店主 依藤光雄さんインタビュー

江ノ電の開通とともに、伝統の味を守り続けて100年。変わらぬ美味しさで人々に愛される老舗羊羹店/玉屋本店(神奈川県)


都心から一番近いリゾート地として、海のレジャーなど多くの観光客が訪れる神奈川県の江ノ島エリア。海岸に沿って南北に広がる観光スポットとしても人気の「すぱな通り」にある羊羹店「玉屋本店」は、創業100年を超える老舗で地域に愛される名店です。同店を訪れ、店主の依藤さんにおすすめの商品や街の魅力について話を伺いました。

江ノ島・玉屋本店
江ノ島・玉屋本店

江ノ島土産といえばこれ!

――「玉屋本店」の歴史についてお聞かせください。

依藤さん:当店は1912(明治45)年、江ノ島電鉄、通称江ノ電の開通と同時に開業いたしました。初代依藤浅吉が私企業として始め、1949(昭和24)年に神奈川県指定銘菓に認定。江ノ島詣でのお土産として作られ、特に「のり羊羹」は当時江ノ島で漁れました青のりを粉にしたものを白餡にねりこみ、磯の香り豊かな珍しい一品です。他に栗が丸のまま入りました「栗羊羹」、「大納言」等もございます。

昔ながらの味を守り続けておよそ一世紀、今後とも皆様にお喜び頂ける味をお送りしてゆきたいと思います。尚、店舗は1935(昭和10)年に建て替えられた歴史ある建物で、国の登録有形文化財になっております。

登録有形文化財でもある建物
登録有形文化財でもある建物

こだわりの味を多くのお客様に。

――お店のこだわりや、おすすめの商品について教えてください。

依藤さん:「玉屋本店」の羊羹は厳選された国産の大豆、寒天、砂糖を使用し全て手作りにて製造されております。創業当時から変わらない味を守り続けておよそ110年、変わらぬ味をご賞味ください。前述の「のり羊羹」は白餡に青海苔を練りこんだ、江ノ島名物で、爽やかな磯の香りと上品な白餡の甘みが絶妙の一品です。「江ノ島羊羹」は「のり羊羹」の塩味となり、さっぱりとした味覚をお楽しみいただけます。「大栗羊羹」は特大栗をふんだんに使用した贅沢な一品。中サイズの「本栗羊羹」もございます。厳選した大納言小豆を使用した人気の一品「大納言」、伝統の「本練羊羹」もお勧めです。「のり羊羹」、「本栗羊羹」、「大納言」などを詰め合わせた「箱入り3本セット」やパッケージに「江ノ電」をデザインした「江ノ電羊羹5本セット」、切らずにそのまま少量ずつ羊羹が楽しめる「一口羊羹セット」もご自宅用、贈答用などにも人気です。

爽やかな磯の香りと上品な白餡の甘みの「のり羊羹」
爽やかな磯の香りと上品な白餡の甘みの「のり羊羹」

観光客にも地域の人々にも愛される江ノ島名物。

――1912(明治45)年に創業されて以来、地元の方から長く愛されていると拝見しました。普段はどのようなお客様がご利用されていますか。

依藤さん:観光客はもちろん地元のお客様も多く来店いただいています。親子三代で来店いただいているお客様など長年お世話になっている地域の方々にも支えられています。 江ノ島観光のお土産として「すぱな通り」を散策中にふらっと立ち寄る観光客、家族団欒時のお茶菓子として、帰省時期などには故郷への贈答用としても人気です。今後は、抹茶とともに羊羹や和菓子を楽しめる甘味処の併設も検討中です。より多くの人に来店いただきたいと思います。

かわいらしい一口羊羹も人気
かわいらしい一口羊羹も人気

古き良き街の風景、人との繋がりが残された温かい街。

――長きにわたり江ノ島の街を見てこられて、街はどのように変化しているように感じられますか。

依藤さん:観光地としても有名で若者も多く訪れる人気の街ですが、元々は昔ながらの温泉街のようなのんびりとした雰囲気がある街でした。金魚すくいや卓球場、喫茶店が通りに点在していて、地域の人で賑わっていました。江ノ島に渡る橋はまだ木造で、台風が来る度に流されていたような時代もありました。ここ10年くらいでマンション建設が増えて、海が好きな新しい人たちが都心部などから移住して住むケースも。海水浴やサーフィンを楽しむ若者も多く訪れるようになり、おしゃれな飲食店や雑貨店などもオープンして、昔とは違った新たな賑やかさが街にはあります。その一方で昔ながらのお店や建物も残されていて、懐かしさや地域の人たちの温かみを感じることができるのもこの街の魅力だと思います。

すぱな通りの風景
すぱな通りの風景

夏は涼しく冬は暖かい。都心から一番近いリゾート。

――江ノ島・片瀬海岸の「住む場所」としての魅力についてお伺いします。

依藤さん:海も川も山にも恵まれ、空気が澄んでいるので住環境としても最高です。夏の暑い日でも、気持ち良い風が街を吹き抜けることもしばしば。海に近いので、夏は涼しく冬は暖かい気候で過ごしやすいですね。各方面への幹線道路が整備され、江ノ電を始め公共交通も充実しているので、東京、横浜など都心へのアクセスも良好です。休日に都心部からの観光客で賑わうのも、そうした理由であることも大きいでしょう。

海が身近な生活
海が身近な生活

地域の人が連携した活気のある街づくりを。

――地域の方々と連携して行っていることがありましたら教えてください。

依藤さん:“向こう三軒両隣”のような地域の温かい繋がりが残されている街です。現在はコロナの影響もありますが、八坂神社と小動神社両方から御神輿が繰り出され、街中を抜け海に入る海上渡御が有名な「江ノ島天王祭」など、多くの祭りで地域の人や商店街が連携して盛り上げます。この他にも、月2回の防犯パトロールやビーチのゴミ拾い、バーベキューや餅つき大会など地域住民同士の触れ合いが多くあります。コロナ渦で大変なこともありますが、地域連携して安心安全な街づくりをしていきたいと思います。

江ノ電「江ノ島」駅
江ノ電「江ノ島」駅

――江ノ島エリアの魅力についてお聞かせください。また、これから新しく街に住まわれる方々に向けて一言お願いいたします!

依藤さん:前述のとおり、江ノ島エリアは自然環境に恵まれていて暮らしやすさは抜群です。近年では海のレジャーを楽しむために移住してくる方も多く街には活気があり、懐かしさと新しさが同居する魅力的な街。毎日の暮らしを充実させて、ゆっくりとのんびりと江ノ島エリアを楽しんでみてはいかがでしょう。

江ノ電の開通とともに、伝統の味を守り続けて100年。変わらぬ美味しさで人々に愛される老舗羊羹店「玉屋本店」の思いとは。
江ノ電の開通とともに、伝統の味を守り続けて100年。変わらぬ美味しさで人々に愛される老舗羊羹店「玉屋本店」の思いとは。

玉屋本店

店主 依藤光雄さん
所在地:神奈川県藤沢市片瀬海岸1-9-10
電話番号:0466-22-4057
URL:http://www.tamaya-honten.com/about.html
※この情報は2021(令和3)年8月時点のものです。

江ノ電の開通とともに、伝統の味を守り続けて100年。変わらぬ美味しさで人々に愛される老舗羊羹店/玉屋本店(神奈川県)
所在地:神奈川県藤沢市片瀬海岸1-9-10 
電話番号:0466-22-4057
http://www.tamaya-honten.com/about.html