消費税率引き上げが延期へ、マイホーム購入への影響は?

消費税率10%への引き上げ時期が1年半延期されることになりました。この決定がマイホーム購入にはどんな影響を及ぼすのか、考えてみましょう。

消費税負担が増えないという点では、マイホーム購入に朗報

消費税率10%への引き上げ時期が延期され、2017年(平成29年)4月から実施されることが決定されました。マイホーム購入を検討している人にとっては、うれしい決定と考えてもいいのでしょうか? 消費税と住宅購入の関係を整理してみましょう。

住宅購入の際には建物に対してのみ消費税が課税されます。仮に、4000万円の住宅を購入するケースで土地価格が2000万円、建物価格が2000万円であるとすれば、2000万円×8%=160万円が現時点での消費税額ですが、税率10%となると2000万円×10%=200万円になります。2017年3月までは、その2%分の税負担が軽くて済むということになります。

「住まい給付金」や「住宅ローン減税」は2017年まで継続の予定

諸費税増税の負担を軽減するために、2014年4月の税率引き上げの際には「住まい給付金」の制度が新設されました。この制度は2017年(平成29年12月)まで実施される予定とされています。また、同時に「住宅ローン減税」の拡充も行われ、こちらも同じく2017年(平成29年12月)まで適用される予定です。

つまり、「2015年(平成27年)10月の税率アップまでになんとかマイホームを」と考えていたのであれば、あせる必要がなくなったということです。住宅購入希望者にとっては朗報といえるでしょう。

延期の背景には景気の足踏みが…景気回復や金利動向には要注意

ただし、もう少し視点を広げて、経済全体の動向をみると単純な話しではないかもしれません。

今回の税率引き上げの延期は、景気回復への悪影響を回避することが最大の目的です。安心して住宅購入の決断を下すためには、景気回復や収入増加が見込める経済環境になることが必要ですが、景気の先行きに不透明感がみられるという判断でしょう。これは購入にとってはマイナスの要因とも言えます。また一方で、円安の進行や人手不足などから建築コストの上昇傾向は続いており、新築物件には価格上昇の圧力がかかってきています。住宅を購入する環境という視点で考えると、少し向かい風が吹きつつあると言ってもいいでしょう。

もうひとつ、金利の動向も注意しておく必要があります。消費税率引き上げ延期と時期を同じくして金融緩和の拡大も発表されていますので、住宅ローン金利は引き続き低い水準を維持すると予測されています。ただ、2017年までに緩和策が変更されたり、金融市場に変化があれば金利が上昇する可能性はあります。市場最低水準が続いているだけに、反転すれば影響は大きくなりそうです。

このように、税率引き上げの背後にある動きも理解した上で、購入のタイミングを考えていくことが大切になりそうです。

       







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