「さいたま市立高砂小学校」永山誉校長先生
「さいたま市立高砂小学校」永山誉校長先生

明治4(1871)年の開校より150周年を迎えた「さいたま市立高砂小学校」。県都として発展した浦和の中心街に位置する歴史と伝統のある学校で、児童数およそ1,000名を数える活気ある校風も特徴です。また2世代、3世代にわたって子どもを通わせるご家庭も多く、保護者や地域との繋がりも感じられる地域に根ざした学校です。

今回は「高砂小学校」の永山誉校長先生を訪ね、開校150周年記念事業の取り組みや、学校の特色、地域とのつながりなどについてお話を伺いました。

「高砂小学校」のシンボル・正門わきの城壁のような外壁(真砂塀)と門(高砂門)
「高砂小学校」のシンボル・正門わきの城壁のような外壁(真砂塀)と門(高砂門)

コロナ禍で迎えた開校150周年。コロナ禍でもできることを考えて

――開校より150 周年を迎え様々な記念事業が行われたと伺っておりますが、節目となる一年を振り返っていかがでしたでしょうか?

「さいたま市立高砂小学校」は明治4(1871)年に「浦和郷学校」として開校したのがはじまりで、今年の3月に150周年を迎えました。昨年度は記念すべき150周年を迎えるにあたって様々な記念事業が行われ、みんなでお祝いをしたりこれまで支えて来てくださった地域の方へ感謝の気持ちを伝えたりすることができました。具体的には、次のような内容となります。

〈高砂小学校開校150周年の主な記念事業〉

1 開校百五十周年記念誌発刊
2 航空写真撮影
3 スポーツフェスティバル(浦和駒場スタジアム)
4 校名板リニューアル
5 正門植栽整備
6 金管バンド演奏による校内チャイム作成
7 校舎屋上横断幕掲示
8 伊勢丹浦和店懸垂幕掲示
9 わんぱくランド安全対策
10 歴史的資料の整理・ファイリング作業
11 金管バンドの楽器購入
12 高砂小学校・浦和の未来を考える作品展
など

昨年度は緊急事態宣言に伴う休校措置など未曾有の出来事に見舞われた一年でしたが、コロナ禍にあっても子どもたちと共にできることを考えて様々なことに取り組んできました。

「高砂小学校」の歴史を伝える看板
「高砂小学校」の歴史を伝える看板

中止になった記念式典に代わり開催された「スポーツフェスティバル」

――「スポーツフェスティバル」について、当日の様子についてもお聞かせください。

もともとは地域の方や保護者をお招きして「さいたまスーパーアリーナ」で記念式典を開催する予定だったのですが、感染拡大防止の観点から中止になってしまいました。中止が通達されたのは開催予定の2ヶ月前だったと思います。

しかし開校150周年という記念すべき年はその年度しかありません。学校の歴史を振り返りながら、地域の方をはじめ様々な方に支えられて現在があることに感謝する機会にしたいと思いコロナ禍でもできることはないかと検討を重ねました。そのような状況の中で、地域の方のお力を借りて実現に至ったのが「浦和駒場スタジアム」で実施した「開校150周年記念スポーツフェスティバル」です。

当日はあたたかい日差しにも恵まれて、1〜5年生は持久走、6年生は芝生の上でサッカー大会を行いました。また金管バンドの演奏も行われ、はじめての取り組みではありましたが、子どもたちは広々とした空間で伸び伸びと活動できたかなと思います。

また閉会式では地域の方への感謝の気持ちを歌で吹き込んだDVDを披露して、スタジアムに足を運んでくださった地域の方や保護者に感謝の気持ちを伝えました。

「開校150周年記念スポーツフェスティバル」で行われたサッカー大会
「開校150周年記念スポーツフェスティバル」で行われたサッカー大会

地域とのつながりも感じられる多彩な記念事業

――他の取り組みについてもお聞かせください。「わんぱくランド」の安全対策とは?

