生

三鷹市内の南西端、調布市と隣り合った地に自然豊かな環境が広がる大沢地区。この地区にはふたつの小学校とひとつの中学校があり、3校合わせて「おおさわ学園」という小中一貫校を形成している。今回はそのうちの1校、「三鷹市立羽沢小学校」を訪ね、校長の相楽敏栄(さがら・としえい)先生に学校の特徴と小中一貫教育の魅力、大沢地域の魅力などについてお話を聞いた。

まず、小学校の歴史や沿革、教育目標等についてお聞かせください

おおさわ学園 三鷹市立羽沢小学校

開校したのは1981(昭和56)年となります。2008(平成20)年4月からは三鷹市の施策により小中一貫教育の「おおさわ学園」となりました。「おおさわ学園」は「三鷹市立第七中学校」の学区域内の「三鷹市立大沢台小学校」と「三鷹市立第七中学校」とともに学園を形成しております。児童数は約300名で、三鷹市内では小規模の小学校ということになりますが、その分、充実した教育活動はできているかと思います。

教育目標には、「楽しい学校」という言葉があります。それを達成するために、「すすんで学ぶ子」「思いやりのある子」「元気な子」という3つの柱があります。これは開校当初から変わらない目標で、この3つを達成することによって、子どもたちにとって「楽しい学校」になればと考えています。

その教育目標の実現に向けて、特に力を入れて取り組んでいることがあればお聞かせください

おおさわ学園 三鷹市立羽沢小学校

まずひとつとしては、これはおおさわ学園全体の「学園研究」ということで行っているものですが、算数・数学などの学力向上のための研究に力を入れて取り組んでいます。昨今「理数系離れ」とよく言われていますが、少しでも理数系の力が付けられれば良いな、と考えております。

それ以外では、「オリンピック・パラリンピック教育推進校」の指定を受けていますので、今年度はオリンピック、パラリンピック教育に関する取り組みをしています。取り組みとしては、ひとつは体力向上、もうひとつは、国際交流ということです。指定は1年間のみですが、今後もその成果を残していきたいと考えております。

「おおさわ学園」で行っている小中一貫教育の狙い、具体的な実践例などについてお聞かせください

おおさわ学園 三鷹市立羽沢小学校

学園の目指す児童・生徒像に「学び続ける人」「心身ともにたくましい人」「心豊かで共に生きる人」の3つの柱があります。それらが達成できるように、9年間を通して質の高い教育を提供するというのが目的です。三鷹市は施設一体型ではなく、分離型の一貫教育を行っていますが、子どもたちが「ひとつの学校」として9年間を豊かに過ごしてもらえるように、小・中の教員が一丸となって取り組んでいるところです。

具体的なものとしては、小・中の交流行事がひとつの特徴になっていまして、「ふれあいタイム」というものがあります。一例を挙げますと、小学1・2年生と中学2年生は、読み聞かせや折り紙で交流をしたり、小学3年生は中学1年生と縄跳びで交流していたり、という具合です。こういったことを通して、子どもたちには三校が同じ学園であるという、親近感を持ってもらえればと考えています。

子どもたちの交流という部分では、児童・生徒代表者会議なども一貫校としての取り組みのひとつでしょうか。近年は「いじめ撲滅キャンペーン」ということで、児童会と生徒会が一緒になって、スローガンについて話し合ったり、それに向けてどんな取り組みができるか、ということを話し合ったりし実行しています。

教員同士の連携はどんなことをされているのでしょうか

おおさわ学園 三鷹市立羽沢小学校

三校が一緒になっている学園分掌の組織があります。そこで、学園にかかわる様々なことを教員同士が連携して仕事をしています。例えば、前述の「ふれあいタ イム」や「児童・生徒代表者会」等の様々な分担が三校合同であり、それらを充実させるための原案を担当者会で原案を作成し、「学園運営委員会」でその原案 について最終決定をします。

小中一貫教育に取り組んで数年が経ちましたが、成果が出ているとお感じの部分はありますか

おおさわ学園 三鷹市立羽沢小学校

成果と言うのかは分かりませんが、(3つの学校で)「ひとつの学校」という認識が、子どもたちの間でできてきていると思います。小学校では昔から「たて割り活動」というものがありますが、その延長線上として、中学生と交流する「ふれあいタイム」のような行事が行われていますので、子どもたちにとっては、違和感なく、同じ学校というのが実感できているかなと思います。

学習指導については、小・中の9年間を見通した一貫カリキュラムがありまして、それに基いて授業が展開されています。小学校から中学校まで、連続した一貫性がありますので、今後そこから学力の向上につながってくれれば言うことはないですね。

「水道キャラバン」や「FC東京キャラバン」など、ユニークな特別授業も行われているそうですが、これらについてお教えください

おおさわ学園 三鷹市立羽沢小学校

「水道キャラバン」については社会科の中で水道についての学習の機会がありますので、それをより効果的に行うために、都の水道局の方に来ていただいて授業を行っているものです。「FC東京キャラバン」については、三鷹市が「FC東京」の株主になっていますので、三鷹市の小学校は毎年2校ずつ、「FC東京」の選手に来ていただいて、サッカー教室をしていただけるようになっています。ですので、だいたい7~8年に1回、こういった機会があるということになります。とてもユニークな取り組みで子どもたちにも良い刺激になると思います。

では、それ以外に羽沢小ならではのユニークな取り組みはあるでしょうか

おおさわ学園 三鷹市立羽沢小学校

ユニークな行事ということでは、田植えができるのは「おおさわ学園」ならではの特徴かと思います。「第七中学校」の近くの「ほたるの里・三鷹村」に田んぼがあるんですが、そこで田植えをさせてもらっています。ちなみに小学生の田植えの翌日には幼児対象の「ちびっこ農業体験」というものがありまして、そこでは中学生が小さな子どもたちと一緒になって、田植えをお手伝いしています。これも「おおさわ学園」ならではの取り組みですね。

また、昨年度から、ICU(国際基督教大学)と連携して、そこの学生さんに授業に入ってもらう機会を作っています。昨年は教員志望の学生さんに外国語活動の授業に入ってもらいました。今年は留学生にも授業に入ってもらったり、「羽沢るんるん」(子どもたちが放課後の居場所として行われている取り組み)という放課後活動の中でも、大学生に関わっていただこうかと思っています。

本校の近くにある「国立天文台」との連携もありまして、理科の授業で観望会を行った時には、天文台の方に協力していただきましたし、敷地内の雑木林で自然観察をさせていただいたりと、天文台の自然環境を活用させてもらうような授業は、たびたび行っています。天文台の敷地内には「ほたるの里・三鷹村」の村民の方がお世話をしてホタルを見られる場所もありますので、学園全体で希望者を募って、毎年ホタルの鑑賞会も行っています。

三鷹市の学園は「コミュニティ・スクール」という制度のもとで運営されているわけですが、コミュニティ・スクールの概要と、学校と地域の関わり方についてお聞かせください

おおさわ学園 三鷹市立羽沢小学校

三鷹市の小中学校はすべて、「コミュニティ・スクール」を基盤とした小中一貫教育校となっていまして、地域との関わり無しには、学校が運営はできません。この「コミュニティ・スクール」で意思決定を行うのは「コミュニティ・スクール委員会」(CS委員会)になります。ここに入っていただいているのは、主に地域の方で、学校経営や運営に関わるさまざまなことを審議してもらったり、逆に承認してもらった中で、学校が円滑に機能しています。

より細かい面で、地域の方が学校に関わってくる場面、たとえば授業の中で地域の方がお手伝いをしてくださったり、という場面としては、どのようなものがあるでしょうか

おおさわ学園 三鷹市立羽沢小学校

それはCS委員会の中のひとつの部会、「サポート部」が担当する部分になります。学校では教育活動を充実させるために、「サポート隊員」の要請をしていまして、たとえば普段の授業へのサポート、野川に入ってメダカの卵取りの活動をする時のサポート、地域めぐりの時の引率、夏休みのプールの受付などといった、いろいろなサポート活動に対して、地域の方に参加していただいています。

それとは逆に、地域の行事に学校が関わっていく、というものはあるのでしょうか

おおさわ学園 三鷹市立羽沢小学校

子どもたちと地域との関わり方については、同じくCS委員会の一部会である「地域部会」が、子どもたちとの関わり方についてコーディネートしてくださっています。たとえば地域のお祭りがあるという時には、地域部会を通して情報発信がされまして、そこから来る情報について、子どもたちに伝達して、参加してもらうという形になっています。

コミュニティ・スクールになったことで子どもたちに変化は見られたでしょうか

おおさわ学園 三鷹市立羽沢小学校

やはり、地域と子どもたちとの関わりは増えてきたかと思います。数年前の状況と比べますと、地域との関わりが強くなっているのではないかな、と思います。また同時に、子どもたちについても「地域の中の学校」という意識が芽生えてきているように思えますし、地域の方が子どもたちを見る目も温かくなり、より深まっているように感じます。

子どもたちにはどんな性格の子が多いでしょうか。また、学校の雰囲気についてお教え下さい

おおさわ学園 三鷹市立羽沢小学校

至って素直な子が多いです。小学生らしい小学生ばかりですね。校長室の戸を開けておけば気軽に「校長先生!」なんて声をかけてくれます。きっと、この自然が豊かな環境というのも影響しているのでしょうね。学校の雰囲気も明るい雰囲気です。

最後に、大沢エリアの子育て環境、生活環境など、地域の魅力についてお聞かせください

おおさわ学園 三鷹市立羽沢小学校

子育て環境としては、やはり自然が多くありますので、伸び伸びでき、そこが何より素晴らしいですし、子どもたちの幼少期の体験にも反映してくるところだと思います。教育的な面ですと、国立天文台やICUも近くにありますので、アカデミックな雰囲気がある地域だと思います。

三鷹市内でありつつも調布にも近く、調布の施設を利用する場合にも便利なところだと思います。バスを使えば武蔵境と調布、ふたつの駅に簡単に行けますし、道が広く、調布インターも近いですから、車でも動きやすいと思います。でも一番の魅力はやっぱり、「野川」や「大沢の里」の自然の豊かさです。それに魅力を感じて住まわれるという方が多いですから、「自然の中で暮らしたい」という方は、ぜひ大沢にいらしてください。

今回、話を聞いた人

おおさわ学園 三鷹市立羽沢小学校 インタビュー

おおさわ学園 三鷹市立羽沢小学校

校長 相楽敏栄先生

所在地:東京都三鷹市大沢4-9-1
電話番号:0422-32-8431
URL:http://www.mitaka-schools.jp/hanesawa-es/

※この情報は2015(平成27)年7月時点のものです。

「すすんで学ぶ子」「思いやりのある子」「元気な子」の3つの柱を掲げる小学校/おおさわ学園 三鷹市立羽沢小学校 校長 相楽敏栄先生
所在地:東京都三鷹市大沢4-9-1 
電話番号:0422-32-8431
http://www.mitaka-schools.jp/hanesawa-es..

地下鉄8号線事業推進担当課長 平川さん インタビュー

地下鉄8号線事業で「住吉」駅から「東陽町」駅間に新駅を検討中/江東区役所 地下鉄8号線事業推進担当課長 平川さん


有楽町線「豊洲」駅と半蔵門線「住吉」駅とをつなぐ地下鉄8号線事業。計画が示されてから40年以上が経過していますが、大きな期待を受けています。沿岸部の人口も増えたことで、必要性が高まるばかりの地下鉄8号線事業。その推進担当課長である平川さんにお話を伺いました。

待望のプロジェクト

事業について説明する平川さん

――地下鉄8号線事業の概要を教えてください。

最初に計画が示されたのは1972(昭和47)年のことです。有楽町線「豊洲」駅と半蔵門線「住吉」駅を結ぶこの路線が計画された背景には、東西に移動できても、南北の移動ができないという江東区の鉄道事情がありました。計画が示されてから40年以上が経った現在でも、南北をつなぐ路線は都営大江戸線「森下」駅と「門前仲町」駅間しかないのが現状です。

地下鉄8号線延伸図

――鉄道で南北をつなぐことで得られるメリットというのは?

まず第一は、アクセス性の向上ですね。タワーマンションの建設が進められている豊洲エリアへのアクセス性が高まることで、都市としての国際競争力強化にもつながります。さらに、メリットとして挙げられるのは、東京メトロ東西線の混雑率緩和ですね。同路線の混雑率を200パーセントから180パーセントにまで下げられると試算されています。

大きな期待を受けている事業ですが、計画が示されたのは1972(昭和47)年のことですから、1日でも早く着工してほしいという言葉を区民の方からこれまでに何度もいただきました。そうした声に応えるためにも、一歩ずつでも着実に進めていかなくてはならないと考えています。

住吉~東陽町間に新駅を計画中

現在、南北移動にはバスを利用している

――「住吉」駅から「東陽町」駅間に新駅の設置を検討していると発表されていますが、新駅が設けられることによりアクセス状況はどのように変化するのでしょうか。

現状は、「錦糸町」駅から南北の移動にはバス便しかありません。専用レーンが設けられている通勤・通学時間帯は比較的スムーズですが、それ以外の時間帯ではストレスを感じることもあるでしょう。混雑度によっては乗車できないこともありますから、到着時間の確実性という意味では鉄道に敵いません。ただ開通後も、高齢者にとって重要な移動手段であるバス路線は必要ですよね。

「木場公園」にもより多くの方が訪れるだろう

――地下鉄8号線が整備され、新駅ができると「木場公園」周辺はどのように変化していくと考えていますか?

街の回遊性が高まることで、「木場公園」、「東京都現代美術館」、「深川資料館通り商店街」を訪れる方が増えると思います。それによって商店は活気づき、街全体としても活性化するでしょう。都営大江戸線「清澄白河」駅の完成で、駅周辺の街並みが一変した事例と同じことが起きてほしいと期待しています。

一歩ずつ、そして着実に

――現時点での進捗状況についてはいかがでしょうか。

条件は揃っているので、鉄道事業者と関係地方公共団体との合意形成を図るのみという段階です。歩幅が小さいとはいえ、一歩ずつ進んでいることは事実ですから、国から与えられた宿題を、関係者一同、全力で取り組んでいるところです。

周辺住民の憩いの場にもなっている「木場親水公園」

――“暮らす”をテーマにしたとき、「住吉」駅から「東陽町」駅エリアの魅力はいかがですか?

