こだわりのバームクーヘンを焼き続けて半世紀/洋菓子ヴィヨン 大年壮さん

洋菓子 ヴィヨン
店主 大年壮(さかえ)さん

こだわりのバームクーヘンを焼き続けて半世紀
「洋菓子 ヴィヨン」

桜新町商店街の中心部、「桜新町」駅の出口すぐ目の前にある「洋菓子 ヴィヨン」は、都内でも数少ないバウムクーヘンの専門店。店の入り口には精巧に作られた壺や花瓶の形のバウムクーヘンが展示され、通りを歩く人々の目を引いている。

今回はこの店の店主であり、今もただ一人でバウムクーヘンを焼き続ける、大年壮(さかえ)さんにお話を聞いた。

バウムクーヘン専門店としてもう半世紀ということですが、なぜ、この場所でバウムクーヘン店を開くことになったのでしょうか?

洋菓子 ヴィヨンインタビュー
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バウムクーヘンにこだわったのは、若いころ、私が六本木の洋菓子店「アマンド」の工場で見習いをしていた時に、バウムクーヘンを焼いている姿を見たからなんですね。もう50年以上も前のことです。

当時、バウムクーヘンをやっているお店は東京でも数軒しか無かったですから、それ自体がとても珍しいものでしたし、作るのもたいへん難しいものですから、興味を持ったんですね。

洋菓子 ヴィヨンインタビュー
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でも、当時私は見習いでしたから、直接教えてもらえるということは無くて、仕事を終えてから、ベテランの職人さんが焼く姿を見て覚えたんです。それ以外は独学で、本格的に習ったことは無いですね。

自分の店を最初に出したのは、実は目黒区の武蔵小山でした。当時はお金も無かったから、自分の店は作らずに、バウムクーヘンを作っていない洋菓子店にバームクーヘンの卸売をしていたんです。それで3年ぐらいやってお金を貯めて、目黒の清水町に小さなお店を作りました。そこから今のように、洋菓子も売るという形が始まりましたね。

桜新町に移転したのは、自宅をこの近くに求めたことが理由です。その時、たまたまこの物件が空いていたので、ここに店を持つことを決めました。

「ヴィヨン」のバウムクーヘンは、ほかの店と何が違うのでしょうか?

洋菓子 ヴィヨンインタビュー
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まず「素材」がほかとは違うと思います。バターはカルピス社のカルピスバターを使っていますので、口溶けがとても良いですし、卵も普通のお菓子屋さんで使うもに比べて、倍ぐらいの値段がする良いものを使っています。

添加物がほとんど無いのも特徴だと思います。良い素材を使えば添加物も必要無いですから、うちでは乳化剤を使っていないですし、膨張剤も使っていません。ですから生地は一見固いようですけれども、口に入れるとすごく口溶けがいいですよね。

お客さんの中にはうちのバウムクーヘンを「水なしバウムクーヘン」と呼ぶ方もおられます。「水が無くても食べられる、口溶けの良いバウムクーヘン」という意味らしいですね。水を使っていないバウムクーヘンと誤解されるお客さんもありますけれど(笑)。今はふわふわのバウムクーヘンが増えているみたいですが、うちは、それとはまったく違うものです。

味については、プレーン、抹茶、チョコレート、メープルなどがありまして、3種類の味を重ねた「トリオ」も人気があります。私の個人的なおすすめはメープルですかね。美味しいですよ。

珍しい形をしたバウムクーヘンもありますが、これは何ですか?

洋菓子 ヴィヨンインタビュー
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これはうちでしか買えないもで、「ヴィヨネット」という名前を付けているんですが、1977(昭和52)年から始めたものです。最初は花瓶や壺の形をした大きいものを、洋菓子展示会の作品として出したことが発端だったんですが、好評だったのでそれを小さくして、店にも置くようになったんです。

時間もかかるし技術的にも難しいですから、たぶん誰も真似をできないんだと思います。テレビでもたびたび取り上げていただいていて、リピーターの方も多いです。「ヴィヨネット」の中にはゼリーが入っていて、りんごの形であればりんごゼリー、マンゴーの形のものはマンゴーゼリー、ということになっていまして、贈り物としてよく使っていただいています。

陶器風の花瓶や壺の形に焼いた「グランヴィヨン」は、メープルシュガー味の商品です。注文をいただいてから作り、桐箱に入れてお渡ししています。特別な記念日の贈り物などに、使っていただければと思います。

素材が良い割にはリーズナブルな価格になっていますが、その狙いは何でしょうか?

洋菓子 ヴィヨンインタビュー
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やっぱりバウムクーヘンがうちの柱ですから、値段を抑えるようには心がけていますし、それができるのは、今も自分で全部作っているからですね。

お陰様で、最初は口コミから始まって、テレビや雑誌などでも取り上げていただいて、今では全国から注文をいただけるようになりました。注文はファックスで承っておりますので、ぜひ一度召し上がってみてください。

バウムクーヘンはどのぐらい日持ちするのでしょうか?

