品川区の西の玄関として、近代的な街へ生まれ変わる「武蔵小山」駅周辺の3つの再開発事業を紹介!

2017年5月23日

「武蔵小山」駅周辺は、2013(平成25)年に策定された「品川区まちづくりマスタープラン」の「めざすべき将来都市構造」において、「地区活性化拠点」に位置付けられている。このマスタープランでは、「区西部の生活活動を支えるより広域性のある拠点となるよう、土地の計画的かつ合理的な高度利用を図り、商店街の機能更新や商業、居住、生活支援、文化、コミュニティ等の都市機能の強化、更新、集積ならびに防災性の向上を図り、にぎわいと回遊性のある区の西の玄関口に相応しい複合市街地の形成をめざす」とされており、現在「武蔵小山」駅前では、この方針に沿って再開発計画が進行中で、街の活性化につながる再計画として注目を集めている。

武蔵小山パルム駅前地区第一種市街地再開発事業「品川区まちづくりマスタープラン」(引用:品川区HP)

武蔵小山パルム駅前地区市街地再開発

武蔵小山パルム駅前地区第一種市街地再開発事業完成予想図(提供:武蔵小山パルム駅前地区市街地再開発組合)

「武蔵小山」駅の南側に隣接した場所で計画が進むのが、「武蔵小山パルム駅前地区第一種市街地再開発事業」だ。予定地は、「武蔵小山」駅及び駅前広場に隣接しながら、老朽化した木造の建物が密集する市街地となっており、防災性の向上が急務となっている。また、近年の「武蔵小山」駅周辺地域の交通利便性の向上や都市基盤の整備、それらに伴う都市計画的な位置付けの高まりにより、地区全体の拠点性の強化も求められてきた。このため、大規模な敷地の統合を図り、土地の高度利用を行うことにより、品川区の西の玄関口・荏原地区の中心核にふさわしい魅力ある複合市街地の整備を行うこととなった。

再開発の範囲は、武蔵小山駅前広場とパルム商店街に面する約0.9haの区域で、周辺は個性豊かで魅力のあるしゃれた街並みづくりを進め、東京の魅力の向上するための「東京のしゃれた街並みづくり推進条例」に基づく街並み再生地区(武蔵小山東地区)にも含まれている。本計画では、「駅前広場と一体となり店舗に囲まれた賑わいの核となる広場を創出し、地区の回遊性を高めるまちづくり」が特徴となっており、商業施設のほか、生活支援施設、駐輪場、防災備蓄倉庫も整備される予定だ。商業施設は実に40以上の店舗が入居することが計画されているので、事業が完了すれば、さらに駅前の利便性が高まることが予想される。また、駅前広場と一体となった地区の拠点性と防災性の向上に資する広場や、歩行者優先道路も整備予定で、隣接する「武蔵小山商店街パルム」とは、連続性を確保した街並みになるように配慮もされる。

武蔵小山パルム駅前地区第一種市街地再開発事業駅前広場のイメージ(提供:武蔵小山パルム駅前地区市街地再開発組合)
武蔵小山パルム駅前地区第一種市街地再開発事業商店街側のイメージ(提供:武蔵小山パルム駅前地区市街地再開発組合)

武蔵小山駅前通り地区市街地再開発

武蔵小山駅前通り地区市街地再開発再開発の範囲(提供:武蔵小山駅前通り地区再開発準備組合)

こちらの再開発では公益施設のほか、商業施設の設置が予定されている。

開発の特徴としては「市街地環境の改善・活気溢れる賑わいの創出」と「地域の防災機能向上」の2点がある。「市街地環境の改善・活気溢れる賑わいの創出」では、多様なニーズに対応する良質な住宅を供給するとともに、集会所としての機能を持つ地域センターの移転導入や駅前道路の拡幅などによって、地域のコミュニティの活性化を図っていく計画。また、駅前通りに沿って商業施設を配置し、連続した賑わいを創出し、商店街の回遊導線の充実を図るとともに、敷地内に広場や緑を設け、潤いある街並み形成にも貢献する。

「地域の防災機能向上」では、災害時には地域の防災活動の場として利用可能な広場を設け、マンホールトイレやかまどベンチなどを整備することになっている。さらに、敷地内の地域センターと連携をして、屋内応急活動スペースとして開放可能な集会室や防災備蓄倉庫を設置し、一時避難場所や長期的な周辺在宅被災者に対する支援活動の場として活用することも計画されている。

小山三丁目第1地区再開発事業

小山三丁目第1地区再開発事業イメージ図(参考:武蔵小山駅周辺地区開発連絡会ニュース第4号)

上記の2つの再開発事業によって「武蔵小山」駅前には新たな賑わいが創出されることになるが、駅前ではさらに「小山三丁目第1地区市街地再開発」の検討も始まっている。「小山三丁目第1地区市街地再開発」は、3つの再開発事業の中で最も大きい約1.5haの区域が含まれ、次の4つの方針で街づくりの検討がされている。

(1)密着市街地の更新による個性ある複合市街地の形成
(2)既存商店街の魅力を継承した連続的な街並みの形成
(3)自動車・歩行者交通の整序化
(4)既存の周辺市街地への環境配慮・改善と防災性向上

地上近くでは既存商店街の雰囲気を継承したヒューマンスケールの商店街や、連続する多用な賑わい機能、防災機能、中間層では、高層と地上の緩衝となる環境空間(屋上庭園、オープンテラス等)、高層では周辺環境に配慮した建物作りが計画されている。こちらの計画は、2014(平成26)年に地区計画の変更、再開発事業の都市計画決定の告示を受けた段階で、現在は組合設立の認可申請のための各種調査の実施など、事業化に向けた活動を行っている。

武蔵小山パルム駅前地区第一種市街地再開発事業3計画の実施位置図(参考:武蔵小山駅周辺地区開発連絡会ニュース第4号)

このように、商業施設や公益施設が誕生するだけでなく、良好な駅前空間の創出や駐輪場の整備により洗練された街並みが誕生したり、歩行者優先道路整備や既存道路の拡幅により、安全性が高く、子どもから高齢者まで全ての年代が暮らしやすい街となることが期待されている「武蔵小山」駅。

品川区が目指す「地区活性化拠点」として、「武蔵小山パルム駅前地区第一種市街地再開発事業」「武蔵小山駅前通地区市街地再開発」「小山三丁目第1地区再開発事業」の3つの再開発事業は、今後どのような姿へと変化を遂げていくのか。「武蔵小山」駅周辺の将来が今から楽しみだ。

※本文中で掲載している各パースはイメージのため、実際とは異なる場合があります。