月日荘

桜山の静かな住宅街にひっそりと佇む築90年の日本家屋。表札には確かに「月日荘」とある。外観は普通の民家。声をかけると、玄関の格子戸を開け、和服姿の女性が顔をのぞかせる。昭和初期の建物に薄紅色の着物。ひと昔前にタイムスリップしたような光景に、思わず息をのむ。

今年で10年目を迎える「月日荘」は、玄関で迎えてくれた佐野さんと、姉の太田さんの姉妹ふたりが営むお店だ。「月日荘」という名前には、「太陽と月」と「としつき、日々の暮らし」の2つの意味が込められている。営業は毎月10日から20日までの10日間のみ。着物や和小物、器などの展示会を月替わりで行い、訪れた方の“月日”を少しだけ豊かにしてくれるものを紹介している。

「着物は、自分たちが本当に良いと思えるものだけを選んでいます。幅広い世代のお客様がご来店され、着方もそれぞれだと思いますが、自分たちが実際に着て良いと思えるものがベースになっています。」

「月日荘」では普段着からフォーマルまで、様々なシーンで使える着物をトータルに扱っているが、他ではあまりないものでは、インドネシアやラオスなどアジアの手仕事のものだ。アジアの国々には織物や刺繍など手仕事の伝統が息づいている。現地で作られた布を使って、着物や帯を作り、新しい和のスタイルを提案している。この日、佐野さんとスタッフの女性がお召しになっていた着物もラオスのもの。草木染めの淡い色目はどこか和を感じさせるから不思議だ。

「ここにあるラオスの布はすべて手で作っています。蚕から育てて、手で糸をつくり、手織りして、草木染めする。着物が好きな方には布好きな方が多いのですが、布が好きの方も唸ってくださるような、おもしろいアジアの手仕事のものが揃えられるといいなと思っています。」

お話を伺っていると、次第に着物に心惹かれていくのを感じる一方で、着物を着ることへのハードルの高さを感じる気持ちも残っていたが、「着物は難しいからこそ楽しい」と佐野さんは言う。「楽(らく)」の楽しいではなく、着物を楽しむためにはある程度の知識が要求される。誰もができる訳ではないからこそ、より深い楽しみが生まれるのだと。

「洋服の方が動きやすいですし、自分で着られないとか、手入れが大変だとか、確かにそれは事実です。ですが、小物を選んだり、季節に合わせて楽しんだりと、その大変さを上回る楽しさがありますね。」

着物の難しさと楽しさの両方を知っているからこそ、「もっと気軽に着物を始められるようなお手伝いができたら」と佐野さんは話す。「伝統や職人の技の中にモダンな感覚があるもの、現在の生活スタイルにあったものを望まれる方も多いです。お客様一人一人の“どう着たいか”、“どういう時に必要か”というご要望に合わせたご紹介の仕方を大切にしています。」

取材に訪れた3月は、小関康子さんの企画展が行われていた。

「小関さんの器を使いはじめて20年以上経ちました。食卓に彩りを与えてくれて、お料理がぐっとおいしそうに見える器。ずっと好きで、毎日のように使っています。」

着物や器が変えるのは、日常のほんの一部に過ぎない。しかし、そんな些細な積み重ねで日々の暮らしはできている。より豊かに月日を重ねていきたい、そう願う人は一度「月日荘」を訪れてはいかがだろうか。背中を少しだけ押してくれるものに、きっと出会えるはずだ。

月日荘
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月日荘
所在地:愛知県名古屋市瑞穂区松月町4-9-2 
電話番号:052-841-4418
営業時間:毎月10~20日の11:00~19:00 ※期間中無休
定休日:上記の営業日外、2・8月の全日
http://www.tukihiso.com/index.html





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