やはり「木場公園」の存在は大きいですね。園内の木々を見ているだけでも心が休まります。ベンチに座っている方、小さな子どもと遊んでいる方、また朝方・夕方にはジョギングやランニングを楽しまれる方もいて、実に多くの方が「木場公園」を利用されています。

「木場公園」だけでなく、隣接している「木場親水公園」も良いところですよ。都心の利便性を享受できる環境でありながら、木々と水辺の潤いがあるステキなエリアだと思います。

平川さん

江東区役所

地下鉄8号線事業推進担当課長 平川さん
所在地 :東京都江東区東陽4-11-28
URL:https://www.city.koto.lg.jp/

※2016(平成28)年8月実施の取材にもとづいた内容です。 記載している情報については、今後変わる場合がございます。

地下鉄8号線事業で「住吉」駅から「東陽町」駅間に新駅を検討中/江東区役所 地下鉄8号線事業推進担当課長 平川さん
所在地:東京都江東区東陽4-11-28 
電話番号:03-3647-9111
開庁時間:8:30~17:00(水曜日の一部窓口は19:00まで)
※第2日曜日(3月・6月は第4日曜日)に一部窓口を開庁(9:00~16:00)
閉庁日:土・日曜日、祝日、年末年始(12/29~1/3)
https://www.city.koto.lg.jp/

市民一体の“宝塚文化”を創造するコミュニティFM「FM宝塚」の取り組み/FM宝塚 制作統括プロデューサー 亀井竜輔さん


現在では数多く存在しているローカルコミュニティFM局。それぞれの局がローカル色を豊かに、地域に密着したブロードキャストを行っている。“宝塚”という土地のブランドイメージの強い宝塚において「FM宝塚」はどんな取り組みを行い、情報発信を行っているのか。今回は制作統括プロデューサーの亀井さんに話をうかがった。

「FM宝塚」スタジオ

――まず、「FM宝塚」の開局の経緯から、お話をうかがわせてください

亀井さん:FM宝塚は「阪神・淡路大震災」がきっかけになっています。阪神大震災の時、当時はまだ携帯が普及しておらず、いろんな情報が錯綜するなかで、ラジオ放送からの情報が非常に重要な役割を果たしたということがあり、それがFM宝塚の開局につながりました。現在では携帯電話やインターネットも普及していますが、情報インフラとしての安定性や情報発信の信頼性において、ラジオ放送の重要性は、その後の震災や台風などの自然災害が発生する度に再認識されています。FM宝塚の開局経緯は、そんな災害をきっかけとして開局したコミュニティFMなのです。

――なるほど、“宝塚”という地名のブランド感が強いので、もっと別のきっかけがあったのかと思いましたが、本当に意外です

亀井さん:もちろん、現在の番組ではそういう宝塚を意識した番組作りも行っています。ですが、震災がきっかけで開局したという経緯もあって、開局から現在に至るまで、各番組の骨子には、地域ごとに密着した有益な生活情報を提供する、という考えから、宝塚の街の歴史や文化に基づいた番組作りが行われています。またそれがFM宝塚のコミュニティFM局としての役割だと考えています。

「宝塚防災&ウォーク」

――そういったFM宝塚ならではの番組やイベントを紹介していただけませんか

亀井さん:今年1月に放送した「宝塚防災&ウォーク」という特別番組があります。宝塚は歴史にも溢れた土地で、古くからの寺社仏閣や宿場跡も多いのです。そんな宝塚の街を「防災・減災」を考えながら歩く楽しい企画として行っている番組です。ウォークナビゲーターとしてのFM宝塚のパーソナリティでもある笑福亭瓶吾さんと、宝塚市の危機管理監の方をお招きしたゲストパーソナリティとの、お二人の案内のもとで、「大本山中山寺」から「小濱宿」、防災公園としての指定されている「末広中央公園」の5.3キロの道のりの街歩きを、リアルタイムの中継で放送しました。これには参加募集した一般リスナーの方が参加費無料で大勢参加され、たいへん好評でした。

歌劇の街、宝塚ですから歌をテーマにしたエンターテイメントのイベントも行っています。「宝塚歌謡選手権」では予選から、すべての大会をノーカットで放送します。今年から新たな部門に「アニメソング」が加わり、「歌謡曲」「シャンソン」「一般」「アニメソング」と4部門からのエントリーになります。

日本で初めてシャンソンが歌われた街が、ここ宝塚ですから、しっかりと部門にも組み込まれています。「宝塚シャンソン化計画」を主宰され、当局でも「宝塚とシャンソンの熱~い関係」(毎週木曜日10:15~10:30)のパーソナリティを務める、須山公美子さんも審査員のひとりです。

“宝塚”ならではという番組作りも、もちろん行っていて、タカラジェンヌさんをゲストパーソナリティにお招きした番組も人気があります。

「宝塚歌謡選手権」

――そういう部分でしっかりと“宝塚”を打ち出しているのですね

亀井さん:そうですね。でも、宝塚のステレオタイプなイメージにとらわれた番組ばかりでもないんですよ。FM宝塚の番組の編成方針のひとつにもなっていることなのですが、多くの人に聴いてもらうため、自分好みの番組がひとつは見つかるように、バラエティにあふれた番組作りを行っています。

――何かひとつ紹介してもらえますか

亀井さん:毎週水曜日の19:10から放送している「ラジ・ドキッ」です。毎週、中学生のクラブ活道を取材したり、中学生・高校生に人気のあるエンタメ情報の紹介などを行っています。将来の仕事を語る、「ゆめ★ナビ」など週替りのコーナーで構成されていて、中学生・高校生からはたくさんの便りが集まります。

年齢層、シングルや家族などの生活形態等、どんな人でも番組のなかには必ず興味を持ってもらえるものがある、それがFM宝塚、という意識で番組作りをしています。

――番組のことで、もうひとつ、「治虫くらぶ」について、教えていただけませんか

亀井さん:治虫というのは、もちろん手塚治虫さんのことです。幼少の多感な時期を宝塚で過ごしたことでも知られる手塚治虫さんの情報や、「宝塚市立手塚治虫記念館」の情報も伝えている番組です。また、手塚治虫さんの作品のなかには、あまり知られていない短編作品も多くあるのです。「治虫くらぶ」では、そんな手塚治虫さんの短編作品のさわりを紹介して、興味を持ってもらえたら、ぜひご自身で手にとって作品に触れてみてほしい。そんなスタイルの番組でもあります。

――わたし、むかしに手塚さんの短編をいくつか読んだことがあります。メジャーな作品とはイメージの違う、少しダークな社会風刺的なものがあったと記憶してます

亀井さん:ぜひ、番組でも触れてみてください!

「FM宝塚」は阪急逆瀬川駅にほど近い

――FM宝塚として、今後どんな放送局を目指していくか。どのように地域と関わっていくかをお聞かせください

亀井さん:やはり地域と密着して、地域の活性にも繋がる、情報の発信と受け手が密にコミュニケーションを取れるような番組作りを進めていきたいと考えています。そういう番組作りの一環として西谷地域を1年半にわたり、いろんな角度から紹介する番組も継続していました。西谷地域の自然、地域のお祭り、田植え体験など、様々な切り口で紹介して、FM宝塚の全ての番組のなかで取り上げる、という企画です。「来て!見て!知って!西谷の里」という番組企画で、2012(平成24)年「近畿コミュニティ放送賞」の「放送活動部門」で賞をいただきました。
これからも市民が主役、市民が発信者となって、「FM宝塚」の放送を通じていろいろな方が繋がっていく、そんな放送局を目指していきます。

――では、最後に亀井さんから見た、宝塚の街の魅力を教えていただけませんか

亀井さん:都会すぎず、田舎過ぎず、絶妙な雰囲気のバランスがあって、暮らしやすいです。古くからの歴史を感じる場所もあり、日本でいち早く西洋風の街づくりを取り入れた「宝塚」駅周辺の街作りであったり、西谷地区の自然など。自然と文化的環境の豊富な宝塚は住んでいて「宝塚以外に離れたくない」と思える場所ですね。

FM宝塚が入居する「アピア2」

亀井竜輔さん

FM宝塚

制作統括プロデューサー 亀井竜輔さん
取締役局長 温井甚祐さん
所在地 :宝塚市逆瀬川1-11-1 アピア2 2F
TEL:0797-76-5432
URL:http://835.jp/
※この情報は2016(平成28)年8月時点のものです。

市民一体の“宝塚文化”を創造するコミュニティFM「FM宝塚」の取り組み/FM宝塚 制作統括プロデューサー 亀井竜輔さん
所在地:兵庫県宝塚市逆瀬川1-11-1 アピア2 2F
電話番号:0797-76-5432
http://835.jp/

手塚治虫記念館 館長 小坂悦朗さんインタビュー

漫画の神様ゆかりの地で語り継がれる手塚治虫と宝塚の歴史/手塚治虫記念館インタビュー


宝塚といえば、宝塚歌劇と思い浮かべる人が多いだろう。しかし、近年では歌劇に引けを取らない知名度となりつつあるのが、この宝塚市が運営する「手塚治虫記念館」。宝塚市は現在、歌劇とアニメという2本柱で観光の街づくりを行っており、手塚治虫記念館はアニメの柱の象徴ともいえる。今回、館長である小坂さんに記念館の魅力を伺ってきた。

宝塚市立手塚治虫記念館

――手塚治虫記念館の概要について教えてください

小坂館長:漫画、アニメの巨匠として知られる手塚治虫ですが、5才から20年間暮らした宝塚で、その間の戦争体験も含めた経験を基に手塚治虫が唱え続けてきた「自然への愛」「生命の尊さ」をテーマに、夢と希望を未来へ広げていく施設として設立されました。
手塚作品と宝塚という場所は、実はいろんな繋がりがあり、作品にもその影響が大きいのです。たとえば、『リボンの騎士』のサファイアは宝塚歌劇の演目のなかのキャラクターから着想を得たと言われています。
手塚作品のテーマとして数々の作品のモチーフとされている「自然への愛」「生命の尊さ」に関しても、自然が豊かな宝塚御殿山で多感な時期を過ごしたことが大きく影響していると、ご本人の存命中のインタビューでも語っておられます。当館ではそういった手塚の軌跡を多くの人に知ってもらおうと宝塚市が手塚治虫のご親族や多くのご協賛者様のご協力のもとに開設されています。

カプセルに展示された作品の数々

――宝塚という場所が、作品への影響にも及んでいたということなんですね。沿革やこれからの取り組みについて教えていただけますか

小坂館長:1989(平成元)年に、宝塚ゆかりの「手塚治虫記念館」を建設する計画を構想して、1994(平成6)年4月に完成に至りました。当初は手塚治虫の奥様の悦子様に名誉館長を務めていただいておりました。ご高齢になられたということもあり、現在ではご子息の眞さんに名誉館長を交代していただいております。
当館の北側に隣接している「宝塚ガーデンフィールズ」の跡地ですが、一部は既に宝塚市が購入し、新たに庭園と文化芸術施設を整備する計画を進めています。文化芸術施設では美術作品を展示するギャラリー、絵本や手塚治虫の漫画が自由に読めるライブラリー、イベントホールなどを設け、子どもや家族で楽しんでいただける施設にしていきます。新たな施設との相乗効果でより魅力的な観光スポットとなるような構想を考えております。

市が発表しているガーデンフィールズ跡地計画のイメージ

――館のみどころや特色などを教えてください

小坂館長:手塚治虫の歴史といえば、漫画・アニメの歴史と言っても過言ではありません。そんなわけで、記念館では手塚作品を紹介するのはもちろんのこと、アニメ映写の仕組みなどを、観るだけでなく、来館されるお客様自身でアニメ制作の作業を体験できる「アニメ工房」コーナーを設けており、非常に好評を得ています。コンピューターを使ったガイダンス付きのトレース作業(合成)などを体験できる専用台を14台設置しており、ここで、自分で描いた絵をトレースしてミニアニメを自作することができます。

アニメ工房

小坂館長:2階のライブラリーでは約2,000冊に及ぶほとんどの手塚作品を取り揃えており、読むこともできます。また『ジャングル大帝』をイメージした「ジャングルカフェ」の営業もしております。

手塚作品を読むことができるライブラリー

また、企画展示室では年3回の入れ替えで期間限定の展示も行っており、現在は「ウルトラマン」の特別展が開設されています。(2016年7/1〜10/24)現在行っているウルトラマンの特別展は、ちょうどウルトラマンのテレビ放映が始まって50周年を迎えたことと、手塚の『マグマ大使』のテレビ放映の開始が同時期であったことにちなんで開設されています。

ウルトラマン

――来館される方は子供連れのファミリー層が多いのでしょうか

小坂館長:ファミリー層ももちろん多いですが、ほんとうに様々な年齢層の方が来館されます。手塚治虫の影響の大きさを感じるのですが、ここ数年では年間10万人を超える来館者数のなかの1割にあたる来館者が海外の方になります。

――1万人が海外からですか!海外向けのPRにも力を入れておられるのですか

小坂館長:実は海外向けのPRはこれまでほとんど行っていないのです。しかし、海外からの来館者も多いということから、PRや外国語表記などの充実も取り組みのひとつとして考えています。ライブラリーでは一部に英語、中国語、ハングル語等の外国語版や点字書籍も揃えています。

手塚治虫が幼少期を過ごした御殿山からの景色

――手塚治虫は宝塚の御殿山に住んで、作品に影響を与えるほどの様々な体験をしたそうですが、現在の御殿山の街にもその軌跡を辿れるような場所はありますか

小坂館長:当時と変わらない姿を残しているのは「猫神社」ですね。後は開発や震災の影響で様変わりしているところが多いです。
記念館では手塚治虫が子供時代を過ごした昭和15年頃のジオラママップを設置しています。

ジオラママップ

――小坂さんから観た宝塚の魅力について教えていただけますか

小坂館長:開発が進んだとはいえ、宝塚はまだまだ緑が多く自然が豊かです。「清荒神」や「中山寺」など有名な寺社もあり、手塚治虫ゆかりの現存の場所は少ないですが、手塚の数々のエピソードを想像できる、そういう雰囲気を残している場所は御殿山周辺には今でもたくさんあります。そんな自然豊かな雰囲気を残しつつ、大阪、神戸に30分ほどで行けるベッドタウンというのは、全国的に見てもなかなか少ないのでは、と思っています。

――最後になりますが、これから宝塚に住まわれる方に一言、メッセージをお願いします。

小坂館長:自然と住みよい環境が調和した宝塚で「宝塚文化」を創造する宝塚市民として、この宝塚を我々と一緒にもっと魅力的にしていきましょう。

手塚治虫記念館館長

手塚治虫記念館

館長 小坂悦朗さん
所在地:兵庫県宝塚市武庫川町7-65
TEL : 0797-81-2970 FAX:0797-81-3660
URL:http://www.city.takarazuka.hyogo.jp/tezuka/
※この情報は2016(平成28)年8月時点のものです。

漫画の神様ゆかりの地で語り継がれる手塚治虫と宝塚の歴史/手塚治虫記念館インタビュー
所在地:兵庫県宝塚市武庫川町7-65 
電話番号:0797-81-2970
開館時間:9:30~17:00(入館は16:30まで)
休館日:水曜日(祝日・春・夏休みの場合は開館)、年末(12月29日~12月31日)、2月21日~2月末日 ※臨時休館・臨時開館あり
http://www.city.takarazuka.hyogo.jp/tezu..