洋菓子 ヴィヨンインタビュー
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うちで出すものについては、脱酸素剤を入れているので、未開封であれば常温でも20日間ぐらいは持ちます。焼きたてが良いというお店もいますが、バウムクーヘンは少し置いたほうが熟成して、しっとりと美味しくなります。慣れた方ですと冷蔵庫に1ヵ月入れてから食べるという方もいらっしゃるくらいですが、お好みのタイミングを見つけていただければと思います。開封後は冷蔵庫に入れて早めに召し上がってください。

大年さんは今もお一人ですべてのバウムクーヘンを仕上げるそうですが、その情熱の源は何でしょうか?

洋菓子 ヴィヨンインタビュー
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最初は「難しそうだから面白そう」ということで始めたんですが、50年やった今でも、少し気を緩めるとやっぱり失敗してしまいます。それが難しいですし、面白いですね。あと、うちは常連さんが多くて、どうしてもお客さんが「うちのバウムクーヘンじゃなきゃだめだ」ということで来られますから、それが励みになっています。

そろそろ若い職人さんに任せたら良いのではないか、とおっしゃる方もおられますが、今の若い方というのは、どうしても見ていないと手を抜いて、楽なほうに持っていってしまうんですね。私は性分として手抜きが嫌いなんです。だから、絶対に手抜きをしないためにも、大変ですけれど、全部自分でやっています。

径の太いものだと、夕方から焼き始めて、朝方まで焼きますからね。小さいものだといいかもしれませんけれど、大きい物は私のような人間じゃないとなかなか焼けないでしょう。それに良い材料を使うほど、焼くのが難しくなって、途中でどうしても落ちてしまうんです。安い材料を使ったり、添加物を入れたりすれば、もっと楽に焼くこともできるんですが。

プチガトーやショコラについて、特徴を教えてください。

洋菓子 ヴィヨンインタビュー
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うちはバウムクーヘンが柱ですけれど、やっぱり一緒にケーキも買いたいという方は多いですから、ケーキも置くようにしています。レシピは自分と、若い職人と一緒に考えていまして、季節ごとにいろいろ内容は変わっていきます。モンブランやイチゴのショートケーキなんかは年中の定番です。値段も世田谷としてはかなり安いと思いますよ。

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ショコラについては、真夏だけは一時お休みしますけれど、毎年10月ごろから始まって、6月一杯までやっています。トリュフとプラリネを中心に色々と作っていて、バレンタインやホワイトデーの時期には沢山の方に利用していただいています。ホワイトデーについては、バウムクーヘンをお返しに使う男性のお客さんも多いです。

最後に、桜新町の魅力についてお聞かせください

洋菓子 ヴィヨンインタビュー
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確かに、私も40年近くここに住んでいますけれど、本当にいいところですよ。大通りや高速道路から離れているから静かですし、でも、車で動くには便利でしょ。都心に行くにも、高速道路で遠くに行く時にも。あとは、高台で地盤がいいので、地震などの災害にもに強い町とも言われているみたいですね。

商店街については、後継者の問題などもあって古いお店が閉まって、チェーン店が増えてきましたけれど、一方で新しい個人のレストランなども増えてきて、選択肢が増えて便利になったと思います。お医者さんも多いから、それも本当に便利ですね。

洋菓子 ヴィヨンインタビュー
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イベントも多くて、「サザエさん通り」はいつもにぎやかで、子どもたちに特に人気がありますし、この辺りの商店街(桜新町商店街振興組合)が主催して、9月には「桜新町ねぶた祭」もやっていますから、その時もすごくにぎわいますよ。

商店街の桜も、八重桜でちょっと遅く咲いて、すごくきれいですし、散歩をするにも、馬事公苑や駒沢公園が近くにありますし。遠くから来られる常連さんからも、「桜新町はいいところですね、住みたいです」という話を聞きますけれど、確かにそうなのかな、と思います。

洋菓子 ヴィヨンインタビュー
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今回、話を聞いた人

洋菓子 ヴィヨン 

店主 大年壮(さかえ)さん(写真左端)

住所:東京都世田谷区桜新町2-8-4
電話番号:03-3427-2555
営業時間:9:30~20:00
定休日:不定休
http://www.villon.co.jp/

※記事内容は2014(平成26)年6月時点の情報です。

こだわりのバームクーヘンを焼き続けて半世紀/洋菓子ヴィヨン 大年壮さん
所在地:東京都世田谷区桜新町2-8-4 
電話番号:03-3427-2555
営業時間:9:30~20:00
定休日:水曜日
http://www.villon.co.jp/