静かで暮らしやすい材木座で地域のつながりを育んできた、歴史ある商店会/材木座商店会 会長 金子善七郎さん


「材木座海岸」が目の前にあり、海の風が心地よい「材木座商店会」。「鎌倉」駅からは少し離れた場所にあるため、とても静かでのんびりとした雰囲気だ。「材木座商店会」には、人気の鎌倉野菜を販売する青果店や、採れたてのしらすを販売する鮮魚店などがあり、地元の買い物客で賑わっている。歴史のある「材木座商店会」の魅力、地域の方たちとのつながり、材木座の暮らしやすさなどを、「材木座商店会」会長の金子善七郎さんに伺った。

商店会の通りの様子

――「材木座商店会」の概要を教えてください

「材木座商店会」は歴史があります。明治時代は、駄菓子屋、足袋屋、下駄屋、床屋など、たくさんのお店があり大変賑わっていました。当時に比べたら現在はだいぶ減ってしまいましたが、43のお店があります。酒屋、八百屋、魚屋、クリーニング店、美容室、家電屋など、古くからあるお店のほか、新しくできた喫茶店や、素泊まりの宿泊施設を運営しているところもあります。ジェットスキーを管理したり、ウィンドサーフィンを取り扱うお店があるのは、海の近くならではですね。生しらすや釜揚げしらすを販売している「もんざ丸 前田水産」は、しらすブームの火付け役になったお店だと思います。先代の息子さんたちが中心になってお店を切り盛りしているんです。「もんざ丸」で漁に出て、収穫したきているんでとても新鮮ですよ。

新鮮なしらすが大人気の「もんざ丸 前田水産」

「アメリカヤ」は、以前お母様がやっていたお店でしたが、体調を崩して一度お店を閉めました。しかし、近所の人たちからの再開を望む声で、3年半後に息子さんが再オープンさせたんです。今年で再オープンから1年、お店は創業90年になります。先代の時と変わらず、今でも文具、花火、おもちゃを販売しており、花火は昔から変わらずばら売りです。

1926(昭和元)年創業の「アメリカヤ」

――材木座ならではの特長は何ですか

材木座は「鎌倉」駅から離れているため、観光客が少なく、住宅地としての魅力があると思います。奥まっていて静かでいいところです。以前、会社の保養所や別荘があった場所が分譲住宅になり、引っ越してこられる方もだいぶ増えています。

昨年商店会の会長になり、新しく引っ越してきた方たちと商店会をうまく結び付けるにはどうしたらいいか、いつも考えています。交流会などを行い、住民の方からの意見も聞ければと思っています。今は若い方も多くなり、会もやりやすくなりました。駅前はお店の入れ替わりが激しいですが、材木座は古くからのお店が多いんです。ですから新しい方が入りやすい環境を整えられればと思っています。

調味料や日用品も扱う昔ながらの酒屋「萬屋商店」

――材木座の暮らしやすさはいかがですか。

海が近く三方を山に囲まれているので、夏は都心のようなビルの熱気もなく涼しく、冬も雪はあまり降りません。気候はいいですね。それに知らない人同士が道ですれ違う時に挨拶するんです。とても住みやすいところだと思います。八百屋や魚屋もありますから、買い物も材木座の商店会で済ませることができます。7月1日の「海開き」からは海水浴も楽しめます。隣の「由比ガ浜海岸」は若物が大勢集まるライブハウススタイルの新しい海の家も出店して賑やかですが、材木座は静かで落ち着いています。

「魚梅商店」では新鮮な魚が手に入る

――みなさんの雰囲気はどうですか

材木座で生まれ育っている方も多いので、みんな家族のような関係ですね。商店会に入っている人は消防団にも入っていますので、地域とのつながりもとても強いです。昔のような「ご用聞き」はなくなったのですが、今でも住民の方とつながりを持っているお店は多いと思いますよ。

「八百喜商店」に買い物に来たお客さん

私は普段は工務店の仕事をしていますが、新しく引っ越してきた方にも「家のメンテナンスにすぐに来てくれる」と考えてもらえればうれしいです。都心で働いていて定年を迎え、こちらに帰ってきてお店を継ぐ人たちも増えていますし、「いつもお願いしているから」と親世代からの流れが伝わっていってくれればいいと思います。

また毎年6月に「子どもフェスティバル」を行っているのですが、子どもみこしが材木座町内を一周したり、みんなで露店を出したりしています。保護者の方たちもお手伝いしていただいて行っていますよ。たくさんの住民の方に参加していただいて、コミュニケーションを取ってもらえると嬉しいです。

――この街の魅力はなんでしょうか

商店会では魚やしらすなど、ここで採れたものも販売していますから新鮮です。野菜は最近人気のある「鎌倉野菜」を販売しています。駅近くの市場には、東京ナンバーの車の方がたくさん買い付けに来ているくらいなんです。人気の野菜を、日常の生活で食べられるのはいいですよね。

店頭には人気の「鎌倉野菜」が並ぶ

このあたりには「鎌倉」というブランドがありますから、住んでいるだけでも魅力だと思います。犬の登録もほかの市に比べて多いようなので、海の風に当たりながら散歩する人たちも多いのではないでしょうか。海が好きな人には、とてもいい場所だと思いますよ。

材木座商店会 会長 金子善七郎さん

材木座商店会

材木座商店会長 金子善七郎さん
所在地:鎌倉市材木座6-13-27
URL:http://www.city.kamakura.kanagawa.jp/shoukou/omise2006/data/map_09.html
※この情報は2016(平成28)年7月時点のものです。

藤沢市立村岡中学校:校長 若林豊先生インタビュー

笑顔が生みだす居心地の良い学校づくり/藤沢市立村岡中学校 校長 若林豊先生


1980(昭和55)年の創立より36年目を迎える「藤沢市立村岡中学校」。新興住宅地がひろがる「藤沢」駅の北東に位置し、古くからこの地域に伝わる文化と新しい生活スタイルとが調和する魅力的なエリアにある「藤沢市立村岡中学校」は、「藤沢市立新林小学校」「藤沢市立村岡小学校」「藤沢市立大道小学校」「藤沢市立高谷小学校」の4校を学区域とする地域に根ざした中学校で、2015(平成27)年9月末現在約630名の子どもたちが在籍しています。今回は校長に着任して5年目を迎える若林豊先生に「藤沢市立村岡中学校」の特色と地域の魅力についてもお話を伺いました。

“四つの「顔」”が生みだす居心地の良い学校づくり

藤沢市立村岡中学校

「藤沢市立村岡中学校」は1980(昭和55)年の創立より36年目を迎える学校で、2015年度は210名の新1年生を迎え約630名の子どもたちが在籍しています。

目指す学校像として『生徒のための三つの実現』『職員のための三つの実現』、そして『みんなのための三つの願い』をそれぞれ掲げています。なかでも『生徒のための三つの実現』では、「笑顔と感動の学校生活づくり」「創造と友情の学校文化づくり」「居心地のよい学校環境づくり」を目指すとともに、学校生活をより充実させるための“四つの「顔」”の呼びかけを続けています。

四つのいい「顔」

“四つの「顔」”とは「素直な顔」「笑顔の顔」「真剣な顔」「感動の顔」のことで、毎朝校門の前で私自身が子どもたちと笑顔であいさつを交わしたり、朝礼や集会など機会があるごとにその大切さを訴えてきたことで、生徒たちに定着してきているように感じます。

実は村岡中学校、通称“村中”の校章もよくよく見ると微笑んでいるように見えたため、私みずからがデザインして“笑顔”をモチーフにした団扇を制作したこともあるんです。

校長先生がデザインした笑顔の団扇

古くから学校を知る方や地域の方からは「子どもたちが落ち着いていて、良い雰囲気になりましたね」と評価をいただくこともあり、笑顔の連鎖が居心地の良い学校の雰囲気づくりに生かされていると思います。

地域ぐるみで取組む特色ある学校づくり

藤沢市が主催する緑の普及・啓発を目的とした取り組みのひとつとして「学校花壇コンクール」があり、市内の公立・私立の小・中学校およそ30校が参加しています。

おやじの会協力のもと造られた花壇"

本校では校内の美化を目的に生との緑化委員会と緑化ボランティアの皆さんに呼びかけて2013(平成25)年にスタートした取り組みですが、初年度は秀作、2年目には栄えある銀賞を受賞することができ、今年度も2年連続の銀賞という素晴らしい結果をおさめることができました。

今年度の立体的な花壇の制作も“おやじの会”の協力によるもので、ゴールデンウィーク中にもかかわらずのべ60名もの参加者が集まるほどの賑わいでした。

表彰記念

「藤沢市立村岡中学校」には、長年にわたり学校運営を支えてくださっている古くからの地元の方と、新興住宅地に引越して来た若い世代の方がバランス良く協力してくださっています。そのため、地域のボランティアや“おやじの会”の活動も幅広く、“ゆるく、長く”をモットーにさまざまな取組みにご協力をいただいています。

2015年度の特別事業として取り組んでいる“ビオトープ・プロジェクト”にもPTAの有志をはじめ“おやじの会”、緑化ボランティアの方々などにもご参加いただき、この秋いよいよ完成となりました。

ビオトープ

ビオトープの造営を提案した背景としては、開発などにより失われてしまった学校周辺の自然環境を人工的ではあるにせよつくりたいという思いがありました。また、それを自然観察や理科の学習に活用できるようにしたり、子どもたちにとっての憩いの場にできたりするのではという考えもありました。

これは私の夢でもあったのですが、活動の盛んな科学部の協力も得ながら藤沢メダカが生息できる環境の整備を進めていく予定で、ゆくゆくはホタルの飼育をしたり地域の方々にも楽しんでいただける場にしたいとも考えています。

HPにもプロジェクトの概要や今後の計画についても触れておりますので、ぜひご覧いただければと思います。

保護者、地域の方もみんなで楽しむ文化祭

展示を見る地域の方々

本校の文化祭も今年度で36回目を迎えますが、祭り囃子をはじめ囲碁、スポーツ吹き矢、手話、竹とんぼ作りなど地域で活動している6団体を含め部活動、委員会など計28団体もの展示・発表が行われました。

おやじの会による大凧揚げは文化祭の目玉のひとつですが、今年度はあいにくの雨により中止となってしまいました。

子どもたちの作品

9時の開会から14時まで保護者の方や地域の方には子どもたちと同じく校舎内を自由にご見学いただけるよう準備をしているため、本校の取り組みや雰囲気を知っていただく良い機会として地域のみなさまにもぜひお越しいただければと思います。

校長の語る“夢”に共感してくれる地域の人の魅力

御霊神社

村岡という学校名は旧鎌倉郡村岡村の地名にちなんだもので、今では「城址公園」のある村岡東として地名が残るのみとなりました。今では新興住宅地が広がる地域としての印象が強いですが、宮前と川名にある「御霊神社(ごりょうじんじゃ)」などは地域の歴史を知る貴重な手がかりとして興味深く、個人的な趣味としても休日を利用して街歩きをしたりこの地域に関する研究をしています。

和太鼓演奏

新興住宅地にあらたに引越してくる方が多い一方、歴史ある土地に古くから生活をしている方も多く、文化祭でも披露していた祭り囃子などは大切に受け継いでいきたいこの地域ならではの伝統です。

また校長に着任してから“笑顔”のある学校づくりをはじめ、「学校花壇コンクール」への参加や“ビオトープ・プロジェクト”の発足など、校長として思い描く“夢”を語り続けてきた結果、保護者をはじめ地域の方々も“夢”を同じくしてご協力いただけていることがありがたく、この地域ならではの人の魅力を感じています。

若林豊校長先生

藤沢市立村岡中学校

校長 若林豊先生
神奈川県藤沢市弥勒寺2-1-27
TEL:0466-27-6421
※この情報は2015(平成27)年10月時点のものです。

笑顔が生みだす居心地の良い学校づくり/藤沢市立村岡中学校 校長 若林豊先生
所在地:神奈川県藤沢市弥勒寺2-1-27 
電話番号:0466-27-6421
http://www.fujisawa-kng.ed.jp/jmura/

片瀬子どもの家 運営委員長 吉見美江さん

地域で子ども達を見守り育てる。まるで秘密基地のような「片瀬子どもの家」/片瀬子どもの家 運営委員長 吉見美江さん


「片瀬子どもの家」は地域の子ども達が身近な場所で自由にのびのびと遊べるようにという想いを込めて建てられた藤沢市の施設。現在は、公益財団「藤沢市みらい創造財団」が管理をし、アスレチックや滑り台、ネット階段、図書コーナーなどの遊具が設置されています。「地域の子どもは地域で見守り育てる」という理念のもとに、日常管理は地域の自治会やPTA、青少年育成団体の方々によって構成されている「片瀬子どもの家運営委員」。そんな「片瀬子どもの家」について運営委員長の吉見美江さんにお話を伺いました。

藤沢市に17ヵ所揃う「地域子どもの家」

木が基調の施設

――「片瀬子どもの家」の概要について教えてください。

吉見さん:「地域子どもの家」は、藤沢市が建てた子ども達が遊べる子育て支援施設で、「片瀬子どもの家」は2番目に古く2015(平成27)年で30周年を迎えました。藤沢市には現在、「地域子どもの家」が17ヶ所設置されています。対象者は未就園児から中学生までで、未就園児は保護者同伴で学校に入学と同時に一人で遊びに来られるシステムにしています。それぞれの「子どもの家」には地域の方々が担当している「見守る人」というボランティアの方々がいて、子ども達の安全を見守って下さり、時には子ども達と一緒にゲームをしたり、外で遊んだりして過ごしています。「片瀬子どもの家」は、基本17時まで運営していて、12月は16時、11月と1月は16時半まで開けていますが、子ども達は時間いっぱいまで遊んでいますね。

子ども達がのびのび遊べる充実した環境

天井が高いのびのびした室内

――「片瀬子どもの家」に訪れる子ども達の年齢層や、ならではの遊具について教えてください。

吉見さん:「地域子どもの家」は、『自然な建物』ということでログハウスで運営が始まりました。人気の遊具は外にある大型の遊具ですね。特に、「浮橋」が人気で、子ども達は楽しそうに遊んでいます。また、室内にある卓球も人気がありますね。ロフトになっていてはしごを登って上がるのですが、秘密基地みたいで子ども達の大好きなスペースです。図書コーナーでは、宿題をやったり漫画を読んだり自由に遊んでいます。

本を読む子ども達

遊びに来る子どもは低年齢化していて、午前中は未就園児がお母さんと一緒に来たり、幼稚園が終わった後に来たりしています。学校が終わると小学3年生くらいまでの子ども達が遊びに来ます。4年生になると習い事や塾を始める子ども達が多くなるので、高学年になるほど、少なくなりましたね。それでも、1日50名くらい、多い時は100名くらい来るときもあります。

地域一丸となって見守る子ども達の成長

30周年記念の作品

――吉見さんが「片瀬子どもの家」でボランティアとして参加されるようになったきっかけについて教えてください。

吉見さん:片瀬地域に住んでいる方で運営委員として活動している方が20名います。私はその団体の委員長を務めています。また、運営委員とは別に、「見守る人」が11名おり、2人ペアになって日替わりで子ども達を見守っています。

私が始めたきっかけは、町内会の子ども会で運営委員の選出があり、そこで運営に携わることを決めました。実際、わが子もよく遊ばせてもらったので、「自分にできることがあれば」という気持ちで始めましたね。運営委員を始めて、あれよあれよという間に十数年が経っていました(笑)。

みんなの絵と木のはしご

「片瀬子どもの家」は地域密着で、「藤沢市立片瀬小学校」の校長先生も運営委員になって下さっています。土日に行われる行事には、先生方も参加してくれるんです。クリスマスには「藤沢市立片瀬小学校」や「藤沢市立新林小学校」の先生がサンタに仮装したり、節分には鬼をやってくれます。学校の中ではなかなかお話する機会がない先生方とも話せて、子ども達はとても楽しそうです。そのような点も「片瀬子どもの家」の魅力ではないでしょうか。

否定ではなく、肯定の表現で子ども達に伝える

勉強をしている子ども達

――日々、子ども達を見守る中で心がけていることはありますか。

吉見さん:どうしても運営側の立場から「~してはいけません」と注意しがちですが、出来る限り「肯定」でいようと心掛けています。例えば、「5時からは遊べません」ではなくて「5時まで遊べます」など、言葉遣いや伝え方も工夫しています。子ども達は繊細な所もあるので、接し方にも気をつけています。

長い机のある部屋

――遊びに来る際に気をつけるべき点や持ち物などはありますか。

吉見さん:自転車で来るお子さんが多いので、事故に巻き込まれないように、気を付けてほしいと思っています。それと、自転車の鍵は必ず掛けるように、子ども達にも日頃から伝えています。このような環境でも鍵をかけないと盗難にあってしまうこともあるので十分に気をつけて頂きたいですね。持ち物は、夏場は特に水分をとった方が良いので、飲み物を持参するように伝えています。「地域子どもの家」は食べ物の持ち込みは禁止されているのですが、「片瀬子どもの家」では、時間と条件を満たせば昼食をとることを可能にしています。なので、幼児とお母さんは、お弁当を持ってきてご飯を食べたりしていますね。

「藤沢だから」安心して子ども達を育てられる環境

湘南のマリンレジャー

――周辺で子どもの家以外に親子で遊ぶオススメのスポットはありますか。

吉見さん:ここは海が近くて江の島までが学区に含まれるんです。なので、親子で遊ぶスポットは江ノ島や新江ノ島水族館など、やっぱり海がある環境ではないでしょうか。子ども達はよく釣りに出掛けているそうですよ。「新林公園」など、公園も点在しているので子育て環境にはピッタリですね。

仲良くお絵描きをしている子ども達

――最後に、藤沢・片瀬周辺エリアの魅力について一言お願いします。

吉見さん:湘南は温暖で、海も山もあり自然に恵まれている街です。片瀬江ノ島は歴史もあって、江ノ島道など、神社仏閣もいっぱいあります。文化薫る環境ですね。片瀬は地域力があって子ども達を地域の皆で見守っているので、安心して暮らせる環境だとよく訪れたお母さん同士は話していますね。子ども達ものびのび育つことができると思います。

吉見さん

片瀬子どもの家

運営委員長 吉見美江さん
所在地 : 神奈川県藤沢市片瀬2-3-4
※駐車場はございません。
TEL : 0466-27-7409
URL:http://www.city.fujisawa.kanagawa.jp/shisetsu/annai/bunka/015.html
※この情報は2016(平成28)年1月時点のものです。

地域で子ども達を見守り育てる。まるで秘密基地のような「片瀬子どもの家」/片瀬子どもの家 運営委員長 吉見美江さん
所在地:神奈川県藤沢市片瀬2-3-4 
電話番号:0466-27-7409
開館時間:10:00~17:00(ただし、1月・11月は16:30、12月は16:00まで)
休館日:第3日曜日、年末年始
https://f-mirai.jp/youth/house-2/list/ka..

「日本一の給食」を再現する区役所

街を活かす絶妙なまちづくりの舵取り。「足立区」の街のつくり方/足立区市街地整備室まちづくり課 長谷部泰人さん


足立区の南部に位置する千住エリア。「北千住」という地名はなく地元の人たちは「千住」と呼ぶが、ここでは近年注目が集まる、駅名の「北千住」を用いて紹介する。ターミナル駅を有する街ならではのアクセス性と、商業施設が充実していることを知っている者には、人気上昇の傾向を“何をいまさら”と感じるかもしれない。宿場町として栄えた歴史と、近現代でまとった新たな魅力を損なうことなく、まちづくりをしてきた足立区にお話を伺った。

足立区まちづくり課の長谷部さん

――まずは、足立区の再開発について聞かせてください。

足立区:同じ足立区とは言っても、エリアごとに特徴がありますから、地域の代表者や町会長と話し合うなどし、それぞれに合ったアプローチでまちづくりを進めています。

足立区の中心とも言える「北千住」駅周辺に関して言えば、西口に「マルイ」さんの出店と、ペデストリアンデッキを含む駅前広場の開発で様子が一変しました。一方の東口は、もともとは地元の方しか歩かないようなところでしたが、「東京電機大学」の誘致に伴い、駅前広場や区画街路、駅前広場を整備したことで賑わいがもたらされました。

「北千住」駅前のペデストリアンデッキ

――近年、北千住は住みたい街としてその名が挙がるようになりました。

足立区:知られていなかったというだけの話で、以前から魅力のたくさんある街でした。「北千住」駅は、千葉・茨城と都心部をつなぐターミナル駅。アクセス性にも優れていますし、個人経営の商店や飲食店も多く、知らない者同士が親しくなりやすい雰囲気も魅力です。

飲食店などが多く、グルメな街となってきている

さらに大学のキャンパスを誘致したことで、結果として約10,000人もの学生と教職員が街に来ることになりました。「東京藝術大学」「東京電機大学」「東京未来大学」「帝京科学大学」「放送大学」の5つの大学のキャンパスがありますので、人が増え、路地歩きが増えたことで街の隅々まで元気になり、“北千住で商売をしよう”という若者もどんどん増えています。それまでは電車を乗り継ぐ場所として使うだけだった方も、駅周辺を散策してくれるようになりました。こうした連鎖反応により、全てが良い方向へと進んでいますが、しかし行政がやったことは大学誘致とそれに関連する動きだけ。自然と生まれる人から人への発信力を改めて実感した次第です。

「東京電機大学」などのキャンパスが人が集まるきっかけに

――宿場町として栄えた歴史も、街の魅力的な表情になっているのではないですか?

足立区:そうですね。今でも江戸時代に形づくられた「千住宿」の町割が残っていることもあり、北千住でしか味わえない路地歩き・街歩きがあります。北千住は江戸の“外”だったので、“内”よりも自由が認められていました。大店も多く、裕福な商人がパトロンとして文化人を育てたという歴史もあります。宿場という旅立ちの場所という性格から、置き土産として多くの書画が街に残されました。

当時の人々の気質は、1815(文化12)年に催された「酒合戦」によく表れています。これは、千住の飛脚問屋・中屋六衛門の還暦を祝い、“誰がより多くの酒を飲めるか”を競い合った牧歌的な戦です。それから200年後の2015(平成27)年、その再現を試みて、街の有志により「千住酒合戦」が開催され、それに関連するイベントも近隣の飲食店等で行われました。これも、まちに長い歴史があるからこその話ですね。

にぎやかな「宿場町通り」

――「あだちまちづくりトラスト」について教えてください。

足立区:「あだちまちづくりトラスト」は、創意工夫による自主的なまちづくり活動を行う個人と団体を対象とした助成制度です。“学生のまちづくり活動コース”“身近なまちづくり活動コース”“まちづくりはばたき支援コース”“まちづくりイベント・整備活動コース”“街並み空間・自主管理歩道等助成コース”の5コースがあり、助成限度額と助成回数はそれぞれ異なりますので、少しでも関心のある方はWebサイトを御覧いただければと思います。

まちづくり課の長谷部さん

――北千住は、どのような街を目指しているのでしょうか。

足立区:民間投資のさらなる拡大により、これまで以上の活気を街にもたらしたいと考えています。千住エリアでは大手企業だけでなく、まちで生まれ育った、あるいはまちに惚れ込んだ若い世代が起業し、思いのつまった飲食店などを展開、個性豊かな店々が健闘するユニークなエリアとなっています。このような動きも大事にし、官民の協働により、街全体でまちづくりをしていければと思っています。

新旧の魅了が味わえる街、北千住

――最後になりますが、北千住エリアの魅力について改めて聞かせてください。

足立区:新旧の程よい調和が、北千住の魅力のひとつですね。おしゃれな外観のカフェがあるかと思えば、すぐ隣には古い木造家屋がある――。こうした変化のある街並みを楽しみながら路地を歩けば、思いがけない発見もあると思います。学生や子育て世代をはじめ、北千住を舞台に活動している団体が「あだちまちづくりトラスト」の申請をしています。こうした活発な動きがあることも、今後の北千住を楽しみなものにしてくれています。

街を活かす絶妙なまちづくりの舵取り

足立区役所

足立区市街地整備室まちづくり課
長谷部泰人さん
所在地 :足立区中央本町1-17-1
電話番号:03-3880-5111
URL:http://www.city.adachi.tokyo.jp/
※この情報は2017(平成29)年5月時点のものです。

街を活かす絶妙なまちづくりの舵取り。「足立区」の街のつくり方/足立区市街地整備室まちづくり課 長谷部泰人さん
所在地:東京都足立区中央本町1-17-1 
電話番号:03-3880-5111
開庁時間:8:30~17:00 ※第4日曜日9:00~16:00に一部窓口を開庁
閉庁日:土・日曜日、祝日、年末年始(12/29~1/3)
https://www.city.adachi.tokyo.jp/

文京区立第六中学校 不破校長先生 インタビュー

教職員が一丸となって取り組む 生徒一人ひとりが“通って良かった”と思える学校づくり/文京区立第六中学校 校長 不破裕子先生


1947(昭和 22)年の開校より、「文(ふみ)の京(みやこ)」の中学校として地域とともに歩み続けて来た「文京区立第六中学校」。2014(平成 26)年に全面改修を経て生まれ変わった新校舎が誕生し、安全かつ充実した学習環境は、生徒たちにより良い学びの機会を提供しています。今回は「文京区立第六中学校」の不破裕子校長先生に学校の概要や特色、地域の魅力についてお話を伺いました。

文京区第六中学校 不破裕子校長先生

まず「文京区立第六中学校」の概要、教育目標について教えてください。

「文京区立第六中学校」は 1947(昭和 22)年 4 月 1 日の開校より今年度 70 周年を迎えた歴史ある学校です。東京メトロ南北線「東大前」駅の地上出口から徒歩十数メートルの本郷通り沿いに立地し、現在の校舎は全面改修を経て 2014(平成 26)年に完成しました。各学年 3 学級の計 9 学級、340 名の生徒がともに学校生活を送っています。

充実した設備が揃う新校舎

教育目標には「責任を重んじる」「学習に励む」「健康なからだをつくる」「美しい生活を求める」の4つを掲げ、一人ひとりの生徒が“六中に通って良かった”と思える学校づくりを目指して、教職員が一丸となって学校運営に取り組んでいます。

教育目標

教育目標に掲げられている「美しい生活を求める」とは、どのような内容を指しているのでしょうか。

“美しい生活”というのは、校内の美化に努めることや、外見だけを対象にしているのではなく、日々の言葉遣いや挨拶なども含めた学校生活を送るうえでの基本的なあり方を指しています。

木のぬくもり溢れる広々とした校内

本校には勉強はもちろん、スポーツや部活動に取り組む“文武両道”の精神が伝統として受け継がれ、生徒会活動や学校行事への取り組みも熱心で、生徒たちが自ら学校生活を豊かにしようとする校風が育まれています。本校の二大行事である運動会と学習発表会では、生徒が主体となって応援団や実行委員会を組織し、始業前や放課後の練習にも熱心に取り組んでいる様子を目にします。

表彰盾

人は置かれた環境によっておのずと人間性が高められることもあり、「美しい生活を求める」ことは充実した学校生活を送るうえでも大切なことだと思います。

「文京区立第六中学校」ならではの取り組み、特色について教えてください。

本校ならではの特色ある取り組みのひとつに、定期考査前の放課後や夏季休業期間に行われる「六中応援塾」があります。「東京大学」の学生や大学院生の協力を得て実施される地域とのつながりも感じられる取り組みで、生徒の自主学習をサポートすることを目的にしています。

十分な日差しが入る明るい教室

ホームページには写真とともに参加した生徒たちの声も掲載しており、「丁寧に教えてくれるので、とても勉強になりました。」、「質問すると分かるまで親切に教えてくれてよかったです。」など、貴重な学びの機会になっているようです。

また1年生の1学期には、「東京大学」の大学院生による「学び方講座」も開催され、自らの中学生時代を振り返って具体的なエピソードも交えながら定期考査に向けた学習方法や「六中応援塾」の活用の仕方などについてガイダンスを行っていただいています。さらに今年度からは地域未来塾事業として卒業生を講師に招き、「放課後学習教室」、「夏休み学習教室」と開室し、連日多くの生徒が自学自習に励んでいます。

新校舎の設備や、タブレット端末などのICT 機器を活用した取り組みについて教えてください。

学校の設備や学習環境という点でも、校舎を改修したことにより、生徒たちの学びの機会はますます充実したものになっていると思います。大会などでも使用できる広々としたアリーナ(体育館)をはじめ、地下1階には格技室、また7階の屋上には25m×6コースの快適なプールが設けられ、充実した環境が整っています。全面改修による安全への対策は、生徒たちの健康づくりにも役立っています。

運動場

また2〜4階の普通教室にはホワイトボードの奥に電子黒板が設置され、ICT機器を活用することで生徒の学習意欲、関心を高めることに役立てています。さらに、特別教室にも移動型の電子黒板が配備されています。

各分野の専門家を招いて開催している講演や講座についても教えてください。

本校では卒業生や地域の職人の方、学校や研究所、企業など各分野の専門家との連携も強く、キャリア教育や学校行事などさまざまな場面で協力をいただいています。

具体的な例としては、2017(平成29)年には開校70周年記念講演として本校の卒業生であり、東京大学名誉教授の御厨貴(みくりや たかし)さんに学校にて講演をしていただきました。

また3年間を通じたキャリア教育において、1年生には「職場訪問」に備えてアナウンサーの大橋照子さんを講師にお招きして「インタビュー講座」を開いたり、2年生には「職場体験」の前に専門家による「マナー講座」を行ったり、3年生には卒業期に複数講座を開設する「六中アカデミー講座」を行ったりと、各分野の専門家による講演、講座の機会を積極的に設けています。

大会にも使用されているアリーナ

2014(平成26)年より文京区の取り組みとしてはじまった、「生きる力」実現・学校力パワーアップ事業について教えてください。

学校のホームページにも記載しておりますが、文京区では2014(平成26)年より『「生きる力」実現・学校力パワーアップ事業』と名づけて、学校の特色に応じた教育活動の推進に取り組んでいます。

本校では「確かな学力の向上」「総合的な学習の時間の充実」「教師の指導力の向上」「特色ある学校づくり」と4つの柱を立てており、「確かな学力の向上」では「六中応援塾」と、1年生を対象とした「数学フォローアップ講座」を具体的な取り組みとして掲げています。

また「総合的な学習の時間の充実」や「教師の指導力の向上」においても、キャリア教育やICT環境の充実など、本校の特色としてお話した取り組みを事業として実践する予定で、代々受け継がれて来た“伝統”を大切にしていきたいと思います。

最後に地域の魅力について教えてください。

文京区はその名の通り「文(ふみ)の京(みやこ)」としての歴史があり、教育に対する関心も高く、自然環境や落ち着いた生活環境も整い、“学びの地”に相応しい魅力的な地域だと思います。

「文京ふるさと歴史館」

また教科書にも載っているような近代文学の代表的な作家にちなんだ名所、旧跡もあり、“歴史と文化のある街”というのもこの地域ならではの特徴だと思います。本郷にある「文京ふるさと歴史館」や目白台の「永青文庫」、西方には樋口一葉の終焉の地とされる場所に記念碑があったり、小石川には石川啄木の終焉の地に歌碑が設置されていたりと、名所、旧跡を辿りながら散策してみるのもおすすめです。

 

文京区第六中学校 不破校長先生

文京区立第六中学校

校長 不破裕子先生
所在地:東京都文京区向丘1-2-15
電話番号:03-3814-6666
URL:http://www.bunkyo-tky.ed.jp/dairoku-jh/
※2016(平成28)年2月実施の取材に基づき、2017(平成29)年12月に加筆修正した内容です。 記載している情報については、今後変わる場合がございます。

教職員が一丸となって取り組む 生徒一人ひとりが“通って良かった”と思える学校づくり/文京区立第六中学校 校長 不破裕子先生
所在地:東京都文京区向丘1-2-2 
電話番号:03-3814-6666
http://www.bunkyo-tky.ed.jp/dairoku-jh/

「子育てを“孤育て”にしない」、多彩な子育て支援を展開/国立市子ども家庭支援センター 関根さん、小高さん、中川さん、神崎さん


JR「国立」駅の南西に位置する「国立市子ども家庭支援センター」。同センターは、国立市内の18歳未満の子どもとその保護者、そして子育てに関わる方を対象とした相談・支援や情報の提供を行っている施設である。そんな「国立市子ども家庭支援センター」の皆さんに、国立市の子育て支援への取り組み、その中で同センターがどのような役割を担っているか、そして国立市の魅力について伺った。

「子ども家庭支援センター」の皆さん

「次世代の育成」に注力する国立市の取り組み

――国立市の子育て支援に対する取り組みについて教えてください

東京都の各区市町村には、規模や事業内容に多少の差はありますが、「子ども家庭支援センター」が設置されております。その事業の柱として「子育て親子の交流の場の提供と交流の促進」「子育て等に関する相談・支援の実施」「地域の子育て関連情報の提供」「子育てに関する講習等の実施」「各種子育て支援サービスの提供」などがあります。

国立市における子育て支援サービスの具体的な活動としては、「ファミリー・サポート・センター」「育児支援サポーター派遣」「子どもショートステイ」「一時保育」といった子育て支援サービスを行っています。

まず、「ファミリー・サポート・センター」は、生後2カ月から10歳までのお子さんをもつ家庭を対象に、お子さんのお預かりや保育園・習い事への送迎を保護者に代わって行うサービスです。市民から子育て家庭を手伝ってくれる方を募り、講習受講後に支援会員として登録いただき支援活動にご協力いただいております。中には、ご自身が支援会員として活動に協力してくれると同時に、このサービスの利用会員でもある方もいらっしゃいます。そんな複数の支援会員と利用会員それぞれのニーズを担当スタッフが調整いたします。

「子ども家庭支援センター」

「育児支援サポーター派遣」は、国立市独自の子育て支援サービスで、産前から産後6カ月までの子どもがいるご家庭に、研修会を受講し登録されたサポーターが、ご家庭に伺い、沐浴の補助、上の子の世話などの育児や母子の食事の世話、掃除、洗濯、買い物など、家事のお手伝いをします。

さらに、「子どもショートステイ」事業については、病気や出産、冠婚葬祭等で一時的に養育が出来なくなった場合に、施設でお子さんをお預かりするサービスです。昨年秋より、従来の「宿泊型」に加え、「日帰り型」もスタートしました。また対象も2歳児から小学校6年生までであったものを中学3年生までへと拡大しました。また、「一時保育」事業は国立市内の認可保育園2園で実施しており、保護者の不定期な仕事、病気、上の子の行事、リフレシュなどで、一時的に保育が必要な時にご利用いただいております。

「くにたち子育て応援アプリ」

――国立市の公共機関が協力し合ってサービスを展開しているということですね

国立市では、「次世代の育成」を主眼においた事業強化しています。7月より市役所内に「子ども総合相談窓口(くにサポ)」を設けたのもその一つです。子育て関係の手続きに来所した際、気軽に立ち寄って相談していただきたいと考えています。また、数年後には、JR「国立」駅前に当センターの3倍以上の広さを持つ「子育てひろば」がオープンする予定です。複合商業施設の中に作られるので、買い物や通院等を兼ねて立ち寄ることができるという利便性が期待できます。同時に一時保育にも対応する予定です。

そうしたハード面でのサービス拡充に加え、平成27年度からはスマホアプリの「くにたち子育て応援アプリ」もスタートし、国立市の子育て情報や防災情報を提供しています。また当センターでも子育て情報「ぽかぽか」も発行しており、こちらも国立市ホームページでどなたでも閲覧可能ですので、身近な情報収集ツールとして、ぜひご利用してください。

子育て情報「ぽかぽか」

「子育てひろば」で保護者の仲間づくりや情報交換、リフレッシュをサポート

――国立市の子育て支援サービスにおける「子ども家庭支援センター」の役割をお教えください

センター内の「子育てひろば」は、0歳児から2歳児くらいまでのお子さんが保護者と一緒に自由に遊べるスペースとして開放しています。保護者同士が交流や子育て情報の交換をされたり、あえて利用者が少ない時間にいらっしゃって、お子さんに本を読んであげたり、お子さんが遊んでいる様子を見ながらくつろがれる方など、利用方法はさまざまです。初めてのお子さんを育てている方に比べて、第2子の方はすでに子育て経験をおもちであることもあって、子育ての先輩としてのアドバイスされている光景もよく見かけます。国立市はコンパクトな街である分、それぞれの地域が近いので買い物情報など共通の話題も多く、話が弾みやすいようです。私たちは、初めてこちらを利用される方が他の方たちと馴染めるよう、サポートに努めています。

「子育てひろば」の利用人数は、日によって違いますが、イベント開催時には1日で180名の利用者があったこともあります。通常は多い時で50~60人ほどです。土曜日の午前中などは、父親が子どもと一緒に来られることも多いです。中には育児休暇中の父親もいて、子育てを母親任せにしない家庭が増えてきていることを実感しています。

「子育てひろば」

――どのようなイベントが行われているのですか?

年に1度の「お楽しみ会」のほかに、毎月「読み聞かせ会」や、国立市内にある企業「ヤクルト」さんが、自社の保育士さんを派遣してくださり、親子で楽しめるプログラムを行っています。内容は紙芝居や体操、お誕生日会、子どもの手形を取るなどさまざまです。他にも不定期でミニイベントを開催することがあります。

以前は、季節のイベントも数多く実施していましたが、現在はその分の時間を保護者に向けた子育て講座の実施にシフトさせています。子どもが楽しめるイベント等は、地域のNPO法人などが積極的にやってくれているという背景もあり、むしろ、どうしても定員漏れになってしまうことの多い講座を強化していこうと考えています。人気講座だと希望者全員を受け入れられないこともあって、1年に1回の講座では、次の実施は翌年になってしまいます。ですが、子どもの成長は待ってくれません。また、年度途中で転入されてくる方も多いです。子育て関係の講座はタイムリーなことが重要なのです。そのため、1つの講座をできるだけ上・下半期で行えるようにしました。また、お子さんの成長に合わせた講習も行っており、ピンポイントな課題や悩みに応えられる内容を取り上げる工夫をしています。父親向けの講座も実施しています。

「子育てひろば」の様子

「一人で頑張らないで! 地域で子育ての輪」をモットーに

――講座・セミナー関係を強化した目的とは?

当センターの「子育てひろば」を利用される方の多くは、0歳児から2歳児くらいまでの保育園や幼稚園に行っていないお子さんを持つ保護者です。保育園や幼稚園に通うようになれば、そうした悩みにも保育士等が対応してくれます。ですから、私たちは“どこにもまだ所属していない子育てファミリー”を応援するのが「子育てひろば」の重要な役割と思っています。もちろん、「子育てひろば」を利用されていない方やお子さんの年齢が高い方にも各種講座に参加いただき、相談員・臨床心理士といった子育て関係の専門家からの言葉をもらえることで、保護者の方々に安心を提供できればと考えています。

子育てに対して真面目に取り組んでいるからこそ、「子育てを辛いと言ってはいけない」と思っている方も少なくありません。講座を受けた方々から「子育てを辛いと言ってもいいんだ」「他の親も自分と同じ悩みをもっているんだ」と理解することで気持ちが楽になったとの声を多く聞きます。こうした反響も鑑みて、当センターでは講座関係を強化し、一方で「子育てひろば」にイベントをあまり詰め込まず、開放する時間を長くすることで、初めて訪れる方でも入りやすい雰囲気、相談しやすい環境作りを大切にしています。

「子育てひろば」の様子

――「子育てひろば」に個室「ほっとルーム」が設けられていますが、あちらで子育て関係の相談に対応しているのですか?

当センターでは、18歳までのお子さんや家庭に対する悩み・不安に応える「なんでも相談」を行っていますが、相談の内容的に深刻な場合は相談室「ほっとルーム」を利用して、じっくりお話を伺うことも出来ます。月曜日から土曜日までの8時30分から17時まで相談専用電話も開設しています。そうした子育て相談については、センターを利用していない方も利用可能なので、一人で悩む前にまずお電話をいただければと思います。そこまでではない相談については、ひろばスタッフに気軽にお声をかけていただければ、その場でご対応させていただいております。

ランチスペースの様子

――「子育て仲間づくり」にも力を注いでいますね

同じ地域の親子が集まる「地域グループ」や、同じ月生まれの親子が集まる「月齢グループ」のお手伝いをしています。「月齢グループ」は、「保健センター」での定期健診の際に保護者の方々にグループを作ってもらい、それぞれ自分たちでグループ名もつけていただきます。1グループ20人くらいです。子どもの検診や予防接種などのついでに集まっています。私たちはグループ活動が軌道に乗るまでのアドバイスをし、グループの幹事役を中心に、各グループの自主性を尊重して、好きなことをやってもらっています。

「月齢グループ」から「地域グループ」につなげるのも私たちの仕事です。地域グループのお子さんはそれぞれ年齢が異なるので、子育ての先輩となる保護者の方からは、参考になる情報を聞くことができます。たとえば、「子どもが食事を食べない」「なかなか寝付かない」「夜泣きで困っている」「イヤイヤ期の時の対応」といった問題。それが解決に至らなくても、それぞれが他の方に話したり、お互いの悩みを交換したりするだけで、「自分だけではない」と安心できるようです。地域グループは、現在7カ所、集まれる場所を作り、そこにはおもちゃも置いてもらいました。

当センターでは、子育てを一人で悩むような「孤育て」にしないための活動を推進しています。私たちもその一員として、子育て中の保護者の仲間づくりや情報提供・情報交換をより一層サポートしていきたいと考えています。

「くにたち子育てサポートブック」

インタビューに答えて下さった方々

国立市子ども家庭支援センター

関根さん、小高さん、中川さん、神崎さん
所在地:東京都国立市富士見台3-21-1
電話番号:042-573-0192
開館時間:子ども家庭支援センター 8:30~17:00 ※子育てひろば 10:00~16:00(木曜日は10:00~13:00)
休館日:日曜日、祝日
URL:http://www.city.kunitachi.tokyo.jp/
※この情報は2017(平成29)年11月時点のものです。

「子育てを“孤育て”にしない」、多彩な子育て支援を展開/国立市子ども家庭支援センター 関根さん、小高さん、中川さん、神崎さん
所在地:東京都国立市富士見台3-21-1 
電話番号:042-573-0192
開館時間:8:30~17:00、子育てひろば 10:00~16:00(木曜日午後は10:00~13:00)
休館日:日曜日、祝日、年末年始(12/29~1/3)
http://www.city.kunitachi.tokyo.jp/about..

生活を支える市民の窓口

“子育てがしやすいまち”を政策の柱に掲げ、子育て環境の整備を進める朝霞市/朝霞市役所 福祉部保育課・健康づくり部健康づくり課 のみなさん


子育てしやすい街として若い世代の子育てファミリーにも人気の埼玉県朝霞市。東武東上線と東京メトロ有楽町線・副都心線、JR武蔵野線も市内を走る交通の利便性が高い街で、その一方で自然や大規模公園などが身近にあることも魅力のひとつです。

2016(平成28)年に策定された「第5次朝霞市総合計画」においても、“子育てがしやすいまち”を政策の大きな柱に掲げ、今後ますます充実する子育て環境に注目が集まっています。今回は朝霞市役所の福祉部保育課と健康づくり部健康づくり課を訪れ、朝霞市の子育て状況について、今後の取り組みも含めてお話を伺いました。

インタビューにご対応いただいた保育課と健康づくり課の皆さま

利便性の高い交通アクセスと自然環境に恵まれた子育てしやすい街

――朝霞市の子育て事情について、未就学児の推移についても教えてください。

朝霞市は埼玉県の南部に位置する人口13万8千人(平成29年6月1日現在)の市で、東武東上線、直通で乗り入れる東京メトロ有楽町線・副都心線、JR武蔵野線が走る交通の利便性が高い街として知られています。近年、都心部へのアクセスの良さと大規模公園をはじめとした自然に恵まれた環境が子育てしやすい街として注目を集め、都心部に通勤する若いご夫婦の転入も増えています。

保育課では、就学前のお子さまを対象とした施設の整備を行っているのですが、2010(平成22)年の時点で7,850人だった就学前のお子さまが、2015(平成27)年度に大台となる8,000人を超え、2016(平成28)年4月時点で8,086人になりました。

朝霞市は県内でも合計特殊出生率の高い自治体で、2015(平成27)年度は1.56と、埼玉県の1.39や全国の1.45と比べても高い数値を示しています。全国的に少子高齢化と言われているなかで、微増ではありますが就学前児童数は年々増えている状況です。

朝霞市役所 福祉部保育課

高まる保育需要と認可移行が進む子育て関連施設

――子育て関連施設の設置状況についても教えてください。

就学前のお子さまが増えるのに伴って、保育園や小規模保育施設など子育て関連施設の整備も進めています。2010(平成22)年に19ヵ所だった施設数が2016(平成28)年には46施設となり、2017(平成29)年4月にも7ヵ所増えて53施設になりました。

2015(平成27)年4月に施行された「子ども・子育て支援新制度」に伴い、認可外保育施設を認可保育園もしくは小規模保育施設として移行することで高まる保育需要に対応しています。今年度新設された7ヵ所のうち4ヵ所が認可保育園で、施設名は「朝霞」駅の南口駅前の「朝霞にじいろ保育園」、駅東口より徒歩10分ほどの「おれんじゆめ保育園」、「朝霞台」駅から車で5分ほどの「つくし保育園」、朝霞浄水場近くの「北原保育園」の4ヵ所です。

また小規模保育施設は「朝霞台」駅南口より徒歩1分の「朝霞台エンゼル保育室」、「朝霞」駅との中間地点にある「元気キッズ朝霞岡園」、青葉台公園近くの「幸町しらとり保育室」が新たに整備されました。

「子育て支援センター」「児童館」など充実した子育て関連施設

――その他の子育て関連施設についても教えてください。

保育園や小規模保育施設の整備が進む朝霞市には、主に乳幼児期の子育てをサポートする「子育て支援センター」や会員同士による相互援助を基本とした「ファミリー・サポート・センター」、「児童館」や「放課後児童クラブ」など、子育てに関する施設が充実しています。

「さくら子育て支援センター」

「子育て支援センター」は市内に9ヵ所あり、「朝霞台」駅最寄りの「さくら子育て支援センター」、「きたはら子育て支援センター」の2ヵ所が公営の支援センターで、その他の7ヵ所は社会福祉法人やNPO法人に協力をいただきながら運営をしています。また「児童館」も市内に5ヵ所ありまして、これから6館目となる児童館が新たに整備される予定です。

2017(平成29)年10月に開設される「子育て世代包括支援センター(仮称)」

――子育てに関する新しい施策や取り組みについて教えてください。

朝霞市では「私が 暮らしつづけたいまち 朝霞」を将来像に掲げ、平成28年度から平成37年度までの10年間を計画期間とする「第5次朝霞市総合計画」を策定しました。そのなかで“子育てがしやすいまち”を政策の大きな柱として位置づけており、今年度も新しい事業がスタートします。

そのひとつが2017(平成29)年10月に開設される予定の「子育て世代包括支援センター(仮称)」です。市役所から歩いて2分ほどの「朝霞市保健センター」内に妊娠期から子育て期にわたる切れ目のない支援を行う総合的な窓口として立ち上がります。

これまで窓口の担当職員(事務職員)が母子健康手帳の交付を実施していたのですが、専門職ではないとなかなか聞き取れない悩みや困りごとも多くありました。そこで保健師や助産師といった専門職を配置することで、親御さんが抱えている不安や悩みごとなど、必要なサポートを見立てて支援することが可能になります。

「朝霞市保健センター」

朝霞市には若い世代のご家族が多く核家族の割合も高いため、身近なところに気軽に相談できる身内もいない状況で、不安を抱えたまま育児をしている親御さんが多くいらっしゃいます。

そういった方のためにも安心して子育てできる環境を妊娠期からきちんと整えておくことが重要で、悩みごとが大きくなってから「困った…」となってしまうよりも、専門職がはじめにニーズを聞き取っておくことが大事なんです。

たとえば、最近の出産は産後5日くらいで退院するのですが、その頃は特におっぱいを飲んでくれないといった授乳におけるトラブルが多いんです。近くに身寄りや相談相手がいないという方には、市が委託する助産師を派遣して、心身のケアや子育てのサポート全般を行うということも新しい試みとして行う予定です。

こども未来課の「子育てガイドブック」、保育課の「幼稚園・保育園等のご案内」

――朝霞市の子育て事情を知るのにおすすめのツールはありますか?

朝霞市では、子育てに関する情報をまとめた「子育てガイドブック」を毎年制作しています。子育て関連施設や医療機関の一覧、これから出産を控えているお母さん、お父さんにとって必要となる情報を項目ごとに分かりやすくまとめています。 市民センターや児童館など市内すべての公共施設でも配布していますが、市役所のこども未来課にもありますので、転入手続きの際などにお立ち寄りください。また朝霞市ホームページの「生活のできごと」にある「子育て」からも必要な情報をご覧いただけます。

朝霞市が毎年発行している「子育てガイドブック」

また保育課では、「幼稚園・保育園等のご案内」を冊子にまとめてご活用いただいています。1園ごとに見開き2ページを割いて紹介しているページもありますので、保育施設を選ぶ際の参考にしてください。

保育課がまとめている「幼稚園・保育園等のご案内」

「黒目川花まつり」や「彩夏祭」、「アートマルシェ」など子どもと楽しめるイベントが盛りだくさん

――市内のおすすめのイベントやスポットについて教えてください。

お子さんを連れてお出かけできるおすすめのスポットは、桜の開花時期にあわせて開催される「黒目川花まつり」や、保育園児も鳴子のチームとして参加する「彩夏祭」、「朝霞」駅前の広場で行われる秋の「朝霞アートマルシェ」も親子みんなで楽しめるイベントです。 その他にも11月に開催される「健康まつり」や「農業祭」、冬には地元商店会の協力による「北朝霞」駅前のイルミネーションもあり、一年を通じてさまざまなイベントが開催されています。

黒目川花まつり

また「子育て支援センター」の事業のひとつとして「さくら子育て支援センター」と「きたはら子育て支援センター」でそれぞれ年に1回行われている「子ども服交換会」も人気のあるイベントのひとつで、子育て世代の多い朝霞市ならではの取り組みだと思います。

子ども服交換会

「私が 暮らしつづけたいまち 朝霞」を目指して

――これからこの地域で子育てをする方へメッセージをお願いします。

朝霞市では現在、駅前のマンション建設をはじめ住宅の整備が進められており、市外からの転入者も増えています。せっかくお越しいただいて子育てという貴重なご家族の時間を過ごしていただくわけですから、朝霞市としてもあらゆる角度からお手伝いをしなければと使命を感じています。 施設を整備することはもちろんですが、「朝霞市に来て良かった」、「朝霞市に住んで良かった」と感じていただける街にしなければならないと、それが行政の役割だと思っています。 今年の10月には、子育ての拠点となる「子育て世代包括支援センター(仮称)」が開設されます。朝霞市のあたらしい子育てのかたちにご注目ください。

朝霞市役所 福祉部保育課/健康づくり部健康づくり課 のみなさん

朝霞市役所 福祉部保育課
健康づくり部健康づくり課 のみなさん

所在地:埼玉県朝霞市本町1-1-1
電話番号:048-463-1111(代表)
URL:http://www.city.asaka.lg.jp/
※この情報は2017(平成29)年7月取材のものを再校正しています。

“子育てがしやすいまち”を政策の柱に掲げ、子育て環境の整備を進める朝霞市/朝霞市役所 福祉部保育課・健康づくり部健康づくり課 のみなさん
所在地:埼玉県朝霞市本町1-1-1 
電話番号:048-463-1111
開庁時間:8:30~17:15
休庁日:土・日曜日、祝日、年末年始(12/29~1/3)
https://www.city.asaka.lg.jp/

生活を支える市民の窓口

次世代へと向けた多彩な取り組みを進める朝霞市政策企画課/朝霞市役所 市長公室政策企画課のみなさん


2017(平成29)年に市制施行より50周年を迎えた埼玉県南部に位置する朝霞市。都心部への至便な交通アクセスと武蔵野の面影が残る豊かな自然環境は、子育てしやすい街としても注目を集めています。2016(平成28)年に策定された「第5次朝霞市総合計画」においても、“子育てがしやすいまち”を政策の大きな柱として掲げており、次世代へと向けた多彩な取り組みに注目が集まっています。
今回は朝霞市のシティプロモーションを担当する市長公室政策企画課を訪れ、2020(平成32)年に開催を控えた東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会への取り組みも含めお話を伺いました。

市長公室政策企画課を中心にシティプロモーションを盛り上げるみなさん

武蔵野の面影を残す自然環境と都心部への利便性を兼ね備えたまち

――まずは朝霞市の概要について、市の特色や人口の推移なども含めて教えてください。

朝霞市は埼玉県の南部に位置する人口約13万8千人(取材時点)の市で、都心部からのアクセスも良い東京のベッドタウンとして発展してきました。

市内には東武東上線「朝霞台」駅と「朝霞」駅、JR武蔵野線「北朝霞」駅の3駅があり、東京メトロ有楽町線・副都心線が直通で乗り入れる東武東上線を利用すれば、「池袋」までおよそ20分、「大手町」へも40分と交通至便な環境です。

地域の特性としては、市内のほぼ中央に黒目川が流れており、武蔵野台地の縁にあたる部分には段丘崖という斜面が形成されていたり、荒川へと向かって広がる低地との境界には湧水地もあったりと、起伏に富んだ地形ならではの豊かな自然環境に恵まれています。

春は桜、夏は水遊びも楽しめる「黒目川」

2017(平成29)年に市制施行50周年を迎えた朝霞市では、「むさしのフロントあさか」をキャッチフレーズとしてシティプロモーションを展開しています。武蔵野の面影を残す自然環境と都心部への利便性をあらわす表現として“むさしのフロント”ということばが生まれました。

「むさしのフロントあさか」のロゴマークとシンボルマーク

「私が 暮らしつづけたいまち 朝霞」に込めた行政のメッセージ

――2016(平成28)年度から2025(平成37)年度の10年間を対象期間とする「第5次朝霞市総合計画」について教えてください。

「私が 暮らしつづけたいまち 朝霞」を将来像としています。“私”という主語を入れたのは、“市民のみなさん一人ひとりが主人公ですよ”というメッセージであり、まちづくりは我々行政だけでなく、“みんなで取り組みましょう”という呼びかけでもあります。

また、子育てを機に転入した若いご家族世帯が増えることはもちろん大変喜ばしいですが、せっかくですので地域にしっかりと根ざして老後を迎えるまで住み続けて欲しい、という願いを“暮らしつづけたいまち”という言葉に込めています。

単に子育てしやすい街というだけではなく、今後の人口減少社会の到来に向けた取り組みとしても何世代にもわたって長く住んでもらえるまちづくりを大事にしたいと考えています。

市制施行50周年記念のブランドブックと朝霞市キャラクターの「ぽぽたん」

市民の声が市政に生かされる「あさか お・も・て・な・し カフェ」

――市民が主役、市民と一緒に、という言葉が出ましたが、まちづくりへの市民参加について具体的にどのような機会がありますか?

“私”にあたる市民の皆さまによる市政運営への関わりですが、例えば「第5次朝霞市総合計画」を策定する際の「あさか お・も・て・な・し カフェ」が象徴的な取り組みです。

「あさか お・も・て・な・しカフェ」の様子

朝霞市では初の、「ワールドカフェ方式(参加者がカフェのようにリラックスした状態で、自由に発言したり互いの意見に耳を傾ける機会を増やす会議方法)」を採用した試みで、あらかじめ市内の児童館や子育て支援センター、図書館などの公共施設に「あなたの意見を聞かせてください」とアンケート用の付箋や模造紙を置き、「朝霞のいいところ」「朝霞のよくないところ」「こんな朝霞市にしたい!」という3つのテーマで意見を収集し、当日はそれを切り口にして話題を盛り上げました。

お茶飲み話のようにざっくばらんに話しましょう、という呼びかけに、総勢75名の市民の方にご参加いただき、幅広い層の貴重なご意見を伺うことができました。

小さなお子さんを連れた子育て中のお母さんにもご参加いただいたのですが、自分の意見が市政に生かされていると実感していただける場でもあり、同世代の参加者同士がつながれる場としても楽しんでいただけました。

よさこい鳴子踊りを通して広がるつながりの輪

――その他にも朝霞市ならではのイベントや取り組みはありますか?

朝霞市には「彩夏祭(さいかさい)」という市民参加型のお祭りがあり、3日間で約70万人が来場する市最大のイベントとなっています。商工会の模擬店や屋台村の出店ブース、スポーツフェスティバルや約1万発もの打ち上げ花火などさまざまなプログラムがありますが、目玉と言うべきは本州で最古のよさこい鳴子踊りの祭典「関八州よさこいフェスタ」です。

彩夏祭のフィナーレ!踊り子も観客もみんなで踊る「総踊り」(北朝霞会場・北朝霞ステージ)

2017(平成29)年度は参加する94チームのうち20チームが子どものみで編成されたチームで、市内の保育園、幼稚園のほとんどが参加しているのですが、子どもの参加を通じてお母さん同士のコミュニティも生まれます。卒園すると今度は自分で入るチームを探すのですが、昨年度から小学校のチームが結成され、中学校にもそれぞれチームがあるので、子どものよさこい鳴子踊りを通じて自然と知り合いの輪が広がっていきます。また各地域にもそれぞれチームがあるので、お母さんと同じ地元のチームに所属したり、親子3代で同じチームに参加するご家族もいらっしゃったりと、このお祭りを通じて知り合いが多くなります。

地域に知り合いが多くなると自然と会話も生まれ、日々の暮らしが楽しくなるものですし、自分の住むまちを良くしたい、新しい人ともつながっていきたいという気持ちが芽生えることで、自然とまちづくりにもつながっていくと思います。参加を通じて地域とのつながりも感じられる貴重な場が「彩夏祭」なんです。

彩夏祭シンボルキャラクター「彩夏ちゃん」と鳴子

培われた市民のボランティア精神を東京2020 オリンピック・パラリンピック競技大会へ活かす

――来る東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会開催へと向けた取り組みについても教えてください。

市内では「陸上自衛隊朝霞訓練場」がオリンピック・パラリンピックの射撃競技の会場となります。射撃競技は第1回の「アテネ大会」から実施されている歴史のあるスポーツで、参加国数は陸上競技に次いで2番目に多いと聞いております。射撃競技の認知を広めるため、先日ビームライフル(実弾を使用しない射撃スポーツ)の体験教室を開催しました。今後も市民向けの講座や子ども向けの講座にも取り組んでいく予定です。

「ビームライフル体験教室」の様子

また県内でパラリンピックの競技が開催されるのは射撃競技だけということもあり、「共生・共存社会」の実現へと向けた取り組みも去年から力を入れて行っています。パラリンピックそのものについて知ることも含め、講演会にパラリンピアンを招いてお話いただいたりしています。 

朝霞市としましては、市制施行50周年という節目のタイミングを迎えたことと合わせ、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会というインパクトのあるイベントを、次世代へとつながる朝霞市のシティプロモーションのひとつとして位置づけています。何よりオリンピック・パラリンピックが開催される街というだけでもワクワクするでしょうし、この機会を通じて学ぶ「共生・共存社会の実現」という価値観を残していくのが我々の役目だと思っています。

インタビューの様子

開催に向けたハード面の取り組みとしては、もともとの都市計画道路と合わせて「彩夏祭」のメイン会場でもある公園通りから基地跡地側に30メートル拡げるシンボルロードを、また「朝霞」駅から国道254号を経て競技会場までを結ぶ都市計画道路の観音通線の整備を進めています。 またボランティアをはじめとした人材育成においては、埼玉県が実施計画をまとめ、本年度からボランティアの募集・育成を予定していますが、開催へと向けて必要になる取り組みは、街の案内やゴミ拾い、会場の飾り付けなど大会組織委員会が認定するボランティア以外にもいろいろな場面で出番があると思っています。

 「彩夏祭」という市民参加型のお祭りを通じてボランティア精神が根付いた街です。「彩夏祭」が終わった翌朝、踊り続けてクタクタなはずの踊り子たちが、朝7時から会場に集まってゴミ拾いをしてくれるんです。その光景を見ると 「本当に良い街だなぁ」と感じます。こういった取り組みの姿勢を見続けているので、ボランティアの取り組みには心配していません。オリンピック・パラリンピックの開催に向け「何かしたい」という機運が高まってきていると感じていますし、市民の皆さまの力をお借りして成功させたいと思っています。

――朝霞台エリア周辺の地域の特色や、魅力についても教えて頂けますでしょうか。

朝霞台エリアは、多くの人が訪れたいと感じるにぎわいのある商業空間の形成を図っています。地元の人たちから愛されるスイーツやパンの名店、おしゃれなイタリアン、フレンチのお店が揃っていたり、JR武蔵野線高架下にはバルや飲み屋が並び、仕事帰りの人たちで賑わいます。また、「産業文化センター」を拠点に朝霞市商工会が市の産業を盛り上げており、「冬のホッとおもてなしバル」、「北朝霞どんぶり王選手権」などのイベントが開かれ、市外からも大勢の方が訪れます。

商工会のほか図書館北朝霞分館も併設される産業文化センター

その一方で、「黒目川」の自然は、憩いの場、ウォーキングコースとしても親しまれ、市民の生活に潤いを与えています。四季を通じた草花、生き物の観察ができ、特に見応えのある桜の季節には「黒目川花まつり」が開かれて多くの人で賑わいます。

また、近くには「東洋大学」のライフデザイン学部があり、黒目川の土手沿いに掲示する「雨が降ったら川から離れよう」といったピクトグラム(絵文字)を学生さんに考案してもらうなど市の取組みに協力していただいています。今後も連携を深めて、共にまちづくりを行っていきたいと考えています。

――最後に朝霞市にこれから住む方へメッセージをお願いします。

朝霞市制施行50周年を記念して、オムニバス形式でまとめられた5編のプロモーションムービーと、市民の皆さまの笑顔を中心に編集したドキュメンタリー映像を制作し、Youtubeでご覧いただけるようにしています。

朝霞市のゆったりとしたのびやかな空間がよく表現されていて、登場人物が大きく伸びをしているシーンに朝霞の魅力があると思います。

プロモーションムービーのワンシーン

現在朝霞市に住んでいる方々の多くは、家と勤め先、いわば「点と点」で生活していて、市内のきれいな景色や朝霞の魅力を実はよく知らない人も少なくないのではないかと思います。ですので我々行政としては、プロモーション映像といった方法も含め、「点と点」から「面」へと生活空間を広げられるような新しい情報発信を内外向けに行うとともに、「彩夏祭」のような自然と育まれる人と人とのつながりを促し、“つながりのある元気なまち”づくりにもより一層取り組んで参ります。

朝霞市には、かつて現代美術家の村上隆さんも制作拠点にしていた「丸沼芸術の森」というアトリエがあり、芸術・文化の素地もあります。また、音楽への取り組みも盛んだったりします。

政策研究チームのみなさん

朝霞市では、「政策研究チーム」を立ち上げてセクションの垣根を超えた研究と取り組みも行っているのですが、行政の視点では気がつかない市の魅力がまだまだあるはずです。朝霞市に住まわれたら、ぜひ市と一緒に考えていきましょう!

朝霞市役所市 長公室政策企画課のみなさん

朝霞市役所 市長公室政策企画課のみなさん

所在地:埼玉県朝霞市本町1-1-1
電話番号:048-463-1111(代表)
URL:http://www.city.asaka.lg.jp/
※この情報は2017(平成29)年7月取材のものを再校正しています。

次世代へと向けた多彩な取り組みを進める朝霞市政策企画課/朝霞市役所 市長公室政策企画課のみなさん
所在地:埼玉県朝霞市本町1-1-1 
電話番号:048-463-1111
開庁時間:8:30~17:15
休庁日:土・日曜日、祝日、年末年始(12/29~1/3)
https://www.city.asaka.lg.jp/

「船橋市立八栄小学校」 校長 佐藤 眞弘先生インタビュー

120年以上の歴史に支えられ、落ち着いた環境でのびのびと成長/船橋市立八栄小学校 校長 佐藤眞弘先生


船橋市夏見にある「船橋市立八栄小学校」は1873(明治6)年の開校という、120年以上の歴史をもつ伝統校。現在は約1,000人の児童が通い日々学習に励んでいる。「えがおあふれる八栄小」をスローガンに、子供たちが共に支え合える学校作りに取り組む「船橋市立八栄小学校」について、佐藤 眞弘校長先生に話を伺った。

寺小屋から始まった「八栄小学校」

船橋市立八栄小学校 校舎

「八栄小学校」は1873(明治6)年に開校した小学校です。学制の発布が1872(明治5)年、その翌年にできました。学校のすぐ近くに「薬王寺」というお寺があるのですが、当時そのお寺には寺子屋がありました。船橋市で最初に「船橋小学校」が創られ、その寺子屋を「船橋小学校」の分校として開校したのが「八栄小学校」の始まりです。その後、1891(明治24)年11月1日に「夏見尋常小学校」となり、さらに周辺の8つの村が合併し、共に栄えるという意味を込めて「八栄村」という新しい村ができ、「八栄村立八栄尋常小学校」となりました。現在、「八栄」という地名は、この学校と海老川にかかる八栄橋にしか残っていない貴重な名前です。

最も大切な教育目標は「えがおあふれる八栄小」

授業風景

本校では、「やさしく、賢く、たくましく」「んがえ深く、夢を追う」「がおあふれる八栄小」を学校教育目標として掲げています。私自身、この3つの中で「えがおあふれる八栄小」が最も大切なことだと考えています。学校というのは1人ではなく集団での学ぶ場所なので、集団として1人を大切にし一人も全体を大切にする、つまり共に学び合い、支え合う、そんな笑顔があふれる学校にしたいという気持ちを込めています。

朝の会・帰りの会

それを実現するために目指す学校像と教師像を掲げています。目指す学校像は、1.明るい挨拶と美しい歌声の響く学校、2.笑顔があふれる学校、3.きれいな学校、4.静と動のくっきりとした学校、5.地域と共に歩む学校。目指す教師像は1.愛情を持って子供に接する教師、2.豊かな創造性と人間性に富む教師、3.情熱、柔軟、謙虚、毅然、そしてユーモアあふれる教職員、4.みんなから信頼される教職員。これが実現した暁には目標を達成できると考えています。

大規模校だからこそ触れられる、さまざまな価値観

大きな校庭

現在は、児童数958名で、各学年5クラス、全部で30クラスあります。大規模な小学校としても知られていますが、人数が多いということは、多様な子供たちがいて、さまざまな経験や、価値観に触れることができるというメリットがあります。

活動の様子を紹介した掲示板

授業では、子供たちの数だけ多様な考えが出ることについても、とても魅力的な点だと思っています。その他にも、行事では子供たちで役割分担を決め、意見を交わしながら皆が納得する答えを出すといった、人数が多いからこそ学べることも沢山あります。また、職員の数も62人と多く、事務員も4人、養護教論も2人配属しておりますので、一人一人に目が行き届くように、配慮しています。

また、本校は部活動も盛んな小学校です。部活動には器楽部、ミニバスケットボール、ソフトボール、サッカーなどがあります。器楽部は県の代表校として東関東大会で金賞を受賞しました。同じメンバーでマーチングにも取り組んでいますが、2015(平成27)年に、全国大会出場が決まりました。サッカー部は船橋市市民サッカー大会で優勝するほど、市の中で一番強いチームとして有名ですし、ソフト ボールも常に市内上位で活躍しています。バスケットボールもかつて全国大会に出場しているほどの強豪チームです。

日頃の心がけを通じて、心豊かな子供たちに

子供たちが描いた絵日記

現在、力を入れようとしているのは、道徳です。なぜ道徳かというと、1点は、道徳を今後どう見直し、学習していくのか注目されているということ。もう1点は、よく知徳体といいますが、本校では徳の部分を一番大事に考えているので、道徳を研究していこうとなりました。
1週間に1度道徳の授業はありますが、すべての活動が道徳と関わっているので、例えば全校朝会を開いた時には、道徳的な企画も計画できますし、総合的な学習で高齢者との交流を企画した時の道徳的な側面などを、全体を通して考えています。ただ、まだ始めたばかりなので、授業をどのように作っていくのか、どんな物を通してどんな心を育てていくのか、授業の進め方を研究しているところです。

整理整頓された廊下

また私が日ごろ、子供たちと触れ合う際に大切にしていることがあります。それは挨拶です。また、「はい」という素直な返事。お掃除、整理整頓についても子供たちによく指導をしています。

幸田露伴が娘の文さんに向かって言った「あとみよそわか」という言葉があるのですが、私はこの「あとみよそわか」がとても大切だと考えています。「あとみよ」とは自分の行為をちゃんと見る、確認するんだよという意味、「そわか」は成就を意味する梵語です。つまり一つ一つを丁寧にする。あいさつやお掃除、下駄箱にかかとがちゃんと揃って入っているか、それをとても大事にしています。

地域の方々と共に取り組む

また、本校に通う子供たちはとても素直ないい子だと感じます。(船橋は)都会的な街ですが、すれた印象もないですし、学習も一生懸命努力する子供たちばかりです。そうした子供たちが育つ一因には、地域の人達や環境に恵まれていることがあると思います。

先日、本校のすぐ隣にある「日枝神社」の氏子総代の方とお話した際に、とても感動したことがあったと教えてくださいました。それは、本校の児童が「日枝神社」にお参りをしていたので、氏子総代の方が、「どうしたの?」と尋ねると、「器楽部がおかげさまで全国大会に行けます。今日はそのお礼に来ました」と話したそうです。地域の方々含め、周囲の色々な者に支えられているということを、子供たちながらに感じているんでしょうね。

本校では2015(平成27)年のシルバーウィークに、保護者約70名と子供たち200名が集まり、「校庭お泊り会」を開催しました。震災時には本校が避難所となるので、防災の視点も含めて、校庭に泊まった時にどんなことがあり得るのかシュミレーションし、船橋市から借りてきたテントを校庭に張って、火を起こしてごはんを作りました。これは、本校の「お父さん会」のお父さん達が中心となり、地域の人やOBの方々、市の後援も得ながら実施しました。このような取り組みにおいても、保護者の方々の協力に支えられています。

公民館との連携事業

その他にも、「夏見公民館」が近くにあるので、公民館を利用している高齢者の団体と交流しています。本校の総合的な学習の時間等を活用して、それぞれの学年でテーマを決めて、公民館で活動しているサークルと手を組み、グラウンドゴルフをしたり、舞踊のサークルに参加して踊りを習うなど、地域の方々との交流を通して色々なことを感じて学習しています。

子供たちの見守り体制も整った、子育てにぴったりの街

「天沼弁天池公園」

暮らしやすさでいうと船橋市はとても住みやすいと思います。都会には近いけれども、住む場所は穏やかで、自然も豊かで、治安の良さも安定しています。児童のおじいちゃん、おばあちゃんも本校の卒業生という方が多く、昔から何代もここに住んでいる方が多くいらっしゃる地域ですね。

また、船橋市は小児科もある病院がたくさんありますので、一般的に小児科は少ないと言われる中、子供の健康面では安心な場所だと思いますよ。

八栄小学校 校長先生

今回お話を聞いた人

船橋市立八栄小学校
校長 佐藤 眞弘先生
住所:千葉県船橋市夏見5-27-1
TEL :047-422-8285
http://www.city.funabashi.chiba.jp/gakkou/0001/yasakae-e/
※この情報は2015(平成27)年10月時点のものです。

120年以上の歴史に支えられ、落ち着いた環境でのびのびと成長/船橋市立八栄小学校 校長 佐藤眞弘先生
所在地:千葉県船橋市夏見5-27-1 
電話番号:047-422-8285
http://www.city.funabashi.chiba.jp/gakko..

