イタリアンレストラン アスト

武蔵小杉駅から徒歩数分のところに位置するサライ通り商店街を歩いたことのある人なら、元気が出そうな明るいイエローのシェードがかかった「イタリアンレストラン アスト」が目についた人、もしくは興味を持った人は多いのではないだろうか。

キャンディーカラーで彩られたエントランス。メニューを毎日変えていることを物語る、あたたかさのこもった手書きのメニュー。いかにもイタリアのまちの片隅にありそうな、現地の香りのするレストランなのだ。

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日本にはありそうでなかなか見かけない外観につられ、中に入ってみる。天井が青空のクロスだったり、サッカーチームのポスターがペタペタと貼ってあったりと、内装も現地の雰囲気を思わせる感じになっていることに、ひとしきり感動。イタリアに行ったことのある人なら「懐かしい!」と膝を叩くかもしれない。

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武蔵小杉にオープンして10年を超えたアスト。「このあたりもずいぶん変わりましたよね」と、昔からこの地に住んでいるオーナーはしみじみと語る。再開発が行われ、高層ができ、武蔵小杉のまちはまたたく間に様変わりしてきた。そして、アストも年を経るごとに新しいファンを獲得し、武蔵小杉の代表的なイタリア料理店として愛され続けてきた。

さて、本日の前菜は「カプレーゼ」。トマトとバジルにチーズが乗った、イタリアでは定番中の定番といえる前菜(サラダ)だ。皿のふちには細長い形をしたパン、グリッシーニが添えられている。そういえば現地でも、まず最初の1皿にはグリッシーニが付いてきたっけ。
カプレーゼはというと、とにかくトマトが甘い! 完熟したものを使っているので、とてもおいしい。バジルも、チーズも、オイルも、すべての味わいが素直だ。まっとうなものをまっとうに作っているという好印象が口の中に広がる。カプレーゼを出す店は日本にも数あれど、このようにストレートなものを出す店がいくつくらいあるだろうか。

出してもらったグラスワインも、フルーティーでクセのないおいしさ。肩肘張らずに自然体でイタリア料理を楽しめるレストランであることが、この1皿、1杯から十分に伝わってくる。

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続いては、パスタ。本日は「スモークサーモンと水菜のクリームスパゲッティ」だ。気取った店では大きな皿を持ち出しながら控えめに麺を乗っていたりすることもあるのだが、アストのそれは、通常サイズの皿にこんもりと盛られていて、またしても気負いがない。
“クリームスパゲッティ”というので、ホワイトソースなのだろうと思っていたら、一口入れたとたん、予想外のコクが。どうも、熟成タイプのチーズが入っているようだ。だからなのだろう、最初はサラリとした口当たりなのが、時間が経つにつれて食べ応えのある食感に変わっていく。濃厚なソースの味わいを堪能でき、満足感もひとしおだ。

リッチなテイストのソースにアクセントを添えるのは、ケイパーのさわやかな酸味。これのおかげで、最後まで飽きずにおいしく食べられる。また、水菜の下にさりげなく入れ込んだタマネギとホウレンソウのソテーで甘さを加わっていることも見逃せない。ストレートなつくりの中にちょっとした小技を隠しているところが、何とも粋だ。
もちろん、チップの香りが楽しめるスモークサーモンと、あっさりした水菜のバランスもよいことは言うまでもない。

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パスタの皿を空っぽにしてしまったら、次はいよいよお楽しみの甘いもの・ドルチェの登場だ。左奥がクリームのパンナコッタ、その横が栗のパンナコッタ。パンナコッタの前にあるのは「栗のクッキーです」とのこと。紅茶とともに楽しむことにする。

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クリームのパンナコッタは、期待どおりのシンプルなおいしさ。万人に愛されるタイプの甘さだ。一方の栗のパンナコッタは、アルコールの効いた大人向きの味。甘さも控えめだ。これなら、アマレットのような甘口の食後酒と合わせても良さそうだ。
驚いたのは、栗のクッキー。口に入れたと同時にホロホロと崩れ、舌の上で甘さとともに消えていく。スペインのポルボローネ(アンダルシア地方に伝わる祝い菓子)のような歯ざわりで、味わいをもう一度確かめるためにも、もう1 つ、できることならもっとたくさん食べたくなってしまう。

シェフが作り出すアストの料理は、どれもがシンプル。変に奇をてらったものでないスタンダードなところが、訪れる人たちの心と舌を和ませているように思う。ランチタイムは満席状態だったため、少しだけ言葉を交わしただけだが、テーブル一つひとつで丁寧に給仕をするオーナーの人柄も気さくでさっぱりとした印象を受けた。

飾り気のない、しかし、その裏に見え隠れする細やかなもてなしが生み出す居心地の良さがアストの大きな魅力だろう。そして、この快適さにはまってしまったら、その人はいつしか何度も足を運ぶことだろう。もちろん、自分もその中のひとりだ。

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店を出るときに「店名の『アスト』ってどういう意味ですか?」と聞くと「“明日”の“人”で『アスト』。川崎の明日を元気にしたくて」という答えが返ってきた。この地出身であるオーナーは、まちおこしグループ「かわさき21世紀まちづくり塾」のメンバーであり、Jリーグ「フロンターレ川崎」の立ち上げにも関わった人物。「アスト」という店名からして、川崎を、そして武蔵小杉のまちを愛する気持ちが伝わってくるようだ。

こういう思いの人がまちに根ざし、まちを元気にすることに努めているのなら、武蔵小杉の“明日”は今後もずっと安泰だ。このところ特に評判を得ている“活気のある地”としてますます盛り上がり、“人”が集まっていくことも「さもありなん」というものだ。
スパゲッティ (ランチ)… ¥ 945
シェフ本日のおすすめ(ランチ)…¥ 1,575
おすすめランチコース…¥ 2,000
スペシャルコース(ランチ)…3,150円
グラスワイン(ランチ)…400円
シェフにおまかせコース(ディナー)…3,150円

イタリアンレストラン アスト
所在地:神奈川県川崎市中原区今井南町425 メゾンフレシール1F
電話番号:044-744-1210
営業時間:11:00~14:00、17:30~22:00
定休日:火曜日
http://www.asuto.info/



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