昔ながらの船橋の良さを実感できる地域に根ざした「船橋市立湊町小学校」
駅前の喧騒を離れた穏やかな住宅地にある「船橋市立湊町小学校」。1951(昭和26)年の開校より、まもなく70年を迎える地域に根ざした小学校だ。地域の伝統や文化が今なお息づく学校で、保護者やPTAはもちろん地域のあたたかい眼差しで見守られている。今回は2019(令和元)年4月に着任した佐々木善裕校長先生を訪ね、学校の特色や地域とのつながりについて話を伺った。
間もなく創立70周年、地域に根ざした“おらが学校”
――まず、「湊町小学校」のこれまでの歩みと、現在の学校概要についてお教えください。
佐々木校長先生:「湊町小学校」は1951(昭和26)年に開校し、まもなく70周年を迎えようとしています。何代にも渡って本校に通う家庭も多く、地域に根ざした“おらが学校”の特色を有しています。現在全校児童は534人で、私が本校の教諭として在籍していた10年前と比べると、近隣の開発などにより児童数は年々増えています。
自分の力でやりぬく、たくましい子を育てる
――どのような方針や目標で学校運営を行っているのでしょうか?
佐々木校長先生:本校では、「やさしさと厳しさのある学校」を基本方針に掲げています。厳しいだけでは子どもたちは付いてきませんし、ただ優しいというだけでもダメです。時と場合、また児童の実態に応じたメリハリのある運営が大切だという意味で、このように表現しています。
また、本校の教育目標は「自分の力でやりぬくたくましい子を育てる」です。目指す児童像としては、湊町小学校の「み・な・と」を頭文字とした「み:自ら学習する子」「な:仲よく思いやりのあるやさしい子」「と:ともに進んで運動する子」を掲げています。
徳育を中心に据えた教育活動を展開
――教育活動の中で特に力を入れている取り組みについてお教えください。
佐々木校長先生:知・徳・体のバランスのとれた育成を目指していますが、その中でも“徳育”を中心に据えた教育活動を展開しています。特別の教科・道徳を中核にしつつ、すべての教育活動を通じて、心の教育の充実を図っています。
まずは、「自分のよさ」や「友達のよさ」が分かる児童の育成をするために、始業式や全校朝会などでも具体的な話を取り入れながら子どもたちに伝えています。 「自分のよさ」が分かれば自分への自信が深まり、進んで物事に取り組むことができるようになります。また「自分のよさ」が分かれば「友達のよさ」にも目がいくようになり、自分との違いを認め合うことができるようになります。
「自分のよさ」が分からない子どもは「友達のよさ」を見つけることも難しいものです。だからまずは「自分のよさ」を見つけ、そして「友達のよさ」にも気がつく。そうすれば友達と協力して物事に取り組めるようになります。お互い高め合えるような、そんな子どもたちになって欲しいなと思っています。
漁業協同組合や地域の協力で開催する「全校潮干狩り」や、春秋の恒例行事「市民相撲大会」
――「湊町小学校」ならではの行事や特色ある課外活動について、ご紹介頂けますでしょうか?
佐々木校長先生:本校ならではの行事の一つとして「全校潮干狩り」が挙げられます。2005(平成17)年度から始まった行事で、漁業協同組合をはじめとした地域の方、PTAの方の絶大なるご協力をいただき成り立っている行事です。
当日は全校で「ふなばし三番瀬海浜公園」に出向き、希望された保護者の方も一緒になって潮干狩りを行います。昼食時には、地域の方、PTAの方が作ってくださる「ふうかし」が振る舞われます。「ふうかし」とはアサリの出し汁に少しの味噌を加えて作る船橋の郷土料理です。何回もおかわりをしに来る児童も多く、その様子は微笑ましい限りです。
――「湊町小学校」には、敷地内に土俵があるとお聞きしました!
佐々木校長先生:毎年春と秋に船橋市の「市民相撲大会」があるのですが、本校の土俵が会場となっています。もちろん本校の児童も大会に参加していて、学年を問わず、多くの児童が取り組んでいます。
以前は大会で使用する土俵で練習できるという“地の利”を生かして、団体戦・個人戦ともに優勝する機会も多かったです。最近では、他の参加チームもそれぞれが様々な作戦を練ってくるようになったことから、期待通りの結果にならないこともありますが、他校のチームと切磋琢磨し、本校の児童にとっても実りある大会となるよう努力をしているところです。
3年に一度行われる「湊町八劔神社本祭り」への参加
――地域と協力して行っている行事はありますか?