船橋市立小栗原小学校 辰馬令校長先生 インタビュー

地域住民の努力と協力によって開校した「船橋市立小栗原小学校」の取り組み/船橋市立小栗原小学校 校長 辰馬令先生


「中山法華経寺」の門前町として栄え、古き良き時代の街並みが未だ残る下総中山。「小栗原の子どもに教育の場を」という地域住民の思いから生まれたという「船橋市立小栗原小学校」は、地区唯一の学校としてその大きな役割を担っている。「地域とともに歩む学校づくり」を重点目標に掲げ、地域のコミュニティの真ん中にある小学校の取り組みやこの街の魅力について、校長の辰馬令先生にお話を伺った。

「動の気迫と静の気魄」を兼ね備えた精神力の強い子どもの育成を目指して

「小栗原小学校」の校舎

――学校の概要を教えてください

辰馬先生:本校は1952(昭和27)年に開校し、今年66年目を迎える学校です。現在の児童数は28学級、924名。1982(昭和57)年の1275名をピークに、少子化の流れを受け徐々に減少傾向にあります。通学路には地域の方々やPTAの方々がが「スクールガード」として立ってくださっていますので、地域や保護者に見守れながら、みんな毎日元気に通ってきています。

「小栗原小学校」の教育目標

――教育目標に「気迫(気魄)」という文字が入っているのは珍しいですね

辰馬先生:「美しく、たくましく、かしこい、気迫(気魄)のある子ども」という教育目標には、やさしさや感謝、間違いを認める潔さといった心の美しい子ども。精神的・肉体的にたくましい子ども。学力だけでなく、判断力・決断力も伴ったかしこい子ども、という意味が込められています。ここまではよく見かける教育目標ではあるのですが、本校ではここに「気迫(気魄)のある子ども」という一文が加えられています。

歴史を調べてみると、「気迫」であったり「気魄」であったり、時にはひらがなで分かりやすく「きはく」になっていたりとその時々の校長先生が様々な字をあてていたようです。ひと言で「きはく」と言っても、「気迫」には物ごとに向かっていく精神力や迫力といった動の意味、「気魄」には魂のこもった気合いや内に秘めた闘志といった静の意味があります。私は静と動の両方バランスよく備わっていることが大切だと考え、あえて2つを併記しています。心の美しさとたくましさ、かしこさがあり、課題や困難に力強く立ち向かっていく精神力も兼ね備えた児童の育成を目標にしています。

「小栗原小学校」の教室の様子

「音楽・部活動・黙働」、子どもたちを育てる特徴ある教育活動

――特徴のある教育活動などはありますか?

辰馬先生:合奏や合唱などの音楽活動が伝統的に盛んな学校です。毎朝、全学年で必ず歌を歌ってから1日がはじまりますし、毎年11月に開催される校内音楽会の前には熱のこもった練習の歌声が各クラスから聞こえてきます。校長室にいても毎朝校舎全体から子どもたちの歌声が響いてくる様は、本当に清々しく気持ちがいいですよ。高学年になると照れて声を出さない子どもが多くなるという話も聞くなか、本校の子どもたちは男子も女子も一生懸命歌う児童が多いです。また学習や運動、人間関係構築の基本は「挨拶」ということで、日頃の先生たちによる声がけはもちろん、全校児童による挨拶運動にも取り組んでいます。児童会のメンバーだけでなく、全員が必ず声をかける側になることで、大きな挨拶ができるようになったと感じます。

部活動は盛んに行われている

――部活動が盛んだとお聞きしました

辰馬先生:船橋市は1975(昭和50)年頃から小学校でも部活動を導入しており、文化部や運動部など、勉強だけではない課外活動にも力を入れています。本校では合奏部、ミニバスケットボール部、サッカー部があり、3年生から参加でき、放課後はもちろん朝・休日にも練習に励んでいます。全国大会や関東大会での優勝経験もあり、顧問の先生や子どもたちも非常に前向きに頑張っている姿を見ます。

様々な賞を受賞している

特に合奏部は管弦楽、つまりオーケストラなので、小学生には難しいのではないかと思われる方もいるかもしれませんが、顧問のほかOGやOBたちが放課後や土曜日に指導に来てくれて熱心に指導しますので、見る見る上達していきます。学校の楽器を使って、時には自前の楽器を持ち込んで演奏する姿は大人顔負けです。 私は1986(昭和61)年から1992(平成4)年までの7年間、本校に学級担任として赴任していました。当時の合奏部も3年連続で全国大会を制覇するなど非常に活躍していましたが、昨年度は日本学校合奏コンクールで銀賞を受賞し、本年度は、同コンクール全国大会グランドコンテストで文部科学大臣賞を受賞し、20数年ぶりの日本一となり、本校の音楽活動の活発さを表しています。

合奏部

また、ミニバスケットボール部もかつて女子が全国大会制覇、男子が関東大会制覇の経験があり、本年度も、男子が関東大会県予選で優勝し、関東制覇・全国制覇を目指し頑張っているところです。

ミニバスケットボール部

――「黙働」という取り組みもあるのですね

辰馬先生:これは清掃活動が十分に行われていないことを憂いたベテラン教師の提案で、数年前から取り組み始めたと聞いています。「黙働」とは文字通り黙々と手を動かし集中して動くことで、最初は黙働の意味さえも理解していなかった子どもたちに、まず先生が率先して黙って清掃に取り組む姿を見せることからはじめたそうです。今では子どもたちは静かに黙々と清掃活動に取り組み、その様子を見ているとこちらの背筋も伸びるような気持ちになります。お喋りをしながら掃除をしていた頃よりも格段に作業効率も上がり、校内も美しく整えられています。黙働清掃は全国の小中学校でも取り組まれていて、「心を磨く活動」としても認知されていますが、本校でもその成果が出ていると自負しています。

「おらが学校」という温かな地域の気持ちに支えられて

――中山や小栗原地域の特徴はどんなところでしょうか?

辰馬先生:もともとこの辺りは「中山法華経寺」の門前町として栄え、学校の周辺は稲作の盛んな水田地帯でした。その後旧国鉄(JR)や京成線が開通し、その水田が宅地化されて人口が増え、今のような街ができたそうです。そのなかで「小栗原地区の子どもたちに教育の場を」という父母や地域の方々の声を受け、彼らの並々ならぬ努力と多くの方々の協力を得て本校が開校したと聞いています。本校周辺の学校は本校のみであり、元々の住民の「おらが学校」という意識と、新たな住民の「地域の学校」という意識が合わさって、非常に学校に協力的で温かな地域性です。

「小栗原小学校」の校庭

――具体的に地域の方々はどのように学校に関わっていらっしゃいますか?

辰馬先生:この地域に学校は本校だけなので、災害避難場所になっていることはもちろん、地域のお祭りや盆踊り、地域運動会の会場にもなっています。地域のコミュニティがこの学校を中心にしているような雰囲気で、近隣の方々も学校を身近に感じてくださっているのがわかります。本校の重点目標として「地域とともに歩む学校づくり」を掲げていますが、肩肘張ったものではなく自然に地域の方々と学校が連携している理想の形だと思います。6年生で行う「職業体験」では、地域のスーパーやコンビニ、保育園などに実際子どもたちがお邪魔して、見学するだけでなく実際にそのお仕事を体験させていただいています。2年生ではこの職業体験先を中心に町探検にも訪問させてもらっており、これも地域の方々の理解と協力がなければできない活動のひとつです。

また「スクールガード」と呼ばれる地域の見守りの方々は、当初子どもたちの防犯のために結成された団体だったのですが、今では毎朝登校路に立ってくださり、交通量が多い場所などを特に注意して見てくださっています。「スクールガード」の方々には、毎年6年生が卒業前に6年間お世話になったお礼のお手紙を渡したり、年に一度給食にご招待をして一緒に昼食を食べたりと日頃の感謝を伝える機会を持つようにしています。児童たちの日々の活動を見ていただくことも大切だと考え、合奏部の定期演奏会にご招待したり、地域の福祉祭りに赴いて演奏をする活動も行なっています。このほか社会福祉協議会主催の異世代間交流や高齢者疑似体験など、地域の高齢者の方々との交流は積極的に行なっています。

校内の様子

――PTAの活動も活発なのでしょうか?

辰馬先生:共働きの世帯が増えて保護者のみなさんもお忙しいなか、一生懸命に取り組んでくださっています。毎年秋には「PTAフェスティバル」と呼ばれるPTA主催のイベントが行われていますが、校舎全体を使っての大規模なバザーのほかに食べ物の露店などがいろいろと並ぶ大変にぎやかなお祭りです。このほか家庭教育セミナーや廃品回収、ベルマーク、パトロール、広報誌発行、奉仕活動など積極的な活動内容となっています。

地域とのつながりも大切にしている

――校長先生から見たこの地域の魅力はどんなところでしょうか?

辰馬先生:船橋や市川といった賑やかな街の間に挟まれ、派手さはないけれども非常に静かで落ち着いた暮らしやすい地域というところでしょうか。「下総中山」駅北口には「中山法華経寺」があり、その山門へ続く商店街には古き良き時代の名残が数多く残っていて味わい深い街並みです。「中山法華経寺」の周辺には寺社仏閣もたくさんあり、緑深い木々に囲まれた素晴らしい場所です。また4年に一度開かれる稲荷神社のお祭りも有名で、街全体が活気に溢れてとても盛り上がります。もちろん本校の校庭も解放して、休憩所や待機所などに活用してもらう予定です。私が赴任してきたのが丁度前回のお祭りの翌年だったので、私自身はまだ未経験なのですが、神輿や山車なども出るようですので今から楽しみにしています。

辰馬校長先生

船橋市立小栗原小学校

校長 辰馬令先生
所在地:千葉県船橋市本中山3-16-12
電話番号:047-334-4733
URL:http://www.city.funabashi.lg.jp/gakkou/0001/ogurihara-e/index.html
※この情報は2017(平成29)年10月時点のものです。

地域住民の努力と協力によって開校した「船橋市立小栗原小学校」の取り組み/船橋市立小栗原小学校 校長 辰馬令先生
所在地:千葉県船橋市本中山3-16-12 
電話番号:047-334-4733
http://www.city.funabashi.lg.jp/gakkou/0..

学校法人荒畑学園 なおび幼稚園 園長 神保佳世子先生 インタビュー

豊かな自然とオープン園舎が特徴の私立園/学校法人荒畑学園 なおび幼稚園 園長 神保佳世子先生


ふんだんな緑と築山を擁する園庭、それを囲むように建つL字型の平屋の園舎、裸足で元気に遊び回る子どもたち。どこを切り取っても理想的な幼稚園生活が実践されている小平市の「なおび幼稚園」。「生活と遊びのなかでこそ、子どもは育つ」という信念のもと、保育者全員で子どもたちを見守る、伸び伸びとした幼児教育が行われています。「毎日、大きなひとつのお家で子どもたちを育てているような気持ち」と語る神保園長先生に、幼稚園のことから地域の魅力までたっぷり語っていただきました。

子どもは、「生活と遊び」のなかでこそ育つ

広々とした園庭

――園の歴史と概要について教えてください。

神保先生:1963(昭和38)年に私の祖父が開園した幼稚園です。子どもたちがすくすくと育つことを願って「なおび」と命名したそうです。今年度は年少組2クラス、年中組3クラス、年長組3クラス、合計8クラス222名で運営しています。2004(平成16)年に園舎の全面建て替えを行い、特徴あるオープンスペースの園舎での保育が始まりました。

「いつも同じように、ゆったりと過ごす」ことを基本としている

――園の1日の流れはどのようになっているのでしょうか?

神保先生:子どもたちの日々の生活は、できるだけ「いつも同じように、ゆったりと過ごす」ことを基本としています。登園して初めにするのが持ち物の整理、9時15分には全園児が登園します。クラスごとに朝の会を行い、その後全園児がホールに集まって歌を歌い、お話を聞く「しずくの会」が始まります。

そして、積み木やお絵かき、粘土、ままごとといった「内あそびの時間」「おやつの時間」「外あそびの時間」などがあります。お昼ご飯をいただいてひとあそびすると、帰りの会です。13時30分から降園が始まります。また、当園は小平市の“アットホーム事業”に協力していますので、朝7時30分から保育開始時間までと、保育終了後から夕方6時30分まで希望されるお子さんの預かり保育を実施しています。

のびのびと遊ぶ子どもたち

――教育方針について教えてください。

神保先生:「子どもは生活とあそびのなかで育つ」と考えています。子どもたちにとっては日々の生活と遊びが学びの場であり、その生き生きとした生活体験の積み重ねが子ども一人ひとりの人間形成につながっています。

本園の教育で重点目標にしていることは、「生活の重要性」「あそびの充実」「環境の熟慮」です。まずは「生活の重要性」、基本的な生活習慣を根気よく具体的に経験していくことは、社会生活の約束や他者との関係のつくり方を学んでいくことにつながります。つぎに「あそびの充実」、あそびの中で子どもたちの日々溢れる「どうして?」を発展させ、探究する気持ちや想像する思考を育て、「こうしたらどうかな?」と創造する力を養っていきます。幼児期の子どもにとって、あそび=学びなのです。 最後に「環境の熟慮」、子どもにとってどのような教育環境が望ましいか常に考え、子どもたちが充分に自己充実できる設備・環境を用意して保育するように心がけています。

大きなお家と武蔵野の雑木林をイメージしてつくった園舎と園庭

子どもたちが集うホールは天井高が6mもある

――特徴あるとても素敵な園舎ですね。

神保先生:園舎と園庭の環境は幼児の教育環境として重要な要素です。「なおび幼稚園」の園舎はとても近代的に思われるのですが、原点は「日本の昔の大農家」の広々とした平屋、ふすまを取り払えば大きなひとつの空間になりすべてが見渡せ、そして、日差しが差し込む長い縁側が子どもたちのいいあそび場になり、縁側からポンと外へ出て遊ぶ…。

近代的に見える園舎の原点は「日本の昔の大農家」

このような環境を園舎にしようと思って、“箱の家”で有名な建築家の難波和彦さんに設計をお願いして12年前に全面建て替え工事をしました。園舎の天井高は4m10cm、子どもたちが集うホールは天井高6mです。園舎全体は、基本的に部屋を仕切る壁がありません。子どもたちの生活スペース、職員の事務スペースやキッチンも子どもが見える場所にあり、キッチンでおやつのお菓子を焼いている匂いが自然に漂ってくるような環境です。そのほかに、和室スペース、隠れ家スペース、子どもたちのあそびが発展していける環境が園舎の中にあります。

自然に近い、まるで森の中にいるような園庭

――市街地に近いこの場所で、これだけの広さと樹木が揃っているというのは、とても恵まれた園庭ですね。

神保先生:園庭は、創立50周年の記念に「50年たったら森になる!」というコンセプトのもと、子どもや保護者と植樹した木々が武蔵野の雑木林のような風景を造っています。自然は、子どもたちにたくさんの恵みや学びをくれます。きっと子どもは1日中でも森の中であそべるでしょう。昨今は、自然に近い環境がどんどんとなくなっていき、子どもの教育の場には無機質な遊具が並んでいます。悲しいことです。少しでも自然な環境の中で子どもが自由に解き放たれて遊ぶ園庭にしたいのです。園庭の環境づくりは今も現在進行形です。なおびの庭であそび育った子どもたちが大きくなった時、幼稚園の庭を裸足で駆け回り、夢中で虫探しをしたことを楽しかったな…と思い出してくれればうれしいです。

園庭を裸足で遊ぶ子どもたち

――朝登園したら裸足になって、園庭も裸足で遊ぶそうですね。

神保先生:はい。登園したら靴の中に靴下を入れて、あとはずっと裸足で過ごします。園庭に出るときも裸足です。「芝生はチクチクして気持ちいい」「カンカン照りの日向と木陰の草の上では、足の裏が暑かったり冷たかったりする」というように、子どもの感覚器官を刺激します。

入園したての子どもたちは、裸足になることをためらうこともありますが、園生活に慣れていく中で気がつくと自分から裸足になっています。「気持ちがいいよ!」と笑顔で自信をもって土を蹴って走っていく姿を見ると、裸足の良さを子どもはよくわかっているのだなと感心します。

3年間裸足で過ごす子どもたちは、足の指のグリップや土踏まずのアーチもしっかりして、たくましい足に成長しますよ。以前、小学校の先生から「入学の記念に足型をとったのですが、この子の足裏はとてもしっかりしているなと思って、どこの幼稚園だったの?と尋ねると、皆、なおびだよと言ってびっくりしました」という話があるくらいです。

よいものは積極的に取り入れるフレキシブルな教育活動

ままごとセット

――選択授業としての英語教育も実施していらっしゃるとか。

神保先生:本園では生活と遊びの時間を充実させることが第一優先なので、子どもたちの生活時間を少なくすることなく、保育終了後に「選択授業」というシステムで英語教育を導入しました。幼児にとってまず学ぶ言語は母語です。母語をしっかり話せるようになることが、母語以外の言語習得につながります。幼児の英語教育は、英語のサウンドを楽しむ、異文化の先生と英語で交流するという、いわば遊びのひとつと考え、学習方法が詰込みや訓練ではないグレープシードカリキュラムを実践しています。小学校6年生まで継続できるカリキュラムですので、卒園した子どもたちが放課後に園に通って来てくれるのも嬉しく感じます。

幼稚園がカフェになる「1 Day Café」、「野菜マルシェ」など様々な行事も

――特色のある行事などはありますか?

神保先生:園行事のために園生活があるというのではなく、日々の生活の延長線上に行事があります。行事としては、夕涼み会やお泊り保育(年長)、運動を楽しむ会、さつまいも掘り遠足、表現を楽しむ会、子どもたちのせいかつ展などいろいろとあります。 またお母さま向けのオーガニック料理講座、幼稚園がカフェになる「1 Day Café」、「野菜マルシェ」など、子どもを幼稚園に預けている間にお母さまたちが楽しめるような行事も行っています。

明るく開放感のある園内

――最後に、幼稚園の周辺エリアの魅力を教えてください。

神保先生:小平市内には15園の私立幼稚園があり、「小平市私立幼稚園協会」として幼児教育の向上や教諭の育成などに全園が協力して取り組んでいます。どの幼稚園も質の高い教育をしていますので、小平市や国分寺市、隣接する地域のお子さんのご家庭は、安心してお子さんの園選びができるのではないかと思います。また、小平市独自の子育て事業として“アットホーム事業“もあり、共働きのご家庭も幼稚園にお子さんが入園できる環境があります。

地域環境は、小平開拓時代から続く地元の方々と、近年急激に増えたマンションや住宅にお住いの方々がいらっしゃいますが、もともと穏やかで助け合い精神の強い地域ですし、地元のお祭りや地域活動などでもお互いに協力して和気あいあい生活していると思います。子育て世代も多いので、情報交換もしやすい環境が整っているようです。 自然環境もまだまだ残っている地域なので子どもの遊び場も多いですね。「国分寺」駅まで自転車でも10分足らずですし、バスに乗れば5分。交通の便もよく、通勤にも通学にも便利な立地です。利便性と住みやすさが両立している環境ですね。

シンボルツリー

学校法人荒畑学園 なおび幼稚園

園長 神保佳世子先生
所在地:東京都小平市上水本町4-21-1
TEL:042-321-4671
※この情報は2017(平成29)年1月時点のものです。

豊かな自然とオープン園舎が特徴の私立園/学校法人荒畑学園 なおび幼稚園 園長 神保佳世子先生
所在地:東京都小平市上水本町4-21-1 
電話番号:042-321-4671
https://www.naobi.net/

「草加松原どろんこ保育園」 星園長先生 インタビュー

「にんげん力」を育てる「草加松原どろんこ保育園」の保育とは/草加松原どろんこ保育園 園長 星先生


2015(平成27)年春、「獨協大学前<草加松原>」駅北側の高架下に新設された「草加松原どろんこ保育園」。首都圏に多くの園を展開している「社会福祉法人どろんこ会」の園で、珍しい高架下の“全天候型”スタイルだ。園舎と園庭がひと続きになったレイアウトで、起伏が設けられた園庭の中を、子どもたちは走って跳んで、思いきり楽しんでいる。園庭の隅っこでキャベツをほおばるヤギがいるなど、ユニークな要素が一杯に詰まった保育園である。今回はそんな「草加松原どろんこ保育園」の園長先生に園の概要や街の魅力についてお話しを伺った。

「本物」に触れる保育

自然体験型の保育活動を行う社会福祉法人どろんこ会の保育園

――園の概要について教えてください

星園長先生:当園は「社会福祉法人どろんこ会」の中のひとつの園で、2015(平成27)年に開園した「認可保育園」になります。「社会福祉法人どろんこ会」では全国に31園(2016年7月現在)を展開していますが、草加市内では初めての園となります。規模としましては、0歳児から5歳児まで、合計90名が定員になっております。

明るく広々とした園内

保育時間は朝の7時から、夜は20時まで、18時半から19時は草加市の延長保育、19時から20時までは法人としての延長保育を行っています。一時保育も行っています。

――保育ポリシーについて教えてください。

星園長先生:「にんげん力」、つまり「生きる力を育てる」ということを大きな理念にしています。その一つの柱として大切にしているのが、「人対人コミュニケーション」という取り組みです。どろんこ保育園の子どもたちは、いろいろな人とふれあい、会話をし、挨拶を交わしていく中で生きるための力を育んでいきます。

タイヤで遊ぶ園児

もう一つの柱が「センス・オブ・ワンダー」というもので、自然の中からいろいろなことを感じ取り、中高生になってからの精神的基盤となる「原体験」を日々の外遊びの中で培っていくという取り組みです。自分でものを作ったり、遊んだり、探したり、育てたりという活動を重視しているのはそのためで、今はスマートフォンなど画面の中だけの、いわゆる「バーチャル体験」ができるようになっていますが、やはり「本物」に触れて、体で感じる、心で感じるということは、子どもたちにとってかけがえのない体験だと考えています。

泥遊びも大切な教育

――各地にある「どろんこ保育園」の中でも、高架下、屋根付き園庭というのは珍しいスタイルかと思います。メリットなどについて教えてください。

星園長先生:高架下にある園というのは珍しいですよね。うちのグループでは2園目でして、じつは千葉県市川市のどろんこ保育園が、高架下にできた最初の園でして、2園目を出したというのは、もちろんそれなりのメリットがあるからなのです。

高架下に位置する園

まず、一番大きなメリットは、「雨の日でも園庭で思いっきり遊べる」ということです。梅雨の時期でも関係なく、朝から夕方までしっかりと遊べます。あと、直射日光が当たらないという点も、熱中症などの心配が少なく、子どもたちも長い時間園庭で遊べるので、すごく良いな、と思っています。駅から近い場所にありながら、広い敷地が取れているのも、高架下ならではのメリットかと思います。それから、来ていただければ分かりますが、電車の騒音というのはほとんど気になりません。

――日々の保育の中で、特徴的な活動などがあれば教えてください。

星園長先生:これはうちの園に限らず、「どろんこ会」全体の取り組みなのですが、「座禅」と「雑巾がけ」は毎日やっています。あとは「生き物の世話」というのもそうですね。園庭で野菜を作ってお世話をしているほか、ヤギの「りぼんちゃん」を飼っていまして、園のマスコットになっています。りぼんちゃんはとっても温厚なヤギなので、みんな大好きで、毎日みんなでえさをあげたりしています。

ヤギのりぼんちゃん

それから「食育」にも力を入れており、畑で作った野菜は子どもたちがクッキングに使ったり、給食に使ったりしています。毎日の活動の中にも、給食で使う食材に触ったり、匂いをかいだり、という機会を取り入れています。少しでも、食への関心を高めてもらえれば、と思っています。

給食づくりの様子

イベントや地域交流への取り組み

――楽しいイベントも多いそうですね。どんなものがありますか?

星園長先生:まず、夏祭り的なもので「どろんこまつり」というものがあります。この時には模擬店が出たり、ゲームをやったりするので、保護者の方にもたくさん来ていただいています。同様に「運動会」についても、たくさんの方にご来場いただいています。

「発表会」については特徴があります。他園ですと合奏とかお遊戯とか、かと思いますが、うちでは大部分を「自分が得意なことを披露する」という内容にしています。自分たちが頑張ってきたこと、できるようになったことなどを発表しましょう、という会なのです。小さい子だと、まだ自分で決めるのは難しいので合奏をやりますが、4、5歳児ともなれば自分でやりたいことを決められるので、自分が何を披露したいかということを自分で決めて、その目標に向かって頑張るということをやっています。発表の内容は本当にいろいろあり、跳び箱だったり、縄跳びだったり、漫才だったりします。

かわいらしい装飾

やはり、「やりなさい」と言われたものではなくて、「自分がやりたい」と思ったものですから、子どもたちはすごく頑張って練習をするんです。それがまた、子どもの成長にもつながると考えています。

――園外に出ていくようなイベントや、地域交流の取り組みがあれば教えてください。

星園長先生:希望者については田植え、キャンプ、稲刈りなどの体験企画も用意しています。ほかにも、日々の保育の中で、地域に出ていく機会はたくさんあるかと思います。

高架下に位置する「草加松原どろんこ保育園」

たとえば、うちは東武鉄道さまの高架下にある園ですから、東武鉄道さまと一緒になって、ハロウィンの時に駅にお邪魔したりもします。普段から、駅長さまのお話を聞いたり、おまわりさんにお話を聞いたり、ということも行っています。とにかく、「地域に愛される」「地域に守られる」という保育園を目指し、普段の活動でも地域にはどんどん出て行っています。職員も積極的に地域の方と関わったり、挨拶を交わしたりするように、心がけているところです。

ほかには、「商店街ツアー」というものもあり、これは商店街に出かけていって、買い物をさせていただいたり、どんな仕事をしているのかお話を聞いたり、という内容です。子どもたちに、自分の地域に興味を持ってもらいたいという思いから始めたものです。いろんなクラスが順番に行きますからだいたい週に2回ぐらいの頻度で出ているでしょうか。本当に、いろんな地域の方にお世話になっています。

どろんこになって遊ぶ園児たち

あと、ちょっと変わっているところでは、火おこしの体験などがありますね。これは近くの「冒険松原あそび場」でやっているものですが、自分たちで起こした火を使って、焼き芋を焼くという体験をしています。なかなか火がつかないとか、煙がたくさん出てくるとか、目にしみるとか。子どもたちも大はしゃぎなんですが、そういうことを体験することで、できあがったものをただ「美味しいね」って食べるのとは、味も全然違ってきます。こういった機会はこれからも増やしていきたいと思います。

――逆に、地域の方が保育園に関わってきてくださったエピソードなどはありますか?

星園長先生:そうですね、一つは、これはうちの職員に、「草加ファミリーブラス」という楽団に入っている職員がいる縁からなのですが、昨年はその楽団のみなさんが園に来てくださって、生演奏をしてくださいました。

当初は「演奏の音が大きくて泣いてしまう子もいるのかな」と心配していましたが、泣く子も騒ぐ子もいなくて、みんな真剣にじいっと聞いていました。演奏が終わると子どもたちは楽団の方に「これは何の楽器?」と聞き、実際に音を出して教えてもらっていましたね。本や映像で見るだけなら、そこまで興味を持たなかったかもしれませんね。とても貴重な体験ができました。

愛着が持てる街、草加

――最後に、地域の魅力をお聞かせください。

星園長先生:まず、公園が多いのは素晴らしいですね。園の近くには「松原団地記念公園」という大きな公園があり、街道沿いの松並木の下にも公園があって、夏になると水遊びもできるので、子どもたちが遊べるところは多いと思います。

「松原団地記念公園」

あとは、イベントが多い街ですね。夏には「草加ふささら」というサンバフェスティバルがあり、11月には「街グル」というイベントが、数年前から開かれるようになったようです。ここれは地域で穫れた農産物を売っていたり、手作りのものを販売していたりしますので、そういたイベントに参加する楽しみもありますね。

もちろん、交通もすごく便利になっていて、都心にも簡単に出られます。北に行けば越谷レイクタウンなどもあって、買い物も便利です。松原団地の跡地には新しいマンションが造られて、新しい住民の方も増えてきていますので、これからもっともっと、住みやすい街になっていくのではないでしょうか。

じつは、うちの先生の中にも、草加出身で草加を愛してやまない先生がいるのですが、その先生などは「草加からもう絶対に出ない」って宣言しているんですよ。それぐらい、愛着が持てるような街だということだと思いますし、将来にわたって、もっともっと、住みやすい街に変わっていくのではないでしょうか。

草加松原どろんこ保育園

星園長先生
所在地:埼玉県草加市松原1-5-9(東武スカイツリーライン高架下)
電話番号:048-934-5856
URL:http://www.doronko.biz/nursery/matsubara.php
※この情報は2016(平成28)年7月時点のものです。

「頌栄学園 ひかり幼稚園」インタビュー

愛に溢れる子育てを。新たな環境で続く「ひかり幼稚園」の取り組み/ひかり幼稚園 園長 谷脇純子先生


子どもの感受性を育てるために大切な「遊び」と「環境」が整った新園舎が、9月からオープンになったひかり幼稚園。「6歳までの“愛され体験”をたくさん積み上げることで、子どもは健やかに育つ」という谷脇園長が話すとおり、愛に溢れた教育活動が日々行われている。再開発で、明るく暮らしやすい街に変化している松原団地の魅力と、ひかり幼稚園の教育について谷脇先生にお伺いした。

新しい園舎で節目を迎えたひかり幼稚園とは

園舎

本園は1965(昭和40)年、「越谷教会」の先生と「草加市立高砂小学校」の校長先生が出資してくださり、聖書の「愛の精神」を建学理念として創立した園です。今年で50年目の節目を迎え、新しい園舎へと引っ越しをしました。もともとマンモス幼稚園ではありませんので、大きな園舎は必要ありません。ですが、せっかく新しく建て直すなら地域コミュニティの拠点になるような場所になるようにと思い、誰でもお越しいただける礼拝用のチャペルやお年寄りたちの集会場所になれるような部屋(現在準備中)なども設けました。

愛された「記憶」と「体験」を

園内

頌栄(しょうえい)学園の「頌栄」には「神を讃美する」という意味があり、子どもたちには「神さまは目には見えないけれども、努力をする人、一生懸命生きる人は必ず愛して守ってくださるのよ」というお話をしています。

1)尊いもの真理なるものを敬う心
2)いかなる環境にあっても生き抜く強さ
3)他人に対する親切な思いやり
4)美しいことに感動する心
5)知識よりも知性や感性を育てる

また、以上のような教育目標を掲げ、子どもたちに「愛され感」を実感してもらい、それが「安心」「精神の安定」になるような教育活動をしております。子どもに大切なのは、知識を詰め込むことではなく、「愛されている」ことと、そう感じる体験です。そこで初めて気持ちが安定し、持続力や集中力が生まれます。幼稚園は生きるための土台の部分を構築する時期だと考え、職員全員で思いを込めて子どもたちと接しています。

五感をフルに使う環境を用意する

教室内

本園では、子どもには「遊び」と「環境」がとても大切だと考えています。日々の園の生活のなかで五感をフルに使って遊び、物事の概念や道理を体で感じる。そしてそれを実現する「環境」を大人が用意してあげたいと思っています。じつは新しい園の遊具は新しいものではなく、昔の園からそのまま移しました。うんていや登り棒、リングジャングルジムなど、「子どもの体力推進」や「冒険心」「挑戦する気持ち」を奪ってしまわないようにと考えたとき、やはり以前の遊具の方が優れていると判断したのです。

またその遊びや体験を小学校へつなげる試みとして「知恵の実」という教材を使っています。これは早期教育ではなく、「物と物の関係」「図形」「数の概念」など頭のなかを整理するような教材です。1から100までの数を言えても、「5個あるアメから2個ちょうだい」という問いに、「はい、2個」と取ってくれるという、数の概念が身についていない子が多い昨今。何でも吸収できるこの時期だからこそ、体験から得た知恵を使えるようにしたり、知識を整理することは大切だと思っています。

ひかり幼稚園での1日

講堂の入り口

バスや徒歩で9時に登園したら、9時40分から体操が始まります。9時55分からは、静かに心を落ち着けて礼拝。10時半からは毎日子どもの進度に合わせて用意されている「楽しいお仕事」の時間で、11時10分からは自由な遊びの時間、11時半からはお弁当タイムです。 今は週に2回、ケータリングの給食がありますが、新園舎には給食室をつくったので、来年から自園給食になる予定です。

じつは保育園の子どもの方が幼稚園に比べて好き嫌いが少ないというデータがあり、それは幼稚園の方がお弁当率が高いことに原因があるようです。給食を外部に注文すると温かいものが出せないので、園で手づくりしたものを子どもたちに提供するため、現在準備中です。昼食が終わったら、主に園庭の遊びやピアニカなどの補助活動の時間ですが、子どもの体力などを考慮して、お昼寝の時間を取る時期もあります。そして15時にお帰りとなります。

幅広い子育て支援で、園も保護者も成長する

広々とした教室

今はご近所さんに預け・預かるということが難しく、働くママさんも多いことから、本園では「ひかり幼稚園子育て支援センター」を設置して子育てサポート事業を行っています。 まず平常保育前の7時半~8時半の早朝保育(1回500円)、平常保育後の15時~17時15分(無料・おやつ代のみ100円)、17時15分~18時までの再延長保育(1回200円)、18時~19時まで(1回300円)を実施。また春・夏・冬の長期休みの期間は、9時~13時、お弁当持参で預かり保育事業も行っています。こちらにも早朝保育(7時半~9時)、延長保育(13時~17時15分)、再延長保育(17時15分~19時)も実施し、共働きのご両親でも幼稚園教育の選択肢を増やせるようになっています。

ひかり幼稚園の制服

そのほかには「オープンガーデン」と呼ばれる園庭解放の日を設けており、0歳からのお子さんと保護者の方々に園に遊びに来てもらっています。お子さんは同年齢・異年齢の子と遊ぶ機会になり、保護者同士も交流の場にもなっています。現在は、ほぼ毎週月曜日に開催していますが、ハッピーマンデーでお休みが多いことから、2016(平成28)年からは金曜日開催を検討しています。

また2歳児保育(C-iel)は、毎週火・水・木の週3回、10時半~13時半お預かりするプログラムで、集団生活に早く慣れ自立を促すことを目的に行っています。 幼稚園に入る前のお子さんと保護者の方々が園に来てくださることにより、3歳から始まる幼稚園教育がスムーズになったと感じます。例えば「自分で歩く・自分で排泄する(トイレ)・自分で食べる」という人間の尊厳をお母さんたちがしっかり意識することで、子どもの自立を促し、母子の分離が入園前までにある程度できるようになります。さらに、子どもならではの感性や感受性を、園と一緒にすくすく伸ばすことができる。職員たちとも気軽に話しができるので、ちょっとした悩み相談や分からないことを聞けたり、閉鎖的になりがちな毎日の育児の風穴になるかとも思います。

新園舎は「大きなお家」に

大きなお家の園舎

園自体が、子どももパパ・ママもお年寄りも、誰でも来られる、「大きなお家」になるようにということを一番に考え、どんな方でも足を踏み入れやすいようにマホガニー色の落ち着いた色合いで統一しました。またチャペルとランチルームが、昔の家の「仏間」と「前室」のようになっていて、2階の体育室も兼ねたホールは、襖を開いた広間。周囲には回り廊下があって、まるで縁側のようです。

このように昔懐かしい日本家屋のよさも取り入れた造りにすることで、さまざまな年齢の人たちが集まりやすいような設計にしました。 礼拝堂には専用の自動ドアの入り口を設け、参道のように礼拝堂まで進めるようになっています。日曜日の礼拝には子どもの時間(9時30分~)と大人の時間(10時40分~)を設け、どんな方でもすべて受け入れておりますのでぜひ足を運んでいただきたいと思っています。

新しく変化していく、活気あふれる街で子育てする

ひかり幼稚園 園庭

園の周辺は、そもそも住宅街ですので、静かで公園が多く緑が豊かでとても暮らしやすく、子育てもしやすい環境だと思います。また草加市自体が教育に対して熱心で前向きだと感じますので、お子さんを持つ家庭には安心できる環境ではないでしょうか。近年は幼稚園・保育園・小中学校・高校と連携が取れるようにということで、市が全面的に協力して取り組んでいます。

「松原団地」は1962(昭和37)年に建てられた当時東洋最大規模と言われたマンモス団地で、現在建て替え時期を迎えています。なので古き良き住宅街でありながら、「ゆとりのある快適な新しい都市空間をつくる」という再開発計画のもとに、新しい暮らしやすい街へと変身しています。駅前にはスーパーやドラッグストアなどが立ち並び、生活に必要なものはすべて揃いますし、駅前の「草加市立中央図書館」では「お話会」や「工作会」「季節の行事」など、子どもが参加できるものが多く企画されているようです。

この街は、この地域に代々住まわれている方、最近移り住んだ方、双方が入り混じった街で、商店街も多いですし、とても住みやすいアットホームな地域ですね。中小企業が多いのですが、例えば地球儀生産で日本を代表するような企業もあり、中小企業が元気な活気のある街です。草加といえば「おせんべい」が有名ですが、おせんべいを焼く体験などもとても快く受け入れてくださいます。「獨協大学」では生涯学習のプログラムもたくさんありますし、子育て中の保護者を対象にした相談窓口なども設置するなど、地域に開かれた取り組みも充実しています。

ひかり幼稚園 インタビュー

ひかり幼稚園

園長 谷脇純子先生
住所:埼玉県草加市松原2-1-1
電話番号:048-942-1015
http://www.hikari-sg.ed.jp/

※記事内容は2015(平成27)年11月時点の取材を元に制作しており、今後変更となる可能性がございます。

愛に溢れる子育てを。新たな環境で続く「ひかり幼稚園」の取り組み/ひかり幼稚園 園長 谷脇純子先生
所在地:埼玉県草加市松原2-1-1 
電話番号:048-942-1015
保育時間:9:00~15:00
預かり保育時間:8:00~9:00、15:00~19:00
http://www.hikari-sg.ed.jp/index2-frame…

地元に密着!「草加市⼦育て⽀援センタ ー」インタビュー

パパ・ママ・子どももみんな集まれ!「頼りになる存在」を目指して


子育て世代を総括的にサポートすることを目的に2010(平成22)年、「獨協大学前<草加松原>」駅前にオープンした「草加市子育て支援センター」。子育て支援コーディネーターやケースワーカーなどが常駐し、育児中のママたちと子どもたちを全力で応援する。困ったときや悩んだときだけでなく、子連れで遊びにいきたいときでも「子育てに関することなら何でも頼りになる存在」を目指して日々活動する子育て支援センターの廣川さんと松本さんに、支援センターの概要とこの街の魅力について尋ねた。

子育て支援センターの役割とは

子育て支援センター

このセンターは、併設する「さかえ保育園」の建て替えと一緒に建てられたもので、「子育て全般の支援と子どもの発達支援の拠点」を目的にオープンいたしました。2階には3歳までの子どもとその保護者が自由に遊べる広場「ろけっと」と子どもに関する相談ならどんなことでも受け付ける総合相談センターがあり、3階には発達支援センター診療所と児童デイサービスセンターがあります。発達支援センターには小児科医師や臨床心理士などが常駐して発達に心配のあるお子さんの個別療育を、児童デイサービスセンターでは少人数での集団療育をそれぞれ行っています。

子育て中は悩みを独りで抱えがちですが、100人の子どもがいたら100とおりの子育てがあり、分からないことがあって当たり前です。「離乳食を食べない」「寝返りをしない」といった育ちの悩みはもちろん、「赤ちゃん連れで遊びに行かれる場所」や「育児に関する○○を知りたい」などの「どこに聞いたらいいか分からない質問」まで、子どもに関することなら何でも聞ける、駆け込み寺のような存在になりたいと思っています。このセンターの総合相談センターには子育て支援コーディネーター、ケースワーカー、家庭児童相談員が常駐していますので、さまざまな悩みへの対応や専門機関への紹介などもスムーズです。

気軽に立ち寄れる「ろけっと」

「ろけっと」への入り口

「ろけっと」は4歳のお誕生日前までのお子さんと保護者の方であれば、月曜日から金曜日の8時30分から16時まで無料で利用していただけます。予約不要で、いつ来てもいつ退出しても大丈夫なので赤ちゃん連れでも気軽に来てほしいですね。広い部屋にはおもちゃやボールプール、絵本コーナーなどがあり、10時から16時の間は、常時2名のボランティアスタッフがいてお子さんを一緒に見守ります。もちろん授乳コーナーもあり、オムツ替えもできるので、お出かけの前にちょっと立ち寄るというママさんもいますよ。

12時から13時は広場にテーブルを出して、持参したお昼を食べる時間になっています。新しくお友だちになった同士でテーブルを囲むこともあるようですし、のんびり親子で食べる方もいらっしゃって、自由な雰囲気でランチタイムを過ごしているようです。

気軽に親子が集まれる場に

近隣の方はもちろん、電車に乗って来てくださる方もたくさんいます。じつは毎日通って来てくれるママさんもいて、ちょっと顔が見えないと「今日はどうしたのかしら…」なんてこちらが心配になったりしてます(笑)。

必要な人に必要な情報を

情報コーナー

いつでも誰でも自由に手に取れるように情報コーナーをオープンなスペースに設置して、幼稚園や保育園、子育て支援のための施設、一時預かりや家事支援、仕事を探している人向けの情報などをそれぞれジャンル別にファイルにまとめて分かりやすいように整頓し、提供できるようにしています。お子さんがいるとママたちもなかなかゆっくりと見られないので、なるべく持ち帰りができるようにプリントにするなどの工夫もしています。

市内の遊び場の情報なども

「ろけっと」には、育児休業中の働くママさんも多くいらっしゃるので、保育園に関することは特に注目度が高い情報。そろそろ保育園の申請の時期なので、今はその問い合わせも多いですね。

「そうか子育て応援・情報サイト ぼっくるん」

ぼっくるんのサイト

「ぼっくるん」は、センターの子育て支援コーディネーターが随時情報をアップしている子どもや子育てに関する情報を集約し発信しているサイトです。行政の情報や制度のみならず民間のお出かけ情報なども網羅していて、子育てに関する各施設情報を地図にまとめた「子育てマップ」、交流コミュニティ「Hanaそうか」、投稿ページ「子育てプラス+」、そのほかイベントスケジュールなど育児中のママに役立つ情報をたくさん掲載しており、またカテゴリーごとに情報が細分化されているので、知りたい情報がすぐに見つかるようになっています。

つどいの広場「ろけっと」

子育て中のママや育児経験者からなる「ぼっくるん隊」も、情報収集をサポートしてくれています。「ぼっくるん隊」とは、ママ目線で気になるお店やスポットを取材したり、気になる話題を掘り下げたり、ママだからこその記事を編集して発信しています。10人のメンバーがいて、任期は1年、編集ミーティングは託児付きなど、ママでも続けやすいような工夫しています。ちょっぴりですが謝礼も出ます。こんなふうに、生きた情報が常にアップされているからこそ、ママたちに寄り添うママに優しいサイトとして頼りにしてもらえたら嬉しいです。

大人気の「子育てフェスタ」

赤ちゃん向けのスペース

「子育て支援講座」を年3・4回、「子育てフェスタ」を年1回開催しています。「子育て支援講座」は、大学や小児科医の先生、児童センター所長らが講師になり、今年は「アレルギーについて」「ほめ方・叱り方」「絵本講座」「遊び方」といったテーマでそれぞれ話をしてくださいます。

「子育てフェスタ」は、2階から3階すべてを使って行う大がかりなイベントで、今年は1,600人の来場者がありました。2階ではゲームの部屋や工作の部屋など体験型の部屋のほか、手形・足形コーナーが人気の赤ちゃんの部屋やダンボールトンネルなど、年齢・月齢に合わせた部屋で、たくさんの子どもたちが楽しんでいました。3階スタジオでは「ベビーマッサージ」や「骨盤体操」「英語手遊び」「人形劇」などの体験型の講座の開催や、ママたちの手作りの趣味を生かした「ママショップ」も10スペースが参加して大人気でした。

こちらはオープン以来毎年開催しているのですが、年々来場者が増えているので、こちらの会場では間に合わなくなる日も近いとスタッフの間でも嬉しい悲鳴をあげているところです。

ママだけでない、地域との交流を

獨協大学

先に出た「子育てフェスタ」では、「ゲームの部屋」のダンボール迷路を獨協大学社会福祉研究会・白鷺会の学生さんたちが、製作をし担当してくださいました。獨協大学では2007(平成19)年から「地域と子どもリーガルサービスセンター」という相談機関を学内に設けていて、子どもに関することを包括的に相談できる窓口を開いています。また子どもや福祉に関する研究をしている学生さんが話を聞きたいとこちらを訪れることもあり、ママだけでなく、地域のさまざまな方と自然な交流が行われています。

ちなみに、「子育てフェスタ」のダンボール迷路に使用したダンボールは、「子どもたちの遊びを豊かにし、豊かな”人”になって欲しい」との願いを込めて、市内の人から寄付していただいたものです。ここからも、地域との交流をとても大切にしていることが垣間見えます。

子育てに寄り添える存在に

注目度の高い保育園情報も!

草加市には、子育てを応援するグループや親子で活動するサークルがたくさんあり、その方たちは「子育て応援隊」として支援センターに登録していただいています。その方々とママたちをもっと繋ぎたい、「サポートしたい側」と「サポートを求めている側」「活動を探している側」のパイプ役になりたいと思っています。

赤ちゃんのスペースも

また、ママたちが楽しく暮らせるように、子育てを楽しめるためのサポートをするのが支援センターだと思っていますので、「何か新しいことをはじめたいとき」「悩んだとき」はもちろん「何でもないとき」にでも「あ、センターがあったな」と思い出してもらえる存在になることが目標です。

変化する草加松原での子育て

草加市立松原小学校

この周辺は、スーパーマーケットやドラッグストアなどが揃っていて買い物は便利ですし、幼稚園・保育園・学校などの教育施設も多く選択ができるなど、基本的な子育て環境がきちんと整っていますよね。近隣の「栄小学校」と「松原小学校」は新校舎への建て替えも終わり、明るい素敵な学校になりました。幼稚園は4園あり、昨年は保育園が2園新しくオープンしました。

草加市立中央図書館と松原団地西口公園

また緑も多くて、緑道や遊歩道、公園や緑地も周囲にたくさんあり、静かで伸び伸びとした環境で子育てはしやすいと思います。

進化する草加松原の魅力とは

松原団地駅

東武スカイツリーラインは東京メトロ日比谷線や半蔵門線に直通運転をしていて乗り換えなしに通勤ができるため、近年は「渋谷」駅や「恵比寿」駅など都心にお勤めしている方の転入が目立っています。「松原団地」駅は各駅停車しか停まりませんが、隣の「草加」駅には急行と準急が停まるので、それほど不便を感じないそうです。

※2017(平成29)年4月1日に「松原団地」駅から「獨協大学前<草加松原>」駅に改称しました。

イオンレイクタウンmori

また「越谷レイクタウン」駅の「イオンレイクタウン」も、「新三郷」駅の「コストコ」「ららぽーと」も、「川口」駅の「アリオ」や「イオンモール」も、全て車で約20分ほどという好立地。外環道のインターチェンジもすぐ近くなので、常磐道、東北道・首都高・関越道などへの接続も簡単で、車でのお出かけには本当に便利です。

草加松原は交通の便だけでなく、住環境・子育て環境も整ったとても住みやすい街。新たなマンションもたくさん建っているので、新たに転入する方も多く、新メンバー同士で仲良くなるチャンスも多いと思います。

草加市 子育て支援センター

今回お話を聞いた人

草加市子育て支援センター
企画係長 廣川純代さん
子育て支援コーディネーター 松本明美さん
住所:埼玉県草加市松原1-3-1
TEL : 048-941-6791
http://www.soka-bokkurun.com/
※この情報は2015(平成27)年11月時点のものです。

パパ・ママ・子どももみんな集まれ!「頼りになる存在」を目指して
所在地:埼玉県草加市松原1-3-1 
電話番号:048-941-6791
受付時間:8:30~17:00(総合相談窓口)
休館日:土・日曜日、祝日、年末年始
https://www.city.soka.saitama.jp/cont/s1..

地域社会の一員として、生徒一人ひとりが信頼され活躍できる学校/東村山市立東村山第一中学校 校長 深谷恭司先生


東村山市立東村山第一中学校
校長 深谷恭司 先生

地域社会の一員として、生徒一人ひとりが
信頼され活躍できる学校「東村山市立東村山第一中学校」

鉄道網の発達から都心へのアクセスが良好になり、ベッドタウンとして開発が進められた東村山市は、都内でありながら人と自然との距離が近い環境が魅力的な街です。そんな閑静な住宅街に佇む「東村山市立東村山第一中学校」は、革新的でユニークな教育を展開しています。今回は、2016(平成28)年度から着任された深谷恭司校長先生に、学校の歩みや特色などについてお話を伺いました。

まず、創立からの今日までの歩みを教えてください。

東村山市立東村山第一中学校

本校は1947(昭和22)年4月、「東村山町立東村山中学校」として設立され、2016(平成28)年度で69年目を迎えました。私は以前、副校長としてこちらに勤務していたのですが、今年度から16代校長に赴任いたしました。
全校生徒382名(平成28年度)、東村山の東にあることから“東中(とうちゅう)”の愛称で呼ばれています。校地は約8,000坪あり、南側には野火止用水が流れ、クヌギや松の林が広がる緑豊かな当時の面影をたくさん残しています。

東村山市立東村山第一中学校 深谷恭司校長先生

教育はもちろんですがスポーツも盛んな学校で、女子バスケットボール部は全国大会出場の実績もあります。本校の在校生・卒業生がさまざまな分野で活躍の場を広げています。また、卒業生ではございませんが、現在テレビ等で活躍されている教育評論家の尾木直樹さんは、教員時代に本校に勤務していたこともあるんですよ。

貴校は教育コンセプト『育む・伸ばす・豊かな心』とスローガン『高めあう生徒・教師 活力ある学校』を掲げていますが、具体的にはどのようなことを実践しているのでしょうか?

東村山市立東村山第一中学校

本校では、確かな学力を育むには学習指導の充実が不可欠と考えています。その為に基礎・基本の確実な定着を目指し、一人ひとりに応じた学習指導を行っています。特に数学と英語は、東京都も推奨している少人数習熟度別授業を取り入れており、習熟度別にきめ細かく学べるよう「基礎」「応用」「発展」の学習に分けて、2クラスを3つに分けて指導しています。

一斉授業ですと教師の目が一人ひとりに届かなかったり、生徒によっては「解らないところ」がそのままになってしまったりするのですが、少人数授業を取り入れたことにより生徒は板書を書き写すだけの“お客さん”状態にならず、前向きに授業を捉えるようになりました。
耳から入るだけの一方通行の授業ですと、理解に時間がかかってしまうと「わからない」イコール「つまらない」と生徒は感じてしまうので、個々の視覚に訴え記憶に残りやすい授業を取り入れて「わかる」が「楽しい」になるように指導しています。このような「授業のユニバーサルデザイン化」は、教え方によって多くの生徒の学習や理解の向上につながるものと本校は考えています。

東村山市立東村山第一中学校

また、入学後1年生全員は私(校長先生)と面談をして、特別に支援を要する生徒には教員のサポートをして、子どもたちの育成に貢献する教員サポーターによる対応をしたり、一人ひとりに応じた教育相談・生徒指導も徹底して行うなど、「いのちの教育・心の教育の充実」に力を入れています。
さらに生徒には授業の最後に5分間の「ペア学習」を取り入れています。これは今日受けた授業についての内容を二人ペアで質問し、確認し合って、何を学んだのかをしっかりと整理するのはもちろん、コミュニケーション能力やお互いの意識の向上に役立たせる為に行っています。

東村山市立東村山第一中学校 廊下

また教員の指導方法も特徴的でして、「教員相互観察」を導入しています。例えば体育の教師が数学の授業を参観するなど、他教科教師の授業の良いところなどを参考にしたり、意見交換したりして、より分かりやすく工夫を凝らした授業ができるように、教員側からもアプローチして改善できるように努めています。
そして生徒と保護者にはアンケートを取り、実際に授業を受けている生徒の意見、そしてその保護者の声に耳を傾けて実際の授業に反映し改善するようにしています。本校スローガンに掲げたとおり、生徒と教師がともに高めあって活力のある学校になるように、学校全体で取り組んでいます。

貴校ならではの特徴のある設備などがおありでしたら教えてください。

東村山市立東村山第一中学校

本校では生徒の自主自立の為、生徒一人ひとりが信頼されて活躍できるように、私服での通学を認めていることです。これは東京都内では数校しか認めていない珍しい規則です。今から20数年前に生徒会が動き、本校で私服が認められるようになりました。

 

東村山市立東村山第一中学校 グラウンド

特徴的な設備は、やはり本校のグラウンドですね。グラウンドの大きさはびっくりすると思います。野球部とサッカー部が一緒に練習できるくらい広大で、生徒たちは皆、伸び伸びと体を動かしています。
また設備ではないですが、本校の校歌が特徴的ですね。校歌では珍しい混声四部合唱で歌うので、その特徴と美しさから大変話題になりましてNHKから取材を受けたこともありました。

特に活発な課外活動や、特色のある催しなどはありますか。

東村山市立東村山第一中学校

現在全校生徒の40%くらいがボランティア活動に参加して活動しています。ボランティアの種類はさまざまでして、小学校の運動会や地域の祭り・行事のお手伝い、青少年対策委員会のお手伝い、老人ホームでのお話、活動など多岐に渡ります。

 

東村山市立東村山第一中学校

本校の生徒たちを地域で知って欲しい、地域で育てて欲しいという願いもありますし、困った人がいる時にさっと手を差し伸べられるような、皆に優しくできる人に育って欲しいと思いまして、本校ではボランティア活動を推奨しています。地域社会の一員として、生徒一人ひとりが信頼され活躍できる学校になるよう努めて参ります。

深谷校長先生が教育や、子どもたちと接する上で大切にされていることを教えてください。

東村山市立東村山第一中学校

これは子どもたちに限ったことではありませんが、まず誠実に人に接するということ、人として信頼されることはとても重要だと考えています。これは以前、私が生活指導に携わっていた時から感じていたことです。
教育するのは人です。信頼されずに教育することはできないと思っています。相手を好きにならなければ相手は自分を好意的には見てくれない、好意的に見てくれなければ話は入っていかない、そう考えています。

東村山市立東村山第一中学校 体育館

また話を聞く姿勢も大変重要です。私は、相手が来たらまず笑顔で対応をして相手の目を見て話をするように心がけています。こちらの思い込みや先入観で話を聞いたり話をしたりせずに相手の話をしっかりと聞くように努めています。
子どもたちの輪に積極的に入ってコミュニケーションをとることも大事ですので、自ら部活動ではバレーボール、野球、サッカーなど休日に欠かさず応援に駆けつけていますし、今後も全部の部活動の応援に行きたいと思っています。吹奏楽部の演奏会にも同行しようと思っています。

地域や近隣住民との交流や協力体制はいかがでしょう?

東村山市立東村山第一中学校

先ほどお話ししましたボランティア活動の件にもなるのですが、本校では「富士見町体力づくり推進委員会」と連携して、積極的に地域との交流をはかっています。
町内運動会やボランティア活動などに生徒たちは参加しています。親子で参加できるイベントも多いので保護者と一緒に地域交流を深める生徒もいます。

東村山市立東村山第一中学校 グラウンド

また、本校は大規模災害時の地域の避難所に指定されています。緊急時に混乱することなく、瞬時に避難所として開設できるように、市の防災安全課と連携して整備を進めています。学校も生徒一人ひとりも、地域にとって欠かせない存在でありたいと思います。

 

深谷校長先生が思う、東村山市富士見町エリアの魅力について教えてください。

東村山市立東村山第一中学校

都心からすぐという立地なのですが、自然が多いのがとても魅力です。カブトムシやクワガタムシも採れますので子どもは大喜びですね。空堀川では鷺が飛んでくることもありますので必見ですよ。「東村山中央公園」は広くて遊具もありますし、ボール遊びも気兼ねなく楽しめるオススメの場所です。休日はいつも親子連れで賑わっています。

東村山駅

また閑静な住宅街が多く自然のなかでゆっくりと生活できます。このように自然を満喫できる街ですが、市内にはJR武蔵野線や西武新宿線の駅が多くあり2、30分で都心にアクセスできるので、通勤や買い物にも大変便利です。
ここは住民同士気さくに挨拶を交わせるような暖かい人たちが多いので、子育て世代や新しい住民の方も住みやすく快適な街だと思います。

今回、話を聞いた人

東村山市立東村山第一中学校 深谷恭司校長先生

東村山市立東村山第一中学校

校長 深谷恭司 先生

東村山市立東村山第一中学校
所在地:東京都東村山市富士見町1-5-2
電話番号:042-391-9111
URL:http://higashimurayama.ed.jp/e16-higashimurayama1/

※この情報は2016(平成28)年時点のものです。

地域社会の一員として、生徒一人ひとりが信頼され活躍できる学校/東村山市立東村山第一中学校 校長 深谷恭司先生
所在地:東京都東村山市富士見町1-5-2 
電話番号:042-391-9111
http://higashimurayama.ed.jp/e16-higashi..

千葉ポートパーク管理事務所 所長 武山冨士雄さんインタビュー

四季を通じて広がるコミュニティ「千葉ポートパーク」の取り組みとは/千葉ポートパーク管理事務所 所長 武山冨士雄さん


「千葉市役所」や「千葉県立美術館」など、多くの行政機関や文化施設が集まる千葉みなと地区。その地域のランドーマークと言えば、千葉県の人口500万人突破を記念して建てられた「千葉ポートタワー」。そしてそのふもとに広がる広大な公園が、今回ご紹介する「千葉ポートパーク」である。

もともと、タワーはポートパークの敷地の中に建てられ、ほぼ同時にオープンしたが、現在はそれぞれ民間に運営が委任され、タワーとパークは別運営となっている。公園部分の管理を千葉県から委任されているのは、県内を中心に多くの公園やレジャー施設を管理している「株式会社塚原緑地研究所」。今回はこちらに所属し、千葉ポートパーク管理事務所の所長として活躍されている武山冨士雄さんにポートパークの取り組みやエリアの魅力についてお話を伺った。

年間10万人から20万人が利用している
大規模公園です

「千葉ポートパーク」

「千葉ポートパーク」が開園したのは今から30年ほど前の1986(昭和61)年。当時進められていた都市計画の湾岸開発がきっかけで造られました。当時は、この辺りには住宅はほとんどなくて、ビルが点々とあるような場所だったようです。

その後、マンションなどの開発によって住民が増えてきたと同時に、公園の利用者数も増えてきました。今では年間10万人から20万人近くの方が利用している、千葉市内でも比較的規模の大きな公園です。千葉県の港湾事務所が管轄している公園の中では、最大の公園と言えます。面積は30ヘクタールあり、そのほとんどは緑地ですね。

子どもから大人まで自然を楽しめる公園です

円形芝生広場の野外ステージ

「千葉ポートパーク」の魅力は、管理棟やステージなどの建物以外、何もないことです。ほかの都市公園にあるような、滑り台やブランコといった無機質な遊具もありません。すべてが土と植物、一部は水を使っていますが、自然のもので遊ぶ公園となっています。

主な場所としては、まず、入り口を入って左手側に「円形芝生広場」という大きな芝生の広場があります。ここは子どもたちに一番人気の場所ですね。ステージもあるので、いろいろなイベントも行われます。その向かいには「遊々(ゆうゆう)広場」という、同じく芝生の広場があります。

11月の「千葉湊大漁まつり」などはこの円形芝生広場を中心に開催していますし、サッカーやヨガ、ジョギング、犬の愛好家のイベントなどにもよく使われています。メーデーの日にもたくさんの人が来られますね。

ウォータープラザ

広場以外では、「ビーチプラザ」という人工の海浜があり、フライボードやウインドサーフィンを楽しむ方々もいます。

そのほかには、池で水遊びができる「ウォータープラザ」や、バーベキューができる「アウトドア広場」、休憩所、レストラン、ジョギングコースなどがありまして、子どもから大人まで、気軽に海に親しんでもらえる公園だと思います。

「千葉ポートパーク」園内

また、季節で変化する公園の景色もまた、魅力の一つです。春はサンシュユやスイセン、梅、桜がとてもきれいですね。特に梅はお正月には例年咲いていて、千葉市内でも一番早い開花だと思います。春先は新緑がきれいです。芽吹くところから、人間のパワー、動き始める感覚というのが非常に感じられるかと思います。初夏はタイサンボクとバラが非常にきれいです。秋になるとどんぐりもありますし、11月後半以降にはイチョウ並木の紅葉もきれいです。自然を楽しめる方々にとっては、四季それぞれにいろいろな植物を楽しめる、いい公園だと思いますよ。

四季折々の楽しみ方があります

春、ゴールデンウィークの頃からは、海岸を楽しむというシーズンで、海に入る方が増えますね。9月末まで楽しむことができるので、潮風、波、砂、そういった自然と戯れる時間が楽しめるかと思います。

BBQを楽しむ人々

夏には、炎天下で疲れた時にも、ちょっと公園側に入れば木陰がたくさんあり、涼しい風に当たることができるので、水遊びの後にちょっと涼んで帰られる、という方も多いですね。その木陰を使って、2015(平成27)年はバーベキューがとても賑わいました。「食材セットメニュー」をはじめ、椅子やテーブルもレンタルすることができるので、手ぶらでも楽しんでいただけます。海を見ながら、静かな樹の下でバーベキューを楽しめる場所としても、たくさんの方が利用されていますね。

秋になりますと、夏の名残といいますか、少し物悲しくも落ち着いた感じの海が楽しめますし、11月には公園の北のシーガル広場の辺りから、ダイヤモンド富士も見ることができるんです。11月の下旬に、2日間見ることができますよ。冬場は渡り鳥が見どころで、水鳥が多いのですが、多い時には500羽、1000羽と港の中に入ってきますので、そこも見応えがあります。カメラを持った方がたくさんお見えになりますね。

豊富な体験プログラムがあります

「みどりの学校」での作品展示

体験プログラムとしては主に3つ、「花咲かせ隊」、「朝テニ倶楽部」、「みどりの学校」があります。それぞれ園芸趣味、スポーツ、文化のカテゴリに分けられます。

まず、「花咲かせ隊」については、園内にバラ園が二つありますので、そこでバラを育てる活動をしています。参加されているのは、市内を中心に、「バラに魅せられた人たち」ですね。園芸店をなさっている方に講師をお願いしており、1年を通して、バラの管理をボランティアの形でしていただいているのですが、だいたい月に1回の活動で、剪定、芽かき、肥料をやる作業などをしています。草取りや水やりなど日々の管理については、私たちもお手伝いしています。

「朝テニ倶楽部」を楽しむ人々

「朝テニ倶楽部」は、平日7時~9時までの早朝テニスを中心に、初心者から上級者まで、幅広いレベルの人がレッスンを行い、定期的にトーナメントもしています。メンバーは50人以上という人気の倶楽部です。「健康で楽しい生活の元手になるような運動をする」という目的で日々取り組んでいます。いろんな方がいらっしゃいますので、それぞれ、来られる日に、レベルに分かれて行っています。

「みどりの学校」の様子

「みどりの学校」については、小学生以上を対象に、月に1回ぐらいのペースで開催している自然教室でして、名前の通り、この公園の緑に関係することを勉強しています。季節に応じて、鳥獣虫魚、いろいろなテーマを毎回設けていますので、植物学校というよりは環境学校というイメージですね。

例えば、人工海浜の緑地化の話題、きのこの話題や、間伐材を使ったきのこの栽培、野鳥の観察会、森林セラピー、ビーチコーミング、間伐材を使ったスモーク(燻製)作りなど、自然環境に関わることを幅広く行っています。「環境からつながる衣食住」として、人間が人間として生きていくためのテーマを学んでいただければと考えています。

市民を中心としたお祭りも開催しています

「千葉みなとマリンフェスタ」の様子

「千葉みなとマリンフェスタ」は7月の海の日のイベントでして、2015(平成27)年で3回目を迎えました。公園と浜辺を会場に行われるもので、フライボード、サーフヨガ、カヌー、ウインドサーフィン教室など、海を使った体験イベントも開催し、陸では竹とんぼなどの昔の遊びの体験もできます。その他にも、ウォータープラザでラジコンの船を使って観艦式をやったり、コスプレの撮影会があったり、ステージでアイドルのライブがあったりと、体験できる内容が盛りだくさんのお祭りです。パークからは貝細工と、押し花のしおり作りのブースを出店しました。

作品づくりに取り組む所長の武山さん

もともとこれは「自然と癒やし」というテーマのお祭りですが、年々参加する方が増えており、回数を重ねるごとに、賑やかになってきましたね。行政主導のお祭りではあるのですが、市民を中心とした親しみやすいお祭りになっているのかな、と思います。若い人でも楽しめるお祭りですね。

「千葉大漁まつり」様子

11月に開催される「千葉大漁まつり」は年間を通してもっとも大きなお祭りで、円形芝生広場にも150店ぐらいの出店があります。水産物、農産物を中心にした店が多いですね。駐車場も閉鎖して行われますので、たくさんの方がいらっしゃいます。例年6万人から8万人ほどの人出です。

このほかにも、タワーの主催にはなりますが、公園のロータリー前の広場を使って毎月1回、フリーマーケットが開催されています。雑貨や不要品を売る方も入れば、食べ物や、農産物、水産物を売られる方もいらっしゃいますね。毎月第3日曜日に行っていますので、こちらもお越しいただければと思います。

「千葉みなと」は老若男女問わず
愛される街です

園内をランニングする男女

「千葉みなと」という街は、「住む」ということについては、とにかくどこに行くにも便利な場所ですし、設備も整っています。交通の便も良く、治安も良い。グルメからショッピングまで個性豊かなお店も近くにたくさんあります。住むにはとても便利な場所ですね。

埋め立て地ということで地震を気にする方も多いですが、これまでの震災でも、特に大きな被害はなかったので、地震に対しても強い地域かと思います。水害などもあまり聞いたことはないです。

子育てという面では、この公園も小さな子どもたちから、中学生くらいまでたくさんの子どもたちが利用していますし、学校も近くにたくさんあります。高校も大学も揃っているので、何時間もかけて都心に行かなくても、充実した教育を受けられるかと思います。

「千葉ポートパーク」

生涯学習ということについても、パークの体験プログラムをはじめとして、近くの施設でいろいろな学習や体験の機会がありますし、この公園は高齢者の方のお散歩コースにもすごく良いところですから、お年を召した人が散歩の合間に、ベンチでゆっくりしているという姿もよく目にします。赤ちゃんから高齢者の方まで、どなたでも安全に快適に過ごしてもらえる、暮らしやすい地域だと思いますね。

千葉ポートパーク

千葉ポートパーク管理事務所
所長 武山冨士雄さん

住所:千葉市中央区中央港1丁目
TEL:043-247-6049(管理事務所)
管理事務所 開所時間:9:00~19:00
URL:http://chiba-portpark.com/
※この情報は2015(平成27)年9月時点のものです。

四季を通じて広がるコミュニティ「千葉ポートパーク」の取り組みとは/千葉ポートパーク管理事務所 所長 武山冨士雄さん
所在地:千葉県千葉市中央区中央港1 
電話番号:043-247-6049(管理事務所)
https://chiba-portpark.com/

「学校力」向上に取り組む区研究協力校

下町情緒が残るあたたかな地域に見守られ、伝統と先進を学びに取り入れる/深川第七中学校 校長 堀越勉先生


おだやかな雰囲気が漂う住宅地に囲まれた1959(昭和34)年創立の「江東区立深川第七中学校」。学校の敷地と地域とを隔てる校門を設けずに、地域の大人たちによって子どもたちを見守る、地域に開かれた学校運営も実現している。今回は2016(平成28)年4月から校長として着任した堀越勉先生を訪ね、学校の特色ある取り組みや、地域の魅力などについてお話を伺った。

地域のおだやかな雰囲気があらわれている中学校

堀越勉校長先生

――まず、「深川第七中学校」の概要、特色について教えてください

堀越校長:「江東区立深川第七中学校」は1959(昭和34)年の創立より57年目を迎える地域に根差した学校です。商業施設で賑わう「錦糸町」駅 から歩いて10分ほどの距離にも関わらず、首都高をくぐったあたりから街の雰囲気ががらりと変わり、おだやかな雰囲気の住宅地に囲まれています。

校舎に入るときにお気づきになったかと思いますが、本校には校門がありません。防犯上の対策として玄関に防犯カメラは設置していますが、このエリアは犯罪の発生件数も少なく地域の目が行き届いた安全な地域のため、珍しい現在の設計が採用されています。

校門がない玄関

生徒数は2016(平成28)年4月現在で239名となっており、各学年2、3クラスの小規模校です。今年は「江東区立毛利小学校」と「江東区立東川小学校」を卒業した計78名の新入生を迎え、26人×3クラス編成で運営しています。

学校の特色については、4月に着任したばかりなのでまだ把握しきれていない点も多いのですが、“落ち着いている”というのが第一印象です。学校周辺も昔ながらの商店街や古くからこの地域に住んでいる方も多く、地域の落ち着いた雰囲気がそのまま学校にもあらわれているようです。

全校生徒が句帳を持って取り組む“俳句教育”

――貴校ならではの、特色ある取り組みについても教えてください

堀越校長:本校ならではの取り組みのひとつに、全学年で取り組む“俳句教育”があります。内容としては、毎週火曜日の朝に俳句を詠む「朝俳句」や、全校生徒が句帳を持って3年間を通じて俳句創作を続けたり、ゲストティーチャーや本校の教員による「句会」も開いたりしています。

俳句学校賞

江東区には松尾芭蕉や現代俳句の祖とされる石田波郷が住んでいたという歴史的な背景もあり、俳句を言語力・表現力を高めるためのひとつの試みとして捉え、2011(平成23)年度には「江東区中学校俳句部」も設立されました。「深川第七中学校」はその拠点校としての役割を担っており、月に一度、第2土曜日になると区内の中学生およそ20名が集まります。指導者にはテレビで俳句の解説などを行うプロの俳人や詩人、研究者など専門家にお越しいただき、句会への参加や俳句甲子園などにも挑戦しています。

ほかにも、近くに「猿江神社」という神社があるのですが、運動会で“猿江音頭”というこの地域ならではの踊りを披露するのが恒例となっていて、毎年、地域の婦人会のみなさまから指導をいただいています。

「猿江恩賜公園」

また、こちらは学校の行事ではありませんが、真夜中の東京をひと晩中歩き続ける“ナイトウォーク”というイベントもあり、青少年の健全育成に携わる地域の方の協力をいただきながら「深川第七中学校」と「深川第四中学校」の2校が参加しています。「猿江恩賜公園」をスタート地点に、「東京スカイツリー」や「雷門」、「上野恩賜公園」などおよそ50kmをひと晩かけて歩き続けます。開催も今年で8回目を迎え、ほかでは味わえないその達成感と友だちや仲間と過ごす一夜は一生の思い出になると評判のようです。

「言語能力向上拠点校」としての取り組み

授業の様子

――東京都教育委員会が指定する「言語能力向上拠点校」の取り組みについても教えてください

堀越校長:「言語能力向上拠点校」とは、「古典文学の音読や暗唱、説明や討論等の言語活動を取り入れた授業の実施など、伝統的な言語文化の理解や、社会生活に役立つ言語の技能の育成を重視した具体的な取組を推進する」ことを目的に、東京都教育委員会の指定を受け研究に取り組む学校を指します。

本校は、2014(平成26)年度に拠点校としての指定を受け、「主体的に学び、考え、表現する生徒の育成~教科・領域における言語活動の充実を通して~」とテーマを掲げ、2年間の校内研究に取り組みました。内容としては、「教科」と「領域」とに分かれ、後者では「弁論大会」や「新聞・タウン誌作り」、先に述べた本校ならではの「俳句教育」もそこに盛り込まれています。

また特定の「教科」に絞らずに、課題の工夫や、生徒の考えを促すような問いの工夫、生徒の自由な発想や意見を述べる機会としての小グループでの話し合いなど、さまざまな取り組みが行われました。

「毛利小学校」「東川小学校」「深川第七中学校」の3校が連携して取り組む「ICT教育環境整備支援事業(推進校)」

電子黒板を使用した授業

――2016(平成28)年度より「ICT教育環境整備支援事業(推進校)」としての指定も受けましたが、どのような内容でしょうか?

