故郷を子どもたちの心の中につくる取り組み/姫路市立広畑小学校 校長 小林善一先生


姫路市立広畑小学校
校長 小林善一先生

1872(明治5)年の創立から140年以上の歴史を持つ「姫路市立広畑小学校」。小学校の周辺には閑静な住宅街が広がり、東側には夢前川が流れている。南側には「新日鐡株式会社 広畑製鐡所」があり、落ち着いた地域で人情豊かな街でもある。今回はそんな「姫路市立広畑小学校」の歴史や教育、地域とのかかわりについて、校長の小林善一先生に伺った。

はじめに、学校の歴史、概要を教えてください

姫路市立広畑小学校 インタビュー
姫路市立広畑小学校 インタビュー

広畑小学校の歴史は、1872(明治5)年の学制発布にまで遡ります。一番初めは、矢野松次郎さんという方の農舎を借りて始まったと聞いています。教育に対する情熱が地域にあったのではないかと思います。その後、学校制度が整うに従って、新しく校舎を建てたりさまざまな変化がありました。

この辺りはもともと人家も少なく、田園地帯だったのですが、1939(昭和14)年に「広畑製鉄所」ができて以降はどんどんと人口が増えていきました。最盛期には2,000名ほどの児童が通っていたようです。その頃には校舎を建て増ししたり、それでも校舎が足りないということで、少し離れた場所に「広畑第二小学校」も新たにできたりしました。その後は少子高齢化などの影響もあり児童数は減ってきて、現在の全校児童数は250名程度です。

学校の主な教育方針について聞かせていただけますか

姫路市立広畑小学校
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最近の子どもたちを見ていますと、夢や希望というような、将来こうしたいんだというような気持ちが薄れているように思います。自分は凄い人間なんだとは思わないまでも、自分は大切な人間なんだと思い、そして将来に向けて頑張ってみようと、成功や失敗を繰り返しながら、成長して行って欲しいと思っています。そして、未来に向けて努力したいと思うようになって欲しいです。

指導に際して、先生方が心がけている事は何でしょうか

姫路市立広畑小学校 インタビュー
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特別な取り組みをするわけではなく、どこの学校でもやっているような“普通の事”をしています。ただ、普通のことを着実にやり遂げるというのは大切なことだと考えています。これは、教師にもよく言うのですが、教師が子どもたちを見る時には、多様な尺度を持たなければいけないと思います。大人は学力だったり運動だったり、ひとつの尺度で見てしまいがちです。それは親の目線でもそうだと思います。そういうひとつの尺度で測られると、子どもは窮屈だろうと思いますし、達成感を味わわないまま終わってしまいます。普通の事を普通にやっているんだけれど、その時に教師が多様な目線で、一人ひとりを違った角度から見て評価してやる事が大切だと思っています。

英語の授業に早くから取り組まれていますが、どのような特徴がありますか

姫路市立広畑小学校 インタビュー
姫路市立広畑小学校 インタビュー

2007(平成19)年に「国際理解推進モデル校」の指定を受け英語の授業が始まりました。週に1回、5・6年生が英語の授業を受けています。普段は担任が教えていますが、年に何度かはALTや指導補助の先生に来てもらっています。

何か広畑小学校ならではの行事などありましたら教えてください

姫路市立広畑小学校 インタビュー
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先ほども少し話しましたが、この辺りはかつて製鉄が盛んな地域でした。近くの新日鉄住金さんの広畑製鉄所が今も製鉄を続けていて、5年生が毎年見学と体験学習でお世話になっています。故郷を子どもの心の中に作っていくというのは大切なことだと思います。その中のひとつの取り組みとして、地域の産業を知るために、製鉄所の学習を取り入れています。工場見学もありますが、初期の製鉄法である、たたら製鉄の体験学習も行っています。

姫路市立広畑小学校 インタビュー
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それと、この地域は高齢化が進んでいます。その中で高齢者の方たちにも大変な援助をいただいています。田んぼを貸していただいて、米作りの体験学習をやっていますが、よく助けていただいています。ほかにも本の読み聞かせや、昔遊びというイベントがあって、学校に来ていただいて、お手玉やコマ回しなど昔ながらの遊びを教えてもらっています。最近では、家庭の中でおじいちゃんおばあちゃんと一緒に暮らしているというような家庭は少ないので、貴重な機会だと思っています。

ほかにも、保護者や地域の方達との関わりは何かありますか

登下校時の子どもたちの見守りもやっていただいていますし、スクールヘルパーとして登録いただいている方たちもいます。子どもを学校に通わせている保護者の皆さんには、忙しくてなかなか学校のことをお願いしにくい面があります。やはり地域の高齢者の方達の援助が大変ありがたいです。

最後に学校周辺の地域の魅力を教えてください

姫路市立広畑小学校 インタビュー
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昔から住んでいる方たちも多く、とても暖かい土地柄だと思います。そして、地域の人たちの手によって始まったこの学校の歴史からも想像できるように、子どもを育てることに熱心だと思います。1966(昭和41)年のことですが、当時は保育園が少なく、多くの方が困っていたようです。そこで、どうしたかというと、「自治会立」という全国的に見ても非常に珍しい形で保育園を作ったのだそうです。そうしたことを見ても、地域の子どもたちは地域で育てるんだという思い、そして皆さんこの地域を愛されているというのがよく伝わってきます。

姫路市立広畑小学校
姫路市立広畑小学校

今回、話を聞いた人

姫路市立広畑小学校

校長 小林善一先生

姫路市立広畑小学校
所在地:兵庫県姫路市広畑区清水町1-47
電話番号:079-236-5555
URL:http://www.himeji-hyg.ed.jp/hirohata-e/

※この情報は2015(平成27)年11月時点のものです。

故郷を子どもたちの心の中につくる取り組み/姫路市立広畑小学校 校長 小林善一先生
所在地:兵庫県姫路市広畑区清水町1-47 
電話番号:079-236-5555
http://www.himeji-hyg.ed.jp/hirohata-e/