杉並和泉学園

杉並和泉学園
学園長 由井 良昌 さん

杉並区で初の施設一体型小中一貫教育校。開校から1年を振り返って

2015(平成27)年4月に開校した「杉並和泉学園」は「新泉小学校」、「和泉小学校」、「和泉中学校」の3校が一つになった、杉並区で初となる施設一体型小中一貫教育校。「つながり」と「かかわり」を大切にし、社会に役立つ人材の育成を目指している。開校から1年、これまで取り組んできたことや地域とのかかわりなどを由井良昌学園長に伺いました。

各校で違っていた教育を、より良い方向に調整していくための1年間

ーー「区内初」の施設一体型小中一貫教育校として、開校から1年経過しましたが、感想をお聞かせください

 やっとできたかなという感じですね。校庭がこの1年間ずっと使えなくて、引き渡しを受けたのが3月18日なんです。やっと設備が揃って本当の意味で、学園ができたというところです。

今年度、私自身の経営のテーマは、「小中一貫教育校の基礎を創る」ことでした。小学校2校と中学校1校が一緒になり、これまで各校でやり方が違っていたことを調整して、良い方向に創り上げていくということに、1年かけて取り組んできました。

子供たちは、始めはいろいろな摩擦がありましたが、1年経ってとても仲良くなったと思います。5年生の児童が書いた詩があるんですけど、学園便りで紹介したんです。まさにこのようなイメージです。


三つが一つになって
三つが一つになって 校舎がピカピカになった
三つが一つになって とてもにぎやかになった

三つが一つになったから いつか、ぼくたちは一緒に笑うだろう
三つが一つになったから いつか、ぼくたちは一緒に泣くだろう

そして、ぼくたちはどんなことがあっても
一緒に乗り越えていくのだろう
ともに助け合い、一緒に手をつないで飛び越えていくのだろう
三つが一つになったから 言い合いだってするだろう
ケンカだってするだろう
だけど きっと最高の笑顔が待っているだろう
たくさんの笑顔の花がさくだろう

三つが一つになった 今日もとてもにぎやかだ
三つが一つになった 新しい歴史が始まった


ーー「小中一貫教育」の主な目的を改めて教えていただけますでしょうか

 一人の子供を9年間で見て育てていくことは、子供の成長にとってとても良いことです。小中学校の全ての教職員が一人ひとりの子供に目をかけ、手をかけて育てていきましょう、ということですね。小中一貫教育で教え方を同じように整えていくということと、中学部の教職員がそれぞれ連携・協力しながら、子供の特徴を見つめて伸ばして行くということがあると思います。

ーー「つながり」と「かかわり」についてお話しいただけますでしょうか

 「小中一貫教育」の手法として「つながり」と「かかわり」を大切にしています。特に社会や地域との「つながり」では、総合的な学習を中心に、地域に出て行ってたくさんのことを学びましょうという流れになっています。その中でいろいろな人とかかわりながら育っていきます。また、小中の児童生徒もかかわる。特別支援学級と通常学級もかかわる。こういうことを通して子供達を育てていきましょうということですね。それがうちの学園の小中一貫教育の一番の特徴です。

 最終的には社会に役立つ人を目指しています。1、2年生は地域の方に学園に来て頂いて、伝統的な古い道具遊びや地域の伝統などを教わります。3年生になると商店街で物を売ったり接客をしたりといった体験をします。4年生では地域の方の赤ちゃんと触れ合います。6年生は商品開発プロジェクトで、地域で商品を売るんです。まず売る物を決めるために市場調査をします。今年はハンカチでしたが、どんなハンカチなら売れますかと、商店街や駅前で聞くんです。それに基づいて商品を作るんですが、デザインは地域やプロの方にアドバイスしてもらいます。自分達で資金を集めて、商店街などで販売をし、最終的に決算をするというものです。

8年生では、5日間かけて商店街や地元の事業所で職場体験をします。9年生は社会貢献活動を行います。自分たちで社会に役立つことは何があるのかと話し合うところから始めます。今年はネパールで地震がありましたので、案内状を作り、商店街でお話をして募金を求めて、それを現地で活動をしているNPOに寄付しました。こういうことを通して社会に役立つ人を育てようとしています。

 小中一貫のカリキュラムで特徴的なのは、1年生から9年生まで英語活動を実施していることです。英語室が小学校にもあり、1年生から学んでいます。もう1つは朝読書ですね。中学部は毎朝、小学部は週に1度、朝読書をすることで読解力をつけていきます。

つながりでいうと特別支援学級がありますので、6年生や9年生の卒業を祝う会に小中学生が一緒に参加して出し物をしたり歌ったりしています。

ーー以前、教育委員会の方が、「一貫教育によって“連携”が生まれ、“学び残し”もなくなり、結果として学力は高まっていく」と仰っていましたが、実際いかがでしょうか

 小学部の先生方は高校受験に関しては割と疎いんです。「小学部の時にしっかり力をつけてあげないと、中学部で本当に苦労をして、9年生になった時に高校を選べないという状況になってしまう」と小学部の先生方に話をしました。それを受けて、遅れがちな子供達に力をつけていきましょうと、放課後に補習をしています。小学部の先生方が進路指導を強く意識するようになり、しっかりと基礎基本を身につけさせていくようになりました。

 そういう連携も生まれますし、私が大きいと思っていることは、基本的な決まりを守る、授業を集中して聞く、発言する時は発言する、そういうルールが身についてくると学力も高くなっていくということです。これは分離型の小中一貫教育でも進めやすいところだと思います

ーー先生方のレベルアップ等について何か取り組んでいらっしゃいますか?