堀越校長:「ICT教育環境整備支援事業(推進校)」としての指定を受けたことで、タブレットパソコンなどの導入が決まりました。また特徴的なのは、学区域にある「毛利小学校」、「東川小学校」と本校の3校が連携して取り組む新たな試みで、本年9月の機材搬入を前に地域をあげた取り組みとして具体的に検討を重ねています。

今後、学校のホームページも今年度内に全面リニューアルする予定もありますし、本校の新しい取り組みなどについては公式ホームページでも順次公開していきたいと考えています。

恵まれた環境で、強豪・卓球部をはじめ部活動も活発

――生徒たちの部活動への取り組みなどはいかがでしょうか?

堀越校長:運動部はソフトテニス部、サッカー部、卓球部、バレーボール部、バスケットボール部があり、どの部も普段の練習や大会など熱心に活動していますよ。本校の施設の特徴として、体育館が、1階の「小体育館」とそのうえの「大体育館」の2階建てになっています。ですので、各部が練習スペースを制限したりすることなく思い切り活動することができます。

たくさんのトロフィーや賞状

特に本校の卓球部は伝統ある強豪部でして、江東区内でトップレベルで、関東大会などへの出場も常連です。部の担当教員はもちろんですが、全国レベルの技術をもった卒業生がコーチとして指導に来てくださるなど、生徒たちをサポートしてくれています。また、文化部では音楽部と演劇部があり、学内での発表やコンクールに出場するなど活発に取り組んでいますよ。

恵まれた環境が生徒たちの活動を支える

義理と人情とお節介の間柄で、古き良き時代のまちの良さを感じる

「住吉銀座商店街」

――住吉エリアの地域の魅力についてもお聞かせください

堀越校長:地域がおだやかで落ち着いていることは先ほどもお伝えしましたが、学校周辺は大通りに面していないため車通りも少なく、路地裏に昭和の面影を感じさせる町並みが残っているのが、この地域ならではの魅力だと想います。

また、地域の人も人間関係が良い意味で昔ながらと言いますか、義理と人情の間柄で、古き良き時代のまちの良さというのを感じます。地域の大人たちによる見守りや学校運営に対する協力的な姿勢にも感謝しています。

堀越勉校長先生

江東区立深川第七中学校

校長 堀越勉先生
所在地 :東京都江東区毛利1-14-1
TEL :03-3631-5990
URL:http://www.koto.ed.jp/fuka7-chu/
※この情報は2016(平成28)年4月時点のものです。

下町情緒が残るあたたかな地域に見守られ、伝統と先進を学びに取り入れる/深川第七中学校 校長 堀越勉先生
所在地:東京都江東区毛利1-14-1 
電話番号:03-3631-5990
http://www.koto.ed.jp/fuka7-chu/

新しい校舎への建て替え工事が進行中、地域に愛される学校/練馬区立下石神井小学校 校長 境野宏樹先生


四方を住宅地に囲まれた閑静な場所で、日々にぎやかな子どもたちの声を響かせている「練馬区立下石神井小学校」。2017(平成29)年3月から新しい校舎への建て替え工事が始まり、現在目下工事中である。取材に訪れたのは夏休み中、旧校舎から仮設のプレハブ校舎への引越し作業を行っている真っ最中。忙しい合間を縫って、境野宏樹校長先生に学校の特徴や行事の様子、保護者や地域との関わりのほか、新しい校舎についてお話を伺った。

小中一貫教育を先進的に行ってきた小学校

――小学校の沿革について教えてください

境野先生:本校は今年で創立46周年になる学校で、練馬の人口が急激に増えた時代に、地元の人たちが土地を提供してくださってできたという学校です。小中一貫を練馬区内でも先進的に始めた学校ということが特徴で、練馬区が小中一貫教育を打ち出す前から小中連携の取り組みを行ってきました。

校長 境野宏樹先生

――現在、新しい校舎への建て替えが進んでいますね。どのような計画になっているのでしょうか?

境野先生:古い校舎は、L字型の校舎になっていたのですが、それをI字型の校舎に全面的に建て替えるということで、現在工事を行っています。今はプレハブの仮校舎が完成しまして、9月の新学期からはそちらに移ります。体育館とプールはしばらくそのまま使えるように維持しながら、何段階かに分けて工事を行っていく予定です。最後には体育館も建て替えますし、プールについても、縦向きだったものを横向きに変える計画です。校舎の幅が広くなる分、少しでも校庭を広く使えるようにという配慮がなされた配置になります。

すべての工事が終わるのは、2021(平成33)年の夏ごろを予定しています。2018(平成30)年の12月に新校舎の一部が完成する予定なので、先行して新校舎の一部を使い始められるかなと思っています。

プレハブの仮校舎

――新校舎は児童の増加に合わせて建て替えが検討されたのですか?

境野先生:区内の小学校を全体的に見た中で、耐震などいろいろな観点から、補強工事を行うのではなく建て替えたほうが良いだろうということで決まったようです。もちろん、子どもの数は増加していますから、教室の数も今までよりも増えますし、地域の中の防災拠点としての機能も含めて、新しい基準で設計されています。

――教育目標や、学習指導について特に力を入れている部分を教えてください

境野先生:昨年度から漢検の団体受検を始めて、力を入れているところです。やはり普段の授業だけですと、「勉強なんかできない」と諦めてしまう子がいるのですが、漢字の学習の場合は、着実にやれば必ず力が付いて、努力が報われるわけです。昨年この漢検の団体受検をやりましたら、非常に良い手応えがありまして、225名ぐらい受検した中で、92%の子どもたちが受検した級に合格しました。

また、学校のスローガンとして、「いきいきと笑顔あふれる下石小」というスローガンを立て、子どもたちがとにかく生き生きと、「学校が楽しい」と思いながら来られるように、ということを大切にしています。そのためには学校の勉強も分からなくてはいけないですし、先生方も、子どもたちが「楽しい」と感じるように授業をしなければいけません。ただ、先生方に任せておくのではなく、子どもたちや保護者の皆さんも一緒になって、「どうやったら楽しくできるか」ということを一生懸命に考えながら、さまざまな活動を行っているところです。

学校教育目標

――「練馬区立石神井南中学校」との小中一貫連携について、具体的な実践内容と成果、効果についてお聞かせください

境野先生:練馬区の場合、普通の学校では年に2回、「小中連携協議会」というものを持ち、そこで小中の情報交換等を行っていますが、本校はそれ以外にも、各教科の担当が子どもたちを「石神井南中学校」に連れていき体験授業をしたり、逆に中学校の先生に来ていただいて小学校で授業をする「授業交流」を行ったりしています。そのほか、部活動体験もやっていますし、中学校の学習発表会に小学生の作品を展示したり、逆に小学校の展覧会に中学生の作品を展示したりといった交流もしています。

成果という部分については、一般的に「小中連携」と言うと、日程を合わせるのが大変など、デメリット面の話を聞くことも多いのですが、本校と石神井南中学校の場合は、中学校の校長先生と「無理のない範囲で、できることをどんどんやりましょう」ということで話をしていますので、先生方にも積極的に取り組んでいただけています。

中学校の様子を事前に知ることで、中学校へのあこがれを持って、「早く中学生になりたい」という気持ちを持てていることは、非常に大きなメリットかと思いますし、同時に、いろいろな不安も軽減できていると思います。逆に中学生にとっては、小学生と交流することで自己有用感を持てる、という面がメリットになっているかと思います。

旧校舎の玄関

――特徴的な学校行事や、校外での学習活動について教えてください

境野先生:練馬区ではすべての小学校で、5年生と6年生で移動教室をやっており、昨年度は5年生が軽井沢に、6年生が岩井の施設に行っています。それ以外ですと、「下石(しもしゃく)まつり」というお祭りが、本校独特のものとしてあります。これは子どもたちがクラスごとに考えた企画でお店を出して、そこを、子どもたち同士で回って楽しむという校内行事です。たとえば魚釣りだったり、もぐらたたきだったりと、毎年ユニークな遊びで楽しんでいます。

そのほか、保護者に協力していただいて、毎年9月に「下石ふれあいフェスタ」というイベントも行っています。この時には校庭や体育館も使いながら、保護者や地域の人が子どもたちに向けて、いろんな遊びや体験などのできるお店を出していただいて、子どもたちも夢中になって楽しんでいます。このほか、5月には運動会も盛大に行っていますし、展覧会、音楽会、学芸会を3年に一度のローテーションで行っており、どれもたくさんの保護者の方にご来校いただいています。

地域の方に来ていただいて味噌作りを教わったり、企業の方に来ていただいて、いろんな体験学習をさせていただいたり、ということもありますし、区の児童館に見学に行ったり、博物館や美術館に行ったり、地域のスーパーを見学したり、特別養護老人ホームの方と交流を行ったりといったものもあります。

校内の様子

――PTAや地域の人々との交流、連携について教えてください

境野先生:PTAの活動がとてもしっかりしているので、いろいろな部分で協力していただいています。たとえば漢検の団体受検に関しても、昨年、「今年から始めたい」という話をPTAでしたところ、ボランティアを募ってくださって、最終的には100名以上の方が協力してくださいました。交通指導から、当日の監督者まで、本当にいろいろやっていただき、たいへん有難かったです。これ以外にも、図書ボランティアや、少年野球、サッカーの指導や、バドミントンや女子ソフトなどのスポーツ指導にも、保護者の方、地域の方に関わっていただいています。

また、地域の「青少年育成地区委員会」についても、夏にはラジオ体操なども主催していただいていますし、先ほどの「下石ふれあいフェスタ」にもご協力いただいています。9月には「地区祭」といって、「石神井公園」で行うイベントがあるのですが、こちらも委員会に企画していただいています。

――子どもたちの進学先について教えてください。私立の中高一貫などに進む子も多いのですか?

境野先生:中高一貫の受験割合については、毎年2割から3割くらいが受験をしています。公立に進学するほとんどの子は石神井南中学校に進学しますが、練馬区は中学校が選択制になっていますので、部活の関係などでほかの中学校に進学する子もいます。

子どもたちがのびのびと過ごせる環境に

――数年のうちに新校舎が完成するわけですが、新しい校舎の特徴を教えてください

境野先生:新しい校舎は、南北に長く東向きに普通教室を持ってきますので、朝から陽が入り、明るい教室になります。また、校庭のある東向きに普通教室を配置したのは、学校が一軒家の住宅に囲まれていますから、そこに配慮しての設計となっているのだと思います。その分、子どもたちは気兼ねなく、のびのびと過ごせると思いますし、採光性を重視しているので、全体的に明るい校舎になる予定です。当然耐震性は高くなりますし、体育館なども天井が高く、吹き抜けで気持ちの良いものになると思います。階数は変わりませんが、教室の数も増え、全体的にゆったりとした校舎になるかと思います。

「メディアセンター」という、PC室と図書室が一体になった施設ができたり、屋上が緑化されたり、多少教室数に余裕がありますから、学年室のような広い教室も設定できるのかな、と思っています。また、練馬区の小学校では子どもたちが放課後を安全に過ごすための「ひろば」という居場所づくりの事業を行っており、現在は算数の習熟度別学習の部屋を兼用して使っているのですが、新しい校舎には1階部分に、学童の専用の部屋のほかに、「ひろば」専用の部屋もできる予定です。

新校舎完成イメージ

――最後に、下石神井小の周辺地域の魅力について教えてください

境野先生:この地域については、子どもたちが、保護者の方も含め、非常に落ち着いているということを感じています。子どもたちを見ていても、家庭環境がしっかりしてるな、ということがよく分かります。

地域の方々についてもとても協力的な方が多い印象です。小学校というのは、学校だけで成り立たないものになっています。教育活動を進めていくうえで、保護者の方や、地域の方の協力や賛同は欠かせないものになっていますし、いろいろな力が合わさることで、教育活動の幅が広がっていくと思っています。この学校のある地域は、そういう可能性を持った、素晴らしい地域だと思います。

 

仮校舎と旧校舎

練馬区立下石神井小学校

校長 境野宏樹 先生
所在地:東京都練馬区下石神井2-20-18
電話番号:03-3997-5241
URL:http://www.shimoshakujii-e.nerima-tky.ed.jp/
※この情報は2017(平成29)年8月時点のものです。

新しい校舎への建て替え工事が進行中、地域に愛される学校/練馬区立下石神井小学校 校長 境野宏樹先生
所在地:東京都練馬区下石神井2-20-18 
電話番号:03-3997-5241
http://www.shimoshakujii-e.nerima-tky.ed..

小中が連携し、地域が交わって、生徒に温かい心が宿る/練馬区立石神井南中学校 校長 児島泰彦先生


新青梅街道から少し北に入った、閑静な住宅地の一角にある「練馬区立石神井南中学校」。「練馬区立下石神井小学校」との1対1の小中連携を先進的に行ったり、学習指導と同様に生活指導にも重点的に取り組み、礼儀正しい、明るく素直な子どもたちを育んだりと、独自性の高い教育活動を行っている。今回は校長の児島泰彦先生を訪ね、中学校の歴史と特色、小中連携、地域の魅力などについて、幅広くお話を伺った。

校長 児島泰彦先生

「毎日の登校を楽しみにできる学校」であるために.

――まず、「練馬区立石神井南中学校」の沿革についてご紹介頂けますでしょうか。

児島先生:本校は、1961(昭和36)年に開校し、今年で56年目を迎えます。長年地域に密着してきた学校ということで「地域の中で愛される学校」であるということを、大切に考えています。生徒数は現在約350名で区内でも中規模の学校です。同学区内の小学校は「練馬区立下石神井小学校」の1校だけで、小学校と中学校が1対1で連携しており比較的珍しい学校だと思います。

――学校の教育方針として、心がけている部分や、具体的な実践例について教えてください。

児島先生:一番大切に考えているのは、「毎日の登校を楽しみにできる学校」であろう、ということです。学校は基本的に楽しいところであるべきだと思いますし、いろいろな基礎・基本を学ぶことも学校の務めですから、生徒が学びたいと思える学習環境をバランスよく整えることが、大切な部分だと思っています。

毎日の登校を楽しみにできるように

より具体的なことで言いますと、「子どもをしっかりと見ること」を大事にしています。朝、登校をしてきて、子どもたちの表情を見るだけでも、いろんなことが見えてきますので。何か変だな、と感じた時には、すぐに家庭に連絡を取ったり、場合によっては家庭まで行って、きちんと様子を確認するようにしています。

ただ、こうしたケアは担任の先生だけでは負担が大きすぎますから、本校では専属の職員も置いています。東京都ではすべての学校に「スクールカウンセラー」を配置していますので、そのカウンセラーが週に1日来ていますし、さらに練馬区は独自に、「心のふれあい相談員」という同様の役割の方を置いていますので、その相談員の方に週に2日、合計3日は専門職の方が入っていただいています。

校舎

――教育面、学業面について、特に力を入れていらっしゃる点を教えてください

児島先生:学習でも基礎・基本が大事なように、人間としても大事な基礎・基本というものはあると思いますので、これをまず、大切に考えています。いくら勉強ができたところで、挨拶ができない、態度が悪いといった人間ではいけませんので。現代の社会はどうしても「見た目で判断される」という場面もありますから、そういったところも含めて指導をきちんとしています。ですから本校の生徒は非常に服装が整っていますし、外から来たお客様に対してもしっかり挨拶ができる子が多いです。

学業面については、ICT機器を授業の中でうまく取り入れながら、視覚や聴覚にも訴えた授業展開を心がけています。数学は東京都の方針に沿って、習熟度別少人数授業を行っていますので、基礎、標準、発展という具合に、よりきめ細かな授業を行いながら基礎力の定着を図っています。

校内の様子

――課外活動や行事について、特徴的なものを教えてください

児島先生:6月の初旬に運動会が、10月の下旬に文化発表会があり、この2つが大きな行事となっています。文化発表会の時には学年合唱も行っており、例年体育館に入りきれないほどの保護者の方にご覧いただいています。

1年生と2年生については、練馬区の「ベルデ(少年自然の家)」という施設を使った移動教室があり、1年生は夏場に千葉県の岩井海岸か静岡県の下田にある施設に行っています。これは夏休みの行事で任意参加なのですが、今年も1年生の9割近くの生徒が参加し、大部分の生徒が遠泳を無事に泳ぎ切りました。宿泊をともにすることで、人間関係も醸成されるという伝統行事です。

同じように、2年生は冬に軽井沢と武石の「ベルデ」の施設を使い、3泊4日でスキー教室を行っています。3年生になると修学旅行があり、例年、広島と京都に行っています。

教室

1対1の小中一貫教育を実践

――10年以上も前から、国や区の小中連携教育研究校の指定を受けて、連携を積極的にされていますね

児島先生:小中連携については、練馬区全体では2006(平成18)年度くらいから取り組みを進めていますが、本校ではそれ以前の、2003(平成15)、2004(平成16)年度に練馬区の小中一貫教育研究校に指定され、その後は「小中連携教育実践校」として、10年以上にわたって小中連携の取り組みを行ってきました。その中で、毎年続けているものとしては、夏休み中の部活動体験、生徒会による学校生活説明会、「出前授業」といったものがあります。

「出前授業」というのは、テスト期間など中学校の授業が無い時に、本校の教師が小学校に出向いて授業を行うもので、小学生にとっては、中学校の雰囲気や中学校の先生の教え方を事前に知ることができる良い機会になっていると思います。また、秋の文化発表会では、小学生の作品の展示をするコーナーを設けて交流を図っていますし、逆に小学校の展覧会でも、中学生の作品を展示させてもらっています。

このように毎年、いろいろな実践をしてきていますが、特に今年は、連携する「練馬区立下石神井小学校」の校舎の改築が始まって、小学校のグラウンドが使えない状態になっていますので、5月には本校のグラウンドで小学校の運動会が行われました。その前には、中学生の活動の合間を縫って、小学生が運動会の練習をするという光景もありましたし、運動会の前には、ラインを引く作業を中学生が率先してやってあげるという場面もありました。そういった意味では、今年はより実践的な小中連携ができているのかなと思っています。大部分の生徒が下石神井小の出身ですから、後輩のためにとても気持ちよく、仕事をしてくれている印象です。

もちろん、教員同士でも交流を行っており、合同の研修会を年に3~4回行う中で、意見の交換をしています。やはり、小学校の文化と中学校の文化は、教員レベルでもかなり違いがありますので、そういった文化の違いの理解を図りながら、小学生が中学校に来て戸惑うことが無いように、すり合わせができるようにということで、教員同士でもなるべく話し合いの機会も持つようにしています。

廊下

――長く続いている小中連携の結果、どのような変化や成果が生まれているとお感じですか?

児島先生:連携の成果ということですと、特に教員同士が交流を図ることによって意思疎通ができるようになったことが、非常に良い影響をもたらしていると感じています。実際に会って、お互いの状況を理解して、状況を共有するということは、すべてが子どもたちに還元されるんです。そういった生徒理解、指導理解が進むという点が、連携の大きなメリットだと感じています。

子どもたちに関しては、もともと小中の交流がありますから、特に抵抗感なく進学してきてくれていると思います。連携によってそれがさらにスムーズになった印象です。実際に子どもを見てもらえればわかりますが、本校の生徒はとても優しい子がたくさんいるので、下級生を温かく迎え入れてくれています。

教室

様々な面で地域、保護者と協力

――保護者との連携、関わりについて教えてください

児島先生:保護者の皆さんは協力的な方がとても多く、いろいろな形でご協力をいただいています。中庭の花壇の花の植え替え作業をしてくださったり、文化発表会ではPTAのコーナーも作られ、PTAの方の作品展示を行ったりもしております。運動会の時なども含め、何か行事がある時には全面的にバックアップしてくださるので、良い連携の形ができていると思います。

花壇

――地域の方との交流について教えてください

児島先生:地域との交流の部分では、練馬区には「青少年育成地区委員会」という組織があり、本校の学区には「石神井地区委員会」がありますので、そちらと連携している部分がたくさんあります。主な活動は、夏休み中であれば、ラジオ体操を主催したり、育成委員会が主催する「地区祭」というお祭りも「石神井公園」で開催しています。このお祭りには本校からも吹奏楽部が参加をさせてもらったり、我々教師も毎年やきとりの屋台を出しています。小学校の先生方は毎年お団子を焼いていますね。

生徒が地域に出ていくという部分については、吹奏楽部もそうですが、本校には「クラフト部」という手芸や料理を主にやっている部があり、地域の特別養護老人ホームに定期的に訪問をして、高齢者の方々と一緒に手作業を行ったり、お話をしたり、といった交流を行っています。

――部活動の状況について教えてください

児島先生:今年は、卓球部の女子が関東大会に出場して2回戦まで進みましたし、男子も東京都のベスト8まで行きました。サッカー部も、もう少しで都大会に出られるぐらいのところまで進みましたから、なかなかのレベルだと思っています。吹奏楽部も今年は都大会で金賞を受賞するなど活躍しています。

部活動の活躍

――生徒の進学先について教えてください

児島先生:進学先の高校は、公立、私立でだいたい半々くらいでしょうか。西武新宿線にも西武池袋線にも出やすい場所ですので、1時間以内で通える学校が多くあります。早稲田系の学校や新宿高校など、進学校と言われるような学校にも毎年進学しています。もちろん進学に関する相談があれば、きめ細かに対応するようにしています。

学級文庫

――下石神井エリアの魅力について教えてください

児島先生:駅前周辺も開発されて、街がどんどん新しくなっていますし、逆に、上井草は昔ながらの商店街が残っているような、古き良き時代の感じがありますので、両方の魅力が同時に楽しめるような地域だと思います。

学校の周りについては、比較的一戸建ての住宅が多く、とても落ち着いた環境があります。そういう環境の中にある学校だからこそ、子どもたちものびのびと、素直に育ってくれているのかなと思っています。

上井草商店街

教室

練馬区立石神井南中学校

校長 児島泰彦 先生
所在地:東京都練馬区下石神井2-7-23
電話番号:03-3997-3315
URL:http://www.shakujii-s-j.nerima-tky.ed.jp/
※この情報は2017(平成29)年8月時点のものです。

小中が連携し、地域が交わって、生徒に温かい心が宿る/練馬区立石神井南中学校 校長 児島泰彦先生
所在地:東京都練馬区下石神井2-7-23 
電話番号:03-3997-3315
http://www.shakujii-s-j.nerima-tky.ed.jp..

初音丘幼稚園 園長 渡邉真一さん インタビュー

0~12歳の教育・保育の総合施設として、地域の子どもたちの成長を見守る/初音丘幼稚園 園長 渡邉真一さん


周辺にのどかな田園風景が広がっていた頃からこの地で子どもたちの教育を行っていた学校法人初音丘学園。一人ひとりの子どもたちが恵まれた環境の中で、健やかな心身の発達を育めるようにと願い、全職員と保護者が一丸となって、子どもたちの教育を行っている。今回はそんな学校法人初音丘学園の理事長で、「初音丘幼稚園」の園長でもある渡邉真一さんに、幼稚園の概要や独自の教育方針、地域や保護者との関わりについて、お話を伺った。

園長の渡邉真一さん

うぐいすの鳴く、自然豊かな環境で育む

――幼稚園の沿革と概要について教えてください

渡邉園長先生:「初音丘幼稚園」は創設から63年目の幼稚園です。開園当時は幼稚園の西側と南側は田んぼ、東側には牧場があり、牛がたくさんおりました。北側は緑の山でした。当初は15名ほどでスタートしましたが、現在では、周辺には閑静な住宅街が広がり、地域の環境は大きく変わりました。

環境が変わる中で、ひとつだけ変わらないのは、「うぐいすの声がある地域」ということです。この一帯は江戸時代から「うぐいす谷」という名称で呼ばれていました。そして今でも、うぐいすが鳴いています。うぐいすというのは、初鳴きを「初音」と言いまして、そのため、この場所は、初音ケ丘という地名になったそうです。

預かり保育をやっている幼稚園は、きちんと、学童保育も受け入れながら、地域の子育ての支援をしていくべきだと思っております。当園では、そういうことを先駆けてやってきましたし、これからは間違いなくそういう時代になっていくと思います。親の便宜ばかりを考えて保育所の新設を進めるだけではなく、これからはむしろ、学童保育に力を入れる時代だと思っています。

そういった考えから、現在は3、4、5歳を中心として、0歳から2歳、そして小学校の1年生から6年生までの子どもたち、さらには幼稚園の預かり保育、2歳児の親子を対象にしたプレスクールなど、幅広い取り組みを行っています。こういったさまざまな取り組みをとおして、0歳から小学校6年生まで、この地域の、12年間の子育てを支援していきたいと考えております。

また、兄弟園の「スカイハイツ幼稚園」では、「お母さん保育士」の養成も行っています。年間15回の講座を行い、その講座を受講したお母さんたちが、最後に幼稚園で教育実習をして、横浜市が運営する「すくすくスクール」などで活躍されています。

幼稚園の外観

常に先進的な取り組みを行い、時代をリードする

――独自に行なっている取り組みについて教えてください

渡邉園長先生:独自の取り組みや、先進的な取り組みについては、形だけ真似されても意味がありませんので、あまりほかに出さないようにしているんですが、いろいろな独自の取り組みを行っています。

ひとつ例を出すと、たとえば、兄弟園の「ピッコリーノ」という認可施設は、80人定員なのに対して、43人しか入れていません。日本の保育所は窮屈すぎると思っています。行政は親の利便性ばかりを考えて、子どもの幸せを真剣に考えていないから、こういう状況になっているんです。特に3歳から5歳の子どもたちが、あの狭い園舎で生活するのは無理があり、十分に身体のエネルギーを発散させることができないんです。だからうちの保育所は、定員の半分しか入れないですし、幼稚園もその考え方を引き継いでいます。

言ってみればヨーロッパ型の住環境です。ゆったりとした住環境の中で、質の高い幼児教育を受けられるように、いろいろな取り組みを行っているところです。また、ご両親が仕事をされていても、通いやすいような環境づくりにも取り組んでいます。

広々としたホール

――行事や体験学習など、特色ある取り組みについて教えてください

渡邉園長先生:「歩くこと」「走ること」は生活の基本ですので、園の中で補うことのできない教育的な刺激は、自分たちで外に行って獲得してきます。そのために、園外に出る機会も多いです。一番大きなものとしては、卒園を控えた年長児が、ランドマークタワーまで約7キロ半、水筒もお弁当も持たずに、自分たちの足で歩いて思い出を作ります。

このほか、体験学習についても、季節に関するもの、日本文化に関するもの、自然体験などいろいろと行っております。とにかく「身体をとおして学ぶ」ということを大事にしていますので、いろんな体験ができると思います。そしてその体験の結果が、小学校の生活につなげていけるように配慮しながら、実践をしています。

たとえば、野菜の栽培をする時、種を蒔いたり苗を植えたりして、世話をし、収穫をして、調理をして食べます。この学習の流れというのは、小学校1年生の生活科とまったく同じなんです。小学校に行けば、身体で学んだものを、文字に起こして学習の素材にしていくわけですが、幼稚園で経験することで、その接続もスムーズにいくと考えています。じつは私、「横浜国立大学」の附属小学校で生活科を教えて27年目になります。生活科を実際に教えている私から見ても、この流れは間違いありません。幼児期の体験は、確実に、小学校の生活科につながっていきます。

園庭には遊具も豊富

活発な異年齢交流

――「スカイハイツ幼稚園」「ピッコリーノ」「はつねっ子」など、系列施設との交流について教えてください

渡邉園長先生:保育所と幼稚園の交流は頻繁に行っています。保育所の2歳児が幼稚園に遊びに来たり、幼稚園の3歳児が保育所に遊びに行ったりということは頻繁にあります。幼稚園の預かり保育の子どもたちと、学童の子どもたちの交流もあります。

また、園の中でも、異年齢交流を日常的に行っています。特に4、5歳のクラスについては、4歳と5歳の混合クラスで全部組んでいます。せっかく異年齢の子どもたちが一緒に生活している環境ですから、ごく自然な流れで、異年齢交流をしたいと考えています。

ピッコリーノ

――保護者との連携について教えてください

渡邉園長先生:保護者との連携については、とても良いと思います。親御さんの活動が非常に活発です。特に「おやじの会」の活動は盛んで、お父さんにとっても、幼稚園は敷居の高いところではない、積極的に園の活動に参加してほしいということで、「おやじの会」にはずっと力を入れています。

もちろん、お母さん方もいろいろと、サークル活動をやったり、クラス会をやったり、給食の試食会をやったりと活動されています。最近は半分くらいのお母さんが、短時間就労も含めて何らかの仕事を持っています。仕事を持っている親御さんも意識しながら、活動をできればと考えております。

私は、これからの幼稚園は、幼稚園自身が考え方を変えなくちゃいけないと思っています。世の中の幼稚園のほとんどは、依然として昭和の時代の考え方で、平成の時代の幼稚園になりきれていないんです。うちでは保護者との関係も、地域との関係も、どんどん変化して、時代に即したものにできるように心がけています。

園内の様子

園と地域が力を合わせて子どもを育てていけるように

――地域との関わりについて教えてください

渡邉園長先生:地域の自治会、行事、商店街、学校など、さまざまな面から、連携と交流を大事に考えています。ですので、地域の方が園に来てくれる機会も多いです。地域の皆さんともっと交流をできるように、私自身も、積極的に地域に入っていくようにしています。

子どもたちと園の交流も必要ですが、園が地域にどのくらい関わっていけるか、ということが大事だと思っています。最近は「子どもの声がうるさい」と、地域から苦情が来るというニュースも聞きます。あれは、地域との交流がなく、礼儀を逸しているからだと思うんです。地域を大事にして、しっかり交流をしていれば、地域の皆さんもわかってくれるはずです。

絵本ルーム

――最後に、この地域の魅力について教えてください

渡邉園長先生:保土ケ谷は「横浜のへそ」と言われる、地理的な中心でもあります。緑も多いですから、子どもにとってはすごく良い環境があると思います。園自体も、そういう環境を十分に取り込んでいる施設だと思っていますし、保護者の皆さんも、それを求めていただいていると思っています。

地域のつながりも残っている地域で、自治会の活動がしっかりしていますし、ほどよい近所づきあいの習慣も残っています。それだけに、昔からここに住んでいる住民と、新しい住民との融合がひとつの課題ともなっているわけですが、その役割を担っているのが幼稚園や小学校だと思っています。幼稚園で親同士が知り合い、地域に帰ってより良い交流が持てるように、そういった接点であれるように、いろいろと考えながら努力をしているところです。

「県立保土ケ谷公園」

初音丘幼稚園

学校法人初音丘学園

理事長・園長 渡邉真一さん

所在地:横浜市保土ケ谷区初音ケ丘42-2
TEL:045-331-3377
URL:http://hatsunegaoka.ed.jp/hatsunegaoka/
※この情報は2017(平成29)年7月時点のものです。

0~12歳の教育・保育の総合施設として、地域の子どもたちの成長を見守る/初音丘幼稚園 園長 渡邉真一さん
所在地:神奈川県横浜市保土ケ谷区初音ケ丘42-2 
電話番号:045-331-3377
保育時間:9:00~13:50(水曜日は11:20まで)
預かり保育時間:7:30~9:00(土曜日は15:30まで)、14:00~18:30(水曜日は11:30から)
休園日:日曜日、祝日、年末年始(12/29~1/3)
http://hatsunegaoka.ed.jp/hatsunegaoka/

篠崎エリアインタビュー1

子どもたちの好奇心や探究心を刺激する「江戸川区子ども未来館」/江戸川区子ども未来館 館長 藤原達也さん


2010(平成22)年に開館した江戸川区が設置・運営する「江戸川区子ども未来館」。館内には5万冊にもおよぶ子どものための蔵書をそろえた「篠崎子ども図書館」があるほか、「子どもアカデミー」と名づけられた学習スペースや顕微鏡などの実験器具を揃えたコース室、ひろびろとした多目的室などが設けられている。今回は「江戸川区子ども未来館」の館長である藤原達也さんに、施設の特徴についてお話を伺いました。

子どもたちのための探求活動の拠点施設

江戸川区子ども未来館外観

――まず、「江戸川区子ども未来館」の概要について教えてください。

藤原さん:「江戸川区子ども未来館」は、旧「篠崎図書館」の跡地を利用して2010(平成22)年4月29日にオープンした、子どもたちのための探求活動の拠点施設です。1階には約5万冊の児童書をそろえた「篠崎子ども図書館」、2階には子どもたちの知的好奇心を刺激するプログラムを行う「子どもアカデミー」があります。また、屋上には「子どもアカデミー」のプログラムで使用する「屋上菜園」や、館内の電源の一部にも利用されている「太陽光パネル」、風力発電のモデル装置も設置されています。

篠崎子ども図書館

2階の「子どもアカデミー」では、水曜日の放課後15時から行われる入門プログラムから、半年から一年を通して継続的に参加するゼミまで、さまざまな内容の講座が行われています。2つの「コース室」と、用途や人数によってレイアウトが変わる「多目的室」とがあり、顕微鏡をはじめとした観察器具や天体望遠鏡、ものづくりに用いる工具なども揃っています。

子どもたちを惹きつける魅力的なプログラム

顕微鏡をはじめとした観察器具も揃う

――「子どもアカデミー」で行うプログラムの内容について詳しく教えてください。

藤原さん:まず本日ご覧いただく「はじめの一歩!いろはぐみ」は、「子どもアカデミー」に初めて参加いただく方におすすめの入門教室で、小学1~6年生を対象に水曜日の15時から約1時間のプログラムで行います。 プログラムの内容によって、「はじめの一歩!いろはぐみ」のように開始30分前から受付を行い当日先着順で参加できるものから、往復はがきやFAXで事前の申し込みが必要なものまでさまざまです。詳しくは当館のホームページか「教室のご案内」として発行しているチラシをご覧ください。

学校の授業とは違った面白さを味わる

「子どもアカデミー」で実施しているプログラムは、理科の実験や自然科学に関するものだけではなく、「大工さんにちょうせん!」といった、ものづくりを体験するものや、「社会のしくみ〈政治学入門〉」などジャンルは幅広く、大学・企業・NPO等の専門機関のほか、知識・技術を有する区民の方々など、さまざまな方のご協力により運営されています。

子どもアカデミー

――本日開講される「はじめの一歩!いろはぐみ」ではどのような内容のプログラムが行われますか?

藤原さん:当館のスタッフが講師となって「ミクロの世界(結晶を見てみよう)」が行われます。江戸川区の小学校で校長先生も務めていた方です。区内の小学校でもまだ一部にしかない実体顕微鏡を用いて、塩、砂糖、化学調味料、みょうばんなどの結晶を観察します。しかも、ただ観察するだけではなく、まずは目で見て観察を行い、次にルーペを用いて標本の写真と見比べ、最後に実体顕微鏡を用いて正解に辿り着くという過程も興味深く、ゲーム感覚で子どもたちの好奇心や探究心を育んでいくアイデアも盛り込まれています。土日や祝日に行うプログラムもありますので、ぜひ一度足を運んでいただければと思います。

はじめの一歩!いろはぐみ

――最後に「子ども未来館」をはじめてご利用になる方にメッセージをお願いします。

藤原さん:小学生を対象とした「子どもアカデミー」では、動物や植物など身のまわりの不思議をテーマにした自然科学のプログラムだけではなく、地域環境や社会のしくみについて知識を深めたり、ものづくりを実際に行ったり芸術分野に触れてみたりと、幅広いテーマを体験的に学ぶことができます。 学校では扱わないような専門的な分野もあり、幅広く興味・関心をもっていただくことで子どもたちの好奇心や探究心を育み、将来の夢を描くきっかけづくりになってくれればと願っています。

幅広いテーマを体験的に学ぶことができる

 

江戸川区子ども未来館

館長 藤原達也さん
所在地 :東京都江戸川区篠崎町3-12-10
TEL : 03-5243-4011
URL:http://www.city.edogawa.tokyo.jp/miraikan/
※この情報は2017(平成29)年1月時点のものです。

子どもたちの好奇心や探究心を刺激する「江戸川区子ども未来館」/江戸川区子ども未来館 館長 藤原達也さん
所在地:東京都江戸川区篠崎町3-12-10 
電話番号:03-5243-4011
開館時間:9:00~17:00
休館日:「アカデミー」月曜日(祝日の場合は翌日)、年末年始 「子どもライブラリー」第4月曜日、年末年始、図書整理期間
https://www.city.edogawa.tokyo.jp/miraik..

「親子教室 あおぞら」主宰 池田祐子さんインタビュー

友人や地域のコミュニティの存在が、育児をハッピーにする/親子教室 あおぞら 主宰 池田祐子さん


子育て支援制度が充実した江戸川区の篠崎周辺は、公園やスーパーマーケットがたくさんあり、毎日の買い物や子どもを遊ばせる場所に事欠かない、ファミリー層に人気のエリア。今回は瑞江でベビーダンスなどを行う「親子教室 あおぞら」を主宰する池田祐子さんに、子育てサークルを始めたきっかけについて伺うとともに、ベビーダンス教室の参加者の皆さんに、篠崎エリアの魅力について聞いた。

ベビーダンスを教える池田先生

ママ友作りの支援が教室のきっかけ

――親子教室とのことですが、具体的にどのようなことをされているのですか?

池田さん:活動内容は大きく分けて3つです。①お子さんを抱っこして踊るベビーダンス、②未就園児のお子さんを対象としたキッズ☆ベビーダンス、③ママにも赤ちゃんにも優しい楽な抱っこの方法をお伝えする抱っこ講座、を開催しております。

――ベビーダンスについて簡単に教えて頂けますか。

池田さん:赤ちゃんを抱っこしながらリズムに合わせて踊るエクササイズです。2007(平成19)年に日本で考案されたたもので、ぐずっていた赤ちゃんが泣きやんだり、あっというまに寝付いてくれたり、ママにとっては大助かりのダンスなんです。音楽に合わせて体を動かすのは、それだけで気分転換になりますし、産後のボディメイクにもおすすめです。

ベビーダンス前に行う、手遊び歌

――先生も2人のお子様をお持ちとのことですが、こういう場が必要と思ったきっかけなどお聞かせください

池田さん:2010(平成22)年に長女を出産したのですが、日中はずっと、何をしても泣きやまない娘と家に2人きり。初めての育児で精神的に参っていました。そんなとき、乳児訪問で区の助産師さんが自宅にいらっしゃりました。娘が生後2カ月の頃でした。短時間でしたが育児の悩みを聞いてもらって、救われた気持ちになりました。この出来事をきっかけに、区のコミュニティ会やベビーマッサージ教室、ベビーヨガ教室、ベビーダンス教室など、様々なイベントや教室に積極的に参加するようになりました。

たくさんの方と知り合って、悩みを分かち合ううちに、いつのまにか育児を楽しいと思えるようになっていました。育児ストレスは、ママ友や地域のコミュニティと関わることで軽減できると実感しました。それで「かつての自分のように一人で悩んでいるママの助けになりたい」「ママ友作りをお手伝いしたい」という気持ちが芽生えたんです。

手遊び歌の次は、ウォーミングアップのストレッチ

――ベビーダンスの魅力は何でしょうか?

池田さん:初めてベビーダンスを体験したのは、長女が生後5ヶ月のとき。当時はかなり泣き虫で、そのためイベントに参加できないこともあったくらいです。でも、ベビーダンスの時は、泣き出すどころか声を出して笑ったんです。たぶん私に抱っこされていたから、音楽やリズムを安心して楽しめたんですね。楽しそうに笑う娘を見て、ベビーダンスって素晴らしいと思いました。

ストレッチ中も教室には笑顔が絶えない

――みなさんのために、どういった場でありたいとお考えですか?

池田さん:気軽にママ友を作れる場でありたいと思っています。それが念頭にあるので、みなさんお友だちができるよう、全4回のベーダンスレッスンは毎回同じメンバーが集まる方法を取っています。ここに来るすべてのママにとって、少しでも心の疲れを癒してリフレッシュできる場所にしたいと思っています。ママが笑顔になればお子さんも幸せな気持ちになるので、お子さんのためにもそういった場が大切だと思っています。

参加者に聞く、通い始めたきっかけと教室の魅力

畳の上で踏む裸足のステップが気持ちいい

――教室に参加したきっかけと、参加して感じたことを教えてください。

参加者:友だちに誘われて参加しましたが、実際に来てみたら楽しいし、ベビーダンスも気に入りました。

いつもはなかなか寝付かない子どもが、すぐに寝てくれるとか、体を動かして楽しいっていうのもありますけど、やっぱり一番は同じ境遇の人と知り合えるっていうところですね。話せる人、子育ての悩みを分かってくれる人の存在は大きいです。

いい運動にもなりますね。ベビーダンスをやった日はぐっすり眠れるんですよ。

子どもの首をしっかり支えて踊ります

――ベビーダンスをやってみて、お子様の反応はいかがですか?

参加者:寝かしつけるのにいいですね。教えてもらってから、家でもやるようになったんです。リズムや上下の揺れが気持ちいいみたいで、音楽なしでも寝てくれるので助かります。

参加者と先生に聞く、篠崎エリアの子育て環境について

ダンスの後は、みんなでランチ

――子育てファミリーにとって、篠崎エリアの住み心地はいかがですか。

参加者:暮らしやすい所ですね。スーパーマーケットが豊富で、小さなお店から大型モールまでいろいろあるので、買い物は遠くまで行かなくても近くで済ませられます。

池田さん:ドラッグストアも沢山あるので、日用品の買い物にはとても便利です。それに道幅が広くてきれいに舗装されているから、どこでも自転車でスイスイ行けるのがいいですね。

――行政の子育て支援制度などで、活用されているものはありますか。

参加者:毎月13,000円の乳児養育手当(ゼロ歳児)はすごく助かります。「さすが江戸川区!」っていう感じですね。

また、制度ではないですが、いい集まりだなと思うのは、2カ月赤ちゃんの会。区内の健康サポートセンターで行われていて、同じ月齢の子がいる人と知り合えるのがポイントです。どうやったら同じ月齢の子を持つママと出会えるの?って聞いてきた妹に話したら、うらやましがっていました。ないところもあるんですよね。

ランチ後、参加者と談笑する池田先生

――子どもとよく行く公園や、お気に入りスポットなどを教えてください。

参加者:この辺で定番なのは「篠崎公園」ですね。アスレチックやバーベキューもできるので、休日に家族みんなで楽しめます。

他にも「今井児童交通公園」もおすすめですよ。自転車、三輪車はもちろん、スカイサイクルやゴーカートにも無料で乗れるんです。いろいろ遊べるから子どもも喜ぶし、何よりお財布にやさしいのが最高です。

池田さん:確かに「今井児童交通公園」は遊び感覚で交通ルールを覚えられるので良いですね。ウチの子はあそこで自転車に乗れるようになったんですよ。

参加者:あとは「篠崎ポニーランド」もおすすめです。ここも無料で予約も要らないので、気軽にポニーに乗ることができます。

池田さん:少し足を伸ばせば「葛西臨海公園」や大型テーマパークもあるので、子どもが遊ぶ場所は選び放題ですね。

にぎやかでくつろいだ雰囲気に、子どももリラックス

――子連れで楽しめる、カフェやレストランなどあったら教えてください

参加者:なんといっても「だんご3兄弟」ですね。ママ向けの自宅カフェで、よくベビーイベントなんかをやっています。お客様はママばかりだから、授乳もおむつ替えも気軽にできて、居心地がいいんです。

――篠崎エリアのいいところ・魅力を教えてください。

参加者:緑が多くて、子どもを遊ばせられる公園が多いところですね。

小さな子どもがいる身としては、子育て世帯が多いのも、仲間が多くて心強く感じます。

池田さん:自然とふれあえるけど田舎すぎず、新宿へのアクセスも良かったりして、全体的に便利なところだと思いますね。

ベビーダンス教室「あおぞら」 池田さん

親子教室 あおぞら

一般社団法人日本ベビーダンス協会認定インストラクター
池田 祐子さん
URL:http://ameblo.jp/mikkiymama/
※この情報は2017(平成29)年2月時点のものです。

友人や地域のコミュニティの存在が、育児をハッピーにする/親子教室 あおぞら 主宰 池田祐子さん
所在地:東京都江戸川区瑞江2-5-7 
http://www.ab.cyberhome.ne.jp/~aozora/

練馬区立開進第二中学校 校長 大石 光宏 先生 インタビュー

人権教育に長らく取り組んできた経験を「他者を思いやる」日々の教育に生かす/練馬区立開進第二中学校 校長 大石光宏先生


「練馬」駅からも「豊島園」駅からも徒歩圏内という、練馬区の心臓部にほど近い「練馬区立開進第二中学校」。今年開校70年を迎える歴史あるこの学校には、親子3代で通う家庭も多いのだとか。1982(昭和57)年度から「人権尊重教育推進校」に指定され、長きに渡って子どもたちの心の教育に取り組んできた「開進第二中学校」の大石校長先生に、本校での取り組みや地域の魅力について伺った。

「自分と同じように他者も大切にできる人」を目指して

――まずは学校の沿革と概要について教えてください。

大石校長先生

大石校長:本校は1947(昭和22)年4月1日に開校し、本年度70周年を迎える歴史ある学校で、10月には記念式典も予定しています。現在、1年生154名、2年生111名、3年生169名、合計434名の生徒たちが在籍しています。

1882(明治15)年当時、下練馬村といわれたこの地域に新しく学校をつくるにあたり、氷川神社の神官だった風祭宝信氏によって「開進」という名前がつけられたということです。

学校名の由来

――特徴のある取り組みはありますか?

大石校長:1982(昭和57)年度から「人権尊重教育推進校」として指定を受け、35年間に渡って人権教育に力を入れてきました。人権というのは難しい話ではなく「自分と同じように、他者を大切にする」という実にシンプルかつ当たり前の考え方が根幹です。週2時間の総合的学習の時間を中心に、全教科を通じて「人権」につながる問題提起を授業内でも行なっています。

1年生では準備の学びを行い、2年生ではNPO法人やボランティア団体を通じて、実際に路上生活者のところへ行って話を聞いたり、ハンセン病患者施設を見学したり、障害者スポーツのローリングバレーボールを体験したりと、その内容は多岐に渡っています。

そして3年生ではその集大成として、東日本大震災で大きな被害を受けた石巻へ修学旅行で行きます。被災者の方の話を聞き、その夜は農家の方々のお家に民泊をさせていただくなど、現地の方々との交流を中心に旅行のプログラムを組んでいます。未だに復興が進まず、風評被害なども深刻な被災地へ実際に行くことで、学んだことをよりリアルにより幅広く理解することにつながっているようです。

3年生は11月に学習発表会を行い、各自自分で「人権問題に関するテーマ」を見つけてプレゼンテーションを行なっています。毎年発表を見ていますが、シリアの少年兵や沖縄基地問題など、子どもたちが個々に選ぶテーマは大人たちの想像をはるかに超えてグローバルで奥深いですよ。手前味噌ですが、3年をかけて取り組んだ成果が出ているなぁと感じます。

教室の様子

広い校庭で伸び伸びと体を動かせる、安全で安心な学校

――区内で最も広い校庭を生かした行事などはありますか。

大石校長:行事ということではありませんが、日常的に複数の部が同時に練習でき、なおかつ怪我が少ないというのが一番嬉しい点です。普通、野球部とサッカー部が同時に練習というのはなかなか難しいですし、無理に入れ込んでも結局ボールの行き来で練習に集中できなかったりします。中学生は心も体も一番成長する時期ですから、このときに体を使って思いっきり活動できる環境が整っている、しかも都内でこれだけの広さが確保できているというのは幸せなことだと思います。

練馬区で最も広い校庭

――部活動が盛んだというお話も校庭の広さに関係あるのでしょうか。

大石校長:陸上部は全国大会に出場したり、サッカー部も区大会で優勝したり、テニス部も都大会に出場したり、運動部の子どもたちからは「強くなりたい」という気持ちが伝わってきますね。また体育館を地元の新体操クラブチームに夜間解放していることもあって、本校では区立中学では珍しく「新体操部」があるんです。運動部だけでなく吹奏楽部も今年吹奏楽コンクールで金賞を受賞しましたし、全体的に部活も勉強も頑張りたいという意識が強いように感じます。

ユニークな部活動としては「農部」という部があって、学校農園で野菜や果物づくりに取り組んでいます。夏休みの間も水やりや草取りなど、こまめに学校に通ってはよく面倒を見ていましたよ。作業用のつなぎのユニフォームもお揃いで作って、ときどき収穫した野菜なども持ってきてくれます。顧問もいますが、地域の方々が外部指導員として通ってくださり、土の作り方から肥料の与え方、基本的な育て方などを事細かに教えてくださっています。人間は土を触っていると精神的にも落ち着いて豊かな気持ちになるようで、子どもたちの成長によい影響があると肌で感じています。今年は「農業検定を受ける」と言って部員たちは張り切っているので、応援しています。

記念の賞状や写真がたくさん

――日々の指導のなかで先生方が気をつけていらっしゃることはありますか?

大石校長:やはり「人権教育」に長年取り組んできたこともあり、先生方も日常的に「人権」や「差別」「いじめ」に関してよく考えていて意識が高いと思います。やはり子どもから質問を受けることも多いですし、話題になる機会も多いですからね。本校では2011(平成23)年度の生徒会が考え、掲げている「思いやり宣言」があります。近隣の小学校にもPRしていて、昨年学区内小学校の「南町小学校」でも「思いやり宣言」が出されたようです。

また私が赴任した年度から、担任を持つ先生方にクラスの子どもすべての家庭に電話をかけてもらっています。これは年度が始まった4月~5月末にかけて保護者の方と直接電話で1対1でお話しする機会を持つというもので、子どもの様子を伝えたり、保護者の方々の心配なことをお聞きしたり、コミュケーションを取る手段の一つとして実施しています。昔は家庭訪問というものがあって、必ず先生と親が顔を突き合わせて話をしたものですが、現在はその習慣もなくなりました。先生方にはかなりの負担になっているとは思うのですが、年度始めに一言言葉を交わしていれば、何かあった時に連絡もしやすいでしょうし、親御さんたちも安心なのではないかと考え、少々無理を言ってお願いしています。

支えられるだけでなく、「地域を支える子ども」を育てる

――地域の方々との交流などはどのような形で行なっていますか?

大石校長:本校は地域の避難拠点になっていて、毎年地域と合同の避難訓練を行なっています。その訓練の際に、地元の消防団の方々や保護者のお父さんたちの「おやじの会」にも参加してもらい、1年生の子どもたちに怪我の応急処置やAEDの使い方など、かなり実践的な訓練を実施しています。

というのも、この地区は昼間、男性たちは都心に働きに行っていますし、高校生は遠方に通っている人も多いので、地元に残っているのは高齢者と小中学生です。災害が起こったとき、私は中学生が使命感を持って地域の人たちを助ける人材になってほしい。支えてもらっている地域の人たちを、今度は支える側に立ってほしいと考えています。1年生の避難訓練でその意識づけをしっかりと行い、2年・3年を通してその気持ちを保ってほしいと思います。

校舎内の様子

――宿泊できる施設が校内にあるというのも珍しいですね。

大石校長:セミナーハウスは昭和60年代に建てられたようで、練馬区では「大泉中学校」内にも同じような宿泊可能施設があります。部活動の合宿なども校内で行えるので有難いです。研修室があるので地域の方々の講演会などにも利用されており、今年度は鼓や狂言、能楽の会などが催されたようです。

もちろん災害時には避難所として解放する予定で、実際に東日本大震災の時には帰宅困難だった職員たちが宿泊した経験もあります。

――生徒たちや保護者の方々はどのような雰囲気ですか。

大石校長:練馬区は東京23区内でありながら、畑も多く、のどかな田園風景や緑が残る貴重な地域です。そのせいか子どもたちも非常に純粋で、素直な生徒が多いように感じます。親御さんも教育活動に協力的ですし、親子3代でこの中学校に通っている方もいらっしゃるくらい、一度住むと離れ難い魅力がある地域なのだと思います。

練馬区立開進第二中学校 正門

――先生が個人的にお好きな場所はありますか?

大石校長:3月末からちょうど入学式シーズンの石神井川沿いの桜の風景が大好きですね。川に向かって桜の枝が下に垂れ下がり、水面に桜が映ってなんともいえない美しい景色です。私自身、練馬区で生まれ育っていますので、利便性は高くて便利なのに、ふと四季を感じさせてくれる自然豊かなこの地域は非常に暮らしやすいよい街だと思います。

石神井川沿いの桜

練馬区立開進第二中学校 校長 大石 光宏 先生

練馬区立開進第二中学校

校長 大石 光宏 先生
所在地:東京都練馬区練馬2-27-28
電話番号:03-3993-1348
URL:http://www.kaishin2-j.nerima-tky.ed.jp/
※この情報は2017(平成29)年9月時点のものです。

人権教育に長らく取り組んできた経験を「他者を思いやる」日々の教育に生かす/練馬区立開進第二中学校 校長 大石光宏先生
所在地:東京都練馬区練馬2-27-28 
電話番号:03-3993-1348
http://www.kaishin2-j.nerima-tky.ed.jp/

東京学芸大学附属国際中等教育学校 佐藤正光校長先生、藤野智子副校長先生

東京学芸大学附属国際中等教育学校 佐藤正光校長先生、藤野智子副校長先生


都心への交通利便性が高い一方で、閑静な住宅街が広がる大泉学園。古くから住む人も多くのどかな街の雰囲気も特徴だ。元々“学園都市”を目指し作られた街のため、教育環境は充実している。「東京学芸大学附属国際中等教育学校」は、開校10周年を迎え、「国際バカロレア教育(以下、IBと略)」の充実と日本の教育の発展に貢献する独自の教育プログラムで国内・国外からも注目を浴びる中高一貫校だ。同校を訪れ佐藤正光校長と藤野智子副校長に話を伺った。

「東京学芸大学附属国際中等教育学校」正面入り口 ©恵雅堂出版株式会社

国公立学校初のIB一貫教育を実践

――まずは、学校の概要について教えてください。

佐藤校長:本校は1947(昭和22)年に、本校の前身となる「東京学芸大学附属大泉中学校」が、「東京第三師範学校附属中学校」として発足しました。2007(平成19)年に附属大泉中学校と附属高等学校大泉校舎を統合・再編した「国際中等教育学校」として開校し、現在は全校生徒約740名が在籍しています。「国際」をキーワードとして、多様で異なる人々と共生・共存でき、進展する国際化の中で活躍する力を持った人材を育成する学校です。また本校は、日本の国公立学校初の国際バカロレア・ワールドスクールとして、1年生から4年生までの全生徒を対象に中等教育プログラム「MYP」を実施しています。さらに2015(平成27)年3月31日付で、5年生と6年生を対象としたディプロマプログラム「DP」の認定校となりました。2016(平成28)年4月より定員制を設けて一部の生徒を対象に授業をスタートさせ、「MYP」と「DP」の「IB一貫教育」を実践する初の国公立学校になりました。

お話をしてくださった佐藤校長

探究的な学びで社会に貢献できる人材を

――「IB」や「MYP」、「DP」について教えてください。

佐藤校長:「国際バカロレア教育(IB)」のはじまりは、外交官や大使など世界中を視野に入れて働くご家庭のお子さんを対象に、どの国に行っても子どもが質の高い教育を受けられるようにするのが目的だったそうです。本校は「IB」を取り入れていますが、英語重視の学校でも欧米式の学校でも、エリート教育の学校でもありません。「IB」はその国の伝統や文化に立脚した教育を積極的に行うことも特徴でして、使用する言語は日本語も認められています。しかしながらグローバルな視野で教育を捉えた場合、日常生活だけの為に英語を使うのではなく、自分の考えを伝えたり議論ができたりするレベルの英語力が求められます。生徒は日本語で学ぶ科目もあれば、英語で学ぶ科目もあります。2つの言語を使って教科内容をより深く学習できることができるのも、本校の特徴です。

校内と生徒の様子。のびやかな雰囲気がある

藤野副校長:「IB」は、国際的な視野を持つ人間の育成を目指し、人類に共通する人間らしさと地球を共同で守る責任を認識し、平和でより良い世界の構築に貢献する人間を育成するプログラムです。探究的な学びが特徴で、質問すること(探究)、実行に移すこと(行動)、考えること(振り返り)の相互作用を通じて、様々な意見やものの見方が尊重される開かれたクラスを目指します。ただ点数をとって知識を積み重ねるだけではなく、学習者が一人で、または他の人々と協力して生涯学び続ける為の力を引き出します。本校での「MYP(Middle Years Programme)」の4年間は、プレゼンテーション・ディスカッション・レポート課題などを通じた概念理解と探究活動を中心とした学習が特徴です。生徒はこの4年間の学習経験をもとに「DP(Diploma Programme)」におけるより高度な学習をスムーズに始め、深めていくことができます。「DP」は、5・6年生対象のより専門性の高い学習プログラムで、世界の複雑さを理解して、そのことに対処できる生徒を育成し、未来へ責任ある行動をとるための態度とスキルを身につけることを目的とした教育です。生徒は2年間かけて「言語と文学」や「個人と社会」、「芸術」など6つの科目と「CAS(Creativity,action,and service)」などのコアを学びます。海外進学のチャンスが広がるだけではなく、国際的な視野と高い専門性を有するグローバル人材への成長が期待できます。

学校の案内パンフレット

佐藤校長:本校の教育では「国際教養」という学習領域を設定しています。「国際教養」は「IB」の中等教育「MYP」の考えをもとに、国際理解・人間理解・理数探究という3つの柱で構成される、6年一貫教育の中で実施するカリキュラムの1つになります。社会に貢献できる人材となるためには、知識・技術・能力を活かして様々な人と有益なディスカッションができるようになることが重要です。質の高いディスカッションができるようになるには、世の中にあふれる情報源の中からそれらを正しく理解し、相手に伝えることが必要で、ディスカッションの相手も努力して考えを伝えようとします。そしてその考えを聞き取る力もまた必要です。生徒には「国際教養」で「自分が勉強していることが、何につながっていくのだろう?」という問いを常に持ち続け、その考えを自分で探っていくことを身につけていって欲しいと考えます。

校舎は4棟に分かれている。E棟の写真

英語“を”学ぶのではなく、英語“で”学ぶ大切さ

――「英語イマージョン」とはどのような取り組みですか。

藤野副校長:4年生以上を対象に教科を英語で受講するプログラムになります。3年生で週に1時間プレイマージョンの時間を設けて、数学と理科と社会、美術を英語で受講します。4年生では数学A、地理A、科学と人間生活を、5年生では世界史A、数学B、生物、6年生は数学特講、物理、政治経済を英語で受講することができます。また、1年生から英語の授業の他に週に2時間、LE(Learning in English)の時間が設定され、ネイティブの先生と英語で様々な地球的課題について学び、異文化への理解・関心、自分自身や自文化への理解を深めます。初めて英語を勉強した生徒でも3年生が終了する段階では、約半数が英語検定2級レベルを取得しているのが現状です。

目的を持って海外留学にチャレンジする生徒も

――海外留学や海外の大学進学を希望する生徒はどの程度いるのでしょうか。

佐藤校長:4年生以降で成績・出席状況など一定の条件を満たせば、帰国後に最大31単位が認められる制度があり、1年間の長期留学から短期留学までそれぞれが目的を持って留学を希望する生徒も少なくありません。海外の大学進学希望者も毎年数名おりますが、DP1期生が卒業する2018(平成30)年は海外大学希望者が今よりもさらに増えるかもしれません。

留学した生徒の体験をまとめた掲示物

国際交流・学校間交流で課題研究への理解を深める

――国際交流・学校間交流の活動内容について教えてください。

佐藤校長:国際交流では「東京学芸大学」の協定大学である「Philippine Normal University」やアジアの開発機構、現地のNGO団体の支援先を訪問しています。UAE、ブラジル、ベトナム、アメリカ、中国など各国からも学校視察を受け入れています。また国内では、「さくらサイエンス」のプログラムでインド、モンゴル、ラオスの学生と一緒に講義を受講し交流を深めたり、「東京外国語大学」の「Joint Education Program」を受講したりと、積極的に交流しています。また、本校を訪れたSGH校の生徒と、ディスカッションを通しての交流も行っています。「関西大学高等部」とは「共同体と移民問題」についてや「地球環境の変化は私たちの生活をどう変えるか」についてディスカッションをしました。その他にも「兵庫県立国際高等学校」などとSGH校同士の取り組み状況や情報を交換し、相互の課題研究への理解を深めています。

課題研究を通じて資質・能力の育成を

――スーパーグローバルハイスクール(SGH)としての活動について教えて下さい。

佐藤校長:スーパーグローバルハイスクール(SGH)の活動は、「課題研究」を通じて様々な社会課題の解決について考えたり、国内外のフィールドワークにおいて調査活動・検証活動を行うなどして、グローバル社会で生きるための資質・能力を身につけることを目指すものです。「Global Discussion 2016」や「世界津波の日 高校生サミット」への参加、SGH甲子園などの発表会への参加、情報発信・収集の場として外部講師を招いてセミナーや「Global café」を開催するなどの取り組みを行っています。また本校はスーパーサイエンスハイスクール(SSH)の指定校にもなっていまして、国際的に活躍する科学技術人材の育成をめざした理数教育の開発研究に取り組んでいます。研究成果の発表の場としてサイエンスフェアなどへの参加を積極的に行っていまして、「平成29年度スーパーサイエンスハイスクール生徒研究発表会」などで各種受賞・表彰を受けています。さらに本校では生徒の研究活動を推進するために課題研究コンテストとして「ISSチャレンジ」を実施していまして、「SGH」部門と「SSH」部門に分かれ生徒個人および団体による約1年間に渡る研究の過程および成果を審査し、優秀な研究を表彰する取り組みも行っています。

SGHとSSHの両方の指定校

年に一度の祭典「School Festival」。一般公開で地域とともに

――その他特色のあるカリキュラムや力を入れている活動がありましたら教えてください。

佐藤校長:1年間で非常に大きな行事が例年9月中旬に行われる「School Festival」です。生徒は学年・クラス、部活などのグループに分かれて、生徒が自ら企画、沢山の方に楽しんでいただけるようこの日のために準備をします。教室での展示発表や体育館での発表、演劇、ダンスなど様々で保護者や一般の方も来校できるとても盛り上がるイベントです。その他、例年6月中旬に行われる「Sports Festival」(一般公開なし)があり、学年ごとの種目だけでなく、異学年が合同で行う種目もあり、学校が1つになる活気のあるイベントです。「School Festival」は一般公開もしていますので、本校の生徒が自然体で何事にも必死になって取り組む姿を是非見ていただきたいと思います。

「School Festival」の様子 ©恵雅堂出版株式会社

教育の街・大泉学園は通勤通学にも便利な街

――最後に、大泉学園エリアの教育環境の魅力について、一言お願いします。

佐藤校長:大泉学園エリアは名前の通り学園都市を目指して作られた街です。自然が豊かで学校などの教育施設が充実していて閑静な住宅街でもありますので、子どもたちが勉強をするには最適な街だと思います。

藤野副校長:西武池袋線、有楽町線、副都心線、バス通りなどの交通の便が良いので便利な街ですね。通学にも買い物にも良い所だと思います。

東京学芸大学附属国際中等教育学校 佐藤校長

東京学芸大学附属国際中等教育学校

校長:佐藤正光先生、副校長:藤野智子先生
所在地:東京都練馬区東大泉5-22-1
URL:http://www.iss.oizumi.u-gakugei.ac.jp/
※この情報は2017(平成29)年9月の取材に基づき、2018(平成30)年9月に加筆修正したものです。

東京学芸大学附属国際中等教育学校 佐藤正光校長先生、藤野智子副校長先生
所在地:東京都練馬区東大泉5-22-1 
電話番号:03-5905-1326
https://www.iss.oizumi.u-gakugei.ac.jp/

小平市役所 子ども家庭部子育て支援課 係長 佐藤義章さんインタビュー

誰もが安心できる子育て環境を目指して。小平市子育て支援課の取り組み/小平市役所 子ども家庭部子育て支援課 係長 佐藤義章さん


小平市役所 外観

小平市では、児童館や地域センター、子ども家庭支援センター、市立保育園など身近な施設に広場を設置することで、乳幼児と保護者が利用しやすい子育て支援事業を展開している。その要となるのが、親子の交流の場の提供や子育て相談を行う3つの広場だ。市の取組みの実際について、子育て支援課の佐藤義章さんにお話を伺った。

―小平市の子育て支援の方針や概要を教えてください

佐藤さん:2015(平成27)年4月に施行された「子ども・子育て支援新制度」に対応するため、小平市では2015(平成27)年度から2019(平成31)年度までの5年間を計画期間とする「小平市子ども・子育て支援事業計画」を策定し、計画に沿って各事業を進めています。「みんなですくすく 感動子育て あふれるまち こだいら」を基本理念として、「様々な子育て家庭を支える視点」、「安全・安心な子育てができる環境を作る視点」、「地域で子育てを支える視点」の3つの視点を大事にしています。それらの視点から、次代を担う一人ひとりの子どもが健やかに成長できる社会づくりや子育て家庭が、安心していきいきとした生活を送れる環境づくりを目指して子ども・子育て支援を推進しています。

様々な支援、イベントの資料

事業計画の大きな柱のひとつが、幼児期の教育・保育です。新制度が目指す「幼保一元化」や待機児童解消をふまえ、特に1、2歳児を中心とした幼保連携型認定こども園と認可保育所の整備、0歳児から2歳児を保育する小規模保育事業と家庭的保育事業の整備を進め、2017(平成29年)度末まで待機児童を解消することを目指しています。

もうひとつの柱が、地域子ども・子育て支援事業です。子育て中の親子の交流や育児相談などを地域の身近な場所で実施する地域子育て支援拠点事業をはじめ、一時預かり事業や延長保育事業など、全13事業に取り組んでいます。

母子相談窓口

―小平市の子育ての現状についてご説明ください

佐藤さん:小平市の人口はゆるやかに増加し、0歳から11歳の子どもの人口についても、2012(平成24年)度以降は増加傾向にあります。合計特殊出生率は東京都平均より高く、こちらも上昇傾向です。
花小金井地区で大型マンションが建設されるなど大規模な開発が進んでいることもあり、実際に子育て世帯が増えているという実感がありますね。

幼児期の教育・保育施設の状況としては、私立幼稚園が15(認定子ども園4を含む)、市立認可保育園が9、私立認可保育園が26、東京都認証保育所が10あります。私立認可保育園はしばらく8園だけでしたが、希望者が増加したことと事業計画をふまえ、ここ数年は力を入れて毎年開設してきました。来年4月も開設の予定で準備を進めています。

子育て広場を行う御幸地域センター

―子育て世帯を対象にした子ども広場、子育てふれあい広場、子育て交流広場について教えてください

佐藤さん:小平市には西部に「小川町一丁目児童館」、中央部に「小川町二丁目児童館」、東部に「花小金井南児童館」という3つの児童館があります。このほかに、地域センターなど6ヵ所で、地域子育て支援拠点事業として実施しているのが子ども広場です。子育て中の保護者の交流及び集いの場の提供、子育てに関する相談及び援助、地域の子育て情報の提供、子育てに関する講習会等の実施、乳幼児から中学生までの子どもの遊び場の提供と遊びの指導を行っています。

市立認可保育園9園、児童館3館、地域センターなど8施設の計20ヵ所では、乳幼児と保護者を対象にした相談・交流ができる「子育てふれあい広場」を実施し、乳幼児とその保護者にご利用いただいています。保育園では子育て相談や園庭開放などを実施しており、夏はプールで水遊びもできます。一方、児童館や地域センターでは週に1回、午前10時から正午までの2時間、相談員が子育て相談に応じたり、乳幼児と保護者の交流の場を提供しています。
「子育てふれあい広場」の利用者数は年々増加し、2014(平成26)年度は10,000人以上となっています。

子育て広場の様子

さらに、小川東町四丁目にある子ども家庭支援センターでは、祝日を除く火曜日から土曜日に「子育て交流広場」を常設し、子育て相談を行うほか、子育ての情報交換、仲間づくりができるように乳幼児と保護者の交流・遊び場の提供、季節の行事、年齢別の会、自主サークルやボランティアによる催しなどを実施しています。この子ども家庭支援センターと児童館では、定期的に地域への出張も行い、出張ひろばを開いたり、子育てふれあい広場に児童館の遊びを届けるなどしています。

子育て相談も行っている

―子育て関連の講座もたくさんあるそうですね

佐藤さん:児童館3館では、今年度から乳幼児を持つ保護者を対象に、保育つきの「子育て親育ち」の講座を始めました。子どもを育てるために必要な知識や技能を学んでもらおうという内容で、各館年間2回を予定しています。また、保護者の関心が高い離乳食、断乳については、栄養士による食育講座や個別相談も行っています。
また、子ども広場や家庭支援センターでも、定期的に講座を開いています。おもちゃの紹介や栄養士と作る簡単メニュー、しつけの方法など内容はさまざまで、単発講座から連続講座など形式もいろいろです。講座のほか、各児童館や市立保育園では、季節行事や季節遊び、映画会、体操、手遊び、読み聞かせ、ふれあいレク、ベビーマッサージ、産後ヨガ、工作など、多彩なプログラムを実施しています。

子育て支援情報

子育て中の親子を対象にした講座やイベントは、毎月、「小平市地域子育てカレンダー」として一覧にまとめ、市役所や児童館、地域センターなどで配布しています。小平市のHPで閲覧することも可能です。

―最後に、小平の子育て環境や街の魅力をお聞かせください

佐藤さん:ちょうどひし形をしている小平市は、玉川上水、野火止用水、狭山・境緑道を結ぶ、総延長21kmもの「グリーンロード」が、市をぐるりと一周しています。「グリーンロード」沿いは気持ちの良い緑道になっているので、散歩やサイクリング、ジョギングコースに事欠きません。このほか、広々とした「小金井公園」や歴史ある「小平霊園」もあるなど、緑が豊かな街です。
市内を東西に貫く青梅街道沿いは、昔、短冊形に南北に地割されたので、青梅街道から隣の街道まで人の土地を通らないで行き来できる農家さんもあると聞いています。今はだいぶ開発が進みましたが、そこかしこに昔ながらの風景が残っています。小平はブルーベリー栽培発祥の地でもあるので、ブルーベリー畑もたくさんあります。

島村ブルーベリー園

小平市役所 外観

今回、お話を伺った人

小平市役所 子育て支援課 係長 佐藤義章さん

所在地 :東京都小平市小川町2-1333
電話番号:042-346-9821(子育て支援担当)
http://www.city.kodaira.tokyo.jp/
※この情報は2016(平成28)年7月時点のものです。

誰もが安心できる子育て環境を目指して。小平市子育て支援課の取り組み/小平市役所 子ども家庭部子育て支援課 係長 佐藤義章さん
所在地:東京都小平市小川町2-1333 
電話番号:042-341-1211
開庁時間:8:30~17:00(一部窓口は土曜日8:30~12:15も開庁)
休庁日:土・日曜日、祝日、年末年始(12/29~1/3)
http://www.city.kodaira.tokyo.jp/

葛飾八幡宮 宮司 持田篤史さんインタビュー

緑豊かな、心安らぐ場所を守っていきたい/葛飾八幡宮 宮司 持田篤史さん


本八幡の街並みができるよりもはるか以前、平安時代から現在地に鎮座している「葛飾八幡宮」は、本八幡を代表する名所であり、地域の人々の心のよりどころとして、広く親しまれ続けている神社である。誉田別命(ほむだわけのみこと=応神天皇)、息長帯姫命(おきながたらしひめのみこと=神功皇后)、玉依姫命(たまよりひめのみこと)の三柱をご祭神としている古式ゆかしい八幡さまで、天然記念物の「千本公孫樹(せんぼんいちょう)」や、参道の入り口にある「藪知らず」は全国的にも知られており、遠方から訪れる参拝客も数多い。今回はこの神社で宮司の跡継ぎとして権禰宜(※取材当時)を務めながら研鑽を続けられている、持田篤史さんにお話をお聞きした。

まず、葛飾八幡宮の歴史、由緒についてお聞かせください。

葛飾八幡宮 拝殿

当宮は創建が平安の昔、寛平(かんぴょう)年間でして、西暦889(寛平元)年から898(寛平10)年の間に創建されましたと伝えられていますので、1100年以上の歴史がございます。京都に鎮座されている「石清水八幡宮」から御霊を勧請(かんじょう)いたしまして、この下総の国の総鎮守として、ご鎮座されましたのが始まりです。

参拝客の方からしばしば、「なぜ東京の葛飾の名前なのか?」と聞かれますが、これは非常に自然な流れでして、葛飾と言いますと、皆様は東京の葛飾区というイメージがあると思いますけれども、実は、古くは「葛飾郡」というたいへん大きな郡がありまして、東京、埼玉、茨城、千葉の4県にまたがっておりました。

葛飾八幡宮 神門

その大きな葛飾郡の中心が、市川や船橋だったということで、昔は「西船橋」駅を「葛飾」駅と言っていたほどでして、この辺りにも、地名に葛飾という名前はよく残っております。東京都江戸川区の「葛西」という地名も、その名残のひとつですね。

その葛飾郡の中心にある八幡宮ということで、当宮は創建以来朝廷の崇敬も厚く、国司や郡司をはじめとした国民の信仰も広く集めまして、下総の国における葛飾文化や、八幡信仰の中心となってまいりました。

地域の中心ということですと、昔はさらに規模の大きな社叢に囲まれていたのでしょうか?

