東京スカイツリーの誕生で街選びが変わる?

2012年5月に東京スカイツリーが開業し、大変な人気を集めています。商業施設「東京ソラマチ」や「すみだ水族館」も一体となった観光スポットの出現は、住まい選びや街選びにどんな影響を与えるのでしょうか?東京スカイツリーを例にして考えてみましょう。

開業前の時点で周辺の地価は上昇傾向に転じる

東京スカイツリーのように全国的にも話題となるような施設の誕生は、周辺エリアに与える経済効果も非常に大きなものになります。こうした開発が引き金となって地価上昇が発生するというケースは過去にもみられました。実際に平成24年「公示地価」(1月1日時点の地価評価額)によると、東京圏の商業地変動率では東京スカイツリー近くの「押上1-24-1」が変動率3%アップと第3位、区別でみても商業地の対前年変動率は東京都23区平均がマイナス2.1%に対し、墨田区平均はマイナス1.0%となっています。
また「基準地価」(7月1日時点の評価)では、商業地での地価上昇率全国2位はスカイツリーの足元に位置する「墨田区業平1-12-5」、墨田区全体としてもプラス0.3%と23区で唯一上昇を示す数値となっています。全体としては地価の下落トレンドが続く中、墨田区はスカイツリーによる経済効果や、将来へ期待値が牽引するかたちで地価が上昇傾向に転じたと考えてよさそうです。

周辺の住宅価格への影響や、タワービューの部屋の人気は?

通常、地価が上昇し始めたエリアに関しては、その変動が住宅価格にも反映されていくことが予測されます。取得用地が値上がりすれば販売されるマンションの価格が上がるという理屈です。ただ、「スカイツリー自体や商業施設の集客は好調だけど、周辺商店街の賑わいは予想通りとはいかなかった」という状況もあり、経済効果は「まだら模様」に影響が及んでいるようです。東京スカイツリーは住宅棟を含んでいませんし、墨田区には古くからの住宅地が多く新たな住宅開発自体が少ないこともあり、急激に住宅価格に反映されている、という状態ではないようです。

また、自宅の窓からスカイツリーが見える「タワービューの部屋」の賃料や販売価格が高い、という現象もまだ顕著にはなっていません。「東京タワーの見える部屋」の人気は高いそうですが、スカイツリーは634mの高さを持つだけに見える範囲が広く、タワービューの価値や希少性が重視されていない、という状況にあるのかもしれません。しかし、ライトアップやイベントなどの仕掛けによって「スカイツリーブランド」の浸透が進めば、今後評価が変わっていく可能性はありそうです。

沿線全体としては注目度が上がりプラスの要因に

街選びの観点でから見ると、東武沿線に対する注目度が相対的に高くなったことは確実でしょう。東京スカイツリーはもともと貨物ヤードがあった跡地が再開発された場所。当初は住宅やホテル、オフィスといった商業施設への再開発計画が議論されたこともあったようですが、最終的には電波塔を中心とした水族館、プラネタリウムを組み合わせた先例のない複合的商業施設として生まれ変わりました。オープン以来の活況ぶりを見ると、この方向性は間違っていなかったようです。
スポット的な再開発にとどまらず東京の新しいシンボルが誕生したことで、人の流れが大きく変わり、様々な波及効果が沿線全体に今後生まれていくはずです。古くからの住宅が並ぶ東京の下町地区に突如現れたシンボルタワーが、沿線全体の街の発展、住宅地としてのポテンシャルにどのような影響を与えていくのか、これからの動向に注目が集まります。
東武線沿線や周辺エリアでは「スカイツリービューの部屋」は今後増えていくでしょう。ライトアップされた夜の表情も含めて、景観は他では得られない価値であることは間違いありません。「東武線沿線でスカイツリービューのマンションを探す」というのも、住まいへの新しいこだわり方だといえます。

       







PAGE
TOP