NPO法人情報ステーション 成瀬麦彦さん インタビュー

人と人、人と地域を繋ぐサードプレイス「船橋北口みらい図書館」/NPO法人情報ステーション 成瀬麦彦さん


船橋エリアでは今、街角のあちらこちらに「民間図書館」が急増中。今日までに25館が開設されている。中でも「船橋」駅から徒歩3分にある「船橋北口みらい図書館」は蔵書数が6,000冊以上と多く、市民大学「船橋みらい大学」の会場としても活況を呈している。取材に伺ったこの日は、現役司書を講師に『学校図書館って、どんなところ?』と題した講座の真っ最中。子どもを含む14人の参加者が、司書の役割や学校図書館の活用法について、和気あいあいと学んでいた。今回は、船橋夏見を含む「船橋」駅北口エリアの地域コミュニティの場となっている「船橋北口みらい図書館」を中心に、運営団体「NPO法人情報ステーション」の成瀬麦彦さんに船橋で広がる民間図書館についてお話を伺った。

本をきっかけにいろいろな人が出会える、手づくりの交流施設

「NPO法人JASH 定期講座」の様子

「民間図書館」というのは、市民のみなさんから読み終えた本を寄贈してもらい、運営はボランティアが交代で担いながら誰でも無料で本を借りられるという、パブリックな“民設民営”の図書館です。船橋は人口62万人に対し公立図書館は4つなので、1館で15万人以上を抱えるかたちになっています。小さくても近所に図書館があれば、みんながもっと気軽に本を読めるのではないかという想いから、こうした民間図書館を作ろうということになりました。

運営している私たち「NPO法人情報ステーション」は、まちづくり全般に幅広く取り組んでいる団体で、民間図書館の運営を柱として、その他に地域のお祭りなどのイベントのサポート、市民大学の主催、クラウドファンディングのサイト運営の計4事業を展開しています。

目指せ小学校と同じ数!「船橋まるごと図書館プロジェクト」を展開

図書館研究会第6回「図書館を創る」ブックカフェ探検家、元図書館長井東順一さん

高齢化社会であることや子育てのしやすさを考えると、お年寄りも若い人も、遠くの大きな図書館にわざわざ通うよりも、近くの小さな図書館へ通う方が便利です。しかし、どこの自治体も図書館を増やすにも財政面が厳しいという問題があります。そこから、自分たちがボランティアベースで小さな図書館を作って点在させていけば、船橋のどこに住んでいても、みんなが歩いて図書館へ行ける街になる、という発想が生まれました。

「船橋北口みらい図書館」の充実した蔵書

当初、船橋市内に民間図書館を中学校の数と同じ30館つくるという目標を立て、これまでにマンションや高齢者施設、クリニック、シェアオフィス、車販売店などに既に25館を開設しました。現在は、市内中心ではなく、小学校区に1つずつ、計50~60館作ることを目指しています。公立図書館は図書館ごとに蔵書を持っていますが、民間図書館は全館で持つという考え方で、互いに本を融通し合っています。そのため、本をどこで借りてどこへ返すのも自由です。蔵書は、一般的によく流通している本が寄贈されるので、市民のみなさんが気軽に読みたくなるような本、特に小説が多いです。地元の方が書いた自費出版本なども置いています。

地域の人々と共に育てる、誰もが利用しやすい空間

本と働く人々第3回「親子でつくる 世界で一冊だけの絵本講座」鈴木出版(株)編集長 波賀稔さん

民間図書館が増えた理由としては、読書や図書館に対するニーズがあり、さらに通常の公立図書館にはない、BGMやラジオが流れ、おしゃべりしても構わない、柔らかい雰囲気が民間図書館にあることが理由に挙げられます。実際、ここへ来ても本は読まず、立ち話だけして帰る人もいるほどです。

3号店となった「船橋北口みらい図書館」のオープンまでの経緯は、1号店の「ふなばし駅前図書館」が非常に狭く、寄贈された本を所蔵するために倉庫を借りていたのですが、倉庫に眠らせておくのであれば、人に見られる所に配架した方がいいと場所を探し、たまたま空き店舗になっていたこの場所を貸して頂けることになりました。

元人材派遣会社の空き店舗に開設した「船橋北口みらい図書館」

スペースに余裕もあったので、図書館と公民館の要素を合わせ持ったような施設を目指すことになり、壁際に本棚を設置して中央にスペースを設け、人が集まって活動しやすい造りにしています。また、みんなが集まって何か催し物を開催する際にレンタルスペースなどを借りるには、それなりの費用がかかります。そこで、そのような催しもできる公民館的な要素を内包した図書館にしようと、運営費を捻出するためにネーミングライツを募集しました。それにより、「船橋北口図書館」から「船橋北口みらい図書館」へと名称が変わったのです。

民間図書館の貸出しは1人2冊2週間までとしています。「船橋北口みらい図書館」の貸出しは月間にして200冊ぐらいでしょうか。この辺りは戸建て住宅に昔から住む地元民と、新しくできたマンションの住民が住んでいる街です。利用者も主には60代から、ベビーカーを押してくる世代まで来られます。開館は朝11時から夕方5時までで、火曜日と日曜・祝日が休みです。ボランティアには約20人が登録しています。定期的に関わっている方だけでなく、夏休みや冬休みだけという方もいて、みなさん無理なく協力してくれています。店番をしながら読書やおしゃべりをしたり、他の図書館から回ってきた本の中から自分の好みの本を選んで棚に並べたりと自由な雰囲気です。以前、“今度フィリピン旅行へ行くから”と自ら特集コーナーを作った方もいました。

講師にも参加者にもなれる、幅広いテーマが魅力の「船橋みらい大学」

「船橋みらい大学」のお知らせ

図書の貸し出し以外にも、月に10回程度、「船橋みらい大学」という市民大学を主催しています。行政が行う市民大学は年配者向けに日中開催のものが多いですが、「船橋みらい大学」は現役世代が参加しやすいように平日夜間や土日に開催しています。誰でも気軽に講師・参加者になることができ、絵本研究や整体、神社仏閣での作法など幅広いテーマを扱っています。

たのしあわせ研究所定期講座第3回「折紙で地球を笑顔に! ~感動の現代折紙の世界~」国際折紙講師 沓名輝政さん

本の読み聞かせや絵本づくり、ペットボトルを使った工作教室など、親子向けの講座もあります。みらい大学の講師が書いた本、あるいはおススメの本は、展示コーナーも作っています。この他にも、月に5回ほど、個人や他団体が主催する催しに場所を提供しています。読書会やパソコン教室をはじめ、打ち合わせやお酒の会等で使われることもよくあります。

「世界の童話図書館」や「ふなばし駅前図書館」も身近に

「船橋」駅前には、私たちが運営する「ふなばし駅前図書館」や、世界童話普及会運営の「世界の童話図書館」があります。「ふなばし駅前図書館」は蔵書数約400冊。利用者は30代の女性がメインで、それに続いて50代男性の利用も多いです。JR線と京成線の駅の乗り換え地点にあるため、通勤通学の乗り換えで立ち寄ってくれる方も多いです。取り扱っている本は、手に取りやすい文庫本がメインで、「船橋市立図書館」の本も、こちらで返却することが可能です。

子どもたちへの読み聞かせ

 「世界の童話図書館」は、絵本や童話に気軽に触れられる図書館です。こちらは貸出しはしていませんが、同じ絵本が数カ国語分所蔵されていて、靴を脱いでゆったりと本を読むことができます。

会社でも学校でも家でもない居場所“サードプレイス”であり続けたい

絵本専門士・波賀稔の絵本まるごと研究会

今後の展望としては、やはり船橋市内のエリアに万遍なく民間図書館を作りたいと考えています。また、「船橋北口みらい図書館」としては、ふらりと立ち寄れば毎日何かイベントを開催しているような図書館にしたいです。「船橋みらい大学」についても、ここに来れば誰かに会えて、面白いことを行っている場所でありたいと思っています。いずれも、会社でも学校でも家でもない居場所、“サードプレイス”であり続けたいです。

船橋には街のために何かをやりたいという熱い想いを抱いている人がたくさんいます。20~30代で起業した方たちがフェイスブックを通じて仲良くなり、市内のあらゆる所でイベントが頻発している。その傍ら、太宰治が逗留して本を書いていたという家が住宅街の中に残っていて、地元の人でも知らないような文化的な側面もある。「船橋みらい大学」ではそういう地域の魅力を発掘して、いろいろな人たちの出会いにつなげていきたいです。郷土史や伝統行事など地元の人たちが生活の中で蓄えてきた知識や経験をもっと話してもらいたい、伝え続けてほしいとも思います。資料をアーカイブして後世へ伝えていくという図書館としての役割もきちんと果たしていきたいです。

~「船橋みらい大学」の参加者に聞きました!~

「学校図書館って、どんなところ?」の講座の様子

●ここに来ればいろいろな人と出会えて、リアルにつながる感じが魅力です。老若男女が集うので、年代が結構離れている方とも話ができます。イベント後に参加者でお酒を飲むこともありますし、ボランティアにも面白い方がたくさんいますよ。普段は仕事から帰ってきたら寝るだけなので船橋市民という自覚があまりないのですが、ここは唯一そういう気持ちが持てる場所です。船橋は気取りがなく、いろいろな要素が混在しているところがいいですね。歩いてみると面白い街です。(船橋市民、50代 男性)

●「船橋みらい大学」は内容もいろいろなテーマがあるので、見識が広がって勉強になります。子どもが一緒でも参加しやすいですよ。アットホームなので、一般的な講習会と違って、互いに意見を交わし合えるところがいいですね。こうした場所がもっと増えてほしいと思います。船橋は多様な方たちが住んでいるのが魅力的な街。特にリタイアした方の職業経験が幅広く、退職後も力を発揮されています。(船橋在勤、30代 女性)

船橋をまるごと図書館に!人と人、人と地域を繋ぐサードプレイス「民間図書館」の魅力

船橋北口みらい図書館

○NPO法人情報ステーション
事務局長 成瀬麦彦さん
URL:http://www.infosta.org/

○船橋北口みらい図書館
住所:千葉県船橋市海神2-8-14
開館時間:11:00~17:00
休館日:火曜日、日曜・祝日
問い合わせ:047-419-4377
URL:http://www.librarylife.net/library/detail/0003
※この情報は2015(平成27)年11月時点のものです。

川崎市まちづくり局インタビュー

人口147万人を擁する政令指定都市の玄関口として発展し続ける「川崎」駅周辺の魅力/川崎市まちづくり局 北村岳人さん


神奈川県の北東部に位置し、横浜市と東京都とに挟まれた人口147万人を擁する政令指定都市・川崎市。「川崎」駅を中心とした「川崎駅周辺総合整備計画」は2006(平成18)年4月の策定より10年を迎え、災害対策や東京オリンピック・パラリンピックの開催などに向けた新たな考え方を盛り込み、2016(平成28)年3月29日に改定が行われました。今回は川崎市まちづくり局 市街地開発部 市街地整備推進課の北村岳人さんに「川崎」駅周辺の開発の現状と整備計画の改定のポイントについてお話を伺いました。

「川崎」駅東口の駅前広場のバリアフリー化を実現

川崎駅東口駅前広場

―まず、「川崎駅周辺総合整備計画」の概要について教えてください。

北村さん:「川崎駅周辺総合整備計画」は今から10年前の2006(平成18)年4月に策定された計画で、川崎市の玄関口として相応しい「川崎駅周辺」のまちづくりに関する考え方をまとめています。なかでも中心となる事業のひとつが東口駅前広場の再編整備で、地上でも行き来ができるようバリアフリー化にも対応した整備を行いました。以前はバスターミナルに行くのにもいったん地下に降りてから階段を上る必要があり、高齢者やベビーカーを引く子育て中の方にとっては特に利用しにくい環境でした。
また放置自転車やゴミのポイ捨てなどの問題もあったため、“環境美化”をテーマに掲げた取り組みも行ってきました。
自転車については駅前まで乗り入れをせずに、駅から少し離れた場所に駐輪場を設置し、駅前はバスやタクシーなど公共交通を優先しましょうという意識改革も行いました。

通行帯が整備された市役所通り

また市役所通りに自転車通行帯を設けて歩行者と自転車を分けることで、歩行者が安全にそして快適に通行できる空間を確保しました。将来的には新川通りにも整備する予定で、駐輪場の設置や自転車通行帯整備のハード面の取り組みと同時に、自転車利用のルールやマナーの啓発活動などソフト面の取り組みも継続して行っていきます。
2011(平成23)年3月に再整備した東口駅前広場は、景観にも配慮し見通しの良いガラスの大屋根、LED照明や太陽光パネルの設置をはじめ、塗装面を汚れにくくする光触媒塗装や歩道の温度上昇を防ぐ保水性舗装など、環境に配慮した先端技術が導入され“環境技術の展示場”とも呼んでいます。

川崎駅東口駅前広場

「川崎駅周辺総合整備計画」には他にも、西口他区の継続的な再開発の推進や、東西自由通路の混雑緩和と回遊性や利便性の向上を図るため、現在工事中の北口自由通路の整備を位置付けるなど計画全体の折り返し地点に辿り着いたような状況です。
今後の大きなプロジェクトとしては、「ミューザ川崎」の南側にある大宮町A-2街区の再開発や、「京急川崎駅周辺」の再開発なども予定されています。「京急川崎」駅には、2016(平成28)年4月27日に「京急川崎駅前ビル」が開業しますので、周辺の再開発を促すリーディングプロジェクトとして期待しています。

災害対策をはじめ社会情勢の変化に伴い改定された整備
計画

資料を手元に説明してくれる北村さん

―2016(平成28)年3月29日に整備計画が改定されましたが、その理由とは?

北村さん:整備計画を改定した大きな要因としては、東日本大震災の教訓を踏まえた災害対策と防災機能の強化の必要性が生じたことと、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催決定、「羽田空港」の国際化の進展によるグローバル化への対応などを新たな取組として盛り込む必要性が生じました。
10年という歳月の中で「川崎」駅周辺を取り巻く社会情勢も大きく変化したことから、“愛着や誇りを持ち、魅力と活力にあふれた街を目指して”というメッセージを発信し、今後10年間を見据えた整備計画を発表しました。計画の内容については本市HPからもご覧いただけますので、詳細についてはご一読いただければ幸いです。

「北口自由通路」の整備により回遊性や利便性が向上する「川崎」駅

北口改札付近のパース画像(提供:川崎市まちづくり局 市街地整備部地域整備推進課)
※パースはイメージであり、実際の整備内容と異なる場合があります。

―整備が進められている北口の自由通路についてもお聞かせください。

北村さん:東西自由通路の混雑緩和と、駅東西の回遊性・利便性の向上を図るため、北口自由通路と新たな改札口の整備を進めています。まず2017(平成29)年7月頃に東西自由通路に中央北改札を先行開業し、北改札と北口自由通路は2018(平成30)年3月頃の供用開始を予定しています。
西口側は「ラゾーナ川崎プラザ」に接続し、東口側は地下街の「アゼリア」まで接続する計画です。また北口自由通路には市の行政サービス施設を整備し、観光情報も発信していきます。

東京オリンピックの開催を機に川崎市の魅力を発信

―東京オリンピック・パラリンピックの開催決定に伴う取り組みがあれば教えてください。

北村さん:東京オリンピック・パラリンピックの開催決定によらず、海外から「羽田空港」に来て、乗り換えの時間を利用して、例えば「ラゾーナ川崎プラザ」で買い物や食事をして次の目的地へ向かうために「川崎」駅周辺を訪れる外国人の方もいます。そういった海外の方のニーズにも応えられるよう多言語サインの整備も進めていきます。

ミューザ川崎

また駅周辺には「富士通スタジアム川崎(旧川崎球場)」や「川崎大師」、「ミューザ川崎シンフォニーホール」の他、東海道五十三次の宿場「川崎宿」の歴史的な文化資源なども立地しており、オリンピックの開催を機に国内外に魅力を発信することで観光振興にもつなげていきたいと考えています。

―「川崎」駅周辺の魅力、また今後の課題とは?

北村さん:「川崎」駅周辺の魅力としては、横浜市と都心部に挟まれた環境で「羽田空港」にも近く、アクセスの利便性に優れているのが最大の特徴だと思います。また、西口には「ラゾーナ川崎プラザ」、東口には活気のある商店街があり、買い物や食事をするのにも便利で生活しやすい環境だと思います。

川崎駅前西口広場

京急を利用すれば最短で15分で「羽田空港」までアクセスできますし、場所によっては玄関を出てから1時間かからずに「羽田空港」から飛行機で飛び立ててしまうのは、魅力的ではないでしょうか。
また駅周辺には映画館が多いのも特徴で、「CINECITTA’(チネチッタ)」や「DICE(ダイス)」、「ラゾーナ川崎プラザ」などに約30スクリーンあります。
今後の課題としては、まちづくりは継続して実施することが重要なため、行政の力だけでできるものではなく、事業者や市民のみなさまにも協力していただく必要性を感じています。整備計画には、市民や事業者との協力や連携について明記しており、本市の玄関口に相応しい「川崎駅周辺地区」の将来像をみんなで共有することが重要だと考えています。

きちんと並べられた自転車。市民ひとりひとりの意識から作られる景観

自転車については、指定の場所に停めることや、一定のエリア内では押し歩きをすることなどルールに基づいてマナーを守る意識が大切です。また歩行者も同様に、ななめ横断をせずに横断歩道をきちんと渡ることだったり、ゴミのポイ捨てをしない、タバコは指定喫煙場所で吸って自分で責任をもって始末することなど、ひとつひとつのきめ細かなことの徹底を、継続的な課題として取り組んでいきます。
今後とも“川崎らしさ”を大切にしたまちづくりを進めていきたいと考えています。

川崎市まちづくり局 北村岳人さん

今回、お話を聞いた人

川崎市まちづくり局 市街地開発部 市街地整備推進課
(※現在:まちづくり局 登戸区画整理事務所 課長補佐)
北村岳人さん
住所 :川崎市川崎区宮本町1番地
URL:http://www.city.kawasaki.jp
川崎駅周辺地区のまちづくり:http://www.city.kawasaki.jp/kurashi/category/26-2-1-1-0-0-0-0-0-0.html
※この情報は2016(平成28)年4月時点のものです。

人口147万人を擁する政令指定都市の玄関口として発展し続ける「川崎」駅周辺の魅力/川崎市まちづくり局 北村岳人さん
所在地:神奈川県川崎市川崎区宮本町1 

足立区立寺地小学校インタビュー

地域に見守られ児童が安心して通える小学校/足立区立寺地小学校 校長 島埜(しまの)秀男先生


荒川土手にほど近い「足立区立寺地小学校」は、全校児童約270名が通う中規模校。2015(平成27)年は開校75周年を迎え、3世代で通う家庭もある地元の小学校として親しまれてきた。日暮里・舎人ライナーの開通で地域の様相が変わりゆく中、どのように子どもたちを育んでいるのか、校長の島埜(しまの)秀男先生に伺った。

地域との距離が近い学校

―児童数の変化や学区外から通う児童の割合について教えてください。

島埜校長:ここ数年、クラス数は10~12、児童数は270名前後で推移しています。今年度は5~6年生のみ約40名の単学級で全10クラス、2016(平成27)年2月現在の児童数は276名です。ただ、日暮里・舎人ライナーの開通の影響か、近年は新しい住宅やマンションが周辺に増えてきたので、今後は児童数がやや増えていくのではと推測しています。 12学級くらいで落ち着くだろうという見込みでおります。

2000(平成17)年に撮影した60周年の空撮写真。卒業生や保護者の協力もあり5年毎に撮影している。

足立区では学校選択制を採用していますが、学区外から通っている児童は多くはありません。全体の約9%、1学年で3~4人程です。どの子も徒歩で通える範囲の地域から通ってきています。ご両親あるいはお祖父ちゃんお祖母ちゃんが本校出身だという子も多くて、地域に密着した学校だなと思います。

3名人や音読への取り組みで学力アップ

―「寺地スタンダード」とはどんな内容ですか?