江戸時代の図会

そうですね、江戸時代の図会を見ますと、当時はまだ神仏習合といって、神社とお寺が混ざっていた時代ですので、当宮の後ろ側に寺院があり、たいへん広い敷地だったようです。また、参道の両側の、今の市民会館や分庁舎の場所も境内地となっていましたし、現在は鳥居の前に踏切がありますが、昔は街道のギリギリの場所までが境内地だったようです。街道の反対側には「藪知らず」という有名な禁足地がございますが、昔はこの脇を小川が流れ、放生会(ほうじょうえ)という儀式が行われていたと言います。

古来より神様の場所というのは、地理的にも条件が良く、見晴らしの良い場所などを選んで置かれておりますので、背景に森を背負い、眼下に海を見下ろすこの場所は、神様の場所として最適だったのではないでしょうか。

ご神木の「千本公孫樹」がたいへん有名ですが、なぜこのような珍しい樹形になったのでしょうか

千本公孫樹(イチョウ)碑

当宮のご神木は、国指定天然記念物にも選定されている「千本公孫樹」でして、樹齢が約1200年近くという、たいへんな古木になります。日本にイチョウの木が入ってきた時期が、ちょうどその頃ということも言われており、貴重な木ということになるかと思います。「千本」という名前の由来は、たくさんの樹幹が寄り添うように立っているというところからですが、これは昔、雷に打たれて半分のところで幹が折れてしまいまして、それを支えるように周りの樹幹が根を張り、固く結びつくような形で支え合い、現在の形になったと言われております。そういった形から、縁結びの信仰もあるご神木です。

樹齢はおよそ1200年。国指定天然記念物に指定されている

また、イチョウの木は老木になると、枝の下のほうに乳房状のこぶができますので、その形から、これを煎じて飲むと乳の出が良くなるという信仰もございまして、昔から育児守護のご神木としても親しまれてきました。(※現在は煎じて飲むことはできません)
雷で裂けるような状態になりながら、長い間立ち続けているというだけでもたいへんな生命力ですが、ご覧のとおり、葉もたくさん生い茂り、このような樹勢を保っているというのは、御神気の賜物かと思います。

参拝に来られる方には、どのような方、どのような祈願が多いでしょうか?

日常的に多くの参拝客が訪れる

参拝にはやはり市内の方々がいらっしゃることが多いですね。最近は神社ブームもありまして、年代を問わず、多くの方にご参拝いただいています。特に2013(平成25)年はお伊勢さんと出雲大社が同時に式年遷宮を迎えた年でしたが、滞り無く終わりましたので、それ以降、たいへん多くの方が神社に目を向けて、いらっしゃるような状況です。最近は特に、若い女性にも、御朱印巡りなどで来られる方が多くいらっしゃいますね。

駒どめの石

皆様が求められるご利益としましては、やはり厄除け、開運が多いのですが、当宮は境内に源頼朝の「駒どめの石」がありますように、源氏が崇敬してきたこともありまして、武運長久、必勝祈願の方も多いです。「葛飾八幡宮」というくらいですから、「勝つしか」ということで、必勝の祈願をされるスポーツチームの方もいらっしゃいます。

そのほかですと、応神天皇様と神宮皇后様という当宮の二柱のご祭神が親子の神様になりますので、育児守護の信仰もございまして、その関連のご祈祷も多くございます。
式年遷宮が終わりまして、今は日本中の神様の神威がいよいよ発揚されている状態ですので、神社界は非常にいきいきとしております。ぜひこの機会に、ご参拝にいらしていただきたいと思います。

神事や行事についてお聞かせください。

八幡祭の様子

当宮で行う神事としては、毎年9月に行われる「例大祭」と、3年に1度、10月行われる「八幡祭」が大きいものかと思います。特に「八幡祭」については、神輿の渡御もありまして、露店も多く並びまして、たいへんな盛り上がりとなります。今年(2014(平成26)年)がちょうど「八幡祭」の年になります。

9月15日には恒例の「例大祭」がありまして、そこから6日間のボロ市も行われます。このボロ市も、今では時代の変化もあり、店の数は減ってしまいましたが、かつては900以上の露店が並び、農具や包丁などの生活用品を売って、たいへんな賑わいであったそうです。

祭事の様子

このほか、33年に一度の「三十三周年式年大祭」というお祭りもありまして、この時には、御開帳が行われ、稚児行列が出たりと、さらに盛大に行われます。次回は2017(平成29)年の4月1日からを予定しております。

地域の方が参加できる神事・行事にはどのようなものがありますか?

湯かけ祭の様子

八幡宮ならではのものということですと、2月の立春後の初めての卯の日に行われる「初卯祭」がユニークかと思います。これはご祭神である八幡さまのご誕生の日に行われているものでして、湯釜にぐらぐらと湯を沸かしまして、熊笹の束でその湯をかき混ぜて、東西南北に向けて撒くという神事です。湯を浴びた人には、無病息災のご利益があると言われまして、例年、たいへん多くの方がいらっしゃる神事となっています。

同じ2月の行事ですが、節分の日にも豆まきを行っていまして、この時には地域の方がたいへん多く来られています。その他、夏越の大祓、年越しの大祓も自由参列ですから、ぜひお気軽にご参列ください。

豆まきには多くの人が参加する

行事以外の面ですと、当宮にはお囃子の保存会がございまして、この八幡の地に伝わっているお囃子や、十二座神楽の保存と復興のために、地域の皆様が頑張ってくださっています。そういった皆様の情熱によって、この神社が支えられているという部分も数多くありまして、有難い限りです。

昨今の本八幡の街の変遷について、どのような印象を持ちでしょうか?

近年はいろいろと再開発が進みまして、大きなマンション等も建ってきております。喜ばしいことは、この本八幡にたくさんの人が集まってきてくださって、新しい時代に向けた活力が街にみなぎっているということでしょうか。新しい住民の方が氏子に入りたいとおっしゃってくださることもありますし、子どもたちが増えて、どんどんお祭りに来てくれれば、神様もきっと喜ばれるかと思います。

拝殿正面より

そういった変化の多い街の中で、当宮は心の部分といいますか、こちらに来ていただければ、木々がありまして、緑陰の中でお休みいただいて、心身ともにリフレッシュしていただけるという部分を、担っていければと考えております。

ですので、敢えて神社としては、「普遍性」、変わらずここにあり続ける緑や、穏やかな御神気というものを、ずっと守っていきたいと考えておりますし、神職としましても、神様のお力をいただいて、皆様が健やかに、ご多幸であるようにということを、日々、ずっと祈り続けていけたらと思っております。

最後に、本八幡の魅力を教えてください。

施された装飾も美しい

本八幡はご存知の通り非常に交通の便が良いですし、東京にこれだけ近く、便利な場所でありながら、古くからの雰囲気を保っているということが、まずひとつの魅力かと思います。街の中心にこういった歴史のある神社があって、神様のお力に守っていただきつつ、癒しの場としても気軽に訪れられるということは、何とも素敵なことだと思います。

近くには江戸川もありますので、そういった川沿いに行くのも気持ちが良いですし、美味しいごはんのお店もたくさんあります。永井荷風さんなど文豪さんも多く住まわれていたということで、文化的な面でも素晴らしいですね。市川市の図書館は、蔵書量が非常に多いことで全国的にも有名ですし、学問や文学に浸るにも、非常にいい地域ではないかと思います。

 

葛飾八幡宮

宮司 持田篤史さん
住所:千葉県市川市八幡4-2-1
電話番号:047-332-4488
http://katsushikahachimangu.com/

※記事内容は2014(平成26)年7月時点の取材を元に制作しており、今後変更となる可能性がございます。

緑豊かな、心安らぐ場所を守っていきたい/葛飾八幡宮 宮司 持田篤史さん
所在地:千葉県市川市八幡4-2-1 
電話番号:047-332-4488
https://www.katsushikahachimangu.com/

cafe 螢明舎 下田荘一郎さんインタビュー

変わらずここにあり続けるカフェ/cafe 螢明舎 オーナー 下田荘一郎さん


JR「本八幡」駅からほど近いビルの2階にある「cafe 螢明舎 八幡店」。カフェの世界では名高い存在で、本八幡が誇る名店である。オーナーである下田荘一郎さんは、この場所で約30年、こだわりのコーヒーを丁寧に淹れ続けてきた。木の温もりと柔らかで落ち着いた空間には、大切に育まれてきた長い時間が流れている。螢明舎は、作家・村上春樹氏との縁がある喫茶店で、氏のエッセイの中にも登場している(※1)。また、大自然と動物を撮影するカメラマンとして世界中から賞賛を浴びた故・星野道夫氏もこの店をホームグラウンドとしていた。取材の日も、著名なミュージシャンが楽しそうにコーヒーを飲んでいた。お店があるのは、古くから発展してきた街・本八幡。文化人も好むこのカフェの魅力と、本八幡の街についてお話をうかがった。

「cafe 螢明舎」をオープンされたのはいつ頃ですか? オーナーご自身はカフェをされる以前は何をされていましたか?

コーヒー

僕自身はもともと画家として活動していました。展覧会を中心にアルバイトやら絵画教室などで生計を立てていましたが、暗中模索の日々でした。そんな折に縁あって、当時の「谷津遊園」のそばで喫茶店を開くことになったんです。それからしばらく絵筆を置いて、喫茶店経営とコーヒーの修行に入りました。出発点はそんな感じだったのですが、いつの間にか嗜好品としてのコーヒーの奥深さに魅せられ、本気モードに入っていました。そして「フレンチスタイルの珈琲屋」という、かなりディープな分野に辿り着いたんです。1982(昭和57)年に谷津店を開き、数年後に、ここ八幡店を開きました。

看板

初めは画業と喫茶店の両立を考えていて、その頃「ジャズ喫茶を経営しながら作家をしている」という人を知人から紹介されて、そのお店に行ってみたんです(※2)。その人が当時まだ小説家デビュー前の村上春樹さんでした。お店の感想は、手造り感のあるジャズバーといった様子でした。そして「自分にもできないはずがない」と意を決したんです。その後、当時、習志野に住まれていた村上さんが何度か「cafe 螢明舎(谷津店)」に訪ねてくれ、エッセイにも螢明舎のことを書いてくださいました(※3)。

「cafe 螢明舎」とは一言で言えばどのようなカフェですか?

コーヒーを入れる下田荘一郎さん

自分の中では明確なコンセプトは有るのですが、それは口にするのではなく、お客様がどのように感じてくださるかではと考えます。もちろんコーヒーを生業としている以上、味への探求は日常的であり、古典的な素材選びから淹れ方、フレンチスタイルを貫いています。

フレンチスタイルとはオールド・ビーンズ(エイジング・ビーンズ)を使用し、ドリップにはフランネル(布)を用いて珈琲を抽出します。一杯取りで5分程度、それ以上は10分から25分程度を要します。職人の育成など手間のかかるスタイルゆえに、現在では絶滅危惧種の分野かもしれません。それまでアラビアンスタイル(煮出して上澄みを飲む)であった濁った珈琲を、布で濾過することによって、澄んだ、コクの深い珈琲へと進化させたのが16、17世紀のフランス人でした。

フランネル(布)を用いたドリップ

専用ポットでデキャンタージュすることで、ボディーの立ちあがりを待ちながら味を落ち着かせます。そして香りの変化のタイミングを見計らって最良の状態でお出ししています。そうすることで雑味のないまろやかな味わいとなります。中世フランスに開発された様式を踏まえつつ、より単純に磨き上げること、これが螢明舎の仕事です。

おすすめのコーヒーなどを教えてください。

りんごとバナナのタルト

やはり、ブレンドが命です。「ロア・ブレンド」はソフトなタイプ(コクとやや酸味を帯びた甘味)。「ケア・ブレンド」はストロングなタイプです(コクに苦味が調和した甘味)。初めてであれば「ロア・ブレンド」がいいと思います。お菓子に合うのは「ケア・ブレンド」ですね。コーヒーとお菓子のマリアージュもぜひお試しください。コーヒーに合わせてメニューをご用意させていただいておりますので、ハーモニーを楽しんでいただけたら幸いです。

コーヒーのバリエーションのほか、紅茶やグラスワイン、ジュースなどもあります。コーヒー以外のドリンクをオーダーされても、おかわりの場合、ブレンドは300円でお出ししています。キッシュプレートなど手間暇を大切に軽食メニューも用意させていただいています。

キノコとベーコンのキッシュプレート

※取材の日、出していただいたのは「キノコとベーコンのキッシュプレート」と、「りんごとバナナのタルト」。どちらも手作りで、キッシュプレートは、キッシュ、ラタトゥイユ、クスクスが盛られたプレートで、ボリュームがありお腹が空いている時にもぴったり。

インテリアなどでこだわっていることはありますか?

カウンター席

たくさんありますが、八幡店の場合、この7mのカウンターです。職人さんは店内に入れるのにとても苦労しました(笑)。サイドボードは、ロダンの「カミーユの首・習作」を飾る為にデザインしました。星野さん(※4)持参のエッセイや写真集も納めています。僕自身はお店自体をオブジェ、自分の作品だと思っています。

こちらは星野道夫氏など著名な文化人にも愛されていますが、なぜでしょうか? また普段はどのようなお客様が多くご利用されますか?

温かみのある内観

私自身は特に意識してはいないのですが、コーヒーを触媒にして、イマジネーションを湧き起こすことができたらいいなと考えています。コーヒーにはそういう力があると信じています。ご贔屓のお客様には、ご自分の世界観を持った人が多くいらっしゃるような気がします。そして「螢明舎」という価値観を共有してくださる人たちがご来店下さっていると思います。子育て中のお母さんでも、ここで本を読むために時間を作ってくれる人、自分の時間を堪能される……そういった方にご利用いただいているのではないでしょうか。年齢層は幅広く、高校生からご年配の方々まで満遍なくといった感じです。お子様と一緒に来店することを気にされる方もいらっしゃいますが、走り回ったりするのでなければ、お子様連れでもOKですよ。

本八幡というエリアについてお聞かせください。本八幡の街はどのように移り変わってきたのでしょうか。

外灯

とても良い街だと思っています。市川市は昔から東京の名士たちの別荘地だったので、東京との繋がりや歴史が深い。お屋敷のような邸宅がたくさんありましたし、今も残っています。松の木を大切にした景色が情緒的な市川エリアの中で、本八幡は文化の発信地でもあったんです。(お店を出した1980年代頃は)京成線の特急が停まる「京成八幡」駅にあった「京成百貨店」が、とても賑わっていました。映画館もいくつかあって、市川に住むたくさんの人たちが八幡エリアに買い物や娯楽に来ていたんです。映画館のあった当時は、戦後の名残りを汲んだ賑わいが印象的でした。

今の本八幡はどのような印象でしょうか?

JR「本八幡」駅

今は、戦後の面影が消えて、近代的な便利さを持つ街に変化しましたね。すごく暮らしやすい街だと思います。JR・地下鉄・私鉄と駅が3つあって、ほとんど雨に当たらずに乗り換えられる。高速道路のインターチェンジも近い。外環(東京外環自動車道)ができたらどこへでも行けて、もっと便利になるでしょう。利便性の高さは相当なものだと思います。もともと便利な場所でしたが、街の変化の早さというのはすごいですね。コルトンプラザとか、ああいったものができるのも早かった(※5)。

レトロカーの置物

昔から市川に住んでいる方々は、かつての街の記憶を持っていますし、新しく住まわれた方々は近代的な本八幡のイメージを持っている。お客様を見ていると、そのふたつの価値観があるように感じます。

今後、「cafe 螢明舎」はどのようなカフェでありたいとお考えですか?

テーブル席

うーん、なんだろう(笑)。長くやっているので言葉にしづらいですね。何も変わらないことを心がけています。変えない・変わらない。努力をしないときちんととどまってはいられないですが、街も、人も、モノも、価値観も、あっという間に変遷していきます。そんな中、螢明舎は変わらずここにあり続けたいと思います。

 

※1 訪れたのは一号店の谷津店。
※2 今では伝説となっている千駄ヶ谷のジャズ喫茶&バー「ピーターキャット」
※3 書籍未収録の小エッセイ。そこから短編『カンガルー日和』に通じる縁に繋がった。
※4 星野道夫氏は千葉県市川市生まれで、現在も実家は市川市にある。アラスカの大自然と対峙して動物を撮影する偉大なカメラマン。1996年にヒグマの事故により急逝。
※5 「ニッケコルトンプラザ」。現在の複合商業施設のはしりで、1988年に完成。今も多くの家族連れで賑わう。

変わらずここにあり続けるカフェ

cafe 螢明舎(八幡店)

下田荘一郎さん
TEL : 047-336-3545
営業時間:10:00ごろ~23:00ごろ
定休日:年中無休
※この情報は2014(平成26)年7月時点の取材を元に制作しております。

変わらずここにあり続けるカフェ/cafe 螢明舎 オーナー 下田荘一郎さん
所在地:千葉県市川市八幡2-4-9 かんていビル2F
電話番号:047-336-3545
営業時間:10:00~20:00(L.O.19:30) ※日曜日、祝日は11:00~
定休日:年中無休
https://www.instagram.com/cafekeimeisha/..

UR都市機構 インタビュー

時代のニーズに合わせ、持続可能な地域づくりに取り組む鳴子団地/UR都市機構中部支社 住宅経営部管理企画チーム チームリーダー 藤森 宙さん


1962(昭和37)年に、日本住宅公団(現UR都市機構)が開発を手がけた鳴子エリア。名古屋市緑区の地下鉄桜通線「鳴子北」駅の徒歩圏内で、集合住宅の鳴子団地と戸建住宅が併存する大規模な開発エリアだ。一方で、管理開始より約50年近く経過した団地は建物の老朽化により、建て替えの時期に来ていた。そこで、UR都市機構が再度鳴子団地の少子高齢化、地域交流に配慮した団地再生事業を行っている。集合住宅の建て替えだけでなく、時代のニーズに合わせた地域の再編。どのような思いでそのプロジェクトに取り組んでいるのだろうか。今回は、UR都市機構中部支社 住宅経営部 管理企画チーム チームリーダー藤森宙様にお話を伺った。

高齢者の増加、住人同士の繋がりを作る自治会がないという課題を解決するために

※国土交通省『鳴子地域エリアマネジメント推進方策検討業務』より抜粋

―現在、鳴子団地は団地再生事業を行っていらっしゃるということですが、以前はどのような課題があったのでしょうか。

藤森さん:緑区全体では、近年の地下鉄桜通線が「徳重」駅まで伸びたことなどによって、名古屋市内のベットタウンとして若い世代の流入が多いのですが、こと、鳴子団地となると高齢化が進み、平均年齢が60歳以上で、約1/3が65歳以上となり、地域としての活力が低下してきていたのです。また、鳴子団地は巨大団地でありながら、団地再生事業を始めた当初は自治会が存在しませんでした。住人同士の繋がりを作る手段がなく、URと住人の間で意見交換を行うことも難しい状況でした。

鳴子小学校西側の住棟群には高齢者が多い

―現在は、どのような団地再生事業に取り組んでいらっしゃるのでしょうか。

藤森さん:そのような課題を受けて、「多様な世代がこれからもずっと住み続けられる持続可能な団地づくり」を目標にしました。まずは、団地内に3つの拠点を整備することにしました。鳴子小学校西側の住棟群は残存させ、比較的安い家賃でお住まいいただけるようにしました。小学校南側のエリアは、「アーバンラフレ鳴子」という新規住宅に建て替え、子育て層など新たな世帯の移入を進めていきたいと考えています。そして、小学校、幼稚園周辺は子育て支援拠点と位置づけました。また、団地活性化にはコミュニティの醸成が欠かせないため、事業の当初においては「鳴子団地をよりよい団地にするための意見交換会」を開催したりしました。そういった地域住民が集まる会を通して、2013(平成25)年に自治会も誕生しました。

新たに作られたアーバンラフレ鳴子

―NPOや行政とも連携を組んでいらっしゃるとお伺いしました。

藤森さん:鳴子団地内の店舗にて鳴子地域を活動の拠点としている高齢者支援のNPO法人「たすけあい名古屋」さんには、居住者参加型のワークショップなどで、高齢化対策について様々な意見交換をしていただき、地域の自治組織との橋渡しをしていただきました。「たすけあい名古屋」さんが運営していらっしゃる小規模多機能施設型居宅介護施設や訪問介護ステーションも団地内にはございます。また、鳴子団地は名古屋市立大学、名古屋学院大学、名古屋工業大学が取り組む医療人材の育成活動「なごやかモデル」の拠点にもなっています。鳴子町1丁目に設置された名古屋市立大学コミュニティ・ヘルスケア教育研究センターは、地域の住民が、暮らしや健康、医療、介護について気軽に相談ができる場所でもあります。

健康相談が可能な「名古屋市立大学コミュニティ・ヘルスケア教育研究センター」

若い世代&商業施設の誘致で街に活力を

―子育て世代の取り込みはどんなことをやっていらっしゃるのでしょうか。

藤森さん:元々こちらのエリアには、鳴子小学校、鳴子幼稚園、鳴子台中学校があり、当初から子育て施設が充実している場所でした。また、団地内にはたくさんの公園や緑地があり、自然環境も豊かです。その環境をPRしました。なお、UR全体としては、子育て世帯など若年層の誘致のため、「そのママ割」や「U35割」などの割引を行っています。

鳴子団地には小学校や幼稚園も整備されおり、子育て世代にも人気

―街のあちこちに花壇が整備されているなど、景観も良いですね。

藤森さん:自治会誕生以降、住民による地域活動の核ができたため、住民の手で花壇がたくさんできました。「花育」を通じたコミュニティの活性化で、除去予定地にあった砂場を花壇に変えています。これを契機として花を世話するための「鳴子花物語」というサークルも立ち上がりました。新しく建て替わった「アーバンラフレ鳴子」のエントランスや通路にも花壇があり、住人が管理し、きれいな花を咲かせています。

鳴子団地自治会が整備する花壇

―商業施設もオープンしていますね。

藤森さん:生活支援拠点として、鳴子町交差点周辺にスーパーマーケットやコンビニ、ドラッグストアなどの商業施設が近年オープンしました。かつては団地内に商店があったのですが、そういったものは一部閉鎖されたりして、住人が遠くまで買い物に行かなくてはならない面もありました。町の中心に商業施設ができたことで、生活の利便性は再びだいぶ良くなったのではないかと思います。

2014(平成26)年にオープンした「マックスバリュ 鳴子店」

―地下鉄も開通して「駅そば団地」ですね!

藤森さん:2011(平成23)年3月に地下鉄桜通線が延伸し、近くに「鳴子北」駅が開業しました。それに伴い、それまで最寄駅まで徒歩15分以上かかっていたロケーションが改善され、「駅そば団地」と呼ぶことのできる環境が整いました。地下鉄に乗れば、「名古屋」駅まで約30分ですし、通勤で名古屋の街中に出られる方にも住んでいただきやすいのではないかと思います。

団地から始まる、新たなミクストコミュニティ

―今後計画していることは?

藤森さん:今ちょうど進めているのは、団地の自治会とUR都市機構との共同主催で、「樹名札を作ろう」というイベントです。鳴子団地は約50年が経過し、その間、団地の中にはたくさんの木々が育ってきました。ここで改めて、どんな木があるのかを皆で確かめてみたいなと考えました。これから再整備を予定している広場があるのですが、そこを中心とした団地内の木に樹名札を付けたいなと思っています。住んでいても普段なかなか身近なことを知る機会は少ないものなので、今後も“団地を知る”イベントを企画していき、多くの人が自分たちの住む街として共通意識を持つことができる取り組みをしていきたいなと思っています。

若い世帯も誘致。様々な世代が共同する地域社会が生まれている

―最後に、藤森さんが考える、鳴子北エリアの魅力と、今後の展望について一言お願いします。

藤森さん:このエリアの魅力は緑区というだけあって緑が豊かなところだと思います。そういった元々の良さを残した住環境が広がっているのがここ鳴子団地です。団地が始まったのが約50年前。現在は団地の再生事業の中で、新しい街へと生まれ変わりつつありますが、高齢化率は高く、独居の方も多く、まさにこれから日本が直面するであろう社会の縮図がある街という面もあるのではないかと思います。そんな場所であるため、名古屋の3大学が連携しての「なごやかモデル」計画で、地域包括ケアへの貢献を目指した活動が行われてもいます。“安心して暮らせる街とはどんな場所なのか”ということについて、様々な人が意見を出し合っているため、もしかしたら、協働して生きていくヒントをいち早く見いだせる場所になる可能性もあります。我々も、団地再生事業を通して、生活支援施設の誘致を進めていきたいと考えておりますし、そういった日本の課題を解決できる街作りに貢献できれば非常に意義深いものになるのではないかと思っています。

団地中心部に位置する「なるこ集会所」

UR都市機構

中部支社 住宅経営部 管理企画チーム チームリーダー
藤森 宙さん
所在地:愛知県名古屋市中区錦3-5-27 錦中央ビル
TEL:052-968-3333(代)
URL:http://www.ur-net.go.jp/chubu/
※この情報は2016(平成28)年9月時点のものです。

名古屋市緑区役所 インタビュー

様々な世代の区民が協働して住みよいまちづくりに取り組む名古屋市緑区/名古屋市緑区役所 城倉未来さん、山田昌美さん、針ヶ谷知宏さん、岩城道雄さん


名古屋市緑区は人口24万人を突破し、いまなお人口増加傾向が続いている活気のある区だ。区政で重点的に取り組まれているキーワードは、「4つのK」。「危機管理(防災)Kikikanri」「子育て支援 Kosodate」「高齢者支援 Koreisha」「観光推進 Kanko」が区政運営の上で重要な軸になり、区民がより豊かな生活を送ることができるよう努めているのだという。では、それらの指針をもとに具体的にどんな取り組みがなされているのだろうか。緑区役所を訪ね、お話しを伺った。

【右手前】名古屋市緑区役所 地域力推進室 主査 城倉未来さん、【右奥】福祉課 主査(地域包括ケア推進担当)山田昌美さん、【左奥】企画経理室 主査 針ヶ谷知宏さん、【左手前】総務課 主査(防災担当) 岩城道雄さん、【中央】マスコットキャラクターのみどりっち

区政の重要な柱は「4つのK」

―まず始めに、緑区の特徴について教えてください。

針ヶ谷さん:緑区は近年、住宅地が増えている地域であり、人口が16区の中で一番多く、24万を突破しています。昔から住んでいらっしゃる方も多いのですが、若い世代の流入も多く、0~15歳の子どもの数が市内で最も多い地域でもあります。そういう意味では活気がある街なのではないかと思っています。そんな緑区で重点的に行っている取り組みが、「緑区区政運営方針 みどりっちプラン」に示してある「4つのK」です。「危機管理(防災)」「子育て支援」「高齢者支援」「観光推進」、この4つの分野には特に力を入れています。

「4つのK」が書かれたプランについて語る針ヶ谷さんと山田さん

―なるほど。では、防災についての取り組みを教えていただけますか。

岩城さん:緑区は防災先進区として様々な取り組みを行っています。他区に先駆けて行った「宿泊型避難所開設訓練」では、大規模地震により自宅で生活できなくなったことを想定し、避難所運営や避難所生活を体験するなど実災害に即した訓練を実施しています。この訓練は先進事例として「平成26年度防災白書」(内閣府)にも掲載されました。また、区制50周年を機に、毎年秋に「緑区防災フェスタ」を開催するようになりました。今年で4回目を迎え、実物大の建物を使った木造住宅模型の耐震実演や起震車体験、煙道体験など様々な体験型プログラムを用意しており、誰もが参加しやすいイベントですので、これまで防災に関心がなかった方の意識を高めることにも繋がっています。

「緑区防災フェスタ」会場の様子

―高齢者支援はどのような取り組みがされているのでしょうか。

山田さん:緑区は、現状の高齢化率はそれほど高くありませんが、今後、高齢者の方々が増えていくことが予想されています。高齢者の方々が住み慣れた地域で暮らしていけるよう、様々な取り組みを進めています。
緑区の中にある鳴子団地は、UR都市機構が昭和37~39年度に開発した大きな団地で、年月が経過するにつれ、一時期高齢化率が40%を超えるほどになっていました。そのため、鳴子団地は超高齢化が進む日本の将来のモデル地域として様々な機関から着目されました。「名古屋市立大学」と「名古屋学院大学」および「名古屋工業大学」の連携によって行われている地域と育む未来医療人『なごやかモデル』は、緑区の鳴子団地がフィールドになっており、学生や若い人材が住民と協働して、いつまでもその人らしく暮らせる社会づくり(エイジング・イン・プレイス、AIP)に取り組まれています。最近はUR住宅の建て替えが進んで、若い世代も流入してくるようになりました。いろいろな方が意見を出し合い、若い世代と高齢世帯がいい形で手を結んでいく施策が進められています。

「なごやかモデル」のフィールドでもある鳴子団地

豊かな歴史・文化が集まる緑区

―次に、観光施策をはじめ、緑区にある歴史・文化の魅力を教えてください。

城倉さん:緑区の歴史や文化を紹介するときは、大きく鳴海・有松・大高・桶狭間・徳重と5つの地区に分けて語ることが多いです。鳴海は東海道の宿場として栄えた街で、有松は無電柱化で蘇った近世の町並みや有松絞りが知られています。大高は酒造りで有名な場所で、現在でも3軒の蔵元があり、見学できるところもあります。桶狭間も織田と今川の合戦の地として全国的に知られています。こうした貴重な財産を保存・活用しているのが緑区の魅力のひとつです。それを知ってもらうため、ボランティアグループ等と協働して史跡散策マップを作成し、定期的に散策会も行っています。いつもたくさんの方にご参加いただき、好評を得ています。最近では海外からの観光客も多いので、英語版の緑区観光マップも作り、PRを行っています。

―今、最も注目を集めているエリアはどこでしょうか。

城倉さん:今年は有松にとても注目が集まっています。2016(平成28)年7月に、有松の町並みが、国の重要伝統的建造物群保存地区(重伝建)に選定されました。それと関連させたイベントで、10月2日に有松の町並みの魅力と今後の展望を語るシンポジウムを行いました。ちょうどその日は、有松で毎年行われる3台の山車が曳き出される秋季大祭と重なり、見学者も多くとても盛り上がりました。地元の方にお伺いすると、観光客が増えている実感があるそうです。

国の重要伝統的建造物群保存地区(重伝建)に選定された有松の町並み

―このエリアには神社仏閣も多いですよね。

城倉さん:特に東海道の宿場として栄えた鳴海には、神社仏閣が多いですね。東西の有名な俳人や文人の交わりが多い場所としても有名で、例えば、松尾芭蕉存命中唯一の碑である千鳥塚があります。千鳥塚碑文は芭蕉の直筆とされており、芭蕉の句碑の中で最古のものだと言われています。

―2011(平成23)年には名古屋市営地下鉄、野並・徳重間の開通や名古屋第二環状自動車道の開通もあり、交通の利便性も高まったかと思います。

針ヶ谷さん:「徳重」駅の周辺は、大型商業施設もでき、若い世代の流入が特に多い地域ですね。「徳重」駅には、「ユメリア徳重」という「緑区役所 徳重支所」等共同ビルがあり、支所のほか「徳重図書館」などが入っています。自由に利用できるスペース、ミーティング専用のスペース、小さいお子様のためのキッズスペースなど、誰でも気軽に集い、憩える交流の場所にもなっています。「鳴子北」駅にも、「鳴子北駅バスターミナル」が新設され、各地へのバスが多数発着する拠点となるターミナルになっています。交通の便の良い場所なので、人が動きやすい拠点のひとつになっているのではないかと思います。

区制50周年を機に、さらにまちを盛り上げる

―2013(平成25)年が区制50周年だったということでしたが、地域のさらなる活性化に向けて新たに始めた取り組みはありますか。

山田さん:先ほども話に出た『なごやかモデル』も2013(平成25)年に始まったのですが、その他に、同年から「国立長寿医療研究センター」と認知症に対応できる地域づくりのプロジェクトを共同実施しています。最初は3年という期間で行ったのですが、認知症への取り組みはさらに必要だろうということで、今年度プロジェクトの延長を行いました。また、現在は養成された認知症予防スタッフの地域活動促進を検討しているところです。

緑区のマスコットキャラクター“みどりっち”

―マスコットキャラクターの“みどりっち”はいつ誕生したのでしょうか?

城倉さん:2011(平成23)年に全国公募してデザインが決定しました。その年の「緑区区民まつり」で来場者による名称の人気投票を行って、名前が「みどりっち」に決定しました。50周年に向けて作ったキャラクターで、誕生以降、毎年区民まつりや、防災フェスタなど様々なイベントで活躍中です。その後、2012(平成24)年に、みどりっちの歌もでき、2013(平成25)年には、50周年を盛り上げるため、「どまつり」に緑区を拠点に活動する「どまつりチーム」とコラボした「ダンシング・みどりっち」が登場し、キレのよい踊りを披露しました。

―最後に、緑区の中でも鳴子地区の魅力についてひとことお願いします。

岩城さん:防災の観点からいうと、津波被害の可能性は非常に低い地域です。2014(平成26)年に発表された南海トラフ巨大地震の名古屋市全体の被害想定に基づいた地震ハザードマップがあるのですが、それを見ても液状化の可能性も小さいと考えられています。

地震ハザードマップについて教えてくれた岩城さん

山田さん:福祉の面での事業サポートが厚いのも魅力なのではないでしょうか。鳴子団地ボランティアセンターでは「土曜サロン鳴子」が開催されており、一人暮らしの高齢者などの孤立を防ぐ事業も行われています。そこには、『なごやかモデル』の学生の方なども参加してくださっており、様々な世代が協力して地域包括ケアシステムのモデルづくりに取り組んでいるのも、心強いポイントかと思います。

鳴子エリアのバス停

城倉さん:交通の便もいい場所ですし、UR住宅の建て替えも行われて、若い人も増えています。商業施設も増えており、これから開発される余地が残された土地がまだあるので、今後さらに開発が進んでいくところだと考えています。地域包括ケアも含めて、これからどう変わっていくかが楽しみなエリアです。

名古屋市 緑区役所

名古屋市緑区役所

地域力推進室 主査 城倉未来さん
福祉課 主査(地域包括ケア推進担当)山田昌美さん
企画経理室 主査 針ヶ谷知宏さん
総務課 主査(防災担当)岩城道雄さん
所在地:名古屋市緑区青山2-15
TEL:052-621-2111(代表)
URL:http://www.city.nagoya.jp/midori/
※この情報は2016(平成28)年10月時点のものです。

様々な世代の区民が協働して住みよいまちづくりに取り組む名古屋市緑区/名古屋市緑区役所 城倉未来さん、山田昌美さん、針ヶ谷知宏さん、岩城道雄さん
所在地:愛知県名古屋市緑区青山2-15 
電話番号:052-621-2111
開庁時間:8:45~17:15
※一部期間の日曜日は開庁
閉庁日:土曜日、日曜日(一部期間は開庁)、祝日、年末年始
http://www.city.nagoya.jp/midori/

たくさんの経験とふれあいの場を通して、 未来に羽ばたく“子どものつばさ”を育てたい/つばさ幼稚園 園長 山田斗乃さん、副園長 山田晶美さん


つばさ幼稚園
山田斗乃さん・晶美さん

たくさんの経験とふれあいの場を通して、
未来に羽ばたく“子どものつばさ”を育てたい

児童文学作家・新美南吉の郷としても有名な半田市にある「つばさ幼稚園」。目の前には絵本の中のワンシーンとしても有名な矢勝川が流れるなど、風光明媚な光景が広がっている。抜群の環境の中であることもさることながら、体育レッスン、合唱、英語、造形遊びなど、専門講師を招いて行う保育内レッスンの質の高さも、近辺のママ達から注目されているという。今回は、園長の山田斗乃さんと、副園長の山田晶美さんにお話しを伺った。

「つばさ幼稚園」創立の経緯について教えてください。

つばさ幼稚園 インタビュー

この場所で「つばさ幼稚園」を開園したのは1996(平成8)年です。元々は名古屋市内で幼稚園を運営していたのですが、もっと環境のいいところで子どものために教育をしたいという思いが強くなり、移設することにしました。

外観

実際にここで園をはじめてみると、陽当たりの良さや園庭に香る四季折々の自然の香り、また、半田市出身の作家・新美南吉の童話『ごんぎつね』の中で登場する矢勝川も眼下に広がっており、想像以上に良い環境であったことを日々実感しています。

「つばさ幼稚園」の教育スローガン『きみのつばさ未来色』に込められた思いをお聞かせください。

広い教室

このスローガンは、この園をオープンさせたときに作ったんです。半田市の自然豊かな環境を見たとき、自由に伸び伸び子育てすることこそが、子どもたちにとっての幸せなのではないかと改めて思いました。園児は、その誰もが一人として同じでない素敵な個性を持っています。それは、ひな鳥のまだ柔らかな羽のようで、高く羽ばたく力も兼ね備えています。その羽を存分に使わせてあげるために必要なのが、多くの経験や、本物に触れる機会を作ってあげることだと思いました。

つばさ幼稚園 インタビュー

当園では、スポーツ、音楽、その他の芸術など様々な分野の専門講師をお呼びして、保育内レッスンを行っています。普段は、なかなか接する機会のない世界を提供することで、子どもたちに自分自身の新たな一面を発見してほしいなと願っています。

その、専門的な“保育内レッスン”について詳しく教えて頂けますか?

つばさ幼稚園 インタビュー

主に「体育遊び」、「英語遊び」、「リズム遊び」、「合唱」、「書き方」、「スイミング」、「造形遊び」を行っています。例えば、「体育遊び」は中京大学の体育学部出身の方、「合唱」は音大の声楽科出身で元々は中学校で先生をしていた方などが講師を務めてくださっています。プロとしてのアドバイスが少し加わるだけで、子どもたちは大きく変化します。

つばさ幼稚園 インタビュー

逆上がりの指導にしても、一般の先生だと「もっと高く足を上げて!」くらいの指導なのですが、専門講師の方は、腕の曲げ方、力の入れ方、目線の向け方など、さすが!という視点で教えてくださいます。このような体験を通して、子どもたちが何かひとつできるようになると、その後は、「次はこうしてみよう!」と、自分で創意工夫するようになるから不思議です。

“保育内レッスン”を通して子どもたちの成長が感じられたエピソードがあれば教えてください。

つばさ幼稚園 インタビュー

運動会で行うリレーの練習を行ったあと、自由遊びの時間だったのですが、ふと気づくと園児たちが園庭の一角で、砂場のスコップを使ってバトンパスの練習をしていたんです。お友達同士で「どうやったら早くバトンタッチできるようになるのかなぁ」と考えている姿がありました。練習を強制されたわけではないのに自主的に動き出した姿に、とても感動させられました。これは、リレーで力を合わせて勝つことの喜びが伝わった成果なのではないかと思っています。

おてがみぶくろ

3才~5才というのは大事な基礎力を身に着ける時期です。保育内レッスンは、ただ専門家の先生に習って技術を身に着けるということだけでなく、それを通して、自分が成長することの喜びを知ってほしいなという願いを持って行っています。園を卒業して小学校に上がり、親御さんたちから「幼稚園でのこういった体験が自信になり、小学生になっても生き生き頑張っています」というエピソードを聞くと、本当に嬉しいです。

先生方が普段、指導を行われている中で、大事にされていることは何でしょうか。

職員全体

美しい言葉で話すこと、元気よく笑顔で挨拶をするということを大切にしています。「美しい言葉や振る舞いは心を作る」と考えているので、まずは指導する側が率先してきちんとした立ち振る舞いをします。先生のささいな行動でも、子どもたちは見ており、それがマネされるものです。

下駄箱

また、当園では、子どもの下駄箱に名前を書くとき、ひらがなではなく、漢字を使うようにしています。子どもたちは興味津々で漢字を覚え、外出先で見かける看板の字を指して「あ、○○君の名前の字だ!」ということもあるみたいですよ。

放課後、園を開放して“課外授業”を行っているとお伺いしました。

園庭

地域のスポーツクラブや音楽教室に場所をお貸しする形で、放課後に課外授業を行っています。

廊下

習い事をしたい方などは、幼稚園が終わったあと、わざわざ場所を移動することなく、当園で講座を受けてもらえるので好評です。

つばさ幼稚園 インタビュー

内容は、子どものスポーツ指導に特化した「トライルスポーツクラブ」さんが行うサッカー教室や体操教室、「カワイ音楽教室」さんや、「鳥居ゆきこバレエスタジオ」さんのレッスンなどです。広く地域に園を開放する取り組みの一つなので、多くの方に気軽にご利用いただきたいと思っています。

“児童作家、新美南吉の郷”という場所での保育…というのも素敵ですね。

絵本

児童文学作家として有名な、新美南吉さんの出身地でということで、園にも南吉さんの書かれた『ごんぎつね』の絵本をたくさん置いています。

ごんぎつね

本の中で出てくる矢勝川は教室からも見えるほど近くにあり、秋になると、真っ赤な彼岸花が絨毯のように咲きます。その川の向こうには、『ごんぎつね』の由来になった権化山も見え、童話の風景が一望できます。本を読んだ子どもたちを連れて矢勝川まで散歩に行き、その世界を味わってもらうことができるのは、ここの特権かなと思っています。

園バスの送迎範囲がとても広く、阿久比方面まで伸びていると聞きました。

つばさ幼稚園 インタビュー

半田市全域のほか、常滑市、阿久比町、武豊町方面に4台のバスを走らせています。阿久比町は「陽なたの丘」ができた頃から、当園へ通ってくださる方が一気に増え、要望が多かったことから、園バスのルートに入れております。「陽なたの丘」には小さいお子様をもったご家庭が多く、たくさんのお友達と仲良くバスに乗って幼稚園に通っていただいております。そのエリアから来る園児の数は毎年増えており、距離も6キロ程度ですので、無理なく通っていただける範囲なのではないでしょうか。

最後に、園の周辺、この街の魅力について教えてください。

つばさ幼稚園

まずは、食べ物がおいしいところです。例えば、れんげの花を水田にすき込んだ、阿久比町の「れんげ米」や、知多半島の海の幸、知多牛なんかも有名です。子育てをされる親御さんにとっても、子どもたちに地元の新鮮な食材を食べさせてあげることができるという環境はとてもいいのではないかと思います。また、都会に比べて、広い公園などが多く自然も豊富なので、伸び伸びと子育てできる環境なのではないでしょうか。

先生

今回、話を聞いた人

学校法人 つばさ学園 つばさ幼稚園

園長 山田斗乃さん(写真右)
副園長 山田晶美さん(写真左)

つばさ幼稚園
所在地:愛知県半田市岩滑西町4-40
電話番号:0569-22-3522
URL:http://www.tsubasa.ednet.jp/

※この情報は2015(平成27)年3月時点のものです。

たくさんの経験とふれあいの場を通して、 未来に羽ばたく“子どものつばさ”を育てたい/つばさ幼稚園 園長 山田斗乃さん、副園長 山田晶美さん
所在地:愛知県半田市岩滑西町4-40 
電話番号:0569-22-3522
教育時間:10:00~14:30
休園日:土・日曜日、祝日、他
預かり保育:あり(8:00~8:30、15:30~17:30)
http://www.tsubasa.ednet.jp/default2.asp

賀茂別雷神社(上賀茂神社) 権禰宜 藤木保誠さん インタビュー

地域のシンボルとして篤く守り継承されてきた「賀茂別雷神社(上賀茂神社)」の歴史とは/賀茂別雷神社(上賀茂神社) 権禰宜 藤木保誠さん


1994(平成6)年にユネスコの世界遺産として登録された「古都京都の文化財」。これを構成する17ヶ所の寺社城郭の中で一番目に表記されるのが、京都市北区上賀茂にある「賀茂別雷神社(上賀茂神社)」。上賀茂という地名も、この地が上賀茂神社の神領であったことに由来するという。京の三大祭のひとつである「葵祭(賀茂祭)」でも幅広く知られ、地元では信仰の対象として、あるいは地域のシンボルとして篤く守り継承されてきた神社だ。ここに権禰宜として奉職されている藤木保誠さんを訪ねて、神社の歴史や上賀茂の町の魅力などについてお話しをうかがった。

賀茂別雷命を祀り、上賀茂の地を守る

権禰宜 藤木保誠さん

――「賀茂別雷神社(上賀茂神社)」の由緒・由来について教えてください

さかのぼれば大和国(奈良)葛城から賀茂族(賀茂氏)が北上して山城の地にたどりついたことに始まります。賀茂族の長であった賀茂建角身命(かもたけつのみのみこと)の娘である賀茂玉依比売命(かもたまよりひめのみこと)が、石川の瀬見の小川(賀茂川)で水浴びをしていたところ、上流に雷が落ちて塗りの矢が流れてきたので、それを持ち返り床の間に飾ったところご懐妊。生まれたのが賀茂別雷命(かもわけいかづちのみこと)で、祖父である賀茂建角身命が「そなたの父親は誰なのか?」と問うたところ「天神(あまつかみ)なり」と答えたとされます。この賀茂別雷命が上賀茂神社の御祭神です。

二ノ鳥居

――それを祀ったのが上賀茂神社のはじまりなのですね?

端的に説明するとそうなります。本来、降臨されるのは神社北側の神山(こうやま)だったのですが、神官が装束を纏って山を登るのも大変だったと。そこで山から木を引いてきて標にして里へお迎えしていたそうですが、後に衣食住を整えて迎えたのが現在の社殿の基で、天武天皇の御代であった678(天武天皇7)年に造営されたと言われています。その際に神山の木を立てていた名残りとして「立砂(盛砂)」がされるようになったようです。今も形が崩れてきたら整えるということをして保たれています。また賀茂玉依比売命は境内摂社である「片山御子神社(片岡社)」に、賀茂建角身命は境外摂社の「久我神社」に、それぞれ御祭神として祀られています。

神山の木を立てていた名残りとされる「立砂(盛砂)」

――賀茂族の系譜は上賀茂でも続いているのでしょうか?

はい、現在社家として確認している家は約400軒あり、日本各地に住んでいます。実は私もその1人で、平安時代から上賀茂に住んでいると系図が残っています。ただ、私の曽祖父が九州の神社に宮司として奉職したので一度京都を離れ、祖父の代で再び戻りまして、「大田神社」(上賀茂神社の境外摂社で、国の天然記念物指定である境内のカキツバタ群落は平安時代からの名所とされる)に仕えました。私も生まれた時から大田神社に住んでいました。賀茂族は神官だけでなく、各職掌ごとに地域のために働いて、力を合わせて上賀茂という土地を守ってきたとされ、一体の田んぼへ水を流す権限や責任も負い、その技術から賀茂川の治水権も持ち、分配権を許されたと同時に決壊などの際には修復の義務も負っていたのだそうです。

葵祭をはじめとした人々に愛され、継承されてきた神事

「片山御子神社(片岡社)」に奉納された絵馬

――葵祭について教えていただけますか?

葵祭の起源は、6世紀のころに雨風で作物が実らないことに困り、厄災を祓おうとお祭りをしたら豊作になったことが始まりだと伝えられています。そして葵と桂を持ってお祀りをして神山の裾へ行き、神様をお迎えするという祭として定着したようです。葵祭が一般のお祭と異なる点に、行列の中に神様がおられない、ということが挙げられます。通常は神輿や鳳輦(ほうれん)に神様がお乗りになられます。ですが葵祭では、天皇陛下の遣いである勅使様が、上賀茂神社にお祭をしに来られる行列なのです。だから行列に神様はおられない。葵は文語で「あふひ」と書き、これは「会う霊(字は諸説あり)」、つまり神に会うの意です。

ならの小川沿いに結ばれたおみくじ

――勅使様がお越しになるお祭を勅祭というのですね?

そうです。しかし一般的な勅祭というのは、勅使様が参列されて、その神社の宮司が祭を行うのですが、葵祭は勅使様が祭事もなさいます。これは日本中で当神社と「石清水八幡宮」(八幡市)と「春日大社」(奈良市)の3社のみで行われていることで、「三勅祭」と呼ばれています。そして葵祭に際し大量に必要となる二葉葵の葉を調達するために、近年は近隣の学校と連携をしたり、静岡市の葵区や福井県鯖江市など、遠方からもご協力をいただいています。こうしたご縁もお祭がもたらすことと感謝しなくてはなりません。そして葵の茎で京都の室町で染めに挑戦したり、最近は新しい文化の派生も起こっています。世が世なら(徳川の紋であった)葵を染めに使うなどあってはならぬことでしょうが(笑)。

本殿へとつながる玉橋

――曲水の宴や烏相撲についても少しお話を

「賀茂曲水宴」は4月の第2日曜日に行われています。こちらは1182(寿永元)年に神主重保が行ったことを起源にもつものです。ただし、現在の形になったのは1957(昭和32)年に作庭されてからのことで、戦後でまだ時期が見合わなかったこともあり続かず、1994(平成6)年の皇太子殿下のご成婚を機に継続開催されるようになったものです。一方、烏相撲は重陽の節句(9月9日)があり、その時分は稲が実を結ぶ時期。そこで「強い人がいるので、悪い人は入って来ないでくださいね」という意味を込めて神様にお力をお借りしようと相撲を奉納する行事で、これは嘉元年中行事という室町時代の文献にも残っていますので、永年継承されている行事です。

人々の誇りが繋ぐ、過去、現在、そして未来

鳥居の続く階段

――上賀茂でオススメのスポットを教えてください。

私は「二葉姫稲荷神社」前の見晴らしのよい場所をオススメします。この稲荷神社は、現在は「上賀茂神社」が管理をお手伝いしているのですが、元々は「神宮寺」というお寺があった場所で、後にそこにあった祠を守ろうと保存会の方が面倒を見てこられた神社です。京都市内を望む景色がよく、左手には大文字山も見え、天気がよければ生駒山(奈良県)も眺めることができます。神社の二の鳥居から歩いて数分で行ける立地で、「京都タワー」も見下ろす絶景。ご存知の通り京都はすり鉢状で、そのすり鉢の底に京都タワーがありますので、そのてっぺんは当神社の敷地より標高は低いんですよ。

――最後に地元である上賀茂という町の魅力をぜひ教えてください。

神社を中心に文化や農業なども脈々と受け継がれてきた歴史があり、伝統的建造物保存地区ですから、美しく落ち着きと趣がある町並みが残っている点が一番の誇りでしょうか。道路はアスファルトになりましたが、社家町にかかっている橋は一軒一軒すべて異なる味わい深いものです。また水を大切にしてきた文化も受け継がれていて、美しい川を守る行為と精神が、今も町全体に潤いをもたらしていると言えるでしょう。

権禰宜 藤木保誠さん

賀茂別雷神社(上賀茂神社)

権禰宜 藤木保誠さん
京都市北区上賀茂本山339
TEL:075-481-0011
URL:http://www.kamigamojinja.jp/
※この情報は2016(平成28)年5月時点のものです。

地域のシンボルとして篤く守り継承されてきた「賀茂別雷神社(上賀茂神社)」の歴史とは/賀茂別雷神社(上賀茂神社) 権禰宜 藤木保誠さん
所在地:京都府京都市北区上賀茂本山339 
電話番号:075-781-0011
二ノ鳥居開門時間:5:30~17:00
祈祷時間:9:00~16:00
https://www.kamigamojinja.jp/

和泉市教育委員会 担当者インタビュー

「トカイナカ」で開校する施設一体型小中一貫校、「和泉市立南松尾はつが野学園」の新たな取り組みとは/和泉市教育委員会事務局  隅埜哲弥さん、有住守さん


大阪府南部に位置する和泉市は、都会の便利さと自然の豊かさを併せ持った「トカイナカ」というコンセプトを打ち出している。その和泉市のなかで最も「トカイナカ」を実感できるといわれるのがはつが野エリアだ。そんな和泉市はつが野に、2017(平成29)年4月に開校する「和泉市立 南松尾はつが野学園」は小中一貫教育を行う9年制の施設一体型の学校。義務教育学校としては泉州地域で初めてとなる公立の施設一体型の小中一貫教育学校。緑多い恵まれた環境のなかに佇む、開校直前の「南松尾はつが野学園」で、そのユニークな教育理念について、和泉市教育委員会学校教育部 指導室の隅埜(すみの)さん、教育総務室の有住さんにお話を伺った。

和泉市教育委員会 学校教育部 教育総務室の有住さん(左)と指導室の隅埜さん(右)

 

新たなる”深化”への第一歩

和泉市立南松尾はつが野学園

――「南松尾はつが野学園」は和泉市初の「施設一体型小中一貫教育」の学校ということですが、こちらについて詳しく教えてください。

隅埜さん:「南松尾はつが野学園」は2017(平成29)年4月1日に開校する、小・中9年間を一貫して教育を行う施設一体型学校ということになります。学校種に関しても従来の小学校、中学校という形ではなく義務教育学校となり、「南松尾はつが野学園」が泉州地域で初めての義務教育学校になります。

――学校新設の経緯について教えてください。

隅埜さん:新設の経緯としては、はつが野地域の開発によって、近隣にある「青葉はつが野小学校」「南池田中学校」が生徒数増加によって過大規模となり、またこれからも同様に増加が予想される状況です。一方、これも近隣である「南松尾小学校」「南松尾中学校」は児童数の減少により全学年単学級という現状があります。新設する学校は現在の「南松尾小学校」「南松尾中学校」とはつが野四丁目、五丁目、六丁目までを校区とする義務教育学校としてスタートします。

校舎 外観

――そもそも小中一貫教育とは、どのような制度でしょうか?

隅埜さん:どの市町村でも様々な小中一貫教育という理念はあるのですが、和泉市の場合をお話させて頂きます。同一の小学校・中学校区域をひとつの学園としてとらえ、義務教育の9年間を一貫性・連続性のある教育として行っていくということです。和泉市ではこれまでも小中連携という方針自体は10数年前から実施してきたことであり、小中一貫教育の理念はこれまで行ってきた小中連携と全く別のものというわけではありません。今回は施設を一体化することによって生まれるメリットなど、和泉市がこれまで行ってきた小中一貫教育をさらに発展・充実させることができるということです。

 

「9年間」という新たなプロセス

ランチルーム

――施設を一体化することによって生まれるメリットとは、具体的にどのようなことがありますでしょうか?

隅埜さん:従来の小中連携では、教職員どうしの意見交換会・勉強会などを行って、義務教育9年間の見通しの良い教育の在り方を模索・実行してきました。例えば世間でもよく言われる「中一ギャップ」解消の取組みなどです。施設が一体化すれば、常日頃から教職員同士のコミュニケーションを図れるので、育ちと学びを見通した継続・連続した学習指導・生活指導が行えます。区切れのない子ども理解と指導ができることが大きなメリットです。また、児童・生徒にとっては、1年生から9年生まで、同じ施設内でそれぞれのステージから交流を持ち、互いの成長を見つめ合うことができ、豊かな心を育てることができるようになると考えられます。

スクリーンのあるランチルーム

――学校行事などはどのように運営していくのでしょうか?

隅埜さん:基本的に主要行事は9年生までの全体が合同となって実施します。文化祭、体育祭、始業式・終業式、授業参観、児童生徒集会、道徳公開授業などです。これまでの小学校(前期課程)・中学校(後期課程)の括りであった入学式・卒業式は、初年度の1年生時と最終の9年の時に行うのは当然ですが、従来の小学6年生では「前期課程修了証書授与式」、中学一年次にあたる7年生になる際には「後期課程進学式」というものを設ける予定です。

学校図書館

――一貫教育によって学習の進度や内容は変わるのでしょうか?

隅埜さん:学習内容については国が定めている学習指導要領の枠内で進めますので、これまでの小学校6年と中学の3年の枠組みを変えるものではありません。ただ、6・3制(前期課程・後期課程)の良さは残しつつ、4・3・2制(ファーストステージ・セカンドステージ・ファイナルステージ)の区切りを中心に目的に応じたフレキシブルな意味のある区切り設定で子どもたちを育てます。施設一体校としての特徴を活かすことは重要ですので、同じ施設内にいる教員だからこそできる一貫指導は進んでいくと考えています。
例えば、教科の専門性をもつ後期課程の教員が、前期課程(5、6年生)で授業を行うなど、教科担任制をこれまでより幅広く実施するであるとか、前期課程を担当する教員が、後期課程の学習指導に積極的に関わることもできます。

体育館

――施設の特徴や魅力について教えてください。

有住さん:校舎の配置は前期課程と後期課程の生活エリアを明確に区分しながら、校舎から体育館・プールまでの導線を滑らかにつながるよう配置しています。プールは1年生から9年生までの身長差を考慮して、最大深度をレーンで区分して安全性にも配慮を行っています。また、多目的室や屋上庭園など、異学年が交流できるスペースも設けられています。ランチルームでは給食を通じた交流や食育を学ぶことができるように考えられるとともに、地域開放として、地域の人たちの交流の場としての活用も可能となっています。

2階にある図書室は、一部が3階部分に続く吹き抜け構造で作られていて、開放的な読書空間になっています。また、吹き抜けの壁には和泉市内産材である「いずもく」を利用し、あたたかみのある空間を作っています。体育館は床にクッション性のあるシートを採用していて、学校行事や地域開放だけでなく、もしもの時の防災拠点としての役割まで考慮したものとなっています。

プール

 

豊かな環境で育まれる”将来の柱”

屋上庭園

――「南松尾はつが野学園」がある和泉市はつが野エリア周辺の街の魅力、おすすめ場所があれば教えてもらえないでしょうか。

有住さん:和泉市は「トカイナカ」というコンセプトを打ち出しておりまして、これは大阪都心や「関西国際空港」への都会へのアクセスの良い都会の良さと、緑あふれる田舎の良さを併せ持つということです。その中でも、特にここ、はつが野は最もトカイナカらしさを感じてもらえるエリアではないかなと思っています。大型のショッピング施設も充実していますし、泉北高速鉄道「和泉中央」駅や阪和自動車道「岸和田和泉インター」にも近く、交通のアクセスにも恵まれています。ショッピングやピクニックも気軽に楽しめる豊かな生活が実現するエリアなのではないかと思っています。また「和泉・久保惣ミュージアムタウン」という構想エリア内に入っています。エリア内では、おしゃれな飲食店や雑貨店などのクーポンも付いた情報誌「和泉・久保惣ミュージアムタウンマップ」を発刊しており、多くの人に足を運んで楽しんでいただけるようになっています。

周辺環境

隅埜さん:和泉市では”文化芸術科学ふれあい体験事業”で和泉市内の小学校6年生の全ての子どもたちが「和泉市久保惣記念美術館」を見学し、本物の芸術に触れる機会を持っています。国宝2点、重要文化財29点をはじめとする日本と中国の古美術を中心に浮世絵版画、西洋美術などを含む約11,000点の貴重な作品を所蔵している美術館で、近くの方だけでなく是非多くの人に来て観ていただきたいおすすめの場所です。

 

和泉市教育委員会事務局 学校教育部

指導室 指導主事 隅埜哲弥さん
教育総務室 総括主幹 有住守さん
所在地 :大阪府和泉市府中町2-7-5
TEL :0725-41-1551
※この情報は2017(平成29)年3月時点のものです。

「トカイナカ」で開校する施設一体型小中一貫校、「和泉市立南松尾はつが野学園」の新たな取り組みとは/和泉市教育委員会事務局  隅埜哲弥さん、有住守さん
所在地:大阪府和泉市はつが野6-45-1 
電話番号:0725-51-7162
http://www.city.osaka-izumi.lg.jp/school..

名古屋市緑政土木局 緑地部 緑地利活用室 インタビュー

「つくる、守る」から「育て、生かす」へ 民間活力導入で、公園に新たな賑わいを創出/名古屋市緑政土木局 緑地部緑地利活用室公園経営係 係長 佐藤貴嗣さん


2012(平成24)年6月に策定された「名古屋市公園経営基本方針」に基づく民間活力の導入プロジェクトによって、公園経営の取り組みを進めている名古屋市。「名城公園(北園)」もこのプロジェクトにより民設民営による公園施設が設置されることが決定しました。今回はそんな「名城公園(北園)」のプロジェクトに携わる名古屋市緑政土木局の佐藤貴嗣係長にお話を伺いました。

市民の貴重な財産である公園をもっと活用してほしい

名城公園

――2012(平成24)年6月に策定された「名古屋市公園経営基本方針」の概要について教えてください

佐藤係長:公園は市民の財産なので、もっと有効に活用してもらいましょうというのがコンセプトです。これまでは名古屋市が公園をつくり、維持管理することができていたのですが、維持管理費の減少が続く中、「みんなで守りましょう、育てましょう」という方向に発想を転換せざるを得ない状況があります。それが、「公園をつくり、守る」から「公園を育て、生かす」という公園経営の考え方です。

緑地部 緑地利活用室 公園経営係 佐藤係長

――「名城公園(北園)」の営業施設などを民設民営で公募により整備することになったいきさつをお聞かせください

佐藤係長:「名古屋市公園経営基本方針」にも書かれている「民間活力導入プロジェクト」のひとつで、「東山公園」に続く2番目のプロジェクトとなります。お客様へのサービスという視点では、やはり行政と民間では段違いの差があります。アイデアやノウハウをもった民間の事業者に参加してもらうことで、サービスの質が高くなり、市民のみなさんにも喜んでいただけるのではないかと思います。事業者にとってはビジネスチャンスになりますし、行政としても施設建設のお金もかからず、新たな財源にもなります。Win-Winの関係で整備することを目指しました。

公園との一体感を意識した運営、さらに新しい需要の発掘も

「名城公園(北園)」との一体感を意識したスペース

――「(仮称)名城コミュニティサポートパーク」に決定した理由を教えてください

佐藤係長:選ばれた最優秀提案に関しては、「名城公園(北園)」との一体感が非常に意識されており、それが施設の配置計画や外観、運営方法など随所に表れていた点が高く評価されました。例えば、テラスからお城の方が望めるとか、幅の広い階段の設置により、多様なイベントの実施や、憩いのスペースとしても効用が期待できるなど、現在公園を利用している方たちへのサービスを考慮しているところが、審査員の方の評価につながったのだと思います。

――「(仮称)名城コミュニティサポートパーク」ができることにより、公園周辺がどのようになっていってほしいと考えていますか

佐藤係長:ちょうど向かいに大学もできましたし、講義の合間などに若い人がもっと公園に向かってくれるといいなと思っています。今はランナーの方や子育て中の方など特定の方にしか使われていない印象がありますが、もっとポテンシャルがある場所だと考えています。 お店ができることで、新しい需要も掘り起こせるでしょうし、公園との相乗効果で新たな賑わいが生まれることを期待しています。

――このような民間活力導入プロジェクトは、ほかにも計画されているのでしょうか

佐藤係長:「東山公園」や「名城公園(北園)」のようなビッグプロジェクトは、まだ具体的には決まっていません。民間の活力を導入しながら、みんなで公園を魅力的にしていくという意味では、市民や企業の皆様からメッセージプレート付きの「なごやかベンチ」や「まごころ遊具」をご寄附いただく事業を行っております。また、花壇の管理維持には毎年多くの費用がかかるので、花の苗を提供していただき、地元の愛護会の方に手入れしていただくスポンサー花壇事業に力を入れています。地域のみなさんでおしゃべりをしながら花の手入れをすることで、高齢者の生き甲斐や健康維持につながったり、地域のコミュニティ形成に役立ったりすることは、公園という財産の使い方として有効だと考えています。

公園を地域のコミュニティ形成に役立てたい

世代を超えた地域コミュニティづくりを目指して

――今後名古屋市に住もうと思っている方へ、名古屋の魅力を一言お願いします

佐藤係長:名古屋市には大小合わせて1,400以上の公園があります。大都市でありながら、これだけ緑や公共空間があることは、生活の潤いにつながると思います。個人的な印象ですが、都会の利便性がありながら、これだけ利用できる緑を持っているところはほかにあまりないので、暮らしやすいと感じます。 また1,400ある公園に対して、活動団体も1,100くらいあります。つまりほぼすべての公園に、町内会の人を中心とした愛護会があります。公園というツールをうまく使ってもらい、世代を超えた地域コミュニティづくりができると良いと思います。

イメージパース

名古屋市緑政土木局

緑地部 緑地利活用室 公園経営係
佐藤貴嗣 係長
※この情報は2016(平成28)年6月時点のものです。

「つくる、守る」から「育て、生かす」へ 民間活力導入で、公園に新たな賑わいを創出/名古屋市緑政土木局 緑地部緑地利活用室公園経営係 係長 佐藤貴嗣さん
所在地:愛知県名古屋市中区三の丸3-1-1 
電話番号:052-961-1111(代表)、052-953-7584(名古屋おしえてダイヤル)
開庁時間:8:45~17:15(業務により異なる)
休庁日:土・日曜日、祝日、年末年始
https://www.city.nagoya.jp/

「MOKICHI FOODS GARDEN」ホールチーフ 石井直樹さん インタビュー

「熊澤酒造」の銘酒を、多彩なシーンで味わう大空間レストラン。/MOKICHI FOODS GARDEN ホールチーフ 石井直樹さん


JR「茅ヶ崎」駅北口徒歩5 分、住宅地を抜けた場所に建つ「MOKICHI FOODS GARDEN」は、“ 湘南最後の蔵元”として知られる「熊澤酒蔵」の日本酒やビールを、多彩な料理とともに堪能できるカジュアルなレストラン。古い精麦工場を改装した建物と、アンティーク調のインテリアがレトロモダンな雰囲気を醸し出し、老若男女が日常のさまざまなシーンで訪れたくなる魅力的な空間が広がります。今回はホールチーフを務める石井直樹さんに、お店のことや地元茅ヶ崎の魅力などについてお話を伺いました。

いつ訪ねても楽しい時間を過ごせるお店を目指して

「MOKICHI FOODS GARDEN」ホールチーフ・石井直樹さん

――まず、「MOKICHI FOODS GARDEN」のコンセプトを教えてください。

石井さん:アメリカのニューヨークにある、幅広い年代層が集まる「チェルシーマーケット」という屋内型ショッピングスポットがモティーフになっています。建物は戦前からある精麦工場を改装し、ほかではあまり体験できないようなレトロな雰囲気を楽しんでいただけるのではないかと思います。

精麦工場をリノベーションした開放的な空間

料理については、ジャンルは限定せずに、イタリア料理、ドイツ料理、フランス料理をはじめ、それぞれの良いところを組み合わせた創作メニューを提供しております。たくさんありますが、石窯で焼き上げるナポリピッツァは特におすすめですね。

イチオシの窯焼きピッツァ

――サービス面で大切にされていることはありますか?

