渋谷 俊典さん、水谷 亮友さん、井上 泰伸さん、朝井 祐也さんインタビュー

「あまがさき緑遊新都心地区」として生みだされたまちの魅力と、尼崎市の都市計画・まちづくりの未来/尼崎市役所(兵庫県)


尼崎市役所の皆さん(左から都市戦略推進担当 渋谷さん、小田地域課 水谷さん、都市計画課 井上さん、朝井さん)
尼崎市役所の皆さん(左から都市戦略推進担当 渋谷さん、小田地域課 水谷さん、都市計画課 井上さん、朝井さん)

JR東海道本線や JR福知山線・東西線などの広域交通の結節点である JR「尼崎」駅北西にある「あまがさき緑遊新都心地区」。2009(平成21)年にJR「尼崎」駅の北側に広がる約22.8haを対象とした大規模な土地区画整理事業が完了し、尼崎はさらに魅力的なまちへと生まれ変わりました。同エリアは神戸にも大阪にも近く、昨今では住みたいまちの上位に挙げられるほど人気が高まっています。

どのような計画で良好な都市環境を形成してきたのか、今回は同地区の事業を担当した尼崎市役所 関係部署の皆さんにお話しを伺いました。

4つの目標を掲げた「あまがさき緑遊新都心地区」地区計画と現在のまちの姿

――まずは「あまがさき緑遊新都心地区」のまちづくりの考え方や、コンセプトを教えてください。

あまがさき緑遊新都心地区・JR「尼崎」駅北口のまち並み
あまがさき緑遊新都心地区・JR「尼崎」駅北口のまち並み

都市計画課 朝井さん:1998(平成10)年に策定した整備基本方針では、4つの目標を掲げました。
1つ目に、このエリアは幅の狭い道が多く、緑や公園もなかったことから、「みどり豊かで環境に優れたまちをつくる」を挙げています。
2つ目に、「多様な機能が複合し、にぎわう文化・交流のまちをつくる」として、交通の結節点でもある利点を活かし、多様な機能を集積したまちづくりを目指しました。
3つ目は、「豊かな都心居住を実現し、あたらしいコミュニティをはぐくむまちをつくる」ということ。
4つ目は「既存産業集積を活かし、いきいきした産業が生まれるまちをつくる」です。尼崎は古くから産業のまちとして発展してきた歴史を踏まえ、産業とともに成長するという方向性を大事にしています。

『あまがさき緑遊新都心地区地区計画 計画図の内容』(出典:尼崎市)
『あまがさき緑遊新都心地区地区計画 計画図の内容』(出典:尼崎市)

尼崎市 都市整備局 都市計画部 都市計画課 係長の朝井 祐也さん
尼崎市 都市整備局 都市計画部 都市計画課 係長の朝井 祐也さん

――1つ目の「みどり豊かで環境に優れたまちをつくる」に関して、具体的にはどのようにまちづくりに反映・実現されたのでしょうか。

朝井さん:街区周辺を回遊できるみどり豊かで快適な歩行者動線を「グリーン・コリダー」として、まちのにぎわいの中にも緑遊広場を整備するなどして緑を確保しています。

都市計画課 井上さん:建物を建てる際には屋上の緑化など、民間施設にもこの趣旨をご理解していただきました。また、まちかどにも広場を設けて、随所に緑のゾーンを散りばめています。

歩行者動線の「グリーン・コリダ―」
歩行者動線の「グリーン・コリダ―」

――2つ目の「多様な機能が複合し、にぎわう文化・交流のまちをつくる」を実現するために、どのような誘致を行われたのでしょうか。

井上さん:「あまがさき緑遊新都心地区」は、UR都市機構と尼崎市が一緒にまちづくりを進めてきた地区で、新しい都市活動・文化の創造拠点として「交流ゾーン」、にぎわいのある都心の形成と都心居住展開の拠点として「にぎわいゾーン」など、ゾーン分けして土地利用を考えるとともに、駅と区画整理のエリアをつなぐ回遊デッキやエレベーターの設置を行うなど、区画整理事業の実施に合わせ利便性の向上やバリアフリー化も図り、一体的なまちづくりを進めてきました。

『あまがさき緑遊新都心のゾーン構成』(出典:UR都市機構)
『あまがさき緑遊新都心のゾーン構成』(出典:UR都市機構)

都市整備局 都市計画部 都市計画課 係長の井上 泰伸さん
都市整備局 都市計画部 都市計画課 係長の井上 泰伸さん

「あまがさき緑遊新都心地区」や尼崎市の今後の課題とビジョン

地区内に整備された「潮江緑遊公園」
地区内に整備された「潮江緑遊公園」

――「あまがさき緑遊新都心地区」の現在の課題を教えてください。

井上さん:「あまがさき緑遊新都心地区」は大きな整備も行い、これからますます尼崎の拠点となっていくエリアですが、「あまがさき緑遊新都心地区」のコンセプトを知らない開発事業者さんもいらっしゃいます。こうした方へまちのコンセプトを伝え、理解していただき、新たな開発を誘導していくことも私たちの役割のひとつです。

また、今回のような「あまがさき緑遊新都心地区」の整備なども含め、尼崎市のまちづくり計画である「尼崎市都市計画マスタープラン」は10年計画ですが、ちょうど今改定の時期に当たっています。尼崎には阪神沿線、JR沿線、阪急沿線、の3本の鉄道軸が通っており、臨海地域と呼ばれる工場の多い地域と合わせて4つの区分にざっくりとエリア分けができるのですが、この区分でまちの特色も大きく違っています。地域ごとに特色があるので、これをうまくまとめて一つの計画として考えなければならないことは非常に難しいですね。