島埜校長:例えば教科書やノートの準備と使い方など、学習の仕方の基礎基本となる指導内容を発達段階に応じて学年ごとにまとめたものです。どの先生も同じように指導することで、落ち着いた学習環境になりますから、児童の学力も上がっていきます。これが徹底されるように、時どき教員間で確認と見直しをしています。

廊下歩き名人の看板

―基礎学力を定着させるためにどのような活動に取り組んでいらっしゃいますか?

島埜校長:学力向上の基盤は安定した生活習慣と学習規律にあります。そこで、生活習慣については「あいさつ名人」「靴揃え名人」「廊下歩き名人」の3名人に取り組み、認定証を渡すなどして児童の意欲を引き出しながら学校生活を安定させることに力を入れています。合わせて、先生方には児童ができていることを見逃さず褒めて指導すること、児童が他の子の長所を見つけられるような場を設けることに取り組んでもらっています。

「靴揃え名人」の習慣が徹底されていることがよくわかる

生活習慣の安定を大前提とした上で、学習面では音読にかなり力を入れています。読むことができないと、学習への取り掛かりも進みません。そこで、1分間に350文字ぐらいを読めるようにいろいろな教科の中で音読の機会を取り入れ、単元終了時にすらすら読めるかどうか達成度を確認しています。全校で音読交流会を行い、全員が音読を披露する場を設けていますが、苦手な子も一生懸命な様子が見てとれ、やる気を起こす機会にもなっています。

音読交流会の写真

実際、音読指導によって読むことへの抵抗感がなくなってきていて、区の学力調査では本校の児童が平均値より多くの本を読んでいることがわかりました。読むことを楽しめる力がついてくるのに応じて、学力も少しずつ上がってきていると思います。このほか、朝学習として本校独自のプリントでの漢字検定と計算検定、100マス計算などを実践しています。個人差はありますが、継続することで、力がついてきていると感じています。

さまざまな音読指導が行われている

寝転がって遊べる緑の芝生が大好評

―2015(平成27)年11月に校庭を芝生化されたそうですが、子どもたちの様子はいかがですか?

島埜校長:土の校庭だった頃とは遊び方が変わりましたね。今は校庭にお尻をつけて座って話していたり、ハンカチ落としのような遊びをしたり、天気のいい日には寝転がったり。見た目もきれいだし、子どもたちは気持ちよく過ごしているようです。一番いいことは、人工芝は水はけがいいので雨が降ってもすぐ遊べるようになること。また怪我をしにくいという利点もあります。このほか、昨年は教室の床や壁、トイレが改修され、今年は屋上プールを改修しました。きれいになって、すごく恵まれた環境だと思います。

全面芝生化された校庭

―特色のある教育活動はございますか?

島埜校長:5年生が総合的な学習の時間で、近所の方の田んぼで田植えや稲刈りを体験させてもらっています。本物の田んぼに入れる貴重な機会ですし、土の中には虫やカエルもいていい教材になる。収穫したコメをふかし、うすときねでもちつき大会をしています。また、JRC(青少年赤十字)の清掃活動の一環として、4年生が田んぼの周りでゴミ拾いをしています。地域連携では、2~3年生が近くの特別養護老人ホームを訪問し、歌を歌うなどして地域のお年寄りと交流をしています。

校歌

足立区には学校ごとに「開かれた学校づくり協議会」があり、本校では協議会が主催して年4回、サタデースクールを開催しています。スポーツ・パソコン・ものづくり・料理の四つの教室があり、全学年から希望者を募って行います。保護者を含めて地域の方が企画や当日の手伝いで活動をサポートしてくれ、毎回とてもにぎやかですよ。

のどかな環境でのびのび子育てできるエリア

―近隣の幼稚園や保育園、中学校との連携について教えてください。

島埜校長:扇こころ保育園、足立双葉幼稚園などから来年小学校に上がる園児たちがきて、児童と一緒に授業を受けたり給食を食べたりしています。1年生も年下の子たちがくると、お兄さんお姉さんの顔つきになって案内や説明をしていていますよ。体験に来たお子さんの何人かは本校に入学してきますので、いいつながりもできます。また第六中学校とは、6年生が授業と部活を体験させてもらっていて、こちらも有意義な活動になっています。

1年生の教室。きれいに整頓されている

―地域や保護者との関わりはいかがですか?

島埜校長:町会・自治会の子ども会で登校班を作っているので、登校時は地域の方がいつも見守ってくださって非常に安心です。通学路には防犯カメラが設置されているところもあります。PTA活動は非常に熱心で、児童が校内でゲームや模擬店を楽しむ秋の「わくわく寺地夢祭り」では、準備から片付けまでたくさんの方が協力してくださっています。もちつきをしたり、PTAや青少年委員の方が模擬店を出してくださるなど、毎年とても盛り上がりますよ。

寺地夢まつりの様子をまとめた掲示物

町会や自治会も活発なので、夏のお祭りは町会ごとに山車や神輿が出て非常ににぎやかです。神輿を担ぐなど子どもたちが活躍する場も多いですね。お祭りでは保護者の方たちから「昔通っていました」とか「今孫が通っているよ」といったお話を伺えてとても強い絆を感じます。

―このエリアの街の魅力、子育て環境の魅力はどのようなところですか?

島埜校長:まさに下町というか、人のつながりが非常に濃く、支え合っているという雰囲気が感じられる所です。私も教員生活の中で初めて見ましたが、地域の連合運動会がいまだ盛んに行われているほど。近所の子どもの顔を知っている大人が多く、それだけ人間関係が密という印象を受けます。だからこそ、子どもたちのために何かできることはないかと学校に協力してくださる風土がある。今後新しい住民の方たちとの融合によって、さらにプラスになるような発展をしていく地域でもあるのかなと思います。

校内廊下

自然が豊かで生活するにも便利になってきていますし、落ち着いた環境の中でのびのび子育てできるのでは。授業でも虫取りなどに行きますが、荒川土手が近く、畑や田んぼが残っていてのどかな雰囲気があり、安心して生活できるエリアだなと感じています。

校長:島埜秀男(しまのひでお)先生

足立区立寺地小学校

校長 島埜秀男(しまのひでお)先生
所在地 : 東京都足立区扇一丁目7番1号
TEL : 03-3890-7204
URL: http://www.adachi.ed.jp/adtera/
※この情報は2016(平成28)年2月時点のものです。

地域に見守られ児童が安心して通える小学校/足立区立寺地小学校 校長 島埜(しまの)秀男先生
所在地:東京都足立区扇1-7-1 
電話番号:03-3890-7204
http://www.adachi.ed.jp/adtera/

世田谷区立等々力小学校インタビュー

地元の「学校愛」に支えられた小学校で伸び伸びと育つ子どもたち/世田谷区立等々力小学校 校長 秋吉達也先生


等々力は静かで緑の多い高級住宅地として人気が高い。駅から徒歩2分の場所には都内で唯一の渓谷・等々力渓谷があり、住宅化が進んだ今なお斜面から湧水が見えるというのどかな風景が見られる。自由が丘には3駅で4分、二子玉川には2駅3分という便利な立地で、通勤や買い物、子どもの塾通学までが充分にカバーできる恵まれた環境。整然と並んだ宅地と広い歩道、歩行者に道を譲る車のマナーの良さなどにこの地域の質の高い住環境が垣間見える。今回は、等々力小学校の秋吉校長先生に、この地域や学校の魅力について伺った。

さまざまなことから“生きた学び”を得る

校門

―学校の概要を教えてください。

秋吉校長:本校は1956(昭和31)年9月1日に開校しました。当時この地区には小学校はなく、“自分たちの町にも小学校を”という思いで、住民の皆さんが土地を供出し合ってくださりできた学校です。なので地域には「学校を愛する気持ち」「子どもを慈しむ気持ち」が非常に根強く、有難く感じます。2015(平成27)年4月1日現在、全校児童597名、1~2年は各4学級、3~6年は各3学級の合計20学級で運営しております。

―どのようなことに力を入れて教育活動をされていますか?

秋吉校長:教育目標としては「よく考え行動する子ども」「なかよく助けあう子ども」「健康で明るい子ども」を掲げています。また「心に笑顔、学校に花」というキャッチフレーズのもと、人権教育にも力を入れています。その実現のために、「読書が好きな子は95%以上、元気にあいさつする子は100%、健康で体力向上を心がける子は90%以上」という具体的な数値目標も設置しました。

生徒が彩色したベンチ

相互理解をするためには、まず話を聞くことが重要であるという考えから、「聴く力を高めコミュニケーション能力を高める」ための校内研究も行っています。この研究は世田谷9年教育研究開発校としての取り組みでもあります。

―異学年交流が盛んだというお話も聞きました。

秋吉校長:異学年交流は他の学校でも行っていることとは思いますが、本校は定期的に「給食」「遊び」「掃除」などなるべく多くの時間を、縦割り班である「キッズ班」の活動に割くようにしています。高学年がリーダーシップを発揮し、低学年が憧れを持つといったことだけでなく、生きた学び合いがあると感じています。学校は先生から教えてもらうだけではない、子ども同士が自分たちの学びを習得する場でもある。もちろんその中には葛藤や迷い、悔しい気持ちを持つこともある、それも含めた学びですね。学年が違う子ども同士の交流は、人権教育にもつながると考えて力を入れています。

教育熱心で地域からのサポートも厚い風土

生徒の作品

―世田谷9年教育の内容について教えてください。

秋吉校長:世田谷区には29中学校があり、その各中学に学区小学校が2~3校あるので、それをまとめて○○学舎と名前をつけて一緒に活動に取り組んでいます。ちなみに本校では、「東深沢中学校」と「東深沢小学校」の3校で「みしまの森学舎」を形成し、学舎独自の教育目標を掲げて連続した9年間の充実した教育を行えるように取り組んでいます。

校門

具体的な活動としては、月一回のあいさつ運動を行っているのですが、その際、年間を通じて数回、可能な時に中学生に来てもらい、あいさつ運動をしていること。合同学習習得確認会議で、小中を通じた学習課題を明らかにして話し合い、改善していること。また体育と英語の中学教諭に来てもらい、授業を行うこと。年1回、中学1年生たちが合唱を披露してくれること等、多角的な取り組みをしています。

―卒業生の進学先について教えてください。

秋吉校長:年によって変動しますので一概には申し上げられませんが、学区の「東深沢中学校」には50%、私立へは47%、その他国公立に3%というのが平均の割合です。教育熱心で意識の高い親御さんが多く、子どもたちも素直で穏やかな児童が多いと感じます。

廊下

―全国学校ビオトープコンテストで銀賞を受賞されたそうですね。

秋吉校長:校庭の一角にビオトープがあり、環境委員会が中心になって管理しています。5年生の社会の授業で稲作の学習があるのですが、バケツ稲づくりと並行してミニ水田をつくり、池の近くを、より自然に近い環境にしています。また休み時間を利用して、児童がビオトープやその周辺の自然に興味を持てるように、環境クイズや観察を実施しています。里山、とまでは言えない小さなスペースではありますが、都会の中にあっては貴重な場所になっているようですね。

校庭の一角にあるビオトープ

―地域の方々との交流について教えてください。

秋吉校長:先にも申し上げましたが、学校や地域に対する地域の方々の愛情が溢れている街ですので、地域活動も活発です。自治会の防災訓練・納涼大会をはじめ、「玉川神社」のお祭り、盆踊りやもちつき、東深沢コミュニティ主催のウォークラリー、東深沢スポーツ文化クラブ主催のスポーツフェスティバルなど枚挙に暇がありません。

フリールームの看板

また世田谷区主催のいかだくだり大会「アドベンチャーin多摩川」では、PTAのお父さんたちによる“おやじの会”がいかだを作り、子どもがそれに乗って多摩川を下るというイベントにも参加しています。こんな風に様々な方たちが子どもを楽しませようと創意工夫をしてくださり、子どもはそれに参加しているうちに自然と地域との交流が生まれるという理想的なサイクルになっていると感じます。

自然豊かで人の輪を大切にする温かな街

等々力渓谷

―等々力エリアの魅力について教えてください。

秋吉校長:玉川神社、満願寺、等々力不動などの寺社仏閣が多く立ち並び、落ち着いた雰囲気がある街ですね。また何度も申し上げましたが、地域の方々が人の輪を大切にしている温かい街だと感じます。地域には大木が点在し、ぶどう園やみかん園、畑が広がっている場所もあり、等々力渓谷もある。都心に近く便利な立地ながら、自然が豊かに残っている恵まれた土地ですね。 住宅地を歩いてみると分かりますが、区画整理の時代にきっちりと計画を立てて街を作っているんです。この地区の人たちは非常に先見の明がありしっかりと将来を見据えていらっしゃる、そういう土地柄なのだと思います。

世田谷区立等々力小学校

世田谷区立
等々力小学校
校長 秋吉達也先生

所在地 :東京都世田谷区等々力7-26-1
TEL:03-3702-2185
URL:http://school.setagaya.ed.jp/toki/
※この情報は2016(平成28)年3月時点のものです。

地元の「学校愛」に支えられた小学校で伸び伸びと育つ子どもたち/世田谷区立等々力小学校 校長 秋吉達也先生
所在地:東京都世田谷区等々力7-26-1 
電話番号:03-3702-2185
http://school.setagaya.ed.jp/toki/

調布市立緑ヶ丘小学校 鈴木祐介校長先生 インタビュー

小規模校のメリットを生かし、地域と共に歩む/調布市立緑ヶ丘小学校 校長 鈴木祐介先生


調布市の東部に位置している仙川エリアは、「白百合女子大学」や「桐朋学園」などがあり、教育意識が高く地域に密着した商店街が形成された、活気のある街です。2015(平成27)年度に開校50周年を迎えた「調布市立緑ヶ丘小学校」は、この仙川エリアにあり地域の人々に愛されている歴史ある学校です。今回は、同校の教育の特色や地域との関わりについて、鈴木祐介校長先生に話を伺いました。

