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大規模団地の建て替えが進む柏市・豊四季台、
産官学の連携により、多世代が住みやすい街に生まれ変わる!

2016年1月14日

古くから開発が進められてきた柏市・豊四季台エリア。衛生的で快適なライフスタイルを送れる最先端の建物として人気を集めた豊四季台だが、建物の老朽化により、現在建て替え事業が行われている。その建て替えに伴い、柏市・UR・東京大学が連携して、超高齢・長寿社会における理想のまち・システムの提案と、実現のための体制づくりを進めている。高齢社会における先進的な取り組みとして、全国各地から視察が訪れる産官学一体となった取り組みとはどんなものなのだろうか。

多世代の人が交流できる街への再生を目指して

豊四季台の街並み豊四季台の街並み

「東京オリンピック」が行われた1964(昭和39)年に入居を開始した「豊四季台団地」。総戸数4,666戸の団地は、柏市では「光ヶ丘団地」と並ぶ大規模団地造成地であった。「豊四季台団地」は鉄筋コンクリート造りで、全戸に水洗トイレや内風呂が付くなど、快適なライフスタイルを送れる最先端の建物として、当時人気を集めていた。
そんな「豊四季台団地」も、約40年の月日を経て老朽化が目立つようになってきた。そこで、UR(都市再生機構)は2004(平成16)年から建て替え事業に着手。第Ⅰ期・第Ⅱ期の工事が完了し、現在は第Ⅲ期の工事が進められている。また、建て替え事業と合わせて民間企業による開発も行われ、2012(平成24)年にはエリア内初の民間分譲マンションとなる有楽土地(現・大成有楽不動産)の「オーベルグランディオ柏(212戸)」が完成。現在、第2弾として、同エリア内で「オーベル柏パークフロント(158戸)」が分譲されている。

そんな建て替えが進む豊四季台だが、建物の老朽化だけでなく住民の高齢化も問題となっていた。そこで柏市・UR・東京大学の3者が連携して「柏市豊四季台地域高齢社会総合研究会」を発足、「超高齢社会に対応した、高齢者が安心して元気に暮らすことができるまちづくり」を目指した取り組みが進められることになった。この全国に先駆けてスタートした取り組みは、今後日本全体で進行することが予想される急激な都市高齢化に対応したまちづくりのモデル事業として注目を集めている。

研究会の構成研究会の構成(提供:柏市豊四季台地域高齢社会総合研究会)

具体的には、「いつまでも在宅で安心した生活が送れるまち」にするための「在宅医療の推進」や「地域包括ケアシステムのモデル拠点の整備」、「いつまでも元気で活躍できるまち」にするための「生きがい就労の創成」や「セカンドライフ応援事業」、「移動・学び・交流しやすい環境づくり」などの方針を実現するために、様々な事業に取り組んでいる。「いつまでも在宅で安心した生活が送れるまち」では、在宅医療を推進するシステムの構築、訪問看護の充実、介護サービスの充実、サービス付き高齢者住宅の整備といった取り組みを進めており、2014(平成26)年には、サービス付き高齢者向け住宅「ココファン柏豊四季台」や、在宅医療を含めた地域医療・介護を推進する拠点「柏地域医療推進センター」が完成している。また、「いつまでも元気で活躍できるまち」では、農業・生活支援・育児・地域の食・福祉の5分野の事業を高齢者のための就労とすることによって、退職後に地域で働き、地域の課題解決を図り生きがいを持って暮らしてもらうことを目指しており、具体的には「柏農えん」での就農や、講師として保育園や幼稚園に赴いて保育業務に従事するなどの取り組みが行われている。

高齢者だけでなく、全ての世代が暮らしやすい街に

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これら取り組みは、高齢者はもちろんのこと、多世代が暮らしやすい街になることにもつながるだろう。たとえば、「いつまでも在宅で安心した生活が送れるまち」の取り組みの一環として、2014(平成26)年に開設したサービス付き高齢者向け住宅「ココファン柏豊四季台」には、1階部分に一般内科や小児科のある「豊四季診療所」や内科・外科・整形外科のある「くわのクリニック」、調剤薬局、2階には子育て支援施設「ココファン・ナーサリー柏豊四季台」や学童ステーション「学研キャンパス」などの新たな保育施設なども入居しているため、高齢者だけでなく周辺に住まう子育て世代も利用することができる。また、高齢者が積極的に地域活動に参加したり子育てに関わるようになれば、学童保育の場や保育士の不足といった育児が抱える課題も解決するなど、若い世代にとってもメリットは大きいだろう。