尼崎市 都市整備局 都市戦略推進担当 係長の渋谷 俊典さん
尼崎市 都市整備局 都市戦略推進担当 係長の渋谷 俊典さん

都市戦略推進担当 渋谷さん:駅前の空間には公共施設がたくさんありますが、これをいかに市民の方に使ってもらえるかが課題だと考えています。現在は公共空間を使ってもらいやすくするために、各駅周辺の特色を捉えたまちづくりなどを進めています。駅前に魅力があれば、それぞれのまちへの訪問者も増え、住みたいと思う人も増えていく。そういった好循環を生み出すために、JR「尼崎」駅はもちろん、それ以外の駅でもそのような取り組みを行っていきたいですね。

小学校区ごとに市の職員が関わる尼崎市と「潮(うしお)小学校区」の取り組み

「尼崎市立潮小学校」
「尼崎市立潮小学校」

――水谷さんは、「潮小学校区担当」とありますが、潮小学校区はどういったエリアでしょうか。

小田地域課 水谷さん: 尼崎市では小学校区ごとにひとりの職員が担当としてつき、小学校を中心に、地域のコミュニティづくりを行っています。このエリアは昔から社会福祉協議会の活動が活発で、地域ぐるみのイベントなども多く、子育て世代の皆さんにとっては住みやすいまちです。最近では都市整備が進んで、神戸や大阪方面にアクセスしやすくとてもきれいなまちになったことから、新しい住民の方もたくさん増えています。実際、私も仕事でこのまちに関わるようになり、安心・安全に暮らせるので、改めて人気の理由を実感しています。

また、「関西国際大学」と「尼崎市立潮小学校」は密に連携していて、大学生が小学校にボランティアとして訪れ、学習支援を行ったり、地域のイベントに関わったり、横のつながりも活性化されています。

「関西国際大学 尼崎キャンパス」
「関西国際大学 尼崎キャンパス」

――小学校区ごとに担当を設けて活動することのメリットは何でしょうか。

水谷さん:普段の暮らしの中で、学校の方々が市の職員と直接関わることはなかなか少ないと思うのですが、担当することでいい関係が作れていると思います。小学校の先生や保護者・PTAの方々と顔見知りになることができますし、子どもたちもイベントなどで会うと覚えてくれている子もいますね。

尼崎市総合政策局 小田地域課 潮小学校区担当 地域担当主事の水谷 亮友さん
尼崎市総合政策局 小田地域課 潮小学校区担当 地域担当主事の水谷 亮友さん

――地域に関わるようになって感じていることはありますでしょうか。

水谷さん:新しくこのまちに来た方々は、地域のイベントに参加していただけても、「自分たちが何かをやってみよう」と思っていただくところまではまだまだ至れていないと感じます。昔から地域のために活動されている方の思いを、次の世代へ引き継いでいくことが課題だと感じていますね。小田地域課では、子ども向けのイベントなどを数多く実施し、「尼崎に住んで良かったな、潮に住んで良かったな」と子どもとその保護者に感じてもらえれば、これが将来、地域に愛着を持って住み続けてくれることにつながるのでは、という思いで現在活動しています。

整備され新しくなったまちに、子育て世代も増えている
整備され新しくなったまちに、子育て世代も増えている

――具体的にどんなイベントを実施されていますか?これからやってみたいこともあれば教えてください。

水谷さん:まちの中高生が、実行委員会を立ち上げ、自分たちで企画してイベントを行ったり、夏休みは小学生向けのワークショップを連日開催したりしていました。ワークショップの講師も地域で活動されている方や企業にお願いしています。コロナ禍で中断してしまっていましたが、またリアルに人が触れ合えるイベントを小学校で再開できればと思っています。

市民の思いに寄り添う、尼崎市のまちづくりへの思い

――まちづくりに関わる立場として、皆さんのまちづくりへの思いをお聞かせください。

井上さん:まちづくりに答えはありませんので、多くの市民の方の声を大事にしながら、進めていけたらと思っています。

朝井さん:市民の皆さまとの関りが重要と考えています。計画は市民の方と一緒につくっていくべきもの。「このまちにはこんな課題がある」という声を聞き取って、それを踏まえながら今後のまちづくりを考えていきたいと思っています。

渋谷さん:課題だけでなく市民の皆さまの「尼崎は住みやすい」「住み続けたい」という思いや声も、市からどんどん発信していきたいですね。公共施設を使っていただき、それを通して魅力を伝えていけたらと思っています。

あまがさき緑遊新都心地区にある「あまがさきキューズモール」
あまがさき緑遊新都心地区にある「あまがさきキューズモール」

――ありがとうございました!

尼崎市 都市整備局 都市計画部の皆さん
尼崎市 都市整備局 都市計画部の皆さん

尼崎市役所

都市整備局 都市戦略推進担当 係長 渋谷 俊典さん
総合政策局 小田地域課 潮小学校区担当 地域担当主事 水谷 亮友さん
都市整備局 都市計画部 都市計画課 係長 井上 泰伸さん
都市整備局 都市計画部 都市計画課 係長 朝井 祐也さん
所在地:兵庫県尼崎市東七松町1-23-1
電話番号:06-6375-5639(昼間)
URL:https://www.city.amagasaki.hyogo.jp/
※この情報は2023(令和5)年4月時点のものです。

「あまがさき緑遊新都心地区」として生みだされたまちの魅力と、尼崎市の都市計画・まちづくりの未来/尼崎市役所(兵庫県)
所在地:兵庫県尼崎市東七松町1-23-1 
電話番号:06-6375-5639
開庁時間:9:00~17:30
閉庁日:土・日曜日、祝日、年末年始(12/29~1/3)
https://www.city.amagasaki.hyogo.jp/shis..
https://amanism.jp/