石井さん:大切にしているのは、「“ 酒蔵が営むレストラン” で あるという本筋から脱線しないことと」、「お客様がいつ訪れても楽しい時間を過ごせる場所であること」、です。スタッフに伝えているのは、「いつでも満足度の変わらないサービスを提供しよう」ということです。お客様が来店される動機が、“あの人がいるから”“あの人と話したいから”では、目当ての人がいなければ来店していただけないことにもつながってしまいます。

天気の良い日は、テラス席で。

料理をご提供するにしても、早く出せば良いというわけではなく、お客様が望んでいるタイミングを把握したり、先の展開を予想するなどして、お客様が過ごしやすい時間を提供していきたいと考えています。月替りのランチメニューは、毎日来ていただいても肉、魚、パスタ2種、ピッツァ、カレー、サラダのなかから選ぶことができます。セット内容もボリュームがあるので満足していただけると思いますよ。

何度訪れても楽しめるよう、メニューも豊富。

また、湘南唯一の酒造が経営するレストランとして、その時々に旬の食材を活かした料理と、それに合うビールや日本酒をご用意していますので、ぜひお酒も合わせて楽しんでいただきたいです。

「熊澤酒造」こだわりの日本酒やビールも合わせて味わいたい。

多様なニーズに合わせたサービスを展開

――お客様はどのような方が多いのでしょうか?

石井さん:カップルから、お子様連れ、ご年配の夫婦、会社の集まりで利用される方など幅広い方に来店していただいています。遠方からわざわざ足を運んでくださる方もいらっしゃいますし、ご近所の方々も多いです。

幅広い客層・多彩なシーンに対応してくれる

――ご近所の方の“普段使い”としてはどのようなシーンが考えられますか?

石井さん:レストランとしてだけでなく、カフェやバーとしてもご利用いただけますので、実際コーヒーやビールだけ気軽に飲みに来られる方も多いです。平日は主婦の方々がランチやティータイムに利用されたり、夕方以降は会社帰りの方の来店も増えてきました。休日はご家族で食事にいらっしゃる方が多いですね。立食であれば、150名までの貸し切りパーティにも対応していますよ。また、併設する「MOKICHI Baker&Sweets」では焼き立てのパンも販売しているので、ぜひそちらもご利用ください。

「MOKICHI Baker&Sweets」の焼き立てクロワッサン

馴染みのあるこの街を大切に

――現在茅ヶ崎にご在住とのことですが、近隣のおすすめのスポットなどを教えてください。

石井さん:当店のすぐ近くにある「ROOMNUMBAR 3(ルームナンバーサン)」というバーには、個人的に何度も足を運んでいます。
また、自然がそのまま残っている「茅ヶ崎里山公園」や「柳島しおさい広場」などもおすすめスポットですね。

MOKICHI FOODS GARDEN

――茅ヶ崎の未来について、どのような想いをお持ちでしょうか?

石井さん:このままの街並みが、これからも変わらないであってほしいと思います。大きな開発や変化はほかのエリアに任せて、いつまでも茅ヶ崎らしくバランスのとれた住みやすい街であってほしいですね。

MOKICHI FOODS GARDEN

ホールチーフ 石井直樹さん
所在地 :神奈川県茅ヶ崎市元町13-1
TEL :0467-84-0123
URL:http://www.kumazawa.jp/mokichi/foodsgarden/
※この情報は2016(平成28)年4月時点のものです。

「熊澤酒造」の銘酒を、多彩なシーンで味わう大空間レストラン。/MOKICHI FOODS GARDEN ホールチーフ 石井直樹さん
所在地:神奈川県茅ヶ崎市元町13-1 
電話番号:0467-84-0123
営業時間:月~木、日曜日 11:30~14:30/17:30~22:00
     金、土、祝前日 11:30~23:00
定休日:第3火曜日(8・12月は無休)、年末年始
http://www.kumazawa.jp/mokichi/foodsgard..

「ゴッデスインターナショナル株式会社」代表 鈴木正さんインタビュー

茅ヶ崎に本物のサーフィン文化を根付かせた「ゴッデス」。 自然と向き合いシンプルに人生を謳歌する。/ゴッデスインターナショナル株式会社 代表 鈴木正さん


日本のサーフィン文化について語るとき、必ず登場するのが“鈴木 正”という名前。新潟県に生まれ、高校生のときに家族で茅ヶ崎に移り住み、25歳で渡米。日本に本場のサーフボードのシェイプ(サーフィンボードの原型をデザインして削ること)技術を持ち帰り、サーフィンを広めた第一人者で、今なお現役のシェイパー(サーフィンボードを削る職人)でありコンペティター(たくさんのサーフィンの大会に参戦する選手)でもあります。今回は、彼がオーナーを務めるサーフショップ「ゴッデス」を訪ね、サーフィンへの想いや、茅ヶ崎の街についてお話を伺いました。

少年時代に偶然見たサーフィンの風景

――鈴木さんとサーフィンとの出会いを聞かせてください。

鈴木さん:中学生のとき、入院先の病院にたまたまサーフィンの光景を切り取った写真が飾ってありました。その後新潟県から茅ヶ崎に移り住むことになり、茅ヶ崎の海を見て、病院で見たその写真のことを思い出したんです。波が似ていたので、同じことができるかもしれないな、と。まだ世の中に「サーフボード」という言葉すら知られていない時代のことですから、自分でつくるしかなく、そこでベニヤ板を買ってきて製作したのですが、まったく話になりませんでしたね(笑)。

日本のサーフィン文化の先駆者・「ゴッデス」鈴木正さん

諦めかけていたときに、たまたま七里ヶ浜でサーフィンを楽しんいる外国人がいたので、頼み込んでやらせてもらいました。そして次に会う約束をしてサーフボードを譲ってもらうことになったのですが、大卒の初任給よりも高い買い物になりました。本当は自分の手でつくりかったのですが、ウレタンフォームを使うべきなのに発泡スチロールを使ってしまうなど、苦労を挙げたらそれこそ切りがありません。

本場アメリカで名シェイパーと出会う

――渡米されて、本場の技術を学ばれたそうですね?

鈴木さん:独学でのサーフボードづくりに限界を感じていたときのことです。池袋の百貨店にサーフボードが飾ってあるというのを耳にして訪ねていくことにしました。そこで見たサーフボードの完成度に愕然となり「これは本場に行くしかない」という考えに至ったのです。

自社製のサーフボードがずらりと並ぶ「ゴッデス 茅ヶ崎本店」

当時は簡単にはアメリカに入国できない時代でしたが、ある縁で知り合ったビル・ヒューリーさんというアメリカ人に身元引受人になってもらったことでビザを取得できたわけですが、教えられた住所にたどりつくまでの道中はスーツケースを盗まれたりなど、本当にいろいろなことがありましたね。この辺りのことは、自著にも書いてあります。
苦労したことも多かったのですが、身元引受人になってくれたビルさんは、驚いたことにサーフボードを削る名シェイパーでした。彼の元にステイした約5ヵ月の間に本当にさまざまなことを学ばせてもらい、シェイプに必要な道具を手に入れて帰国しました。

サーフィンのない人生は考えられない

初心者からプロまで信頼を寄せる

――現役のサーファーでありシェイパーでもある鈴木さんですが、サーフィンの魅力とは?

鈴木さん:サーフィンに関連しないことは、すべてが不要と感じるくらいの圧倒的な面白さがあります。サーフィンをするためには、まず健康を維持しなくてはなりません。ですから煙草も吸いませんし、お酒も飲みません。

店内に飾られた、数々のトロフィーや賞状

ベスト体重をキープしないといけないので、栄養バランスやカロリーにも気を使わないといけないのですが、それもサーフィンを楽しむためのことですから苦しいと思ったことはありません。自然と向き合い、心が静寂となる、じつにシンプルな感覚を得られるのがサーフィンではないかと思います。

絶対に良いものをつくる、という揺るぎないポリシー

――「ゴッデス」としてのポリシーやこだわりを教えてください。

鈴木さん:自らシェイプし、それに乗って大会に出ることで製品の良さを立証できるというのが「ゴッデス」の強みです。ここまでくるには紆余曲折もありましたが、それでも一貫して、“絶対に良いものをつくる”という思いを大切にしてきました。継続は力なりという格言もありますが、もし途中でサーフィンに関係ないことに手を出したり、根底にあるものを忘れたりしたら、現在の「ゴッデス」はなかったと思います。

シェイプしたボードを自ら使用することで品質を高めてきた

鈴木さん:近年、オンラインで買い物をされるケースが増えてきましたが、雑貨や洋服であれば大きな問題はないと思いますが、やはりサーフボードのように高価で、身を預けるものについては現物の確認が必要だと思います。その意味では、よりたくさんの商品が置いている大型店が有利になりますが、「ゴッデス」には、サーフィンを始められたばかりの方からプロサーファーまでやってきますよ。

「ゴッデス 茅ケ崎本店」外観

茅ヶ崎の魅力と未来への想い

――茅ヶ崎の海ならではの特徴とはどのような点でしょうか?

鈴木さん:良い意味でも悪い意味でも、近くに駐車場がないことが大きいですね。それによって昔からの雰囲気が保たれています。サーフボードを持っているのは地元の方が大半なので、その多くが顔見知りだったり友だちたったり(笑)。それと、同じ茅ヶ崎でもポイントによって波が違うので、目的やレベルに合わせて選べることができるというのも魅力だと思います。

様々な人がサーフィンを楽しむ茅ヶ崎の海

――茅ヶ崎の地域の魅力と、街への想いをお聞かせください。

鈴木さん:湘南エリアのなかでも、最もゆったりとした時間が流れているように感じます。人も自然も街も“湘南らしさ”が残されています。景観は変わりつつありますが、それでも強い想いで、「茅ヶ崎の街を守ろう」という方が多くいます。

子どもが多い街なので、サーフィンに限らずこの環境を活かし、街全体で子どもを育てるという姿勢が広がってくれればと思います。子どもは宝です。私としては、その宝が大きくなって、ライフスタイルのなかにサーフィンがある大人になってくれれば、とても嬉しいですね。

鈴木さんは、何よりも自分自身が徹底的に楽しむことでサーフィンの面白さを伝え続けている

ゴッデス

ゴッデス 茅ヶ崎本店

オーナー 鈴木正さん
所在地:神奈川県茅ヶ崎市中海岸3-9-20
TEL:0467-86-1173
URL:http://www.goddess.co.jp/
※この情報は2016(平成28)年3月時点のものです。

茅ヶ崎に本物のサーフィン文化を根付かせた「ゴッデス」。 自然と向き合いシンプルに人生を謳歌する。/ゴッデスインターナショナル株式会社 代表 鈴木正さん
所在地:神奈川県茅ヶ崎市中海岸3-9-20 
電話番号:0467-86-1173
営業時間:8:00~日没
https://www.goddess.co.jp/

「茅ヶ崎館」 五代目館主 森浩章さん インタビュー

茅ヶ崎の文化を今に伝え、愛され続ける老舗旅館/茅ヶ崎館 五代目館主 森浩章さん


1899(明治32)年創業から、現在も営業を続ける老舗旅館「茅ヶ崎館」。周囲の街並みはが変わりゆく中、当時の趣をそのままに残し、国の登録有形文化財にもなっています。また、日本を代表する映画監督・小津安二郎が定宿としたことでも知られ、数多くの名作がここから誕生しています。その変遷を見続けてきた「茅ヶ崎館」の館主だからこそ、強くなる地域への想い。今回は、五代目館主である森 浩章さんに、「茅ヶ崎映画祭」の実行委員会の代表を務めるなど多忙を極めるなかお時間をいただき、お話を伺いました。

小津安二郎も定宿とし、数々の名作が生まれた場所

五代目館主の森浩章さん

――まず、創業当初から今日までの歩みをお聞かせいただけますでしょうか。

森さん:当館は1899(明治32)年に創業し、2009(平成21)年には茅ヶ崎市内初となる登録有形文化財になりました。私は当館の五代目です。今ではこうして住宅地に囲まれていますが、創業当時、この場所は海が望める砂丘の一軒宿でした。茅ヶ崎はこの環境の良さから、明治時代から別荘地として多くの文化人に愛されてきた歴史があります。当館の初代は、そうした別荘文化の流れをいち早く汲んでこの旅館をはじめました。

気品漂う「茅ヶ崎館」入口

――小津安二郎監督をはじめ、映画関係者なども多くいらっしゃったようですね。

森さん:小津安二郎監督が初めて定宿としていらっしゃるようになったのは、1937(昭和12)年のことです。私は生を受ける前の話ですが、父は小津監督との交流がありました。脚本を書く仕事場として使い、たくさんの名作を生み出した、庭に面する部屋は今でも現役です。小津監督を慕って、現在活躍されている映画監督や作家の方々も、同じようにここで作品を作られたりしています。

映画監督・小津安二郎氏が定宿とした「二番の部屋」

もちろん映画ファンのみならず、古い旅館を好まれる方や、都心に住んでいる方がちょっとした休日に宿泊されたり、ここにはさまざまな方がいらっしゃいます。もちろん小津監督が宿泊していた部屋も、一般の方も泊まっていただけますよ。高級旅館ではありませんので、それが気兼ねなく利用していただけることにつながっているのではないかと思います。

地域の潜在的な魅力を活かし、新たな文化を発信する

歴史を積み重ね、穏やかな時が流れる空間

森さん:そもそも、茅ヶ崎の藝能史は、別荘文化の筆頭として歌舞伎役者の九代目市川團十郎が移り住んだことからはじまっています。続いて明治期の小説家たち、その後、演劇や映画へと続いていきました。今でこそ、茅ヶ崎と言えば、サザンオールスターズの桑田圭祐さんや、その先輩世代の加山雄三さんなどが有名ですが、その親世代はみんな映画関係者だったんですよ。

市内の色々な場所が会場となる「茅ヶ崎映画祭」の様子

――森さんは現在「茅ヶ崎映画祭」の代表を務めていらっしゃるそうですが、どのような想いがあり活動されているのでしょうか。

森さん:「茅ヶ崎映画祭」は2012(平成24)年からはじまった自主映画祭で、2016(平成28)年の開催で第5回目を迎えます。市内のレストランや公民館はもちろん、今年は「イオンシネマ」さんなども加わり、10ヵ所の会場で12から13作品の上映を予定しています。ここ茅ヶ崎館も上映会場となります。上映作品は、テーマを設ける年もありますが、基本的には各会場で自由に上映したい作品をあげてもらい、実行委員で審査するかたちをとっています。過去の名画や、大手シネコンでは上映されない作品などが多いですね。

茅ヶ崎館の広間も上映会場となる

先ほど申し上げたように、茅ヶ崎の文化は、演劇や映画と縁が深いのですが、残念ながら今日では映画自体が斜陽ぎみで、特に子どもたちが大きなスクリーンで映画を見る機会が少なくなっていますね。今は手軽にDVDや動画で見ることができてしまいます。大きなスクリーンで、複数の人と映画を見て同じ空間を共有することも、大事だと考えています。この「茅ヶ崎映画祭」では、映像を流すだけでなく、映画の監督や俳優などのゲストを招いて、作品の背景や思いに触れる機会も設けたり、映画が終わったあとの来場者同士の歓談も楽しみです。

――映画祭にはどのような方が来るのでしょうか?

森さん:古い映画は、やはりシニア世代の方が多いのですが、作品によっては若い人が昔の映画に興味をもったり、学びに来たりもしていますね。映画や映像、音楽などを生業にされているクリエイターの方々もいらっしゃいます。規模を大きくすることにはあまりこだわらず、この街のルーツである演劇や映画文化を伝え、浸透・発展させながら続けていければと思います。

生まれ育った茅ヶ崎への想い

茅ヶ崎で生まれ育った森さんが語る、地域への想い

――ご自身が生まれ育ったこの茅ヶ崎という街に、どのような想いをお持ちですか?

森さん:最近は「湘南」や「茅ヶ崎」というイメージだけが先行していて、では具体的にそれがどんなものかだとか、なぜこのような海辺のカルチャーができていったのか、などと聞かれてもなかなか説明できない人が多いと思います。

実際は、先ほどの歌舞伎役者の方たちと同じ、今から120年前頃に、ヨーロッパを見聞してきた政治家や実業家の方たちがヨーロッパと同じような避暑地を湘南につくっていったという歴史がベースにあります。やはり当時から環境が素晴らしかったからであり、そうした歴史を掘り起こして、今の世代や次の世代に伝えながら、茅ヶ崎の人たちの景観と文化意識をもっともっと高めていきたいです。

茅ヶ崎の海。先に見えるのはシンボル「えぼし岩」

――そのほか、茅ヶ崎の地域のために活動をされていることはありますか?

森さん:海の岸線や街並みを含めた景観を美しくしていくための活動を行っています。茅ヶ崎の海は、誰かがランドスケープをデザインしたわけではなく、漁港や海水浴場などがあって、そこに行政の手などが入りばらばらになってしまっているという課題があります。そこを整えていくための計画があるのですが、その実現のために権利者や行政などいろいろな方とコミュニケーションをとって調整をすすめているところです。もちろんさまざまな立場や考えがあり、世代の違いなどもあるので、そこを変えていくことはとても地道な取り組みです。

サザンビーチ

ですが、世界には、例えばハワイやフロリダの人工ビーチのように、人の手が入っているにも関わらず自然と調和し、観光客を惹きつける魅力をまとった事例もあります。国内で初めてハワイ・ホノルルと「観光姉妹都市協定」を結ぶことができたのは、茅ヶ崎の自然、文化、人々に共通点があったからではないでしょうか。そうした事例を見ていただきながら、どうしたら人々が集まり、喜んでくれるような場所になるのかを一緒に考えていければ、必ず変えていけると思っています。

実際に、そうした意識は茅ヶ崎の人たちの間で高まってきていて、毎日自主的に海岸のゴミを拾われる方がいたり、看板の色を規制しようという流れが自然と生まれたり、自分たちの街をより良くしていこうという方が増えてきており心強く感じます。時間の掛かる取り組みであることは重々承知していますが、茅ヶ崎の美しい海を見たい――この気持ちが、私を突き動かしているように思います。きっとこれから住む方は、少しずつもっときれいな海岸に変わっていく姿を見ることができると思いますよ。

茅ヶ崎の魅力を未来にも伝えていく

――語るべき歴史・文化が豊富な茅ヶ崎ですが、それ以外で感じる魅力を教えてください。

森さん:少しうるさく言ってしまいましたが、実際の茅ヶ崎はご覧の通りとても気軽な街なんです。 ただその気軽さや居心地の良さがあるのは、住んでいる方々がみんな努力をしているからこそあるものです。 これから新しくいらっしゃる人たちにも、単に住むだけでなく、ぜひ街づくりにも加わっていただければと思います。茅ヶ崎の良いところは、「完成している街ではない」ということではないでしょうか。住んでいる方がそれぞれに街づくりへの意識が高く、それが生活のしやすさや、子育てのしやすさなどの街の魅力につながっているのではないかと思います。

また、私は観光協会の理事メンバーでもあります。茅ヶ崎には年間を通して毎月何かイベントがあるので楽しいですよ。以前はなかった6月も、「茅ヶ崎映画祭」が根づき、年間スケジュールが埋まりました(笑)。自然や海も、夏だけでなく春や秋などそれぞれに表情を変えるので、ぜひ見ていただきたいと思います。

茅ヶ崎館 館主 森浩章さん

茅ヶ崎館

五代目館主 森浩章さん
所在地 :神奈川県茅ヶ崎市中海岸3-8-5
TEL :0467-82-2003
URL:http://www.chigasakikan.co.jp/
※この情報は2016(平成28)年3月時点のものです。

茅ヶ崎の文化を今に伝え、愛され続ける老舗旅館/茅ヶ崎館 五代目館主 森浩章さん
所在地:神奈川県茅ヶ崎市中海岸3-8-5  
電話番号:0467-82-2003
http://www.chigasakikan.co.jp/

路地裏の静かな隠れ家カフェ

海だけじゃない茅ヶ崎の魅力を大切にしたい。年代問わず、ほっとくつろげる喫茶店。/「すずの木カフェ 店主 吉村千絵さん


「茅ヶ崎」駅北口から徒歩4分の場所にある「すずの木カフェ」は、幅広い年代の方が訪れるあたたかな雰囲気の喫茶店。地元の安全な食材を使い丁寧に手作りする、食事やデザートが魅力です。今回は、茅ヶ崎で生まれ育ったというオーナーの吉村千絵さんを訪ね、茅ヶ崎の魅力などについてお話を伺いました。

みんなが安心して来れる「喫茶店」をつくりたい

「すずの木カフェ」店主の吉村千絵さん

――吉村さんが「すずの木カフェ」を開かれるまでの経緯を教えてください。

吉村さん:もともとフランス料理店で働いていましたが、結婚してからは夜は家で家族と一緒に過ごしたいな、と今後のことを考えるようになりました。この場所を選んだのは、茅ヶ崎の南側にたくさんある、大手さんではない、小さな個人店のようなすてきな場所を北側のエリアにも作りたい、という思いがあったからですね。

体にやさしい素材を使用したメニュー

――お店のコンセプトや、料理や空間づくりについてこだわっていること、大切にしていることはありますか?

吉村さん:いわゆる“カフェ”ではなく、いろいろな年代の方が入りやすい“喫茶店”を目指しました。喫茶店だけれど丁寧にきちんと作った物を出す、いろいろな年代の人が安心して入れて、自分の子どもや祖父母に毎日食べさせても安心・安全な物を出すということをコンセプトにしています。基本は無添加で、ソースやアイスクリームなどもすべて手作りしています。

年代を問わず居心地の良い空間

――お住まいや年齢など、どのようなお客様が多いのでしょうか。

吉村さん:みなさんご近所の方ですね、茅ヶ崎にわざわざ遠くからいらっしゃる方は海の方に行かれますので。年代問わず、おひとりでいらっしゃる女性も多くて、20代の方からご年配の方まで、ここならひとりでも安心して入れると仰っていただけてます。

母娘でいらっしゃる方も多く、小さいお子さん連れの親子や、4世代でいらっしゃる方もいます。おひとりで本を読んだり、お仕事されたり、ご夫婦でいらっしゃる方もいます。働いている方のお昼休みの利用も結構多いですよ。お友だちといらしたり、打ち合わせの方もいますけど、みなさん自分の時間を過ごしているという印象がありますね。

“地元”がキーワード、お店を拠点に茅ヶ崎の文化や食を応援

「地元」をキーワードに作品を展示

――カフェだけでなく、ギャラリースペースの設置や、ワークショップなども行ってますが、どのように企画を開催しているのでしょうか。

吉村さん:私は大学で美術を学んでから、料理を始めました。もともと美術が好きだったので、ギャラリーを作って作品を飾れたらと思ったのがきっかけです。また、“地元”がコンセプトでもあるので、お店を造る際には、内装は地元の工務店、テーブルなどは茅ヶ崎の家具屋さんに頼みました。カフェは街の人が集う場所でありたいので、そんなふうに、地元の作家さんの発表の場となって、ここから広がっていくと嬉しいという思いがあります。

お仕事中の吉村さん

吉村さん:ギャラリースペースの展示内容は月ごとに変えていて、それに合わせたデザートメニューも用意しています。ワークショップは作家さんが何かしてみたいという時や、地元で教室を開かれている方の場所として使っています。2016(平成28)年4月からはハーブの教室を始める予定です。

食材にも地元へのこだわり

――茅ヶ崎の食材を活かしたお料理など、地域を意識して取り組まれていることはありますか?

吉村さん:地元の農家さんと契約をし、有機の野菜を使っています。種類が足りない時は直売所や八百屋さんなども利用しています。ハーブティーにも力を入れていて、茅ヶ崎の専門店「アールグレイ」さんから仕入れていますし、紅茶は藤沢の「ディンブラ」さんから仕入れるなど、なるべく身近な場所から素材を仕入れていきたいと思っています。

静かな時間で、ほっとくつろげる

――“茅ヶ崎”においてどのような場所でありたいとお考えでしょうか。

吉村さん:茅ヶ崎にはさまざまなお店がありますが、海とか開放感とか、サーファースピリットでみんな平和で仲良く明るくオープンな雰囲気ですよね。海はもちろん好きですが、そうでない静かなひっそりとした空間を求める人も多いです。私もどちらかというと静かな方が好きなので、「すずの木カフェ」は日陰のような落ち着いた雰囲気にしたいと思っています。

生まれ育った街・茅ヶ崎との関わり

窓辺の緑が目にも心にも優しい

――小さい頃よく遊びに行かれた場所、思い出などはありますか?

吉村さん:実家は海側ではなく山側だったので、海はサイクリングで行ったりしていました。「市民の森」という小さな森の公園があり、保育園の帰りに連れて行ってもらったことがとても楽しかったです。ツリーハウスもあって、今ではうちの子どもも連れて行ってます。

――お母さんになられて、茅ヶ崎の子育て環境はどのように感じますか?

吉村さん:このエリアはママさんたちがヨガやベビーマッサージなど、ちょっとしたイベントをたくさん立ち上げています。茅ヶ崎には子育て情報サイト「FuBoLaboちがさき」というサイトがあり、さまざまな情報が得られますので、参加しやすいと思いますよ。つながっていける環境があると思います。「リベンデル」さんという貸し農園では、ママたちのマーケットのようなイベントも多くやっていますね。公園は小さなものでしたらわりと身近にあります。

「イトーヨーカドー 茅ヶ崎店」

「茅ヶ崎らしく」その魅力を子どもの世代へも繋いでいきたい

――「すずの木カフェ」のある茅ヶ崎市元町周辺の生活環境について教えてください。

吉村さん:便利だと思いますよ。病院は多いし、買い物も「イトーヨーカドー」や直売所もありますし、公的機関は駅の周辺に集まっていますから、ご年配の方も住みやすいのではないでしょうか。少しはなれれば中央公園という大きな公園もありますし、日常に海を求めなければ便利です。「すずの木カフェ」周辺には個人のお店がたくさんあります。

必要なものがコンパクトに揃う便利さも“茅ヶ崎らしさ”

――茅ヶ崎の魅力はどのようなところだと思いますか?

吉村さん:茅ヶ崎の魅力は海と山の両方があること、あとは規模が大きすぎないことですね。例えば、隣の「藤沢」エリアは範囲が大きいので、「藤沢」という意識よりは「鵠沼」とか「湘南台」というような意識になるんですね。茅ヶ崎は規模が小さいのでまとめて「茅ヶ崎」ですね。

茅ヶ崎の未来への想い

――今後どのような街にしていきたいか、地域の未来への想いなどを聞かせてください。

吉村さん: 新たに茅ヶ崎に越していらっしゃる方は海側を好む方が多いため、昔からの地元の方々が多いのが北側のように感じます。私が子どもだった頃と比べ、ハワイやアメリカンスタイルが強くなってきているのは、そうした暮らしを求めて移住してくる方が多いからでしょう。市もホノルルと姉妹都市提携をし、市役所ではクールビズを「アロハビズ」といってアロハシャツを着るなどし、「ハワイ」らしさをアピールしています。そうしたハワイのようなのんびりした暮らしの良さと、北側の里山の雰囲気の良さを合わせたものが、「茅ヶ崎」らしく好きですね。

吉村さん:私が子どもの時とは環境がかなり違ってしまっていて、海は砂浜が浸食されたり、松林や田んぼも減ってきてしまっていたり・・・。地元の食材を買うことで、この地域に畑や田んぼ、緑を残すことにつながりますので、なるべく地元の食材を選ぶようにしています。茅ヶ崎の自然を子どもの世代に残していきたいです。

落ち着いた雰囲気の入口

すずの木カフェ

店主 吉村千絵さん
所在地 :神奈川県茅ヶ崎市元町4-32
TEL :0467-82-3411
URL:http://suzunokicafe.com/
※この情報は2016(平成28)年3月時点のものです。

海だけじゃない茅ヶ崎の魅力を大切にしたい。年代問わず、ほっとくつろげる喫茶店。/「すずの木カフェ 店主 吉村千絵さん
所在地:神奈川県茅ヶ崎市元町4-32 
電話番号:0467-82-3411
営業時間:11:30~16:30(L.O.16:00)
定休日:日・月曜日
https://www.facebook.com/suzunokicafe/

熊澤酒造 六代目蔵元 熊澤茂吉さん(襲名) インタビュー

“湘南らしさ”を心がけた蔵元の試み/熊澤酒造 六代目蔵元 熊澤茂吉さん


1872(明治5)年に、茅ヶ崎の地に創業した「熊澤酒造」。その歴史に幕が下ろされる寸前で、六代目として家業を継いだのが現代表の熊澤茂吉さんです。麦芽とホップのみで造られた無濾過・非加熱処理の「湘南ビール」を皮切りに、日本酒の新ブランドとして「天青」などを生み出し、今日では湘南に残る唯一の蔵元として全国区でも知られる存在となっています。今回は、現在にいたるまでの経緯や、湘南・茅ヶ崎における蔵元として目指すべき方向性や今後の挑戦について詳しくお話を伺いました。

廃業危機を原動力に、酒造体制を見直し一からスタート

茅ヶ崎市香川、自然に囲まれた住宅地に建つ「熊澤酒造」

――まず、「熊澤酒造」の六代目を継がれるまでの経緯を聞かせてください。

熊澤さん:大学を卒業しアメリカに留学していたとき、当時会長職に就いていた祖父と代表である叔父が「廃業を検討している」、という連絡がありました。それまで家業を継ぐことに一切関心が無かったのですが、そうした状況に直面したことで自分の“根っこ”に気づかされ、経営状況としては芳しくなかったものの、六代目として家業を継ぐことを決意しました。私が24歳の時です。

――そのような状況から、どのようにして会社の立て直されたのですか?

熊澤さん:当時はブランド力もなく、安価な日本酒を販売しているだけだったのですが、蔵元として生き残るためには“良い酒を造る”必要があると考えました。そして、そのためには「造り手」や「造る環境」を整える必要がありました。

酒蔵での醸造風景

その第一歩として、やるべきはビール醸造を手がけることだと。と言いますのも、それまでは出稼ぎ杜氏(とうじ)が冬場だけ日本酒を造っていたため、夏期は一転して暇になるという状況でした。ただ、良い酒を造るには、そうした外部の請負いではなく、地元の人間が社員として酒を造れるようにする必要がありました。いかに優秀な人材を確保するか――この結論として、冬は日本酒、夏はビールの両輪で、醸造技術を活用することにしたのです。

日本酒と共に「熊澤酒造」の顔となった「湘南ビール」

ドイツからビールマイスターを招いて醸造技術を学び、試行錯誤期間も経て、「湘南ビール」を世に出したのは1996(平成8)年のこと。私が家業を継いだ2年後のことになります。

酒造メーカーとは異なる、「湘南の蔵元」らしさで勝負

――本業である日本酒づくりについてはいかがでしょうか。

熊澤さん:全国で流通している銘柄を持つ、いわゆるメーカーとしての日本酒づくりを目指すのではなく、トップレベルの酒米を使用するなどして、誇れる日本酒を造ろうと考えました。それまでのブランドはすべて捨てて、2000(平成12)年に「天青」の販売を開始しました。ありがたいことに認知度とともに評価も高まり、今では全国的に知られるようになりました。

洗練された香りと味わいの「天青」

熊澤さん:新たな試みとして、地元で収穫された酒米を使用した“メイド・イン・茅ヶ崎”の日本酒づくりも始めました。近くに、民話「河童徳利」の発祥とされる場所があるので、それに因んで河童をロゴに用いています。

――こちらは蔵元であると同時に、レストランも併設していますね。

熊澤さん:さらにメーカーとは異なる、「湘南の蔵元」らしい魅力で勝負をするにはどうしたらよいかと考えたときに、オーストリアのウィーンで生まれた、“ワイナリーでワインを楽しむ”文化が参考になりました。オーストリアは美味しいワインを造っているにも関わらず、イタリア、ドイツ、フランスなどワイン王国に囲まれていることもあって、ヨーロッパでもあまり知られていません。ただそうした流通では勝負できない環境に置いて、できたてのワインをワイナリーで美味しい料理とともに楽しんでもらうスタイルで、地元や観光客から人気を得ています。

敷地内はテラススペースを中心に、酒造と複数のレストランやギャラリーが並ぶ

そうした成功例を踏まえ、我々も同じく“湘南の酒”のブランド力は弱いかもしれませんが、山奥にあるメーカーとは異なり、周辺に住宅があって気軽に足を運んでもらえる強味を活かして、流通に頼らず自分の敷地内で直接消費してもらえる環境を作りました。

くつろいだ空間で「熊澤酒造」の酒や美味しい食事を楽しめる

地域との接点を増やし、住む街“茅ヶ崎”をより良い場所に

――茅ヶ崎において「熊澤酒造」がどのような場所や存在でありたいですか?

熊澤さん:オーストリアのワイナリーの話をしましたが、そもそもかつての蔵元は、祭事が行われたり、自然と人が集まりっていろいろな文化が生まれる地域の中心的な場所でした。物流という概念もなくガラス瓶もなかった昔は、近所の人が陶器の徳利(とっくり)を持って蔵元を訪ね、そこで宴会が始まったり。そのなかで葛飾北斎のような不世出の浮世絵師も生まれました。

地元の作家の作品が並ぶギャラリー「okeba」

時代は違いますが、地域における蔵元という位置づけは変わりません。我々も、お酒を楽しんでもらうだけではなく、酒樽などを製作・修理する桶場を改装して、ギャラリー「okeba」をオープンさせました。1階は、地元で活躍している作家さんの作品や古道具などを販売。2階には古書コーナーと、個展・ワークショップなどを開くスペースがあります。

湘南の蔵元らしさをテーマに展開

また近年、無農薬・有機農法による若い新規就農者が増えてきましたので、敷地内でマーケットを開いてそうした方に野菜を販売してもらい、売れ残ったものについては我々のレストランで使用するなど、少しでも人と地域との接点になれればと思っています。今後も、そうした“湘南の蔵元らしい”姿勢を自問自答しながら展開していけたらと思っています。

――思い描いている茅ヶ崎の未来について聞かせてください。

熊澤さん:これまで茅ヶ崎は、その住みやすさゆえ多くの人が移り住んできましたが、その流れの加速とともに、もともとあった豊かな文化や美しい自然が消費されてもきました。ですから、これから新しく茅ヶ崎にいらっしゃる方々には、地域をよりよくするために何ができるかを一緒に考え、参加していただけたらと思います。

コミュニティの場としても展開する「okeba」
実際、現在「okeba」を中心に開催している「暮らしの教室」というイベントには、地域に関心を持ち、何かを残していきたい、そのために何が貢献できるのか、といった意識をもった方々が集まってくれて面白い出会いなども生まれています。50年後、100年後の茅ヶ崎を見据え、新たな魅力を育み蓄積していくために、その中心を「熊澤酒造」が担っていければと考えています。

蔵元のあるべき姿として、茅ヶ崎の未来を築く中心的な存在を担っていく

熊澤酒造

熊澤酒造

六代目蔵元 熊澤茂吉さん(襲名)
所在地 :神奈川県茅ヶ崎市香川7-10-7
TEL :0467-52-6118
URL: https://www.kumazawa.jp//
※この情報は2016(平成28)年3月時点のものです。

“湘南らしさ”を心がけた蔵元の試み/熊澤酒造 六代目蔵元 熊澤茂吉さん
所在地:神奈川県茅ヶ崎市香川7-10-7 
電話番号:0467-52-6118
営業時間:9:00~17:00
定休日:土・日曜日、祝日、年末年始
https://www.kumazawa.jp//

小金井市子ども家庭部インタビュー

子どもがのびやかに成長できる街を目指す「小金井市役所」の取り組み/小金井市役所子ども家庭部の皆さん


子ども家庭部の皆さま

再開発によって整備された「武蔵小金井」駅周辺には複数の商業施設が建ち並ぶ利便性の高い街として知られる一方で、生活の中で自然とふれあう機会にも恵まれた住みやすい街として人気が高い。住みやすさの理由はそうした環境面だけでなく、市の積極的な取り組みによっても生み出されており、特に子育て事業に関する取り組みには定評がある。今回は、市の子育て事業を推進する小金井市役所子ども家庭部の皆さんに実際の取り組みについてお話をうかがった。

 

子どもの成長にあわせた長期的な子育て支援

子育て支援課子育て支援係 福井係長

――小金井市では、どのような子育て支援の取り組みをおこなっているのでしょうか。

福井係長:子どもと子育て家庭に関する総合的な計画である「のびゆくこどもプラン 小金井」に基づき、子どもの幸福と権利保障を第一に小金井市の子育ち、子育て支援を推進していくことを基本理念として、100以上の事業を実施しています。具体的な取り組み内容としては、妊娠期には妊婦健診事業。出産直後では新生児訪問事業や育児支援ヘルパー派遣事業。乳幼児期には子ども家庭支援センターや児童館・学童などでのひろば事業、ファミリー・サポート・センター事業の他、保育所や幼稚園などでの教育保育の施設関係があります。その後、就学期に入ると小中学校での学校教育、学童保育所なども関係してきます。このように妊娠期、出産期、子育て期と切れ目なく子育て支援をおこなっています。

 

環境を活かし、人をつなぐさまざまな取り組み

プレーパークで遊ぶ子どもたち

――「プレ―パーク事業」について教えてください。

田中係長:プレーパーク事業については、2015(平成27)年の6月から市内2か所で実施しています。学芸大学のプレーパークの敷地内で週4日間、10時から17時に開設している「いけとおがわプレーパーク」。同じく金曜日の10時から17時に「都立武蔵野公園」で「くじらやまプレーパーク」というのをやっております。基本的には0歳から18歳までの子どもたちの健全育成事業となっておりまして、子どもの自由な発想で自由に遊べる冒険遊び場で感性や生きる力を磨くこと、安心して遊べる魅力ある環境を作ることが目的となっています。

もともとプレーパークの取り組みは公民館講座の冒険遊び場づくりに参加した市民を中心とした「NPO法人こがねい子ども遊パーク」が、学芸大学の先生と一緒に週1~3回ほど行っていたものだったのですが、2012(平成24)年に市民から市議会へ小金井市内で常設のプレーパークを作ってほしいという陳情が出まして、それに対して市が応えるという形で作るという話になりました。しかし、市内に適地が他になかったことから、市が大学と協定を結び敷地を使用させていただいて行うということで、現在のかたちになっています。

――実際、プレーパークではどのようなことをおこなっているのでしょうか。

田中係長:池などの自然がある場所で自由に遊んでいただく野外遊びと、定例的な季節のイベントなどをおこなっています。昔遊びのベーゴマや遊びの中で防災を学ぶ飯ごう炊飯体験、また地域の健全育成地区委員の方にも協力していただいて市の新春たこあげ大会に参加する凧を手作りで作るというイベントなどを開催しています。

学童保育所のひろば事業の取り組み

――続いて、学童に関する取り組みについて教えてください。

越係長:市内には小学校が9校あり、それぞれの学区ごとに学童保育所が9施設あります。基本的には学童保育所は、放課後に小学生のお子さんを保育する場所ですが、小学生が来る前の午前中は、地域の乳幼児及び保護者の相互交流のための居場所として活用しています。週3回「子育てひろば」を行っておりますので、お友だちを作ったり、また保護者の方が顔見知りになり「また来週来ようね」といったつながりを持っていただけたらと思います。

 「子育てに関する情報が知りたい」ということであれば、職員も情報を提供しておりますので、例えば、乳幼児の検診や予防接種について知りたいというときは、保健センターをご案内したり、子育てに関して何か相談事があるときは、子ども家庭支援センターや児童館で行っている相談事業をご案内するなど、橋渡し的な役割も担っております。ぜひ一度遊びにお越しいただいて、自由に遊んだり、おしゃべりをしたり、お気軽に利用していただけばと思います。

 

積極的な市民参加が魅力的な子育て環境をつくる

子育て・子育ち支援サイト「のびのびーの!」

――小金井市ならではの魅力や取り組みはどのようなものでしょうか。

福井係長:小金井市の特徴としまして、子どもに関する市民活動が盛んだと感じています。子どもや子育て関係のイベントが数多くおこなわれており、特に30歳から40歳代の子育て世代の方々が活動に参加し、市民主導のイベントが数多く行われています。主体的に地域に参加し、地域を作り上げていく子育て世代の方が多くいらっしゃいますね。親子が参加することで楽しく暮らせる街、ともに参加する楽しみがある街だと言えるのではないかと考えています。

 また、市内の子育て活動団体と市が協働で「小金井子育て・子育ち支援ネットワーク協議会」を運営しています。現在約60団体が参加しており、子育て・子育ち支援サイト「のびのびーの!」の構築・運営をおこなったり、子育て関係の団体が集まって展示や実演体験をおこなう「子育てメッセ」というイベントを実施しています。それから小金井市で作成している子育て情報誌には、作成過程で市民の方が参加されており、内容面でも市民や地域に関する情報が盛り込まれていることは特徴的ですね。

 

地域のみんなで協力し、子育てを応援する小金井市

小金井市たこあげ大会

――小金井市は子育てをする環境としていかがですか。

中島係長:小金井市はコンパクトな市ですが、都立公園をはじめ休日に保護者が子どもを連れて遊びにいける場所がいくつもあり、車を使わなくてもそういった場所に行きやすいのはメリットだと思いますね。

千葉主査:市には、さまざまなご相談を承る保育コンシェルジュという職員がいますので、保育園の状況を知りたいといった方に対しても保護者目線でのご相談も承れる環境も整えていますので、ぜひご利用いただきたいです。

越係長:学童で言いますと、年に1回、市の事業として9学童対抗のドッジボール大会を行っていてすごく盛り上がりますし、また学童の父母会も9つあり、大運動会を開催するなど、かなり活発に活動されている印象があります。また、「小金井公園」や「野川公園」など緑も多く、1日いても過ごせるような場所があり、遊び場がたくさんあるのがいいなと思っています。

田中係長:市内に4か所児童館があり、夏休みには都立武蔵野公園で小学生を対象にしたわんぱく団・わんぱく夏まつり、そして月1回、「わんぱく号」という車を持っていき、公園に来ている親御さんとお餅つきやおだんご作りなどを行う移動児童館という事業を行っています。また都立小金井公園を会場に「小金井市新春たこあげ大会」や「なかよし市民まつり」など、乳幼児~小学生とその親御さんが気軽に参加できるイベントを毎年開催していることも特徴なのかなと思います。そういった場所に顔を出して、つながりを広げていただけるという点がアピールポイントなのかなとも思いますね。

福井係長:子どもをのびのびと育てることができる環境、そして先ほどから出ているようにイベントが多いことはアピールポイントだと思います。イベントも遊びを楽しむものだけでなく学びに関するイベントも結構あり、遊びながら学べるような環境もあります。

 

小金井市子ども支援課

小金井市役所こども家庭部

子育て支援課子育て支援係 福井 英雄係長
保育課保育係 中島 良浩係長
保育課主査 千葉 祐生主査
児童青少年課児童青少年係 田中 克知係長
児童青少年課学童保育係 越 元宏係長

所在地 :〒184-8504 東京都小金井市本町6丁目6番3号
TEL :042-383-1111(代表)
※この情報は2017(平成29)年1月時点のものです。

子どもがのびやかに成長できる街を目指す「小金井市役所」の取り組み/小金井市役所子ども家庭部の皆さん
所在地:東京都小金井市本町6-6-3 
電話番号:042-383-1111
開庁時間:8:30~17:00
休庁日:土・日曜日、祝日、年末年始(12/29~1/3)
https://www.city.koganei.lg.jp/

横浜市立大綱中学校 校長先生 インタビュー

周辺環境と大規模校ならではの特徴を活かす/横浜市立大綱中学校


東急線「大倉山」駅から「横浜市立大綱中学校」までを歩くとき、その道程で誰もが似たような感慨を抱くかもしれない。それは、“人も街も落ち着いている”というものだ。閑静、または閑寂という意味での落ち着きではなく、いつでも笑顔になれる余裕をただよわせた落ち着きと表現したら良いだろうか。「横浜市立大綱中学校」を訪ね、学校、そして街について校長先生にお話を伺った。

仲間が多く、ライバルと切磋琢磨することができる環境

教育目標

――まずは、「横浜市立大綱中学校」の歴史と教育目標について教えてください。

校長先生:本校の創立は、1949(昭和24)年4月15日です。職員数16名、生徒数437名で今日にいたる歴史が始まりました。1999(平成11)年には創立50周年、2009(平成21)年には創立60周年記念式典を挙行。“共に学び、自他を大切にし、たくましい、心豊かな人を育てます”を教育目標とし、日々取り組んでいます。

合唱コンクール3年生全体合唱の様子(提供:横浜市立大綱中学校)

――「横浜市立大綱中学校」は生徒数が多いそうですが、大規模校ならではの特色はありますか?

校長先生:体育祭や合唱コンクールにしてもスケールが大きいということですね。個の力がひとつになり、同じ方向に突き進んでいくときの力強さと壮大さは、言葉にならないくらいの感動を覚えます。生徒数が多いということは、仲間ができやすいと同時にライバルと切磋琢磨する環境があるということですから。

体育大会 3年生集団演技 扇の舞(提供:横浜市立大綱中学校)

部活動にしても、100名近い部員数を抱えている部もあるくらいです。仲間とともに、競いながら成長できる環境が本校にはあります。また、職員数は生徒数に比例しますから、必然的に他校よりも多くなります。部の創設を含め、生徒の要望に応えやすい環境と言えるでしょう。

文武両道を実践してきた先輩たちの想いをつなぎ実践する

「横浜市立大綱中学校」

――学力学習調査の結果によると、「横浜市立大綱中学校」は平均以上の高いレベルにあります。その要因については、どのようにお考えですか?

校長先生:家庭学習や読書習慣など、親御さんのしつけが行き届いていることがひとつ。また、各小学校で、学習に対する姿勢を指導してきたことも大きいと思います。それ以外の要素として、卒業生から寄せられる本校生徒への期待が大きいことも関係しているのかもしれません。文武両道を実践してきた先輩たちの想いが、生徒たちに伝わっているのかなと思います。

――部活動の参加率や活動状況についてはいかがでしょうか。

吹奏楽部 東関東大会(提供:横浜市立大綱中学校)

校長先生:部活動の参加率は約9割です。文化系も運動系も活発で、特に吹奏楽部は県大会で2年連続1位。さらに4年連続で東関東大会出場したという実績もあります。本校の吹奏楽部に入部することを楽しみにしている新1年生も多く、我々としてもさらなる活躍を期待しています。

また本校の校庭は、広くて試合に適していることもあり、頻繁に大会の会場に選ばれます。運動系の部員にとって、他校生徒の活躍を見ることは良い刺激になるのではないかと考えています。

自然と街が好きになる環境が整う、大倉山

朝読書の様子(提供:横浜市立大綱中学校)

――他校では見られない「横浜市立大綱中学校」ならではの取り組みはありますか?

校長先生:朝学活がはじまる前に、「朝読書」の時間を設けていることですね。どの本を選ぶかは生徒に任せていますが、どのような本を読んだかということは先生に報告しなくてはなりません。読書の習慣が身につくという意味では、とても効果のある取り組みではないかと思います。

「横浜市立大綱中学校」

――最後に、「横浜市立大綱中学校」周辺の魅力について聞かせてください。

校長先生:地域の祭りや、小学校の運動会に顔を出したときに感じることですが、本当に子どもが多いなと。このエリアに限っては、少子高齢化という言葉は関係ないような気がします。それと、定年を迎えても、ボランティア活動に勤しんでいる方が多いということも街の魅力かもしれませんね。地域に貢献したいという気持ちは、街が好きだから生まれるもの。そのような方に囲まれて育った子どもたちも、自然とこの街のことが好きになるのではないかなと思います。

横浜市立大綱中学校

横浜市立大綱中学校

所在地:神奈川県横浜市港北区大倉山3-40-1
電話番号:045-542-4422
URL:http://www.edu.city.yokohama.jp/sch/jhs/ohtsuna/
※2015(平成27)年2月実施の取材にもとづいた内容です。 記載している情報については、今後変わる場合がございます。

周辺環境と大規模校ならではの特徴を活かす/横浜市立大綱中学校
所在地:神奈川県横浜市港北区大倉山3-40-1 
電話番号:045-542-4422
https://www.edu.city.yokohama.lg.jp/scho..

印西市役所 企画政策課 インタビュー

5年連続「住みよさランキング」で日本一に選ばれた印西市、その将来ビジョンとは?/印西市役所 企画政策課


印西市は、千葉ニュータウン事業や北総線の延伸により、豊かな自然や伝統・文化、整備された都市基盤、広大な農地などの貴重な資源が集結し、自然環境と都市環境が調和した街として発展を遂げている。同市は、都心方面にも「成田空港」にもアクセスが良く、大規模な商業施設が多く便利な住環境にあることから、人口が増え続けている。東洋経済新報社が全国の都市を対象に毎年公表している「住みよさランキング」で日本一を獲得するなど今注目の街である。今回は、印西市役所の企画政策課を訪れ、市が掲げる「まち・ひと・しごと創生総合戦略」と印西市の魅力について、吉岡哲男さん、清水純一郎さん、金子知也さんに話を伺った。

「まち・ひと・しごと創生総合戦略」で目指す知名度向上と、本当の住みよさが感じられるまちづくり

印西市役所

――「まち・ひと・しごと創生総合戦略」についてお教えください

吉岡さん:「まち・ひと・しごと創生総合戦略」は、「安定した雇用を創出する」、「新しい人の流れをつくる」、「若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえる」、「時代に合った地域をつくり、安心できる暮らしを守る」の4つの基本的視点で進めているものです。

――「新しい人の流れをつくる」とは具体的にどのようなことでしょうか?

吉岡さん:「新しい人の流れをつくる」は、域外からの移住、域内での定住促進と将来人口減を補う交流人口の増加を基本目標に掲げています。印西市は印旛沼などの水辺や千葉ニュータウンなどがあり活気がありますが、知名度はまだまだみなさんに浸透していないのが現状です。市では、交流人口の増加、移住・定住促進に向けた知名度やイメージの向上を図り、様々な対策を行っています。
また、2020(平成32)年の「東京オリンピック・パラリンピック」の際には印西市が陸上競技のアメリカナショナルチームのキャンプ地に決定しましたが、その後を見据えた海外からの来訪者へのPR等を検討しています。2015(平成27)年度に策定した「シティセールスプラン」による広告戦略、「住みよさランキング」日本一のPRと連携しながら、印西市の良い所や特徴的な取り組みを内外に積極的にアピールしていきたいと考えています。
印西市は、都心や「成田空港」からも近く立地に恵まれていますので、都心への通勤者のベッドタウンとしての機能を保ち、豊かな自然や水辺を活かした観光などによる新しい人の流れを作る取り組みを図っています。また、先ほど「住みよさランキング」日本一とお話ししましたが、ランキングと実際の市民の住みよさに差があってはいけませんので、居住している方には、ずっと印西市に住み続けてもらうように住環境の向上を図っていきたいと考えています。

すべての世代が住みやすい街を目指して

千葉ニュータウンの街並み

――「ライフステージに合わせた定住の支援」とありますが、具体的な取り組みを教えてください

吉岡さん:印西市は現在、千葉ニュータウンへの転入などによる人口増加傾向が続いています。しかしながら2025(平成37)年頃までには人口が増えるこの状況が落ち着くと見込んでいます。今後増えた人口を減少させない為に、現在住んでいるみなさんがずっと住み続けたいと思う魅力ある街づくりが、安定した市の維持・成長につながると考えています。
具体的には、住宅の耐震化、バリアフリー化、住宅改修費の補助など住環境の質の向上促進や多様化するニーズへの対応を強化して、居住や住み替え需要に応えることができる街づくりを目指しています。また、今後子ども世代に地元へ定着してもらえるように、市では企業等と連携した地元就職の促進を図るなど、若者に地域へ愛着や誇りを持ってもらうような街づくりをめざしています。
印西市は都市的な利便性と豊かな自然が同居した街ですので、就農の促進や市民農園の活用、食の産地としての優れた自然環境のある街だということをPRして、緑と農の豊かな暮らしの機会提供を更に行っていきたいと考えています。

安心して結婚・出産できる環境づくり

印西市役所・企画政策課 吉岡哲男さん

――次に「若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえる」について、子育てしやすい環境づくりについてお教えください

吉岡さん:全国的に経済的不安や機会不足などによって未婚・晩婚化が問題視されていますが、印西市もこの問題を深刻に受け止めています。印西市には子育て世代をはじめとする若い世代が多く住んでいます。市では就活支援や子育て中の方を対象にした就労セミナー、求人情報の充実、父親の育児参加の促進など、若い世代の経済的安定や女性の就労支援に取り組んでいます。
さらに、積極的な妊娠・出産の支援にも力を入れていまして、若い世代への負担になりやすい特定不妊治療費についての助成を行っています。平成28年からは男性不妊治療への助成も開始いたしました。若い世代のみなさんが、安心して結婚・出産できる環境づくりを今後も続けていきたいと考えています。

印西市役所・企画政策課 清水純一郎さん

清水さん:印西市では妊娠・出産前後で転入し、その後も出産する機会がある若い世代が多いのが現状でして、妊娠・出産から子育てまで切れ目のない支援が必要だと考えられています。特に子どもたちを受け入れる保育施設の数と質については大変重要です。市では、保育施設の数をここ最近は毎年2園ずつ増やして、子どもの受け入れを広く行っていますし、保育の質を向上させる為に延長保育、一時預かり、病児・病後児保育など多様な保育サービスの提供も充実させています。
2016(平成28)年度からは子育てに困っていること、悩んでいることなど専門員が相談・情報提供を行う「子育てコンシェルジュ」を市内5カ所で実施しています。このサービスは現在多くの方に利用して頂いていまして、大変好評です。市では、保護者の病気やけがで子育てが困難な場合一時的に子どもをあずけることができる「ショートステイ」制度や一時的に家事・育児の支援をする「子育てヘルプサービス」、中学生までのお子さんが対象の「子ども医療費助成制度」など様々な制度を設けまして、子育て世代へのサポートを積極的に行っています。今後も、保育の受け皿を確保すると共に利便性の向上、質の高い保育の提供に取り組んでいきたいと思います。

印西市役所・企画政策課 金子知也さん

――印西市の将来都市像にある「ひと まち 自然 笑顔が輝く いんざい」とはどのようなことでしょうか

金子さん:今お話ししました「まち・ひと・しごと創生総合戦略」にもある、「安定した雇用を創出する」「新しい人の流れをつくる」「若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえる」「時代に合った地域をつくり、安心できる暮らしを守る」の4つの基本的視点を含め、市で行っている全ての事業が、市の最上位計画である総合計画に掲げる将来都市像の「ひと まち 自然 笑顔が輝く いんざい」に直接つながる取り組みになると考えています。
魅力ある街づくりを目指して、一人でも多くの市民のみなさまに「住んで良かった」と言っていただけるように職員一丸となって努力していきたいと思います。

千葉県立北総花の丘公園

――今後、印西市に住もうと思っている方に向けてメッセージをお願いします

吉岡さん:印西市は、都市的な面と豊かな自然が調和した素晴らしい街です。是非一度来て頂いて、印西の住みやすい環境に触れていただけたらと思います。2017(平成29)年2月12日には、「印西スマイルマラソン」が開催されます。国道464号を使ってほぼアップダウンがなく、ストレートでカーブも折り返し地点の2ケ所のみの、日本のハーフマラソンコースの中でも最も高速コースになるという設定です!2キロのコースもありますので初心者からアスリートまで気軽に参加できますので、参加をお待ちしています。マラソンを通して日本一住みやすい街・印西を見て、知って、楽しんでください!

印西スマイルマラソン大会事務局ホームページ:http://www.inzai-smile-marathon.com/

清水さん:印西市は、ビルの立ち並ぶ街並みもあり、少し離れると緑いっぱいの田園風景が広がる景色を見ることができます。大きな商業施設も多く、家族みんなで楽しめる街ですよ!是非、印西市に遊びに来てください!

金子さん:整った街並みもあり緑もあり住みやすいですし、市としましても印西のアピールをどんどんしていって更に魅力ある街にしていきたいと思いますので、是非印西市にお越しください!住みたい場所の選択肢の一つに印西市を入れていただけたら嬉しいです!

印西市役所・企画政策課 インタビュー

印西市役所

企画政策課 吉岡哲男さん、清水純一郎さん、金子知也さん
所在地 :千葉県印西市大森2364‐2
TEL :0476‐42‐5111
URL:http://www.city.inzai.lg.jp/
※この情報は2016(平成28)年8月時点のものです。

5年連続「住みよさランキング」で日本一に選ばれた印西市、その将来ビジョンとは?/印西市役所 企画政策課
所在地:千葉県印西市大森2364‐2 
電話番号:0476‐42‐5111
開庁時間:8:30~17:15
閉庁日:土曜、日曜、祝日、年末年始(12/29~1/3)
http://www.city.inzai.lg.jp/

印西市立小倉台小学校 校長 伊東洋樹 先生 インタビュー

「そうすあじ」が合言葉、チーム小倉台で取り組む「印西市立小倉台小学校」の教育/印西市立小倉台小学校 校長 伊東洋樹先生


開発が進む千葉ニュータウンエリア。その中心ともいえる「千葉ニュータウン中央」駅の北側にあるのが「印西市立小倉台小学校」だ。生徒数は約900人を数え、北総エリア最大の児童数を誇っている。今回はそんな「印西市立小倉台小学校」の伊東洋樹校長先生に、学校の特徴やエリアの魅力、地域とのかかわりについてお話を伺った。

優しく、かしこく、たくましい子どもの成長を目指して

伊東洋樹校長先生

――まずは学校の概要についてお教えください

伊東先生:生徒数は今年度が927名。来年度は1,050人くらいになる予定で、北総エリアの中でも一番大きな小学校となっています。
学校教育目標は「豊かな心を育み 自ら学び たくましく生きる子ども」を目標としています。また、経営方針は、「豊かな心、確かな学力、健やかな体の調和のとれた教育活動の推進」、「教師は授業で勝負を合言葉に、わかる授業づくりを目指す」、「全職員の共同体性「チーム小倉台」の教育活動を推進する」、「地域・家庭と信頼し合い、安全で安心な開かれた学校づくりに努める」の4つを掲げています。
目指す児童像は「やさしく」、「かしこく」、「たくましく」という3つの柱があり、「豊かな心の育成」、「確かな学力の育成」、「健やかな体の育成」、「特別支援教育の充実」、「情報教育・国際理解教育の推進」、「研究・研修の推進」、「特色ある学校環境・施設・設備の整備」、「開かれた学校づくりの推進」の8つの具体的な方策を決めています。

学校外観

――授業で勝負は、やはり授業が大事ということですね

伊東先生:教師というのは、子どもが好きなのはもちろんですが、授業を通して、子どもを育てる、一時間一時間を大事にして、楽しい授業を作るということも大切だと考えています。

――授業力向上などで取り組んでいることはありますか?

伊東先生:算数科では思考力、表現力を高める問題解決学習ということを研修で行っています。子どもたちがおはじきを使ったりお手玉を使ったり、具体的操作を通して、いろいろ考えて、計算を行いながら自分の計算力を高めていく。そういう思考をしながら、なぜそうなるのかを、友達と話し合い表現する。思考と表現をインプット、アウトプットしながら、スパイラル的に高めていくということを目指しています。
また、今年度から外国語活動を始めましたので、少しずつ研究を進めているところです。今までもALTの先生が来て英語の授業は行っていましたが、研究指定という形で市から指定して頂きました。今まではALTの先生が中心で授業を行っていましたが、学級担任がしっかりと主導しながら進めていく形にしていければと思っています。他にも、ICT教育や2020(平成32)年に始まる道徳科に向けても研修なども行っています。

 

小倉台小学校グランドデザイン

――指導に関してはいかがですか?

伊東先生:生徒指導に関しては「そうすあじ」という合言葉を決めています。これは私が赴任してから作ったものなのですが、何を子どもたちに目指してもらおうか決める時に、共通認識を持たなくてはいけないということで、教職員で話し合って決めました。「そ」は掃除で気づく、「う」は歌声ひびけ、「す」はすっきり整頓、「あ」は明るいあいさつ、「じ」は時間を守るの頭文字を取っています。昭和初期に教育学者の森信三という方がいらっしゃったのですが、「時を守り、場を清め、礼を正す」という言葉を残されているんです。時を守るは時間を守る、場を清めは掃除、礼を正すはあいさつ。その3つは人間教育として一番大事だろうということで入れています。
この言葉は私自身もずっと大事にしてきたことで、お隣の「木刈小学校」にいたときにも、この3つに、みんな仲良しの「み」もいれて、「みそあじ」という合言葉を作っていたんです。
じゃあ「小倉台小学校」ではどうしようかと考えたときに、何が大事だろうと話し合い、安全性と、集団がきちっと一つになるということ、それが何より大事じゃないかということで、歌声ひびけの「う」と、すっきり整頓の「す」を入れることにしたんです。自分の身の回りがきちっと整頓できるということ、けが防止につながります。また、歌声ひびけはハーモリー、つまり調和を表しています。ハーモニーによって子どもたちの集団意識も高まっていくのではないかと思っています。
あいさつに関しては、笑顔の登校、満足の下校ということを目指しています。何かを期待して学校が楽しみになるとあいさつも元気になるんです。そのためには楽しいこと、自分が存在感を持てるようなこと、友だちとの関わりなど、いろいろな満足感を持って下校することが大切なんです。そしてそれが次の笑顔につながって、それが循環する。それを目指したいなと思っています。

「印西市立小倉台小学校」

――子どもたちの様子はいかがですか?

伊東先生:素直な子が多いですね。ただ、言われたことだけやるのではなく、気づき考える行動をとれるように、自主性を伸ばせるといいなと思います。
また、頑張り屋な子も多いですね。陸上の郡大会があるのですが、昨年度本校の男子チームがリレーで優勝しましたし、「印西市駅伝大会」でも、女子チームが新記録で優勝しました。子どもたちも非常に頑張っていて、毎朝、早起きして一生懸命練習を行っていましたよ。

自然と触れ合える大きなビオトープ

ビオトープ

――「小倉台小学校」ならではの設備について教えてください

伊東先生:特徴的なのは教室前のオープンスペースです。「ふれあいの里」という大きなビオトープもあります。水が循環しながら植物やメダカなど、いろいろな生態系が形成されており、子どもたちが自然と触れ合える貴重なスペースとなっています。あとは、テントですね。テントの下が中庭のようなスペースになっているので、そこを覆っているのですが、その形がワニに似ているということで、子どもたちがワニマル君というキャラクターを作ったりもしました。

地域とのつながりも大切に

校舎内の様子

――地域とのかかわりや連携についてお教えください

伊東先生:この地区にはPTAや民生委員、児童委員、青少年相談員、高齢者クラブなど、いろいろな団体の代表者が集まる「さわやかコミュニティ推進会議」という組織があるのですが、話し合いをしたり、授業を見学する機会を設けています。その中で学校や地域の情報を交換して、協力して子どもたちを育てていきましょうとしています。あとは、読み聞かせボランティアとして、地域の方々に協力して頂いています。お手玉やけん玉などの昔遊びを教えてもらったりもしています。あとは、父母の皆さんに朝の登校指導や放課後の安心パトロールなどを行って頂いています。

校舎内の様子

――子どもたちが地域の行事に参加することはありますか?

伊東先生:「フレンドリープラザ」という公共施設があるのですが、そこのお祭りで合唱部が合唱を行ったりしています。合唱でいいますと、年に三回ほど「小倉台歌広場」という会を開催しています。二学年ずつが発表するんですが、それを保護者に聞いて頂いています。

――「フレンドリープラザ」に行くのは、合唱部の子たちですか?

伊東先生:そうですね。あとは、中学校の中に「福祉協議会」が高齢者を招く行事を行っているのですが、そこに本校の4年生が行って歌を発表したりもしています。

教師の取り組みを保護者にも知ってもらうことも大事

校内でも情報発信

――ホームページでも研修内容を載せていますね

伊東先生:子どもたちのために私たちが行っていることを、保護者にお知らせして理解をしてもらうことも大事なことだと考えていますので、ホームページなどでもオープンに内容を公開しています。

――このあたりは比較的新しい住宅地ですが、地域の皆さんの学校に対する思いなどはどんな様子でしょうか?

伊東先生:非常に学校に対して思い入れが強いように感じています。実は2000(平成12)年くらいに、小倉台小学校でミニバスケットボール部を教えていたことがあるのですが、その時に全国大会にも行ったりしたんです。その時から保護者の雰囲気もよく、協力的なイメージがありました。もともと、地域としてのまとまりが強かったんだと思います。
最近は学区が広がったこともあり、雰囲気が違ってきましたが、それを“自分たちの学校”にしてもらいたいと思っています。その手立てとしてホームページを更新して、子どもと教師のかかわりや、教育方針などをうまく保護者に伝えていけるようにしています。最初は文章だけでしたが、写真を入れたり、五七五調にしてみたり、何とか興味関心を持って頂けたらと工夫しています。そのかいもあって、楽しみにしてますよ、と言って頂く機会も増ました。そうして学校に対する理解が深まると、学校をどんどんバックアップしてくれているなと、実感は沸いてます。

若い世代が多い子育てしやすい環境が揃った街

校庭

――千葉ニュータウン中央エリアの子育て環境の魅力をお教えください

伊東先生:やはりここは、住みよい街ランキングでナンバーワンに選ばれるくらい、利便性や快適性が高いですね。利便性でいくと、「成田空港」や東京が近いというアクセスに加えて、大型ショッピングセンターが非常に多いです。
あと、このあたりは北総台地上にあり地盤が強いんです。ですので、企業の電算システムなんかが結構このあたりに来ていますね。ですから、そういった安全性や安心性もあるかもしれません。それから街づくりも非常に良いですね。この小倉台地区は電柱が地中化されていますし、ゴミ処理のシステムなんかも充実しています。そういう意味で機能性的な街づくりで暮らしやすいので、若い人たちがたくさん来て、子どもたちも増えているのではないでしょうか。
同じ世代がたくさんいて、ネットワークやコミュニティが形成されやすいので、一緒に学校に足を運んでもらって、学校の事を一緒に考えていけると、さらに地域と学校が一体になっていけるのではないかと思います。

「そうすあじ」が合言葉、チーム小倉台で取り組む「印西市立小倉台小学校」の教育

印西市立小倉台小学校

校長 伊東洋樹 先生
所在地 :千葉県印西市小倉台2-3
TEL :0476-46-5711
URL:http://inzai.ed.jp/oguradai-e/
※この情報は2016(平成28)年8月時点のものです。

「そうすあじ」が合言葉、チーム小倉台で取り組む「印西市立小倉台小学校」の教育/印西市立小倉台小学校 校長 伊東洋樹先生
所在地:千葉県印西市小倉台2-3 
電話番号:0476-46-5711
http://inzai.ed.jp/oguradai-e/

新国立劇場 中島豊さん インタビュー

舞台芸術をもっと身近に感じてもらいたい、「新国立劇場」が取り組む活動とは?/新国立劇場運営財団 常務理事 中島豊さん


オープン以来、初台の街のランドマークとして親しまれている「オペラシティ」と「新国立劇場」。このうち、「新国立劇場」は、オペラ、バレエ、ダンス、演劇の4本柱で公演を行っている、現代舞台芸術専門の国立劇場だ。もちろんこの分野においては日本一のレベル、スケールの施設であり、「殿堂」でもある。世界的な歌手や奏者、ダンサーなどを招聘して世界レベルの公演を日々行っているが、実は、その門戸は意外にも高くない。今回は常務理事を務められている中島豊さんを訪ね、施設の特徴、これから始まる20周年記念公演の見どころなどについてお話を伺った。

常務理事の中島豊さん

――施設の概要、沿革についてお聞かせください

中島さん:「新国立劇場」がオープンしたのは1997(平成9)年のことですので、2017(平成29)年でちょうど開場20周年になります。現代舞台芸術のための劇場という位置づけで、大・中・小3つの劇場で、オペラ、バレエ、ダンス、演劇を主に行っています。

オペラ劇場(オペラパレス)は、1,800人を収容する劇場で、オペラ、バレエの公演を行っています。座席は1階席から4階席まであり、オーケストラピットも常設という、日本でも唯一のオペラ、バレエ専用劇場です。

オペラ劇場(オペラパレス)

中劇場は可変式の舞台となっており、プロセニアム形式という一般的な形のほか、前舞台を広げたオープン形式にも変更できるので、いろいろな形に舞台を作り、演出も変えることができるという劇場です。収容人数は形によって変わりますが、おおむね1,000人を収容する劇場で、演劇やダンスの公演を行っています。

中劇場

小劇場は、舞台の位置を変えられる可動式舞台の劇場で、中劇場よりもさらにいろいろな形に変更することができます。こちらは350~460人程度を収容する劇場となっています。

小劇場

私どもが主催する公演内容については、オペラが年間に10本、バレエが年間6本、演劇が年間8本、ダンスが年間4本となっています。そのほか、主催していない時の劇場は、外部の劇団やオペラ、バレエのカンパニーにも貸し出しを行っており、いろいろな公演が行われています。

――千代田区にある「国立劇場」との違いは何でしょうか?

