一久

蕎麦通が遠方からわざわざ通うという創作蕎麦料理のお店「一久」。それが豊島区高松の閑静な住宅街にある。「一久」自体も料亭と住宅を足して2で割ったような、一見“本当にお店?”と思ってしまう、知る人ぞ知る名店だ。ようやく見つけると、宝モノ探しでお宝を見つけたような充足感を覚える。

夜に着くと、お店の前に行灯がかかっていて、ちょっと高級な雰囲気が漂っている。それでいて、敷居の高さを感じさせないシンプルな玄関だ。お店の前には2~3台停められる駐車場があって、ちょうど熟年夫婦がお店から出て車に乗り込もうとしていた。鍛えられた年輩の食通にも合格点がついているようだ。

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中に入ると、正面には小庭がお出迎え。小さいながらも、やはり居心地の良さを感じずには居られない小庭だ。小川のせせらぎが快い。通路は2つに別れており、一方がテーブル席、一方がお座席。小庭はこの間に挟まれていて、どちらに座っても眺められるのが嬉しいところ。

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ペテラン風の女性がやってきて、丁寧に対応してくれる。リッチな気分になり、こちらまで丁寧な対応になってしまう。その方にお薦め料理を尋ねると、「宇兵衛そばがよろしいかと。ほかの料理もおいしゅうございます」と教えてくれる。言われるままに、宇兵衛そばを注文する。

顔を上げると、夜の闇に小庭がライトアップされていて、時も忘れてついみとれてしまう。小川の水の漂いを眺めていると、世間の煩わしさや人間関係の悩みなど、小さく見えてくる。久しぶりに夫婦二人で話したいといった時や、素直な自分に戻りたい時には、こうした空間が必要だ。

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