校舎の東側に、主に低学年の子どもたちが活動を行う「わんぱくランド」という広場がありまして、ジャングルジムやすべり台などの遊具が設置されています。遊具に関しては以前から安全対策が必要だと言われておりまして、150周年の記念事業に合わせて整備を進めてみてはといった意見をいただいたのがきっかけです。落下防止対策などの安全対策が施され子どもたちもより安全に使用できるようになっています。

また「わんぱくランド」の入口に看板があるのですが、かなり古くなっていたので昨年度の卒業生が卒業制作を兼ねてリニューアルしてくれました。これも150周年の記念事業のひとつですね。

卒業生が制作した「わんぱくランド」入口の看板
卒業生が制作した「わんぱくランド」入口の看板

150周年を記念した取り組みは他にも、JR「浦和」駅の協力を得て開催された「高砂小学校・浦和の未来を考える作品展」や、伊勢丹浦和店にも150周年をお祝いする懸垂幕を掲出いただいたことがあります。写真展の共同開催や伊勢丹浦和店の公式マスコットキャラクターの案を本校の児童から募集するなど、様々な取り組みが行われました。

150周年記念事業・伊勢丹浦和店へ懸垂幕の掲示の様子
150周年記念事業・伊勢丹浦和店へ懸垂幕の掲示の様子

木製で傷みが激しかった校名板も150周年を機にリニューアルされ、伊藤鉄工株式会社の皆さまに作成いただいた校名板は今後50年、100年と高砂小の子どもたちを見守ってくれることと思います。

児童数1,000名を超える大規模校ならではの良さを生かした取り組み

――学校の概要や特色について教えてください。

本校は児童数1,000名を超える大規模校で、通常学級は各学年5学級の全30学級あります。また特別支援学級が2学級と“きこえとことばの教室”という通級指導教室が6教室ありまして、非常に大きな学校です。

校歌と、卒業生が作成した職員玄関の下駄箱
校歌と、卒業生が作成した職員玄関の下駄箱

運動会など行事で大いに盛り上がるところは大規模校ならではの雰囲気かと思いますし、大規模校の良さを生かした取り組みのひとつに異学年での縦割り活動を行っています。年齢の異なる子どもたちと交流することによって社会性や人間性を養うことにもつながると考えています。

さいたま市の推計ではこの地区は来年も子どもの数が増えるようで、微増あるいは同じくらいの人数規模でしばらく推移するかと思います。一昨年の児童数調査で児童数の増加に伴い教室数が足りなくなることが予想されたので、昨年度、2階建てのプレハブの新校舎が増設されました。結果的には使用せずにこれまでの教室数で運営できてはいるのですが、今後さらに児童数が増える場合にはプレハブも活用した教室運営が行われる予定です。

プレハブの新校舎には普通教室が2学級と1階部分に普通教室の1.5倍くらいの広さの多目的室があり、現在は英語を学ぶGS(グローバル・スタディ)の授業などで活用されています。

「金管バンド」など課外活動でも、地域やコンクールで活躍。
「金管バンド」など課外活動でも、地域やコンクールで活躍。

県内外からも参加者が訪れる高砂小の教職員が取り組む校内研究会

――高砂小ならではの特色ある取り組みについてお聞かせください。

本校は校内研究が充実していると思います。教職員一人ひとりの教育に対する意識も高く、毎年1月末に公開授業研究会を実施しています。研究の成果を広く発表する機会で、県内だけではなく県外からも参加者が集まっているような状況です。

具体的には国語、算数、理科、社会、音楽、体育、図工、自立といった8つのパートで研究が行われ、それを広く公開するというのが本校の伝統になっていますね。他校には無い特色ある取り組みのひとつかなと思います。

教職員一同、「すべては子どもたちのために」を合言葉に充実した教育活動の展開に日々努めています。

浦和エリアは、子育て世代も多い街。(写真は「浦和中央公園」)
浦和エリアは、子育て世代も多い街。(写真は「浦和中央公園」)

150年の歴史の中で育まれた地域とのつながりが魅力

――校長先生が感じる学校の魅力についてもお聞かせください。

学校の魅力として感じるのは開校150周年の歴史と伝統のある学校という点です。親子代々で本校出身の方も多くいらっしゃいますし、地域の方の本校への思いというのを強く感じます。

子どもたちのために何かできることはないかと常に支援の手を差し伸べてくれるのもそうですし、地域とともにある学校というのがみなさんも感じる本校の魅力かなと思います。

来年度から本校もコミュニティスクールに移行しますが、コミュニティスクールとしての要素は以前からもこの地域にはありましたので、劇的に何かが変わっていくというよりもこれまでの地域とのつながりを継承しながらその良さをさらに広げていくというかたちなのかなと思っています。

「浦和駅」周辺は古くから市の中心として、商業・文化施設などが集まる。(写真は駅東口前のロータリーと「浦和PARCO」)。
「浦和駅」周辺は古くから市の中心として、商業・文化施設などが集まる。(写真は駅東口前のロータリーと「浦和PARCO」)。

「中1ギャップ」の解消を目的とした取り組みもある地域の学校との連携

――近隣の小学校や中学校とのつながりもあるのでしょうか?