 ありがたいことにタブレットパソコンが6年生以上に一人一台貸与されているんです。中学部は全校で105人しかいないので、40台くらい余裕があり、現在は5年生以下の子供も使っています。タブレットは手段ですから、それをうまく使って興味がもてるようにするとか、学力定着しやすくなるとか、意見を発表しやすくなるとか、授業においてどうやっていけばいいのかを検証しています。いろいろなやり方にチャレンジして、すべての教員が使い方や教え方を身につけて、1年生からタブレットパソコンを使えるようにできたのはとても大きかったと思います。

学園長 由井良昌さん
学園長 由井良昌さん

外観
外観

校庭から見た杉並和泉学園
校庭から見た杉並和泉学園

授業の様子
授業の様子

授業の様子
授業の様子

杉並和泉学園の校旗
杉並和泉学園の校旗

子供たちが勉強に打ち込める恵まれた環境

ーー施設や設備を紹介していただけますでしょうか?

 一番の中心はラーニングセンターだと思います。図書館とパソコン室と地域史料コーナーが一緒になっているんですが、本やパソコンで調べたり、本を落ちついて読んだりする学びの中心になるようなところにしようということで「ラーニングセンター」と名付けました。図書館の蔵書は2万3千冊で、小中ともに学校司書が常駐しています。

 アルコーブは高学年の教室の横にあるんです。教室はオープンスペースになっているのですが、教室と教室の間に、ロッカーや少人数で勉強したり物を置いたりできるスペースを設けています。無線ランも全教室入っていますのでタブレットで調べものをすることもできます。

ランチスペースは「ラーニングセンター」の前のスペースにあり、吹き抜けになっています。普段は通路みたいなんですが、イスとテーブルを出せば食事がとれるようになっています。とても広いので1学年くらいは全員入ることができます。

アリーナは小アリーナと大アリーナの2つがあります。屋上には網に囲まれたスカイコートという運動場も整備されています。

ーー地域の人とかかわりについては何か取り組んでいらっしゃいますか?

学校支援本部を中心に地域の方が集まってかかわりを進めています。学校支援本部が作っている「いずみんな」という広報誌があるんですが、平成27年度は延べ786名、1670時間支援本部サポーターの方が学校のサポートに入ってくださいました。

 いろいろと活動を行って頂いております。例えば「手習い塾」は、毎週土曜日の午前中に5年生から9年生までの希望する子が、自分が学びたい勉強道具を持ってきて自習をします。中学生が集中して勉強をするので小学生がそれを見て、あんな風に勉強をするんだと勉強の仕方や集中力を身に付けていきます。これは教員はまったくかかわっていません。

また、学校支援本部の組織に「芝生管理サポート団体」を創ることになりました。校庭の芝生を維持管理することはとても大変で、冬になって刈らなくてよくなるまで毎週土曜日に管理団体とPTAと教員で朝8時から1時間かけて芝を刈ります。みなさん、子供のために美しい緑を維持しようという気持ちで取り組んでくださっています。皆さんが支えてくださっていることは本当にありがたいです。

オープンスペースになっている教室
オープンスペースになっている教室

吹き抜けが特徴的なランチスペース
吹き抜けが特徴的なランチスペース

パソコン室
パソコン室

図書館
図書館

地域史料コーナー
地域史料コーナー

学校司書が常駐
学校司書が常駐

アリーナ
アリーナ

地域全体で子供を育てていく

ーー校長先生からみた、この街の良さを教えてください

 学校経営に協力的ですし、子供をよりよく育てよう、地域で見守っていこうという気持ちの強いところだと思います。校庭の芝生を見てもらえばわかると思いますが、そうやって協力して子供のために頑張りましょうという気持ちがとても良いと思います。

ーーこのエリアに住むことを検討していらっしゃる方へメッセージを

 本学園は小中一貫教育校で、こういう素晴らしい地域で子供達がよりよく成長し、地域に、そして社会に貢献する人になるように教育活動を行っています。ぜひおいでいただいて、地域に貢献する人になってほしいと思います。

学校内の様子
学校内の様子

ステンドグラス
ステンドグラス

校庭の遊具
校庭の遊具

 

今回、話を聞いた人

杉並和泉学園

由井良昌学園長

杉並和泉学園
所在地:東京都杉並区和泉2-17-14 
電話番号:03-3322-4251
https://www.suginami-school.ed.jp/izumig..





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