中島さん:「国立劇場」は歌舞伎、文楽、日本舞踊など、日本の伝統芸能の劇場です。それに対して「新国立劇場」は、現代舞台芸術ということで、オペラ、バレエ、ダンス、演劇に特化しています。「新国立劇場」が完成するまで、現代舞台芸術のための国立劇場はどこにも無く、長年の悲願だったという劇場で、構想から完成まで30年ほどかかりました。

フロアマップ

――施設内にはオペラやバレエのプロを養成する研修所があるそうですね

中島さん:「新国立劇場」では、オペラ、バレエ、演劇について、それぞれ「研修所」というものを持っています。そこの修了生が現在、ここ新国立劇場の舞台はもちろんですが、世界でも多く活躍しています。

プロムナード

――若い世代向けの普及活動を積極的に行っていらっしゃるそうですが、具体的にはどのような取り組みがありますか?

中島さん:「高校生のためのオペラ鑑賞教室」や「こどものためのオペラ/バレエ劇場」といった取り組みを行っています。「高校生のためのオペラ鑑賞教室」では、今年はオペラ「蝶々夫人」を上演し、多くの高校生にご覧いただきました。

「こどものためのバレエ劇場」では、今年の夏は「しらゆき姫」を上演していますが、過去には「シンデレラ」や「白鳥の湖」などの公演も行ったことがあります。オペラ劇場でご覧いただける本格的なステージですが、料金体系は非常にリーズナブルな設定になっておりますので、たくさんの親子連れの方にご来場いただいています。

「高校生のためのオペラ鑑賞教室」の様子

――25歳以下、15歳以下向けに低価格のチケット提供もされているそうですね

中島さん:もともと料金体系は多くのバリエーションを作っており、一番リーズナブルな席としては、「Z席」という、1,620円の席をご用意しています。この席は舞台の多くが隠れて見えないという席なのですが、公演当日にふらっと来ていただき、空いていればご購入いただけるため、若い方や音楽を楽しみたい方を中心にご利用いただいています。

このほか、学生証を提示すると定価の半額でチケットを購入できる「学生当日割引」、25歳以下の方、15歳以下の方は、それぞれ、5,000円でS席でオペラが見られる「U25優待メンバーズ」、「U15ファミリー優待メンバーズ」といったサービスもあります。また、チケット料金が高いオペラについては、39歳以下の方にS席を11,000円でご提供する「U39オペラ優待メンバーズ」もあります。インターネットから登録すると、公演初日の2週間程度前に対象公演の案内のメールが届くという仕組みになっています。

オペラやバレエといえば、どうしてもチケットが高額になりがちで、若い方からは「敷居が高そう」というイメージを抱かれてしまいますが、気軽に芸術に触れていただく機会を、少しでも多く提供したいと考えているため、このような取り組みを行っています。

舞台に関する展示も充実

――子ども向け、親子向けのサービスには、どのようなものがありますか?

中島さん:こども向けの演目をセットでお得にご覧いただける「こども劇場セット」というプランをご用意しています。また、「こどものためのバレエ劇場」公演では、ホワイエでネイルサービスをしたり、お顔にペイントをするサービスをしたり、楽しく遊んでもらうような雰囲気づくりも心がけています。また、上演中、小さなお子さんをお預かりする託児のサービスも、一部の公演で行っています。

ボディペイント・ネイルコーナー

――会員制度「クラブ・ジ・アトレ」について教えてください

中島さん:「クラブ・ジ・アトレ」にご入会していただきますと、一般の前売りよりも早く定価の10%引きで、また一般の前売りが始まってからも5%引きでチケットをご購入いただけます。年会費は3,900円かかりますが、20,000円のオペラのチケットを2枚買えば会費を賄えますので、かなりお得な仕組みになっているかと思います。また、通常よりも早く発売しますので、より良い席を優先的にお選びいただけるというメリットもあります。このほか、毎月発行している会報誌を無料でご自宅にお届けしています。

メインエントランス

――無料でいろいろな情報を受け取れるメールマガジンがあるそうですね

中島さん:メールマガジンやSNSでは、作品紹介やチケット発売情報などはもちろん、「こんな稽古をはじめました」といった、裏方の部分や、日々の細かな情報もご紹介していますので、ぜひ登録していただければと思います。ホームページも頻繁に更新しており、バーチャルなバックステージを体験していただける動画など様々なコンテンツを提供しています。

チラシスペース

――館内にある「情報センター」はどういったスペースでしょうか?

中島さん:5階にある「情報センター閲覧室」は、どなたでも自由にご利用いただける情報提供のためのスペースで、過去の公演に関係する書類や書物、映像コンテンツを無料でご覧いただけます。過去20年間の作品をほとんどすべて網羅していますので、見損なった作品を観たい、前に観た作品をもう一度、といった方もよくいらしています。

情報センター閲覧室

――劇場の利用客層について教えてください

中島さん:オペラは年齢層が幅広く、ご年配の方から音楽を学んでいる学生さんまで様々です。バレエは、女性の方の比率がかなり高く、バレエを習っている方や、ちょっと贅沢な時間を過ごしたい、という方が多い印象です。劇場所属のバレエ団がありますので、専属ダンサーのファンという方も多くいらっしゃいます。演劇は、当施設では「プロデュース公演」といい、劇団員が常時在籍するのではなく、作品に合わせた俳優を都度集めて公演するという形を取っています。ですので作品ごとに客層も異なり、俳優のファンの方が来られたり、熱心な演劇ファンの方や、演劇を学んでいる学生さんも多いです。

新国立劇場では4ジャンル上演しているので、演劇から入ってオペラが好きになったり、その逆という形もあるようで、ほかのジャンルの舞台芸術に触れるきっかけにもなっているのかな、と思います。

舞台衣装の展示

――館内は公演の時以外にも入れるのでしょうか?

中島さん:はい。チケットをもぎるゲートの手前までは「公開空地」として、誰でも入れる開放された場所となっています。ですので、お昼時などはこの辺りに勤めの方がお弁当を広げて過ごす姿もありますし、何もせず、ベンチでゆっくり過ごされる方もいらっしゃいます。お散歩の途中にでも、気軽にいらしていただければと思います。

誰でも利用できるくつろぎの場

――2017年のシーズンには、20周年記念事業として大きなステージも予定されているそうですね

中島さん:2017(平成29)年の10月から、来年の夏まで20周年シーズンとなり、すべての作品に力を入れています。その中でも「ニューイヤー・バレエ」という年始めの作品、有名なオペラ「アイーダ」、「フィデリオ」には、ぜひ注目していただきたいです。

特に「アイーダ」については、出演者数が多く壮大な作品ですので、そうそう簡単にできるものではないのですが、今回は海外の一流劇場で歌っている方を招聘しながらも、30,000円以下というチケット代を実現できました。貴重な機会かと思いますので、ぜひ、ご覧いただければと思います。こちらは4月に公演予定です。

初演作品となる「フィデリオ」については、作曲家のリヒャルト・ワーグナーのひ孫であるカタリーナ・ワーグナーが演出担当という点でも注目されている作品で、5月に公演予定です。その他にも沢山の作品を予定しておりますので、詳しくはホームページをご覧ください。

「アイーダ」と「白鳥の湖」の公演の様子

ホームページも20周年ということで、特設サイトを作ってWEB上で公開し、これまでお世話になった出演者の方のメッセージ動画やこれまでの作品のハイライト集を公開したりと、いろいろな企画を考えております。ぜひこの10月からの1年間にご期待ください。

ブリッジカフェ

――初台の街の魅力についてお聞かせください

中島さん:「新国立劇場」の隣には「オペラシティ」という高層ビルがあり、オシャレなお店や、コンサートホールなども入っていますが、実は、少し裏に行けば非常に庶民的な商店街があって、そこには個性的な個人商店もたくさん残っていて、そういったギャップが面白い、楽しめる街だと思います。昔ながらの非常に味のあるお店があって、そのあたたかくなつかしい雰囲気が好きですね。その対比が非常に面白い街だと思います。初台にお住いになった際は、是非劇場にも気軽に足を運んでいただき、芸術に触れるひと時をお過ごしください。

舞台衣装の展示

生活の中にもっと身近に、舞台芸術の楽しさを

新国立劇場

公益財団法人 新国立劇場運営財団
常務理事 中島豊さん
所在地:東京都渋谷区本町1-1-1
電話番号:03-5351-3011
URL:http://www.nntt.jac.go.jp/
※この情報は2017(平成29)年8月時点のものです。

舞台芸術をもっと身近に感じてもらいたい、「新国立劇場」が取り組む活動とは?/新国立劇場運営財団 常務理事 中島豊さん
所在地:東京都渋谷区本町1-1-1 
電話番号:03-5351-3011
https://www.nntt.jac.go.jp/

スペシャルインタビュー

異年齢保育で、子どもたち自らが遊びを作り出す「くまのまえ保育園」の保育とは/くまのまえ保育園 園長 筧美智子先生


2012(平成24)年4月、「社会福祉法人 池内福祉会」が運営する保育園として開園した「くまのまえ保育園」。こちらの園の最大の特徴は、1歳児から5歳児の異年齢保育。子ども主体の生活、遊びを大事にした保育を行っています。そんな「くまのまえ保育園」について、園長の筧美智子先生に詳しいお話を伺いました。

異年齢が関わり、一人ひとりの個性を見つける保育園

遊びは与えられるのではなく、園児が自ら考え作り出す

――園の概要について教えてください。

筧園長先生:当園は「社会福祉法人 池内福祉会」が運営しており、2012(平成24)年、名古屋市の待機児童対策の一環で開設した認可保育園です。「社会福祉法人 池内福祉会」が名古屋市内で運営する3つの保育園に次いでの開園になります。緑区は名古屋市内でも近年若い世代の転入が特に多い地区で、「くまのまえ保育園」は緑区の中で30番目くらいにできた保育園になりますが、その数は今でも増え続けており、現在は50園を超えているんです。

――「くまのまえ保育園」には何名くらいの園児が通われているのですか。

筧園長先生:現在は98名の子どもたちが在園しています。「くまのまえ保育園」は1歳から5歳が同じクラスに会する異年齢保育を、1クラス20名程度で実施しています。そのほか、別途0歳児クラスがあります。一時保育も行っており、毎日10人前後のお子様に来ていただいています。

子どもたちの“やりたい”に寄り添う

「くまのまえ保育園」園長 筧美智子先生

――「くまのまえ保育園」の特徴はどういったところにありますでしょうか。

筧園長先生:やはり異年齢保育をしているところですね。年齢ごとの発達課題を追いかけていくという保育方法ではなく、異年齢保育活動をとおして、年齢が上の子に憧れたり、下の子に慕われたりする中で、それぞれの子が自分の生活課題を見つけて皆で乗り越えていくという関係性をつくることができるのがこの保育のメリットです。とくに幼少期の発達スピードは子どもによって千差万別で、同年齢の子が集まってその年齢に合わせた課題を与えて乗り越えさせようとしても、それを軽くできる子もいれば、できない子もいます。そうすると、いつもできる子に必死でついていかなければならない子が出て、しんどい思いをすると思います。異年齢保育では、いろんな年齢の子と関わるため、いろんな子がいるということを知るきっかけにもなります。一人ひとりの個性を認め、受け入れることが人と関わる「力」となります。そういったものを育てたいなと思っています。

異年齢の園児が一堂に会する食卓

――異年齢保育の中で大切にしていらっしゃることは何でしょうか。

筧園長先生:当園では「子どもが主体的に生活する」ということを大事にしているので、与えられる保育ではなく、子どもたちが考えて、子どもたちがしたいということをどう叶えていくかに主眼を置いています。例えば、食事でも保育士が決められた量を一斉に配るのではなく、子どもたちの「今日はおかずを多く食べたいな」「これは嫌いだから食べたくないな」という判断もなるべく子どもたちに任せるようにしています。年齢を積んでくる中で、好きなものばかりいっぱい食べてしまったらほかの子の分がなくなってしまった…、といった状況を見渡せるようになったり、嫌いなものにも挑戦しようという気持ちが自然と沸き起こってくるのを待つように心がけています。「大人が教え込むのではなく、子どもが生活していく中で分かっていく」というのが一番重要なのかなと思っています。

ごはんを自分で盛り付ける姿も見られる

筧園長先生:食事はビュッフェ形式のような感じで各クラスに置かれるのですが、1歳の子でも「自分でお皿に盛りつけたい!」という気持ちが芽生えるようで、おかずやご飯を自分でよそっているんですよ。もちろん最初のうちはこぼしてしまうこともあるのですが、そういう場面を見た大きい子どもたちがサポートしたりする光景もあるんです。

“おうち”感覚ですごすことができる園舎内

各クラスの教室(=おうち)にあるダイニングスペース

――園舎にも特徴があるように思うのですが、どのようなコンセプトで設計されているのでしょうか。

筧園長先生:保育園という感じではなく、家にいる感覚で園児が過ごせるような空間をつくりたいと考えました。基本的には木のぬくもりが感じられる造りにしていて、各クラスの部屋には、玄関、ダイニングスペース、畳の遊びスペース、トイレがあり、本当の家みたいな構成になっています。呼び方も「教室」ではなく、あえて「おうち」と言うようにしており、各「おうち」ごとに1日を過ごすという感じになっています。給食室も敢えて「台所」と呼んでおり、「おうち」にある「台所」というイメージで、調理職員がコミュニケーションを持つことができるように低く設定してあり、あちこちから子どもたちが来て「今日のご飯はおいしかった」とか、「またこのおかずを作ってほしい」ということを気軽に言い合えるようにしています。

各園舎が家のような造りになっているのが特徴的な「くまのまえ保育園」

――食育にも力を入れていらっしゃるとお伺いしました。

筧園長先生:各「おうち」の前には「あんず」「ゆず」「やまもも」「かりん」の木が植えてあります。これは各「おうち」の名前でもあるのですが、果実の木ですので、年に一度実がなり、それを収穫しています。ゆず茶やジャム、ジュースなどを作って食べたり、ほかの「おうち」の子どもたちにおすそ分けをしたり、まさにご近所づきあいをする感覚でやっています。各「おうち」の前には小さな畑もあり、シソなどを植えています。生活の中で出てきた収穫物でクッキングを行うことが当園の食育です。

――布おむつを使っていらっしゃることもこだわりですか。

筧園長先生:おしっこが出たら気持ち悪いということを感じてもらいたいなと思ったので布おむつを使うようにしています。今、紙パンツはとても性能がよくおしっこが出たという感覚が分かりにくくなっています。早くおむつが取れたらいいなということではなく、大人と子どもが「おしっこ出た」「そうなんだね、じゃあきれいにしようか」というやりとりが上手くできるようにしたいなと思ったからです。時間でおむつを替えるのではなく、子どもも大人もお互いにおむつを替えるべきタイミングをコミュニケーションで分かり合える…そんな状況を大事にしたいと考えています。

自然豊かでのびのびと過ごせる子育て環境が魅力の徳重

「すくぽか広場」の様子

――「すくぽか広場」について教えていただいてよろしいでしょうか。

筧園長先生:「すくぽか広場」は月に3回行っている子育て支援の場です。2階のホールと子育て支援室を開放し、普段は一人で子育てをしていらっしゃる父母の方が情報交換や悩み事を相談できる場所にしています。夏のプールの期間は特に人気があり、市営プールなどよりも子どもたちが気楽に入ることができるということで、多くの親子にご利用いただいています。一人で子育てをしていると煮詰まってしまうことも多いと思います。しんどい思いをしていらっしゃる親御さんが「すくぽか広場」にいらっしゃった場合、当園では一時保育も行っているので、一時保育の利用を勧めさせていただくこともあります。1ヵ月に3回まででしたら、「リフレッシュ保育」という保護者の方の育児疲れの解消を図った取り組みもあるので、お子様をお預けいただいてもいいのではないかと思います。

園の斜め向かいにある「兵庫公園」

――お散歩へはどのあたりに行かれますか。

筧園長先生:この辺りは本当に公園が多いエリアで、毎日のようにお散歩に出かけています。園舎の廊下にお散歩表が貼ってあり、今日も全クラスの園児が出かけています。園のすぐ斜め向かいにある「兵庫公園」は運動のためのコートがあり、園児が走り回ることもできますし、「鏡田公園」「藤塚公園」も近いのでよく行きます。「みどりが丘公園」も大草原が広がっていますし、県道36号を渡ったところには「熊野社」という神社があります。神社の裏が小高い山になっていて、里山の風景を感じられるようなところで子どもたちがとても喜ぶ場所なんです。

――園長先生の考える緑区の魅力はどんなところでしょうか。

筧園長先生:緑区はまだまだ自然がたくさん残っている地域で、適度に畑なども残っていますし、木も植わっていて、子育てをするにはいい環境が整っている地域だと思います。「熊野社」も素敵ですし、「涼松せせらぎの道」では水遊びができたりもします。田んぼにおたまじゃくしがいるのを観察したり、捕まえたりする体験ができるということは、現代においてとても貴重なのではないかと思います。ご両親も名古屋市内や豊田方面でお仕事をされている方が多く、職場へのアクセスも良いと聞きます。小さなお子様がいるご家族にとってはとても便利な場所なのではないかと思います。

筧美智子先生

くまのまえ保育園

園長 筧美智子先生
所在地:愛知県名古屋市緑区兵庫1-1610
TEL:052-877-9022
URL:http://ikeuchi.main.jp/kumanomae_1.html
※この情報は2017(平成29)年2月時点のものです。

異年齢保育で、子どもたち自らが遊びを作り出す「くまのまえ保育園」の保育とは/くまのまえ保育園 園長 筧美智子先生
所在地:愛知県名古屋市緑区兵庫1-1610 
電話番号:052-877-9022
定員:90名
入園対象:産休明け~就学前
開園時間:7:15~19:15
https://ikeuchi.main.jp/products/kumanom..

スペシャルインタビュー

遊びの中で学び、21世紀を生きるための力を養う/徳重幼稚園 園長 中村久実先生


子育てがしやすい街として、近年注目が高まっている徳重エリア。閑静な住宅街にある「徳重幼稚園」は、英会話、リトミック、茶道などの多彩な体験をとおして、子どもたちが遊びの中で学び、生きる力を身につけることのできる保育を行っています。自身もこの地で子育てを経験した、「徳重幼稚園」の中村久実園長先生に、園の教育方針やこのエリアの魅力についてお話を伺いました。

子どもたちの好奇心を刺激する、さまざまな体験を提供

「徳重幼稚園」園長 中村久実先生

――はじめに、「徳重幼稚園」の概要について教えてください。

中村園長先生:「徳重幼稚園」は1998(平成10)年4月に開園し、2017(平成29)年度で19年目を迎えます。 東海市には1966(昭和41)年開園の姉妹園「上野台幼稚園」があり、そこでの約50年間にわたる教育経験を引き継ぎながら、この地域のニーズに合わせた教育を行っています。現在は、年少が25人の4学級。年中、年長は35人の3学級が定員です。各クラスの担任のほかに、3名のフリーの先生が必要に応じて担任の先生をサポートしています。

「徳重幼稚園」外観

――「徳重幼稚園」の教育方針を教えてください。

中村園長先生:「がんばる心」と「思いやりの心を育てること」を教育方針に、小学校入学への段差をなくすことを目指しています。英会話やリトミック、読み書きには年少から取り組み、子どもたちの好奇心を刺激できるよう、さまざまな体験の時間を取り入れています。 ただし、あくまでも遊びの中で体験することが重要と思っています。そして、私が最も大切にしている時間は子ども同士で遊ぶ時間です。やる時と遊ぶ時のけじめやバランスを考え。「自由遊び」の時間もたっぷり取り、広々とした園庭で子どもたちは走り回って遊んでいます。おかげさまで、このような教育方針に共感していただき、名古屋市外から通ってこられる方もいらっしゃいます。

「徳重幼稚園」内の教室の様子

――主な年間行事を教えてください。

中村園長先生:毎年、年長児と「徳重幼稚園」卒園生の小学校1年生が、一緒に園内のホールに泊まる「お泊まり保育」をしています。そのほかには、運動会や七夕まつり、生活発表会、作品展などがあります。「がんばる心」を教育目標のひとつとしていますので、運動会のマーチングや発表会では、仲間と力を合わせ、目標に向かって楽しみながら練習をしています。最終的にどこまで仕上がったかどうかの結果を求めることより、子どもたちが目標に向かってどれだけ頑張れたか、という過程を大切にしています。がんばった子どもたちを、褒め認め、自信を持たせ、自己肯定感を高めます。勇気を持って何事にも挑戦し、失敗を恐れずがんばることで成長してほしいと願っています。

専門講師による多彩な保育内指導が充実

歌唱指導の様子

――専門講師による保育内指導も充実していますね。

中村園長先生:子どもたちの興味や力を伸ばすために、月に一度専門の講師を外部から招いて、絵画や体操、英会話をはじめ、リトミック、スイミング、書道、パソコン、読み書き、そろばん、漢字教育、茶の湯などの時間を設けています。 「こんなにたくさん!」と驚かれる方もいますが、決して強制することはありません。体験することが大切なのであって、できなくても大丈夫。今はできなくても、小学校3年生頃から自然と伸びていくような教育内容になっています。

英会話は年少から行い、イギリス人のデービット先生やジョー先生に月に一度来ていただいています。それ以外の日には、先生の発音を録ったビデオを使って、毎日復習しています。明るい先生方で、子どもたちにとても人気があります。

通年で茶の湯体験ができる和室

年中の3学期からは和室を使って茶の湯を体験します。特別なお茶菓子をいただけるので、子どもたちはこの時間をとても楽しみにしています。1年間お稽古をして、年長の3学期には親御さんをご招待して「茶の湯の会」を行います。その頃までには30分間正座をして、静かにお茶の時間を楽しめるようになります。「茶の湯の会」では園児より親御さんの方が緊張されていますね。

興味を持ったことにより深くのめりこめる取り組みを実施

――課外教室も充実しているようですね。

中村園長先生:保育内指導の延長で、興味を持ったことをより深めてもらえるよう、英会話、体操、新体操、サッカー、造形、ピノキオ教室などの教室を開いています。英語は同じデービット先生やジョー先生が担当していますし、サッカーは、体操指導を行っている、「東海スポーツ」さんが指導してくださっています。先日も大会で好成績を残したり、とても強いんですよ。 習い事に行くために場所を移動する必要がないですし、特にお仕事を持っているお母様などは安心して長く預けられると好評です。

入園前から卒園後までを考えた、さまざまなサポートを実施

子育てサポートにも積極的な「徳重幼稚園」

――2017(平成29)年度からは、就園前のお子さんの保育にも取り組まれるそうですね。

中村園長先生:2017(平成29)年度から、未就園児教室「ポコ ア ポコクラブ」を開設しています。今は一人っ子のご家庭も多いので、お子さまがスムーズに入園できるように、また親御さんも不安なく送り出せるように、親子ともに少しずつ自立する機会になればと思っています。 以前こちらの幼稚園で働いていて、現在は子育て中の先生が担当予定なので、先輩ママとしての立場でお母様方とも接していただけると思います。

毎朝漢字に触れて小学校への階段を軽減

――小学校への階段をなくすための具体的な取り組みについてもう少し詳しくお聞かせください。

中村園長先生:例えば、朝の会では漢字カードを使って出席をとります。そうすることで、子どもたちが自然に漢字に触れることができます。また、毎朝「パターン」という時間を設けて、漢字のフラッシュカード、ことわざカルタや百玉そろばんなどを毎日繰り返し行っています。年少の頃はなかなか集中できませんが、それで構いません。毎日続けることで、年長になる頃には、自然と興味が湧き、集中できるようになります。

――地域との交流もあるのでしょうか。

中村園長先生:地元の小学校とは交流会を開いたり、密に情報交換をしています。近隣の「名古屋市立熊の前小学校」の登下校ボランティアの方が、園児も一緒に見守っていただけるのもとてもありがたいです。

のびのびと子育てがしやすい徳重エリア

思いっきり体を動かせる、広々とした園庭

――最後に、周辺エリアの子育て環境について教えてください。

中村園長先生:私は長女が3歳になるまで、名古屋市中心部の中区で子育てをしていましたが、「徳重幼稚園」の開園にともない、こちらに引っ越してきました。徳重は自然に囲まれ、のびのびとしていて子育てがしやすい環境だと実感しています。園の周辺に病院が多いのでとても安心ですし、ショッピングも名古屋市中心部まで行く必要がないほど充実しています。特に子育て世代には、とても良いエリアだと思います。

園長 中村久実先生

学校法人正良学園 徳重幼稚園

園長 中村久実先生
所在地:愛知県名古屋市緑区亀が洞2-401
TEL:052-878-6670
URL:http://www.tokushige-youchien.com/
※この情報は2017(平成29)年2月時点のものです。

遊びの中で学び、21世紀を生きるための力を養う/徳重幼稚園 園長 中村久実先生
所在地:愛知県名古屋市緑区亀が洞2-401 
電話番号:052-878-6670
https://www.tokushige-youchien.com/

名古屋市瑞穂区 民生子ども課 インタビュー

充実した子育て環境で、いつまでも住み続けたくなるまち、瑞穂区/名古屋市瑞穂区 民生子ども課


瑞穂区では、「瑞穂区役所」で開催されている「さくらひろば」をはじめ、主任児童委員による「赤ちゃん訪問事業」など、子育て中の方が気軽に参加できる子育てサロンやイベント等が多い。ファミリーが暮らしやすい住環境とするために瑞穂区ではどのような取り組みを行っているのか、民生子ども課の皆さんにお話を伺った。

楽しみながら地域と、仲間と、つながることができる子育て環境

民生子ども課の皆さん

――瑞穂区の子育て施策の方針を教えてください

瑞穂区は魅力あるまちづくりをするために、区政運営方針の基本目標として「何世代も住み続けたくなる瑞穂区づくり」を掲げています。子どもたちが大人になり、就職、結婚をして、自身が子どもを育てるようになった時にも、瑞穂区で子育てをしたいと思ってもらえる環境を整えることを大切にしています。民生子ども課は区役所の中でも、お子さんの出産後、最初に接する部署になると思います。そのため、子育て家庭をしっかりサポートできるよう、瑞穂区独自の事業にも取り組んでいます。

「さくらひろば」のイベントの様子

――瑞穂区独自の取り組みとはどのような事業でしょうか?

子育てサロン「さくらひろば」の開催、子育て応援講座の開催、「赤ちゃん訪問事業」の拡大の3つが代表的な取り組みです。「さくらひろば」は未就園児と保護者を対象に、月1回瑞穂区役所2階のさくらルーム等で行っている子育てサロンです。子育て中の親御さんとお子さん同士の交流の場として参加して頂くほか、保健師や保育士などへの育児相談もできます。保健所、児童館、図書館など、区内の子育て支援機関の方々にご協力を頂いており、身長・体重測定、スタッフによるミニイベント(手遊び、わらべうたなど)も行いながら、毎回、50組ほどの親子が参加され、とても賑やかに楽しく過ごして頂いています。

「さくらひろば」のイベントの様子

――子育て応援講座にはどのような講座がありますか?

子育て中の方を対象にした講座を主に2講座、開催しています。一つは「ノーバディーズ・パーフェクト~完ぺきな親なんていない!~」という、就学前の母親を対象にした連続講座です。リラックスした雰囲気の中、グループでの話し合いを通して、自分なりの子育ての仕方を見つけて頂けるように開催しています。託児もしていますので、気軽に参加して頂けます。もう一つの講座は親子の絆作りプログラム「赤ちゃんがきた!」です。2~5ヶ月までの、初めてのお子さんが生まれた親子で参加し、子どもの心身の発達を学んだり、保護者同士で話し合ったりする中で、仲間作りや悩み相談をすることができます。

「さくらひろば」のイベントの様子

――「赤ちゃん訪問事業」についても教えてください

名古屋市では初めての赤ちゃんが誕生した家庭に、地域の主任児童委員が訪問する「赤ちゃん訪問事業」を行っています。名古屋市は生後3~6ヶ月の赤ちゃん(第1子)がいる家庭を対象にしていますが、瑞穂区ではこの事業を拡大させ、1歳未満の赤ちゃんがいる市外転入、または区間転入された家庭への訪問を実施しています。お祝い品と地域の子育て支援情報をお届けすると同時に、子育てに関して困っていることや知りたいことがあればこの時に相談して頂くことができます。実際に利用されている方からは「学区の子育てサロンの案内を頂いて、行ってみたらさっそくお友だちができました」「育児で気になっていたことを話すことができて、気が楽になりました」といううれしい声も頂けています。

「さくらひろば」のイベントの様子

――瑞穂区内の保育園・幼稚園、その他の子育て施設について教えてください

区内には、公立と私立合わせて保育園が21施設、小規模保育事業所が5施設あります。そのほか、私立の幼稚園もあります。いくつかの保育園では、未就園児向けの子育て支援が行われており、園庭の開放や育児相談、ものづくり、ママのおしゃべり会など、さまざまな内容があります。堀田周辺にも、「瑞穂生涯学習センター」や、「地域子育て支援センター エンゼル」がある「天使保育園」があるほか、「穂波コミュニティセンター」では子育てサロンの「メリーゴーランド」を、原則毎月第3火曜日の10:00~11:30に開催しています。これらの施設は「瑞穂区子育てマップ」にまとめてあり、民生子ども課などで配布をしています。

瑞穂区子育てマップ

――それぞれの施設ではどのような子育て支援活動が行われていますか?

たくさんの教室やイベント、サークル活動が行われています。例えば、「瑞穂保健所」ではパパママ教室や母乳教室、子育て教室、子どもの事故予防教室をはじめ、様々な子育てサポートが行われています。「瑞穂児童館」では子どもたちが主体となる年齢別のイベントや親子向けのイベント、「瑞穂図書館」ではおはなし会、「瑞穂生涯学習センター」では地域グループによるおはなし会や本の貸し出しが行われています。

毎月様々なイベントが掲載される「さくらっこ♪スケジュール」

――地域の方も子育て家庭を応援してくださっていますね

児童福祉に関する担当をされている主任児童委員をはじめ、自主サークル、支援サークル、子育て支援活動グループなど、地域のみなさんの活動により、充実した子育て環境が整えられています。たくさんの方が協力、活動してくださることは本当にありがたいことであり、身近な方たちだからこそできる繋がりも作って頂けています。また、瑞穂区には全部で11学区あり、それぞれの学区で主任児童委員が主催する「子育てサロン」も人気があります。お住いの近くで開催されているので、気軽に参加してみてください。

瑞穂区内の子育て支援に関わる団体・個人が集まってつくられた子育てネットワーク「さくらっこ♪」さんの情報もお勧めです。子育てサロン、幼稚園・保育園で開催される子育て支援イベント、公共施設でのイベントなど、行政の事業だけでなく、地域情報も含めたスケジュールがチラシやホームページにまとまっています。

民生子ども課のキッズコーナー

――これから瑞穂区に住まわれる予定の子育て家庭にメッセージをお願いします

民生子ども課では、「さくらひろば」や「赤ちゃん訪問事業」などを通じて、子育て情報の提供、相談を受け付けています。子育て中は不安や悩みを抱えたり、孤立してしまいがちですが、身近な場所でたくさんの子育てサロンやイベントが行われていますので、ぜひ、地域の方、同じ子育て中の方と繋がりながら、子育てをして頂ければと思います。区役所内の民生子ども課には、キッズコーナーも用意していますので、お子さんを連れて気軽にお立ち寄りください。

充実した子育て環境で、いつまでも住み続けたくなるまち、瑞穂区

瑞穂区役所 区民福祉部

民生子ども課の皆さん
所在地:愛知県名古屋市瑞穂区瑞穂通3-32
TEL:052-841-1521(代表)
URL:http://www.city.nagoya.jp/mizuho/
※この情報は2017(平成29)年5月時点のものです。

充実した子育て環境で、いつまでも住み続けたくなるまち、瑞穂区/名古屋市瑞穂区 民生子ども課
所在地:愛知県名古屋市瑞穂区瑞穂通3-32 
電話番号:052-841-1521
開庁時間:8:45~17:15(組織・施設により異なる場合あり)
休庁日:土・日曜日、祝日、年末年始
https://www.city.nagoya.jp/mizuho/

スペシャルインタビュー

多くの人から見守られてきた、創立100年を迎える学校/大阪市立聖賢小学校 校長 甲斐清二先生


「蒲生4丁目」交差点周辺は、「がもよん」の愛称で親しまれる日本で有数の人口密集地であり、活気のある場所としても知られている。また戦火を逃れ古くからの下町情緒を残す大阪の数少ない場所のひとつでもある。交差点の3方を校区とする「大阪市立聖賢小学校」は2018(平成30)年で100周年を迎える歴史ある学校だ。JR線が校庭の前を通るいかにも都心の真ん中にある小学校という雰囲気だが、児童はいわゆる”都会っ子”という雰囲気はあまりない。この街独特の人懐っこさのようなものが学校にも残っているようである。そんな「聖賢小学校」の甲斐清二校長にお話をうかがった。

大阪の都心の発展を見つめ、見守られてきた小学校

大阪市立聖賢小学校

――まずは学校の概要・歴史について教えてください。

甲斐校長:本校は1918(大正7)年に創立し、2018(平成30)年で100周年を迎えます。現在、児童数は各学年2クラスずつの421名です。「聖賢」という名前は地名ではなく、学校の正門から出てすぐ北にある現在の「聖賢歩道橋」と同じ場所にあった「聖賢橋」に由来します。子どもたちが聖人賢士の道を学び通う橋としてついた橋の名前だったようです。地名以外の名前がついた大阪でも数少ない学校です。
蒲生町もそうですが、京橋や大阪ビジネスパークも近く都会の真ん中にある学校です。JRの東西線が校庭を隔てて目の前を走っているのが見えるのも特徴です。「京橋」駅と「鴫野」駅のちょうど中間地点くらいなのですが、電車に乗っていても本校はよく見えますよ。本校の校歌の一番は「汽笛のひびき こだまして」という歌詞から始まります。昔は汽車が走っていたんでしょうね。

ボードを手に説明してくれる甲斐校長

――聖賢小学校の教育ビジョンを教えてください。

甲斐校長: 「だれにでもわかるできる授業 だれもが行きたくなる学校づくり」を今年度の目標にしておりまして、その一環として「授業のユニバーサルデザイン化」に取り組んでいます。例えば、教室に子どもの集中力を削ぐ掲示物を掲示しない、できるだけシンプルな掲示物にする、ということであったり、授業のなかで、言葉で説明しただけでは覚えにくいであろう内容にビジュアルな要素をプラスしていくということです。始めたばかりで、まだ手ごたえという実感にまでは至っていないのですが、先生方もいろいろと研究文献を探して努力してくれています。

――来年度に創立100周年を迎えるそうですが、記念行事などの予定はありますか?

甲斐校長:記念式典は予定していますし、PTAや地域OBの祝賀会も予定しています。児童の行事としては100周年記念運動会や記念文化祭も計画していますが、先生方ともいろいろと検討を重ねて実行したいと考えています。100年という節目は10年、20年という節目とは、なかなか意味合いが違います。100周年は気を引き締めて迎えたいと考えています。また、本年度から子どもの心をさらに豊かにするための手立てとして、音楽の授業を専科制度にしています。表現力豊かに歌う子どもたちの姿を記念行事に加えられたらいいなと思います。

校舎には100周年の文字が

――土曜授業も実施しているようですが、どのような学習内容なのでしょうか

甲斐校長: 土曜授業は年6回以上という決まりになっているのですが、学校公開の日という位置づけで、保護者の方も自由に参観してもらえるようにしています。すべてが普通の授業のようにするのではなく、学習発表会や芸術鑑賞会、地域との合同防災訓練、児童会主催の子どもたちのお祭りなども行っています。6回のうちの1回か2回は通常授業です。

――「学力向上支援サポーター」というものがあるようですが、これはどのような取り組みですか?

甲斐校長: これは学校によってそれぞれ取り組みの内容が異なるのですが、本校では2年生から4年生までの希望者を募り、放課後に週2回、補習学習を行っています。それと、本校で教育実習を行った大学生に、授業の副教員的な立場で子どもたちを見てもらうということを行っています。教職志望の学生にとっても、有意義な時間になっているのではないかと思います。

体を動かすことが大好き!懸命に取り組むマラソン大会

――そのほか、聖賢小学校の行事で特色のあるものをご紹介ください。

甲斐校長: この学校は先生が若いということもあるのか、スポーツが活発になっておりまして、大阪府の「ジャンプアップ大会」などに積極的に参加しています。ドッジボールなどで各種大会に参加しています。「城東区ミニマラソン大会」という城北川(しろきたがわ)のアップダウンのある遊歩道を走るマラソン大会があるのですが、本校は一昨年に優勝しております。これは参加する子どもたち自身が非常に熱心に取り組んだ成果です。大会当日に向け、本番の2ヵ月ほど前から午前7時半ごろには集まり、闘志を沸かせて校庭の走り込みをしていました。マラソンの参加自体は自由なのですが、学年に関係なく一生懸命に取り組んでいます。
昨年も優勝を狙っていたのですが、雷注意報が出て中止になり、子どもたちはとても残念がっていました。このマラソンのために地域の方々が補助金を出してくれて、ユニフォームを提供してくれています。学校、地域全体で盛り上がりを感じます。

マラソン大会に向けて作ったTシャツ

――地域の方々の支援も厚いのですね。街の行事など、ほかに地域と連携した活動があれば教えてください。

甲斐校長:本校で開催する夏祭りの「聖賢祭り」や町会対抗のファミリー運動会などを協力して行っています。これまで私もいろいろな学校に赴任しておりますが、町会と学校の結びつきという面では、経験したなかでも絆が強いと感じます。地域住民の方が集う生涯学習ルームで講師の方を招いて、卒業式用のコサージュづくりを教えてもらったり、写真立てを作ったりもしています。

未来への新しい可能性がつまったモデル都市

――最後に、校区周辺の教育環境や魅力について教えてください。

甲斐校長:「蒲生4丁目」交差点周辺は「がもよん」と呼ばれていますが、ここは現在日本で有数の人口密集地と呼ばれる非常に活気のある場所です。この周辺は戦争の時の空襲に合わなかったエリアで、そのため古民家や空き家になっていた長屋など古くからの建物がたくさん残っています。そうした資源を利用し、「がもよんにぎわいプロジェクト」という活動が行われています。古民家をレストランなどとして再生し、新しい街の魅力をつくっていこうというものです。人口密集地ですが過度な開発が行なわれずに下町情緒が残る街です。「がもよんプロジェクト」のようなものがうまく連動していけば、新しい風が吹き込み、より魅力のある街になっていくと思っています。そういう意味では、都心の真ん中であっても、まだまだこれからの新しい可能性を秘めている街だといえるのではないかと思っています。

「がもよんにぎわいプロジェクト」で誕生した「マニアック長屋」

大阪市立聖賢小学校

大阪市立聖賢小学校

校長 甲斐清二 先生
所在地:大阪市城東区新喜多2-4-35
TEL:06-6932-5025
URL:http://swa.city-osaka.ed.jp/swas/index.php?id=e691544
※この情報は2017(平成29)年5月時点のものです。

多くの人から見守られてきた、創立100年を迎える学校/大阪市立聖賢小学校 校長 甲斐清二先生
所在地:大阪府大阪市城東区新喜多2-4-35 
電話番号:06-6932-5025
http://swa.city-osaka.ed.jp/swas/index.p..

地域と連携して子どもの「学ぶ意欲」を育てる、創立143年の歴史を誇る小学校/茨木市立茨木小学校 校長 松木嘉英さん


茨木市立茨木小学校
校長 松木 嘉英さん

地域と連携して子どもの「学ぶ意欲」を育てる
創立143年の歴史を誇る「茨木市立茨木小学校」

豊臣秀吉の家臣として知られる片桐且元が城主だった茨木城の跡地に建てられた歴史ある伝統校。2014(平成26)年に就任した松木校長先生は、教師、教頭としても同校と関わってきた。児童にとって「先生は味方」という考えを大切にしながら、子どもたちの成長を見守っている。茨木市の教育プラン、さまざまな行事、そして独自に取り組む「茨木ワンダーランド編」とは何か。松木校長先生にお話を伺った。

明治6年に創立された伝統ある茨木小学校の沿革について教えてください。

茨木市立茨木小学校 インタビュー

2015(平成27)年3月18日に創立記念日を迎えた143年目の歴史ある学校になります。かつて茨木城があった場所に「茨木市立茨木小学校」が建てられました。お城の名残などは学校の中に残っていませんが、櫓門(やぐらもん)の横には、小さな石碑があり、体育館の西側には、「茨木城」の城主だった片桐且元の碑があります。

茨木市立茨木小学校

奈良県の大和郡山のほうに「茨木城」が移設され、その大和郡山にあった櫓門を復元したのが、校門です。櫓門ができたのは創立120周年のときで、観光の名所にもなっていました(笑)。現在、子どもは718名。当校は茨木市内で一番面積の小さい学校になるのですが、子どもの人数的には上から数えて10番目くらいに入ると思います。

143年の歴史の中で、生徒数の増減はどのようになっていますか。

茨木市立茨木小学校 インタビュー

かなり昔にはなりますが、児童数が2,500名くらいの頃もあったようですね。そのときは午前の部、午後の部と分けて授業をしていたようです。1980(昭和55)年に、私は大学を卒業して講師として茨木小学校に就任しましたが、そのときでも1,200名おりました。1999(平成11)年くらいに、約550名に減りましたが、2006(平成18)年頃から校区にマンションが建ち始め、2015(平成27)年は718名になっています。

茨木市立茨木小学校 インタビュー

今後も270世帯ほど入居できるマンションが建てられる予定になっていますので、小さいお子さんを連れた家庭が入ってくるかもしれないですね。それを考えると、保護者の方の雰囲気も少しずつ変わってきた面はあるかもしれません。伝統的に地域の学校を応援するという面を引き継ぎながら育んでいます。

学校の教育目標について教えてください。

茨木市立茨木小学校 インタビュー

「至誠」という言葉、これを教室の黒板の上などに掲げています。目指す子ども像は、「たくましい子」「よく考える子」「思いやりのある子」です。そういった子どもを育てるために今、何ができるのか、どうすればいいのか、そういうものに取り組んでいるところですね。

茨木市立茨木小学校 インタビュー

私は1980(昭和55)年に講師として茨木小学校に来て、その後違う小学校に勤めた後、また担任として12年勤めました。その後、また別の小学校に行き、教頭としてこの学校に3年勤務した後、2014(平成26)年に校長として就任しましたので、ずっとこの学校を見ています。児童の雰囲気の特徴としては、人懐っこい、明るい子どもたちが多いです。地域も学校にとても協力的ですし、学校も地域にできることを積極的に行っています。

「学力・体力向上ジャンプアッププラン」というものを実践しているようですが、内容について具体的に教えてください。

茨木市立茨木小学校 インタビュー

茨木市の教育委員会が2008(平成20)年から学力を向上させるために進めているプランです。3年計画で行われ、最初は「学力向上いばらぎっ子プラン」というもので、2011(平成23)~2013(平成25)年の3年間は、「学力向上ステップアッププラン」となり、2014(平成26)年からの3年間は学力に体力も入り、「学力・体力向上茨木っ子ジャンプアッププラン28」になりました。

このプランには、28の施策があります。小中学校の場合、「専門支援員を派遣」というのがあります。これは各校に1名以上を配置しています。担任とは別に、クラス全体の学力の底上げを目的に、学習に困っている児童がいれば「こうすれば良いよ」などのヒントを与えたりといった活動を行っています。

茨木市立茨木小学校 インタビュー

また、「学校図書館支援員」も配置されました。これは、教育委員会が支援員をそれぞれの学校に配置し、さまざまな取り組みをして、茨木市の小中の子どもたちの学力を向上させていこうという取り組みです。1日4時間、図書館に来ていただいています。2014(平成26)年からの「ジャンプアッププラン」には、小学校・中学校と保育所や幼稚園も含めた連携、つながりをつくっていこうという取り組みを行っています。

この取り組みがもたらす効果をどのようにお考えでしょうか。

茨木市立茨木小学校 インタビュー

まず必要なのは、先生の意識ですね。学力・体力を向上させるために先生たちが創意工夫をし、わかりやすい授業に取り組んでいくことが必要です。茨木市が、支援員の派遣やさまざまな取り組みのサポートをしてくれているので、先生にも気持ちは入ると思いますね。

茨木市立茨木小学校 インタビュー

また、そのような先生方の意識が、授業にも影響してくると考えています。何に置いても、子どもたちに「学んでみよう」という意欲を持たせてあげることが最も大切です。そのためには、先生が45分間の授業の中で児童を引きつけたりするなどの工夫が必要になります。教室の中で「本当に学んでいる」という環境をつくることで、その結果、子どもたちが意欲をもって学び、必然的に学力は向上します。テストで取る点数はあくまで結果です。何よりも「学ぶ意欲」は、子どもたちの今後にも大きく影響してくる要素です。

茨木小学校ならではの行事について教えてください。

茨木市立茨木小学校 インタビュー

「ふれハピまつり」というのがあります。各クラスでお化け屋敷、ゲーム大会などのブースを作って、子どもたちが遊びに行くというものです。4年生から6年生には「ふれあい学年」があり、高学年と低学年の子どもたちが協力してブースを作るなど、子どもたち主体で企画しています。当日は、高学年がブースの当番をしながら、低学年の子どもたちと一緒に遊んでいますね。

また、「茨木神社」というのが校区にあり、祭礼でこども神輿が出るのですが、そこに本校の5、6年生の約半分の児童が参加しています。ハッピを着て、顔に化粧もし、神輿をかつぎます。これまで代々続く、伝統的な行事です。

Jリーグのガンバ大阪との交流もあるとお伺いしました。実際どのような交流をされているのでしょうか。

茨木市立茨木小学校 インタビュー

ガンバ大阪が茨木や高槻に「ふれあい活動」として選手を小学校に送り出してくれています。例えば4年生から6年生に対して、実際にプレーを見せてくれたり、子どもと選手で試合をしたりといった活動をしてくれています。プロの選手にサッカーを見せてもらえますから、子どもたちは喜んでいますね。

「茨木ワンダーランド編」という取り組みについて、詳しく教えてください。

茨木市立茨木小学校 インタビュー

2003(平成15)年頃からスタートしたのですが、地域の方が休耕田を貸してくださり、そこにビオトープを作りました。畑などを作り、近所の方も使えるようになっています。2008(平成20)年頃からは、小学校の職員や公民館、PTAの方々などが集まって、鯉のぼりを立てています。「ワンダーランドに鯉のぼりを」というキャッチフレーズで行っています。

ただ、学校の関係者が平日に手入れをするというのはなかなか難しいのが実情なので、近所の方も手入れをしてくれています。地域の方々のご協力のおかげで、子どもたちが学習の場として使用できるものになっています。この小学校は本当に土地が狭いので、子どもたちが遊んだり、自然とふれあうためにも何かできないか、ということで、当時の校長先生らがビオトープとして作りました。自然を見つけよう、という生活科の学習や5年生の米作り、クラブ活動等で使用したりもしていますね。

「ICT機器」を活用した授業を行われていますが、黒板を使用した学習との違いはどのように感じていますか。

茨木市立茨木小学校 インタビュー

茨木の小学校には、50インチのテレビが各教室に入っています。それに書画カメラがテレビにつながっているので、教科書を置くとそれがテレビに映るようになっています。これは先生方も常に活用しているシステムですね。子どもは視覚的なものに反応しやすいので、先生が書くよりも図形や絵も載っている画面を見せた方が反応はいいですね。

子どもによっては、教科書のどこを見ればいいのかわからないということがあるので、教科書を映すことですぐにわかります。子どもに視覚的な刺激を与えることは学習において大切なことですし、パソコンで算数の問題を映してみるとか、1分間で何かをする時にタイマーを出したりと、いろんな活用をしています。

子どもたちへの指導で大切にしていることは何でしょうか?

茨木市立茨木小学校 インタビュー

「先生は子どもの味方」、これはとても大切だと思います。いたずらをしても、最後は先生は味方になるんだよ、という想いをもって接することが一番大切ですね。入学して来た子どもには、保護者の希望もありますし、我々にもこんな子どもになって欲しいという目標があります。「先生は子どもの味方」という指導法は、最終的には子どものためになると考えています。

周辺環境の変化、新駅や大学の新キャンパスなど大きな開発が進んでいますが、期待されていることはありますか。

茨木市立茨木小学校 インタビュー

JR「総持寺」駅ができますし、「立命館大学」のキャンパスもできています。「立命館大学」は茨木市と提携をして、学生のボランティアなどを小学校に派遣してくれるのではないかと期待していますね。今は「追手門学院大学」の学生さんが4、5名来てくれています。心理学の学生さんが1年間、子どもとふれあいながら、教育活動に参加してくれます。

学生さんが来て学ばれるのはこちらとしてもありがたいですし、将来先生になっていく学生さんもおられるでしょうし、人材が増えることは嬉しいことですね。

最後に、周辺の子育て環境について教えてください。

茨木市立茨木小学校 インタビュー

歴史ある学校ですから、3世代のつながりがあるのは大きいですね。どこの学校にもボランティアの方がいらっしゃいますが、地域の方々の登下校時間に合わせて要所に立ってくださるんです。そういう方々の中には茨木小学校の出身の方もいらっしゃいます。お孫さんがいま通われているなど、そういうつながりは今も残っているので、大切にしていきたいですね。これはひとつの当校の特色ですし、魅力だと思っています。

地域の子どもは地域で見守るという気持ちを持ってくださっていますし、学校もいろんなことに協力できます。持ちつ持たれつの関係を続けることは、子どものためにもつながっていくのだと思っています。

茨木市立茨木小学校 インタビュー

今回、話を聞いた人

茨木市立茨木小学校

校長 松木 嘉英さん

茨木市立茨木小学校
所在地:大阪府茨木市片桐町8-40
電話番号:072-624-3132
URL:http://www.educ.city.ibaraki.osaka.jp/e-ibaraki/

※この情報は2015(平成27)年4月時点のものです。

地域と連携して子どもの「学ぶ意欲」を育てる、創立143年の歴史を誇る小学校/茨木市立茨木小学校 校長 松木嘉英さん
所在地:大阪府茨木市片桐町8-40 
電話番号:072-624-3132
http://www.educ.city.ibaraki.osaka.jp/e-..

世田谷区立二子玉川小学校 校長 千葉秀一 先生 インタビュー

商店街や企業と連携、地域ぐるみの教育を実践する/世田谷区立二子玉川小学校 千葉秀一校長先生


「二子玉川」駅から徒歩数分の場所にある「世田谷区立二子玉川小学校」は、「二子玉川商店街」に面した地域密着の小学校だ。70余年の歴史のうちには宇宙飛行士の星出彰彦氏はじめ著名な卒業生を多数輩出、多摩川沿いの自然環境を生かした愛鳥活動など、特徴ある教育実践でも知られている。今年度で赴任して3年目を迎えられた千葉秀一校長先生に、学校の特色や二子玉川エリアの魅力についてお話を伺った。

大山街道沿いにある歴史ある小学校

「世田谷区立二子玉川小学校」外観

――まず、沿革や歴史について教えてください

千葉先生:本校は「東京市京西尋常小学校」の分教場としてスタートし、その後国民学校として独立開校してから今年で74周年を迎えます。校舎は1969(昭和44)年に木造から鉄筋へ建て替えられて以来、児童数の増加に合わせて増築を重ねてきました。体育館は社会教育を視野に、世田谷区で初めて屋上プールがある体育館として建て替えられました。校舎と体育館の壁画には、東京都指定の「愛鳥モデル校」に因んで鳥の絵が描かれています。現在、モデル校は区内で3校しかなく、多摩川が近い本校では30年前から愛鳥活動に取り組んできました。西門前の「二子玉川商店街」の通りはいにしえの大山街道であり、地元への定着率が高く、親子二代で卒業生という方も多い地域です。

尋常小学校当時の資料

――児童数が増えているのですか?

千葉先生:毎年少しずつ増えていて、今年度は児童数677人の21学級です。一時は300人ぐらいまで児童数が減りましたが、駅東側の再開発で高層マンションが建設されたことからふたたび増加し、現在はそのマンションから100人以上が通っています。世田谷区内には児童数1,000人を超えている小学校もあり、本校の児童数も最終的に700~800人ぐらいになると見込んでいます。

元気に過ごす児童たち

研究発表を目標に思考力を養う授業改善

――世田谷区では小中連携の「学び舎」による9年教育を推進していますが、小中一貫教育の取組みについて教えてください

千葉先生:「世田谷区立瀬田中学校」、「世田谷区立瀬田小学校」と「多摩川の学び舎」を構成し、2016(平成28)年度の研究発表会に向け、21世紀型の学力である思考力を育成するための研究や授業改善に取り組んでいます。また、本校は2017(平成29)年度に全国小学校理科研究大会の授業研究校として研究発表を行うため、こちらに向けても、中学校の学習内容を見通した学習の計画や指導内容について、中学校の理科の教員と協力しながら研究を進めています。 多摩川と国分寺崖線という豊かな自然に恵まれ、企業の協力が得られやすいことからも、本校は理科教育に取り組みやすい環境にあります。東京急行電鉄株式会社が再開発した「二子玉川ライズ」の屋上庭園には菜園やビオトープがあり、これらを借りて野菜の栽培や生き物の観察をしています。

2年生のいもほりの様子

――日頃、児童や保護者の方々と接して、どのようなことを感じていらっしゃいますか?

千葉先生:学校に対して非常に協力的な地域で、交通安全の見守りやあいさつ運動も熱心です。子どもたちは地域のみなさんに育てられ、とても素直に育っているなと感じています。また、駅に近いので、働きに出ているお母さんが多いですね。世田谷区では学童クラブと放課後遊びを統合した新BOP事業を実施していますが、そこに登録している人数は区内有数です。働いているお母さんは多いのですが、PTA活動も盛んです。参加できる時に活動してもらえるように、学年・クラスに関係なく全保護者を対象とした公募制にしたため、委員会活動が活発になりました。毎年の公募会では、100人以上もの希望者が集まります。

教室の様子

――指導に際して、先生方はどのようなことを心がけていらっしゃいますか?

千葉先生:知・徳・体に基いて不易のものはしっかり伝える一方で、ホスピタリティを大切に、子どもたちや保護者に共感しながら、子どもの目線で授業づくり・生活指導をしていくことを目指しています。授業では単なる教え込みによる習得型ではなく、子どもたちの力を引き出していく問題解決型や探求型の授業にシフトしていこうと取り組んでいます。

都指定の愛鳥モデル校として30年の歩み

年3回行われる親子探鳥会

――「世田谷区立二子玉川小学校」ならではの活動について教えてください

千葉先生:愛鳥モデル校として、30年の実績があります。一般財団法人世田谷トラストまちづくりなど各団体の協力で、年3回多摩川へ探鳥会に行くほか、夏と冬に親子探鳥会も行っています。学校に双眼鏡が約100台ありますが、自分の双眼鏡を持ってくる子どもも多いですよ。学んだことは「ことり文集」としてまとめ、1~3年生と4~6年生で毎年2冊ずつ発行しています。また、愛鳥委員会の子どもたちが作った問題で、学期ごとに愛鳥検定も行っています。鳥を通して自然に関心を持ってもらえるのが、この活動のすばらしいところです。

歴代の「ことり文集」が並ぶ

体力向上の課題に向け、体力作りにも取り組んでいます。体育朝会や運動体育の最後の5分間を使った運動タイムで、持久走や長縄飛びをしたり。地域の各団体とPTAの協力で行う年3回の「二子ニコひろば」では、校庭と体育館を使って、ミニテニスやソフトバレーボールなどいろいろな遊びの体験ができるようにしています。

――今後力を入れていきたいと考えている活動はありますか?

千葉先生:学校図書館のさらなる充実です。今年度から、図書館司書が常駐し、土曜日・夏休みも開放できるようになりました。また、パソコンがタブレット化したので、パソコンルームに図鑑類を移し、図書館の調べ学習室にしました。タブレットを持ち込んで、インターネットへの接続もできます。学区周辺には公立図書館がありませんが、学校図書館のこうした機能は公立図書館並みです。将来的には、絵本コーナーを作って未就学のお子さんが来れるようにするなど、子ども対象に一般開放していくことを目指しています。

図書館の様子

――卒業生の宇宙飛行士、星出彰彦さんのエピソードについて教えてください

千葉先生:星出さんは2008(平成20)年と2012(平成24)年の2回、宇宙へ行かれました。2008(平成20)年にスペースシャトル「ディスカバリー」に搭乗した際は、開校65周年記念で作成した児童全員が写っている記念の下敷きをスペースシャトルに載せて頂けて、その後、本校で帰国講演会も行われました。校長室には宇宙を飛んできた下敷き、玄関にはNASAが発行した飛行証明書が飾られています。2013(平成25)年にも講演会にいらしていただいたので、今の5~6年生は星出さんと直接会っています。学校では理科の授業や朝礼の折などに、天文の話にちなんで星出さんの話をすることがあります。周年行事にはぜひまた、本校にいらしていただきたいですね。

星出さんと全校生徒の記念写真

自然と歴史、文化が調和した子育てしやすい街

児童が描いたフラッグが並ぶ

――地域と関わる機会も多いようですね

千葉先生:二子玉川では毎年4月29日、「二子玉川花みず木フェスティバル」という大きなお祭りが開催されます。西門の手前にアメリカから送られたハナミズキの第二世代が植えられていますが、本校の児童も5年生の楽器演奏やバトントワリングクラブの発表などで参加をしています。また、10月の「二子玉川大山みちフェスティバル」では、大山コマの体験コーナーなど、大山道沿いの各商店街の協力で校庭にお店が出ます。また、「二子玉川商店街」には本校の児童が描いた絵のフラッグが飾られていますが、これはPTAのOBを中心とした「ふたこの良い子サポート隊」が公募した絵です。毎年6~7月、商店街の振興組合から送っていただいた台紙と絵具で子どもたちが絵を描き、8月いっぱいフラッグを掲示しています。 町会は交通安全についても非常に熱心で、本校の校外委員とPTAが協力して保護者を巻き込み、区域30キロ制限の「ゾーン30」が実現しました。学校周辺の通学路はすべて「ゾーン30」に含まれ、駅東側の再開発地域からは歩道も完備されているので、安全に通学できます。

「二子玉川花みず木フェスティバル」での発表の様子

――先生の二子玉川周辺のお気に入りスポットを教えてください

千葉先生:やはり多摩川ですね。私は写真を撮るのが好きなんですが、「二子玉川ライズ」のビジネス棟から見下ろす多摩川の景色は、富士山と大山がくっきりと見え、特に夕方がおススメです。「二子玉川」駅のホームの端も、多摩川を眺めるのにもってこいのビュースポットですよ。「岡本公園民家園」や国分寺崖線沿いの緑も濃く、大山道沿いの寺社仏閣や「静嘉堂文庫」もあるなど、自然や史跡が残っています。9月には各小学校持ち回りで用賀地区の名所旧跡を回るウォークラリーがあるんですが、そうした古いものと駅周辺の未来都市のようなエリア、自然がコラボレーションしている街ですね。

多摩川の自然と駅前の再開発地域

――二子玉川エリアの子育て・教育環境、街の魅力についてお聞かせください

千葉先生:多摩川河川敷や新しくできた「二子玉川公園」など、休日に家族でくつろいだり、子どもが遊べる場所がたくさんあります。多摩川の水辺の学校や企業の子ども向けイベントなど、子どもたちが近場でいろいろな体験活動ができる街です。多摩川地区には私立の中学校が多いですが、ここは交通の便がいいので、私立を受験して通うにも広範囲に選択肢があり、将来的に進路をしっかり目指していける環境にあります。幼稚園や保育園、民間の学童クラブがたくさんあり、働くお母さんにとってもいい街だと思います。

千葉先生

世田谷区立二子玉川小学校

校長:千葉秀一 先生
所在地 :東京都世田谷区玉川4-6-1
TEL :03-3700-5531
URL:http://school.setagaya.ed.jp/fuga/
※この情報は2016(平成28)年7月時点のものです。

商店街や企業と連携、地域ぐるみの教育を実践する/世田谷区立二子玉川小学校 千葉秀一校長先生
所在地:東京都世田谷区玉川4-6-1 
電話番号:03-3700-5531
http://school.setagaya.ed.jp/fuga/

気象観測に貢献する大人数の伝統校

70年以上続く気象観測が有名。自然豊かな環境でかしこく、やさしく、たくましい子を育てる/川崎市立西生田小学校 校長 杉本眞智子先生


「よみうりランド」のある山の麓に位置する「川崎市立西生田小学校」。周囲には比較的新しい住宅地も多いが、実はこの学校の創立は140年以上も前のこと。麻生区でも屈指の伝統をもつ小学校であり、70年以上も前から続けている気象観測が特に有名だ。川崎市内でも比較的大規模な学校で、広い学校の敷地内で、たくさんの子どもたちがのびのびと育っている。今回は学校の特徴と地域の魅力について、校長の杉本眞智子先生にお話を聞いた。

「川崎市立西生田小学校」の杉本校長先生

――まず、西生田小学校の沿革についてお聞かせください

本校は1875(明治8)年に、麻生区にある「香林寺(こうりんじ)」の本堂を借りて、「生田小学校」の分教場として誕生したのが発祥です。2017(平成29)年度で創立142年。2年前には盛大に140周年式典も行われました。

その後は、1936(昭和11)年に、お寺のすぐ隣に新校舎ができまして、移転。その場所のまま、1947(昭和22)年には「川崎市立西生田小学校」として完全に独立しました。その時から、本校の伝統の気象観測が始まったと聞いています。現在の場所に移転したのは1960(昭和35)年。2000(平成12)年に現在の校舎への建て替えが行われました。

「川崎市立西生田小学校」の正門

――川崎市内でも比較的大規模な小学校ということですが、児童数の推移について教えてください

一番古い記録が残る1951(昭和26)年は260名、1974(昭和49)年度には最大の1416名だったそうです。その後は徐々に減少して、過去30年ほどは1000名以下で推移しています。今年度は822名でスタートいたしました。各学年、4から5クラスという学級編成です。

「川崎市立西生田小学校」校舎

――教育目標、学校目標について教えてください

めざす子どもの姿としては、大きく3つの柱を掲げています。1つは「たしかな学力の育成」。学ぶことの楽しさや意義を実感して、主体的に新しいことを学び取る子。広い視野で的確に判断し、自分の考えを形成して表現できる子。思いや考えをもとに構想し、よりよく問題を解決する資質や能力のある子、というところを目指しています。2つ目は「ゆたかな心の育成」。人の気持ち、考え、立場が理解できる、心のゆたかな子ということと、けじめを持ち、協力できる社会性のある子。美しいものや崇高なものに素直に感動する子、といったところを目指しています。3つ目は「すこやかな体の育成」です。みずから進んで心身をきたえる健康な体の子、根気強く粘り強い意志をもち、実践力のある子、安全に対する意識をもち判断できる子を目指しています。

これを子どもたちには、「かしこく、やさしく、たくましく」と伝えております。

体育の授業が行われている校庭

――学習指導の面では、どのような点に力を入れていらっしゃいますか?

本校は本年度から、生活科、総合的な学習の時間の研究推進校として川崎市の指定を受けましたので、先生方が一丸となって研究を進めているところです。また、従来から少人数指導、個別指導、交換授業といった工夫ある取り組みも行っています。ALTを中心に、保護者のボランティアとの外国語活動、ICTを効果的に活用した学習形態など新しい取り組みをしているところです。

また、体育の授業などを通じて、身体を動かす心地よさを味わい、体力の向上を図りたいと考えております。子どもたちがスポーツに親しむためのきっかけの一つとして、プロのスポーツ選手をお招きする機会を多く持っています。昨年は地元の富士通からプロバスケットボール選手やアメリカンフットボール選手をお招きしたり、トランポリンでオリンピックにも出場された中田大輔さんをお呼びして、子どもたちの前でデモンストレーションをしていただいたり、子どもたちの体験教室を実施したりしました。一流の選手とふれ合うことで、少しでも子どもたちが、運動に興味をもってくれればと考えています。

また、児童支援の観点からは、川崎市ではどの学校にも「児童支援コーディネーター」が配属されていますので、このコーディネーターを中心にして、一人一人の子どもに寄り添った、支援体制の充実や、校内組織の構築も図っております。必要に応じて外部機関とも連携して、教育相談や児童指導を行います。

いずれにしても大切にしているのは、「多くの大人の目で、子どもたち一人一人をしっかり見守る」ということです。子どもたちがお互いに認めあいながら、自己肯定感や自尊感情を育成できる環境づくりに努めています。

児童の絵で溢れる廊下

――年間行事について 特に力を入れているものや独自の取り組み、子どもたちの様子について、お聞かせください

学校行事としては、春に行われている運動会が大きなものでしょうか。一人一人の子どもがしっかり輝けるように、見に来ている方にも楽しんでいただけるように内容にも工夫を凝らしています。

それ以外ですと、10月に「オープンスクールデー」という日があります。午前中は授業参観。午後には保護者を中心としたバザーが大々的に行われます。これは年度当初から保護者の方が一生懸命に企画・運営をしてくださっているものです。

力を入れている活動としては、読書活動もあります。本校は保護者の方によるボランティア活動がとてもさかんでして、図書室の環境づくりをはじめとして、読み聞かせなど子どもたちが読書をしたくなるような工夫や手立てを色々としてくださっています。

充実している図書館

――伝統となっている気象観測について、詳しく教えてください

1947(昭和22)年、まだ戦後間もない頃に本校の気象観測所は誕生しました。当初は、壊れたトイレのよろい戸を利用して百葉箱を造り、ぶりきかんの雨量計、手製の風信器でした。しかし、だんだんと整い、横浜気象台の区内観測所となりました。冷害や晩霜の予報を見事にあて、近隣の農民に感謝されたこともあったそうです。1954(昭和29)年には、NHKに取り上げられ、神奈川ニュース映画でも映写されました。様々な新聞にも取り上げられ、多摩地区文化賞を受賞したこともあります。現在、「自然観察委員会」の委員が、毎朝、気象観測を続け、給食の時に「本日の気象」として、校内放送で報告しています。以前は365日休まずに観測していたそうですが、最近では自動化も進み、百葉箱からパソコンに自動でデータが送られる仕組みが備わっています。

伝統の観測が続く百葉箱

――児童数が多い小学校ということですが、児童同士の関わりについて、様子を教えてください

本校では特に、高学年が主体的に活動する場面が多く見られます。行事や委員会活動、クラブ活動の中でも、6年生が学校を引っ張っていこうという気持ちでやってくれていますし、「自分たちが学校をつくる」という意識が感じられます。異学年交流も積極的に行っていますので、1年生の入学時には、給食や掃除を、6年生が一緒になってお手伝いをしたりと、低学年の面倒をすごく良く見てくれて、私もすごく頼りにしています。

友達同士の関わりについては、「友達が嫌な事は言わない、やらないようにしようね」、「一人一人が楽しく学校に来て、過ごせるようにしようね」といった呼びかけをいつもしていますし、あたたかい良い雰囲気がある学校だと思っています。もし何か問題が生じた時には、担任だけではなく、児童支援コーディネーターが積極的に関わりながら、初期に対応して解決できるように図っています。

川崎市立西生田小学校教室

――地域や保護者との連携体制や、協力して行うイベントなどについて教えてください

先ほど申し上げた、保護者の図書ボランティアさんなどは代表的なものですが、その他にも沢山の方々に学校に関わっていただいています。たとえば、よみうりランドの下に「多摩美(たまみ)の森」という里山の自然を保存している地区があります。ここへ授業等の中で出かける時には、里山を作り上げている地域の方々にガイドをしていただいています。このほか、下校の見守り、学校美化や園芸関係など多くの方に支えていただいていますので、そういう方々とも連携を図りながら、子どもたちのより良い成長につなげていきたいと思っております。

地域の方々と作るイベントということでは、「地域教育会議」という組織が主催するイベントがあります。これはお隣にある「川崎市立西生田中学校」と「川崎市立百合丘小学校」と本校含めた3校が連携して行っているもので、会議のメンバーが中心となって、昨年度は、音楽フェスティバルをやったり、大きなフライパンでパンケーキを焼くといったイベントを行いました。

図書ボランティアの方の支えもあり、環境が整っている

――最後に、この学区の地域の魅力について教えてください

やはり「環境が良い」ということに尽きるかと思います。自然が豊かで、空気もきれいで、野鳥のさえずりも聞こえて、季節によっていろんな自然を感じることができるところが魅力です。子どもにとっては、素晴らしい環境だと思います。

また、住宅街の中に入れば交通量も少ないですから、比較的安全に過ごせるかと思いますし、本校でも放課後4時までの校庭開放を行っています。広々と遊べる場所もあり、たくさんの自然に囲まれている。子どもたちがのびのびと育つことができる地域です。

川崎市立西生田小学校街並み

校長 杉本眞智子先生

川崎市立西生田小学校

校長 杉本眞智子先生
所在地 :川崎市麻生区細山2-2-1
電話番号:044-966-5161
URL:http://www.keins.city.kawasaki.jp/2/ke210001/
※この情報は2017(平成29)年6月時点のものです。

70年以上続く気象観測が有名。自然豊かな環境でかしこく、やさしく、たくましい子を育てる/川崎市立西生田小学校 校長 杉本眞智子先生
所在地:神奈川県川崎市麻生区細山2-2-1 
電話番号:044-966-5161
http://www.keins.city.kawasaki.jp/2/ke21..

