Patisserie PARTAGE(パクタージュ)

 

「Patisserie PARTAGE」外観
「Patisserie PARTAGE」外観

「玉川学園前」駅近くにある「パクタージュ」は、2013(平成25)年にこの地に開業して以来、「都心に行かなくても、都心クオリティのスイーツが楽しめる」と評判を集める本格派パティスリー。たたずまいは“街のケーキ屋さん”の気軽さ、身近さだが、その中身は、洗練された都心の有名パティスリーに引けを取らない。

「Patisserie PARTAGE」内観
「Patisserie PARTAGE」内観

店の主は、30代の若き久保さんご夫婦。製造はお二人でまかなっているが、主導権を握るのは奥様の由季さん。パティシエとしては旧姓の齋藤由季の名前で活動している。地元の生まれ育ちで、「小学校時代からの夢が、ケーキ屋さんになることだった」ということで、その「少女時代の夢」をご主人が全面的にバックアップしているという図式だ。そのため、この店には女性ならではの工夫や思いが、いろんな部分に凝らされている。

たくさんのパンが並ぶ
たくさんのパンが並ぶ

店に入ってまず驚くのが、店内の売り場の半分近くを占めるであろう、数多くのパン達。「ケーキは毎日食べるようなものじゃないけれど、パンは毎日でも食べられるもの。パンが表に出ていれば、毎日でも来ていただけるかな、と思って。そのついでにケーキも見て、“あ、この間と変わったな”って思ってもらえればいいなと思って」と齋藤さんは話す。

最近のパティスリーではヴィエノワズリーというバター系の菓子パン(クロワッサン、ブリオッシュ、パン・オ・ショコラなど)を少数置く店は珍しくないが、この店のように、バゲットなどフランス生地の“普通のパン”も置いている店は、あまり見ない。種類も十分にあるので、確かに“パン屋さん”感覚で日常使いもしやすいだろう。ケーキ屋のパンとはいえ、こだわり派の齋藤シェフが作るものだから、それぞれに深い思い入れがあるものばかり。パンにうるさいお客さんも、十分に満足させてくれることだろう。

壁にはパンの説明も
壁にはパンの説明も

手前から「クレームブリュレ」「アプリコマロン」、「ソフィ」
手前から「クレームブリュレ」「アプリコマロン」、「ソフィ」

パンを客寄せに使っている分、ケーキの品揃えは派手にせず、少数精鋭で揃えている。特に鮮度が大切な生ケーキに関しては、通常店頭に出しているのは十数種類程度。少ない代わりに交替の頻度は高く、訪れるたびに何らかの変化がある、というのも特徴だ。そんな中で定番を守っているのが、創業当初からスペシャリテとして紹介している「ソフィ」というケーキである。

「ソフィ」
「ソフィ」

こちらはグレープフルーツ、バニラ、アーモンド、ショコラなど7つの個性をもった層が重なる複雑なケーキだが、縦にフォークを入れて口に含めば、それぞれの素材がテイストを主張しつつも、交じり合い、一体となった美味しさに変わる。フランス料理の「マリアージュ」の概念と共通するものだが、これこそが、齋藤シェフの目指すところだ。

「タルトフリュイルージュ」
「タルトフリュイルージュ」

口に入れた瞬間に、主役がはっきりと顔を出す。それでいて、ほかの素材も個性がはっきりしており、交じり合うことで新しいハーモニーが生まれる。齋藤さんにとって、ケーキは楽曲、素材は奏者。オーケストラの指揮者として思いを込めるのが、パティシエである自分の使命だと考えている。

このほか、ショコラにも強いこだわりを持っており、ヨーロッパ各地の個性の異なるクーベルチュール(製菓用チョコレート)を買い付け、合わせるフルーツや素材の個性に合わせて調製している。フルーツに合わせる時には、華やかでパッションを感じるテイストに、コーヒーと合わせる時には、その雰囲気をもつビターで濃密なテイストに。一つ一つのショコラもやはり「マリアージュ」の考え方で整えられている。

棚いっぱいに並ぶジャムの瓶
棚いっぱいに並ぶジャムの瓶

もう一つ面白いのは、入口を入って左手にずらりと並ぶ、自家製ジャムのコーナーだ。実はジャム(コンフィチュール)だけではなく、シロップやフレーバーシュガーなども瓶に入って並んでいるのだが、もともと「ちょっとだけ置こう」と考えていたものが、あれやこれやと増え、今や数十種類ものラインアップになったという。「一杯あったほうが、入ったとき“わあ!”ってなるじゃないですか。でも、棚が落ちないか心配で」と齋藤さんは笑う。

国内の名だたる名店に、フランスの星付きレストラン。いろいろな現場で働き、本物を見てきた齋藤さんではあるが、修行先のレシピを“そのまま真似る”ということは基本的にしていない。もちろん、オペラやマドレーヌなど伝統的な菓子についてはその限りでないが、「ソフィ」などは完全なオリジナルレシピだし、ショコラ類も然り。さらに、このコンフィチュール類については「どれも絶対にほかの店には無い味のはずです。私の“味覚の記憶”を辿りながら、私が好きだと思う味で仕上げているので。初めて食べれば、驚かれるものが多いと思います」と話す斎藤さん。この店に来たら是非、こちらのジャムコーナーにも注目してほしい。

様々な種類を楽しめる
様々な種類を楽しめる

「パクタージュ」という店名には「分かち合う」という意味があるそうで、「自分が知ってきた美味しさを、地元の皆さんと分かち合いたい」という思いが込められている。それが形になったものの一つが、製菓教室だ。店の2階は料理教室になっており、そこではケーキやパンの作り方を丁寧に教えてくれる。本場で得てきた味や技術も、惜しみなく披露し、バトンタッチをしていく。それもまた、「パクタージュ」の使命であると感じているそうだ。

素敵な笑顔で対応してくださった久保さん夫妻
素敵な笑顔で対応してくださった久保さん夫妻

玉川学園の駅前にある、小さくかわいらしいケーキショップ「パクタージュ」。女性店主と聞くとフェミニンでふわふわした店をイメージする人もいるかもしれないが、実はこの店の中身は、男性シェフの店以上にハードボイルドで、鮮烈な個性がある。休日ともなれば電車を乗り継いで訪れる人もあるそうだが、それだけの価値もある、玉川学園きっての実力派パティスリーである。

Patisserie PARTAGE(パクタージュ)
所在地:東京都町田市玉川学園2-18-22 
電話番号:042-810-1111
営業時間:10:00~19:00
定休日:火曜日
http://www.patisserie-partage.com/





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