開校50周年を迎えた歴史ある学校

鈴木校長先生

――まず、学校の概要・沿革をお聞かせください。

鈴木校長先生:本校は、2015(平成27)年度に開校50周年を迎えた、緑豊かな自然に囲まれた学校です。本校が開校した1965(昭和40)年は、日本が高度経済成長の真っ只中にあった頃で、ここ調布市の人口も大きく増えた時でした。現在の調布市は、建物や道路が建設されて大変便利な街ですが、開校当初は周囲に建物は無く、本校だけが「ぽつん」とあった状態だったそうです。その後、東側校舎や体育館、プールが次々と整備され、一時は児童数が1,000人を超えることもありました。開校当時より地域の皆様が学校を大切にしてくださり、地域と共に本校は発展し、今の姿があります。

徳・知・体の調和のとれた教育を

外観

――貴校の教育理念や目標を教えて頂けますでしょうか。

鈴木校長先生:本校は教育目標に「明るい心とじょうぶな体の子」、「礼儀正しくきまりを守る子」、「よく考え進んでやりぬく子」を掲げ、「学問・体育・道徳」のバランスの良い成長・教育環境を目指した育成に取り組んでいます。

特に、本校では「徳」の教育が重要だと考えています。身近で何気ないことですが、「花」がある生活と無い生活は大きく違うと思います。「花」は人の心を耕します。本校では、校舎内外に「花」のある環境整備をしており、「花」に多く触れ合うことで子どもたちの心を耕す場面を取り入れて、「心の育成」をすすめています。今年は学校にコスモスを植えましたので、秋にはたくさんのコスモスの花が咲くと思います。子どもたちもみんな楽しみにしています。近年、子どもたちの不登校問題やトラブルをよく耳にしますが、教員がていねいに話を聞いたり、カウンセラーが対応したりすることで問題の発生を未然に防いでいます。このようなことも子どもたちの心を学校全体で育んでいるひとつの表れではないかと思います。

「花」がある生活

また、地域の方々との交流を大事にしており、子どもたちが高齢者施設や幼稚園・保育園に訪問して、ダンスや歌の発表、楽器の演奏をする活動を行っています。発表することによって憧れられたり、頼られたりすることで子どもたちは自分に自信が持てるようになりますし、小さい子は「お兄さん、お姉さんのようになりたい」と努力する心が芽生えます。練習にもその気持ちが表れ熱心に取り組んでくれるので、とても良い作用になっていると思います。

もう一つ重要なのは、規則正しい生活が子どもたちの未来を創る「体」の育成です。本校では体づくりの日常化、体育授業の充実に力を入れています。また、調布市からの指定を受けて、様々な遊びや運動に親しむ子、友達と関わり合い、学び合う子の育成を目指して体育研究を積極的にしています。「大縄跳び」や校庭をみんなで走る「ペースランニング」など、一人一人が関わりあって、喜び・分かる喜びを味わい、それを「面白い」「楽しい」と感じることができる工夫をしています。

小規模校だからこそできる指導・活動

少人数での授業

――「緑ヶ丘小学校」の環境ならではのメリットや特色はございますか?

鈴木校長先生:調布市内には1,000人規模の学校もありますので、本校はその1/3程度の規模といえます。メリットとしては、教員が全ての子どもたちに目が行き届くということが大きいと思います。1クラス30名から35名編成ですので、教員と子どもたちが家族的な雰囲気で接して、教員が気になったことを一人一人きめ細かく指導できているのが利点です。また、1年生から6年生までが一斉に参加する全校遠足も少人数の学校だからこそできる取り組みです。このことにより異学年交流を盛んにして、大人数の学校にはできない、より良い人間関係の構築ができるように指導しています。

また、小学校周辺には繁華街はなく、学校の名前の通り緑が大変多い街です。そして、地域の方々がみんなで子どもたちを育てていこうという意識があり、安心して住むことができる環境下にあります。毎年、校庭で開催される「みどりんキャンプ」(校庭にテントを張り一泊し、飯ごう炊飯やキャンプファイヤーなども体験する課外活動)は、児童館と地域の健全育成委員会の皆さんとが協力して行っており、この規模だからこそできる行事であり、地域と共に歩む本校の代表的な活動です。

授業風景

――教科教育(学習活動)の取り組みや特徴についてもお聞きできますでしょうか。

鈴木校長先生:本校では、学校全体の学力向上の為に、課題解決型授業の展開で思考力・判断力・表現力を育成する取り組みを行っています。家庭学習の習慣もとても大事ですので、その日に学んだことを定着させる為に、宿題は毎日必ず出すようにしています。また、読書環境を整え、読書習慣が身につく指導や算数授業の充実、自分の考えを表現したり、図を使って論理的に説明したりできる言語活動の充実、英語に親しむ外国語活動の充実など「知」の成長を促進できるような学習環境を整えています。勉強が苦手な子を作らない、それが学校全体の学力を上げていくことだと思いますし、それが小学校の役目だと考えています。

教育意識の高いご家庭が多く、子どもたちの学力も高い水準にあります。毎年、2割程度の児童が都立中高一貫校や私立中学校を受験しています。

緑ケ丘小学校ユーフォー

――放課後に行われている「緑ケ丘小学校ユーフォー」について教えてください。

鈴木校長先生:放課後の学校施設を利用して、自由で安全な「遊び場・居場所」を提供し、楽しく遊びながら社会性や創造力を養うことを目的としている事業が「緑ケ丘小学校ユーフォー」です。(※「ユーフォ―」は、調布市が行う放課後遊び場対策事業で、保護者の就労などによる家庭の代わりの場所として児童の健全育成を図る「学童クラブ」とは別に、全ての児童が無料で参加できる。)

運営は市や民間スタッフが行っており、子どもたちは放課後に遊具で遊んだり、本を読んだり、学校の宿題をしたり、校庭ではサッカーや一輪車をしたり、思い思いの活動をしています。

地域の方々に支えられる恵まれた環境

――保護者や地域との協力体制はいかがでしょう?

地域やPTAとの連携

鈴木校長先生:多くの地域の人に支えられ、見守られて、子どもたちは安心して通学し、この街で暮らしています。地域の方々やPTAなど保護者のみなさまには、いつもご協力頂き大変感謝しています。先ほどお話しした「みどりんキャンプ」や運動会など地域・PTAと連携した交流を本校では多く行っています。「みどりんキャンプ」は、約200人の子どもたちが毎年参加するイベントなのですが、それと同じ数の地域の方々が、子どもたちを見守ってくださいます。学校の研究発表会などでは基本的に教員は常に子どもたちを指導していますので、来賓の方への対応や安全確保などをPTAの皆さまにお願いしています。

また、もうひとつ地域との協力体制の代表的な例ですが、本校では「親子そば体験」という活動を毎年行っています。そばの種を蒔き、土寄せから始めて、収穫、脱穀、そして深大事水車館で石臼を使っての粉挽き、そば打ちまで一切機械を使わずに地域のみなさまの助けを借りて全て手作業で行います。厳選したそばと水、だし、獲れたてのねぎを使って最高に贅沢な日本一美味しいそばが食べられますし、親子で体験できるので毎回抽選で参加者を決めるほどの人気で大変好評です。このような活動は、地域の方々と連携して子どもたちを育てることができるので、今後も続けていきたいと思います。

その他、ベルマークを集めて学校に必要な用具を買って頂いたり、学校行事に参加できなかった家庭への業務連絡、PTA同士での打ち合わせなどをして頂いたり、子どもたちの為にいつもご尽力頂いています。

都会の良さと田舎の良さが共存する街

校内の様子

――周辺エリアの魅力を教えてください

鈴木校長先生:「緑ヶ丘小学校」は、昔も今も保護者、地域の方々から大切にされている学校です。ここ緑ヶ丘エリアは、地域全体で子どもを育てていこうという意識がとても高いです。そのような良い環境に恵まれて本校には「よい子」が集まっています。そしてその「よい子」を更に「様々な資質を備えた子」に育てていくのが本校の役割であると考えています。

地域にお住いの方の中には「一度は他の地域に転出したけど、また緑ヶ丘に戻ってきました」という方もいらっしゃいます。子どもたちが大きくなった時に、また戻って来たくなる「子どもたちの心のふるさと」になるような魅力がここにはあると思います。都心からも近く、東京外環道路と中央高速道路を連結するジャンクションも建設されますます便利になる一方、昔ながらの自然が多く残っており、都会の良さと田舎の良さがうまく共存した街だと思いますよ。

校長 鈴木祐介先生

調布市立緑ヶ丘小学校
校長 鈴木祐介先生
住所:調布市緑ヶ丘2-16-1
TEL:03-3308-6166
URL:https://www.chofu-schools.jp/midorigaoka-sho/
※この情報は2016(平成28)年9月時点のものです。

小規模校のメリットを生かし、地域と共に歩む/調布市立緑ヶ丘小学校 校長 鈴木祐介先生
所在地:東京都調布市緑ケ丘2-16-1 
電話番号:03-3308-6166
https://www.chofu-schools.jp/midorigaoka..

「にじいろ保育園 上星川」 園長 山口良子 さんインタビュー

たくさんの笑顔に出会える保育園/にじいろ保育園 上星川 園長 山口良子先生


2013(平成25)年4月に開園した「にじいろ保育園 上星川」。相鉄線「上星川」駅から徒歩2分の距離に位置し、木の温もりを感じられる園舎で、子ども達が元気に過ごしている。今回はそんな「にじいろ保育園 上星川」を訪ね、山口園長先生に保育方針や周辺環境についてお話を伺った。

優しさに溢れた保育環境

木が基調の施設

Q.「にじいろ保育園 上星川」の概要を聞かせてください。

当園は、2013(平成25)年4月に産声を上げた保育園で、去年、初めて卒業生が巣立っていきました。定員50名で、小規模でアットホームなところが特徴です。7時から7時30分、18時30分から20時までの延長保育を実施。園舎は木の温もりを感じてもらえるように努め、机や椅子、玩具、床材には国産の間伐材を使用しています。子どもたちも落ち着きがあり、優しい子ばかりです。

おもちゃ遊びの最中

Q.保育方針について伺えますか?

3つの“愛”を大切にしています。相手を尊重する“みとめ愛”と、他者としっかり向き合ってほしいとの願いから“みつめ愛”。3つ目が、共感するという意味での“ひびき愛”です。何を考え、何がしたいのか。そして誰と仲が良いのかということも踏まえた上で、子どもたち一人ひとりに向き合っています。

きれいに並べられた絵本

Q.“食育”にも力を入れているそうですね。

環境ホルモンが発生しない陶器の使用や、乳幼児期に味覚がつくられるということを踏まえ、季節の野菜や子どもたちが育てた野菜を取り入れるなど、メニューの作成にも力を入れています。

昨年度は昔から伝わる郷土料理、今年はカレー作りの練習をしたり、世界のスープを味わうというテーマで色々な国のスープを飲んで楽しみました。こうした取り組みを通じて、食べることに興味・関心を持ってもらえたら嬉しいですね。

遊びを通して健康な子どもを育む

土遊びのできる園庭

Q.“遊びの場づくり”についても聞かせてください。

乳幼児期の“遊び”は、社会性・創造性・表現力・思考力を育む上で欠かせないものだと考えています。当園には園庭があるので、土に触れることもできます。また各教室には、積み木やブロックなどを置いたスペースを設け、保育士が子どもたちの成長段階に合わせた玩具を選定しています。

カラフルなお手玉

Q.園生活の一日を聞かせてください。

当園の一日は体操で始まります。子どもたちが集まったタイミングで散歩に出かけるのですが、乳児はバギーを利用し、それ以外は体力をつけるために20分近くは歩きます。散歩から戻ると食事になり、それが終わると昼寝の時間。その後は、おやつを食べ、各クラスでの活動となります。

上星川に根付いた保育園

太陽光で明るい施設

Q.親子で楽しめる行事はありますか?また、地域との関わりについても聞かせてください。

毎年4月には親子で参加する遠足があります。自己紹介に始まり、全員が楽しめるゲームをしたりして親睦を深めています。お父様が皆さん一生懸命に参加してくださる運動会や、サンタクロース役や、楽器の演奏など、保護者の力をお借りするクリスマス会があります。地域との関わりについては、月に一度、部屋を開放して育児相談に乗ったりしています。

おままごとスペース

Q.上星川エリアの好きなところを教えてください。

駅から少し離れると想像以上に緑が多いことですね。公園が点在し、徒歩圏内に渓谷もあります。先日、子どもたちと眺めのよい「上星川小学校」の近くに行ってきました。坂道に息切れしてしまったものの子どもたちが喜んでくれたので頑張ったかいがありました。子育てというテーマでも、「上星川」駅の近くに子育て支援施設の「親と子のつどいの広場 星の子」があり、当園の保護者の方々も利用されています。

上星川公園

Q.街に対する想いや、新しく住まわれる方にメッセージをいただけますか?

当園だけではありませんが、全国的に子どもたちの体力低下が進んでいます。何をやるにしても体力がなければできませんから、当園としては、そこにも注力していきたいですね。子育て・子どもの健やかな成長という観点で、この街に貢献していきたいと考えています。

先生

にじいろ保育園 上星川

園長 山口良子 さん
所在地 :神奈川県横浜市保土ケ谷区上星川1-5-25
TEL :045-444-8073
URL:http://www.success-academy.net/establishment/nijiiro/kamihoshikawa/
※この情報は2015(平成27)年12月時点のものです。

たくさんの笑顔に出会える保育園/にじいろ保育園 上星川 園長 山口良子先生
所在地:神奈川県横浜市保土ケ谷区上星川1-5-25 
電話番号:045-444-8073
開園時間:7:00~20:00(土曜日7:00〜18:00)
休園日:日曜・祝日、12月29日~1月3日
http://www.success-academy.net/establish..

明治34年創立の山の手の伝統校/横浜市立旭小学校 校長 伊藤博夫先生


横浜市立旭小学校
校長 伊藤博夫 先生

明治34年創立の山の手の伝統校
「日常生活に生きる」学びを実践

広大な「三ツ池公園」に隣接する風光明媚な住宅街、北寺尾エリア。その高台にあって、明治34年創立の伝統校として地域に愛されてきたのが、「横浜市立旭小学校」だ。子どもたちの個性を尊重するとともに体験を核とした教育活動を経営方針とし、自己肯定感や学習意欲を高める教育を実践している。伊藤博夫校長先生に、体験学習の詳細や文教地区でもある地域との交流についてお話を伺った。

「横浜市立旭小学校」の歴史や教育目標について教えてください

横浜市立旭小学校

明治34年開校で、今年度で創立113年目となります。海抜36mと、鶴見区で一番標高が高い台地にあるのですが、昭和になってからこの場所に移転してきました。周囲は「橘学苑中学校・高等学校」「白鵬女子高等学校」「聖ヨゼフ学園」「神奈川県立鶴見高等学校」など、たくさんの学校がある山の手の文教地区です。児童数は特別支援学級を含めて計25クラスの720人。少しずつ増加傾向にあり、ここ数年は700人ぐらいを維持しています。

横浜市立旭小学校

学校教育目標は横浜市が定める「知・徳・体・公・開」に基づいて、「あかるく さわやか ひとみきらきら あさひっ子」を掲げ、「(知)進んで学習に取り組み、粘り強く学び続ける子」「(徳)正義を重んじ、感謝の気持ちを大切に、正直に生きる子」「(体)心と体の健康に向かい、自分や人の生命と体を大切にする子」「(公)地域と豊かにかかわり、共に生きる子」「(開)様々な体験を通して、社会性の基礎を培い、変化に対応できる子」を育てることを目指しています。

机上の学習だけでなく、体験学習を重視していることが大きな特徴で、子どもたちが地域へ出ていく機会をたくさん設けている学校です。

とても長い歴史のある学校ですが、卒業生や地域とのつながりも深いのでしょうか?