2世代にわたって選ばれるランドセル専門店/ガルソンのカバン 店主 嘉藤正寿さん


さいたま市中央区下落合の住宅地の一角にある「ガルソンのカバン」は、1975(昭和50)年に創業したオーダーメイドランドセルの専門店。厳選された素材と熟練された職人技術で作られるランドセルは、購入者の口コミなどで広がり人気を集めている。
店を訪ねると、お父さんお母さんに連れられて、恐るおそるお店に入ってきた小学校入学を控えた小さな子どもと、店主(75歳)が言葉を交わしている。ランドセルの販売を通じて40年近くにわたって子どもたちと会話を交わしてきた店主の言葉は、陽気な親戚のおじさんとのような気軽さがあり、親心にも配慮した思いやりと気遣いにもあふれている。「何色が好き?」と、子どもの意思を聞き出すところからはじまる「ガルソンのカバン」のランドセル作り。今回は、知っているようで知らないランドセルについてのお話と、この街の魅力について、「ガルソンのカバン」店主の嘉藤正寿さんに伺った。

創業から38年を迎える老舗ランドセルメーカー

代表の嘉藤正寿さん

――まず、お店を開業したきっかけや経緯についてお聞かせください。

嘉藤さん:会社を設立して今年で38年になります。
もともと家業で鞄やランドセルを作っていた訳ではなく、友人がランドセルの販売をしていたのがきっかけで、それまで働いていた会社を辞めて独立・起業したのが有限会社「ガルソンのカバン」です。
設立当時は店舗を借りる余裕も無かったので、自宅の1階を改装して営業所にしたのがはじまりです。こちらの営業所でオーダーを受け、ランドセルを作る工場は東北地方にあります。 

時代のニーズに応じてオーダーメイドのランドセル作りを実現

嘉藤さんの自宅1階を改装してできた営業所

――「ガルソンのカバン」で作るランドセルについて、時代ごとの変化はありましたか?

嘉藤さん:創業当時から変わらず「ガルソンのカバン」として販売していますが、「ガルソン」にはフランス語で“元気な子”という意味があります。
ランドセル自体は、当時皇太子だった大正天皇が学習院初等科に入学する際に、伊藤博文がお祝いとして軍の将校が使っていた背嚢を献上し、それがきっかけで世間に広まったものと言われています。ハンドバックや他の鞄と違ってデザインが決まっているため、最初は他社との差別化はほとんどなかったですね。色は赤と黒、内張りも糸も使う色は決まっていたので、鞄を作る技術というよりも、販売力や営業力のほうが売れる売れないに大きく影響していたというのが本当のところです。当時の商圏はここから一時間くらいのところで、地元の旧与野市をはじめ、浦和、大宮、川口のあたりも回りました。

赤と黒だけでなく色々なカラーが選べるようになったランドセル

嘉藤さん: 2000年頃から、某量販店がカラーランドセルの販売に力を入れ始め、赤と黒以外の様々な色のものや、ピカピカ光るデザイン、つや消しのものなど、いろんな色のランドセルができるようになりました。
そのような時代の変化を受け、うちも赤と黒だけでなく、内張りの色を変えたり、糸やフチの色を変えたりなど、一歩進んだデザインを提供したところ、大きな反響がありました。

モダンな色合いがおしゃれ

お客様の目が肥えてきて、お客様からも「ここはこうならない?」などと色々な要望をいただくようになり、作り手もこだわって6年前から現在のようなオーダーメイドのランドセルを提供できるようになりました。

小学校入園前にお子さんを連れてお店に来るお母さん、お父さん方のなかには、子どもの頃にうちのランドセルを背負って学校に通っていた方もいたりと、2世代にわたってお使いいただいているご家庭もありますよ。

関東圏で特にニーズの高い牛革の「ボルサ」

本革のランドセル

――「ガルソンのカバン」ならではのこだわりや特長はどのようなところでしょうか?

嘉藤さん:量販店などで売られているランドセルは、軽く、切れたりすることもないという理由から、合成皮革のものがほとんどですが、「ガルソンのカバン」では、牛革の「ボルサ」と「人工皮革」を使用しています。
本革のほうが手間がかかる分、値段も高いのですが、関東圏は特に本革をステータスとして捉えている方が多く、当店のお客様の8割は「ボルサ」を求めて買いに来ます。

関東圏での需要が多い牛革の「ボルサ」

色について言えば、その年ごとの流行も若干はありますが、男の子は落ち着いた黒っぽい鞄が7〜8割でほとんど変わらず、女の子の選ぶ色はバラエティーに富んでいる傾向はありますね。それと都心部ではモダンな色も人気です。

 

すべて無料で引き受ける6年間の手厚い保証サービス

お店のカタログ

――そのほか、特徴的なサービスなどはありますか?

嘉藤さん:インターネットの時代になってからは地元以外に、東京、千葉、神奈川といった関東圏はもちろん、地方からも「カタログが欲しい」と問い合わせが来るようになりました。
でもインターネットの画面で見る色と実際の色とが違ったり、手触りも確認してみたいという要望もあったりするので、お店に直接来られない方には、実際の皮と糸の色見本を送っています。また、お店のホームページにはオーダーメイドのシミュレーションができるコンテンツもあります。
注文や問い合わせは、例年6月末から8月頃に最も増えるのですが、1つのランドセルを制作するのに半年はかかるため、年々その時期は早まって来ており、入学式が終わったばかりの4月にも翌年入学に向けた問い合わせや来店があるほどです。
また、「6年間の保証サービス」そのものは珍しくはないとは思いますが、当店では自然故障でも故意にやったものでも、すべて無料で修理するのは特徴だと思います。
簡単に治るものであれば営業所にいる私たちが行いますし、糸をほどいて分解しなくてはならないような修理の場合はいったん工場で預かって対応しています。
ランドセルは、他の鞄のようにいくつも買うものでも無いので、今後もこれまでと同じようにお客様のご希望に合うランドセルをひとつひとつ丁寧に提供していきたいと思います。

長年この場所に居て感じる、街の変化や魅力

接客中の嘉藤さん

――地域のつながりや、地域の魅力についてお聞かせください。

嘉藤さん:旧与野市の下落合に引越してきたのは私が6歳のときで、かれこれ70年はここで暮らしていますが、当時はまだまわりがさつまいも畑や田んぼで、埼京線も通っていなければもちろん新都心もありませんでした。その頃を知っているだけに、当時と比べて今は買い物する場所も多いし、お医者さんや交通の便も良くて便利な場所だと思います。
さいたま新都心の「コクーンシティ」や、新しくできた「スーパービバホーム さいたま新都心店」、「西友 与野店」などのスーパーもあって、買い物には困りません。

スーパービバホームさいたま新都心店

地元の「下落合小学校」からは2年生の「まち探検」という学校の活動で子どもたちが見学に来てくれて、「何色あるんですか?」とか「ひとつ作るのに何日かかるんですか?」と熱心に質問をしてくれたり、御礼や感想の手紙もくれたりと交流があります。

下落合氷川神社

下落合公民館の隣にある「下落合氷川神社」で町会のお祭りが開かれると、近所の子どもたちが集まって賑わいますが、昔からこの土地に住んでいる人と、新しく移り住んで来た人との接点もあって、しっかりとした地域になっていると思いますよ。

ガルソンのカバン 嘉藤さん

有限会社ガルソンのカバン

店主 嘉藤正寿さん
所在地 :埼玉県さいたま市中央区下落合4−3−13
TEL :048-854-4025
URL:http://www.galson.co.jp
※この情報は2017(平成29)年4月時点のものです。

2世代にわたって選ばれるランドセル専門店/ガルソンのカバン 店主 嘉藤正寿さん
所在地:埼玉県さいたま市中央区下落合4-3-13 
電話番号:048-854-4025
http://www.galson.co.jp

地域で広がる子育ての輪/蕨市立南公民館 公民館職員・庄野彩子さん、公民館事業・講師・大森久美子さん、佐藤由美さん


蕨市立南公民館

公民館職員・庄野彩子さん 公民館事業 講師・大森久美子さん 佐藤由美さん

地域で広がる子育ての輪

コミュニティを育む「蕨市立南公民館」 南町2丁目にある「蕨市立南公民館」は「0歳児ママのふれあい広場」「にこにこ1・2パーク」「のびのび子育て学級」など子育てを応援してくれる講座が充実しています。今回は、公民館職員の庄野彩子さん、公民館事業講師の大森久美子さん、保育士の佐藤由美さんに、公民館の利用方法や各講座の内容などを詳しくお聞きしました。取材日に開催していた今回の「にこにこ1・2パーク」の春の運動会の様子もお届けします!

まず、蕨市立南公民館の概要について教えてください。

蕨市南公民館1

「蕨市立南公民館」は、地域の人が自らお金を出しあって、気軽に利用できる憩いの場所、ふれあいの場所として1955(昭和30)年に地域の人が作りました。その後「町立三和(みつわ)公民館」、市制施行により「蕨市立南公民館」となって、1974(昭和49)年にはコミュニティ・センターが併設されたという形です。

昨年度2014(平成26)年に、文部科学大臣から「優良公民館表彰」を受けられたそうですね。こちらの公民館ならではの特色や地域における役割などを教えてください。

蕨市南公民館2

南町は文化活動に力を入れていて、3月には文化展、10月にはフェスティバルを地域の方々と連携して行っています。文化展は市民の絵画や書道などだれでも参加できる美術展で、町の小さな美術館をイメージして開催しています。フェスティバルは屋内だけでなく屋外でも催し物をしたり、商和会という商店会さんたちがお店を出して色々な物を販売したり、ここを利用しているクラブが活動発表をしたり、「蕨市立第一中学校」の音楽部の皆さんに合唱して頂いたりしています。文化展の実行委員長さんが、文化展は”静”でフェスティバルは”動” の催しだと仰っています。

南公民館では、お子さん・親御さん向けの定期講座やイベントも充実していますね。それぞれの内容と利用状況を聞かせて頂けますでしょうか。

蕨市南公民館15

0~1歳児対象の「0歳児ママのふれあい広場」と、1~2歳児対象の「にこにこ1・2パーク」、2~3歳児対象の「のびのび子育て学級」の3つに分かれています。「0歳児ママのふれあい広場」は事前申し込み不要の自由参加型で何組でも参加できます。 「にこにこ1・2パーク」は4月から7月の前期、9月から12月の中期、1月から3月の後期の3つに分けていて、年に3回の募集でそれぞれ25組定員です。人気があっていつも定員はいっぱいになります。

蕨市南公民館4

「のびのび子育て学級」は月1回程度で、年間10回開催しています。内容は近所の畑をお借りしてじゃがいも掘りや、フォトフレームを作ったりと体験型が多いですね。2014(平成26)年には、南町で陶芸をなさる方にご依頼して、形ができているお茶碗などに絵付け体験をさせて頂きました。2015(平成27)年は手びねり体験をしていただく予定です。

最近では幼稚園の3年保育を希望する方が多いため、少しずつ両親と離れる機会をつくろうということで、後期になってくると託児付きの講座も開講しています。例えば、お母さん達が何か製作をして、その間お子さんたちは託児をするという形です。また、クリスマス近くなると公開講座でパントマイムのショーも行っています。

蕨市南公民館5

“Saturday study”を略した「サタスタ」は、学校が週5日制になったときに、子どもの居場所作りということで、小中学生を対象に始めました。公民館の1つの部屋を開放して、自分達で学習したいものを持ってきて自由に学習します。ボランティアスタッフさんについていただいて、わからない所は教えていただきます。試験前には中学生がいっぱい来て勉強していますね。初めのうちは毎週行っていましたが、今は小学校での「土曜塾」が始まったので、月に1、2回程度の活動となりました。

蕨市南公民館17

他にも、最近の子どもたちは自然に触れる機会が少ないのと、普段自分達が食べている野菜がどうやってできているのかを学んでもらおうと、3年生から6年生を対象に通年で自然体験を行っています。じゃがいもだったら種イモを植える所から始めて、収穫や、戸田の田んぼをお借りして、田植えや稲刈りをしたりとなど一連の流れを体験できるようになっています。収穫した新米でみんなでおにぎりを作って食べたり、年末にはもち米でお餅つきをしたり。さつまいもやとうもろこし、枝豆にも挑戦しています。

地域との連携や交流などもあれば教えてください。

蕨市南公民館20

地域のコミュニティに関しては、南町コミュニティ委員の方々が10月に新一年生を祝う集いを行っています。近くの「蕨市立南小学校」で南町全体の運動会を開催していて、その時に新一年生にお祝いの品をお渡ししています。コミュニティ委員会では、そのほかに年に2回、町会など地域の人に集まって頂いて地域の見回りをして頂いています。そして、南町には7つの町会があり、毎年町会ごとに防災訓練を行っているのですが、2014(平成26)年には関連の団体を含めて、南町地区全体での防災訓練も行いました。また、地域で防災活動を積極的に行っている鶴ヶ島のNPO法人の方々へ、視察に伺うなど防災活動にも力を入れています。

今日の「にこにこ1・2パーク」運動会、大変盛り上がっていますね!

こうした行事、ものづくり、地域をフィールドにした体験活動など、企画内容はどのように決めていらっしゃるのですか?

蕨市南公民館7

保育士・佐藤由美さん 一年間の大きな季節行事に合わせて計画を立てています。運動会やハロウィン、秋祭りやクリスマスなど。その他はお家だけでは体験できないようなことにもチャレンジして、楽しんでもらっています。 保育士・大森久美子さん小麦粉粘土なんかもそうですね。小麦粉にお水を入れて練ったりするのですが、お家ではなかなかできないです。あらかじめ私たちが作っておいたものを渡して遊ぶこともあります

蕨市南公民館・8

職員・庄野彩子さん最近は小麦アレルギーのお子さんもいるので、そうした点にも気をつけて事業を行っています。粉が舞うだけ、触れるだけで症状が出てしまうという子もいますので、そういう時は先生方にあらかじめ作ってきて頂いたりしています。最近は食物アレルギーの子も多いので、おやつにもかなり気を使って頂いています。

親子同士のコミュニケーションや近隣の方との交流の場でもあると思いますが、運営において大切にしている点や、工夫されている事について教えてください。

蕨市南公民館10

職員・庄野彩子さんその年代のニーズに合わせることですね。講座が終わった後、お母さん達に感想を伺うなどしています。また、公民館は子どもからお年寄りまでたくさんの方が利用し、様々な講座があるので、そういう方のニーズも、直接皆さんに伺ってみたいです。こういうことをやってみたいな、というニーズに合わせて講座をやっていければと思います。

今後、新たに取り組んでいきたいとお考えのことや、展望についても教えてください。

蕨市南公民館11

近くに「南町児童館」があるんですね。そちらと連携して子育ての年代とお年寄りが交流する事業ができたらいいなと考えています。また、蕨市内に7つ公民館があるので、他の公民館とコラボして講座をやるのもいいなと思います。2015(平成27)年は、南公民館の「にこにこ1・2パーク(1・2歳児対象)」と下蕨公民館の「うさちゃん学級(2・3歳児対象)」の合同で取り組める講座を企画しているところです。

最後に、蕨市南町エリアの子育て環境の魅力について教えてください。

南町桜並木

職員・庄野彩子さん 南町周辺は緑が多いですね。公園が南町だけで18か所もあり、自然がいっぱいあります。桜並木の遊歩道が近くにあるので、春になるとすごく綺麗です。 保育士・佐藤由美さん「大荒田交通公園」という自転車が借りられる公園もあります。信号も付いていて、山道があったり、S字があったり、SL機関車もあって子ども連れの方に人気ですね。

大荒田交通公園

職員・庄野彩子さんこの公園は京浜東北線の線路も見えるので、週末にはお父さん達もお子さん連れで電車をよく見に来ています。自転車とか三輪車を無料で貸りることができ、砂場やブランコもあるので小さいお子さんも遊べますよ。

★「にこにこ1・2パーク」の参加者のみなさんに聞きました!

Aさん親子

蕨市南公民館12「にこにこ1・2パーク」の魅力はどんなところですか? 子どもがまだ同年代の子と集まる機会があまりないので、ここに来るとよい刺激をもらえます。うちは息子2人で、家にいるとやんちゃ盛りな長男に目がいきがちなので、長男が幼稚園に行っている間、ここで次男とじっくり関わる時間がもてていますね。 活動を通じて、近隣の方との交流は広がりましたか? 広がりましたね。長男の時も講座で友だちになったお母さんがいるのですが、それから続いていて今も一緒に参加しています。 南公民館はどんな存在ですか? 私は地元育ちなのですが、子どもの時からここで習い事をしていて、親になった今も来ています。 南町周辺の生活環境はいかがですか?坂もないし自転車での移動が便利で、スーパーマーケットや小さい公園が所々にあって住みやすいです。

Bさん親子

蕨市南公民館13「にこにこ1・2パーク」の魅力はどんなところですか? アットホームな感じで、子どももみんなと一緒に遊んで、一緒に成長している感じです。 活動を通じて、近隣の方との交流は広がりましたか? 広がりました!地域の知り合いが多くなりました。 南公民館はどんな存在ですか? ここに来るのを楽しみにしています。 南町周辺の生活環境はいかがですか? お年寄りから小さい子まで多世代の方が住んでいますね。蕨市自体が小さいので住みやすい気がします。

蕨市南公民館・南町コミュニティセンター

今回、お話を聞いた人

蕨市立南公民館

公民館職員・庄野彩子さん 公民館事業 講師・大森久美子さん 佐藤由美さん 蕨市立南公民館 所在地:埼玉県蕨市南町2-23-19 電話番号:048-442-4055 利用時間:9:00~22:00 休館日:毎月末日、12月28日~1月4日 URL:http://www.city.warabi.saitama.jp/hp/menu000000700/hpg000000603.htm

蕨市立南公民館・南町コミュニティセンター

※この情報は2015(平成27)年5月時点のものです。

地域で広がる子育ての輪/蕨市立南公民館 公民館職員・庄野彩子さん、公民館事業・講師・大森久美子さん、佐藤由美さん
所在地:埼玉県蕨市南町2-23-19  
電話番号:048-442-4055
利用時間:9:00~22:00
休館日:毎月末日、年末年始(12月28日~1月4日)
http://www.city.warabi.saitama.jp/hp/men..

「川崎市立御幸小学校」鈴木和裕校長先生インタビュー

地域とともに歩む伝統校/川崎市立御幸小学校 校長 鈴木和裕先生


明治天皇が梅見に訪れたことを記念して名づけられた「川崎市立御幸小学校」は、来年145周年を迎える歴史のある学校。地域の人々と保護者からなる図書ボランティアや活発なPTAなど、学校の教育活動に協力的な地域性が、子どもたちの健やかな成長をしっかりと支えている。そんな「御幸小学校」の鈴木校長先生に、学校の歴史や日頃の学校の様子などについてお伺いした。

明治天皇行幸の光栄が校名になった誇りある学校

「川崎市立御幸小学校」

――学校の沿革や概要について教えてください。

鈴木校長:本校は1873年(明治6)年4月20日に開校した、今年で144年目を迎える歴史ある学校です。この辺り一帯は17世紀中頃に梅が植えられはじめ、1880年(明治13)年3月19日に明治天皇が観梅のために行幸されました。この光栄を記念として、南河原をはじめとした10ヵ村が合併され「御幸村(みゆきむら)」と名づけられたそうです。1924(大正13)年に御幸村は川崎町・大師町とも合併して川崎市になり、36年間存続した「御幸」という名前は消えてしまいました。本校の「御幸」という名前は唯一残された明治天皇行幸の名残であり、地域の方々の誇らしい気持ちの表れであると考えています。
現在は全校生徒850名の子どもたちが毎日元気に登校してきています。多摩川沿いなどの開発に伴い、生徒数も右肩上がりに増えており、3年後には全校で1,000名を超える見通しです。

「川崎市立御幸小学校」鈴木和裕校長先生

――9年前に新築された校舎はモダンなデザインですね。

鈴木校長:2009(平成21)年に河原町小学校が吸収合併された翌年に、この新校舎が建設されました。なかなかモダンな外観で、当時は神奈川建築コンクール優秀賞をいただきました。教室はオープンスクール形式で、各教室は壁で区切られていないので開放的で明るい雰囲気になっています。
また今年度、全校生徒1,000名を見据えての増築工事も完了しました。万全の準備が整った状態で来年4月に新しい1年生を迎えることができるので、ひと安心しているところです。

校庭から見た「川崎市立御幸小学校」校舎

――教育目標について教えてください。

鈴木校長:本校の教育目標は「やさしく・かしこく・たくましく」で、頭文字を取って「御幸のやかた(館)」と、子どもたちも親しみを込めて呼んでいます。具体的には、

  • 「人の話を聞く態度」の発達段階に応じた指導
  • 国語科を中心とした校内研究の充実を図る
  • 各家庭と連携し「早寝・早起き・朝ごはん、朝うんち」の習慣定着を図る
  • 「できる、できる、絶対できる」(ペップトーク)という前向きな指導を通して自尊感情を育てる
  • フェアプレイの精神である、「全力で取り組む」「ルールを守る」「友だちを大切にする」ということを日常的な心構えとして指導する
  • 児童支援コーディネーターを中心とし、子どもを細やかに見取り支援し、保護者の方々と連携をして子どもを育成する

という主に6つのことに取り組んでいます。
また子どもたちが自主的に考えた「力を合わせて夢の一歩をふみだそう! ひかりかがやく御幸の子」というスローガンは、運動会などの行事のテーマに掲げています。

「力を合わせて夢の一歩をふみだそう! ひかりかがやく御幸の子」

――今年度、力を入れて取り組んでいる教育や学習内容はありますか?

鈴木校長:この2年間は国語の校内研究をしており、各学年2クラスずつが研究授業や講師を迎えての講座をとおして「自分の思いを伝え合いながら、心を通わせる御幸の子」というテーマで、子どもたちの国語力の育成を図っています。

――この地区ならではの伝統芸の授業もあるとお聞きました。

鈴木校長:この幸区には享保年間に始まった小向獅子舞と呼ばれる一人立の獅子舞があり、神奈川県の無形民俗文化財にも指定されています。小向にある八幡大神の例祭に合わせて披露されるもので、体を左右に動かしながら中腰で手を振るように回して、飛び跳ねて舞う特徴ある獅子舞です。本校では3年生の総合的な学習で、この獅子舞について歴史や成り立ちを調べて自分たちが住んでいる街の伝統芸能について造詣を深め、実際に練習をして自分たちで舞ってみるところまで授業で行っています。

「川崎市立御幸小学校」教室内

通級指導教室や児童支援コーディネーターなど特徴が光る御幸小学校

「川崎市立御幸小学校」校舎

――児童支援コーディネーターというのは、どのような役割があるのでしょうか?

鈴木校長:児童支援コーディネーターとは、従来の「特別支援教育」に「児童指導」や「教育相談」の機能を加えて、全ての児童を対象とした校内の児童支援活動を担当する専任の教職員のことです。現在川崎市内の113校中79校に配置されています。
朝の挨拶運動に加わって児童の登校の様子を見守ったり、各クラスの学習や生活の様子を見回って、子どもたちとコミュニケ―ションを図りながら、悩んでいる子や問題を抱える子がいないかを確認しています。子どもはもちろん、保護者も対象にした相談も受け付けており、さまざまな問題が大きくなる前に解決できるようにサポートしています。
文部科学省が発表する「いじめの認知件数」は右肩上がりに増えていますが、これはいじめが増えているというよりも、児童支援コーディネーターなどのいじめを察知する教職員の人数が増え、網の目が細かくなっていることを表しています。
本校でも日常の小さな出来事も見逃さずに、何か問題があればすぐに職員や親御さんとも連携を取るようにしています。児童支援コーディネーターは必要があれば区のソーシャルワーカーや派遣カウンセラー、医療機関とも連携が取れるので、学校としても心強い存在です。

「御幸小学校わくわくプラザ」

自主的・積極的に動いてくれるボランティアやPTAに支えられて

――文部科学大臣賞を受賞された図書ボランティアには地域の方々も積極的に参加されているそうですね。

鈴木校長:保護者や卒業生の保護者、地域の方々が一緒になって図書ボランティアの活動をしてくださっているのですが、毎日学校に足を運んでくださり、読み聞かせや紙芝居、図書室の環境整備などを一生懸命やってくださっています。図書室は、パソコン室が隣接していて非常に使いやすい造りになっているのですが、その環境に磨きをかけるように図書ボランティアさんたちの働きが、図書室の使いやすさ・親しみやすさにつながっているようです。
地域の方々も、図書ボランティアなどを通じて学校内にどんどん入ってきてくださり、保護者たちはもとより、子どもたちとも日常的に関わりを持ってくださるので、本当に有難い存在です。

学校を支える図書館ボランティアの存在

――PTA活動も全国優良PTAとして表彰されるほど盛んだとお伺いしました。

鈴木校長:運動会などの行事のサポートをはじめ、校外や広報などのさまざまな委員会に分かれて活動し、子どもたちの教育活動や日常生活に大いに貢献してくれています。地域によってはPTA役員のなり手がなくて困るという話も聞きますが、本校ではそういうことはまったくないので助かっています。
例えば今年は校舎を増築した関係で運動場が広く使えず、運動会でのお弁当は子どもは教室で、保護者は一度帰宅してもらう形を取りました。初めての試みでしたので、さぞかし保護者の方々からは不満の声が出るだろうと想像していましたが、PTAの方々の事前告知や説明の仕方がよかったのでしょう。特に大きな問題もなく、皆さんじつに協力的に受け入れてくださって、助かりました。日頃の連携と信頼関係が大切なのだと痛感した出来事です。

「川崎市立御幸小学校」校庭の様子

――子どもたちや保護者の方々はどんな雰囲気なのでしょうか?

鈴木校長:まず子どもたちは自己肯定感が高く、堂々とした子どもが多いですね。先日、児童が人前で発表するような機会があって聞いていましたが、声も張りがあって堂々としていて、ほかの先生に「校長先生、負けましたね」と言われました(笑)。それを聞いて、じつに頼もしいというか嬉しい気持ちになりましたね。
また保護者の方々も本当に学校の教育活動に協力的で、関心もお持ちです。先日もフェスティバルと呼ばれる学習発表会に多くの方が足を運んでくださって、子どもたちもやり甲斐を感じて張りきって発表していました。

恵まれた環境で自己肯定感を育む子どもたち

――この地域の魅力について教えてください。

鈴木校長:沿革にもあるように「小向の梅」は地名の由来ともなっていて、御幸小学校の校章にもデザインされているくらい、この地域の名物です。近年は梅の本数が少なくなってきたということで、幸区の区役所が旗を振って「梅の木を増やそう」という運動も始まっているようです。御幸公園に梅林を増やそうと植樹をしたり、学校などにも「梅の木を植樹しませんか?」と積極的に声がけしてくださいます。こういう点でも地域の特性を残そう、大切にしようという気持ち・地域愛が強い地域だなと感じますね。
また近くの「日蓮宗妙光寺」には、18世紀に川崎宿の財政を立て直し、復興と繁栄をもたらす礎を築いて幕臣となった田中休愚(きゅうぐ)の墓があり、本校敷地にも記念の石碑があります。この地区のヒーローなんですね。
このように御幸小学校の学区域は由緒ある歴史と、現在の川崎の特長が見られる貴重な地域です。

川崎市立御幸小学校 校長 鈴木和裕先生

川崎市立御幸小学校

校長 鈴木和裕先生
所在地 :川崎市幸区遠藤町1
TEL :044-511-4317
URL:http://www.keins.city.kawasaki.jp/2/ke202401/
※この情報は2017(平成29)年1月時点のものです。

地域とともに歩む伝統校/川崎市立御幸小学校 校長 鈴木和裕先生
所在地:神奈川県川崎市幸区遠藤町1 
電話番号:044-511-4317
http://www.keins.city.kawasaki.jp/2/ke20..

スペシャルインタビュー

早稲田の街でライフスタイルを彩るお店を。日本初のブリュレフレンチトースト専門店/ForuCafe(フォルカフェ)代表取締役 平井幸奈さん


「早稲田」駅からから早稲田通りを少しだけ高田馬場寄りに進むとある「ForuCafe(フォルカフェ)」は、「早稲田大学」出身の店主が、在学中に立ち上げた小さなカフェ。看板メニューは“日本初”でもあり、“世界初”でもあるという「ブリュレフレンチトースト」。その珍しさからマスメディアなどの注目を集めた時期を経て、現在は落ち着いた地元密着型のカフェとしての雰囲気も感じさせる。

店主の平井幸奈さんは、“世界一の朝食”で知られるあの人気カフェ「bills(ビルズ)」のフレンチトーストに魅了され、シドニーの本店でも働いたという、好奇心あふれる笑顔の素敵な女性だ。現地の人々の豊かな日常に刺激を受け、帰国後「日本の女性たちのライフスタイルを彩りたい」という思いを胸にこの店を開いたそう。現在はカフェ経営以外にも、オリジナル商品の販売やプロデュースにも精力的に取り組んでいる。今回はそんな平井さんを訪ね、「ForuCafe」のこだわりと、早稲田の魅力についてお話を聞いた。

大学在学時にお店をオープン

「ForuCafe」を経営する平井幸奈さん

――まずは、お店のコンセプトについてお聞かせください。

平井さん:2013(平成25)年9月にオープンしたお店で、「日本初のブリュレフレンチトースト専門店」という肩書をつけています。ブリュレとはフランス語で“焦がす”という意味がある言葉なのですが、甘いフレンチトーストの表面に、カソナードというお砂糖をまぶして、バーナーで焦がし、パリッとした新食感のフレンチトーストにしています。お食事系のフレンチトーストも提供していますから、ランチや軽い夕食などとしてもお召し上がりいただけます。

――「ブリュレフレンチトースト」は平井さんが考案されたということですね。

平井さん:はい。私が開発した、ここだけの独自商品です。メディアなどでも紹介していただき、今では関西圏で出していただけるお店もありまして、スタッフの間で「本当に“日本初”になったね!」なんて言っています。嬉しいですね。

看板メニューの「ブリュレフレンチトースト」

――ご自身が「早稲田大学」在学中にお店を開業されたそうですね。その背景には、どんな思いがあったのですか?

平井さん:私が大学2年生の時に表参道の「bills」でアルバイトを始めたことがきっかけです。もともと留学したいという思いもあり、両親に相談したところ「お金は自分で用意しなさい」とひと言。それなら働きながら留学すればいいと思い、料理長に頼み込んで、シドニーの本店で働かせてもらえるように手配していただいたんです。それからオーストラリアに渡り、ワーキングホリデーの制度を使って本店で働かせていただきました。その時にプロフェッショナルな料理人と触れる機会もありまして、自分でも何かをやってみたいという思いが芽生えてきました。

ワーキングホリデーの間は総料理長のアシスタントもやらせていただいてすごく良い経験になったので、何か形にして発信できたら、と思いながら帰国しました。それからは料理教室やカフェのプロデュースをするなど紆余曲折を経て、まずは小さくても自分がすべてをプロデュースするお店をつくろうということで、この店が生まれました。

「bills」は“女性が憧れを持つお店”ということをひとつのポリシーにしているんです。美味しいだけではなく、『それを食べている私』という体験までをひとつのパッケージとして提供している店です。私もそういった体験をしてもらえるお店をつくりたい、という思いがありました。

――そんな思いが詰まった店を出すロケーションに、早稲田を選んだのはなぜですか?

平井さん:最初は表参道や代官山で場所を探していたんですが、やはりすごくお金がかかることがわかり頓挫してしまいました。それからは別の地域も探すようになり、土地勘がある場所がいいという思いもあったので、自分が暮らす早稲田の街に決めました。

暮らしを彩る数々のアイディア

愛着のある早稲田の街の一角にオープン

――「ブリュレフレンチトースト」以外にも、「フォルグラノーラ」「ドラフトコーヒー」と、他店にはない商品が看板商品となっていますね。これらの特徴を教えてください。

平井さん:メインの「ブリュレフレンチトースト」は“五感を刺激するフレンチトースト”がテーマになっています。見た目も華やかで、食べて美味しく、見て楽しい、さらにこの空間も含めて、『それを食べている自分』に価値や幸せを感じていただければと思っています。

「フォルグラノーラ」は、フレンチトーストの次に商品化しました。もとはスタッフのまかないとして作っていたグラノーラを、美味しいから商品化してみようという話になったのがきっかけです。カフェの2階にある工房で作っていまして、高島屋や東急プラザなどでも販売しています。持ち帰りや常温保存が可能な商品なので、今後いろいろな可能性が広がると思っています。

カフェ内の工房でつくっている「フォルグラノーラ」

「ドラフトコーヒー」は、「フォルグラノーラ」の販売促進でシンガポールに行った時に、現地の方がビールサーバーからコーヒーを注いでいたのを見て、“面白い!日本に持ってきたい!”と思ったことがきっかけです。コーヒーを7時間かけて水出しし、樽詰めをして、窒素を注入たうえで提供しているんです。見た目は黒ビールのようですが、窒素ならではのまろやかな口当たりを楽しんでいただけます。

クリーミーな口当たりが特徴的な「ドラフトコーヒー」

基本的には日常生活の中で、これいいかも、と感じたものを商品化していくという流れですね。その時は、女性ならではの視点を大事にしています。カフェにも社名にもついている「フォル」は「FOR YOU(U)」という意味を込めていますので、人々のライフスタイルを彩るような商品を、今後もどんどん発信させていただきたいなと思っています。

――サービスや空間づくりについて、女性ならではの思いやこだわりがあれば教えてください。

平井さん:空間も、同じく「FOR YOU」がコンセプトですので、「ハート」のモチーフを店内のさまざまなところに隠していたりします。入った瞬間、「あ、可愛い」と感じていただけたら嬉しいですね。小さなお店ではありますが、ゆっくりと楽しく過ごしていただけるように心がけています。

街の人に愛されるお店へ

装飾一つ一つにも女性らしいセンスとこだわりが詰まっている

――どのようなお客様が多いのでしょうか?

平井さん:立地上もちろん学生さんも多いのですが、夕方や夜、特に週末は女性がひとりで来られたり、ご家族一緒だったり、幅広いお客様に使っていただいています。夜は「ナイトアフタヌーンティー」をやっていますので、その時間帯は20代、30代の女性の方の利用が多く、年間を通しても一般のお客様が中心のお店です。

――今後の展開の予定や、平井さんご自身の夢についてお聞かせください。

平井さん:「ForuCafe」としてではなく、会社「フォルスタイル」としてのビジョンになりますが、「ブリュレフレンチトースト」をはじめとした一つひとつの商品ブランドを強くすることが大事だと思っているので、しっかりプロデュースをして、世の中に広げていきたいと思っています。

また一方で、これからどんどん会社が成長していく中、自分たちの生活の中にある“あったらいいな”を、新しいブランドとしてプロデュースできればと思っています。ゆくゆくは、食を基点に人々のライフスタイルを彩っていきたいというのが私の夢ですね。その中で「ForuCafe」については、地元の方に愛されるというのも大事なフェーズだと思っていますので、今後も地元の方を大切にしたお店づくりをしていきたいです。

魅力溢れる早稲田という街

――続いて「街の魅力」についてお聞きします。早稲田と言えば学生街のイメージが強い場所ですが、大人の女性の視点から、街の魅力や個性はどのような点にあるとお感じですか?

平井さん:私も早稲田に6年ほど住んでいますが、住みやすい街だと感じますね。大学があるので治安は良いですし、都会のガヤガヤ感がないです。それでいて、どこへ行くにもアクセスが良く、飲食店やスーパーも多いので生活するうえではとても便利です。

買い物や生活利便施設も揃い、暮らしやすい環境

飲食店についても、学生街だと「安くてボリューム満点」というようなお店が浮かびますが、早稲田には繊細で凝った料理を出す店もたくさんあるんです。選択肢も多いので、そうした飲食店を巡るのも楽しいと思います。

私は「早稲田大学」の学生だったので、この場所に特別な愛着があるのですが、客観的に見れば、高田馬場や神楽坂、新宿といった特徴的な街に囲まれていながらも、落ち着いて静かに暮らせる街なのかと思います。

――この街のおすすめの過ごし方、おすすめのお店や場所などがあれば教えてください。

神田川沿いの遊歩道

平井さん:一番は「ForuCafe」ですね(笑)!また「大隈庭園」も素敵ですし、春は神田川沿いの桜もきれいですよ。飲食店では「montee(モンテ)」というカジュアルフレンチのお店や、学生は入れない大人向けの「キッチンブイ」というバルがあったりして、私も時々行っています。一方で、昔ながらのうなぎ屋さんや老舗そばの「金城庵」もあり、幅広い年代の方が楽しめる街だと思います。

――最後に、これから早稲田に住みたいという方に向けて、メッセージをお願いいたします。

平井さん:早稲田は各方面へのアクセスも良く、コンパクトにいろいろなものがまとまっているので、すごく暮らしやすい街だと思います。その街の中で、私たち「ForuCafe」も気軽に来ていただけるようなお店を目指していますので、ぜひお越しください。

ForuCafe (フォルカフェ) 店主 平井さん

Foru cafe(フォルカフェ)

株式会社フォルスタイル 代表取締役 平井幸奈さん
所在地 :東京都新宿区西早稲田2-4-26
TEL :03-6233-8739
URL:http://forucafe.com/
※この情報は2017(平成29)年4月時点のものです。

早稲田の街でライフスタイルを彩るお店を。日本初のブリュレフレンチトースト専門店/ForuCafe(フォルカフェ)代表取締役 平井幸奈さん
所在地:東京都新宿区西早稲田2-4-26 1F
電話番号:03-6233-8739
営業時間:11:00~18:00(L.O.17:30)
定休日:年末年始
https://forucafe.com/

府中市都市整備部地区整備課、まちづくり府中 インタビュー

40余年の年月を経て完了に至った「府中」駅前の再開発と、今後のまちづくり/府中市 都市整備部地区整備課 轟さん・一般社団法人まちづくり府中 岩田さん・南學さん


2017(平成29)年7月に「LE SIGNE(ル・シーニュ)」が開業したことで、府中駅南口地区再開発事業は完了した。計画から実に43年を経てのことである。今回は、再開発が決定するまでの経緯と完了後について、そして、再開発によって高められた府中の魅力を「都市整備部地区整備課」の轟さんと、一般社団法人まちづくり府中の岩田さん・南學さんに伺った。

計画から43年越しの完成となる「府中」駅南口の再開発事業

――「都市整備部地区整備課」の概要と「まちづくり府中」の活動について聞かせてください

轟さん:地元の権利者によって組織された組合に対し、助言・指導することや補助金の手続きを行うことが主な業務となります。また、1年間に4回ある市議会定例会の再開発対策特別委員会に報告することも業務の1つです。再開発事業の施行者(組合)には、国や都などの補助金が投入されますが、間接補助であるため、組合が補助金を受けるためには、府中市が間に入らなくてはならない理由があります。

岩田さん・南學さん:「まちづくり府中」に関しては、中心市街地のエリアマネジメントを担っています。商業施設や公共施設を巻き込みながら地域活性を図り、各団体との調整やイベントの企画、また府中駅周辺商店街マップなどのチラシも発行しています。

「府中」駅前の様子

――「府中」駅前における再開発の目的、またこれまでの経緯について教えていただけますか?

轟さん:府中駅南口地区は、駅の開業とともに自然発生的に発展したため、道路が狭いだけでなく、一帯は商店や住宅などの木造家屋が密集していました。そこで府中市は、都市工学の権威のある東京大学の高山研究室に、総合的な都市診断を依頼しました。その結果、地域開発と都市防災の両面から再開発の必要性を説かれたため、中心商業地区にふさわしい街区―公共施設の整備、商業の近代化、防災に強い街づくりなどをテーマに、府中市の表玄関として再整備することになりました。

轟さん:「伊勢丹」と「フォーリス」を中心とする第2地区は1993(平成5)年12月より再開発ビルの工事に着工し、1996(平成8)年に完成。駐車場や道路整備が図られたことで、市民生活はより便利なものとなりました。第3地区については2005(平成17)年3月に商業施設の「くるる」が完成、そして「LE SIGNE」のある第1地区が2017(平成29)年7月に完成したことで、40年以上にわたって進められてきたプロジェクトがついに完了したのです。

「LE SIGNE」

――再開発を進めるにあたり、住民から意見や要望はありましたか?

轟さん:これまでの木造家屋が密集し、各店舗が営業している街並みに愛着を持たれている方もおり、存続させてほしいとの声もありました。テナントの選定に関しては、要望をいただいたこともあり、施行者である組合に対し、要望があったことを伝えました。

「LE SIGNE」

今後は街のさらなる活気づくりに注力

――今後の注目は“ソフト面をいかに充実させるか”ですね?

岩田さん・南學さん:商業施設が立ち並んでいる「府中」駅周辺ですが、それぞれが独自のイベントを主催し、これまで“府中”という旗印のもとでイベントが開催されたことはありませんでした。今回、「まちづくり府中」がコーディネイトすることにより、ペデストリアンデッキでの合同イベントが実現しました。今後はさらに、周辺の13の商店街と連携しながら、街全体の活性化に繋げていければと思っています。また、市内全体にも目を向けて、人気店の紹介をけやき並木で行うのも面白いかもしれません。府中市の表玄関が整備されたことを機に、街のさらなる活気づくりに貢献できるよう「まちづくり府中」としても、これまで以上に頑張っていきたいと思っています。

魅力あるまちづくりを進める「まちづくり府中」

――府中市は、どのような街を目指していくのですか?

岩田さん・南學さん:“街の活性化”が主要テーマである「府中市中心市街地活性化基本計画」に基づき、「商業活性化の推進による魅力あふれるまちづくり」、「地域資源を活かした賑わいのあるまちづくり」、「文化・歴史を育み暮らしやすいまちづくり」を掲げ、賑わいを創出することで市民・来訪者が集い、さらに交流する文化・歴史ある中心市街地の形成を目指しています。

国指定天然記念物 馬場大門のケヤキ並木

――「府中」駅を中心とする区域の魅力について聞かせてください

岩田さん・南學さん:やはり「大國魂神社」の参道でもある「馬場大門のケヤキ並木」がもたらす景観が一番の魅力です。駅の近くにこれだけのケヤキ並木がある街は、あまり多くはないと思います。このケヤキ並木があるから府中で踊りたいという「よさこいin府中」の参加チームもあるくらいです。また「大國魂神社」を中心に、毎月のように祭りが開かれることも大きな魅力ですね。来て、見て、住むことで魅力が実感できる街ではないかと思います。

府中市 都市整備部地区整備課
轟さん

一般社団法人まちづくり府中
岩田さん・南學さん

府中市:https://www.city.fuchu.tokyo.jp/
まちづくり府中:http://machidukuri-fuchu.jp/
※この情報は2017(平成28)年7月時点のものです。

40余年の年月を経て完了に至った「府中」駅前の再開発と、今後のまちづくり/府中市 都市整備部地区整備課 轟さん・一般社団法人まちづくり府中 岩田さん・南學さん
所在地:東京都府中市宮西町2-24 
電話番号:042-364-4111
開庁時間:8:30~17:00 ※第2・4土曜日8:30~12:00に一部窓口を開設
閉庁日:土・日曜日、祝日、年末年始
https://www.city.fuchu.tokyo.jp/

「蔵カフェ」オーナーインタビュー

歴史香る街並みにゆったりと時を刻む/蔵カフェ オーナー 石塚 栄子さん


「蔵カフェ」は、「府中」駅の南、武蔵国の総社である「大國魂神社」のほど近くにある人気カフェ。創業1860(安政6)年という老舗造り酒屋の蔵を改装した店内では、大きな梁と太い柱が静かに時を刻み、まるでタイムスリップしたようなレトロな空気がほっと心を和ませくれる。この店でオーナーを務めるのは、石塚栄子さん。この人に会いにくるリピーターもきっと多いはず、そう思わせるような人を包み込むような温かい笑顔が印象的だ。府中を愛してやまない石塚さんに、カフェや地域の魅力についてお話を伺った。

造り酒屋の酒粕を使ったオリジナルのラテが人気

蔵の建物で営業している「蔵カフェ」

――建物が7代続く老舗造り酒屋・野口酒造店の蔵だそうですね。

そうなんです。ここは「蔵カフェ」になる前、お隣の野口酒造が酒蔵を改装して作った喫茶店で、私はそのお店で働いていました。10年程働いて「どこかに自分のお店を持ちたいな」と思うようになった矢先、いろいろなご縁でここをお借りできることになり、お店をオープンするという念願が叶った次第です。「蔵カフェ」としてリニューアルオープンして、今年でちょうど3年目になります。

――人気のメニューやおすすめを教えてください。

最近当店の看板メニューになりつつあるのが、野口酒造の地酒「国府鶴」の酒粕を使った「酒粕ラテ」です。せっかく酒造の蔵を使用しているので、酒粕のメニューを出したいと考えて作ったオリジナルレシピで、酒粕にミルクとハチミツを加えています。

人気メニューの「酒粕ラテ」

体に良い発酵食品を使用しているのが人気の理由でもあると思うのですが、他のお店にはないということもあって、みなさん”一度は飲んでみよう”と思ってくださるようです。最近はお野菜たっぷりの手づくりランチも始めて、女性客を中心に好評です。当店はケーキも全部手づくりなので、そちらも人気がありますね。

お店自慢のチーズケーキ

――思わず入りたくなるような素敵な雰囲気ですが、空間づくりへのこだわりはありますか。

実は特にこだわりはないんですよ。オープン当初、蔵の中をどんな風にしたらいいのかわからなかったので、とりあえず、私の家にあったアンティークのカントリー家具を置いてみたら合うかなと思って。昔から少しずつ集めてきたもので、ウインドウや壁、棚のあたりに置いてある家具は全部そうです。

アンティーク家具で雰囲気が作られた店内

ゆったりと寛げる語らいの場であり続けたい

――お客様はどのような方が多いですか。

女性の割合が多いですね。お友達や職場の方と利用されていて、特にランチは圧倒的に女性のお客様です。昔はお客様の年齢層が高かったんですが、嬉しいことに、最近は20代、30代といった若い方も来てくださるようになりました。それと、近くにある「府中市役所」や「府中市合同庁舎」にお勤めの方たちが常連さんになってくださって。毎日お店が賑わい、本当にありがたいです。

女性客を中心に多くの人が訪れる

――2階のスペースでイベントを開いているそうですが。

2階は30人弱が入るスペースになっていて、第3火曜日にジャズコンサートを、またギターのライブも開いています。建物に音響効果はありませんが、蔵の作りの影響で結構音色がよく響きますよ。ワンドリンク付きで、カフェメニューも注文していただけます。酒屋さんによる利き酒の会もあります。そのほか、陶芸展や書道展など、ギャラリーとしても貸出ししています。

2階では様々な催しが開かれる

――今後、「蔵カフェ」はどのようなお店でありたいですか。

お客様にゆっくりした時間を過ごして寛いでほしいし、たくさんお話をする場であってほしいですね。カウンター席があり、そこで私はお客様のお話を聴く立場なのですが、私が聴くことで少しでもお客様の気持ちが楽になったり、頑張ろうと思ってくださったら嬉しい。カウンターで座られたお客様同士がお友達になることもあって、ここでいい関係を作られているなと思います。

大手のチェーン店はたくさんありますが、個人がカフェを運営していくにはなかなか厳しいのが現状。だからこそ、「蔵カフェ」はこのまま変わらず、ずっと長く続けられたらなと思っています。

交流の場となる「蔵カフェ」

神聖な社に守られた花火の音が聞こえる街

――府中の街のお気に入りスポットを教えてください。

やはり、街のシンボルでもある「大國魂神社」ですね。毎月1日はできるだけお参りすることにしています。大変歴史がある神社ですし、行っただけで気持ちがすっとする感じがします。やはりパワースポットだからでしょうか。武蔵の国を守ってくださっていると思いますよ。

「大國魂神社」

――最後に、府中の魅力についてお聞かせください。

緑が多く、毎月のように「大國魂神社」のお祭りがあるので、本当に花火がよく鳴る街です。7月は「すもも祭り」がありますし、8月は「八朔相撲祭り」、9月は「くり祭り」、11月になると「酉の日」で、そしたらすぐに暮れです。どのお祭りも盛り上がりますし、この街へ来て本当に良かったなと思っています。

歴史ある街、府中

そういえば、ちょうど店の前にあるのが御旅所(神霊の渡御のとき、神霊を仮に安置するところ)で、「くらやみ祭り」の時は8基のお神輿が一泊される場所なんです。「蔵カフェ」に座って向こう側を見たら、いつもとはちょっと違う、いい景色が目に映るんではないでしょうか。

石塚栄子さん

蔵カフェ

オーナー 石塚 栄子 さん
所在地 :東京都府中市宮西町4-2-1
電話番号:080-9170-3954

※この情報は2017(平成29)年7月時点のものです。

歴史香る街並みにゆったりと時を刻む/蔵カフェ オーナー 石塚 栄子さん
所在地:東京都府中市宮西町4-2-1 
電話番号:042-362-2117
https://www.facebook.com/nakakyu1860/

充実の教育環境のなか地域と連携し、防災対策にも力を入れる「浦安市立高洲北小学校」/校長 森泉良一先生


「浦安市立高洲北小学校」は、2006(平成18)年に開校した比較的新しい小学校だ。地域の人々との連携にも積極的で、地域の学校として親しまれているという。今回は校長を務める森泉良一先生に、教育方針や地域との連携、そして街の魅力についてお話を伺った。

10年前に誕生、充実した設備が揃う

外観

――浦安市内でも新しい小学校ですが、特徴的な設備はありますか?

森泉先生:本校は2006(平成18)年に設立され、2016(平成28)年で10周年を迎えました。校舎はピンク色の外壁で、子どもたちからは「ピンクの学校」とも呼ばれています。

森泉先生:校舎の特徴としては、学年ごとに教室をまとめて配置しオープンスペースを設けています。また、調理室には机と分離されたガスコンロが置かれているなど、新しい校舎ならではの設備もあります。

調理室

森泉先生:浦安市の全小学校が対象ですが、すでに教室と体育館にはエアコンが設置され、快適な環境で学習することができるようになっています。来年度はさらに理科室や図工室など特別教室にもエアコンが付く予定です。これは全国的にも珍しいのではないでしょうか。

教室

――教育面ではどのようなことを重視していますか?

森泉先生:本校では『豊かな情操 知性を身につけた児童の育成』を教育目標に掲げ、子どもたちには『あいさつ せいとん 身だしなみ いつも きちんと できる子に』をあいことばとして教え、より良い生活習慣が身に付くよう促しています。学習面では基礎学力の向上と定着に力を入れています。本校では算数などで習熟度別教育や少人数教育を取り入れ、きめ細やかな指導を行っています。

浦安市漁業記念公園

森泉先生:また、本校周辺には「浦安市漁業記念公園」など地域の歴史を学べるスポットにも恵まれていますので、今後は地域を学ぶ教育にも力を入れていきたいと考えています。

外観

――校長先生として、先生方にどのような教育をしてほしいと考えていますか?

森泉先生:先生が子どもたちに愛情を注げば、子どもたちは心を開いて話せるようになります。ですから、先生方には子どもたちを好きでいてほしいし、子どもたちを愛してほしいと思っています。私は、子どもたち自身がわかるようになった、できるようになったなど成長を実感する瞬間に立ち会うとき、喜びを感じます。本校の先生にもそのような体験をしてもらえれば、校長としてこの上ない喜びです。

周辺の教育施設や地域の方々と連携して子どもたちを育てる

森泉校長先生

――小中連携にも力を入れているとお聞きしました

森泉先生:浦安市では小中連携教育に取り組んでいます。本校では「浦安市立高洲中学校」と「浦安市立高洲小学校」の3校で連携し、中学校の先生が6年生に英語の授業を行うなど小学校から中学校へ進学する際に不適応を起こさないように、さまざまな取り組みを行っています。中学校入学前には、中学校の各部活の練習風景を見学し、体験できる部活動交流会もあります。また、中学校の生徒が本校に来て、登校する子どもたちにあいさつをしてくれたり、陸上部の生徒が、本校の陸上大会の練習の指導をしてくれたりもしています。

――近隣には幼稚園や保育園もありますが、何か連携はされていますか?

浦安市立高洲保育園

森泉先生:本校に隣接して「渋谷教育学園浦安幼稚園」と「浦安市立高洲保育園」があります。本校からは5年生が幼稚園や保育園に行き、いっしょにお弁当や給食を食べたり、本校を案内したりしています。本校は「東京学館浦安中学校・高等学校」も隣接していますが、こちらとも吹奏楽部の指導をして頂くなどの交流があります。

――地域の方々との連携ではどのようなことが行われていますか?

おやじの会のうちわ

森泉先生:中学校の部活動交流会では、地域の方々も大勢参加してくださり、餅つきなどをしてくれます。浦安の伝統食に“ふうがし”と呼ばれるあさりの味噌汁がありますが、これを地域の婦人会の方々に作って頂いて、子どもたちが体験する行事もあります。本校からも教員が地域の夏祭りに参加し、輪投げなどの出し物を担当していますし、公民館の文化祭では本校の吹奏楽部や合唱部が演奏を披露しました。本校には「おやじの会」という組織があり、毎週土曜日のドッチボール大会を企画してくださるなど、大変お世話になっています。夏には校内で1泊する『学校に泊まろう防災キャンプ』というイベントがあり、バーベキューをしたり、花火をしたり、とても盛り上がります。この行事も「おやじの会」の方々に企画運営をして頂いています。

東日本大震災前から防災マニュアルを整備

――防災対策はどのようなことをされていますか?

避難場所を示す掲示

森泉先生:本校は2009(平成21)年に『学校と地域の防災教育モデル校』に指定され、浦安市の小学校の中でも早くから防災マニュアルを作成していました。その2年後に東日本大震災が発生した際、この防災マニュアルが大きな力になりました。もちろん現在も防災マニュアルは常備していますし、本校の廊下には地域の方々が避難してきた際に利用する各教室を示す掲示をするなど、防災対策を整えています。また、学校としても地震が発生した際に、まずは耐震性の高い体育館に避難し、その後保護者の方に引き渡す避難訓練も定期的に行っています。

新旧の魅力が融合した子育てしやすい街

――最後に、新浦安・高洲エリアの魅力を教えてください

うらっこ広場

森泉先生:本校周辺は浦安に古くから住んでいた方を両親や祖父母に持つ方が多く暮らしていますし、新しく浦安に越してこられた方もたくさん住んでいます。ですから、新旧の魅力が融合していることが特徴です。地域の人々はまちづくりに対する意欲が高く、地域全体で子どもたちを育てるという意識が強いエリアでもあります。「うらっこ広場」など子どもの遊び場もありますし、生活利便施設にも恵まれていますから、子育てしやすい街だと思います。

浦安市立高洲北小学校

校長 森泉 良一 先生
住所:千葉県浦安市高洲2-2-1
電話番号:047-381-8303
URL:http://www.city-urayasu.ed.jp/takki-es/
※この情報は2017(平成29)年2月時点のものです。

充実の教育環境のなか地域と連携し、防災対策にも力を入れる「浦安市立高洲北小学校」/校長 森泉良一先生
所在地:千葉県浦安市高洲2-2-1 
電話番号:047-381-8303
http://www.city-urayasu.ed.jp/takki-es/

堺市立市小学校 校長 山本先生 インタビュー

堺の街と時を歩み続けてきた「堺市立市(いち)小学校」/校長 山本先生


千利休・与謝野晶子・鉄砲・包丁・自転車・線香・古墳と教科書を開けば堺にゆかりのあることはたくさんある。そんな堺市で145年の歴史を持つ「堺市立市(いち)小学校」。堺の街と時を歩み続けてきた小学校を訪ね、山本校長先生にお話を伺った。

親子3世代にも渡る歴史を刻む小学校

堺市立市小学校校舎外観

――まずは市小学校の歴史と概要について教えて頂けますか。

山本先生:1872(明治5)年に設立され、145年の歴史のある小学校です。堺市内でも歴史の長い学校のひとつですので、お父さんお母さん、さらにはおじいちゃんおばあちゃんの時代から本校に通っていたという方もたくさんいらっしゃいます。2017(平成29)年度の児童数は336人、各学年2クラスと「ひまわり学級」と呼んでいる支援学級が4クラスあり、計16学級あります。

休み時間の様子

各学年2クラスなので、学年全員が顔見知りで仲が良いですね。そのなかで、「たてわり活動」なども行って異年齢交流もしているので、穏やかな雰囲気がある学校だと思います。

ピークの時には児童数が700~800人という時期もありましたが、ここ数年は350人前後を推移しています。新しいマンションも建っていますが、小学校に通う年齢層がマンションごとに入れ替わっているようです。

「堺市立市小学校」

――教育目標についてお伺いしたいと思います。

山本先生:「豊かな人間性をそなえ、文化を受け継ぎ、創造する人となるための基礎を培う」というのが本校の教育目標です。「い・ち・の・こ」という文字合わせで、「いつも明るく元気な子」「ちからを合わせて生きていく子」「のびようと努力する子」「こん気よく自分で考え行動する子」をめざす子ども像としています。そうした子ども像を念頭におき、「確かな学力の定着と向上」「豊かに伸びる心の育成」「健やかな体の育成」、いわゆる知・徳・体の向上を図ることを重点目標としております。

豊かな子どもの心をそだてる「たてわり活動」

堺市立市小学校校長 山本先生

――重点を置いている取り組みについて教えてください。

山本先生:「心を育てる」という道徳教育に力を入れています。これまでも道徳教育には取り組んでいましたが、2015(平成27)年度から、1つの中学校と3つの小学校で構成する「月州中学校区」で「豊かな心の育成事業」を合同で行なうこととなり、本校はその中心的な役割を果たしています。道徳の授業の様子

山本先生:1年生から6年生まで20人ずつの集団で遊ぶ「たてわり活動」を週に1回行っていますが、これも道徳教育に繋がっています。6年生はリーダーとなって遊びを考えたり、低学年の面倒を見たりします。子どもどうしの関わる力・繋がる力が育つだけでなく、低学年の子どもは遊びを通じてできることが増え、高学年の子どもは自分が誰かを手助けできるという心の成長に繋がります。

各授業でも活動の振り返りを行っていますが、「たてわり活動」の後には「○○ちゃんが縄跳びを飛べるようになった」「いつもより上手に飛べるようになって嬉しかった!また頑張って教えてあげたい」といった振り返りが聞こえてきて、子どもたちにも伝わっているなと感じています。

堺市立市小学校校舎外観

――「マイスタディ市」という取り組みに関して教えてください。

山本先生:「マイスタディ市」は3・4年生を対象に毎週木曜日の放課後を使って行っている希望参加制の放課後学習です。現在は20人ほどが参加していて、活動には教師も関わりますが、学生さんやOBの方が主体となって教えてくれています。

集団学習では少し学習ペースが掴みづらい子どもたちをサポートする仕組みで、活動が子どもたちにも浸透してきているので、「参加したいねん」と前向きに参加している子どもが多いです。

図書室

――図書館・読書などの学習への取り組みについてはどうですか?

山本先生:図書室の貸し出し冊数は年々増えていて、2010(平成22)年から現在では約3倍にも伸びています。これはいつでも利用できるように図書室に職員を配置したことと、授業でも調べ学習を推進している効果だと思います。もちろん本を読むことは大事ですが、調べ学習のように発展的な学習習慣に繋がっていることは効果が大きいと感じています。

地域の人々が見守る子どもたちの活動

「いこいの森」

――市小学校ならではの特徴的な施設はありますか。

山本先生:地域の方に40~50年ほど前に学校の敷地の一画を整備していただいた「いこいの森」でしょうか。街中の学校でも自然を失わないでほしい、という願いが込められていて、各種樹木や池や稲田があり、亀や鯉も泳いでいます。「いこいの森」のおかげで都会にありながら自然と触れ合い、セミの抜け殻調査や田植えから収穫などいろいろな学習ができます。

「いこいの森」で探検

また、器楽クラブやダンスクラブも盛んですが、器楽クラブは「堺まつり」や「ASEAN交流」での演奏も行なっていますし、ダンスクラブもいろいろなイベントでダンスを披露しています。そのイベント出演の際には機材運搬など、保護者・PTAの方にサポートしていただいています。

――地域の方との関わりが強い地域なのですね。

山本先生:歴史の長い学校ですので、地域の方々によって「市校振興会」という組織がつくられ、「いこいの森」の整備やクラブ活動の支援、図書の充実等、PTAと共に地域の方々が市小学校を支えようと積極的にサポートしてくださることは本当にありがたいです。そうした支援は子どもたちも感じ取っているように思います。こうした活動を評価され、2013(平成25)年には市小学校PTAが文部科学大臣から表彰を受けました。

文部科学大臣の表彰を受けたPTA活動

――最後に、先生から見た堺の街の魅力を教えてください。

山本先生:南海本線の「堺」駅からも本校が見えたり、市役所からも近かったりと、この辺りは非常に利便性が良いと思います。堺市はたくさんの史跡があり、鉄砲、包丁、お茶など名物も多くあります。海にも歩いてすぐに行ける距離ですし、知れば知るほど素敵な、魅力ある街だと思います。

堺市立市小学校校長 山本先生

堺市立市小学校

山本校長先生
所在地:大阪府堺市堺区市之町西3-1-14
電話番号:072-223-4610
URL:http://www.sakai.ed.jp/ichi-e/
※この情報は2017(平成29)年9月時点のものです。

堺の街と時を歩み続けてきた「堺市立市(いち)小学校」/校長 山本先生
所在地:大阪府堺市堺区市之町西3-1-14 
電話番号:072-223-4610
http://www.sakai.ed.jp/ichi-e/

堺市役所 子ども企画課 インタビュー

ソフトからもハードからも、安心して生み育てられる環境づくりを目指す/堺市役所 子ども青少年局


古代には「仁徳天皇陵古墳」をはじめとする「百舌鳥古墳群」が築造され、中世には海外交易の拠点として「自由・自治都市」を形成した堺市。戦後、臨海コンビナートと泉北ニュータウンの造成により、現在の姿となった。
堺市では「子育てのまち堺の実現」を市の最重点施策に掲げ、妊娠から出産、子育て期に至る切れ目のない支援の充実に、取り組んでいる。今回はその堺市で実際にどんな子育て支援が行われているのか、堺市子ども青少年局子ども企画課の西口さん、子ども育成課の赤銅課長と有働参事、幼保推進課の近藤課長にお話をうかがった。

地域社会全体で子育てを応援するまち、さかい

赤ちゃんを見守りながら、親同士も交流できるキッズサポートセンターさかい「赤ちゃん広場」

――「さかい子育て応援団」について、サービスの概要や内容について教えてください。

西口さん:2012(平成24)年度から堺市が行っている活動で、市内で子育てを応援する活動をされている企業・団体様に登録をしてもらい、その登録情報をアプリやfacebookで紹介するというものです。登録して頂いた企業・団体・店舗には「さかい子育て応援団」に参加していることが分かるロゴマークを掲示しもらい、子育てをしているご家族にも分かりやすいようにしています。

授乳スペースやキッズスペース、おむつ替えコーナー、多目的トイレの設置、ミルク用のお湯の提供、ベビーカー等の貸出し、子ども用イスの用意などサービスの内容は多岐にわたります。こうしたサービス情報などを「堺市子育て支援情報サイト さかい☆HUGはぐネット」によって提供し活用ができるように工夫しています。

――「さかい子育て応援団」のそもそもの目的とはなんでしょうか。

西口さん:市内の企業・団体等に、子育てを応援する取り組みに関心を持っていただき、地域社会全体で子育てを応援する機運を高めることが目的です。少子高齢化は日本の大きな課題ですので、社会全体で子育てを応援し理解深めていきたいと考えております。

近藤さん(左)と西口さん(右)

――現在どれくらいの参加企業や団体が参加しているのでしょうか。

西口さん:協賛数は現在約350となり、高島屋や大阪ガス、トヨタネッツカローラのような大きな企業から個人の飲食店や美容室など様々です。目標は500と掲げていますが、数字を目指すだけでなく、実際に子育て家族にとって有益なサービスになるように取り組みにも気を付けています。

利用者に合った情報をタイムリーに届ける「さかい子育て応援アプリ」

――「さかい子育て応援アプリ」について開発の経緯から教えて頂けますか。

西口さん:もともと堺市では子育て情報をメルマガなど様々な形で発信していましたが、それらを集約して利用者にとってもっと便利なものにしようと考えました。その結果、現在多くの方が利用しているスマートフォンのアプリがいいのではという結論になり、2017(平成29)年1月末に運用を開始しました。

子育て支援情報や保育所等のマップ情報、予防接種情報などの提供を主に、「さかい子育て応援団」に関しても特に授乳スペースのある施設・ミルクのお湯提供ができる施設・おむつ替えスペースがある施設に関してはマッピングして情報提供も行っています。

アプリの詳細についてはこちら
http://www.city.sakai.lg.jp/kosodate/hughug/seishonen_oshirase/ouen_appli/

「百舌鳥古墳群」

――サービスの特徴や機能的に便利なところなどを教えてもらえますか。

西口さん:利用者に合った情報をタイムリーに届けるということを目的として作られています。妊婦検診や乳幼児健診、予防接種の時期のお知らせなど、登録情報に応じた情報が届くようになっています。また、子育て世帯に必要な手当てや、こども医療費助成等の内容や相談の窓口案内、堺市の子育てサービスの情報を簡単に調べられるようになっています。子どもの成長記録や日記帳の機能もあるので写真も載せることもできます。(※SNSとは異なります)

――利用者の方の反響はいかがでしょうか。

西口さん:アプリの試験版を何人かのユーザーさんに使用して頂きましたが、関連施設マップとイベント情報が好評でした。トップメニューのひとつ「子育て支援情報」は堺市のホームページでも掲載していますが、部署によって情報が一元化されていない部分もあるため、アプリでは一元化されて見ることができて便利だという声を頂きました。また、運用から半年と少しなので、今後さらに改善されていく部分もあると思います。

――そのほかにも工夫などされている部分はありますか。

西口さん:やはり、応援アプリもその存在を知ってもらうことが第一歩になりますから、認知に漏れがないように出生届を提出して頂いた際や、保健センターに妊娠届を出して頂いたタイミングで案内のチラシを配るようにしています。

赤胴さんと有働さん

区内に31ヵ所の「みんなの子育てひろば」、「高島屋」内にも施設を設置

――堺市の子育て世帯への支援について、公演・講座やサポートセンター設置運営などの支援事業に関してお聞かせいただけますか。

有働さん:堺区の「堺東」駅に直結する「高島屋」のなかには「キッズサポートセンターさかい」という堺市、ボーネルンド、高島屋の3者共同で運営している施設があり、「堺市つどい・交流のひろば」「ボーネルンドあそびのせかい」「タカシマヤわくわくプレイス」の3つのゾーンがあります。

また、地域には「みんなの子育てひろば」があり、NPO法人や社会福祉法人などの団体に補助金事業として運営してもらっています。概ね中学校区の中にひとつを目安に、現在は31ヵ所を開設しています。どのひろばでも子育て情報の提供を受けたり、相談ができたり、定期的にいろいろな講座も開かれています。

認定こども園への移行数は、全国でもトップクラス

「日本の歴史公園100選」に入選した「大仙公園」

――待機児童など課題への取り組みに関して教えてください。

近藤さん:待機児童数ですが、今年4月が31人、昨年が16人、一昨年が54人という状況です。多い時で2012(平成24)年は457人だったのが、着実に減ってきてはいます。昨年はこれまでで最少となったので、今年こそはゼロにと思っていましたが…。

ここ数年は、既存施設の建て替えや増築、私立幼稚園の認定こども園移行促進を中心に、小規模保育事業も効果的に取り入れながら、対策を進めており、待機児童解消に向け、引き続き必要な受け入れ枠の拡充を進めていきます。また、子ども子育て支援新制度がスタートして3年目になりますが、堺市では、認定こども園の普及が進んでいます。現在、公立・民間あわせ、幼保連携型が98ヵ所、幼稚園型が6ヵ所、保育所型が3ヵ所と計107ヵ所の認定こども園があります。認定こども園への移行数は全国でもトップクラスです。

――認定こども園のメリットなどについて教えてください。

近藤さん:メリットの一つとしては、保護者の方が仕事を辞めるなど、就労状況が変わっても、お子さんは引き続き在園できるという点です。保育所であれば、保護者の方が仕事を辞めるなど、保育の必要がなくなれば利用できませんので、そういった点はお子さんや保護者の方にとっても安心ではないでしょうか。

キメの細かさは堺商人のDNA!?堺で安心子育て!

