多様性と可能性によって育まれる「新虎通り」エリアの魅力を発信する「一般社団法人新虎通りエリアマネジメント」

2014(平成26)年の環状2号線開通を契機に、新橋から虎ノ門に至る「新虎通り」周辺では、まちづくりの機運が高まっている。歩道上のオープンカフェや道路内建築物など、全国的にも珍しい取組みでまちに賑わいを創出する「一般社団法人新虎通りエリアマネジメント」の取組みにも注目が集まり、東京の新たなシンボルストリートとして今後さらなる魅力的な街への進化が期待されている。今回は「一般社団法人新虎通りエリアマネジメント」事務局長の赤坂香里さん、中谷玲那さん、朝賀繁さん、上田晃史さんに「新虎通り」エリアの魅力についてお話を伺った。

およそ70年の歳月をかけて開通した「新虎通り」

――東京の新たなシンボルストリートとして注目されている「新虎通り」とは?

赤坂さん:「新虎通り」は新橋から虎ノ門へと至る道路の愛称で、正式な名称は環状第2号線です。1946(昭和21)年に都市計画が決定されてからおよそ70年の歳月をかけて2014(平成26)年に開通した新しい道路です。
計画当初は幅員100メートルの広い道路で、街が分断されてしまうのではないかと地元の方の反対意見もあり着工できない状態が続いていましたが、地下を自動車専用のトンネルにした2層構造で地上には豊かな歩道空間を設けることなどの話し合いを重ね、現在の「新虎通り」が整備されました。
2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピックの際には、選手村とスタジアムとを結ぶ重要な道路に位置付けられていることや、「東京シャンゼリゼプロジェクト」にはじまる道路空間の活用の取組みも進められ、東京の新たなシンボルストリートとして注目を集めています。

――「一般社団法人新虎通りエリアマネジメント」の発足の経緯は?

赤坂さん:「新虎通り」の幅員は広いところで40メートル、そのうち両側の歩道が約13メートルずつと非常に広いので、道路を整備する過程でもこの空間をどう生かしていくかということは課題になっていました。“エリアマネジメント”の必要性を地域の皆さんと一緒に考えてきたという経緯があって、「新虎通りエリアマネジメント準備会」がまず立ち上がり、道路の開通と同じタイミングで「新虎通りエリアマネジメント協議会」が発足しました。
さらにいろいろな活動を具体的に進めるには、法人格を持った組織が必要であろうという背景から、2015(平成27)年に「一般社団法人新虎通りエリアマネジメント」が設立され、「新虎通りエリアマネジメント協議会」と「一般社団法人新虎通りエリアマネジメント」が連携協力し、エリアマネジメント活動を行っています。

広い歩道
広い歩道

虎ノ門ヒルズ
虎ノ門ヒルズ

(左から)朝賀さん、赤坂さん、中谷さん、上田さん
(左から)朝賀さん、赤坂さん、中谷さん、上田さん

――「一般社団法人新虎通りエリアマネジメント」の取組みとは?

赤坂さん:具体的な活動としてはまず“エリアビジョン”といって、エリアが目指す方向性・将来像を目指していくのかということについて地域の皆さんとワークショップを開催して一緒に考え、「人々の多様な交流により、新しいアイデアや多彩な文化・経済活動が創造される街『国際新都心』を形成し、東京の未来を牽引していきます。」をエリアビジョンに定めました。
もう一つは公共の道路空間を活用して、まちの賑わいをどのように創出していくかということで、全国的にも珍しい歩道上のオープンカフェや道路内建築物、またイベントの企画や清掃活動にも取り組んでいます。
通常、公共の空間である道路は法律によって占有許可が限定されているのですが、「新虎通り」は道路占用許可の特例制度によって歩道にもテーブルやイスなどの什器を置けるようになっています。

朝賀さん:歩道上の道路内建築物というのは全国的に見ても極めて珍しいケースで、「旅するスタンド」をはじめ現在4棟が建っています。エリマネではまちの賑わいを創出する面白い仕掛けづくりや新しい道路の使い方を全国に先駆けて提案・発信しています。
最近の新しい動きとしては、もともと愛宕下通りから変電所通りまで2ブロックくらいが特例制度の対象範囲だったんですが、それを第一京浜側まで延伸することになりました。
また都市再生特別措置法に基づく道路占用許可の特例制度は5年間という期限があるのですが、2018(平成30)年に期間を延長しさらに5年間継続できるようになりました。合わせて国家戦略特区での道路占用についても協議を進めているところです。

歩道に設置されたイスとテーブル
歩道に設置されたイスとテーブル

新虎通り
新虎通り

2018(平成30)年10月に「景観ガイドライン」を策定

――新しくできた「景観ガイドライン」とは?

朝賀さん:「景観ガイドライン」は2018(平成30)年10月に策定された新しい取組みのひとつで、「新虎通り」沿いの良好な景観を作っていくために、自治体が施行する条例よりもう少し踏み込んだ内容の「景観ガイドライン」を地元の皆さんと一緒に考えました。
たとえば屋外広告物の看板ひとつをとっても、景観への配慮であったりデザイン性についても「新虎通り」らしいものにしてくださいと。あくまで紳士協定であって、数値的な基準等を決め込んで強く規制をかけるのではなく、皆さんと協議しながら一緒に創り上げていくのも特徴となっています。

四季折々の植物も楽しめる
四季折々の植物も楽しめる

――法人設立から5年目を迎え、地元の方の反応は?