横浜市立旭小学校

私でちょうど25代目の校長となりますが、昔はおひとりで20年ぐらい校長をされた方がいらっしゃったそうです。また、校長室には歴代のPTA会長の絵が3枚飾られていて、そのうち1枚は有名な画家の木下孝則さんの作品です。校長OBや昔の卒業生が今も学校に関わってくださり、PTAの役員も入って「旭会」というOB会を組織し、年1回総会を開いています。

横浜市立旭小学校

敷地内には、地域の方々が学校を建てるためにお金や土地を寄付してくださったことを記した石碑や、昭和に入ってから寄付された当時の正門が立っています。また、昔は農村地帯だったため、学校でヤギなどいろいろな生き物を飼っていたらしいのですが、その慰霊塔も敷地内に残っています。こういったところから歴史が感じられる一方で、屋上にはソーラーパネルが設置されているなど、近代的な面も兼ね備えている学校です。

日頃、子どもたちと接する中で、大切にしていることなどはありますか?

横浜市立旭小学校

今の子どもたちは個性豊かなので、画一的に接するのではなく、個性を尊重しています。また、教育は教室の中だけで行っていても、社会性や公共性が育たず、子どもたちの関心意欲も沸き立ちません。そこで、本校の特徴としても申し上げましたが、体験学習や校外学習を大いに取り入れて学習を進めるべきだと、教職員と一体となって取り組んでいます。

横浜市立旭小学校

先日も4年生がマンホールのデザインをして、自分たちで鶴見区役所に売り込んだところ、そのうち6つが正式に採用され、実際に学区内に設置していただくことになりました。そうなると、子どもたちも下水道や上水道について俄然、関心が湧きますし、依頼の仕方や電話の掛け方、目上の人への敬語の使い方など公共性が身につきます。「日常生活に生きる」学習は新学習指導要領のキーワードのひとつですが、これを体現していかなければと思っています。

旭小学校ならではの授業や行事などがありましたら教えてください

国語授業の一環として年1回、4年生を対象に落語教室を開いています。子どもたちにぜひ本物を見せたいと、落語家さんをお招きして噺を披露していただき、扇子や手ぬぐいの使い方を教えてもらっています。

横浜市立旭小学校

6年生になると、4泊5日で新潟県の妙高へ宿泊体験学習へ行きます。これだけ長い日程で行くのは、横浜市内の小学校でも本校だけです。源流探検や夜の森の中を歩くナイトウォーク、星の観察、木の枝を削ってのマイスプーン作りなどで、豊かな自然と触れ合います。長期の日程なので、3、4泊目には喧嘩が起きますが、それもひとつの体験。イライラを我慢することを覚える、相手を傷つけないという勉強になります。また、食事の後片付けや洗濯物など、すべて自分たちでやらなければいけないので、家庭のありがたさがわかることも、宿泊体験のよいところです。子どもたちからは、「親がどれだけ自分のためにしてくれているのかがよくわかった」という感想をもらいますが、とても貴重な体験だと思います。

横浜市立旭小学校

今の子どもたちは横のつながりではよく遊びますが、縦では遊びません。そこで、異学年交流にも力を入れていて、各学年2人ずつで1つのグループを作り、全校遠足へ行っています。グループごとに出発しますが、6年生は1年生と手をつなぎ、5年生は2年生の面倒を見てあげてと、まるで兄弟のようですよ。

「旭っ子サマースクール」という行事もありますが、どのようなことをするのでしょうか

横浜市立旭小学校

全学年を対象に夏休みの4、5日間に行うプログラムで、教員が子どもたちの学習の面倒を見ています。ふだんは教員主体で子どもたちに教えていますが、この時は子どもたち自ら宿題や自分が足りないと思う課題をそれぞれ持ち寄って勉強し、わからない時は手を挙げて教員から教えてもらいます。
また、本校は水泳も盛んなのですが、午前中は学習、午後は水泳という形で、サマースクールと並行して10日間、水泳にも取り組んでいます。泳げる子も泳げない子も全員が参加しています。

小中一貫教育も盛んなようですが、小・中学校間でどのような取り組みをしていらっしゃいますか?

本校は「横浜市立寺尾中学校」の学区にあたり、小学生が中学校の授業を見学したり、中学生が小学校で職業体験や金管バンドクラブの指導をするなど、子どもたちの交流に取り組んでいます。

横浜市立旭小学校

職業体験では、あえて卒業生ではなく、他校から寺尾中へ進んだ中学2年生を各学年に1人ずつ受け入れて、小学生と給食を食べたり、休み時間に一緒に遊んだり、授業ではサポート役として運動場を整備してもらうなど、1日「教師」体験をしてもらいました。中学生からは「これからは小学生にもっとやさしくしてあげたい」、本校の児童からは「中学生は怖いと思っていたけれど、話をしてみたら、そうじゃなかった」といった感想がありました。特に5、6年生は中学生と年が近いだけに甘えられず、かえって怖いというイメージがあったようですが、1日中接していると親近感を覚えたようで、お互いによい交流ができたなと思います。

横浜市立旭小学校

たくさんの高校に囲まれた文教地区なので、小中だけでなく、小高の連携も盛んです。橘学苑の演劇部が劇を見せに来てくれたり、同じ学区内にある白鵬高校とは地域を介していろいろな交流がありますが、なるべくこうした機会を多く設けようと思っています。鶴見高校とは、高校生たちがアフリカの子どもたちへ洋服を送る活動で協力しています。本校の保護者は協力的なので、呼びかけると、段ボール10箱分ぐらいの洋服はすぐ集まってしまうんですよ。

「まちと共に歩む学校懇話会」もユニークな取り組みですね。

横浜市立旭小学校

寺尾地区の自治会長や地域の協力者さんたちを招いて、子どもたちのあいさつや自転車の乗り方など、学校の現状についていろいろな評価をしていただいています。それだけでなく、PTAや地域の方たちと一緒に子どもたちの防犯安全のために地区ごとに見守りで立ってくださるなど、いろいろな面でバックアップしてくださっていますね。例えば、1、2年生が公園へ春を探しに行く時なども、付き添いが担任と副担任だけだと危険がありますが、地域の方が見守ってくだされば安全です。また、課外学習で子どもたちが商店街へ行く時なども、懇話会の方がお話を通してくださったりと、何かあればすぐ力を貸してくださいます。

子どもたちが地域と触れ合う機会がたくさんあるそうですが、どのような活動がありますか?

横浜市立旭小学校

金管バンドクラブは4年生から6年生の子どもたち30人ぐらいが所属していて、地域主催のミュージックフェスティバルなどへよく参加しています。それから、PTAが主体で子どもたちのために開いてくださっている「あさひっこまつり」という祭りが11月にあります。「旭会」のOBや地域の方たちも協力し、学校を会場にパソコンやけん玉などいろいろなコーナーを設けて子どもたちを1日招待してくださり、とても盛り上がります。校長室の天井に飾ってある凧は、初期のあさひっこまつりの時にPTAの方が作ったものですよ。

最後に、北寺尾エリアの魅力についてお聞かせください

横浜市立旭小学校

まずは文教地区であること。また、「三ツ池公園」「二ツ池」など、全校遠足で子どもたちを連れていけるような自然や公園に恵まれています。それから、いい意味での人間関係の密度の濃さ、温かい心が感じられますね。例えば、北寺尾エリアは交通量に比べて交通事故が少なく、本校では私が赴任してから2年間、1度も起きていません。理由のひとつは地域の方がよく目配りしてくださっているからで、学校主催のものとは別に、地域主催で自転車教室を開いてくれています。卒業生がパトロールもしてくれていて、“おらがまちの学校”みたいな連帯感が残っている地域です。ですから、子どもたちがちょっと地域で悪さをすれば、すぐ連絡がきて指導できるよさもあります。近くの「横浜市 寺尾地区センター」の祭りへも、子どもたちは喜んで出かけていきますよ。

神奈川県立三ツ池公園

利便性も良く、学校のすぐ前のバス停から「鶴見」駅へ7、8分で行けますし、新横浜や綱島へも20分ほどで出られます。バスの本数も多いですね。商店街もあって、5年生の総合学習の時間では、お煎餅屋さんや畳屋さんにお世話になっています。学区内には『東海道中膝栗毛』に登場するお饅頭を売っているお店もあるんですよ。便利でありながら、そうした古くからのお店や職人さんが残っていらっしゃる地域です。

横浜市立旭小学校

校長 伊藤博夫 先生

横浜市立旭小学校
所在地:神奈川県横浜市鶴見区北寺尾4-25-1
TEL:045-581-4178
URL:http://www.edu.city.yokohama.lg.jp/school/es/asahi/

※この情報は2015(平成27)年時点のものです。

明治34年創立の山の手の伝統校/横浜市立旭小学校 校長 伊藤博夫先生
所在地:神奈川県横浜市鶴見区北寺尾4-25-1 
電話番号:045-581-4178
http://www.edu.city.yokohama.lg.jp/schoo..

問題を見出し主体的に問題解決する力を育てる

地域に愛され、見守られて育つ「練馬区立田柄第二小学校」の子どもたち/練馬区立田柄第二小学校 校長 谷田弘子さん


練馬区立田柄第二小学校
校長 谷田弘子さん

地域に愛され、見守られて育つ「練馬区立田柄第二小学校」の子ども達

「練馬区立田柄第二小学校」は練馬区田柄一丁目の住宅街の中にあり、静かで落ち着いた雰囲気に囲まれた小学校。1970(昭和45)年に地元の方が土地を提供して開校した。地域との結びつきが強く、餅つきなど多くの地域行事に参加している。そんな「練馬区立田柄第二小学校」について校長の谷田弘子さんにお話を伺いました。

今年で45周年を迎えるということですが、この45年間、学校はどのように変化してきましたか?

練馬区立田柄第二小学校27

当時、「田柄小学校」の児童数が増えたので新しい学校をつくることになり、地域の人たちが土地を提供してくれてこちらにも学校ができたんです。当時はいろいろ大変なことがあったらしくて、机や椅子がそろっていないのを運んできてとりあえず勉強ができるようにしたと聞いています。今、児童数は約680名ですが、一時期は1300人くらいの時もあったと聞いています。

周囲に大きな宿舎などもありますが、どのような子ども達が通ってきていますか?

練馬区立田柄第二小学校04

学区域に大きな官舎が22棟建っていて、半分が防衛省の官舎で自衛官が住んでいます。もう半分が合同宿舎で、いろいろな省庁の方々が住んでいます。防衛省の方は市ヶ谷に通っている方もいるし、所沢の航空自衛隊や陸上自衛隊などの方もいます。子ども達の6割はこの官舎から通っています。

イメージキャラクター「いちょうた」について教えて頂けますか。

練馬区立田柄第二小学校01

イチョウの妖精ということですね。校庭にイチョウの大きな木がありますので、シンボルツリーになっています。今年、開校45周年でイメージキャラクターを作ろうということで、昨年度、代表委員会の子ども達が全校児童に呼びかけて200以上の応募の中から選ばれたのが「いちょうた」です。子どもの描いた絵をパソコン支援員の方がきれいに作ってくれました。学校から発信する文章や、運動会や学芸会でも登場する予定です。記念の航空写真もこの形で撮る予定です。PTAの役員の方々は、この模様がついたポロシャツをみんなでそろえて着ていて、教員もこれから作る予定です。着ぐるみはわからないですけれど、やるかもしれませんね。

オリンピック教育推進校とのことですが、具体的にはどのようなことに取り組まれているのでしょうか?

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オリンピックが東京に来るということが決まり、子ども達にもオリンピックを意識してもらいたいという思いで、体力向上とオリンピックの歴史や競技を学んだり、海外の方との交流、オリンピアンに学校に来て頂いてお話を伺うという取組みがあります。うちでは体力向上ということで、年間通じて縄跳びやマラソンなどに取り組んだり、高学年が自分なりにテーマを決めてオリンピックについて調べて発表しあったりする活動をしています。

目標に「日本の伝統・文化の良さを学び、発信する能力や態度を育てる」とありますが、具体的にはどのように学びの場を作られているのですか?

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東京都が今年から行っている事業で、子ども達が日本の伝統文化に触れる機会を持つことと、海外の人に日本の文化の良さを伝える力を育てるということが目的となっています。本校では昨年度に茶道クラブが立ち上がりました。また4年生は三遊亭圓窓さんに来ていただいて、落語の授業をしています。ここは餅つきが盛んな地域で、卒業記念の餅つきを毎年行っているんですが、今年はそれ以外に全校生徒が餅をつく「45周年記念全校餅つき」をやることになっています。田柄の餅つきは千本つきと言って、5、6人が細いキネを持って順番についていくんです。地域の方からご指導頂いています。

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本校と「東京都立両国高校」がペア校になっています。両国高校にはアメリカから女性のJET講師が来ています。JETプログラムは政府がやっている「語学指導等を行う外国青年招致事業」で、外国に対しての意識を高めるためにいろんな授業に入っています。都立高校には必ずJET講師が来ているんですね。

うちではジェットさんって呼んでいるんですが、両国高校のジェットさんが年に5回本校を訪れることになっていて、一緒に伝統文化を学んだり交流をしたりしています。前回は七夕前だったので、七夕の飾りや短冊を作る体験をしてもらって、低学年の子と一緒に給食を食べて、午後からは茶道クラブで茶道体験をしました。今後は運動会でソーラン節を踊るので一緒に踊ったり、落語の授業を一緒に聞いたり、そろばんや書道、将棋、太鼓、最後は極め付けで餅つきをやってもらうことなっています。

「ぎんなんひろば」というのを行っているようですが、詳しく教えて頂けますか。

練馬区立田柄第二小学校24

練馬区全体でひろば事業というがありまして、放課後に子ども達が過ごす場所を提供しているんです。本校では離れたところに2階建ての別棟がありまして、1階が「ぎんなんひろば」、2階が学童になっています。ぎんなんひろばスタッフがいまして、お母さん達中心で卒業生のお母さんも、子ども達の相手をしてくれています。学校の図書館と、校庭も開放し、子ども達がやりたいことをやって、スタッフが見守りをしています。学童とは違い、誰でも利用できます。名前に「ひろば」が付くんですけど、その前の部分は学校によって違って、うちはイチョウから取って「ぎんなんひろば」です。

周辺の住民や保護者の方は、学校にどのように関わっていらっしゃいますか?

練馬区立田柄第二小学校16

ここは地域の方が土地を提供してできた学校なので、「地元の学校」という雰囲気が強いです。行事があればお手伝いしてくれますし、地域の人と一緒にやる行事もたくさんあります。子ども達を温かい目で見守ってくれていて、学校で何かあれば協力してくれています。PTA活動も盛んで、「先生方が教育しやすいように私たちは協力する」というスタンスで協力して頂いていますので、大変助かっています。

地域と一緒に行っている行事などありますでしょうか?

練馬区立田柄第二小学校20

地域と一緒の行事は、先ほどの餅つきやホタル観賞会を一緒にやっています。20周年を機にホタル観賞会を始めたそうで、昔は学校の池で蛍を育てていたそうなんですが、今はイベント的に行っています。新潟や群馬で育てたホタルを持ってきてもらい、池の上にあるホタルドームに遮光あみをかけて楽しんでもらっています。地域向けに1日と児童向けに2日の合計3日間です。何度も見る子がいますが、延べで3千人くらいきます。

中学校もすぐ隣にありますが、連携されていることなどもあるのでしょうか?

