自由を尊重しながら、子どもの無限の可能性を育てる「こどものくに幼稚園」

「小金井市役所」から徒歩すぐ、見晴らしの良い丘の上で、60年近くもの歴史を重ねている私立幼稚園「こどものくに幼稚園」。子どもたちの自由を尊重し、家庭的な雰囲気の中で、のびのびと子どもを育てている私立幼稚園だ。子ども同士はもちろん、保護者を交えた交流の場も多く、家族ぐるみでファンになってしまうという、その秘密は、いったいどこにあるのだろう。今回は2代目園長であり、音楽家、や“教育芸術家”としての一面ももつ、曽根基先生にお話を聞いた。

子どもの無限大の可能性を大切に、毎日が真剣勝負

園長の曽根基先生
園長の曽根基先生

――まず、園の歴史について教えてください。

ここは私の父と母が立ち上げ、1956(昭和31)年の9月16日に開園したそうです。最初の建物は今も園の一部として使っていて、「霞が関ビル」の設計をした池田武邦先生の設計で、ちょっと変わった形をしています。園舎の真ん中の部分が膨らんでいて、もともとは採光性が高い作りでしたが、私の代になってあえて光があまり入らないように改造しました。園舎に明と暗のリズムを作りたかったので、あえて暗い部分を作ったのです。

もともと、母方の父がこの辺りに住んでいたことをきっかけに、父が牧師だったこともあり、ここにキリスト教の幼稚園を開きました。もっとも、私の代になってからは、宗教からは離れて自由にやっています。宗教というのは大人になってから、自分で選べばいいと私は考えていますから。ただ、キリスト教の教育の理念は自然とベースになっています。

ほかの子どもたちに見守られながら
ほかの子どもたちに見守られながら

「明暗のリズム」を意識した造り
「明暗のリズム」を意識した造り

遊具のほとんどが手作り
遊具のほとんどが手作り

思い思いの色を塗る
思い思いの色を塗る

――園の方針として、心がけていることは何ですか?

私は、教育は「芸術」だと考えています。自分自身、高校生の時分から音楽が好きで、音楽や読書に没頭していましたが、その頃に出会った一冊の本の中に、「教育は最高に神秘的な芸術である」という趣旨のことが書いてありました。

私はそこで「教育芸術」という概念に出会い、「教育がもっと丁寧になれば、芸術になるのでは」と考えました。子どもには無限大の可能性があるのだから、クリエイティブで無限の未来が広がる「教育芸術」によって真実を伝えたい、と思ったわけです。

60年近い歴史を持つ
60年近い歴史を持つ

――「環」の教育がキーワードと聞きました。

この園のキーワードの一つに「環(わ)」があります。カブトムシを見つければ、子どもたちは並んでではなく、環になって見ますよね。そういう自然にできたルールや自然の法則みたいなものが、人間の中にもあります。それを味わうには芸術が一番だと。だから私は、教育を芸術と捉え、「環」の教育を実践して、「無いものから創りだしていく」ことを求めていきたいと思っています。

理想をもって教育を進めていくには、相当の精力がいるし、技も磨かなきゃいけない、毎日が真剣勝負です。ですから、先生方にも真剣にやってもらっています。先生が自分自身を教育する姿を見て、それを子どもが真似て、「先生みたいな大人になりたい」と思ってもらえれば、もうこれは立派な教育です。子どもたち自身が自ら育っていくのです。

――他にも大切にされていることはありますか?

私たちは園を「大きなおうち」と呼んでいるのですが、家庭的な雰囲気も大切にしています。今はひとりっ子が多い時代ですから、ここで過ごす中で、お世話をされて、お世話をして、という経験をして兄弟のような関係をつくってほしいと思っています。従って、クラスは3~6歳までの縦割りクラスで、土曜日は小学生(卒業生)が手伝いに来たりしています。

いつでも、本気で
いつでも、本気で

――教室を暗くする、というお話がありましたが、これも教育方針と関係があるのでしょうか?

私は、今までの教育は「まぶしすぎる」と感じていて、子どもの「内なる光」が見えにくくなっていいるのでは、と危惧しています。だから、私が先生方に目指してほしいのは、保育士ではなく「教育芸術家」なのです。ひとつひとつの音を美しく出して素晴らしい音楽を奏でていくように、子どもが持つほのかな光を感じながら、それを紡いで教育という芸術を奏でてほしい。そうすれば、子どもは自然と育っていく、先生はパフォーマーなのです。

園児たち
園児たち

お絵かき
お絵かき

みんなでにっこり
みんなでにっこり

家庭的な雰囲気を大事にする
家庭的な雰囲気を大事にする

孟子の言葉に「道(タオ)」という言葉があります、「自然は真理によって成り立っていて、それこそが人の生きる道」という意味です。パフォーマーが素晴らしいパフォーマンスをする時は「道」を貫いている、音楽も絵画もそうですよね。「教育芸術」もそれは同じで、いい加減なパフォーマンスでは感動は呼び起こせません。だから、すべての先生がいつでも本気で取り組んでいます。

見て・触れて・感じて・歌って、五感を大切に

門

――園舎の特徴について教えてください。

遊具のほとんどが手作りで、それも先生と子どもたちが共同作業で作ったものが多いのです。今日もノコギリで木を切る作業をしていましたが、子どもたちが木を切って、かなづちで釘を打って、組み上げて、という感じで、毎年何かしらの遊具を作っています。