ピーコックストア 豊四季店「ピーコックストア 豊四季店」

このように、全ての世代が住みやすい街にするべく、取り組みが進められている豊四季台だが、毎日の生活に欠かせない生活施設が充実していることも見逃せない。「豊四季台団地」の中央部には、日常生活に必要な品々を販売する商店が集まる「豊四季団地名店会」がある。また、スーパーマーケットの「ピーコックストア豊四季店」をはじめ、「柏市立図書館 豊四季台分館」、「柏豊四季台郵便局」、「千葉銀行 柏西口支店豊四季特別出張所」など、暮らしに便利な施設が揃っている。

豊四季台わらび保育園「豊四季台わらび保育園」

さらに、認可保育園「豊四季台わらび保育園」や、子育てする地域の人のふれあいの場「豊四季台児童センター」、街区の中心に広々とした芝生広場や遊具スペース・散策路が整備された「豊四季台公園」もあり、「豊四季台公園」はベンチが整備され地域住民の憩いの場、そして交流の場となっている。
今後は、「コミュニティ食堂」やコンビニ、温浴施設などを併設した商業施設も開業予定となっている。

豊四季台公園「豊四季台公園」

また、「超高齢社会に対応した、高齢者が安心して元気に暮らすことができるまちづくり」と合わせて、緑の創出、散歩道の創造、カーシェアリングといった、ECO生活の実現にも取り組んでいる。
このように、多くの人たちが安心して住める街へと進化を続ける豊四季台。今後もこの街の進化から目が離せない。

UR(都市再生機構)の担当者にお話を伺いました

独立行政法人 都市再生機構
東日本賃貸住宅本部 関東地域住宅経営部
ストック再編事業部第1チーム
主幹 小野里繁 さん

豊四季台団地はJR「柏」駅の西に約1キロメートルのところに位置している団地です。団地と柏駅を結ぶ循環バスも頻繁に運行しているなど都心へのアクセスも良く、比較的便利な団地だといえると思います。管理開始されたのは1964(昭和39)年で、規模は約32.6ヘクタール・4,666戸、住棟数103棟の大規模な団地でした。大規模団地ゆえに建替事業を、一度に実施することはできませんので、期別に少しづつ実施しており、2004(平成16)年から始まり、現在は三期の建物の除却工事がほぼ終わったという状況です。

団地全体として目指すべきまちづくりの姿としては、「高齢者と子育て世帯の融合するまちづくりのための在宅医療・福祉施設導入と子育て支援施設の拡充」「住民の交流の場となる地域拠点ゾーンの整備」「優れた住環境づくりを先導する景観形成と低炭素まちづくりへの取り組み」の3つが大きなテーマとなっています。注目を集めている柏市・UR・東京大学が協力して行っているまちづくりに関連して、「サービス付き高齢者向け住宅」や「柏地域医療連携センター」が、昨年度までにオープンしているところです。「サービス付き高齢者向け住宅」については、1階部分にいろいろな施設が配置されています。診療所や薬局をはじめとするこういった施設は、「サービス付き高齢者向け住宅」だけではなく、地域の方々にもサービスを提供するものであり、この施設を設けたことで地域にとってのメリットも生まれているという点が大きな特徴となっています。

商業施設に関しては、もともと団地の中心にあった商業街区の建て替えを進めており、新戸割店舗や、コミュニティ食堂、温浴施設、コンビニエンスストアといった内容を含む新商業施設がオープンする予定になっています。建て替え前の豊四季台団地には、もともと柏市の「豊四季保育園」や児童センター、「くるみ幼稚園」などの子育て施設がありました。団地の建替事業の中で、「くるみ幼稚園」は、保育機能を充実させるべく、新しく昨年度までに二階建ての建物を建設して保育機能を更に充実させるなど、子育て世帯のニーズにも応えられる団地であると思います。

豊四季台団地では、様々な要素を含むまちづくりが行われているわけですが、このような取組みが実現できている背景には、やはり柏市とか東京大学との連携があると感じています。それぞれが役割分担をして得意な分野を主体的に行い、お互いに不得意な点を補い合いながら進めていることがこういったまちづくりに繋がっているのだと思います。

今後も、古い住宅や商業街区が少しずつ建て替わっていく中で、引き続き柏市や東大との連携を取りながら、長く住み続けられる団地を目指して、事業を進めていきたいと考えていますので、いろいろな世代の方々が新しいまちづくりを感じながら、過ごしていただければ嬉しいです。