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田柄中学校、田柄小学校、田柄第二小学校の小中一貫教育実践校で交流活動と研究を一緒にやっています。先生方が一堂に集まって、昨年度は算数・数学と理科と学級活動でかなり濃い研究会ができました。また、中学校の先生が6年生向けに授業に来てくれることもあります。田柄中学校で合唱コンクールがあるんですが、優秀だったクラスに本校でも発表してもらったり、音楽朝会で一緒に歌ったりする活動もあります。

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今年になって新しくあいさつ運動が始まりました。中学校でも本校でもあいさつはやっているんですが、たまには交換したらどうかという話が来まして、中学生がこっちに、小学生が向こうに行ってあいさつをすることで、刺激になるんじゃないかと思います。中学の図書委員会の子が朝の読書の時間に来て、本校の1,2年生に読み聞かせをしてくれています。

子育て環境において、自慢できるところがありましたらお願いします。

練馬区立田柄第二小学校05

やっぱり地域の温かい目があることではないでしょうか。何かあったら地域の方がすぐ学校に情報を入れてくれるので、そういう点で安全な気がします。1年生が何丁目の通りで泣いていますとか、結構細かく情報を入れて下さいます。それが苦情ではなく、どうしましょうかという感じなので助かっています。子ども達の登下校に町会の方が見守りに出てきて下さるので安心だと思います。

練馬区立田柄第二小学校12

それから、ぎんなんひろばとは別に夏休み中は「夏っ子」というのをやっています。土日以外の全ての日に朝から夕方まで預かってくださっているんですよ。エアコンがきいて涼しいので、そこで宿題をしたり、遊んだり、お弁当を食べたり。その間に学校のプールや補習教室に通ったりしています。これは練馬区の事業で、今後は他の小学校へも拡大していき、来年度以降、学童とひろばを一つの組織にして運営していこうというのが練馬区の考えです。来年は3校しか実施しないのですが、練馬区の全校に広げていく予定です。

田柄のエリアの魅力について教えてください。

光が丘公園

色んな所に公園があるので自然は豊かだと思います。「光が丘公園」があるんですが、カブトムシがいっぱいで今すごいですよ。子ども達は朝取りに行っているみたいです。遊ぶ場所には事欠かないところだと思います。また地域の方々が子ども達のことをよく見てくれているので、安全安心な地域だと思います。小学校、隣に中学校、近くには高校がありますので、学園都市っぽくて、落ち着いた地域です。

練馬区立田柄第二小学校02

今回、話を聞いた人

田柄第二小学校

校長 谷田弘子さん

田柄第二小学校
所在地: 東京都練馬区田柄1-5-27
電話番号:03-3938-8826
URL:http://www.tagara2-e.nerima-tky.ed.jp/
※この情報は2015(平成27)年7月時点のものです。

地域に愛され、見守られて育つ「練馬区立田柄第二小学校」の子どもたち/練馬区立田柄第二小学校 校長 谷田弘子さん
所在地:東京都 練馬区田柄1-5-27
電話番号:03-3938-8826
http://www.tagara2-e.nerima-tky.ed.jp/

平針スイミングスクール 副支配人 加納雅子さんインタビュー

地域コミュニティの健康を支え続ける取り組みとは/平針スイミングスクール 副支配人 加納雅子さん


1980(昭和55)年のオープン以来、35年以上の実績と経験により、15万人を超える会員の健康を支えてきた「平針スイミングスクール」。親子三世代で通われる方もおり、地域では親しみを込めて「平針さん」と呼ばれている。子どもたちの心と身体の育成に力が入れられているほか、全国に先駆けてマタニティスイミングや「マミィクラブ」を実施するなど、女性のライフステージに合わせたプログラムも多数用意。今回は、そんな「平針スイミングスクール」副支配人の加納雅子さんに、スクールの取り組みや地域の魅力についてお話を伺った。

地域の健康づくりの拠点として天白区原エリアにオープン

「平針スイミングスクール」

――設立の経緯と沿革を教えてください。

加納さん:名古屋は中心地から郊外に向けて、ドーナツ状に開発が進められていた時代がありました。天白区原エリアも開発に手がかけられ、山が切り開かれ、宅地が造成されていた頃、スイミングを通して子どもたちの体と心を育て、大人に向けては健康維持と増進をしながら、コミュニティの場になればと思い、当スクールをオープンしました。オープン時は、成人向け、子ども向け、ベビー向けのみでスタートしました。

1985(昭和60)年には、全国に先駆けてマタニティスイミングを開始し、また、同じ頃にエアロビクスなどのスタジオプログラムを始めました。当時、私自身が子育て中だったこともあり、1994(平成6)年には託児サービスを設け、助産師さんに相談できる「マミィクラブ」を作り、ママの応援を始めました。2000(平成12)年には自然体験する青空スクールや農業体験を始めるなど、野外活動も取り入れながら、子どもが健全に育ち、大人が健康に生活を送ることができる取り組みを行ってきました。

マタニティクラスや体操スクールなど、多彩なプログラムを用意

「年少〜小学生クラス」のスイミング指導の様子

――プログラムの内容や特徴を教えてください。

加納さん:当スクールでは、スイミングスクールはもちろん、体操スクールにも力を入れています。スイミングスクールと体操スクールにはそれぞれ、「乳幼児クラス」「2・3歳児クラス」と「年少〜小学生クラス」があり、スイミングでは「マタニティクラス」、成人向けのスイミングプログラムも用意しています。スイミングプログラムではいろいろなアクアエクササイズを組み合わせた「アクアパワー」や「アクアビクス」などを行っています。

体操スクールの指導の様子

――体操スクールのプログラムはどのような内容なのでしょうか。

加納さん:体操スクールは、学校体育をもとにプログラムを組んでいまして、マット運動、平均台、鉄棒、トランポリン、跳び箱などさまざまな内容を用意しています。「2・3歳児クラス」では跳び箱をお山登りに見立てるなど、ごっこ遊びの中で認知力を高め、社会性を育みます。「年少~小学生クラス」では、繰り返し同じ動作をすることで自由に「体を操る力」を磨き、運動能力を高めています。コーチが子どもたちのやる気を盛り上げてくれるので、順番待ちをしている子どもたちも本当に楽しそうに取り組んでいます。

また、その他の特徴的なプログラムとしては、青空の下で自然体験をする「青空スクール」や「農業体験クラス」、ゆっくり時間をとってもの作りをする「ハンドメイドクラブ」もあります。

子どもたちの“生きる力”を育む

自然体験や農業体験のプログラムも用意

――自然や農業にふれる体験について教えてください。

加納さん:「青空スクール」や「農業体験」は、私が下山村(現在の豊田市)で礼儀正しい元気な子どもたちに出会ったことがきっかけです。それ以来、下山地域へ通い始め、今では月に1回、スクールに通う親子にさまざまな自然体験や農業体験をしていただいています。お子さんたちにはぜひ、スクールで鍛えた体力や運動能力をいかしていただき、本来もっている生きる力を育んでもらいたいと考えています。

――子どもたちは元気いっぱいですね。

加納さん:子どもの運動能力は10歳までに決まるといわれています。脳と身体はつながっているので、さまざまな運動を刺激として与えると、その刺激は心にも届きます。そこで、スイミングスクールでは丈夫な体をつくりながら強い心を育み、体操スクールでは体と心の発育や発達を促していきます。保護者からは「あいさつが大きな声でできるようになった」「我慢強くなった」といった声をよくお聞きすることができます。

スクールを通じて利用者の様々なニーズに応える

子どもたちは元気いっぱい

――たくさんのプログラムがありますが、その理由は?

加納さん:プログラムの多くは会員さんからの声や社会情勢、自分の体験をふまえ、「こういうプログラムがあったら良いのでは」との考えからスタートしています。例えば、マタニティスイミングを始めたきっかけは、海女さんに安産の方が多いことを知ったことから。三重県志摩半島まで海女さんのお話を聞きに行ったこともありました。「マミィクラブ」や「ハンドメイドクラブ」は、当時のママたちが赤ちゃんと二人きりで自宅に閉じこもりがちになっていることを知り、「子どもが元気に育つためには、ママも元気であることが大切」と考えたためです。マタニティスイミングをされていた妊婦さんも、そろそろ更年期に入る頃。更年期障害の悩みを解消できるようなプログラムも考えています。女性が楽しく、元気で笑顔でいられることが私の希望です。

託児スペースがあるから、ママも安心して通える

託児サービスも充実

――家族で通われている方も多いと思いますが、何かサービスや気を使われていることはありますか。

加納さん:ありがたいことに、スクールの会員さんはあらゆる世代の方にまんべんなく来ていただいています。子どもはもちろん、ママ自身がプログラムに参加できるよう、託児サービスも行っています。ベテランの保育士、子育て経験豊かなシッターが預かるので安心していただけます。助産師、栄養士、心理士などの専門スタッフがママたちをサポートしますので、子育て中、ママが困ったことを気軽に相談できるシステムが喜ばれています。

乳幼児も多く通っていただいており、子どもたちが積極的に参加できるよう、指導するコーチ自身が楽しんで取り組んでいます。お子さんの付き添いで来てくださっている保護者さんの中には、待ち時間を利用して、フィットネスジムを利用してくださっている方もいますよ。

地域の人々とともにつくる「歩いて楽しいまち」

楽しそうに体を動かす子どもたち

――天白区原エリアの魅力を教えてください。

加納さん:お子さんに付き添う保護者さんや地域で出会う方の中には、子どもの頃に当スクールに通っていたという方もいらっしゃいます。たくさんの方が地域に根付いたり、戻って来たりするということはそれだけ魅力的な街であるということではないでしょうか。桜が美しい「天白公園」をはじめ、公園が多く、のびのびと子育てができることから、40代の子育て世代が多いように感じます。

三世代で通っていただいているご家族もいらっしゃいまして、当スクールは地域に支えられています。その恩返しができるよう、幼稚園や保育園に向けたスイミングや体操の指導、地域に向けた着衣水泳や救急救命法(AED)の指導などを行うほか、今後は地域のまちづくりを担ってきたシニア層の健康づくりに貢献できるプログラムを考えていきたいと思います。1990(平成2)年から開催している感謝祭は地域のみなさんのふれあいの場として定着しました。

このエリアには素敵なお店があり、歩道の花壇の花が美しく咲く地域です。私たちも地域のみなさんと一緒に「歩いて楽しいまち」をつくっていきたいと思います。

平針スイミングスクール

平針スイミングスクール

副支配人 加納雅子さん
所在地:知県名古屋市天白区御前場町308
TEL:052-801-7170
営業時間:月~土曜日10:00~20:00、日曜日10:00~14:00
休館日:臨時休館あり
URL:http://www.hirabari.com/
※この情報は2016(平成28)年7月時点のものです。

地域コミュニティの健康を支え続ける取り組みとは/平針スイミングスクール 副支配人 加納雅子さん
所在地:愛知県名古屋市天白区御前場町308 
電話番号:052-801-7170
営業時間:月~土曜日10:00~20:00、日曜日10:00~14:00
休館日:臨時休館あり
http://www.hirabari.com/

東海学園大学 入試広報課インタビュー

社会とのつながりの中で実践的な学びを提供/東海学園大学 入試広報課課長 大石和史さん


2015(平成27)年に開学20周年を迎え、経営学部の単科大学から5学部6学科の大学へと成長を遂げた「東海学園大学」。浄土宗の仏教哲学に基づく建学の精神を大切にし、教育理念として「共生(ともいき)」を掲げ、人はみな「生かされて生きている」という考え方のもと、実践的な教育を展開。名古屋市天白区にある「東海学園大学 名古屋キャンパス」では、地域の人々が参加できる公開講座や各種施設が充実。地域との関わりも多く持つ。今回は、入試広報課の大石さんに、そんな「東海学園大学 名古屋キャンパス」の魅力について教えてもらった。

仏教哲学に基づいた教育を元に、地域に根差した職業人の育成を担う大学

「東海学園大学 名古屋キャンパス」

――「東海学園大学 名古屋キャンパス」の沿革について簡単にお教えください。

大石さん:本学が誕生したのは1995(平成7)年です。一番始めにできたのは経営学部。その後、人文学部、健康栄養学部、教育学部、スポーツ健康科学部ができました。現在は5学部6学科です。名古屋キャンパスにあるのは人文学部、教育学部、健康栄養学部です。元々、名古屋キャンパスは「東海女子高等学校(現 東海学園高等学校)」と「東海学園女子短期大学」の校舎として活用されていた場所でしたが、時代の変遷とともに形を変え、現在は「東海学園高等学校」と「東海学園大学 名古屋キャンパス」となっています。大学は2015(平成27)年で20周年を迎えました。

――教育目標や理念などについてお教えください。

大石さん:本学の教育理念は「共生(ともいき)」です。こちらは本学園の学祖である椎尾辨匡先生が大正期に興された「共生き運動」が原点で、その根本精神は、すべてのものが大宇宙の大いなる命に「生かされて生きている」ことを自覚して感謝し、「心が生き生き」と生きるように説いています。その理念の元、教育現場では「共生人間論実習」といった福祉施設などでの実習体験を行っているほか、教室以外でもクラブ活動、サークルあるいは学外でのボランティアなどで、周りの人を生かし、また自身が生かされていることに感謝しながら様々な活動をしています。

近隣の施設とも連携し、より実践的な学びを提供

設備の充実した「給食経営実習室」

――名古屋キャンパスにある各学科の特徴を教えてください。

大石さん:人文学部は人文学科と心理学科があり、人文学科では表現を用いた創作活動の学びを行っています。現役マンガ家で愛知県出身のほしの竜一先生や芥川賞作家の諏訪哲史先生が教鞭をとられていたり、各種カメラや音響機器が揃った映像制作をすることができるスタジオが整えられていたりと、学生が「創る」ことの楽しさを知るきかっけが多く用意されています。心理学科は2014(平成26)年に新設された学科で臨床心理士を目指す学生の大学院進学をサポートする体制も整えています。

教育学部教育学科では、保育士の資格、幼稚園、小学校、養護教諭の免許取得に向けて現場経験を重ねる授業が多くあります。例えば名古屋市内の小学校を訪れ、子供たちとふれあう「ボランティア(かかわり体験)実習」などを行っています。

健康栄養学部管理栄養学科では、管理栄養士国家試験のための資格講座などのバックアップ体制を整えています。また、学外の施設での実習も多く行っており、県内外の医療機関や福祉施設などにお世話になっております。

地域住民も利用できる図書館をはじめ、各種施設が充実

ラウンジで学習に励む学生の皆さん

――名古屋キャンパスの特色や特徴的な設備はどのようなところでしょうか。

大石さん:閑静な住宅街にあるので、静かで落ち着いた環境で学ぶことができます。また20周年という節目に名古屋キャンパスのランドマークであった円筒型の図書館を新しく建て替えました。2016(平成28)年9月に全館開館を迎えますが、こちらも新たな「東海学園大学 名古屋キャンパス」のランドマークとして愛されるのではないかと思います。

また、地域の方とともに学ぶ場所として大学を活用していきたいという考えもありますので、地域社会との連携を図った公開講座などを行っていきたいと考えています。

キャンパス内の図書館は地域住民も利用可能

――2016(平成28)年9月に全館開館予定の図書館の詳細を教えてください。

大石さん:地下1階、地上3階建てで、各階には集中して勉強したり読書したりできるスペースをたくさん設けています。また、地下には約30万冊の資料を効率よく保管し、検索して取り出すことのできる自動書庫システムも導入しました。検索画面で本を検索し、1階カウンターで受け取ることができるようになります。

こちらの図書館は、地域の方々にも利用していただけるようになっており、本学が開催している公開講座受講生や天白区在住の社会人の方に開放しております。名古屋キャンパスの図書館は、学部の性質上、民俗学、宗教や心理、文学、歴史、美術、言語、教育、栄養の他に、映画やマンガの資料も備え、最近では美術館や展示会のカタログも収集しています。他の図書館にはおいていない特殊文庫もありますので、興味のある方はぜひご利用ください。

健康づくりイベントを中心に、様々な交流の場を設ける

公開講座も多数開催。この日は天白区主催の健康づくりイベントを行っていた。

――地域連携の取り組みについて教えてください。

大石さん:まずは本学の建学の精神を研究する「共生文化研究所」というものがあるのですが、本研究所が主催する「ともいき市民講座」で、仏教思想や浄土宗の開祖、法然上人の思想を学んでいただける場を設けています。

その他、健康づくり事業も行っており、健康づくり講座・教室の開講、健康づくり運動指導者となる学生の育成及び実践活動の支援を目的とする「健康開発支援センター」もあります。キャンパス近隣にお住まいの方が気軽に楽しく健康づくりをしてもらえるよう、名古屋キャンパスでは毎週火曜日・金曜日に「健康運動倶楽部」を開設し、ポールウォーキングなど体力や健康促進のための運動を指導させていただく講座を設けています。

もう一つは、「健康栄養プラザ」。健康栄養学部の大学教員やテーマの専門家が生活習慣病の予防や食生活の工夫などの講座や実習、スポーツ栄養、離乳食や子どもの栄養指導などを行う講座を開設しています。キャンパス内の調理実習室で実演なども交えて学ぶことができ、「男の料理講座」や「ダイエットおせち講座」など面白いテーマのものも多いため、毎回受講者が多く集まる人気の講座になっています。

恵まれた自然環境の中で、地域社会作りに貢献

大学構内にも多くの緑が広がる

――名古屋キャンパス周辺の地域の魅力はどのようなところでしょうか。

大石さん:新興住宅街なので、静かできれいな地域ということが一番の魅力だと思います。今はだいぶ開発され多くの方が住む場所になりましたが、「天白公園」は元々タヌキが棲んでいられるような里山だったため、現在でもその名残で緑が多く残っている場所がたくさんあると思います。名古屋市街地へ通勤をされるファミリーの方が多くお住まいで、休日には家族で遊んでいる姿も多く見受けられますし、主婦の方が平日カジュアルにランチを楽しむことができるおしゃれなお店も充実しています。本学もそんな地域で、学びのリソースを多く提供していき、住人の方と共により良い地域社会作りを担っていける存在であり続けたいと思っています。

東海学園大学

入試広報課 課長 大石和史さん
所在地 :愛知県名古屋市天白区中平2-901
TEL :052-801-1201
URL:https://www.tokaigakuen-u.ac.jp/index.html
※この情報は2016(平成28)年7月時点のものです。

社会とのつながりの中で実践的な学びを提供/東海学園大学 入試広報課課長 大石和史さん
所在地:愛知県名古屋市天白区中平2-901 
電話番号:052-801-1201
https://www.tokaigakuen-u.ac.jp/index.ht..