赤坂さん:エリマネの取組みそのものは期待されていると思います。もともと通りがなかった場所に新しく通りができたわけですから、まちの賑わいをどのように創り出していくのかは、地元の皆さんも課題だと感じていたと思います。
最近は人通りも増えて賑わいを実感していただいているものの、やはり圧倒的に働いている人が多いので、土日になると寂しいという声はあります。だからこそエリマネの取組みに参加して新しいことにもチャレンジする、そういう気運が高まっているのでは無いかと思います。

朝賀さん:協議会で地元の方からよく話に挙がる内容ですが、もともとこの地域にあるお祭りと「新虎通り」の新しいイベントが一緒になって、うまく相乗効果みたいなものが生まれると良いよねと話しています。
愛宕神社の出世の石段祭や、新橋のほうには烏森神社のお祭りなどいろいろあるので、一過性のイベントで終わらせるのではなく、街の発展につなげられるような取組みをしていきたいですね。

企業の流入やビジネス系イベント等による新しい人の動き

――エリアの変化として感じることは?

上田さん:エリアの変化として感じることは、虎ノ門ヒルズや再開発によってこれから建てられるビルは比較的賃料が高く大手企業が入居するのに対して、「新虎通り」沿道には昔ながらのビルもあって、これまで渋谷や五反田にあったようなクリエイティブな企業が集まりつつあるように感じます。
日比谷通りとの交差点のところに「ザ コア キッチン/スペース」というお店があって、もともと六本木でやっていた「Pecha Kucha(ペチャクチャ)」というビジネス系のイベントが開催されるなど、クリエイターやアーティストなど様々な分野の人も集まって来るようになりました。

中谷さん:イベントで言えばURまちづくり事務所1階のにぎわい施設「新虎小屋」でやっているイベントに、大使館付近にお住まいの在日外国人の方がひょっこり来て下さったことがありました。日本語はそれほど通じなかったのですが「前から気になっていました」と、フィーリングで入って来てくださったようです。日本人のオフィスワーカーだけじゃなく、多様な人が集まることによって、この場所から新しい取組みが生まれるような期待感があります。

赤坂さん:大使館がある赤坂エリアや霞ヶ関の官庁街とも近いので、この立地を生かしてこれから新しいものが生まれたらいいですね。まだこれですとはっきり言えるものは無いんですが、そういったエリアの特性を感じています。

――その他にも興味深い動きはありますか?

上田さん:Reebokがプロデュースするトレーニングジム「Kitaeru CrossFit Toranomon」やサイクルツーリズムとカフェを軸にした「TREX TORANOMON CAFÉ」、ボルダリングジムの「T-WALL新橋店」など、虎ノ門で働いているワーカーの方々がライフサイクルの中にスポーツを取り入れられるような環境が増えているように感じます。ちょっと面白いところではスケートボードパークが新しくできました。ビジネス街というプラットフォームに様々なカルチャーが入り込んでくることによって、まさに多様性、ダイバーシティのところで化学反応が起こって、さらに新しいものが生まれていくのかなと思います。
他にも道路内建築のひとつにキーコーヒーが運営している「錠前屋珈琲」というお店があるんですた、そこには焙煎機があってコーヒー豆の焙煎体験ができます。焙煎の体験ができるのは都内でも数店舗しか無いそうなんですが、週末は特に人が多く集まっています。
「新虎通り」はまだ生まれたばかりで、多様なものを取り入れながらみんなで挑戦しつつ新しいものを生み出していける場所だと思います。挑戦しやすくて、多様なものを受け入れてもらえて、エリマネを通じて行政の協議等も上手くいったという実績が重なっていくと、みんなここに挑戦しに来るようになって今よりもっとワクワクする通りになっていくのかなと思っています。

スケートボードパーク
スケートボードパーク

錠前屋珈琲
錠前屋珈琲

――「新虎通り」エリアの魅力とは?

赤坂さん:虎ノ門はいま、国際都市としてグローバルなビジネス拠点を形成していこうと大規模な開発が進められていますが、ビジネスだけではなく住まいや生活があるというのもこのエリアの特徴の一つです。「愛宕神社」や100年以上続いている老舗のお店もあったり、新しいものと古いものなど多様なものがあるのがこのエリアの魅力だと思います。
将来的な話になりますが、東京メトロ日比谷線の新駅「虎ノ門ヒルズ」駅が2020年に開業予定のほか、都心と臨海部とをつなぐBRT(バス高速輸送システム)も2019年度内の運行開始に向けて取組みが進められているなど、交通の拠点としても発展していきます。

――最後に「新虎通り」の魅力また個人的に好きな場所、お店も含めて教えてください

中谷さん:道路の両側に約13メートルずつある大きな歩道がとても好きです。こんなに広い歩道を歩いたのは初めてで、新虎通り沿道のいろんな景色を見ながらゆっくりと歩くことができますし、ただ歩くだけでも楽しい気分になれるのはこのゆったりとした歩道のおかげかなと思います。

赤坂さん:私もこの歩道空間が良いなと思っていて、CM等に使われることも多くどこを切り取っても絵になるロケーションだと思います。これからもっともっと沿道に賑わいが生まれてくると、よりいっそう絵になる空間になるなと期待しています。

上田さん:抽象的な答えになってしまうんですが、私が魅力を感じているのは可能性です。まだ生まれたばかりの新しい通りで、「新虎通り」と言えば〇〇といったような具体的なイメージや色がまだ付いていないので、エリマネ、地元の方、店舗が一緒になってみんなで歴史やストーリーを作って育てていく、その可能性が面白いのかなと思います。

日比谷通りからみた虎ノ門ヒルズ
日比谷通りからみた虎ノ門ヒルズ

※この情報は2019(平成31)年4月時点のものです。

今回、話を聞いた人

一般社団法人新虎通りエリアマネジメント

事務局長 赤坂香里さん、中谷玲那さん、朝賀繁さん、上田晃史さん

https://shintora-am.jp/