建築基準法の改正で住まいの安全度がアップ

この6月に建築基準法が改正され、構造計算のチェックが厳しくなりました。これから家を買う人にどんなメリットがあるのか、改正内容を少し詳しく見ていきましょう。

マンション

●第三者機関が建物の構造計算をチェック

一戸建てやマンションなどの住宅をはじめ、ビルや学校などあらゆる建物を建てるときは、建築基準法という法律を守らなければなりません。建物を建てる前に建築主事という行政機関か、民間の確認検査機関に設計図を提出して、法律に違反していないかどうかをチェックしてもらいます。これが建築確認と呼ばれる手続きです。

6月20日に改正された建築基準法では、一定規模以上の建物の基礎や柱、梁などの構造部分について、設計に不可欠な「構造計算」を第三者機関が改めてチェックするルールを定めました。一定規模以上というのは、「高さが13mまたは軒の高さが9mを超える木造の建築物」「高さが20mを超える鉄筋コンクリート造などの建築物」などです。

第三者機関とは都道府県知事が指定する構造計算適合性判定機関のことで、構造計算適合性判定員という専門家が構造計算に誤りや違反などがないかをチェックする仕組みです。

■構造計算適合判定の流れ

構造計算適合判定の流れ

●建築士への規制を強化して建物の安全性を確保

これまでの建築確認手続きでも設計図がチェックされていましたが、構造に関する設計は専門性が高いため十分な確認ができていないのが実態でした。それでも問題が表面化しなかったのは、「建築士は法律を守って設計する」という“性善説”が当たり前とされていたからです。

ところが、先の耐震偽装事件によって、そうした常識が覆されてしまいました。そこで今度は「建築士でもミスや偽装を犯すこともある」との“性悪説”に立って制度の見直しが行われたのです。

法改正ではこのほかにも、違反を犯した建築士などに対する罰則の強化や、処分を受けた建築士や建築士事務所の名前を公表するルールも盛り込まれました。二重・三重の規制強化により、建物の安全性を確保しようというわけです。

●第2・第3の対策も順次スタートされる

今回の改正は耐震偽装対策のいわば第1弾です。第2弾・第3弾の対策もすでに法律が成立しており、順次施行されることになっています。

第2弾では一定の建物について、構造と設備の設計が法律に適合しているかどうかを専門の建築士がチェックすることを義務づけています。また、万が一欠陥や偽装が発覚した場合に購入者などが損害を被らないよう、売主などに保険制度への加入を義務づける内容が第3弾です。

これら一連の対策は建築士や売主などを対象としたものなので、購入者の負担が増えるわけではありません。すでに売主側で安全対策を強化する動きも進んでおり、安心して住宅を買える環境が整いつつあるといえるでしょう。

       







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