佐々木校長先生:本校の学区において3年に一度、「湊町八劔神社(みなとちょうやつるぎじんじゃ)本祭り」が行われます。今年度(令和元年)は本祭りの年にあたり、7月12日(金)には本校の運動場に御神輿がやってきました。当日はあいにくの雨でしたが、全校児童が運動場に集まり、御神輿の様子を見ることができました。
また、船橋に古くから伝わる「ばか面踊り(ばかめんおどり)」に取り組んでいる児童もいて、本祭りの中で練習の成果を発揮している場面が数多く見られました。
「ばか面踊り」とは漁師が厄払いのため行ったことがはじまりとされる郷土芸能で、市民祭りなどでも見る機会があるかと思います。地域とともに歩む学校づくりの一環として、2年生でばか面作りに取り組むとともに、運動会では6年生のお囃子に合わせて5年生以下が一同に踊る「全校ばか面踊り」を特別種目として毎年行っています。
佐々木校長先生:また、本校には常設の課外部活動として陸上部・ミニバスケットボール部・音楽部の3つがあります。4年生以上の希望者が参加しています。それぞれ大会や市の行事・街のイベントへの参加など目標を設定し、その実現に向けて、朝や放課後に熱心に練習に取り組んでいます。その他にも時期限定ですが、全学年を対象にした相撲、4年生以上を対象にした水泳や駅伝、5年生以上を対象にした陸上などの部活動も行っています。これらの部活動を通じて異学年の仲間と一緒に取り組むといった貴重な経験を積むことにつなげています。
昔ながらの風情と船橋市街地の賑わいが同居した地域
――小学校周辺はどのような特徴がある地域でしょうか?
佐々木校長先生:船橋の昔ながらの風情と、市街地の賑わいが同居したエリアです。学校から少し歩けば船橋漁港の船だまりに行き着き、趣のある風景を見ることができます。その一方で、市役所や「船橋」駅周辺の商業エリアなど船橋市の中心街も近く、そういった意味で大変ユニークな地域だと思います。
私は生まれてからずっと船橋市に住んでいるのですが、いわゆる“千葉都民”というような感覚で、船橋に住んでいながら船橋のことをよく知らないひとりでした。それが、本校に着任したことでそれまで知らなかった船橋の魅力について知ることができ、船橋の良さを実感するようになったと思います。
もちろんそれぞれの学校にそれぞれの歴史や地域とのつながりはありますが、本校ではより強く昔ながらの船橋の良さを感じられるのではないかなと思います。
地域住民の結びつきが深く、学校を見守ってくれるあたたかい雰囲気
――周辺の住環境や地域の方の雰囲気についてお教えください
佐々木校長先生:今年度実施された「湊町八劔神社本祭り」の様子からも、地域住民のみなさんの結びつきが深く、あたたかい地域であることがわかります。10年ぶりに本校に戻って来られることを知った際、大好きな学校に戻れてうれしいという気持ちと同時に、当時と変わっているんじゃないかという不安もありました。
実際には、以前と変わっていなくて良かったという印象です。子どもたちは素直で伸びやかだし、地域もあたたかいですし。当時から学校に関わってくださっていた方々も今もいらっしゃって。「先生戻ってきたんだね」と迎えてくださいました。地域の方には常にあたたかく見守っていただき、この場では伝えきれないほど数多くの場面でご協力をいただいています。
今後も感謝の気持ちを忘れずに保護者を含めた地域住民のみなさんと協力し合い、本校児童のより良い成長を目指して力を尽くしていきたいと思います。
船橋市立湊町小学校
佐々木善裕校長先生
所在地:千葉県船橋市湊町1-16-5
電話番号:047-431-4781
URL:https://www.city.funabashi.lg.jp/gakkou/0001/minato-e/
※この情報は2019(令和元)年10月時点のものです。
昔ながらの船橋の良さを実感できる地域に根ざした「船橋市立湊町小学校」
所在地:千葉県船橋市湊町1-16-5
電話番号:047-431-4781
https://www.city.funabashi.lg.jp/gakkou/..