また、「有機質なもの」「生の音」「本物」「仕組みのわかるもの」だけを置くという点にもこだわっています。たとえば石臼で粉を挽いたり、毛糸から糸をよって織物を作ったり、お誕生日会の時には庭で薪を燃やして、料理を作っています。実は、真っ黒で中が見えないピアノも用いません。ギター、ライアー、ハープ、リコーダー、古楽器、ハンドベルといった、子ども向けに作られていない本物の「仕組みのわかる楽器」を用います。もちろんCDやDVDの機械音は用いず、いつも生演奏です。ちょっと変わった幼稚園ですよね。

先生のもとに集まる園児たち
先生のもとに集まる園児たち

室内遊び
室内遊び

ノコギリで木を切る作業
ノコギリで木を切る作業

弓矢の練習
弓矢の練習

――1日の流れについて教えてください。

まず、9時頃に登園して、室内遊びをして過ごします。絵を書いたり、ごっこ遊びをしたり、好きな遊びをしています。片付けをしたら「ライゲン」の時間、これは総合芸術のようなものです。人間と自然との関わりをテーマに、詩を読んだり歌を歌ったり、体を使った表現をしたりします。それから小さなお祈りをして外遊び、その後は「歌の時間」ということで、歌いながらお弁当の準備をします。

お弁当が終わったら、また外遊びをして、歌を歌いながら小さな礼拝をして「メルヘン」の時間、これは昔話をろうそくを点けた暗い空間で聞くという時間です。それが終われば、降園です。基本的にはメリハリを付けて、明・暗、動・静という組み合わせを交互に繰り返しています。このようなリズムある生活をすることで、子どもは注意や指示を受けずに、静かな時間と活発に遊ぶ時間を両方楽しむようになります。「教える教育」からの脱却です。

武蔵小金井の豊かな自然を活かして親子で楽しむ教育

曽根先生と園児たち
曽根先生と園児たち

――年間行事について教えてください。

まず、春には遠足で近くの湧水地に行って川遊びをします。夏にはお父さんたちと一緒に「秋川渓谷」にデイキャンプへ、食事をお父さんに作ってもらって、子どもたちは泳いで遊んで自然を満喫します。

「おやまのおまつり」は秋にある、1年でいちばん大きなイベントで、「武蔵野公園」の「くじら山」で、身体を使ったいろいろな遊びをして楽しみます。森の中を走り回ったり、ダンスをしたり、弓矢をしたり、楽器の演奏をしたりという感じで、親子一緒にやるものも多く、毎年とても盛り上がっています。

「芸術」と「環」の教育
「芸術」と「環」の教育

音楽に関しては、「世界でひとつの音楽祭」という、先生たちがオリジナルの曲を作って、子どもたちと一緒に演奏する音楽祭があります。この時の曲は、「ペンタトニック」という技法を用いて5~6曲ほど作るのですが、それを年長が演奏し、小さな子は鈴を鳴らしたり、踊ったりして一緒に楽しみます。「クリスマスページェント」も音楽を中心にしたイベントですね、親子が一緒に楽しめるものにしています。

「山登り」もあって、これもユニークだと思います。子どもたちには「おやまのぼうけん」と言っていますが、お父さんたちにも協力してもらって、登山道ではなく、道の無いような急な斜面を、どろんこになって登っていくのです。普通なら15分で登れてしまうような小山を登ったり下りたり、2時間くらいかけて冒険し、最後にはサプライズの仕掛けも準備しています。年長児は海に一泊旅行をします。これで湧水~川~水を育む山~海へとつながるわけです。

ハイタッチ!
ハイタッチ!

――保護者との協力体制や、父母会との連携について教えてください。

「こどものくに幼稚園」は保護者の方同士、とても仲が良いのが特徴です。おやじバンドに野球チーム、ハンドベル、ウクレレといったサークルもあります。最初は遠慮していた方も、自然にその「環」の中に入って楽しむようになりますね。サークルのほかに「ぶどうの木の会」という保護者の会もあって、こちらも行事の時などを中心にいろいろな活動をしています。

――最後に、園の周辺エリアの魅力、武蔵小金井エリア全体としての地域の魅力について、それぞれお聞かせください。

園の周りということでは、ハケ地形にある地区ですから、眺めが良くて、風がさわやかで、緑も多くて、武蔵野台地の雰囲気がすごく感じられると思います。晴れれば富士山も見えますよ。駅前で大通りがある割には、この辺りは交通量は少なめで、静かな雰囲気が残っている地域ですね。

広く小金井地域ということでは、ハケの下の「野川公園」や「武蔵野公園」も含まれると思いますが、やはり自然が多く残っていて、緑も多く清水が湧き、いい環境だと思います。お休みの日なんかは、わざわざ遠くに出かけなくても、家のすぐ近くにいい遊び場が沢山ありますから、子育て中の方には特に嬉しいでしょうね。野鳥も沢山いて、毎朝、鳥のさえずる声も聞こえます。

ハケの小路
ハケの小路

野川公園
野川公園

――これからこの街に住みたいという人に、メッセージをお願いします。

どこかのキャッチコピーみたいになってしまいますが、「子にいい小金井」だと思っています。自然が沢山あって、静かな環境があって、それからうちのような私立の面白い幼稚園やプレイパークもあります。子育てをじっくり楽しみたいという人は、ぜひ、小金井に引っ越してきてください。

今回お話を聞いた人

こどものくに幼稚園 園長 曽根基先生
所在地:東京都小金井市前原町3-35-11
電話番号:042-381-1701
URL:http://www.kidslink.jp/kodomo-koganei/
※この情報は2017(平成29)年6月時点のものです。

自由を尊重しながら、子どもの無限の可能性を育てる「こどものくに幼稚園」
所在地:東京都小金井市前原町3-35-11 
電話番号:042-381-1701
http://www.kidslink.jp/kodomo-koganei/