子育て施設が充実

――今までお話をうかがったこと以外で堺市独自の取り組みはありますか。

近藤さん:今後とも、安心してお子さんを生み、育てることができる環境を整えていくことが大事だと考えています。幼児教育の無償化が国において進められていますが、財源の確保が課題となっており、段階的に進めている状況です。

堺市では、お子さんが3人以上の世帯への独自支援として、3人目以降の保育料無償化を実施しています。世帯の所得や上の兄弟の年齢に関係なく、3人目以降のお子さんについて、0歳~5歳児の間の保育料を無償とするもので、これは政令市では初の取組みとなります。国の研究機関の調査では、理想のお子さんの数が3人以上だが現実的に難しい理由として、7割近くが経済的負担を理由に挙げています。特に経済的負担の大きい多子世帯への支援を通じ、少子化への歯止めにもつながればと思っています。

お話を伺った各部署の皆さん

また、待機児童問題といった、保育の量的な面が取り上げられることが多いですが、堺市では質的な部分も大事にしています。例えば、国の保育士の配置基準では1歳児は6人に保育士1人となっていますが、堺市は5人に1人としているほか、民間施設における配置改善などへの補助、資質向上のための研修の充実などにも力を入れています。

さらに、身近な認定こども園や保育所を「マイ保育園」として登録していただくことで、妊娠中からお子さんの小学校入学まで、保育士による育児相談や子育てに関する情報提供を受けることができる事業も実施しており、現在4,000人ほどの登録者がいます。

マイ保育園の詳細はこちら
http://www.city.sakai.lg.jp/kosodate/hughug/mokuteki/shiritai/teate/kosodate/myhoikuen.files/20160509101146.pdf

赤銅さん:働きながら子育てするうえで一番困るのは、お子さんの急な病気やケガです。堺市では現在5ヶ所の病児保育施設を開設しています。お子さんが病気のときでも安心して働けるよう専門の施設で保育士、看護師が保育を行います。また、今年度は新たに訪問型の病児保育事業をスタートする予定です。

有働さん:子育ての悩みや不安がある家庭などに堺市に登録されている「子育てアドバイザー」を無料で派遣する事業も行っています。子育てを終わられた方や、子育てに興味がある方が市が実施する研修を受け、子育てアドバイザーとして登録してもらっています。現在500名以上の登録がありボランティアで活動を行って頂いています。全国的にみても非常に珍しい取り組みで、政府広報のインターネットやテレビで紹介されたこともあります。

春にはつつじまつりで賑わう「浅香山公園」

――最後に、堺市の子育て環境としての魅力を教えてください。

赤胴さん:各種の制度がライフステージに応じて切れめのないきめ細かいサポートをしている部分は堺市の魅力かと思います。困ったときには相談するチャンネルがいろいろあるというところが子育てをする人にとって心強い部分ではないかと感じています。

近藤さん:市街地にも身近に大きな公園があるなど緑が豊かで、気軽に家族で楽しむことができます(1人あたりの公園面積も、政令市平均より高いです)。また、自治会活動も盛んで、学校の登下校時の見守り活動や地域の子育てサロンといった活動を通じ、地域全体でお子さんの成長を支えていこうという思い、人と人とのつながりを大事にしようという思いを、同じ堺に住む者として強く感じます。

西口さん:こども企画課でいろんな企画を行うのですが、参加してくださる市民の方が「少しでも人の役に立てば」という意識の強さを感じます。そういう社会意識・関心の強さは他ではなかなかないのではと思っています。そういった関心の高さが堺市の子育て支援のきめ細かいサポートを押し上げてくれているのかなとも感じています。

有働さん:与謝野晶子や利休など歴史文化が豊富で歴史にちなんだ包丁やお茶菓子などの名産も多いです。そういう歴史文化にも触れられる機会の多い街だということも伝えていきたいです。

堺市役所子ども青少年局子ども青少年育成部子ども企画課

堺市役所 子ども青少年局子ども青少年育成部子ども企画課

主査 西口朱弥さん
所在地:堺市堺区南瓦町3-1 堺市役所高層館8F
電話番号:072-228-7104
URL:http://www.city.sakai.lg.jp/shisei/gaiyo/annai/gyoseikiko/seishonen/index.html
※この情報は2017(平成29)年8月時点のものです。

ソフトからもハードからも、安心して生み育てられる環境づくりを目指す/堺市役所 子ども青少年局
所在地:大阪府堺市堺区南瓦町3-1 
電話番号:072-233-1101
http://www.city.sakai.lg.jp/index.html

「大東SSS」 団長 小野茂紀さん インタビュー

サッカーを通じて仲間の大切さ、社会性を育む「大東SSS」の取り組み/大東SSS コーチ 小野茂紀さん


穏やかな生活環境に恵まれた「さいたま市立大東小学校」を拠点に活動する「大東SSS(大東サッカースポーツ少年団)」。発足より40余年を迎える歴史のある団体で、「大東小学校」の卒業生や「大東SSS」のOBなど、地域貢献や子どもたちの健全育成に尽力する指導者も多く、サッカーを通じてさまざまな取り組みを行っています。今回は4代目の団長として「大東SSS」を率いる小野茂紀コーチに、少年団の特色や地域の魅力についてお話を伺いました。

発足より40余年を迎える歴史あるスポーツ少年団

元気いっぱいの大東SSSのメンバー

――まず、「大東SSS」の概要について教えてください。

小野コーチ: 「大東SSS(大東サッカースポーツ少年団)」は、1968(昭和43)年に開校した「さいたま市立大東(だいとう)小学校」と同時期に発足した団体で、40余年の長い歴史があります。私自身も「大東小学校」の出身で、「大東SSS」でサッカーに出会ってからかれこれ40年近くサッカーを続けています。

試合の様子

団員数は2016(平成28)年7月現在20名で、3名の女子メンバーも活躍しています。以前は女子のみで構成された女子チームもあったのですが、昨今「大東小学校」ではミニバスの人気が高く少数精鋭のメンバーで活動しています。活動拠点は「大東小学校」の校庭で、第1・3・5日曜日の午前中と、第2・4土曜日の午後の週に一回の練習が基本です。また本太や芝原、三室、北浦和など近隣小学校と合同で練習試合をすることも多く、今日は5年生の男子が他のチームに混ぜてもらって試合経験を積んでいます。

女子も元気に頑張ります

BBQ大会やクリスマス会など、サッカー以外のイベントも楽しみのひとつ

山登りの様子

――「大東SSS」ならではの特色は?

小野コーチ: まず20名の団員に対して指導に当たるコーチが10名もいることと、私も含めてサッカー経験者や「大東SSS」のOBも多く、子どもたちひとりひとりの技術や課題に向き合いながら指導に当たっています。サッカーの練習以外にも年間を通じてさまざまなイベントがあり、5月のBBQ大会をはじめ、8月に行われる山登りや自治会のお祭りでの御神輿、12月のクリスマス会など、保護者はもちろんOBや後援会も集まってみんなで大いに楽しみます。また、年に4~5回実施される「親子サッカー」も恒例のイベントで、「大東SSS」の活動を通じていろいろなことを経験してもらえればと願っています。

恒例の親子サッカーの様子

サッカーだけでなく行事なども通してチームワークを学べます

まずは“褒める”ことからはじめる指導を実践

褒めることを大切にしています

――指導するうえで大切にしていることは?

小野コーチ: 指導をするうえで大切なのは、まずは“褒めてあげる”ことだと思います。子どもも褒められると関心をもってこちらの言わんとすることを聞いてくれますし、注意したり叱ったりするときも、「何がいけなかったのか?」を子どもたちに考えさせることが大切で、考える筋道を示しながら指導するように努めています。

またサッカーに限らずひとつのことを“継続してやり続ける”ことの大切さも子どもたちに伝えています。なかなかサッカーが上手くならなかったり、人間関係に悩んだりといろいろあるかとは思いますが、社会に出ればそんなことはあたり前ですし、「継続は力なり」という言葉を実感として受け止めてもらえればと願っています。

小野さんが所属するシニアサッカーチーム

私もかれこれサッカー歴40年を迎えますが、週末は「大東SSS」の練習に当たるほか、東京都シニアサッカー連盟にも所属し、日々練習に励んでいます。近々、中国の広州、ソウル、東京の3大都市で行われるサッカーの試合に出場する予定もあり、現役としてサッカーの普及・発展に努めています。コーチの中にはプロのサッカー選手として活躍していた方もいて、サッカーを通じて夢や目標を叶えてきた私たち自身が子どもたちを後押しする良い見本となって指導ができればと思っています。

プロで活躍していたコーチから指導を受けられます

戸建てを中心とした落ち着いた雰囲気の街

さいたま市立大東小学校のグラウンド

――この地域の魅力についてお聞かせください。

小野コーチ: 実家も自宅も「大東小学校」の近くにあり、長年この地域に住んでいますが、戸建てを中心とした落ち着いた雰囲気が特徴です。大きなマンションも無いため、今はやや子どもの数が減少しているようですが、ここ数年あらたに分譲される戸建ても多く、穏やかな生活環境を求める子育てファミリーには人気のようです。

あたらしくこの地域に引越して来た方にとっては、「大東SSS」をはじめ少年団の活動などは地域の人と出会う良い機会でもあり、初心者はもちろん女の子もまずは気軽に体験に来てください。詳細はHPにも「メンバー募集」ページがあるのでぜひご覧ください。

男女問わずメンバーは募集中です

大東SSS(大東サッカースポーツ少年団)

団長 小野茂紀様
所在地 :さいたま市浦和区大東3丁目14−1(大東小学校)
URL:http://urawadaitohsss1969.wix.com/mysite
※この情報は2016(平成28)年7月時点のものです。

サッカーを通じて仲間の大切さ、社会性を育む「大東SSS」の取り組み/大東SSS コーチ 小野茂紀さん
所在地:埼玉県さいたま市浦和区大東3-14-1 
電話番号:048-886-7296
http://daito-e.saitama-city.ed.jp/

地域子育て支援の場にもなる児童館

地域の子どもの成長を温かく見守る「さいたま市立大戸児童センター」/さいたま市立大戸児童センター 館長 櫻井浩一さん


JR埼京線「南与野」駅から徒歩7分ほど、小川が流れる静かな住宅街を進むと見えてくる「さいたま市立大戸児童センター・与野南放課後児童クラブ」。0歳から18歳未満の児童を対象とした児童センターだ。幅広い年齢を対象として、子どもだけでなく子育てをする親御さんの安心できる場としても親しまれている同センターの特徴や周辺の子育て環境について館長の櫻井さんに話を伺った。

利用者は、近隣から地域外の人まで幅広く

「さいたま市立大戸児童センター・与野南放課後児童クラブ」入り口

―「さいたま市立大戸児童センター」について概要を教えていただけますか。

0歳から18歳未満の児童と保護者であればどなたでもお使いいただけます。毎日午前中には各種事業を行っていて参加は自由。事業以外の時間帯は、「集会室」や「遊戯室」で館内のおもちゃを使うなどして、9時から18時までの開館時間内であれば自由に遊んでいただけます。

図書室

―周辺にお住まいの方々のご利用状況はいかがですか。

「大戸」「鈴谷」「新中里」「その他」で地域分けをしています。「その他」の利用者は4割ほどで、さいたま市以外から来る方もいらっしゃいます。「大戸」だけだと4割程度ですね。最近は口コミの影響か「その他」の地域の方の利用が多いようです。周辺にも同様の施設はたくさんありますが、多くの利用者が複数の児童センターを利用されています。施設によって提供している事業に違いがあるので、日によって使い分ける傾向があるようです。

自由に参加できる充実した事業は、お母さんの交流の場にも

「ハイハイサロン」の様子

―毎日さまざまな事業が行われていますが、「元気にたいそう」「ハイハイサロン」「なかよしひろば」など乳幼児向けの定期行事について内容をお聞かせください。

「元気にたいそう」は、就学前のお子さんならどなたでも参加できます。リズムダンスをしたり、手遊びや読み聞かせなどを1回の事業の中で行います。体を動かしたいお子さんにおすすめです。

対象年齢を指定しない事業を中心に運営していますが、例えば0歳と2歳ではできることがまったく異なります。そこで、0歳児・1歳児・2歳児以上と年齢を区切った事業も設けていて、「ハイハイサロン」では、0歳児を対象としています。一番の目的は、0歳児を持つお母さんの「子育て」についての情報交換、友だちづくりの場の提供です。子育て中、孤立してしまいがちなお母さん方が交流する場にしていただければと思っています。

施設内観

「なかよし広場」は、2歳以上を対象としていて、1歳児を対象とした「ヨチヨチ広場」と内容は同じ。リズムダンスやふれあい遊びを導入として事業をはじめ、そのあと簡単な工作などを行います。いずれも保護者の方が手伝うので小さなお子さんでも十分に楽しんで取り組めます。そのほか乳幼児事業としては、保健センターとの協力で栄養士による保健指導、歯科衛生士さんによる歯磨き指導なども行っています。

―事業に参加するには申し込みは必要なのでしょうか。

自由参加なので、基本的には申し込みは不要です。歯磨き指導など、人数制限があるもの以外は、気軽に立ち寄って参加できます。申し込みが必要な場合はその旨がたより等に記載してあります。利用料はかかりません。

図書や絵本、漫画やカードゲームなどもそろっている

―小学生向けの「チャレンジタイム」や「つくって遊ぼう」などの事業について教えていただけますか。

平日の事業は乳幼児向けを中心に開催しているので、小学生向けの「チャレンジタイム」や「つくって遊ぼう」などの事業は土日に提供しています。「チャレンジタイム」は、週ごとに異なりますが、記録を競うようなゲーム感覚で楽しめる内容です。例えば、ストラックアウトや豆つまみなど、何回できたかと記録を競います。「つくって遊ぼう」は、工作をする事業で、こちらも週ごとに内容が変わります。

土日の事業はもちろんですが、学校から帰ってきた小学生が遊戯室を中心によく遊んでいます。1グループ20分間、卓球台の利用ができるので、思い思いに楽しんでいるようです。

季節ごとに楽しいイベントも開催

―7月の「子どもフェスティバル」というのは具体的にどのような内容なのでしょうか。

乳幼児向けと小学生向けと2つ行っています。内容は、いわゆる夏祭りで、ヨーヨー釣りや、さかな釣りなどのゲームを設置したり、今年の乳幼児向けの「子どもフェスティバル」は開催日が7月7日なので、七夕にちなんだ装飾をする予定です。フェスティバルは季節ごとに行っていて、春は春休みに合わせて小学生向けフェスティバル、冬はクリスマスの時期に乳幼児向けフェスティバルを開催しています。一番規模が大きいのは夏で、参加者はだいたい乳幼児向けが80人程度、小学生向けが30人から40人程度です。

―南与野エリアの子育て環境の魅力はいかがですか。

南与野エリアは、非常に住みやすい環境だと思います。鉄道の駅も「北浦和」駅、「南与野」駅2つあり、交通の利便性も良いです。「さいたま市立大戸児童センター」も、すぐ隣が小学校ですが、周辺には小学校や公園も多いのが特徴です。中央区には児童センターは3つあるので子育ての環境は良いといえるでしょう。大きい病院、保育園、公民館や大手スーパーマーケットなどもあり、充実した環境ではないでしょうか。障害児の施設も近くにあります。

地域で頼られる安心の施設を目指して

自由に遊ぶ親子の姿

―児童センターを通じた地域に対する思いなど今後の展望をお聞かせください。

子ども・青少年・子育て家庭を地域社会が笑顔でつながる児童センターを目指しています。不安を抱えている子育て家庭の支援や、遊びを通して青少年の健全な育成を目標に掲げています。最近では中高生の居場所というものにも注目が集まっているので、だれもが安心できる場所を提供していきたいですね。自治会や公民館などの関係施設との連携を通して、地域の中で信頼できるような場所になっていければと思っています。

利用者の声

広々とした室内で親子で交流できる

―児童センターの魅力を教えていただけますか?

Aさん親子:4月に越してきたばかりで実は今日が初めてなのですが、近所に公園がないので調べて来ました。施設自体が広いのが良いですね。引っ越し前もこのような施設は利用していたのですが、自分の息抜きにもなるのでそういう意味でも活用しています。

イベント参加も空き部屋で遊ぶも自由

Bさん親子:イベントが毎日行われているというのが大きな魅力です。親ひとりで子どもと家で向き合っていると煮詰まってしまうこともあるので、そういうのをきっかけに足を運ぶことで友だちができるのも嬉しいです。このセンターは広いので、事業のある時間帯でも必ず自由に使える部屋があるのはすごく良いと思います。おもちゃも充実していて、お天気に関係なく遊べるので子どもも喜んでいます。

今回話を聞いた人

さいたま市立大戸児童センター
館長:櫻井浩一さん

所在地 :さいたま市中央区大戸6-2-19
TEL :048-831-9536
URL:http://www.saicity-j.or.jp/j-ooto.html
※この情報は2016(平成28)年7月時点のものです。

地域の子どもの成長を温かく見守る「さいたま市立大戸児童センター」/さいたま市立大戸児童センター 館長 櫻井浩一さん
所在地:埼玉県さいたま市中央区大戸6-2-19 
電話番号:048-831-9536
開館時間:9:00~18:00
休館日:祝日(こどもの日、敬老の日、文化の日は開館)、年末年始(12月29日~1月3日)
http://www.saitama-kosodate.jp/map/desc…

ゆとりある良好な市街地環境へと進化する「南与野駅西口土地区画整理事業」


現在、JR埼京線「南与野」駅西口では、南与野駅西口土地区画整理事業が行われている。1995(平成7)年から始まったこの土地区画整理事業は、すでに北側のエリアでおおむね完成を迎え、「南与野」駅西口の駅前広場や「鈴谷西公園」などが誕生。街並みも美しく生まれ変わった。2023(平成35)年まで続くという土地区画整理事業がもたらしたメリットや今後の見通しについて、事業を担当するさいたま市都市局まちづくり推進部与野まちづくり事務所 区画整理第二係のご担当者にお話を伺った。

埼京線「南与野」駅開業をきっかけに、駅前にふさわしいまちづくりを推進

南与野駅西口土地区画整理事業の計画図、イメージ図

―南与野駅西口土地区画整理事業の概要について教えてください。

南与野駅西口土地区画整理事業の事業区域はJR埼京線の「南与野」駅の西側に隣接するさいたま市中央区鈴谷一丁目の一部と鈴谷二丁目の一部で、面積は約147,000平方メートルとなります。まちづくりのテーマは“豊かな緑につつまれた公園のようなまち”で、商業・サービス機能の集積を進めるほか、駅前広場や都市計画道路、区画道路を整備し、「南与野」駅前には都市型公園として「鈴谷西公園」を配置する計画です。

「南与野駅西口土地区画整理事業」のパンフレットを開きながら説明してくださる市職員

―どのような経緯で区画整理事業を行うことになったのでしょうか。

1985(昭和60)年の国鉄埼京線(現・JR埼京線)の開通に伴い事業区域付近に「南与野」駅が設けられることになりました。鉄道開通に伴う乱開発を抑制するとともに、駅前という立地にふさわしい土地利用を誘導するために、道路、公園といった公共施設や宅地造成を一体的に整備する目的で区画整理事業を行うことになったものです。
1984(昭和59)年、当時の与野市により地域にお住まいの方にアンケート調査を行うなどまちづくりの発議が行われ、1990(平成2)年に関係権利者によるまちづくり協議会が発足、1993(平成5)年に都市計画決定がなされたのち、1995(平成7)年に事業計画が決定されました。

事業区域の北側エリアは概成、現在は南側エリアを整備中

「鈴谷西公園」

―事業の進捗状況について教えてください。

南与野駅西口土地区画整理事業では、埼大通りから「南与野」駅へつながる幹線道路として南与野駅西通り線と南与野駅西口駅前通り線が計画されていましたが、これを早急に整備する必要がありました。事業区域の北側と南側では下水道、雨水の系統が分かれており、分離して施工することが可能だったこともあり、北側のエリアから整備を進めることになったのです。

2007(平成19)年11月には「南与野」駅西口の駅前広場と隣接する「鈴谷西公園」が完成し、まちびらきの式典を行いました。先行して整備が行われた北側のエリアはすでに概成しており、2016(平成28)年3月現在、事業区域全体の進捗率は66.4%です。

整備中の道路

―今後の事業の見通しはいかがでしょうか。

現在は事業区域の南側のエリアを中心に建物の移転補償、下水道、道路の築造を行っています。事業区域は東側が低く、西側が高い地形になっており、下水道を下流側から整備する必要があるため、東側から西側に向かって順次施工しています。道路や下水道等のインフラ整備は2023(平成35)年までに完了させる予定で進めています。

ショッピング施設が誕生、関連事業も進捗し、便利で快適な街に進化

「ベルク さいたま南与野店」

―南与野駅西口土地区画整理事業は地域にどのようなメリットをもたらしたのでしょうか。

事業区域のうち「南与野」駅周辺は商業系の用途地域として、商業・サービス機能を誘導することにしました。実際に2012(平成24)年には大型衣料品店が開店し、2014(平成26)年にはスーパーマーケット等もオープンしましたので、買い物の利便性が高まったのではないかと思います。
商業系用途地域の周辺は、良好な住宅環境を維持できるよう住居系の用途地域としています。さらに、土地区画整理事業の整備効果を活かし、良好な市街地環境を維持するために、事業区域全体に地区計画が導入されています。

歩道も幅が広くゆったりとしている

―地区計画の内容を教えてください。

2007(平成19)年3月30日に告示された南与野駅西口地区地区計画では、「南与野」駅周辺を地域商業地のA地区、その周辺を複合住宅地のB地区に分け、それぞれ土地利用を図ることで、商業・サービス機能の活性化が期待されます。また、A地区では建築物の最低敷地面積を150平方メートル以上、B地区では100平方メートル以上としたほか、地区全体で、道路境界線からの壁面後退を1m以上確保するなど、沿道景観に配慮しています。

「南与野」駅西口の駅前広場

―土地区画整理事業に合わせて関連事業も行われているそうですね。

「南与野」駅西口の駅前広場の地下には、下水道事業により貯水池を整備しました。容量は16,000立方メートルと一般的な小学校のプール50個分の大きさで、急激な増水を緩和します。また、事業区域の周辺では道場三室線の整備も進められ、すでに与野中央通り線までの区間の整備が完成し、現在与野中央通り線から国道17号新大宮バイパスまでの区間の整備を進めています。これらが完了すればさらに利便性は高まることが期待できます。

住宅街の中の道路もまっすぐ伸び、ゆとりがある

―地域にお住まいの方の土地区画整理事業に対する反応はいかがでしょうか。

道路が広くなって利便性が向上したという声をいただいていますし、現在整備中の南側にお住いの方からは、整備が完了した北側の街並みをご覧になって、早くこちらも整備してほしいという期待の声もいただいています。

通勤通学や買い物に便利で暮らしやすい街、南与野

「南与野」駅

―南与野エリアの魅力を教えてください。

「南与野」駅周辺にはスーパーマーケットなどショッピング施設がありますから、身近で買い物ができます。「南与野」駅からJR埼京線に乗れば「大宮」駅に短時間でアクセスできますし、東京都心方面にも行きやすい場所です。通勤・通学や買い物が便利で、住みやすい街といえるでしょう。

与野まちづくり事務所

今回、お話を聞いた人

さいたま市都市局まちづくり推進部
与野まちづくり事務所 区画整理第二係 職員

住所 :埼玉県さいたま市中央区下落合5-7-10
電話番号:048-840-6153
URL:http://www.city.saitama.jp/006/015/049/002/p032412.html
※この情報は2016(平成28)年5月時点のものです。

人気の高いのびのび系私立幼稚園

「国立」駅の北側で60年以上にわたって地域の子供たちを育てる/「みふじ幼稚園」遊佐昌憲先生


JR「国立」駅の北口を出て徒歩5分ほど。閑静な住宅地が始まる辺りにある「みふじ幼稚園」は、前身となる保育園の創設が1949(昭和24)年という、この地域でも指折りの歴史を持つ幼稚園であり、国分寺市内はもちろん、国立市や府中市の一部からも、園バスを使い多くの子どもたちが通っている。今回はこの園の創設者を祖父母に持ち、3代目園長として活躍されている遊佐昌憲先生を訪ね、園の特徴と地域の魅力についてお話を伺った。

「みふじ幼稚園」

親子三代でこの街の子どもたちを見守る

――創立60年以上の歴史があるそうですが、園の沿革と概要について教えてください。

遊佐先生:園の創立は1949(昭和24)年で、最初は「国分寺保育園」という保育園から始まりました。7年後の1956(昭和31)年に幼稚園としての認可を受け、その時に「みふじ幼稚園」という名前が付けられました。この場所からきれいに富士山が見えることが名前の由来となっているそうです。私の祖父母が設立した園でして、地域の子どもたちに、心身ともに健やかに成長してほしい、という思いから始めたということを聞いています。

現在は全学年で9クラスありまして、年少、年中、年長がそれぞれ3クラスです。全体の生徒数は270名ぐらいです。

園長の遊佐先生

――教育において重視していること、大切にしていらっしゃることありますか。

遊佐先生:何かを特別に重視している、ということはありませんが、体操面、音楽面、芸術面という3つの分野について、バランスよく力をつけられるように心がけながら、日々保育をしております。

体操については週に1回、体操の先生に指導をしていただいています。音楽については、年中組からピアニカ(鍵盤ハーモニカ)に取り組みますし、年少組の子どもたちもカスタネットなどを使ってリズムに乗って遊んで、音楽に親しんでいます。もちろん、歌も積極的にやっています。芸術面では絵を描いたり、何かを製作をしたり、という機会をできるだけ多く設けています。

体操、音楽、芸術の3分野で力をつけられるような保育

また、縦割り保育についても積極的に取り組んでいます。普段は年齢ごとのクラスで生活していますが、定期的に年齢の違った子どもたちでクラスを作って、お互いに教えたり学んだりしています。そうすると子どもたちは、お兄さんお姉さんへの尊敬の気持ちや、年下の子どもたちに優しくする気持ちが生まれ、思いやりの気持ちを育むことができます。これは1学期の間にだいたい3~4回ほど行っています。

大型遊具で遊ぶことで、体も心も大きく成長していく

大きな遊具で遊ぶ子どもたち

――大きな遊具が人気のようですが、他にも施設に特徴的なものはありますか。

遊佐先生:園庭に設置しているのはオーストラリア製の、全長26メートルという大型の総合遊具です。これは約15年くらい前に造ったもので、登ったり、降りたり、滑ったりと、色々な遊び方ができる遊具はないだろうか、と世界中の遊具を吟味しまして、最終的にこのオーストラリア製のものに決めました。

昨年の1月には正門の近くに新しい遊具を置きましたが、この遊具にはウォールクライミングができる壁が付いています。東京オリンピックの種目にも選ばれ最近何かと話題ですが、私自身も前々から興味を持っていて、この運動を通じて子どもたちに握力をつけてもらいたいとずっと思っていました。それが昨年、ようやく実現したものです。これはスウェーデン製の遊具で、秋には砂場の周りも少し改良し、こちらでもウォールクライミングができるようになりました。

クライミングウォールができる壁

園舎については生徒数に合わせて増築を繰り返してきたもので、一番古いところは1949(昭和24)年当時のものもあります。しかし、すべて耐震補強工事は済んでいますし、各部屋にエアコン導入していますので、古さは感じさせないと思います。むしろ木造の建物で、子どもたちが触れる壁や床も木でできていますから、温かみが感じられる建物になっていると思います。

自然とのふれあいや課外活動など学びの機会を大切に

様々な行事、園外活動を実施

――代表的な行事や園外活動について教えてください。

遊佐先生:まず5月に「どうぶつむら」という行事がありまして、この日には沢山の動物たちが幼稚園にやって来ます。この1日は動物たちとたっぷり触れ合って、子どもたちに命の大切さを感じてもらいたいと思い、行っている行事です。

珍しいものでは、6月の「うめもぎ」という行事では園庭にある2本の大きな梅の木から子どもたちが梅を落とし、加工して梅ジュースを作ります。梅は多い年だと2000個ほど採れますので、誕生会の時などに作ったジュースをみんなで飲んでいます。

7月になると、年長組が富士山に「おとまり保育」に出かけます。山麓で泊まるだけで山には登りませんが、昼間はゲームをしたり、スイカ割りをしたり、夜はキャンプファイヤーをしたりして、1泊2日で楽しく過ごします。

ほかに行事と言えば、運動会、お遊戯会などが大きなものでしょうか。あとは、「おいもほり」や「おいもパーティー」、「おみせやさんごっこ」、「もちつき大会」、作品展なども毎年の恒例行事です。園バスに乗って、ちょっと離れた公園に遠足に行くこともあります。

――保育時間外に行っている課外教室も充実していますね。

遊佐先生:これは子どもたちに、色々なものに興味を持ってもらいたいと思い、取り入れているものです。幼稚園が終わった後に、希望者が参加できるようになっています。

体を動かすことが好きな子どもたちには、体操、サッカー、剣道などが人気です。女の子はダンスやバレエに参加している子も多いです。音楽が好きな子どもたちにはピアノ、絵を描くのが好きな子どもたちには絵画教室も人気です。このほかヒップホップや英会話の教室もあります。

「みふじ幼稚園」のユーモラスな看板

これはすべて外部の講師の方に来ていただいていますので、幼稚園とは別料金となっていますが、沢山の子どもたちが参加しています。

歴史ある学園都市で、頼れる子育ての拠点

木のぬくもり溢れる園舎

――延長保育やプレスクールについて教えてください。

遊佐先生:延長保育は18時まで行っていまして、だいたい生徒全体の1割くらい、毎日20名から30名くらいが利用しています。朝も7時半から開園していますし、春休み、夏休み、冬休みにも行っていますので、フルタイムで働いている方でも、気軽にご相談いただければと思います。

プレスクールは2歳児を対象に毎週1回開催しているもので、外部の先生に来ていただいて、歌を歌ったり、絵を描いたりということをやっています。翌年に入園する子どもたちが、幼稚園に入ってからスムーズに集団になじめるようになることが主な目的です。

子どもたちの賑やかな声がたえない

――他園と比べて特に特徴的である、変わっていると言われる部分はありますか。

遊佐先生:毎年、沢山の保護者の方が幼稚園の見学に来られていますが、まず皆さん、充実した遊具には驚かれますね。登ったり、降りたり、走ったり、色々な遊び方ができるので、そこを決め手に選ばれる方は多いようです。

遊具やクライミングウォール以外にも、三輪車、鉄棒、砂場などもありますから、遊びが多彩なことは特徴だと思います。クライミングウォールがある幼稚園は、なかなか無いと思います。

砂場にもクライミングウォールが設置されている

――最後に、「国立」駅の北側周辺について、子育て環境としての魅力を教えてください。

遊佐先生:この辺りは住宅地ですので、まず、静かで落ち着いた環境が特長だと思います。「国立」駅周辺に関しても、再開発でお店が増え、「nonowa国立」という駅付帯の施設もできたので、買い物の面でも非常に便利になりました。周りには沢山の公園があり、緑も多く、学校が多い地域ですから開発も制限されていて、とても治安がいいです。色々な学校がありますから、進学先にも困らないと思います。

遊佐昌憲先生

学校法人みふじひかりの丘学園 みふじ幼稚園

理事長・園長 遊佐 昌憲(ゆさ まさのり)先生
所在地:東京都国分寺市光町1-5-2
TEL:042-572-0147
URL:http://www.mifuji-k.ed.jp/
※この情報は2017(平成29)年3月時点のものです。

「国立」駅の北側で60年以上にわたって地域の子供たちを育てる/「みふじ幼稚園」遊佐昌憲先生
所在地:東京都国分寺市光町1-5-2 
電話番号:042-572-0147
保育時間:平日9:40~14:00
http://www.mifuji-k.ed.jp/

「人間力」を鍛える民間学童保育施設

子どもたちのワクワクをかなえる新しいアフタースクール/「キッズベースキャンプ大井町」 三沢敦子さん・中村麻耶さん


「キッズベースキャンプ(以下、KBC)」は、東急田園都市線沿いを中心に現在23店舗を展開する新しい形のアフタースクールです。子どもたちの力を引き出す多彩なイベントプログラムや、保護者のニーズに即したきめ細やかなサービスを提供し、子どもたちにとっては「通いたい」・保護者にとっては「通わせたい」、放課後の大切な“居場所”となっています。
とくに、2017(平成29)年4月に移転・リニューアルオープンしたばかりの「KBC大井町」は、子どもたち目線の設備やイベントが充実。本社広報の三沢さんとチーフキッズコーチの中村さんに、新しい施設の特徴や大井町エリアの魅力について伺ってきました!

アスレチックプレイルームや独立した学習スペースも

2017(平成29)年4月にリニューアルした「キッズベースキャンプ大井町」

――まずはKBCの概要と特徴を教えてください。

三沢さん:KBCは、これまでの学童保育とは違う新しい形のアフタースクールです。コースは週1日から週5日までフレキシブルに選ぶことができ、年間のスポット利用も受け付けています。
特色は、サービス・プログラム・キッズコーチの3点にあります。まず、サービスですが、22時までの延長預かり、お子様の入退室のメール通知、キッズミールの提供、近隣校への送迎サービス、お帰りサポートサービスなど、保護者様の声を基に作ったきめ細やかなサービスを提供しています。長期休みにはお昼のお弁当を用意し、日々多忙なお母様方から好評をいただています。

送迎用の専用車

二点目のプログラムは、「社会につながる人間力」を育むことを育成方針に、実体験を通して社会性や自立心を養えるように、日常プログラムとイベントプログラムの両面から多彩なプログラムを展開しています。
三点目のキッズコーチは、KBC独自の呼び名で、子どもと関わるスタッフのことです。コミュニケーション能力が高く、子どもたちの心を惹き付けられるようなパーソナリティの持ち主を採用しています。採用倍率は約30倍と、保育業界ではかなりの高倍率です。コーチ1人につき子ども10人以内という配置基準は、国の基準の倍の手厚さ。目の行き届いた環境を整えています。

――2017(平成29)年4月から移転オープンとなりましたが、「KBC大井町」ならではの施設の特徴はどんな点ですか?

中村さん:アスレチックができるプレイルームは、「KBC大井町」の大きな特徴です。プレイルームのフロアで子どもたちが遊具を使って遊べるように、天井に金具を設置し、アスレチックネットやブランコ、ハンモックなどを取り付けられるようになっています。リニューアルにあたって、新しい店舗をどういう風にしたいか、どんな遊具がほしいかを子どもたちに聞き、みんな想いを実現させようとコーチたちで話し合った結果、こうしたスペースが完成しました。

アスレチックができるプレイルーム

さらに、プレイルームの奥は間仕切りで仕切れるスペースになっていて、独立した学習スペースとしても使えます。カフェ風の机と椅子があり、高学年が集中して勉強できるようになっています。ボール遊びやフロア遊びをする時はプレイルーム、座ってのおもちゃ遊びや勉強をするなら奥のスペースと使い分けていますが、全体の活動の時は二間続けて使うこともできます。

学習スペース

――送迎サービスの対象校を教えてください。また、どのくらいの利用がありますか?

中村さん:送迎対象校は、「大井第一小学校」「浜川小学校」「立会小学校」「山中小学校」「豊葉の杜学園」「伊藤学園」の6校です。現在、約100名の会員様がいますが、8割程が送迎対象校に通っていて、残りの2割が他の私立校などから通ってきています。対象校に通う子のうち、「大井第一小学校」に通う子の割合が半数ぐらいです。以前の店舗が同校の近くにあったので、そこから来ている子が一番多く、リニューアル後も引き続いてという形です。

――子どもたちは普段、ここでどのように過ごしているのでしょうか。

三沢さん:学校が終わると、早くて14時頃にKBC大井町に到着し、まずは学習タイムで宿題などをします。学習習慣を身につけ自分で考えることが大切なので、コーチが答えを教えることはせず、自宅で行うのと同じ感覚で勉強をしてもらいます。そして16時頃におやつタイム。学童期に必要な補食および食育という観点からおやつを大事にしていて、週1回はスタッフが手づくりしたり、クッキングイベントでみんなで作って食べたりします。おやつを食べ終わると、16時半ぐらいから自由遊びや公園にお出かけしての外遊び、またはイベントプログラムを行います。お出かけは公設の学童保育ではできないことなので、これは民営ならではの特長です。その後、掃除と帰りの会であるキッズミーティングをしたら、18時から19時頃までの間に保護者様がお迎えが来て帰宅という流れです。
KBC大井町では延長預かりを利用される保護者様が多いのですが、毎日ではなく週のうち3日間など、ご都合に合わせて利用されています。保護者様の負担が軽くなるように、KBCではお子さんが宿題も夕食も済ませてお家に帰れるようにサポートしています。

外遊びの様子

中村さん:長期休み中は朝8時過ぎから始まり、学習タイム、オセロや将棋といった頭を使う遊びやフロアを開放してのボール遊びなどいろいろな遊びの時間、おやつゲームなどを取り入れています。ただし、1日の流れが保育園のようにかっちりと決まっているわけではなく、イベントによって遊びや学習の時間が変わったり、通常月より流動的です。
日頃から異年齢の子どもたちが一緒に過ごしていますが、学年や男女関係なく、みんな仲がいいこともKBCの特徴です。

オセロなどで遊ぶ子どもたち

キッズコーチが子どもたちの「やりたい」をサポート

――プログラムについてご紹介をお願いします。

三沢さん:学習習慣サポートや外遊び、キッズミーティングなどの日常プログラムと合わせ、クッキング、農業体験、科学実験、長期休みのサマーキャンプやスノーキャンプなど、数えきれないほどのイベントプログラムがあります。例えば、キッズMBAでは、「どんな仕事があるの?」「このおもちゃはどこからきたの?」といったテーマを、グループワークやゲームを通じて、低学年向けにやさしくお話しします。スポーツイベントでは、プロアスリートが運動機能を高めるためのコーディネーショントレーニングを遊びに転換したプログラムがあり、KBC大井町ではアスレチックプレイルームのロープネットやブランコを活用しています。こうしたイベントプログラムを月8回程度のペースで、夏休みはやや多めに月10回ほど行っています。

工作イベントの様子

中村さん:KBC大井町で特に人気があるのが、工作イベントです。包丁を使ったり、科学実験では工作キットに電流を通したり、石膏の粘土を作ったりします。それから、要望が多かったことと英語の必修化もあって、月1回のイングリッシュイベントをKBC大井町だけ今年度から月2回に増やし、「パンプアップイングリッシュ」としてパワーアップしました。習い事へ行かなくても、ネイティブの先生と歌やゲームを通じて、楽しく英語に親しむことができます。

PUMP UP ENGLISH(またはネイティブの先生と英語学習をしている様子)

KBC大井町として特徴的なのは、今年度から始まった、子どもたちのやりたい企画をかなえるというオリジナルイベントです。ボードに子どもたちが希望するイベントを書いて投票シールを貼ってもらい、人気の企画からキッズコーチが実現できそうなものをイベント化します。今、決まっているのは「シュウマイ作り」。新店舗を作る時と同じで、基本的に子どもたちがやりたいことを実現させるのが、KBCの方針なんです。あと、KBCにはコーチの特技を活かしたプログラムというのもあって、ここでは私が中国武術のイベントを開いています。

子どもたちからの“やりたい”を取り入れる

――子どもたちにとって、KBCはどんな場所になっているのでしょうか?

三沢さん:子どもたちのサードプレイスになっていると思います。キッズコーチは子どもたちにとって、大好きな近所のお姉さん、お兄さんのような存在でしょうか。学校ではどうしても教科を教えることが主目的になってしまいますが、KBCのスタッフは日々の生活を見ているので、「ふだんより元気がない」とか「いつもの仲良しグループにいない」といった子どもたちの変化を感じ取りやすい。コーチが声掛けすると、親にも先生にも言えない悩みを打ち明けてくる子もいます。6年間通う子もいて、なかには中学の制服を着て遊びに来てくれる子もいます。
こちらが気になったことは保護者様へ連絡帳でお伝えしたり、保護者様からの個別面談や電話面談も承っています。ただ、たいていのことは送り迎えの際の日常会話などで解消されていますね。それから、KBCで過ごす子どもたちの様子は、会員限定の配信サービスで動画と合わせて配信しています。2泊3日のサマーキャンプに行ったりもするので、お子さんの様子が見れることで保護者の方はとても安心されます。

――プレキッズクラブとは、どんなシステムでしょうか。

三沢さん:年少以上の未就学のお子様に予約枠を設けて、小学校に上がった時に確実に入会できる未就学児登録制度です。年少の4月1日からweb専用フォームで受付をし、抽選で決まります。土日に未就学でも参加できるイベントを行っており、そこに優先的に参加できる特典も付いています。
プレキッズクラブは保護者様の声から始まったサービスで、当初は年長の10月から募集をしていたのですが、みなさん保育園ですごく苦労された経験から、さらに早めてほしいというご要望があって、年少からの予約になりました。プレキッズを利用して入会されるお子さんの割合は年々増えていて、どの店舗も、いま入会されている新1年生の85%はプレキッズ経由です。年少の時にプレキッズに入会しないと、キャンセル待ちの可能性が高く、なかには50人キャンセル待ちの店舗もあるほど。品川区では全児童対策もあって公設の学童はほとんどの子が受け入れ可能ですが、お仕事の状況によっては定時にお迎えに来れるとは限らないので、延長預かりがある弊社が選ばれています。

「プレキッズ・クラブ」も参加できるKBCファームイベント

子育て支援が充実した品川は公園や学校も揃う

――最後に、品川区大井エリアの魅力について教えてください。

三沢さん:品川区は子育て支援に力を入れている自治体なので、公立の学童が充実していますし、弊社のような民営の施設も快く受け入れてもらっています。

中村さん:子どもたちが遊べる公園がたくさんあって、KBC大井町のすぐ近くにもヘリポートや防災備蓄倉庫のある「しながわ中央公園」があります。あと、どこの学校も距離が近いので、子どもたちは学校が終わるとすぐKBCに集まれて、自然と友達が多くなりますね。家族と買い物に出かけた時なんかに、街で他の学校のお友達と出合えるという環境は、すごくいいなと思います。

子どもたちのワクワクをかなえる新しいアフタースクール

 

子どもたちのワクワクをかなえる新しいアフタースクール

キッズベースキャンプ大井町

株式会社キッズベースキャンプ
広報担当 ゼネラルマネージャー 三沢敦子さん
店舗責任者 チーフキッズコーチ 中村麻耶さん(写真)
所在地:東京都品川区二葉1-8-23
TEL:03-6451-3147
URL:http://www.kidsbasecamp.com/location/ohimachii/index.html
※この情報は2017(平成29)年4月時点のものです。

子どもたちのワクワクをかなえる新しいアフタースクール/「キッズベースキャンプ大井町」 三沢敦子さん・中村麻耶さん
所在地:東京都品川区二葉1-8-23 
電話番号:03-6451-3147
電話受付時間:12:00~19:00(長期休み中の平日 8:30~19:00)
http://www.kidsbasecamp.com/location/ohi..

ブーランジェリー ボヌール / 店主・豊永博さん


「鵠沼海岸」駅を出て、商店街沿いに少し海のほうへ。3分ほど歩いて左に曲がると、踏切の脇に小さなパン屋さんがある。ここは「ブーランジェリー ボヌール」。商店街のはずれにありながらも、日々多くのお客さんが訪れる大人気のパン屋さんである。 この店の主、豊永博さんは平塚に生まれ育った準・地元っ子。この辺りにはビーチバレーを楽しむために、学生時代からよく通っていたということだ。パン職人を目指し始めたころから、「いつかは地元に、できれば大好きな鵠沼海岸に、小さなお店を持ちたい」と願い続け、それが叶ったのが2011(平成23)年のこと。それからの日々は大好きなパンと家族と海に囲まれ、幸せな日々が続いているという。 今回はそんな豊永さんに、お店のことやパンのこだわり、鵠沼海岸エリアの魅力などについて、いろいろとお話を聞いた。

様々な種類のパンが並ぶ

――豊永さんはなぜ、パン職人を目指したのでしょうか?

きっかけは、実は、「コックコートが着たかった」というだけなんです(笑)。子どものころから“ものづくり”が好きだったというのはあると思いますけれど。だから初めはケーキとパンで、どっちにしようか悩んでいて。何となくパンになった、という感じですね。専門学校を出てからは「ドンク」というパン屋さんで10年ぐらい、「ポンデザール」っていうパン屋さんでも、3年ぐらいやっていました。

子どものころから“ものづくり”が好きだった豊永さん

――「ボヌール」という店名には、どんな思いが込められているのでしょうか?

フランス語で「幸せ」って意味がある言葉なんですね。だから、「幸せのパンやさん」っていうイメージです。お客さんが来て、うちのパンを食べて、笑顔になったらいいな、とずっと思っていて、そういう思いを込めて名前にしました。

「ブーランジェリー ボヌール」 看板

――外観も店内も、とてもかわいらしいお店ですね。L字型のカウンターなど、ちょっと変わったディスプレーも素敵です。

ありがとうございます。実は、このカウンターも自分で作ったんですよ。実家が大工をやっているので、父にも手伝ってもらいながら、ほとんど全部、自分達でやったんです。

パン屋さんって、普通は段のある棚じゃないですか。でも、自分は段差がある棚じゃなくて、何と言うか、ぱっと見渡せる感じが良かったんですよ。だからこういう形になっています。レジの台なんかも、角は自分でやすりをかけて丸くして作ったんですよ。

L字型のカウンター

――駅から少し歩き、目立ちにくい場所ですれど、それも狙っていたところなのでしょうか?

そうですね。地域の方に利用していただきたいので、住宅地の近くがいいな、と思っていました。今も実際、8割ぐらいの方はご近所の常連さんですね。週末のお客様については、遠くから来られる方や、観光客の方も多くいらっしゃいます。

「ブーランジェリー ボヌール」 外観

――おすすめのパンには、どんなものがあるのでしょうか?

一番売れるのは、やっぱり、食パンですね。ベースになる食パンは2種類あって、普通の食パンと、「フランス食パン」というものです。この「フランス食パン」は、いわゆる、「ハードブレッド」と呼ばれているもので、小麦粉、塩、水だけで作っています。普通の食パンのほうについては、黒米が入ったもの、胚芽が入ったもの、レーズンが入ったものなど、いくつかのバリエーションもご用意しています。

一番人気は食パン

――先ほど、ママ友同士で来て、「塩パン」を買われていたお客さんがいましたね。こちらも人気なのでしょうか?

うちの塩パンがすごく好きなお客さんがいて、多分その方の知り合いの方々だと思います。塩パンって、ふつうのお店だとロール状にしているのが多いんですけれど、うちはオリーブオイルを仕込んで、ちょっと違う感じの塩パンになっています。塩も、フランスのゲランドの塩を使っているので、美味しいですよ。

お店のこだわりを感じる塩パン

――バゲットも、とても人気の商品ということですね。

そうですね。うちにはベーシックなバゲットのほかに、フランス産小麦と秋田の「白神こだま酵母」という天然酵母を使った小ぶりなバゲットがありまして、それがパン好きの方に好評いただいています。天然酵母なのでちょっと硬いんですけれど、噛めば噛むほど味が出てくるような、そんなバゲットです。

人気のバゲット

――ほかにも力を入れている商品があれば教えてください。

取材などでよく取り上げていただけるのは、「クロワッサン」でしょうか。うちのクロワッサンは塩麹が入っているので、それが珍しいみたいなんですね。 しょっぱいだけじゃない、塩麹ならではの旨味をパンの中に出したかったので、塩の代わりに、という感じの量で、けっこう入っています。これも塩味に円みがあるというか、旨味もしっかり感じられて、面白いクロワッサンになっていると思います。塩以外は普通の素材なので、食感はパリパリ、バターもたっぷりです。

あとは、「チャバッタ」なんかも隠れた人気商品ですね。国産小麦100%でやらせてもらっています。小麦の香りが良いですから、そのままオリーブオイルをつけて食べてもいいですし、サンドイッチにしても良いですし、いろんな使い方ができると思います。ハード系よりも少し柔らかいハード系なので、日本人に意外と合うパンですね。

クロワッサンには塩麹を使用している

――素材や品揃え、提供の方法など、全般的にこだわっている部分について教えてください。

まずは、「手作り」ということでしょうか。フィリング(中に詰めるあんやクリームなど)類も全部、自家製です。だから「安心、安全」ということも言えるとは思っています。

あとは、「品数をたくさん置く」ということですね。午前中になるべく全部焼き上げて並べるようにしていて、お客さんが来た時に、沢山のパンの中から選んでいただけるように、ということはいつも心がけています。種類は日にもよりますが、だいたい100種類はあると思います。定番以外にも、日替わりパンや、季節によって入るものもありますから、種類は多いほうだと思います。

自家製のものを出来るだけ使用している

――それだけの種類を全部一人で作るというのは、すごく大変ですよね。

朝は、3時半ぐらいからやっていますよ(笑)。夜はだいたい7時頃まで店にいます。でも、大変だと思ったことは一度も無いです。パン作りって本当に楽しいですからね。一から十まで、自分の目で見て、さわって、ものができあがってくるのが、何とも言えない楽しさなんです。多分、ほかの人には分からないかもしれないですけれど。

朝から晩までパン作りに関わっている豊永さんの作る様々な種類のパン

――お客さんはどんな方が多いでしょうか?見ていると、女性の方が多いようですが。

今日は女性が多めですけれど、実は、うちの店は珍しくて、男女比が半々ぐらいなんですね。週末には特に、男性のほうが多いということも多いです。週末に来る男性の方は、マラソンの後に寄ったりとか、散歩がてらちょっと来る、という感じが多いですね。それは自分でも、意外だと思っているところです。もちろん、平日は女性が多いですし、お子さんを連れた方も多いです。

様々な層のお客さんが訪れる

――すべて手づくりで、添加物も使わないパンとうことで、お子さんにも安心ですね。

そうですね。安心して召し上がっていただければと思います。あと、特にお子さん向けというわけではないんですが、アレルギーに対応したパンがありますので、それを目当てにわざわざ来られるという方もいらっしゃいますね。たとえば食パンについても、「フランス食パン」は卵・乳製品を使っていませんし、「白パン」もそうですね。やさしい味なので、小さなお子さんも食べやすいと思います。

すべて手づくりで、添加物も使用していない

――海岸がすぐ近くなので、海辺で食べるという人も多いのでしょうか?

いらっしゃるんですけれど、自分たちは、「鳥に食べられちゃうからやめたほうがいいよ」って言っています(笑)。でもやっぱり、けっこういらっしゃいますね。気持ちいいですから。

お店のおすすめが書かれているボード

――ズバリ、鵠沼海岸エリアの魅力とは何でしょうか?

昔、都内にも住んでいたことがあるので、余計に感じることかもしれませんが、まず、「空気」が全然違いますね。それに人もみんな、ゆったりとしています。休みの日なんかは確かに人も車も多くて、混むんですけれど、都内の混み方とは違って、ごみごみしていないし、せかせかしていないんです。そんな、ゆっくりとした時間の流れがあるのが、いいところですね。

ブーランジェリー ボヌール

店主 豊永博さん
所在地 :神奈川県藤沢市鵠沼海岸2-1-8
TEL :0466-31-0330
営業時間:8:00~19:00
定休日:火曜、第1・第3水曜
※この情報は2016(平成28)年6月時点のものです。

ブーランジェリー ボヌール / 店主・豊永博さん
所在地:神奈川県藤沢市鵠沼海岸2-1-8 
電話番号:0466-31-0330
営業時間:8:00~19:00
定休日:火曜、第1・第3水曜

県内トップクラスの学力と進学実績を誇る名門「神奈川県立湘南高等学校」/神奈川県立湘南高等学校 稲垣一郎校長先生


学校の創設以来「文武両道」を理念に掲げ、その言葉どおりに、県内トップクラスの大学進学実績を維持しながらも、部活動でも上位大会に続々と進み、目覚ましい成績を収めている、神奈川県立湘南高等学校。「二兎を追い、二兎を得る」では物足らず学校行事を加えて「三兎を追え」と言わんばかりの離れ業は、いかにして可能となっているのだろうか。
今回は校長である稲垣一郎先生を訪ね、学校の歴史と魅力、生徒像、地域の魅力などについてインタビューを行った。

「文武両道」の伝統は、いかにして維持されているのか

校舎外観

――ではまず、湘南高等学校の歴史と概要についてお聞かせください。

稲垣先生:本校はご存知の通り、県立のトップ校の一つということで、学力については非常に高い子たちが、県内すべての地区から集まっていますので、ある意味では「フラッグシップ校」と表現できるかもしれません。創立は1921(大正10)年でして、旧制中学の「湘南中学校」として開校しています。当時は男子のみの学校で、のちに共学となりました。

本校は初代の赤木校長先生が、何と27年間も校長先生を務められ本校の礎を築かれたので、その時に作られた伝統が今も色濃く残っています。開校当初からこの学校を何とか「日本一の学校」にしようと取り組まれたそうで、その中でも「文武両道」を徹底的に行っていこうという考え方が、中心にあったということです。この「文武両道」の考え方は、現在まで引き継がれ、教職員はもちろん、入学してくる生徒や保護者の方もご存じで、魅力に感じていただけているようです。

初代 赤木愛太郎校長の胸像

本校は「文武両道」の中で高い進学率を保っています。1学年360名、9クラスですが、昨年度もそのうちの計211人がスーパーグローバル大学(※)トップ型の難関大学に合格しています。 神奈川県の県立高校の中では、伝統があり、学力をしっかりと育成する学校ですが、実は教育の一番の肝というのは、「部活動」と、年間を通じて行う「学校行事」なのかもしれません。

文部科学省スーパーグローバル大学創成支援

昔の写真や学校の年表

入学前段階の学校説明会の時から、「この学校の生徒は忙しいですよ」ということをお伝えしています。勉強は「当然のこと」で、それに加えていろいろな行事があり、昼休みには生徒が自主的に行っている「対組(たいくみ)競技」もあります。さらに放課後には部活動をし、受験時期になると予備校に通う生徒たちもいます。本当に3年間、すごく忙しいんですね。そんな湘南生に求めている本校の教育モットーは、「Always do what you are afraid to do -最も困難な道に挑戦せよ-」です。

とはいえ、非常に意欲的に取り組む生徒達ですから、楽しく充実した3年間を過ごし世界での活躍を目指して卒業していきます。ただの進学校ではないという点が一番の魅力なのだと思います。高校生として楽しくかつ充実して過ごしたいのであれば、本校は最高でしょうね。

校舎から独立している図書館。落ち着いた環境で勉強ができる

――生徒の気風について、お感じのところを教えてください。

稲垣先生:部活動に入って頑張りたい、もちろん勉強も頑張りたい、といったアクティブで意欲の高い生徒が多いですね。ただそれは、表面的に見える元気、というものではなく、一見静かだけれども、内に秘めた炎は大きい、という子も含めてのことです。内面も含めて、アクティブに動ける子たちというのが、うちの生徒たちの気質です。

たとえば、本校では体育祭が一番の大きなイベントなのですが、体育祭は1年間かけて生徒が企画をし、実行していくわけです。その中でも、表で目立つ子たちというのはダンスをやったり、ということに情熱を傾けるのですが、そのダンスをする裏で、大道具を作ったり、小道具を作ったり、裏方としての部分で、情熱的に取り組む子たちというのも、多いわけです。うちの生徒は人間として優しい子たちが多いので、一人一人の個性もきちんと尊重して、役割を分担して、そのうえで意識的にアクティブに動いていく、という特性があるのかと思います。

行事や部活動などに一生懸命取り組む

普通の学校ですと、一生懸命やることを「恥ずかしい」「格好悪い」と思うという風潮が、やはり思春期ですからあると思うんですね。でも、この学校ではそれが全くありません。一生懸命やっている事に対しては、それを賞賛するという生徒が、マスとして存在しています。だからこそ、自分の良さをどんどん伸ばしていけるのだと思います。

進学校としての取り組み

――神奈川県内でトップクラスの進学実績を誇る貴校ですが、その秘策について教えてください。

稲垣先生:やはり「進学校」として期待されていますから、非常に質の高い知的好奇心を明確に煽るような形の授業を行うのは大前提としてあります。最近では、きちっとした形でものを考える、考えさせる授業展開も検討しながら取り組みを始めているところです。特に「深い学び」というところを意識していますね。

また、授業の質の向上のため校内にプロジェクトチームを作っています。そのチームの人間を中心に授業の見せ合いや、県内外を問わず、他校の授業を見に行くということも行っています。先進的に動いている進学校は全国各地にありますので、他校の考え方もしっかりと見たうえで、湘南高校はどこまでできるかということを精査しつつ進めています。

整理整頓された教室

――進学の指導について、特徴的な取り組みがあればお聞かせください。

稲垣先生:「土曜講座」というものがありますがそれ以外にもできるだけ沢山の卒業生、それも出来るだけ生徒に近い卒業生を呼んで、自分たちがどんな風に過ごしてきたのか、今は何をしているのか、という事を話して頂いています。講座中、生徒たちの目はキラキラしていますよ。教員が百言うよりも、彼らが目の前に来て1時間喋ってくれたほうが、効果があるのかもしれませんね(笑)。

最近では東大法学部に進学しながら、野球で活躍している宮台康平さんが進路説明会で講演をしてくれました。そのほかにも、ノーベル化学賞を受賞された根岸英一先生をはじめとして、各方面で活躍されている方が多くいらっしゃることは本校の宝であると思っています。

6万冊以上の蔵書数を誇る図書館

――夏季講習、海外研修といった取り組みもなさっているそうですが、詳しくお聞かせください。

稲垣先生:夏季講習は、進学補習と考えてください。例えば、東大に行くための教科補習、京大に行くための教科補習、といった形で、志望校ごとに行っているものもあります。

また「サマースペシャル」というもので、学校の外に出てみよう、という企画もあります。例えば「東京大学の法学部に行ってみよう」、「神田の古書店街を見に行こう」といったものもあります。難関国立大学や早慶など、大学の研究室見学に行くというものは人気が高いですね。

海外研修は、ここ数年、毎年3月の春休みの間に行っています。ケンブリッジ、オックスフォードなどのイギリスの大学やUCLAなどアメリカの大学を訪問し、現地大学生とのディスカッションやレクチャーセッションもあります。来年3月にはノーベル化学賞を受賞された本校卒業生の根岸先生が奉職されている、インディアナ州パデュー大学で、9日間の日程のうち5日間を過ごすという内容になっています。根岸先生の講義はもちろん、アントレプレナー(起業)関係や、科学技術系の講義なども予定しております。

部活動も活発に行い、実績を残す

――部活動が非常に盛んということですが、特に活発な部、強豪などがあればご紹介ください。

稲垣先生:今年活躍して実績を残した部ですと、ラグビー部は県ベスト8、野球部は夏の大会で神奈川のベスト16まで行き、サッカー部も春の大会ではベスト8でした。秋の新人戦では、バドミントン部が男女ともベスト8、あとはフェンシング部が、ほぼ毎年、個人も含めて全国大会に行っています。陸上部には、関東大会に出場するような生徒もいます。

文化部については、合唱部は今年関東大会に出場、吹奏楽部も毎年県大会に行きます。美術部も活躍しており、今年は高文連から奨励賞を頂きました。ほかにも、本校の伝統として絃(げん)楽部があったり、ジャグリング部という珍しい部活動も盛んです。

部活動が盛んな進学校

――「文武両道」のために、特別に行っている取り組みはあるのでしょうか?

稲垣先生:何かをすると言うより、これはやはり「伝統」の力だと思います。入学して先輩たちの姿を見て、自分たちがそれをまた継承しながら、より良くしていこうという、そういう伝統が続いているから、という点に尽きるのではないでしょうかね。生徒にとって、文武両道は「当たり前」の事なんです。

そういった中で私どもができる事というのは、生徒たちが自主自律の中で、より活発に活動ができるように、支援をしていくという事だと考えています。教職員も休みを返上して頑張っていますし、OBの方々や、部活の先輩たちが指導に来てくれ、時には、金銭面での支援をしてくれることもあります。これは非常に有り難いことですね。

廊下

「文武両道」を支える充実した学校施設

――学校施設の面で、特徴的な部分があれば教えてください。

稲垣先生:県立高校でここまで敷地が広くて、校舎も立派な学校というのは、あまり無いと思います。面積については、県立高校で5本指に入るくらいの広ささです。体育館は第1体育館と第2体育館の二つがあり、運動部は存分に活動できますし、多目的ホールという、1学年ずつさまざまな発表を行ったり、部活の発表などもできるような400名規模のホールもあります。校舎の脇には90周年の機会に、OBの寄付によって「湘南高校歴史館」が建てられました。これも本校の歴史と伝統を良く物語るものになっていると思います。

2つの体育館

本校は旧制中学が母体ですが、全日制のほかに定時制もあり、教室が全日制とは完全に分離しています。これは非常に珍しいと思います。定時制には仕事を持ちながらも一生懸命に学ぶ生徒が通って来ていまして、これも本校ならではの特徴の一つになっていると思います。

定時制と言うと何となく、やんちゃな生徒のイメージを抱く方もいらっしゃる方もあるかもしれませんが、今は色々な家庭の事情があったり、外国につながる生徒たちなどが多く通っています。「湘南高校」と言うと、どうしても全日制の進学校というイメージになりますが、実は定時制のほうも頑張っていますよ、という点も、ぜひ、アピールしておきたいところです。

最近ではサーフィンの大会で全国優勝して世界選手権に出場した生徒が、サーフィンをメインの生活にしたいので、全日制の高校に行かず定時制を選んだ、というケースもあります。そういう具合に、何か打ち込めることが見つかった生徒に対しても、定時制の存在というのは、心強いものになっていると思います。

校門の両側に植えられたクスノキの木

――最後に、鵠沼エリアの魅力を教えてください。

稲垣先生:藤沢、鵠沼、鎌倉というこの界隈は、県立高校の区分ではかつて「湘南鎌倉学区」と呼んでいました。今はもう学区は無くなりましたが、元々住んでいらっしゃる方の特性としては、知的好奇心を高くお持ちのご家庭が多い、という印象がありますね。そして、一生懸命に勉強をする子たちが多いという印象もあります。

もちろん、ちょっと行ったところには海もあったりと、自然にも非常に恵まれていますし、駅前に雑然とした繁華街があるわけでもなく、勉強に集中しやすいという意味も含めますと、教育環境としては本当に素晴らしいところだと思います。

湘南高等学校

神奈川県立湘南高等学校

校長 稲垣一郎先生
所在地 :神奈川県藤沢市鵠沼神明5-6-10
TEL :0466-26-4151
URL:http://www.shonan-h.pen-kanagawa.ed.jp/
※この情報は2016(平成28)年12月時点のものです。

県内トップクラスの学力と進学実績を誇る名門「神奈川県立湘南高等学校」/神奈川県立湘南高等学校 稲垣一郎校長先生
所在地:神奈川県藤沢市鵠沼神明5-6-10 
電話番号:0466-26-4151
http://www.shonan-h.pen-kanagawa.ed.jp/

知能育成と受験対策専門の幼児教室

「楽しい」「学びたい」を実感できる「幼児教室チャイルド・アイズ 東浦和北口校」/幼児教室チャイルド・アイズ 東浦和北口校


「チャイルド・アイズ」は、総合教育の「やる気スイッチグループ」が運営する幼児教室。バラエティに富んだ教材を使った楽しく学べるレッスンが、子どもたちの知的好奇心を刺激して思考力や発想力を育成する。子育て情報誌の「こどもの通信教育&習いごと」幼児教室部門で1位に選ばれるなど、子育てファミリーから高い人気を集めている。全国で100以上展開する教室の中でも、名門校が集まる浦和エリアの東部にあるのが、「チャイルド・アイズ東浦和北口校」。本部の椿真由美さんに、子どもたちの力がグングン伸びる指導法を伺ってきました。

教材の活用で子どもたちの脳をバランスよく刺激

ブロックを用いて図形へのイメージを深めるレッスン

――「チャイルド・アイズ東浦和北口校」の概要を教えてください。

椿さん:「チャイルド・アイズ」は、お子さまの豊かな創造性や柔軟な思考力を育てる幼児教室です。知育の習得に偏ることなく、「考える遊び」を通じて、バランスの良い脳の成長を促していくレッスンを行っています。

東浦和北口校は、2009(平成21)年10月に開校いたしました。周辺には閑静な住宅街が広がっていて、教育熱心なご家庭が多く、お子さまたちもいろいろな塾に通われているようです。3世代で暮らしているご家庭も多いためか、落ち着いているお子さまが多いことも特徴のひとつです。

チャイルド・アイズ東浦和北口校

――「知能育成コース」の内容や指導方法をお聞かせください。

椿さん:知能育成コースは1歳半から6歳までの6つの成長段階に分かれたクラスがあり、お子さま自身の興味の芽を見つけ育むことを大切に、考えることを楽しみながら、将来へつながる土台を築くレッスンを行っています。指導方法は「具体物」を操作することが特徴で、お子さまの興味を引き出しながら、高すぎない程度の目標をクリアしていくことで達成感を味わってもらい、これを重ねていくことで、自信を持って何事にも意欲的に取り組めるようにしていきます。「できた」の次には、「やって楽しい」「もっとやりたい」というやる気が出てくるので、講師はお子さまの「できた」という瞬間を逃さず、「認める」「ほめる」ことを大事にしながらレッスンを進めていきます。

レッスンの様子

――「具体物」を使ったレッスンとはどのような内容ですか?

椿さん:「図形」、色や音を含めた「記号」、言葉の意味である「概念」の3領域から、さまざまなオリジナル教材を使って、お子さまの考える力を刺激していきます。例えば、図形であれば、幼児期は縦の線と横の線は認識しやすい反面、斜めの線は認識しづらいんです。それを、三角形の積み木やパズルといった教材で遊びながら、いろいろな形を作っていくうちに、分割線が見えるようになり、高学年になって面積学習に入った時にイメージが湧きやすくなります。6種のブロックを用いる「パターンブロック」は図形の合成・分解が簡単にでき、3領域を刺激するのに最適の教材なので、これを使ったレッスンもたくさん取り入れています。

知育のイメージ力から集中力、多面的な思考力へ

さまざまなオリジナル教材で考える力を刺激

――受験対策コースも開設していらっしゃいますね。

椿さん:知能育成コースをベースに、受験対策コースを組み合わせて受講していただきます。受験対策コースのペーパー問題では知育で学んだ考える力の定着を図って、物事を多面的に見る力、多様な思考パターンを育んでいきます。また、知育は自分自身をさまざまに表現していく場ですが、受験は先生の話を聞いて指示に従うなどテクニックが必要です。小学校受験対策なら、ポイントは大きく分けて、ペーパー、行動観察、面接の3つ。ぞうきん絞りや靴ひもを結ぶといった生活習慣も出題されますので、あいさつと返事を徹底させていくといった細かいしつけの部分まで含めて、すべてのポイントを網羅したレッスン内容となっています。
熱心なご家庭ですと受験対策として、1歳から知育のレッスンを進めております。

各小学校の案内冊子

――チャイルド・アイズのレッスンを受けることで、お子さまたちにはどのような変化が見られますか?

椿さん:いろいろなタイプのお子さまが通われていますが、チャイルド・アイズでは「子どもたち一人ひとりの宝石を見つける」という会社の理念に沿って、お子さまの良い部分や可能性を引き出すためのレッスンを進めています。お勉強だけでなく、心を育てながらというところを大事にしていますね。

お子さまたちについて特に感じているのは、「集中力がついてくる」ということです。小さい頃はじっと座っていることが苦手ですが、次第にひとつの教材にじっくり取り組めるようになってくる。それにつれて考える力も身についてきて、ものの見方が多面的になっていきます。例えば、これまで単に「机」と見ていたものを、「何でできているのかな」とか、「これは四角だよ」とか、概念や図形で話をすることができるようになったというお話を、ご家族から伺うことがあります。

この、ものを多方向から見られる力が本当に発揮されるのは、小学校高学年になってから。知育で培った柔軟な思考力を、学校では習わないようなペーパー問題を解きながら落とし込んでいくので、チャイルドの子どもたちは6年生の学力テストで応用力を問う問題が得意という結果が出ていて、親御さんも「こんなに力がついていたのか」と驚かれるようです。

一人ひとりの生徒をしっかり見てくれる

――どのような講師の方が指導されているのでしょうか。

椿さん:資格より適性を重視しています。専門の研修を受けていることはもちろん、通っているお子さまのことを一番に考えてくださる方、教育に関する知識が豊富でいろいろなアンテナを張っているような方を選んでいますね。クラスは少人数制で、知育ならお子さま3人に対し講師1名程で進めていきますので、一人ひとりのお子さまをしっかり見ることができます。同じ教材を使っても、発問の仕方によって難易度が違ってきますので、講師はお子さまの発達を客観的に見極めながら取り組み方を自在に変えていきます。

3世代の暮らしが息づく子育てしやすいエリア

レッスンで使用される教材が展示されている

――東浦和北口校ならではの特徴や魅力をお聞かせください。

椿さん:全体的におだやかな雰囲気で、非常にアットホームです。基本は担任制ですが、ミーティングなどでそれぞれの先生が持つ情報を共有し、全員で一人ひとりのお子さまを見守るという温かさがあります。東浦和北口校の講師は全員女性で、子育て経験豊富なベテランが多いことも特徴ですね。

――東浦和エリアの魅力について教えてください。

椿さん:都心へのアクセスが良い割に公園や自然が多く、四季の移り変わりが感じられます。3世代同居の方が多くてお祖父ちゃんからお孫さんまで同じ小学校に通っていたり、自治会が活発でお祭りも行われたりと、地域に密着した活動がさかん。子育てされている方も多く、安心して住めるエリアです。教育に関しても、小中学校の連携が多いなど浦和の文教地区らしい教育熱心な部分がありながら、浦和の中心部に比べるとお子さまの個性を大切にされながら生活を楽しまれているご家庭が多いように見受けられます。のびのびとした環境で、暮らすにはすごくいい地域だと思いますよ。

チャイルド・アイズ東浦和北口校

チャイルド・アイズ東浦和北口校

チャイルド・アイズ事業本部 直営運営部の
椿 真由美さん(中央)と東浦和北口校の先生方
所在地 :埼玉県さいたま市緑区東浦和4-33-14 Y・Sビル1F
電話番号:048-873-6041
URL:http://navi.childeyes.jp/tabid/61/pdid/6375/Default.aspx
※この情報は2017(平成29)年6月時点のものです。

「楽しい」「学びたい」を実感できる「幼児教室チャイルド・アイズ 東浦和北口校」/幼児教室チャイルド・アイズ 東浦和北口校
所在地:埼玉県さいたま市緑区東浦和4-33-14 Y・Sビル1F
電話番号:048-873-6041
開校時間:10:00~18:00
休校日:日曜日、祝日
http://navi.childeyes.jp/tabid/61/pdid/6..