本校の主な進学先となる「さいたま市立岸中学校」とは小中の交流や連携がありまして、いわゆる「中1ギャップ」の解消を目的とした取り組みも行われています。

例えば中学校の先生が、高学年のクラスに定期的に来て授業に入ってくださっています。年に1回“つぼみの日”というのがありまして、本校の子どもたちが中学校に行って授業や部活の様子を見学させていただく機会もあります。

また夏休みを利用して高砂小、南浦和小、文蔵小の子どもたちが一緒になって岸中で授業を受けるという講座もあります。今年度は緊急事態宣言下で中止になってしまいましたが、小学生にもわかるような授業を工夫してくれるので、中学校の雰囲気を知る貴重な機会になっているようです。

校内の様子
校内の様子

令和3年度より全学年で一人一台タブレットの導入がスタート

――コロナ禍で一人一台のタブレット端末の導入など新たな授業展開が進んでいると思いますが、ICTの現状についてお聞かせください。

本校のICTについては昨年度の途中から順次タブレット端末が導入されまして、今年度から使い始めているところです。各教室に充電保管庫が設置されて、授業で使うときにそこから取り出して使うようにしています。

初年度の今年はとにかく1年生から全学年の子どもたちが操作に慣れるということと、各学年の発達段階に応じて授業でどのように活用できるか研究を進めていくことが中心かなと思います。

またさいたま市では緊急事態宣言が延長された2学期のはじめに、学校における通常の対面授業とオンライン授業とを併せた“ハイブリッド授業”が約1ヶ月にわたって展開されました。オンライン授業を希望する児童については学校のタブレットを貸出して、当初は回線になかなかつながらないというトラブルも発生したのですが、2週目くらいからは概ね順調にできたかなと思います。

現在はほとんどの児童が学校に登校して授業を受けていますので、オンラインによる授業はいったん終了していますが、今後コロナの感染状況がどうなるかわからない状況ですので、今回の取り組みを振り返りながらハイブリッド授業でのより良いタブレットの生かし方を考えて行こうというところです。

一人一台のタブレットを活用した授業
一人一台のタブレットを活用した授業

一人一台のタブレットを活用した授業が教育のあり方を大きく変える

――最後に今後の高砂小の教育活動について校長先生の考えをお聞かせください。

一人一台のタブレットを活用した授業は大きく授業観を変えると思っています。私たちが黒板とチョーク一本でやっていた頃とは授業自体のスタイルも大きく変わるでしょうし、子どもたちの学び方も変わります。

例えばこれまで紙で調べていたことがパソコンを活用することによって情報がたくさん得られるようになりますので、情報を取捨選択する能力というのも新たに必要になりますし、今までなかったダイナミックな授業展開や学びのかたちができるかなと思っています。今後の教育においてパソコンとの関係は切り離せないと思います。

本校では校内研究で取り組んでいる8つのパートにおいてICTの研究も進めておりまして、各教科でどれだけICTを活用して個別最適な学びと協働的な学びを高められるか実践を重ね事例を積み上げているところです。

開校150周年という節目を経て、これからは新たな50年へと向けたスタートの年として子どもたちと共に新しい気持ちで様々なことに挑戦していきたいなと考えています。

校庭に立つ「高砂小学校」のシンボルツリー、大いちょう
校庭に立つ「高砂小学校」のシンボルツリー、大いちょう

「さいたま市立高砂小学校」永山誉校長先生
「さいたま市立高砂小学校」永山誉校長先生

さいたま市立高砂小学校
永山誉 校長先生

所在地: さいたま市浦和区岸町4-1-29
電話番号: 048-829-2737
URL:http://takasago-e.saitama-city.ed.jp/
※この情報は2021(令和3)年10月時点のものです。

次なる50年に向けて新たな取り組みに挑戦し続ける開校150周年を迎えた伝統校「さいたま市立高砂小学校」
所在地:埼玉県さいたま市浦和区岸町4-1-29
電話番号:048-829-2737
http://takasago-e.saitama-city.ed.jp/