Sweets café Riche(スイーツ・カフェ・リシェ)
川口希美さんインタビュー

素敵な非日常がある須磨で、自分らしいひと時を。/Sweets café Riche(スイーツ・カフェ・リシェ) 川口希美さん


美しい須磨海岸を大きな窓から間近に望む。このような贅沢なロケーションにマッチする洒落た佇まいのスイーツ・カフェ『Riche(リシェ)』。木製の階段や白を基調とした清潔な店内は、まるで海外にでも来たかような非日常のゆったり空間です。さらに厳選されたメニューが人気で、リピーターとなる人が続出。そんな素敵なお店を営むのは、学生時代に知り合って、結婚して15年を迎える川口裕司さん、希美さんご夫妻です。お二人にコダワリや須磨という街の魅力についてお話を伺いました。

自分たちの“好きなモノ”でお客さんと共感する

須磨の海岸を一望できる店内

――お店をオープンされた経緯などを教えてください。

川口希美さん(以下川口さん):「自分たちの好きなモノを集めてお店にしてみたい」。そんな思いが始まりでした。結婚した2年後の2003(平成15)年4月にオープンしたのですが、本当に手探りのことばかり。この建物は、元は(夫の裕司さんの)お祖父さんが住んでいた家で、わからないながらに図面を引いたりして、リフォームして今の形にしました。メニューも私が得意だったケーキなど出来ることから始めて、コツコツ学んで進化とともに変化しながら現在に至っています。営業時間や定休日も状況に応じて変わってきましたし、今後も変わっていくだろうと思います。店名は『リシェ』という響きが可愛いな、というひらめきで、後に調べてフランス語のriche(リッシュ)が持つ「心が豊かな」といった意味を知って「これがいいな!」って(笑)。

アンティーク調のテーブルが置かれたソファー席

――とても素敵な店内ですが、家具や食器などにもコダワリが?

川口さん:食器にはコダワリというほどのことはないのですが、私たちが好きなものが集まり揃ってきているという感じですね。テーブルと椅子はアメリカのユースド家具を私好みにカスタマイズしたものです。アンティーク系の家具類は、夫が大好きな雑貨のコレクションを活用しました。

ゆったりと落ち着いた雰囲気の店内

川口さん:こうして好きなものを形にした結果、私たちのお店は、「何かに共感した方に来ていただく」ようになりました。味、景色、音楽、流れる時間。その全てではなく、何かを感じて通っていただくケースが多いです。「人が並ぶから自分も並ぶ」という人でなく、「自分が好きだから行く」というような方が。お客様と通じ合えるということは幸せですね。ですので、ココでは「自分らしいひと時」を過ごしていただければ。平均して長めの滞在時間も、お店の特長だと思っています。

コダワリと変化のバランスをとりながら

川口さんご夫妻

――お客様はファミリーの方も来られますか?

川口さん:はい、ご家族連れやお孫さんを連れてとか、色んなお客様がお見えになります。元々あまりファミリー向けという意識はなかったのですが、自分たちに子どもが生まれたら、カップル向けだと思っていたソファー席が小さい子どもさんに適しているとか、新たに見えてきたこともたくさんあります。そんな気づきを素直にフィードバックさせていると、お店の形態は変化していきます。

川口さん:そして私たち家族も変わっていくから、それに自然と応じて変化が生じてきます。あと、営業をしてきた中でお客様に教わったこともたくさんあります。例えばランチにワインを出すようになったのも、女性のお客様が1人でワインを注文されて、「カッコイイなー」と憧れてお店の定番として取り入れました。

こだわりの水出しコーヒー

――メニューのおすすめやコダワリを教えてください。

川口さん:コダワリというか、ひとつ決めていることがありまして、それは「家族に食べさせたいものを出す」ということです。味で満足してもらうことはもちろんですが、安心で安全で健康的であることも前提となっています。一応、私が管理栄養士の資格を持っているので、この点は当初から変わっていないですね。

サラダにオイルを使わない、人気のアジフライ

川口さん:フードはすべてオススメですが、最近はサラダにオイルを使っていないアジフライが人気です。そしてコーヒーは独自の焙煎などではないですが、ウチのお店オリジナルの配合にしています。アイスコーヒーは夫が水出しにこだわったので、オーレにしてもコクと深みがしっかりと感じられる自信作となっています。スイーツの中では農家さんへの思いと体への愛情を込めて、ヘルシー度も高く仕上げた『にんじんとくるみのケーキ』が一番人気です。

旅先で触れた喜びを原動力に

――ヨーロッパの写真がたくさん置いてありますね。

川口さん:これはお店を始めてからなのですが、私たちはフランスが大好きで、旅行代金が安くなり、かつお店がヒマになる冬に、数週間休みを取って旅行に行っています。2005(平成17)年に初めて行ってから、上の子を授かるまでは毎年行きました。そこで触れた喜びをお店にフィードバックさせたり、見かける風景や街並みの美しさに魅了されたり、ワインやチーズの美味しさに感動したり。

看板

川口さん:今は2人目の子供が小さいので、海外へ行くことは叶いませんが、旅行は大好きなので、国内旅行の企画を練ったりしています。このような楽しみは働く原動力にもなりますし、新しい文化や芸術、そしてグルメなどと触れることは、お店をより魅力的な空間にするきっかけになっていると思います。

すぐ近くに海や山がある「日常の中にある非日常」

――須磨という街の魅力について教えてください。

川口さん:魅力ですか? 確かに初めて須磨を訪れた時は、駅から見渡せる海の景色に感動した記憶があります。だけど、お店を始めてから5年くらいは、この街の素敵な景色さえ気づかないくらいでした。窓の外に砂浜や海、青い空が広がっていることさえ気にもしないくらいに、窓の外を眺める余裕もなかったんだと思います。でも最近は自転車に乗って移動をしたり、ママ友達とのつながりから入る情報で須磨の魅力を知ったり、そのあたりも変化してきていますね。

青い空と砂浜が広がる素敵な景色

川口さん:街中からすぐ近くに海や山があって「日常の中にある非日常」が、他にはない須磨の魅力だと思います。駅を出たら砂浜とか、反対側の目の前には山があったり。そこにロープーウェイがあったり、まるで旅行に来たような気分を味わえますよね。

――最後に今後の展望などをお聞かせください。

川口さん:今後はお店がお休みの曜日などは、貸しスペースとして提供したり、食や健康をテーマにした集いを開いたりとか、今だからできることを展開していきたいですね。その先に、子供が学校に入ったら、また状況も変わるでしょうし、今は気づいていない活用法とかアイデアが出るかもしれません。いい出会いがあったら、お店を手伝ってもらう人が現れるかもしれないし、私たちも形にとらわれることなく、感性を大切にして、そんな時間を大切にされるお客様を迎えていきたいと思います。そしてお客様で年配の素敵なご夫婦なども来られて、2人で「ああいう歳の取り方をしたいね」という話をしたりするので、そんなところも将来の目標ですね。ありがとうございました。

川口さんご一家

Riche(リシェ)

川口裕司さん、希美さん、源喜くん、未結ちゃん
所在地:兵庫県神戸市須磨区須磨浦通り4-1-19
TEL:078-731-1345
※この情報は2016(平成28)年3月時点のものです。

素敵な非日常がある須磨で、自分らしいひと時を。/Sweets café Riche(スイーツ・カフェ・リシェ) 川口希美さん
所在地:兵庫県神戸市須磨区須磨浦通り4-1-19 
電話番号:078-731-1345

多彩な個性のニーズを汲み取り、未来へエールを送り続ける

多彩な個性のニーズを汲み取り、未来へエールを送り続ける/聖ドミニコ学院中学校高等学校 入試広報部 佐藤正久先生


聖ドミニコ学院中学校高等学校
入試広報部 佐藤正久先生

多彩な個性のニーズを汲み取り、未来へエールを送り続ける

宮城県下で「カトリック3校」と呼ばれるなかの1校である「聖ドミニコ学院」は、「仙台」駅前から南西の方向へ車で20分の閑静な住宅街の一角にある。
夏休み期間に取材をしたが、敷地内は部活動で来ている中高生で活気に満ちていた。生徒とすれ違うと必ず「こんにちは」と、先に笑顔で挨拶してきたのが印象的。学校の雰囲気や環境の様子が、生徒の言動に表れていた。「生徒1人1人が財産です。個性を育むことを大切にし、より良き将来へ歩んでもらえるよう取り組んでいます」と話す佐藤先生に、学院のことについてお話を伺った。

聖ドミニコ学院には幼稚園から高校まであると伺いました。

聖ドミニコ学院幼稚園 お泊り保育の様子幼稚園・お泊り保育の様子

北仙台にある「北仙台幼稚園」以外、幼稚園から高校まで敷地内にコンパクトに収まっています。学校全体の連携・協力体制が密に図られているのが、他校にはない強みです。
例えば幼稚園では、週に1回高校の先生が体育教室の指導をしたりしています。設備も含めて、幼稚園から高校までが同じ敷地にあるからこそ実現できるカリキュラムもあります。

在校生は全体で約660人、私立校のなかでは比較的少なめの人数かと思います。 小学校までは男女共学、中学校以降は女子校になりますが、これは学校の運営母体が現在、ローマに本部がある「聖ドミニコ女子修道会」であることに由来します。

開校してからどれくらい経ちますか?

聖ドミニコ学院 バトントワリング部バトントワリング部

1931(昭和6)年、5人の修道女が学校教育を行うため来仙したことがきっかけで誕生しました。1937(昭和12)年、現在の幼稚園の前身である「暁の星幼稚園」開園から現在の形になるまで84年の歴史があります。近年では卒業生のお子さんやお孫さんが入学するというケースも珍しくなくなってきました。20年以上勤めるベテラン教員もいるので、かつての教え子だった方がお母さんになり、娘が入学して同じ先生にお世話になる…ということもあります。

姉妹校との交流はありますか?

聖ドミニコ学院 イタリア修学旅行イタリア修学旅行での一枚

同系列の姉妹校は、国内では、東京・京都にあるほか世界各国に広がっています。聖ドミニコ女子修道会の国際的組織を活かした国際交流は特徴のひとつで、毎年高校2年生が修学旅行(国内・海外希望選択)で、海外組の生徒はイタリアの姉妹校を訪ね、交流会を設けています。また、オーストラリア姉妹校や校外の各団体と連携して中・長期の留学することも可能です。

制服はありますか?

聖ドミニコ学院 高等学校の制服(冬季)高等学校の制服(冬季)

はい。幼稚園と小学校はネイビー、中学校と高校はブラウンのブレザーが特徴です。中高の制服は数年前に変更したばかりです。仙台市内にある専門学校の生徒へデザインを依頼した後、絞られた10案を文化祭で発表し、生徒・保護者・一般の方からの投票で現在のものに決まりました。「中高は身だしなみが気になり始める年頃の女子が通いますし、制服は長く着るものだから、実際に使用する人たちが納得して着られるものを選んでほしい」という学校側の願いがあり、このような方法を取りました。

朝礼の時間はありますか?

聖ドミニコ学院 礼拝堂

毎週月曜日は聖堂に集まって全校礼拝、火曜日から金曜日は放送による礼拝が行われます。祈りや聖書を通し、13世紀初頭に聖ドミニコが説いた「真理(Veritas)=正しいことを知り、愛と誠をもって生きる」というモットーの実践を目指してしています。月に一度、カトリックのシスターである理事長による礼拝もあります。

中学・高等学校では部活動も盛んなようですね。

聖ドミニコ学院 部活動

中高一貫校のため、多くの部で中学生と高校生が一緒に活動します。後輩は先輩の背中を見ながら練習するので上達が早いですし、先輩は後輩を意識するので技術だけではなく協調性も身につきやすいと思います。

聖ドミニコ学院 剣道部剣道部の練習風景

また、聖堂が入っているヴェリタス館の2階には合宿用施設があります。布団完備の和室、冷蔵庫、浴室などがありますので、フォロー体制も万全です。2015(平成27)年度は中高ともに剣道部が県大会で団体・個人共に好成績を残したほか、放送部と県内でも珍しいバトントワリング部が全国大会へ出場しています。

ホームルームの時間はどんなことをしますか?

聖ドミニコ学院 ホームルーム お花見の様子ホームルーム お花見の様子

クラスや時期によってさまざまなアクティビティがありますが、特に自然豊かな文教エリアという立地を活かした活動が魅力です。近くにある「桜ケ岡公園」でのお花見はもちろん、目の前を流れる広瀬川で宮城県の秋の風物詩「芋煮会」を開いたり、川の向こうにある「宮城県美術館」や「仙台市博物館」まで歩いて行ったりもします。

進路指導などのサポートも手厚いとのことですが。

聖ドミニコ学院 普段の学校生活の一コマ普段の学校生活の様子

必要に応じて教員による個別の学習指導や進路相談を行っています。それにより将来へのビジョンを早い段階から明確にできます。高校では特別進学・幼児保育進学・キャリアデザインの3コースに分かれ、それぞれが希望する進学先へ向け着実にベースを作れます。小規模校であるからこそ、生徒と学校の距離感が近い環境なので、生徒の希望に合わせて教員がフォローしやすい環境です。

高校卒業後の進路は、約9割が進学を選択します。大学・短大・専門学校など多岐に渡り、宮城県内に残る生徒もいれば、関東の私立大学へ進む生徒もいます。 就職を希望する学生も、毎年数名ほどおります。

これから川内地区に引越してくる方に、メッセージをお願します。

聖ドミニコ学院 運動会の様子運動会での一幕

「聖ドミニコ学院」は学校全体がアットホームで温かい雰囲気なので、すぐに溶けこめる良い環境だと思います。また、周辺も広瀬川など自然豊かな環境で、暮らしやすい街です。生徒同士も協調性が高く、みんな仲良く過ごしております。何か不安なことがございましたら、すぐにご相談ください。問題解決に向け、一丸となって対応いたします。

聖ドミニコ学院 佐藤先生

今回、話を聞いた人

聖ドミニコ学院中学校高等学校 入試広報部
佐藤正久先生

 

※この情報は2015(平成27)年8月時点のものです。

多彩な個性のニーズを汲み取り、未来へエールを送り続ける/聖ドミニコ学院中学校高等学校 入試広報部 佐藤正久先生
所在地:宮城県仙台市青葉区角五郎2-2-14 
電話番号:022-222-6337
https://www.dominic.ac.jp/